2013年12月05日
ピレー国連人権高等弁務官の記事はこうして作られた!!

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「何が秘密を構成するのかなど,いくつかの懸念が十分明確になっていない」
「国内外で懸念があるなかで,成立を急ぐべきではない」
「政府が不都合な情報を秘密として認定するものだ」
「日本国憲法や国際人権法で保障されている表現の自由や情報アクセス権への適切な保護措置」
――といった「ピレー国連人権高等弁務官による特定秘密保護法案に関する発言」は酷い。
氏は、どうしてこんな発言をしたのか。
それは、日本のマスコミ(記者)が、わざわざ酷い質問したからだ。
よく、韓国・中国の高官の発言で問題になる手口と今回も同じだ。
ピレー国連人権高等弁務官による発言にかかる経緯及び内容は、こうだ。
同高等弁務官の記者会見は、12月10日の世界人権デーに先立って12月2日に行われたものであり,過去1年間の人権理事会及び国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)の活動,世界各地の人権状況について言及したもの。
今回の会見では,冒頭,同高等弁務官は,シリアの人権状況及び北朝鮮における人権に関する国連調査委員会(COI),スリランカの状況等について取り上げた後,日本のメディアの記者の質問に答える形で今回の発言を行った。
ピレー人権高等弁務官記者会見概要(12月2日:秘密保護法案関連部分)
(注:本件やりとりは質疑応答部分において邦人プレスの質問に答えて行ったもの。)
(日本経済新聞 原克彦氏)
最近,複数の特別報告者が(日本の)国会にて現在審議中の新しい秘密保護法案に関して懸念を表明した。貴高等弁務官は,言論の自由に関連し,この懸念を共有しているか伺いたい。
(共同通信ライオネル・ファトン氏)
原氏の質問に加え,法案が現在既に基本的に策定されていることを踏まえ,日本において情報に関する表現の自由を確保するために法案の修正を求めるかについて質問したい。
(ピレー高等弁務官)
日本の特定秘密保護法案に関して,日本においては,本件法案が表現の自由と情報へのアクセスに及ぼす影響について議論されており,これらは自分のマンデートに含まれる重要な事項であることから,状況を注視している。そして,何が秘密を構成するかについて,十分な明確さがないことについて若干懸念が示されている。
このため,事実上,政府は自らにとって不都合な情報を秘密指定することが可能となっている。今次法案においては,秘密を漏洩した公務員は10年以下の拘禁刑に処せられる可能性がある。本件法案は衆議院を通過し,現在参議院にて審議中である。2名の特別報告者は深刻な懸念を示すとともに,当該法案について引き続き検討している。私は,日本の政府及び立法府に対し,国内及び国際的な懸念に耳を傾けることを促したい。日本政府及び立法府は,日本国憲法及び国際人権法によって保護される情報アクセス権及び表現の自由の適切な保護措置をまず整備することなしに,法案の国会通過を急ぐべきではない。
エドワード・スノーデン氏による暴露の後,ますます多くの国々が立法を開始しつつある中,人権理事会もまた本件を取り上げていることを嬉しく思う。我々は5日(木),情報アクセス権とそれに対する制裁の問題について,セミナーやイベントに参加し,記者ブリーフを行う予定である。
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ということで、特定秘密保護法案を反対するメディアが報道した。
こんな質問すれば、誰でも「それは酷いね」となる。ピレー氏は、特定秘密保護法案に内容をよく知らないからね。
それで、以下の記事なった。
その後、日本政府関係者が、氏に「日本政府の説明を聞くこともなく、先般の発言をしたことは遺憾である」旨を伝えた。
これに対し,ピレー人権高等弁務官より,「説明に感謝する。」と。
日本の報道はこうだ。
朝日新聞デジタル版(2013年12月3日付)
国連人権高等弁務官「急ぐべきでない」 秘密保護法案
【ジュネーブ=野島淳】国連の人権保護機関のトップ,ピレイ人権高等弁務官が2日,ジュネーブで記者会見し,安倍政権が進める特定秘密保護法案について「何が秘密を構成するのかなど,いくつかの懸念が十分明確になっていない」と指摘。「国内外で懸念があるなかで,成立を急ぐべきではない」と政府や国会に慎重な審議を促した。
ピレイ氏は同法案が「政府が不都合な情報を秘密として認定するものだ」としたうえで「日本国憲法や国際人権法で保障されている表現の自由や情報アクセス権への適切な保護措置」が必要だとの認識を示した。
同法案を巡っては,国連人権理事会が任命する人権に関する専門家も「秘密を特定する根拠が極めて広範囲であいまいだ」として深刻な懸念を示している。
日本経済新聞電子版(2013年12月3日付)
国連人権高等弁務官,特定秘密保護法案に懸念
【ジュネーブ=原克彦】国連のピレイ人権高等弁務官は2日の記者会見で日本の特定秘密保護法案について「秘密の要件が明確でない。政府がどんな不都合な情報も秘密に指定できてしまう」と懸念を表明した。「日本の憲法が保障する情報へのアクセスと表現の自由を担保する条項を設けないまま,急いで法案を成立させないよう政府と議会に呼び掛けたい」とも語った。
ピレイ氏は法案が衆院を通過したことについて「状況を注視している」と強調した。国連人権高等弁務官事務所は11月22日に,言論の自由などを担当する特別報告者2人が,告発者やジャーナリストへの脅威を含むとして法案に「重大な懸念」を表明したと発表していた。
毎日新聞電子版(2013年12月3日付)
秘密保護法案:国連人権高等弁務官「秘密の定義が不明確」
国連のピレイ人権高等弁務官は2日の記者会見で,日本の特定秘密保護法案について「『秘密』の定義が十分明確ではなく,政府が不都合な情報を秘密扱いする可能性がある」と懸念を表明した。
ピレイ氏は「日本の憲法や国際人権法が定める情報へのアクセス権や表現の自由に対する適切な保護規定を設けずに,法整備を急ぐべきではない」と指摘。「政府と立法府に対し,国内外の懸念に耳を傾けるよう促す」と述べた。(共同)
――といった記事になりました。
これに対し、日本政府の対応は、
現地時間12月3日(火),在ジュネーブ国際機関日本政府代表部大使よりピレー人権高等弁務官に対し,本法案の概要及び衆議院における主な修正点について説明した上で,法案は日本国憲法及び自由権規約にも整合したものである旨説明。当事者である日本政府の説明を聞くこともなく、先般の発言をしたことは遺憾である旨を伝えた。
これに対し,ピレー人権高等弁務官より,概要以下のとおり述べた。
・説明に感謝する。
・衆議院での審議によって,法案に日本国憲法との整合性を持たせるべく修正が施され,国会がチェックアンドバランスの役割を果たしていることを評価する。
・法案の内容については自分も更に検討した上で,更なるコメントがあれば連絡したい。
――ということだ。
マスコミは怖いね。
こうした日本を辱めたいマスコミがいるから、他から日本が批判されるのだ。
マスコミは、こうして自ら都合のいいよう発言をさせ、記事をつくるのだ
【参考】国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)
1.設立・沿革
国連人権高等弁務官(OHCHR:United Nations High Commissioner for Human Rights)のポストは,1993年6月の世界人権会議の最終文書として採択された「ウィーン宣言及び行動計画」の勧告に基づき,同年12月20日の第48回国連総会決議48/141により創設された。人権高等弁務官事務所は,同弁務官を長とし,国連事務局の人権担当部門として機能する。
2.組織・任務
(1)人権高等弁務官事務所は,ジュネーブに本部を置き,職員数1,069名(2012年末現在)より構成される。人権享受の普遍的な促進,人権に係る国際協力の促進,人権に係る国際的基準の普遍的実施等の促進などを任務とする。ジュネーブの本部事務所の他,ニューヨークに連絡事務所,世界約59か国・地域に事務所その他のフィールド・プレゼンスを有している。
(2)人権高等弁務官は,国連事務次長の地位を有し,国連事務総長の指揮及び権能の下で,国連の人権活動に主要な責任を有している。任期は4年で,再選は1回のみ可。初代はアラヤ・ラッソ氏(1994-1997,エクアドル国籍),2代目はメアリー・ロビンソン氏(1997-2002,アイルランド国籍),3代目はデ・メロ氏(2002-2003,ブラジル国籍。バグダッド国連本部爆破事件により死去したため,その後約1年間ラムチャラン副高等弁務官が代行),4代目はルイーズ・アルブール氏(2004-2008,カナダ国籍。元カナダ連邦最高裁判所判事),5代目はナバメセム・ピレー氏(2008年9月〜,南アフリカ国籍,元国際司法裁判所判事,再選され2012年9月以降2期目に入った)。