2013年05月31日

新「防衛計画の大綱」策定に係る提言(全文、その1)自民党国防部会・安保調査会

日本本












『日本の防衛政策』(田村重信編著、内外出版)『日本の防衛法制』(田村重信他編著、内外出版)を出版。この二冊とも増刷となりました。
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 昨日の自民党国防部会・安全保障調査会で決まった
 新「防衛計画の大綱」策定に係る提言(全文) 
 です。


                        平成25年5月30日

  新「防衛計画の大綱」策定に係る提言
    (「防衛を取り戻す」)
                        自由民主党政務調査会
                           国防部会
                          安全保障調査会
一 はじめに

「平成23年度以降に係る防衛計画の大綱」が策定されて以降、わが国周辺においては、北朝鮮が弾道ミサイル発射や核実験を強行し、また、中国がわが国周辺海空域において活動を活発化するなど、わが国を取り巻く安全保障環境が次第に悪化しつつある。
また、わが国においては、広域にわたり大規模かつ激甚な被害をもたらし未曾有の大震災となった一昨年の「東日本大震災」に際して、自衛隊は10万人を超える態勢で大規模な活動を行い、貴重な教訓を得た。
一方、わが国の同盟国である米国は、財政難に直面しつつもアジア太平洋地域への軍事リバランスを指向し、同盟国等との連携の強化を図っている。
政治の要諦は国民の生命と安全を守り、国家の独立と平和を堅守することにある。国家の主権、国民の生命・財産、領土・領海・領空を断固として守り抜くため、我々は、わが国自身の防衛力を今後想定される内外のあらゆる事態に迅速かつ機動的に対応することができるものとする必要がある。同時に、日米同盟を一層強固なものにし、同盟の枠組みにおけるわが国の果たすべき役割や任務を今まで以上に拡大していかねばならない。その上で、わが国の安全保障政策を諸外国に丁寧に説明することにより、アジア太平洋地域の相互理解を推進し、もって地域の平和と安定に資するよう対応していくことが重要である。
わが党は先の政権公約において、防衛費を増額して防衛力を「質」「量」ともに充実強化させていくと同時に、現下の安全保障環境に即応できる強固な防衛態勢を構築していくため、現行の「防衛大綱」の抜本的見直しを行うことを国民に約束した。
  昨年暮れの総選挙の結果を受けて誕生した安倍政権は、目下、新たな大綱策定へ向けての検討を開始しているところであり、廃止した「中期防」も含め本年中に結論を得るとされている。そこで、わが党においても、新大綱策定に向けて必要な提言を行うために、これまで精力的に検討と議論を重ね、わが党の安全保障に対する考え方を取りまとめた次第である。

二 わが国を取り巻く安全保障環境

1.国際情勢
現在、国際的な安全保障環境は「多極化」の時代を迎えている。
中国、インド、ロシア並びに東南アジア諸国など、わが国にとって重要な国々の国力が増大したことに伴い、経済及び安全保障面で多くの変化がみられる。特に軍事面では、中国などが、経済発展に伴って急速に軍事力の増強と装備の近代化を図っている。
一方、リーマンショックに端を発した金融危機以降、米国や欧州諸国では財政事情の悪化から国防費の削減を迫られており、結果としてグローバルな軍事バランスに大きな変化が生じ、潜在的な不安定要因を抱える多極化した安全保障環境が生じつつある。
また、経済面を中心とする国家間の相互依存関係が進展した結果、主要国間の本格的武力紛争が生起する可能性は低下しているものの、「グレーゾーン」の紛争は増し、特に経済権益として潜在的利用価値の高い海洋において各国の主権が対立する状況が増えている。国際テロ、大量破壊兵器やその運搬手段である弾道ミサイルの拡散、海賊行為、パンデミック、気候変動がもたらす様々な安全保障上の課題などのトランスナショナルな脅威も引き続き継続している。さらに、海洋、宇宙、サイバー空間など、新たな領域におけるリスクが年々顕在化しつつある。
    このように、21世紀初頭におけるグローバルな安全保障環境は、多様性・複雑性の度合いを増している。

 2.わが国周辺の情勢
    わが国周辺においても、重大な不安定要因が継続している。
北朝鮮は、権力継承後においても、引き続き弾道ミサイルや核兵器の開発に全力を挙げ、軍事・外交上の様々な挑発行為を継続するなど、地域における最大の不安定要因となっている。
中国は不透明な形で国防予算を20年以上にわたり大幅に増大させており、新型水上艦艇・潜水艦の拡充や空母の就役、ステルス戦闘機の開発など、急速な装備の近代化を図っている。また、東シナ海や南シナ海などでの活動の活発化が顕著であり、自国の主張を高圧的な姿勢で推し進めるなど、わが国を含む周辺諸国にとって大きな懸念要因となっている。
ロシアも、近年、極東方面での軍事活動を引き続き活発化させているなど、東アジア地域には重大な不安定要因が継続して存在しており、わが国を取り巻く安全保障環境は以前に比べ、むしろ悪化しつつある。
    こうした状況下、国内における大規模震災を含め、複数の事態が同時に生起するいわゆる複合事態発生の可能性についても十分認識しておかねばならない。

3.国内状況等
 わが国は周囲を海洋で囲まれている海洋国家であり、食料・エネルギーを始めとする多くの物資を海上輸送に依っていることから、海上交通路及びわが国周辺海域の安全を確保することがわが国の安全保障上必要不可欠である。
また、わが国は、世界有数の地震大国であるなど、その地理的特性として自然災害が多く、都市部に人口、産業、情報基盤等が集中し、沿岸部に重要施設を多数有するという脆弱性を抱えている。東日本大震災における自衛隊の活動は国民の間で極めて高く評価されているが、引き続き大規模自然災害などへの対応にも万全の体制を持って備える必要がある。
 わが国の国家財政は依然として厳しい状況にあるが、「国防」はわが国の独立と平和の基盤をなすものであり、また近年の安全保障環境の悪化を受けて、国民の自衛隊に対する期待はかつてなく高まっていることから、厳しい財政事情の下であっても、防衛関係費については所要額を継続的に確保していく必要がある。
 
4.安全保障政策の基盤となる重要課題
今後のわが国の安全保障政策策定の基盤となる重要課題は広範多岐にわたっている。具体的には「国防軍」の設置を始め、わが国における国防の基本理念を明確にするための「憲法改正」や「国家安全保障基本法の制定」、総理の強いリーダーシップの下で外交・防衛政策を推進するための官邸の司令塔機能としての「国家安全保障会議」(日本版NSC)の設置、日米同盟の抜本的強化の観点からの集団的自衛権などの法的基盤の整備や日米ガイドラインの見直しなどへの早急な取り組みが求められている。
このように、防衛力の構築に際しては、現下の周辺安全保障環境への対応だけではなく、さらに中長期的視点に立脚した本質的かつ総合的な施策の検討が必要とされている。

三 具体的な提言

 1.基本的安全保障政策
(1)憲法改正と「国防軍」の設置
     わが党は既に策定した憲法改正草案において、第9条の第一項を基本的に維持するとともに、第二項において「前項の規定は自衛権の発動を妨げない」としたところである。その意味するところは、今後とも「国際紛争を解決する手段としての武力による威嚇ならびに武力の行使を行わない」ことを明確にした上で、「国連憲章に認める個別的ならびに集団的自衛権についてはわが国防衛のためにその発動を妨げない」とした点にある。
     また、「草案」では新たに「国防軍」の条項を設け、内閣総理大臣を最高指揮官として定めることとした。その理由は、今や世界有数の規模と実力を有するに至った自衛隊が最高法規の上に明確に規定されていない異常な状態を解消するためであり、「シビリアンコントロール」の原則を最高法規の上に明確に規定するためである。
国民の幅広い理解と支持を得てできるだけ早期に憲法改正が行われることが望ましく、我々としてもその環境を醸成していくために不断の努力を行っていく決意である。

(2)国家安全保障基本法の制定
    安全保障政策を具体的かつ総合的に推進するため、政府の「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」の議論の成果を踏まえつつ、わが国の安全を確保するに足る必要最小限度の自衛権行使(集団的自衛権を含む)の範囲を明確化し、国家安全保障の基本方針、文民統制のルール、防衛産業の維持育成の指針、武器輸出に係る基本方針等を規定した「国家安全保障基本法」を制定する。

(3)国家安全保障会議(日本版NSC)の設立
外交と安全保障に関する官邸の司令塔機能を強化するため、官邸に国家安全保障会議(日本版NSC)を設置し、総理のリーダーシップの下、機動的かつ定期的に会議を開催する。国家安全保障会議はわが国の安全保障戦略ならびにそのための基本計画を策定すると同時に、より強化された情報集約機能ならびに分析能力を有する組織とする。
そのために国家安全保障会議の事務局体制を充実させるとともに、総理大臣の軍事面における補佐機能を強化するため、官邸に防衛政策・軍事に関する専門家を配置する。

(4)政府としての情報機能の強化
国家安全保障会議の設置に伴い、政府全体として、人的情報(ヒューミント)を含めた情報収集機能を強化するとともに、各省の情報を迅速に官邸に一元化し、総理大臣へ適宜適切に報告を行うことのできる体制を確立する。また、政府内での情報共有の促進ならびに情報保全のために、国民の知る権利との関係も考慮しつつ、「秘密保護法」を制定する。
さらに、事態の早期察知によりわが国の安全保障に万全を期すため、現在の情報収集衛星及びその運用体制を「質」「量」ともに拡充し、その能力の一層の向上を図る。

(5)国防の基本方針の見直し
       昭和32年に決定された「国防の基本方針」については、現在の周辺安全保障環境や近年の軍事技術の進展状況なども踏まえ、国家安全保障会議において検討を加え、より現実的かつ適切なものに見直すとともに、国家安全保障会議が策定する安全保障戦略等への一本化を検討する。

(6)防衛省改革
わが党は、これまで防衛省改革について、内部部局(文官)と各幕僚監部(制服)の関係を見直すとともに、内部部局を「U(制服)」「C(文官)」混合組織とし、運用面における大臣の補佐機能を強化するため運用企画局を廃止し、統合幕僚監部の下に部隊運用に係る機能を統合し迅速な対応が行い得る体制を確立する等との提言をまとめてきた。
防衛省改革については、これを踏まえ、東日本大震災などの近年の事案への対応や防衛力の在り方等に関する検討も勘案しながら、隊員の意識改革を進め、「U」と「C」がより一体的に機能するものとしつつ、監察体制の強化を含む公正・効率的な調達業務態勢を構築する。同時に、運用部門や防衛力整備部門等において内局と各幕僚監部が一体的に機能する態勢を構築するための所要の法改正を行い、その後も、これらの実施状況を踏まえ、不断の見直しを行う。

2.防衛大綱の基本的考え方
新たな防衛力の構築 〜強靱な機動的防衛力〜
   「平成23年度以降に係る防衛計画の大綱」において示された「動的防衛力」の概念は、運用に焦点をあてた概念であるが、運用の実効性を担保するためには、その前提となる十分な「質」と「量」を確保し、防衛力を強靱なものとすることが不可欠である。
このような観点から、新たな防衛力の構築にあたっては、事態において迅速かつ的確に対応できるよう、機動運用性、統合指揮運用能力、輸送力等の機能拡充を図りつつ、防衛力の強靱性・柔軟性・持続性や基地の抗堪性の確保、戦力の維持・回復力の強化などを重視する。
その際、高烈度下においても、着実にわが国防衛の任務を全うできる能力を確保するとともに、大規模災害対処や国民保護も含め、国民の生命・財産、領土・領海・領空を断固として守り抜くための「強靭な機動的防衛力」の構築を目指す。

3.国民の生命・財産、領土・領海・領空を断固として守り抜く態勢の強化
(1)隙間のない(シームレスな)事態対応
     あらゆる脅威に対して隙間のない事態対応を行うため、防衛省・自衛隊、警察及び海保等の関係省庁間の連携を強化し、政府全体として、わが国の領土・領海・領空をシームレスな体制で守り抜く。また、関係省庁相互の連携によって、緊張感を伴った実戦的な訓練を実施するとともに、不足事項を真摯に検証して改善を加える。
その上で、武力攻撃と評価するには至らない侵害行為への対処(例:「領域警備」)など、わが国の領域を確実に警備するために必要な法的課題について不断の検討を行い、実効的な措置を講じる。

 (2)統合運用の強化
複雑化する運用業務に適切に対応するため、より効果的な統合運用実現の観点から、指揮統制・情報通信や後方補給について、装備の充実を含むより実戦的なネットワークシステムを構築するとともに、中央における統合幕僚監部の機能と権限を強化する。
また、真に機能する統合運用体制の確立に不可欠な統合マインドを備えた人材の育成を促進するため、将官ポストへの昇進に当っては統合幕僚監部や関係省庁等での勤務経験など、新たな自衛官の教育システム及びキャリアパスを創設する。
さらに、統合運用の観点から、「陸上総隊」を創設することを含め、方面総監部を始めとする各自衛隊の主要部隊等の在り方について総合的に検討し、必要な改編を行う。

(3)警戒監視・情報収集分析機能の強化
統合運用をより効果的に支えるため、警戒監視・情報収集分析態勢を強化する。事態の兆候を早期に察知し、迅速かつ隙間のない対応を確保するため、広域における総合的かつ常時継続的な警戒監視・情報収集に適した無人機等の新たな装備品を導入するとともに、そのために必要な質の高い情報収集分析要員を確保・育成するなど情報収集分析機能の拡充・強化を図る。また、海外における情報収集に資する「防衛駐在官」の在り方を抜本的に見直し、必要な人員・態勢・予算・権能の充実・強化を図る。

 (4)島嶼防衛の強化
先島諸島などの部隊配備の空白が存在する島嶼部において隙間の無い警戒監視・初動対処能力を強化する。また、航空優勢の確保、事態対処時に増援部隊が当該地域へ展開する際の活動・補給拠点の設置など、作戦遂行のための基盤を強化する。併せて、先島諸島周辺空域の防空能力を強化するため、先島諸島における航空部隊の運用基盤を整備する。
また、島嶼防衛に不可欠な海空優勢を確保するため、対空・対艦・対潜能力を強化する。さらに、島嶼防衛を念頭に、緊急事態における初動対処、事態の推移に応じた迅速な増援、海洋からの強襲着上陸による島嶼奪回等を可能とするため、自衛隊に「海兵隊的機能」を付与する。
具体的には、高い防護性能を有する水陸両用車や、長距離を迅速に移動する機動性能を有するティルトローター機(オスプレイ等)を装備する水陸両用部隊を新編するとともに、洋上の拠点・司令部となり得る艦艇とともに運用が可能となる体制を整える。
なお、戦車・火砲を含む高練度部隊を大規模かつ迅速に展開させるため、既存部隊の編成・運用を機動性の観点から抜本的に見直すとともに、島嶼防衛に資する装備の整備を推進する。

 (5)輸送能力の強化
島嶼防衛や大規模災害対処においては、駐屯地・基地等から活動地域への必要な人員や装備の迅速な展開が活動の成否を決するため、陸海空路における自衛隊の輸送能力を大幅に拡充する。特に、訓練環境等に優れた北海道における部隊の配備と練成を重視し、事態に応じて、それらの部隊を迅速に展開させる方策を確保する。
また、実際の活動においては、各種活動を支える装備・機材等も含め、膨大な輸送所要が予想され、これらを短時間で輸送するためには、自衛隊の輸送能力の拡充のみならず、陸海空の民間輸送力を安定的かつ確実に活用し得る有効な仕組みを構築する。

 (6)核・弾道ミサイル攻撃への対応能力の強化
日本全国の重要施設等の防護に対応が可能となるよう、BMD機能搭載イージス艦や地上配備のミサイル防衛部隊・装備の拡充を行い、効率的かつ効果的な部隊配備と運用態勢の構築を図る。
その際、日米で共同開発中の能力向上型迎撃ミサイルについて、共同開発の成果を踏まえつつ、可能な限り早期に導入する。また、弾道ミサイル等が実際に発射された場合に備え、政府・地方自治体・国民との間で迅速かつ確実な情報の共有が可能となるよう、Jアラート等の情報伝達体制を強化するとともに、国民保護に万全を期す。
さらに、同盟国による「拡大抑止」の信頼性を一層強固にする観点から、従前から法理上は可能とされてきた自衛隊による「策源地攻撃能力」の保持について、周辺国の核兵器・弾道ミサイル等の開発・配備状況も踏まえつつ、検討を開始し、速やかに結論を得る。

 (7)テロ・ゲリコマへの実効的な対処
ゲリラや特殊部隊による原子力発電所などの重要施設への攻撃に実効的に対応し得るよう、自衛隊、警察、海上保安庁及び入国管理局等との間で情報共有を含む連携強化を図るとともに実戦的な共同訓練を定期的に行う。また、これら訓練の成果を踏まえつつ、ゲリラや特殊部隊の攻撃に対する自衛隊の対処能力を強化するため、部隊の更なる機動性の向上や重要施設の防護に適した装備の充実を図るとともに、これら施設への防衛に必要な自衛隊の権限、部隊配置を適切に見直す。

(8)邦人保護・在外邦人輸送能力の強化
邦人保護の観点から、在外邦人に対する自衛隊による陸上輸送を可能とするための法改正を速やかに実現する。また、派遣国までの輸送を始め、迅速な部隊派遣に即応し得る態勢を確保する。さらに、陸上輸送中の邦人の安全を確実に担保し得るよう、必要な機材・装備の充実を図るとともに、任務遂行のための武器使用権限付与についての検討を加速し、検討結果を踏まえ必要な対応をとる。

 (9)東日本大震災への対応を踏まえた災害対処能力の強化
大規模災害に際しては事態発生後72時間が人命救助の限界となるとされていることから、予測される南海トラフ巨大地震や首都直下型地震等に迅速に対応し得るよう、マンパワー(人員)を確保するとともに、ヘリなどの輸送力・機動力を充実強化する。
自衛隊の駐屯地・基地は、災害発生時に部隊の各種活動(指揮・運用・後方支援)のための重要な拠点になることも踏まえ、適切な配置に努めるとともに、駐屯地・基地の運営維持に必要となる事務官等を含む人員の確保に努める。また、駐屯地・基地の津波対策や放射線防護対策ならびに老朽化した庁舎、隊舎等施設の耐震化と自家発電能力整備を早急に進める。
さらに、緊急時に自衛隊が展開する際の拠点の確保など、地方自治体や地域社会との連携強化を図る。この点、平素より関係省庁及び地方自治体が連携して実践的な訓練を実施し、事態に適切に対処できるよう万全を期す。

(10)サイバー攻撃に係る国際協力の推進・対処能力の強化、法的基盤の整備
サイバー攻撃は、重要な情報通信ネットワークに障害を与えれば甚大な被害や影響を生じさせるものであり、安全保障上の重大な脅威である。こうしたサイバー攻撃への対処能力を強化するため、専門的技能を有する人材の登用を含め、高度な対処能力を備えた人材の育成を強化する。
また、サイバー空間における脅威情報の収集体制及び対処能力の強化を図るとともに、サイバー攻撃に対処するための国際法・国内法上の法的基盤を急ぎ整備する。

 (11)安全保障分野での宇宙開発利用の推進
増大する情報通信所要に対応するため、通信衛星など指揮通信分野での宇宙利用を促進するとともに、情報収集・警戒監視分野における宇宙空間の利用を推進する。また、SSA(宇宙状況監視)等の宇宙分野における日米協力を積極的に進め、監視能力の強化を図る。

(12)無人機・ロボット等の研究開発の推進
最新技術に基づく高性能兵器及び大量破壊兵器等が使用される可能性が否定できない近年の安全保障環境や原子力災害を含む大規模災害に対応する有効な手段として、わが国が誇るものづくり技術を生かし、無人機・ロボット、関連するソフトウェア等の研究開発を推進する。
 
(13)装備品の高可動率の確保
事態対処において自衛隊がシームレスに対応するためには、即応かつ継続的に活動できる運用基盤が極めて重要である。このため、平素より十分な維持修理費を確保する。
また、予算の確保に加え、より効率的な整備補給態勢の確立も可動率向上の方策として有効であるため、新たな調達方式の導入を推進する等、総合的な観点から装備品の可動率向上に努める。


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