2017年10月09日

与野党8党首討論会 日本記者クラブ(全文掲載・その3)

 --希望の党の小池百合子代表に経済問題、うかがいたいと思います。やはり幼児教育の無償化など、自民党と同じ政策を掲げると同時に、ベーシックインカム(BI)という新しい考え方も打ち出している。一方で消費税は凍結するという。財源に企業の内部留保を活用するという。これは、法人や企業に対する課税強化になると思うんですが、一方で小池さん、先月の会見で、アメリカのトランプ政権の動きについて触れられておりまして、法人税を思い切ってダイナミックに下げているということで、そういうところに追いついていかないといかんと。追いついていくというか、日本の方が進んでいますけどね。そこはね。そういう意味で言うと、法人税を下げようとしているのか、それともむしろ強化しようとしているのか。メッセージが見えない。それから財源。その辺をちょっと話ししてくださいますか。

 小池氏「今、アメリカの法人税の話も出ました。私はこの国際経済、金融などを見ておりますと、非常にダイナミックに進んでいるということが1点。そこにですね、どうやって日本経済がこのグローバルな競争に追いついていけるのかどうか。今、東京として国際金融都市・東京を作ろうとしている中においてですね、さまざまな国との連携、さっきの特区もそうでありますけれども、それを進める中でどうやって自力を、自力を東京、そして日本に持たせていくか、その総合的な今、設計が必要だと思っております」

 「一方で、私ども希望の党というのはまったく新しい政党でございまして、そしてこれまでの延長線だけでこの使途をどういうふうに変えていくか、その弥縫策だけでは足りないのではないか。ある意味、かなりエッジの効いた提案を今回させていただいています。ベーシックインカムというのは、ご承知のようにまだまだ実験的な部分もございますけれども、これも将来的に考えるべきではないかということで会議体を作っていきたい。内部留保につきましては、せっかくのアベノミクスの果実を、もっと社会に還元するためにコーポレートガバナンスコードの深化というような形でできるのではないか。このことなどを提案させていただいているということでございます」

--それから全体の経済政策で「ユリノミクス」というのを言っておられて、それをみますと「アベノミクス」というのは過度な金融緩和、財政出動に頼っているという話をされているんですが、一方で金融緩和については引き続き大規模な緩和を続けるべきだということもおっしゃられているので、どのへんに差があるのか。財政・金融政策については、基本的には安倍晋三政権と変わらないのか

 小池氏「大変僭越ながら、ユリノミクスなどという言葉を掲げているわけでございますが、マクロ経済というよりは、より消費者に寄り添ったマーケティングなどをベースにしたものとお考えいただければと思います。個人消費、日本経済を動かす6割を超える大きな消費の部分も、まだまだ冷え込んでいる。そしてまた、デフレ経済のな中で、まだ脱却しているという段階ではない。そういう中においてですね、どうやって人々の共感を得、消費者の共感を得、っていうふうに進めていくのかというところの部分こそが、私は重要だと思っています」

 「そのためには、希望の党というのは、今日よりも明日の方がいい、まさにデフレからの脱却そのものでございます。それは心理の面からもあるし、それから税制などの面もあるし、そういった総合的な設計ということを私どもは提唱していく。これまでの延長線ではない部分で、かなりジャンプしたところもあるかもしれませんけども、そのことを訴えをしているということであります」

--安倍さん、先ほどおっしゃったことはですね、成長主導の財政健全化ということをおっしゃったと思うんですけどね。それは、あれだけの異次元の金融政策を5年も続けている。そうすれば、これぐらいの成長はありうるだろうし、しかし逆に言えばそれでやってもここまでしか成長できないのか、ここまでしか雇用がよくならないのかという見方もあると思うんですね。アベノミクス、これだけ異常な政策を続けること、特に異次元緩和ですけどね、副産物も今出ていると思います。特に、日銀が一国のGDPに近い額の国債を抱え込まされていると、この事態を、いわば出口問題という話ですけどね、安倍さんとしては、いつどうやって解消されるおつもりですか

 安倍氏「もし、われわれが政権を奪還せずに、この金融政策、財政政策、成長戦略を行わなかったら、私は大変なことになったと思います。当時、考えてみていただきたい。日本の企業は行き過ぎた円高でどんどんどんどん海外に出ていってしまった。海外からやってくる企業なんかほとんどなかった。日本に投資する会社なんかなかったんですよ。法人税も高くてね」

--(話を遮って)安倍さんね、副産物について聞いているんです。先ほど今おっしゃったことは、散々もう今までお聞きしたんですけどね。副産物について、安倍さん一切、口を開かないんだよね。そこだけ端的に教えてください

 安倍氏「ちょうど」

--それがあるのかどうか。どうやってそれを克服するのか

 安倍氏「ちょうど今、そこ佳境に入るところだったんで(会場から笑い)。これから説明しようとしていたところなんですが。ですから、やらなければいけない政策だったことは、恐らく認めいただけるのではないかというふうに思います。私たちは行き過ぎた円高を是正しました。そして、雇用に。経済の実態というのは、実体経済というのは、やっぱり雇用が一番大切ですから。働く人が増えて税収も増えていく。ここでですね、金融政策においてはテーパリング(縮小)などの出口戦略に移っていく。まだですねデフレから脱却していない段階で出口戦略に触れることは、マーケットも見ています。時期尚早だと思います」

 「基本的に金融政策についてはですね、2%という物価安定目標については、私と(日銀総裁の)黒田(東彦)さんで政策協定をしておりますが、どのような手段を使ってそれを達成し、その後出口戦略に向かっていくかという中身については、当然世界的な常識でありますが、日銀の中央銀行の総裁に任せているということでございます」

--経済論戦はこれで終わりにしまして、森友、加計問題について聞きます。安倍さん自身が本来は臨時国会で説明すべき問題だったと思うんですけど、その機会が失われた。その国会の代わりにするわけではないですけど、いくつかの素朴な質問をさせていただきます。今回の問題は、森友も加計も国家の行政措置にあたって、結果的に最高権力者である首相のお友達を優遇するというケースとして共通点があると思うんです。その過程に安倍さんが関与したかしないかは分かりません。安倍さんは関与しないとおっしゃっている。だけど結果的に、一番偉い方の友達が優遇されたということに対して、安倍さんはこれまであんまり何も言っておられないので、そのへんいかがですか

 安倍氏「あの、李下に冠を正さずでありますから、(森友学園前理事長の)籠池(泰典)さんは私の友人ではありません。詐欺罪で逮捕されて、そして起訴されているわけでありますが、私は1回もお目にかかったことはないということはまず、(「奥さんは友達ですね」)はい。その点ははっきりさせていただきたい。このように思います」

 「また、(加計学園理事長の)加計(孝太郎)氏については、獣医学部について、そして申請をしてきたのは15年間、加計学園のみであったということは事実であります。そして、安倍内閣においてもですね、5回却下をしておりますし、これ(前愛媛県知事の)加戸(守行)さんもおっしゃっていますように、第1次安倍政権においては文部科学省に行っても、けんもほろろだったということであります。いわば、議事録は全て、ワーキングループなどの議事録は膨大な議事録が公開されておりまして、八田達夫座長などもですね、一点の曇りもないということをおっしゃっているし、加戸(前)知事もですね、まさにゆがめられていたのは、これは行政の方だと、こうおっしゃっているわけであります」

--(声を荒らげて)安倍さん、私が聞いているのはそこじゃありません。安倍さん、私が聞いているのはそこじゃありません。結果的にそうなったことについて、あなたは何か、責任を感じないんですか。最高責任者として。首相として

 安倍氏「えー」

--(かぶせぎみに)あなたのお友達がね、お友達というか、加計さんはそうですよね、その、行政的に優遇されたことについて

 安倍氏「これですね、あの、そこはなぜ、優遇なのかということをおうかがいをしたいわけでありますが、いわば、ずっと15年間、(設置を希望していたのが加計学園)1校しかなかったわけでありまして、では、果たしてですね、50年間、獣医学部がまったく設立されなかったことがよかったのかどうか、ということであります。鳥インフルエンザもあります。狂牛病もある。獣医師の公務員が必要であった。あるいは産業獣医師も必要だ」

--(発言をさえぎって)安倍さんねえ、その必要性について私、聞いているんじゃありません。結果的に、お友達がね、その、他の、候補もですね、手を挙げているところで、結果的に、あなたのお友達が、獣医学部の新設を認められたということについて、ね。しかも、それはあなたのお友達ですよ。加計さんはねえ、ゴルフも会食もしてる。その方が結果的に、そういうことを、うー、あの、うー、えー、行政的な厚遇を受けたことについてね、その、あなたとしては、何のアレもないんですか。反省もないんですか。問題も感じないわけですか

 安倍氏「何が問題かといえばですね、私が私の友人であることをもってですね、行政に影響力を与えて、そこに対して何か優遇措置をしたということであれば、その通りであります。私と加計さんが友人であったという事実だけであってですね、私が影響力を行使したということについてはまったく何も証明されていない。確かに李下に冠を正さずでありますから、私の友人がこういう中において国家戦略特区に指定された中においてですね、ここが獣医学部を申請できるようになったということについて疑いを持たれるということについては、これは当然のことであろうと。そういうことについては私自身がもっと慎重であるべきだったとは思っておりますが、しかし、これは数々の証言者が述べておりますように、私が何か行使をしたということはですね、これ、(前文部科学事務次官の)前川(喜平)さんも含めて、誰もそれは証言していないということはこれ、明らかになっているということであります」

--質問の仕方を少し変えます。安倍さんは丁寧に説明してきたとおっしゃっているが、例えば、朝日新聞で安倍さんの説明が十分でないというのは79%、9月の段階で。先ほど、安倍さんは国会をずっと見てきた方は、だいたい分かってもらえたのではないかとおっしゃったが、実は私は7月の国会の閉会中審査で安倍さんが、加計学園が今治で特区になったというのを知ったのは1月20日だったと。あの証言で逆にびっくりして、それまで知らなかったことはないだろうとおうふうに、みんなが、疑念が膨らんでいる。イエス、ノーでここだけは教えていただきたいんですけど、本当に1月20日だったということをこれからもおっしゃり続けるわけですか

 安倍氏「まずですね、朝日新聞は先ほど申しあげた八田さんの報道もしておられない」

--しています

 安倍氏「いや、ほとんどしておられない。しているというのはちょっとですよ、ちょっとですよ。ほんのちょっと(会場から笑い)、アリバイづくりにしかしておられない。加戸さんについては証言された次の日にはまったくしておられない」

--しています

 安倍氏「批判があったから、投書欄などで載せておられますが」

--いやいや

 安倍氏「これはしかし、大切なことですから、ぜひ皆さん、これ調べていただきたいと思います。本当に胸を張ってしているというふうにいうことができますか」

--はい、はい。できます

 安倍氏「(あきれた様子で)これはあの、これはぜひ、国民の皆さんですね、新聞をよくファクトチェックをしていただきたいと思います。今の答えについてはイエス」
 --同じ7月の閉会中審査で安倍さんは、加計さんのことをとらえて「彼は非常にチャレンジングな人で、時代のニーズに合わせて新しい学部や学科をつくりたいという話は聞いたことがあります」とおっしゃっているもんですから、そのときには学部や学科というのはどういう話をされたですか

 安倍氏「いろんなことをチャレンジしていきたい、ということをおっしゃっていました。彼は今までも薬学部等々をずっとつくってきましたが、できるまで私にその話をしたことは1回もありません。だからこそ、40年来の友人であり続けることができたと思います」

--新しい学部や学科といったときに、新しい学部や学科について具体的に何も言わないで話したんですか

 安倍氏「私自身はそれ以上、話に興味がそれほどありませんでしたから、そうだなと思って、具体的な説明をしていなかったわけであります。ぜひ、この先ほど申しあげましたように、私がそういっているというだけではなかなか信用していただけないわけでありますから、同時に先ほど申しあげましたように加戸(前)知事とかですね、八田さんの証言もですね、朝日新聞にもぜひ、もう少したくさんですね、載せていただきたと思います。

--分かりました。じゃあ、森友に関して一つ聞きます。国会閉会後、近畿財務局の職員が値段の交渉をしていたという具体的なデータが報道されています。音声のテープも出てきたりしています。これは今後国会できっちり調べていくべきだと安倍さんはお考えですか

 安倍氏「まず、すでにですね、籠池氏は逮捕され、起訴をされています。そして適正な価格だったかどうかということについてもですね、捜査当局が調べていると報道がございます。まずはしっかりと捜査当局が真相を明らかにするべきだろうと思います」

--国会で聞かれたら

 安倍氏「もちろん、国会において聞かれたら当然、私は総理大臣でありますから、答弁する義務がある。丁寧にお答えをしたいと考えています」

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--希望の党は憲法改正に前向きな姿勢を示している。そうすると安倍さんに求められるのは、自衛隊の問題についても提案者ですから、これ一体、具体的にどういう道筋で考えているのかということを示すことで初めて各党、ああ、それについてはどうだということになると思うんですよね。そのへんは何か掲げるんだけど、少し反対が多いなというと少し弱めてみたり、なにか軸足がきちんとしてないような感じがするんですけども、それはいかがですか

 安倍氏「私は憲法論議についてですね、憲法というのは最後、決めるのは国民が、国民投票によってお決めになるわけであります。そのためにも、深い議論が国民の皆さまの中でされなければいけない。そしてその中におきましても、憲法審査会の議論が建設的に活発化していく必要があるだろうという考え方から、一石を投じたところであります」
「今回も選挙戦において、私たちの公約の中に4つの項目を絞ってお示しをさせていただきました。今後、国民の中で議論がしっかりと深まっていく、あるいはまた憲法審査会の中において、各党がその案を持ち寄り、建設的な議論が進んでいくことをぜひ期待したいと考えています」

--小池さんにおうかがいしたい。小池さんは防衛相もおやりになっている。自衛隊を明記するかどうかについては、必ずしも明確じゃないですね。国民の理解を得られれば、と。国民の理解を得られるというのは一体どういうことなのか

 小池氏「憲法でございますので、国民の理解を得られるかというのは、どの条項においても同じことだと思います。ましてや、自衛隊という実力部隊に対しての国民の理解というのは、例えば、国連平和維持活動(PKO)の問題で日報がどこかいっちゃったとかですね、そういうような信頼をそぐような行政ではなくて、むしろ、そういったことについて積極的に知らしめて、そしてむしろ隊員の士気も高めていくための国民からの信頼確保のための情報公開、これは進めるべきだと思っています」

 「それから今回、安倍総裁が3項を加えるという話でございますが、もともと合憲とおっしゃってきたのに急にここに3項をプラスするという件、それから防衛省という役所があって、防衛省設置法というのがあって、かつ実力部隊の自衛隊の部分だけ取り出していく、どのように防衛省と自衛隊の関係、これが逆転しちゃうのではなかというようなこともこれありですね、3項についてこのような形でそのまま進めるというのは若干、疑問があります。いや、大いに疑問があります」

--公明党にうかがう。公約の中で、自民党の憲法9条改正について慎重姿勢を示している。自民党の9条改正の動きをどう評価しているか

 公明党・山口那津男代表「安倍晋三自民党総裁(首相)が5月3日に、従来の自民党の持っていた草案とは違う考え方を提起されたわけですね。この2つの考え方は、自民党の中でまだ集約されていません。自衛隊については国民の大多数が、これを容認しています。しかし各メディアのアンケート、世論調査などをやると、賛成という方はあまり多くなくて、反対が多かったり、あるいは『よく分からない』というものも含めると、やっぱり半分以上がまだ自衛隊を憲法に書くことについては理解を示していないわけですね」

 「ですから、自民党の中のまだ分かれている議論は、われわれとしては見守っていく。そして、その議論に干渉するような主張を、われわれ公明党からは言わないでおくということで当面いきたいと思います。大事なことは、やはり国会の憲法審査会、これは衆院だけではなくて、参院も議論を深めて、そして国民の理解を伴っていく。そういう成熟した国民の理解のもとで発議や国民投票を迎えるべきだと思っています。今はそこまではいたっていないというのが現状認識です」

--憲法改正すべきだという勢力がだんだん広がっていく可能性が出てきている。護憲政党がますます少数化していく中で、どう護憲の灯火を世の中に伝えていくか

 共産党・志位和夫委員長「私は今度の選挙、共産党、立憲民主党、社民党でできる限りの連携、協力をしてやっていきたいと思っているんですが、市民連合の皆さんとも合意した政策合意の中に、安倍政権のもとでの9条改憲には反対するというしっかりとした合意があります。ですから、この共闘の力で今の流れを食い止め、そして押し返していきたい」

 「立憲民主党の枝野幸男代表とは、憲法に対する考え方、違いもあります。しかし、今やられようとしているやり方は反対だと。少なくとも今、書き込まれようとしている自衛隊は、安保法制が実行できる自衛隊になっている。すなわち憲法違反の集団的自衛権が実行できる自衛隊を書き込むことになれば、これは違憲の法律を合憲化することになる。だから、反対だという論理は共通しているんですね、枝野さんのところとも。ですからまずは共闘の力で多数派を作り、国民的な多数派を作っていく努力をしていきたいと考えています」

 社民党・吉田忠智党首「憲法に自衛隊を書き込むということは、もちろん長年にわたって自民党政権のもとでも憲法9条、自衛隊は合憲であるという解釈を取ってきましたから、それとの整合性も問題になりますし、2項を空文化させるということもありますし、矛盾する点もあろうかと思います」

 「国民の皆さんは、自衛隊の存在を多くの方は認めていると思います。災害救援でありますとか、そういうことに対して貢献されている。しかし、自衛隊を表現として書き込むことは、それだけにとどまりません。特に一昨年、戦争法、安保関連法が強行されて、集団的自衛権行使も可能となった。また武力行使の一体化につながる後方支援も可能になった。まさに米軍と一緒になって一体的に行動できるようになってしまっている。米国は国益のためには戦争をする国ですから、まさに米国の戦争に巻き込まれる危険性もある。そういうことになるんですよ、ということをやっぱり私たちは丁寧に、国民に理解していただく努力をしていかなければならない。素朴に自衛隊を書き込むことが、決してそれだけでは済まないということをしっかり訴えて、反対の世論を広げていきたいと思っています」

--日本維新の会は教育無償化を憲法改正項目に掲げている。財源があれば憲法改正しなくてもできるという意見があるが

 日本維新の会・松井一郎代表「いま公立の小中学校は無償化です。これは憲法に書かれているから、それに従って法律が作られ、財源がそこにあてられるわけです。だから、これ憲法に書かないと、例えば民主党時代に『こども手当』という話がありました。これは法律でやりました。財源も用意して。でも民主党政権が終われば、こども手当はなくなっております。やっぱり教育というのは、われわれ機会平等。豊かな家に生まれようが、少し苦しい家に生まれようが、子供たちは自分の好きな教育を受けられる。要は家庭の格差が教育格差にならない。そういうシステムを作ろうと」

 「システムを作るためには、憲法に明記するというのがわれわれの考え方です。それから、さっきから、僕は安倍政権の間に憲法改正の議論をしないというのは、これはあまりにも幼稚だと思うんですけど。じゃあ、誰の時やったら憲法改正の議論をするんでしょうかね。これはあまりにも幼稚すぎて、今の国際情勢の中では誰が首相であろうと、憲法改正の議論をやるべきだと思いますよ」

--枝野氏は、私の記憶では自衛隊の保持についてお認めになっている

 立憲民主党・枝野幸男代表「そうです。自衛隊は合憲です、われわれは」

--自衛隊を明記することについては、安倍政権だからだめなのか

 枝野氏「違います。先ほど志位氏も仰った通り、今の安保法制は違憲である。これは私どもも同じ考え方であり、違憲の安保法制を追認するような憲法改正には賛成できない。その違憲の部分というのは、専守防衛を超えている集団的自衛権の一部行使容認を認めるようなことは、われわれは考えていないし、私自身も過去、文芸春秋に私案を出しましたが、あれは集団的自衛権の一部行使容認を認めていません。しっかりと個別的自衛権の範囲ぎりぎりのところは、どこまでかということを憲法典に明記するということは、一つの考え方として私はあり得ると思いますが、そこを超えて、専守防衛を超えるような集団的自衛権の行使容認は反対ですので、いま自衛隊を書き込めば、それには賛成できない。当然のことです」

--日本のこころの憲法改正論は自民党より過激だ。今度こういう形でくっきり分かれる形になるが、どう考えるか

 日本のこころ・中野正志代表「私たちは、やっぱり国連憲章51条で自衛権は認められる。個別的であれ、集団的であれ、これを基本にしなければならないと思っています。小中高校生が憲法第9条について教えられている現実を考えてください。また憲法学者、政党がこういう形で、両様の解釈ができるというところに問題があるので、失礼な話ですが、子供たちに分かりやすい条文にして、はっきり自衛隊を明記して、日本の安全、防衛をしっかり守っていきましょうということにほかなりません」
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 --北朝鮮問題は解散の大きな理由として、国難突破だと(安倍首相は)述べている。しかし国難というからには、国会でなぜ国難なのかということを理解を求める努力をしなければおかしいのではないか。国難をあおっているのではないかという批判もないではない。北朝鮮に対して、さらに圧力をかけよう(というが)、その圧力の先に何があるのか。その先をどう考えているか

 安倍氏「まず北朝鮮というのは、核は保有している。核保有国が日本という非核保有国を脅かしたのは初めてであります。核を使って日本列島を消滅させるという趣旨のことを発言した。これは初めてのことであります。それは今後も起こり得る。そしていよいよICBM(大陸間弾道ミサイル)で、米国の首都を核で狙えるという状況になれば、かつて欧州でデカップリング論というのがありました。NATO(北大西洋条約機構)に対して、ソビエトが米国を破壊できれば、NATOに対して攻撃があった後、自分たちの国を犠牲にして報復しないのではないかという議論。同盟にくさびを入れる。いわば、そこまで日米同盟は強固なものですよ。平和安全法制もあって」

 「しかし、この状況まで彼らが来てしまったわけですから、これは絶対に認めるわけにはいかない。もうすでに公開されている情報の中において、十分に私は国難だと思います。これ以上、北朝鮮に挑発をさせない。今ここで政策を変えさせなければ、これは日本も世界も大変なことになっていくと思っています」

--米国はさまざまな選択を考えている。米国がどうしようとしているのかということも、かなり入っているのか。そこを明らかにするのも大変かもしれないが、そうしないとなかなか理解を得られない

 安倍氏「これは日米同盟の能力も含めた防衛力そのものに尽きますから、相当のやり取りをして、緊密なやり取りをしております。(米軍制服組トップの)ダンフォード統合参謀本部議長も来られました。あるいは太平洋の司令官も来られた。あるいは陸軍の参謀総長も来られて、相当長い間、私も話をし、防衛相も話をし、こちらの政府のトップとも長い話をし、相当の打ち合わせをし、緊密に対応を詰めています。日本の立場もしっかりと説明をしています。その意味においては、完全に日本と米国は百パーセントともにあるといってもいいんだろうと思います」

 「その中で、北朝鮮は残念ながら、今までこちら側が善意をもって話し合いをしてもうまくいかなかった。安倍政権においても、北朝鮮と話し合いをしたこともあります。ストックホルム合意をしています。しかし残念ながら、それも裏切られています。あの時も制裁を一部解除していますが、だからこそ米国の力を中心に、国際社会が連携して、北朝鮮に圧力をかけて、彼らから『政策を変えるから話し合いをしましょう』という状況を今こそ作り上げなければならないと考えています」

--圧力路線の行き先が見えない。その有効性にもささやかな疑問がある。拉致問題は小泉純一郎政権が1年間じっくり外交的な解決を図って、5人の拉致被害者家族の奪還に成功したが、安倍政権下では実績が挙がっていない。そういうことを考えても、圧力は大事だが、圧力をかけながら、水面下で外交的解決を図る努力が必要だ。そういったことをしているのか

 安倍氏「水面下というのは水面下ですから、いまここで水面下の努力をしているということは全く申し上げることはできません。やっているにしろ、やっていないにしろですね。そして事実認識の問題なんですが、小泉政権のときは、あの年、ブッシュ米大統領が一般教書演説をし、悪の枢軸ということで北朝鮮を名指ししました。名指ししたんですよ。私は当時、官房副長官でした。私たちからですね、何か援助するということは一切しなかった。それまでやってきたことは、しなかったんです。この米国の圧力、ある意味では軍事的圧力に北朝鮮は相当、狼狽(ろうばい)します。そして日本に、いわば米国との話し合いも含めて話を持ってきたんです、実は。もうその年のかなり早い段階から。私は、いろんな資料で分析していますから。つまり、これは圧力の成果であるといえるのだろうと思いますし、2003年に中国が北朝鮮に石油の供給を止めたことによって、6者協議の場に戻ってきたという事実もありますから、圧力が意味がないということは全くないということは申し上げておきたいと思います」

--原発について希望の党の小池百合子代表に質問する。小池氏は原発ゼロを目指すと述べた。核燃料サイクルもやめると明言すれば本気だと思う人がたくさんいると思う。もともと小池氏は原発を否定していなかったと皆さん受け止めているので、核燃料サイクルをここでやめると述べるか

 希望の党・小池百合子代表「私はこれまで気候変動の観点から、安全性が確保されるのであるならばという前提をつけた上で、この原発ということについては容認してきました。そして一方で、3・11の福島第1原発事故の後の対応をみておりますと、これは大変なことだということを改めて感じたところでございます。今後どのようにして原子力の技術を日本に残していくのかということも重要なことでございまして、研究の部分と、それから今お話のあった今後の核燃料サイクルの存続否かという点、これは総合的に考えていくべきだと考えております。むしろ今後は、廃炉ビジネスということが日本の原子力に関しての大きな役割となって、世界中の原発もかなり老朽化していくわけでございますので、そういったところで原子力技術ということを生かしていく。全部なくしてしまうということは、その技術者を育てないということにもなりますので、よって総合的に考えたいと思っております」

--連立の枠組みについて安倍氏にうかがう。自公で過半数と言っているが、もちろん過半数を割れば辞めざるを得ませんね。過半数ぎりぎりの場合でも大変だ。当然ながら連立、大連立というのも考えなければいけない。そうすると、今から備えをしていく必要がある。希望の党、日本維新の会という具合になるのだろうが、どう考えているか

 安倍氏「今まさに起こっていることは、当選するために新しい党を作ったり、合従連衡。今われわれは選挙にあたって、愚直に、まさに誠実に政策を訴えていく。この(自公)連立政権において、政策を訴えていく。そしてこの政策を実現するためには、過半数をいただきたいということを申し上げております。ですから、私たちは脇目もふらずに、愚直にまっすぐに政策を訴え続けていきたいと考えています」

--自公で過半数というと、自民党の議席だけをとっても、80議席以上減らないと過半数割れはしない。しかし一種、相場観というか、永田町を歩いていると、やはり50議席(減)が安倍退陣のひとつのメドじゃないかというような声を聞く。それはなぜかというと、今回の解散は安倍氏の、安倍氏のための、安倍氏による解散だと。安倍氏の森友隠しがその原因、ひとつの大きな背景になっているということを自民党の中でも考えている方が結構いると思う。もし安倍氏が50議席減になったときに、なお政権に居座るつもりか

 安倍氏「この選挙は、政権選択の選挙であります。過半数を取った勢力が政権を取る。つまり、私たちは過半数を維持すれば政権を継続してまいります。そして私がいわば自民党の総裁として、過半数を取れば当然、首相指名を受ける候補として出ています。世界中そうですが、その選挙の結果を受けて過半数を取ったほうが、いわば選挙に勝利をした。過半数を取れなかった勢力は、これはよく頑張ったといわれても、政権を取れなければ敗北であります。私は前回、前々回、これはもう国民の皆さまに本当に大きなお力をいただき、幸いにも大勝利を果たしました。しかし自民党は今まで240前後の議席しか、なかなか取れてこなかった。そして今回は10議席、定員を減らした中における選挙であります。当然、いつも私は申し上げているように、2014(平成26)年もそうでしたし、小泉政権のあの郵政選挙でも、自公で過半数を掲げて選挙を戦っています」

--最後に小池氏にうかがう。いろんな報道があるが、最初にお聞きした首相候補を出していない。これは10日の公示前には出すということか。それとも出さないのか。もうひとつ、自民党の石破茂氏の名前も挙がっているが、そういうことはあり得ないか

 小池氏「後半のご質問については、これは今、石破氏は自民党の方でございますので、その選択肢ということについては…」

--大連立になった場合だ

 小池氏「大連立…、いえ大連立する、私どもは今、この安倍1強の政治において、緊張感をもっともたらす、そしてまたお友達政治、しがらみ政治、これをただしていくという意味での選択肢を提供させていただいている、戦っている、戦うわけでございます。そういう中において、今後どうなるのかというのは、これは、まずしっかりと戦い抜くというのがまずあって、そしてその結果としての判断ということになろうかと思います。ただ基本的には、安倍1強政治を変えていくというのが、私どもの大きな旗印であるということは強調しておきたいと思います」

--小池氏に確認だが、安倍1強を倒すということであれば、立憲民主党のところに対立候補を立てないという戦術もあったと思う。それをしないのは、なぜか

 小池氏「それは有権者の皆さま方に選択肢をお示しをするということでございます。いま考えてみますと、ゴルフ場でいうならば、右と左があって、ちょうど真ん中が抜けているということでございますので、私はそう考えておりますので、そのフェアウエー、ど真ん中として有権者に選択肢を出させていただきたいと考えております」

--野党の票が割れるというのは、結果として自民党を利するだろうという考えはあった上でか

 小池氏「いろいろと足し算、引き算あるかと思いますけれども、今の有権者のみなさま方のご判断というのは、ただ単に足し算、引き算ではないと信じております。さもなければ、私の都知事選での勝利はございませんでした」

(了)



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