2012年11月20日
政局と米国情報(ヘリテージ財団、横江公美氏)
尾崎行雄記念財団「咢堂塾」特別記念講演会
【講師】田村重信氏(自由民主党政務調査会調査役)講演「日本の防衛政策」
12月12日(水)18時〜20時 尾崎行雄記念財団(憲政記念館、参加費無料)のお知らせ。
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日本の政局は、総選挙に向けて動き出した。
政権党である民主党の敗北が予想される中、ネズミが泥船から逃げ出すように、大臣経験者までもが離党した。
今後も民主党は、TPPを争点にし、候補予定者に誓約書に署名をもとめるなど、小泉純一郎元首相の郵政解散のようなイメージを国民に植え付けようと苦心している。
両者の違いは、小泉純一郎は「本気」、野田首相は「思いつき」だ。
日本維新の会は、石原慎太郎と橋下徹の二枚看板名で、完全なイメージ選挙に徹して支持率がアップしている。問題は、政策だ。
かつて民主党は、菅民主党と小沢自由党が合併し、政権交代を旗印に選挙で勝利した。その後、目的が達成されたことで、仲間割れし、分裂、離党者が相次いだ。
今回の選挙、少数政党が乱立している。
これは、政治にとって極めて不幸なことである。
政党とは、多様化する意見を政党というまとまりで束ね、政策を実現することが目的である。数人の政党は、自分党でしかない。1つ2つの政策を実現したければ、多くの政党・議員集団と協力しなければならない。
今の日本政治の悲劇は、何のために政治家になるのか、目指すのかが不明確であるからこそ、数日で党と合流したり、離れたりすることが出来るのである。
政治家は議員になることだけが目的で何をするかがないようだ。
だから、今いる政党よりも別の政党に移った方が有利といったことで、離党が相次ぐのだ。
大事なことは、党に残って、その党を自分の考え方に変えるという政治家が少ないことが問題だ。
投票日から残り30日を切った。
これから候補者となって、風で当選する人も出てくるが、この人たちが良い政治を作ることができるとは考えられない。
米国の新人議員研修が参考になります。
以下、掲載します。
ヘリテージ ワシントン ニュースレター No.63
横江 公美 アジア研究センター 2012年11月15日
新人議員の研修開始
アメリカの連邦議員には新人研修というものがある。
選挙は11月6日であったが、正式に議員になるのは年が明けた1月だ。それまでに、上院議員・下院議員の仕事を円滑にできるにように準備をする。その最初が、新人議員一同がワシントンDCに集まっての研修である。
研修は今週から始まっている。下院議員の新人研修を担当するのは、House Administration Committeeである。この研修では、下院のルールと倫理観、事務所の構え方、スタッフを雇用する際のプロセス、予算の使い方などが教えられる。また、委員会や議員連盟の選び方の説明もうける。
同様の研修は上院でも行われている。
落選して返り咲きを果たした議員もこの研修は受けなければならないことになっている。
こういった手続き以外にも、新人議員用のプログラムはふんだんに用意されている。
政党のリーダーとの食事会や大物議員との会食の時間もある。連邦議会の委員会に加えて、政党はもちろんのこと、大学、シンクタンクそして政治団体は、政策についてのブリーフィングも行っている。
ヘリテージ財団でも下院議員選挙のある2年ごとに3日間の新人議員研修を行っている。今年は11月30日から始まり、初日はディナーで二日目は、ヘルス・ケア、税金、防衛費などについて丸一日行われる。今年は、ジョン・ボルトン、スティーブ・フォーブスがスピーカーになる予定だ。
ヘリテージ財団では、上院と下院の新人議員全員、共和党の議員だけではなく民主党の議員にも案内状を出した。担当者のダニーは、共和党の60%にあたる数の出席を見込んでいるという。
ヘリテージ財団ではこれ以外にも議員全員に向けた2泊3日の議員研修を毎年行っている。議員向けプログラムはワシントンから30マイル離れた場所で行うことが決まっているので、ボルチモアやフィラデルフィアで行われる。新人議員研修は、まだ議員ではないのでワシントンのヘリテージ財団で行われる。
政治とは全く異なる世界から突然、議員になった人は少なくない。連邦議員ともなれば、今までの経験から得た問題意識だけではカバーできない政策もある。この政策に関する知識を埋めるという役割もシンクタンクは担っている。
日本では、政治資金に絡まる知識不足による議員の失敗の例は後を絶たない。これを避けるには、担当役人から政治資金について2時間ほどの講義があれば問題はない、と霞ヶ関のインサイダーは話していた。
日本には議員に政策研究のブリーフィングを行うような大学もシンクタンクも非営利団体も存在してこなかった。21世紀臨調がアカデミアという議員研修を始めたばかりである。
日本の場合は、第一歩としてシンクタンクと言われる霞ヶ関が、日本の現状に関する基礎知識について新人議員にブリーフィングする機会があってもいいのかもしれない、と思っている。
日本でも、議員としてすぐに活動できるために研修が必要であると認識し、基本的な仕事に関する新人議員研修があったらいいのに、と考えた。
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キャピトルの丘
野田首相が解散へ舵を切ったというニュースを読んだ。12月に総選挙があるわけだ。
アメリカの選挙の機能の一つである「候補者を育てる」という機能を考えると、日本の選挙にはその点が欠けているように思われてならない。
郵政解散で小泉首相が大勝利を収めた以後、自民党の政治家の質が問題になっていた。とりわけ、急な解散であったため、新人議員には質を疑問視される人もいた。
2009年の総選挙で民主党が大勝利を収めた後、今度は民主党の新人議員がマスコミの話題をさらっていた。
つまり、大勝ちすると政治家の質が問題になる、という事象が繰り返されている。
候補者の選考過程にも新人の育て方にも落ち度がある。アメリカのように選挙に候補者を育てるという機能が組み込まれていないし、有益な新人議員研修は行われていない。
選挙制度も候補者選定もそうは簡単には変わらない。
そこで、まずは、政党ではなく議会の仕事として新人議員研修が行われるようになることを願っている。日本人が日本の政治にこれ以上、失望しないための第一歩は、新人議員研修からはじまる一連の議員研修ではないかと思われる。
横江 公美
客員上級研究員
アジア研究センター Ph.D(政策) 松下政経塾15期生、プリンストン客員研究員などを経て2011年7月からヘリテージ財団の客員上級研究員。著書に、「第五の権力 アメリカのシンクタンク(文芸春秋)」「判断力はどうすれば身につくのか(PHP)」「キャリアウーマンルールズ(K.Kベストセラーズ)」「日本にオバマは生まれるか(PHP)」などがある。
【講師】田村重信氏(自由民主党政務調査会調査役)講演「日本の防衛政策」
12月12日(水)18時〜20時 尾崎行雄記念財団(憲政記念館、参加費無料)のお知らせ。
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日本の政局は、総選挙に向けて動き出した。
政権党である民主党の敗北が予想される中、ネズミが泥船から逃げ出すように、大臣経験者までもが離党した。
今後も民主党は、TPPを争点にし、候補予定者に誓約書に署名をもとめるなど、小泉純一郎元首相の郵政解散のようなイメージを国民に植え付けようと苦心している。
両者の違いは、小泉純一郎は「本気」、野田首相は「思いつき」だ。
日本維新の会は、石原慎太郎と橋下徹の二枚看板名で、完全なイメージ選挙に徹して支持率がアップしている。問題は、政策だ。
かつて民主党は、菅民主党と小沢自由党が合併し、政権交代を旗印に選挙で勝利した。その後、目的が達成されたことで、仲間割れし、分裂、離党者が相次いだ。
今回の選挙、少数政党が乱立している。
これは、政治にとって極めて不幸なことである。
政党とは、多様化する意見を政党というまとまりで束ね、政策を実現することが目的である。数人の政党は、自分党でしかない。1つ2つの政策を実現したければ、多くの政党・議員集団と協力しなければならない。
今の日本政治の悲劇は、何のために政治家になるのか、目指すのかが不明確であるからこそ、数日で党と合流したり、離れたりすることが出来るのである。
政治家は議員になることだけが目的で何をするかがないようだ。
だから、今いる政党よりも別の政党に移った方が有利といったことで、離党が相次ぐのだ。
大事なことは、党に残って、その党を自分の考え方に変えるという政治家が少ないことが問題だ。
投票日から残り30日を切った。
これから候補者となって、風で当選する人も出てくるが、この人たちが良い政治を作ることができるとは考えられない。
米国の新人議員研修が参考になります。
以下、掲載します。
ヘリテージ ワシントン ニュースレター No.63
横江 公美 アジア研究センター 2012年11月15日
新人議員の研修開始
アメリカの連邦議員には新人研修というものがある。
選挙は11月6日であったが、正式に議員になるのは年が明けた1月だ。それまでに、上院議員・下院議員の仕事を円滑にできるにように準備をする。その最初が、新人議員一同がワシントンDCに集まっての研修である。
研修は今週から始まっている。下院議員の新人研修を担当するのは、House Administration Committeeである。この研修では、下院のルールと倫理観、事務所の構え方、スタッフを雇用する際のプロセス、予算の使い方などが教えられる。また、委員会や議員連盟の選び方の説明もうける。
同様の研修は上院でも行われている。
落選して返り咲きを果たした議員もこの研修は受けなければならないことになっている。
こういった手続き以外にも、新人議員用のプログラムはふんだんに用意されている。
政党のリーダーとの食事会や大物議員との会食の時間もある。連邦議会の委員会に加えて、政党はもちろんのこと、大学、シンクタンクそして政治団体は、政策についてのブリーフィングも行っている。
ヘリテージ財団でも下院議員選挙のある2年ごとに3日間の新人議員研修を行っている。今年は11月30日から始まり、初日はディナーで二日目は、ヘルス・ケア、税金、防衛費などについて丸一日行われる。今年は、ジョン・ボルトン、スティーブ・フォーブスがスピーカーになる予定だ。
ヘリテージ財団では、上院と下院の新人議員全員、共和党の議員だけではなく民主党の議員にも案内状を出した。担当者のダニーは、共和党の60%にあたる数の出席を見込んでいるという。
ヘリテージ財団ではこれ以外にも議員全員に向けた2泊3日の議員研修を毎年行っている。議員向けプログラムはワシントンから30マイル離れた場所で行うことが決まっているので、ボルチモアやフィラデルフィアで行われる。新人議員研修は、まだ議員ではないのでワシントンのヘリテージ財団で行われる。
政治とは全く異なる世界から突然、議員になった人は少なくない。連邦議員ともなれば、今までの経験から得た問題意識だけではカバーできない政策もある。この政策に関する知識を埋めるという役割もシンクタンクは担っている。
日本では、政治資金に絡まる知識不足による議員の失敗の例は後を絶たない。これを避けるには、担当役人から政治資金について2時間ほどの講義があれば問題はない、と霞ヶ関のインサイダーは話していた。
日本には議員に政策研究のブリーフィングを行うような大学もシンクタンクも非営利団体も存在してこなかった。21世紀臨調がアカデミアという議員研修を始めたばかりである。
日本の場合は、第一歩としてシンクタンクと言われる霞ヶ関が、日本の現状に関する基礎知識について新人議員にブリーフィングする機会があってもいいのかもしれない、と思っている。
日本でも、議員としてすぐに活動できるために研修が必要であると認識し、基本的な仕事に関する新人議員研修があったらいいのに、と考えた。
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キャピトルの丘
野田首相が解散へ舵を切ったというニュースを読んだ。12月に総選挙があるわけだ。
アメリカの選挙の機能の一つである「候補者を育てる」という機能を考えると、日本の選挙にはその点が欠けているように思われてならない。
郵政解散で小泉首相が大勝利を収めた以後、自民党の政治家の質が問題になっていた。とりわけ、急な解散であったため、新人議員には質を疑問視される人もいた。
2009年の総選挙で民主党が大勝利を収めた後、今度は民主党の新人議員がマスコミの話題をさらっていた。
つまり、大勝ちすると政治家の質が問題になる、という事象が繰り返されている。
候補者の選考過程にも新人の育て方にも落ち度がある。アメリカのように選挙に候補者を育てるという機能が組み込まれていないし、有益な新人議員研修は行われていない。
選挙制度も候補者選定もそうは簡単には変わらない。
そこで、まずは、政党ではなく議会の仕事として新人議員研修が行われるようになることを願っている。日本人が日本の政治にこれ以上、失望しないための第一歩は、新人議員研修からはじまる一連の議員研修ではないかと思われる。
横江 公美
客員上級研究員
アジア研究センター Ph.D(政策) 松下政経塾15期生、プリンストン客員研究員などを経て2011年7月からヘリテージ財団の客員上級研究員。著書に、「第五の権力 アメリカのシンクタンク(文芸春秋)」「判断力はどうすれば身につくのか(PHP)」「キャリアウーマンルールズ(K.Kベストセラーズ)」「日本にオバマは生まれるか(PHP)」などがある。



