2010年12月22日

英国と比較して陸自人員削減は間違い

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 冷戦が終わって平和が訪れると思ったが、現実はそうはいかない。

 確かに欧州では、ソ連の崩壊で東西陣営の衝突の危険性が除去され、欧州から米軍は大幅に撤退した。しかし、東アジア地域では未だ不安定要因があるとの理由で10万人の米軍の前方展開は維持された。

 日本の周辺の安全保障環境は、今回の防衛計画の大綱でも、

・北朝鮮の核・ミサイル問題等は、地域の喫緊かつ重大な不安定要因。
・中国の軍事力近代化や透明性の不足等が、地域・国際社会の懸念事項。
・ロシアの軍事活動は引き続き活発化の傾向。
――などの記述が並ぶ。
 中国、ロシアをはじめ各国とも軍事費を増額している。

 尖閣諸島沖の中国船衝突事件、北朝鮮の韓国・延坪島を砲撃などにより、日本人は防衛意識を高めている。

 今回の防衛大綱は、動的防衛力への転換など、言葉は躍るが、それを裏付ける予算はこころもとない。

 にもかかわらず、読売新聞(12月9日)社説は、「陸自定員削減は不十分」とのことで、以下のように述べている。


 米国、中国、ロシア、韓国、北朝鮮など周辺国が近年、そろって国防費を大幅に伸ばす中で、日本だけが防衛費を減らし続けてきたことは、深刻な問題だった。
 限られた予算の中で、真に実効性ある防衛体制を整えるには、増強する分野と削減する分野のメリハリが欠かせない。
 新大綱の焦点となった陸自の編成定数は、現行の15万5000人から1000人の削減にとどまった。極めて不十分である。
 自衛隊全体のバランスを考えれば、今回実現した陸自の戦車・火砲の大幅な削減に加え、陸自定員を一層削減し、海上、航空両自衛隊の定員や艦船・航空機の増強などに回すべきだった。
 そうしてこそ、「動的防衛力」という新概念がより明確になったはずだ。11年度以降の予算編成での是正を求めたい。


 12月20日の読売新聞は、北岡伸一東大教授が『地球を読む」「防衛大綱」で、

「陸上自衛隊の定員については、1000人削減して15万4000人(14万7000人+予備自衛官7000人)となった。これは物足りない。
 イギリスは新政権の見直しで約10万人の陸軍を約5年で9000人ほど減らそうとしている。しかもイギリスの陸軍は、アフガニスタンだけで9000人を派遣(その是非の議論はあろうが)するなど、世界中で活躍しているのに比べ、日本の陸上自衛隊は、国連平和維持活動(PKO)に400人ほど派遣しているだけである。それも、ハイチの災害に対して約350人を派遣しているので、これがなくなれば50人ほどで、主要国で最少である。・・・」と述べている。

 まず指摘したいのは、英国と日本の安全保障環境が大きく異なる点が欠落している。

 次に、英国の軍事削減について説明する。

 英国は、面積が日本の約3分の2、人口は約半分の6160万人。GDPは世界第6位で日本の約43%。

 英国は、5月の総選挙の結果、政権交代で戦後初の連立政権(保守、自民党)で、歳出削減による財政再建が大目標となった。

 政府は、10月18日に「国家安全保障戦略」(NSS)を発表。これは国防以外の外交・情報・経済も含むもので、英国を取り巻く戦略的背景を分析し、国家の目的の規定に焦点を当てたもので、
 英国の戦略目標は、①安全かつ強靭な英国の確立、②安定した世界の形成――となっている。

 翌10月19日に「戦略防衛・安全保障見直し」(SDSR)(これは日本の防衛計画の大綱に当たるもの)、20日に「歳出見直し2010」を発表。キャメロン政権が新設した国家安全保障会議(NSC)がNSSとSDSRを策定した。



 「歳出見直し2010」は、2014~15年度までの4年間で総額810億(10兆円)ポンドの歳出削減を目指し、医療や海外援助の分野を除く各省の歳出額は平均実質19%削減と大幅だ。そのうちで国防費は、非前線分野での最低43ポンドの節減を含め、2014~15年度までに実質8%の歳出削減となっている。

 以上のようにキャメロン政権は、国防費の削減が各省と比較していかに少ないかが分かる。しかし日本は、今の状況で各省並びとなっている。これはおかしい。


 次に「戦略防衛・安全保障見直し」(SDSR)の主な削減について、

 今後5年間で
・海軍は5000人(現状・3万4650人)、
・空軍は5000人(3万9890人)、
・陸軍は7000人(10万290人)、
・国防相文官は2万5000人(8万5000人)の人員削減となっている。

 ということは、海軍・空軍よりも陸軍の削減率が一番少ないということになる。
したがって、英国の陸軍の削減人数だけを持ち出して、陸自の削減は少ないというのは問題だ。

 
 次に、装備の削減が凄い。

 海軍は、空母1隻(2隻)を即時退役、ヘリコプター揚陸艦1隻退役、フリゲート艦4隻退役などで、英国では空母の退役が問題となっている。

 空軍は、ト-ネード多用途攻撃機を削減、ハリアー攻撃機を退役、JSFとタイフーン戦闘機を中心とした体制に移行。

 陸軍は展開可能な旅団を1つ削減し5つの多機能旅団へ再編成、チャレンジャー2戦車を40%削減、重火砲を35%削減等。

 なお、英軍のアフガン作戦費用は国防費とは別枠の財務予備費から支出。今後4年間で151億ポンドの支出を計画。


 英国で注目すべきは仏との防衛・安全保障関係の強化だ。
 11月2日、両国首脳はロンドンで会談し、二国間の防衛・安全保障協力及び核研究施設の共有に関する2つの条約に署名。
 統合派遣戦力の創設、統合空母打撃部隊の保有、次世代原潜や無人航空システムの共同研究・共同開発等などの協力を強化し、国家財政が厳しい中で、お互いが協力することで防衛力を維持・強化することができるということだ。
 
 これが英国の国防費の削減概要である。


 厳しい安全保障環境を考え、日本の安全を確保するためには、防衛予算を増額することである。そうでないと、周辺国から日本の防衛努力はこの程度と評価される。

 陸自の人員削減は、最近の増大した仕事量から考えればすべきではない。

 でないと昨日もツイッターブログで書いたが、

 防衛計画の大綱の「動的防衛力」に転換。しかし、予算が増えず、動くための交通費・輸送費の計上がない。したがって、実際は「静的防衛力」。

――となる。

shige_tamura at 12:53│Comments(7)TrackBack(0)clip!安保・防衛政策 

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この記事へのコメント

1. Posted by みるる   2010年12月22日 15:12
子供手当ては早急に廃止あるべきと思います
大事なのは公共工事を行う事で雇用拡大
そして自衛隊と警察官増員で雇用拡大を進める

国の赤字は分かっていますが
赤字の無い歴史なんて殆ど存在しません
赤字は大昔からありました
治安が不安定なのは雇用が狭いからです
少子化も安定した収入と雇用と不妊治療で解決すると思います子供手当ては親が遊ぶだけです
子供手当てで愛人に貢いだとか賭け事に使い込んだ馬鹿もアンケートに出ています
ばら撒きよりも雇用拡大を行う事
治安も雇用拡大で安定します
2. Posted by 後南朝   2010年12月22日 20:19
現在東アジアにおいては軍拡競争が起こっています。軍拡の原因は、各国の経済成長もありますが、やはり異常な軍拡を進める支那の存在が大きいと思われます。

民主党は支那の手先ですから、「支那との無用な摩擦を避ける」と称しての自衛隊軍縮でしょう。が、実際は自衛隊の無力化を図り、軍事力と密接な関係にある外交力を減衰させて国内への親支那勢力の浸透を加速させ、日本において支那の影響力を、決定的に増大させる為の目的としている、支那への「お手伝い」工作でしょう。とことん売国奴な連中です。

支那は東南アジアでもやりたい放題の事をやっていますが、実は彼らはもう一つの大国である日本に、「支那の横暴に対し何とかしてくれ」と言っているのです。しかし尖閣の一件では、「御主人様の支那」に民主党が逆らう訳はなく、さっさと国へ帰してしまいました。

この影響は巨大です。例えば先ほど、韓国の巡視船乗組員が逮捕のとき暴行した、支那漁船乗組員は、結局皆帰国してしまいました。明らかに尖閣の一件で、日本が支那の言いなりになったのが響いたとおもわれます。つまり、民主党のパシリぶりが、影響したとおもわれます。このままでは益々支那が付け上がり、この地域が不安定になる恐れがあると思われます。

結論:民主党の支那への無条件な服従の態度は、日本のみならず東アジアを不安定化させます。民主党の一日でも早い打倒が、国内的にも・国際的にも最大の貢献と思われますが、皆様はどう思われますか?。
3. Posted by みるる   2010年12月23日 12:54
自民頑張ってください
靖国参拝もやってください

民主党と社民党は日本が大変に嫌いなようです
そのような人間が政権を握るのは大変に困ったことです
最近は仙谷がマスコミが悪いマスコミが悪いと言い出しています
どこまで無責任なのでしょう

また尖閣問題はきっちり日本の領土である事を示すべきです
石原知事ではありませんがパンダよりも尖閣を大事にするべきです。
4. Posted by みるる   2010年12月23日 15:18
5 菅総理の自慢話みたいな記者会見とか
仙谷の自慢話みたいな記者会見
民主党は余計恥ずかしいと思います

そして硫黄島での遺骨収集で遺骨に合掌の画像は軍手をはめたままなのでマナー違反と言う声も出ています
マスコミはあまり触れていませんが

また朝鮮学校無償化と韓国学校無償化に対して疑問の声も上がっているのですが
多くのマスコミは無視
反対運動も右翼活動としてニュースになるだけです
鳩山元総理はニコニコ動画で「だって日本は日本人だけのものじゃないんですから」
に対してはそれでは日本は誰の国
民主党は日本人が嫌いなのでしょうか?
5. Posted by みるる   2010年12月27日 14:32
5 http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/101227/plc1012271319010-n1.htm

専業主婦が社会の病気とはあまりにも酷い発言です
民主党本当に嫌い
6. Posted by ピタゴラス   2011年01月02日 19:00
動的防衛というのは 、軍事革命によるハイテク化ということかと思いますが…

無人攻撃機、高速移動、情報の統合・共有化、テロ・謀略対策、

陸上自衛隊はハイテク化したアメリカ軍と共同(補助)運用できるように、機器や通信コード統一してるんですかね。例えば敵・見方の識別暗号など
7. Posted by とり   2013年11月09日 22:21
占領された地域を奪取するには陸上部隊が必要、しかもわが国では戦車だけでなく特科(いわゆる大砲)部隊も削減されている。読売新聞は陸上部隊の火力投射をどのような手段で考えているのか示すべき、陸自の予算を削減して海空に回すという発想では、削られた分の火力と打撃力をほかの装備で(トマホークやF-35B・オスプレイ導入による機動化など)補おうとするので、結局は予算的に削った装備分ほど抑えられない

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