2017年10月09日

与野党8党首討論会 日本記者クラブ(全文掲載・その2)

 《第1部に続き、日本記者クラブ代表者からの質疑》

--最初は政治の基本姿勢について各党へうかがいたい。まず安倍さんにうかがう。首相の解散権の問題だ。解散は議員の首を切ることだから、明確な理由がないといけない。今度の場合は大義なき解散という批判がある。一方で、これは政権を審判すること自体が大義だという意見もある。安倍さん自身は首相の解散権は一切縛られるべきではないと。あと決めるのは首相自身だと、それくらいにお思いか

 安倍氏「解散権自体は首相というより内閣にあるわけで、内閣が一致しなければ解散はできないということになります。しかしこの解散というのは私も含めて、与党の議員全員が信を問わなければならないわけで、つまり解散にならない限り絶対に政権交代は起こらないわけです。解散をするからには私たちは政権交代するかもしれないと。私たちの方が今議席が多いわけですから、そういうリスクをあえて取る以上、しっかりと国民の皆様に説明できる理由がなければならないと考えています」

--今回の解散は理由があったということか

 安倍晋三首相(自民党総裁)「まず1つはですね、先程申し上げました北朝鮮の脅威であります。先般、国連(安全保障理事会)決議、採択をされました。そして採択された決議によって重油、石油製品3割、これが輸出制限されていきます。だんだん厳しくなっていきます。つまり時がたつとだんだん事態は緊張していく可能性もある。これに応えなければ、さらにもっと事態が緊張していく。さらなる圧力が必要になってくるわけでありますが、11月に(米国の)トランプ大統領が訪日をし、またAPEC(アジア太平洋経済協力会議)、EAS(東アジア首脳会議)の会合があり、その場で(中国の)習近平(国家)主席や(ロシアの)プーチン大統領とも話し合うということになるかもしれませんが、その前にしっかりとですね私たちの方針、しっかりと圧力をかけていくということをですね、国民の信を得て、そして強い外交力、外交力には国民から信任されている、この強い外交力になります。これは私の4年半の経験でございます。そうしたことに対していきたいと思いますし、
 もう1つはですね、やはり税金の使い道、税こそ民主主義でありますから、これは私たち一貫をしております」

--それにしても勝てると思って踏み切ったんでしょうけれども、その後は安倍さんにとっても予想外の展開だったか。解散しない方がよかったのかなあという気持ちか。正直な気持ちは

 安倍氏「政治というのはですね、大切なのは情熱と判断力と責任感だと思っております。そこで政策をしっかり前に進めていこうというですね、強い情熱を持っていなければならない。そして時には難しい判断を果断にしていく判断力が必要でありますし、そして同時に責任、この政策を実行していこうという責任感だろうと思います。そのいわば、この3つの点から言っても、今回の判断についてですね、揺らぐことはありませんでした」

ー-衆院選は政権選択選挙だ。どの党が政権を取るのにふさわしいか、そして首相候補は誰かということを目に見える形で示すことで国民の審判を仰ぐと。こういうことなんだが、(希望の党は)依然首相候補を挙げられないでいる。これはフェアでじゃないとも言える。なぜ出せないのか。出さないつもりか

 希望の党・小池百合子代表「希望の党、新しくできたばかりでございます。現在、私、代表ということでございまして、党の体制ということを整えていくということが1点。これからの選挙においてですね、現在無所属の方の参加の見込みもあるということでございます。ということから、今後の選挙の結果ということを見ながら進めていくということになろうかと思います。今、過半数が233ということでございますが、私どもは安倍1強、これを正すために有権者の皆さん方に選択肢をお示しするという意味で今、候補者の最終調整に入っているところでございます。233、候補者をそろえたから全員当選というわけではございませんが、最後の努力をしているところでございます。政権を目指すということは1つ、大きな私どもの目標でございます」

--いやいや、首相候補は選択肢を示していないが

 小池氏「それはですね。皆さま方のこの選挙の結果ということを踏まえながら考えていきたいと思っています」

--自民党と連立を組んで20年間経過している。安倍政権の5年近くで公明党がどんどん右に引き寄せられているのではという声が聞こえている。安保法制(安全保障関連法)しかり、共謀罪(テロ等準備罪)しかり。このあたりはどう考えているか

 公明党・山口那津男代表「公明党としては政権の進むべき方向性について、公明党がいるから健全なチェックをし、そして合意を作りだす。意見の違うことについて合意を作り出す。右か左か、まあ左に立っている人は右に見えるでしょうし、右に立っている人は左に見えるでしょうし、相対的なものである。しかし、もっと日本が直面する課題について、どう乗り越えていかなければならないか、客観的な観点で健全なチェックをしながらやってまいりました。例えば平和安全法制で言えば、現行憲法のもとで専守防衛の理念を曲げないで、そして憲法の下で許される自衛権の限界ギリギリに議論を深めて、そして法制を作った。これはむしろ厳しい要件を課して憲法の規範性や実効性を確保したのは公明党の深い議論があったからだと自負しております。これからもこの姿勢は変わりません」

--最近の共産党は当面は天皇制も認め、自衛隊にもしばらくの間、合憲とすると言った。かつての共産党からするとすいぶん変わったような印象を受ける。なぜか

 共産党・志位和夫委員長「これはですね、2004年に党綱領を全面改定しました。その時に今の天皇の制度の問題、かなり踏み込んで改正を行いまして、かなり現実に即した対応ができるような整備をやりました。ですからこの綱領が基になっております。綱領で、もう先程述べた自衛隊の段階的な改革の問題、あるいは天皇についてはですね、私たちは民主共和制ということを目指す立場に立つけれども、そのための運動をやったり戦ったりするんじゃないと。決めるのは国民ですよと。熟したときに国民が存廃の是非を決めるんだと。ということで、これは国民が決めることだと。ですからこの綱領改定で私たちは非常に原則を守りながら幅のある対応できるようになったと考えております」

--言葉を変えれば、前はあんまり良くなかったと。間違っていたということか

 志位氏「いやいや、それはやっぱり時代の発展とともに私たちも変わるべきところは変わると。それからこの間の共闘について言えばですね、2015年9月に安保法制が強行されて以降ですね、これもそれまでは私たち単独で国政選挙をずっと戦うというふうにやってきましたけれども、やはりこれはね、ここで変わらないといけないと、私たちも変わらないといけないということで、方針も変えてですね選挙協力やりながら戦うという方針に変えていきました。協力しなかったら政治は変えられませんから」

--大阪と東京で希望の党で住み分けをしてしまったことによって、日本維新の会は関西の政党、大阪の政党という枠組みがはめられてしまった。全国の広がりが変えちゃうんじゃないかという批判は

 日本維新の会・松井一郎代表「希望の小池都知事の政策を拝見すると、われわれが5年前から掲げていたことを非常によく研究いただいて参考にしていただいていると。政策が一致しておりますから、大阪と東京で無駄な争いを避けて、政策を全国に広げていこうと。そのためには東京というところは全国で発信する力がありますから。大阪でも発信してきましたけれども。メディアの世界でもキー局は東京ですから。われわれがやっている、実際に実現していることを東京からも目指していただいて、発信することで日本中で地方分権と、身を切る改革、そういうものを実現していきたいと。こういう思いで連携をしているということです」

--維新にとってはプラスだと

 松井氏「政党にとってプラス、マイナスよりも、われわれはこれからは地方分権がこの国には必要だと思っていますから。少子化、超高齢化人口減少社会、やはり地方が、もっと言うならば町村に権限が移る。身近なところで物事が決められる。そのためには中央、霞が関に対してのさまざまなプレッシャーをかけていかないと。これ、分権というのは権限を奪い取るですから。これはお願いだけでは変わっていきません。それを実際にやるためには、政治のパワーが必要であるということで都知事と実際のそういう分権改革を全国に広げていきたいと。こういうことです」

--ぎりぎりのところで第三極を作ったということについては一定の評価が出ていると思うんですけど、そこに至るまでが先ほどもあったけどね、(希望の党と民進党が)丸ごと合流するつもりがなかった流れに対してですね、それを丸ごとと勘違いして二転三転したというですね、一種の脇の甘さが出てきたと思うんですね。その脇の甘さを、枝野さんどうやって克服していくのか。もう1つ、枝野さんが今度新しいちょっと、話を打ち出した中にね、例の沖縄の(米軍普天間飛行場の名護市)辺野古(への移設)の問題ありますよね。この辺野古をゼロベースから考えるということを言い出した。ちょっとこれは新味の話なんでね。その辺の真意、2点について短縮してお願いします

 立憲民主党・枝野幸男代表「前原(誠司・民進党)代表が小池代表と話をされて、どういうお話をされた上で、両院議員総会にはかられたのか等について私は直接承知をしていませんし、ただ、代表選挙でとにかく党一致結束してやっていこうと、その1カ月以内に、代表から民進党の理念・政策を希望の党で実現をする、これ党大会、ええ両院総会で代表に明確におっしゃいました。みんなでまとまってやっていこうと決めた直後でありますから、その代表の言葉を一定期間信じて、様子を見るというのはこれはむしろ組織人として当然のことだと思います。ただし…」

--正直、前原さんにだまされた

 枝野氏「私は、民進党に残った方について、出ていった立場から何か申し上げるべき立場ではないというふうに思っています。それから沖縄の問題については、私は検証を行うと。これまでの経緯、あるいは現状の安全保障環境についての検証をゼロベースで行う。若干、過剰期待をいただいているかもしれませんが、今すぐに今の方向性を変えられるような材料を持っているわけではありません。ただ、進め方については、こういう強引なやり方では、むしろ日米安全保障にも悪い影響を与えると。今後のことについては検証を始めるということであります」

--社民党の位置を見ますとね、共産党、それから立憲民主党に非常に近いんですね。そうなりますと、今度新たに立憲民主党ができたことによって、いったい社民党の存在理由は何なのか。一緒になった方がいいのかなと思ったりするんですよね。これについてこれからの展望はどうですか

 社民党・吉田忠智党首「はい、立憲民主党ができてですね、今、沖縄の話もありましたけども、だいぶ社民党の政策に近づいてきたなという実感はございます。今、3党で住み分けをしても240いくつ、なんとか住み分けできる方向になりました。まずは住み分け、連携強化をして、3党で結束して、やっぱり憲法改正国民投票発議できないような3分の1以上、3党プラスアルファでとりましょう。そしてその上でですね、またどういう連携ができるのかそれはしっかり議論していきたいと思います」

--政党に対して、あなたの存在理由は何かと聞くのは非常に失礼な話なんですけども、あえて聞かなければならないのは、自民党を支援していますよね。だったら一緒に、自民党と一緒になったらどうですか

 日本のこころ・中野正志代表「ありがとうございます。私たちは、日本のこころという政党を結党させて、今は1人ですけれども、やっぱり日本のこころという意地があるじゃないですか。やっぱり結党の初心、これを大事にしたい。ですから最後まで戦いはしたい。その気持ちで比例に出馬をさせて戦いを進めております。自民党とはあくまで今、参院で統一会派ということです」

--次は経済政策についてうかがいたいと思います。まずは安倍首相にうかがいたいと思います。遊説では雇用185万人増えた、あるいは企業収益も最高であるというような話をされているんですが、一方では賃金がなかなか伸びない。それから将来不安もあるんで、なかなか消費ができないんだよという声も結構あります。アベノミクスも長くこうやってきましたけど、機能不全に陥っているのじゃないかという声もありますけど、どういうふうに答えますか

 安倍氏「アベノミクスに対してさまざまなご批判があります。われわれそういうご批判も真摯(しんし)に受け止めたいと思います。ただ批判する方でですね、代わりにこういう政策を、と言った人をほとんど私は見ていません。かつですね賃金について言及されましたが、今世紀に入って4年連続過去最高、今世紀最高水準の賃上げが続いています。そしてまた最低賃金を見てみましょうか。この4年間で100円上がりました。4年間で100円上がったというのはこれ過去最高と思ってもいいんだろうと思います。ですからパートで働いている皆さんの時給はこれは間違いなく過去最高であります」

「そしてなによりも大切なことはですね、高校を卒業する、大学を卒業する皆さんにとって仕事があるということなんですね。かつては、どんなに頑張ったってなかなか仕事につけなかった。しかし今はですね、まさに選べる時代になってきた。高校も大学も卒業をした皆さん、今年の4月過去最高水準になっていますし、4〜6(月期)はですね、4〜6のGDP(国内総生産)は内需主導の消費、そして設備投資、内需指導のいわば成長になっています」

--次は財政ですけれども、自民党の公約では基礎的な財政収支の黒字化をする目標を堅持すると書かれているわけですけども、首相が新しく示された今度の消費税の増収分を教育無償化等にあてていくということ、それはポジティブな政策の打ち出しだと思うんですが、一方でそれは実は借金を減らしていくというものを、ある意味今までよりはかなり減らしていく部分を少なくしてしまうと。そういう意味で言うと赤字の増加要因になってしまうという部分もかなりあるんだと思います。いずれにしましても2020年という目標をなくしたとういことであるならば、それ、一方で堅持するというのであるならば、いつまでにですね、これは目標達成するんだというのを示さないと、国民からすると無責任というふうに読まれるんじゃないかなと思いますが、そのへんはいかがでしょうか

 安倍氏「ありがとうございます。われわれもですね財政健全化努力を積み重ねてまいりました。国債の新規発行は10兆円まで削減をしました。なぜそれができたかというとですね、私たちの経済政策で22兆円税収が増えたからであります。同時に無駄遣いをなくしている。社会保障費、毎年1兆円伸びていくといわれているものをですね5000億円以下に圧縮しています。小泉(純一郎)政権の時にですね、毎年2200億、私たちの半分なんですが、これはしかし5年間できなかった、3年間しか。それをできなかったのをですね、われわれは連続で3年連続で5000億円以下に圧縮をしております。そうした努力は続けていく。しかし、今回のですね、消費税の使い道を変えますから、2020年のGDP、あのPBをですね、プライマリーバランスを黒字化することはできませんが、われわれはこの目標を掲げていく考えであります。で、いつまでにということはですね、これはしっかりと数字等を精査しながらその目標を掲げていきたいと考えています」

--今打ち出すことはできないと

 安倍氏「現段階では十分に材料がそろっておりませんから、お示しをすることはできませんが、必ずこれは示してまいります」

--それからまた確認といいますか、2019年10月に消費税を上げると。その税収増加分を使って教育の無償化等に充てていくというお話だと思うんですが、一方で経済が大幅に悪化したときには増税はやはりできないだろうという話もされています。これ、増税をしなかった場合は、その無償化という今回の選挙でもいろいろ公約されているわけですけども、これはないという前提でよろしいんでしょうか

 安倍氏「それはそういうことになります」

--年末までに2兆円という新しい経済政策を出すということですが、これはその分を使って、増収分を見こしてやっているというものと違うんでしょうか

 安倍氏「この2兆円ですが。2兆円はですね、大層は消費税引き上げ分の使い方を変えることによって充てていくということになります」

--決まらないとやらない。実際に増税されない場合はそれはなくなっちゃうということか

 安倍氏「私たちはですね、社会保障費、これは安定財源でなければなりません。ですから消費税が一番ふさわしいとこう考えています」

--安倍さんね、安倍さんがほら、過去2回ね、消費税増税を先送りして、今回も使途変更でよね。使途変更というのは財政健全化から見るとこれも赤字国債出さないから、これも一種の先送りだ。それで、安倍さんは選挙の度にそういうことをされるということはね、消費税を選挙の道具に使っている気が私はいたします。過去の自民党政権を見ると、大平(芳正元首相)さんも、中曽根(康弘元首相)さんも、竹下(登元首相)さんも、国民が、現役の国民が負担すべきものをね、自分たちが負担しようという形で率直に国民に負担を求めて、そして死屍累々(ししるいるい)の歴史を送ってきた時代を振り返るとですね、安倍さんのやり方って自民党的には邪道だと私は思っているんですけども。それについて究極のポピュリズムだと思いませんか、人気取り政策だと思いませんか

 安倍氏「そういう批判をされる方がおられることは承知をしています。しかしすでに安倍政権でですね、5%から8%へ引き上げております。大切なことは何かということを申し上げておきたいと思います。大切なことは、しっかりと経済を成長させていくことであります。この経済がですね、腰折れしてしまって、世の中に失業者があふれて若い人たちが就職できない。そして税収が落ちていけばですね、税収が落ちていけば、当然財政再建なんかできない。経済を再生させていく、経済を成長させていくことによって、はじめて税収は本格的に増えていきます。ずーっと見ていただければですね、名目GDPが伸びているときに税収は増えています。それをしっかり見ていかなければ、間違えます。ですから私たちはしっかりと経済を見ながら、消費税を上げるべき時には上げています。しかし、上げるべきでないときには正しい判断をして上げていないんです。でも税収が落ちていますか。税収は増えているんですよ。ですからちゃんと使っている。ですから、同時にですね、使い道を変えるときには、あるいは税で大きな判断をするときには国民の信を問うているということでございます」

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shige_tamura at 09:32│Comments(0)clip!ニュース 

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