2012年09月27日
安倍新総裁について(ロンドンのキムキムブログより)
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キムキムこと木村正人氏のブログより
木村正人氏の略歴・「世界の首都」といわれるロンドンからさまざまなニュースを発信します。元産経新聞ロンドン支局長。2002〜2003年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。元慶応大学大学院非常勤講師(憲法)
“タカ派”の安倍晋三自民党総裁が首相に返り咲けば、日中関係は改善する?
英誌エコノミスト9月22 〜28日号は表紙で「中国と日本はこの島々(沖縄県・尖閣諸島)をめぐって本当に戦争に突入するのだろうか?」と問いかけ、ウミガメに「悲しいけど、イエス」と答えさせている。
カギを握っているのは日本ではなく、米国が日米同盟に基づく集団的自衛権を尖閣諸島にも適用する方針をこれまで以上に明確に示して中国を抑制するとともに、中国の次期最高指導者となる習近平国家副主席がナショナリズムを利用することがいかに危険かを自覚することが重要だと同誌は説く。
2007年に体調不良を理由に突然辞任した安倍晋三元首相が9月26日、自民党総裁選で総裁に返り咲いた。
年内に行われる可能性が強い次期総選挙で自民党が勝てば首相に就任することになる。尖閣諸島や韓国が不法占拠する竹島(島根県)をめぐって中国や韓国との緊張が高まっていることが安倍総裁誕生の追い風になったのは間違いないだろう。
英紙タイムズは「愛国的」、英紙ガーディアンも「ナショナリスト」「最もタカ派」と安倍総裁を評し、英紙フィナンシャル・タイムズ(いずれも電子版)は「安倍氏は戦争放棄をうたった憲法9条の改正を望んでいるため近隣諸国の懸念が強まるだろう」と日本と中国、韓国間の緊張が一層高まるとの見方を示した。
安倍氏は首相時代、「慰安婦の強制連行はなかった」と発言し、戦争捕虜になった将校の妻らが強制的に日本軍の慰安婦にさせられたオランダから批判され、「狭義の強制連行はなかった」と弁明に追われた苦い経験がある。
英語では意思に反するものは「強制」で、12歳の少女が好き好んで慰安婦になるはずがないから欧米では「韓国の女性は慰安婦になることを強制された」となる。
これに対して日本で「強制連行はなかった」というとき、英語の「deportation(強制移送)」が思い浮かぶのだが、なかなかうまく伝わらないので注意が必要だろう。
安倍氏が首相に返り咲けば英メディアが一斉に指摘するように日中関係は一段と悪化すると考える向きが多いが、日中関係に詳しい英リーズ大学のキャロライン・ローズ教授は面白い見方を示している。
同教授によると、日中関係は悪くなると、しばらくして良くなり、再び悪くなるというサイクルを繰り返しているという。
小泉純一郎首相(当時)が靖国参拝で日中関係を悪化させたのに対し、小泉氏よりタカ派と目された安倍氏は2006年、首相になってすぐ訪中し、逆に日中関係を好転させたと同教授は指摘する。
安倍氏が今後、首相に返り咲いた場合、日中関係が再び改善するかは、エコノミスト誌が指摘するように習副主席がどう出るかにかかっている。徹底した日本嫌いだった江沢民前国家主席以上に習副主席が対日強硬路線を取れば、ウミガメの予想通り、日中関係にきな臭さが漂うだろう。
政治的求心力を高めるためナショナリズムや嫌悪感をあおることがいかに危険かは歴史が証明している。
安倍総裁は国土防衛の意思を明確に示す一方で、一衣帯水の日中関係の大切さを強調するのを忘れなかった。
すでに日本の対中外交は新しい局面に突入した。(了)
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