2010年06月30日

年金制度設計問題から逃げる民主党

 民主党は選挙で年金不安を煽り、いい加減な制度設計がバレルことを恐れ、「超党派協議」に逃げようとしている。

 民主党は、3年前(2007年)のマニフェストは「年金基礎部分への消費税を全額投入」6兆3000億円が必要と記されていた。
 それが、昨年の総選挙マニフェストから消えた。

 2007年の主要政策で一番大きいのは年金問題だった。
 年金問題で沸騰した。年金選挙だった。
 だから、2007年の参議院選挙のときは、民主党は年金の基礎部分への消費税を全額投入するから、6兆3000億円かかりますということを言ったのです。
 そして、公立学校への無償化、それから農業の戸別補償、高速道路の無料化、最低賃金の引き上げ、中小企業対策。それが15兆3000億かかると言ったのです。
 その中でいちばん大きいのは基礎年金部分の6兆3000億円でした。
 
 それが、総選挙(昨年)のマニフェストには、全くないのです。
 なぜないかというと、年金の未納問題で不安を煽り「年金基礎部分への消費税を全額投入」6兆3000億円で年金の設計ができないとなったからなのです。いい加減な内容だったのです。

 その上に、ガソリン税の暫定税率を下げるとか、子ども手当2万6千円支給しますとか、あれもやりますこれもやりますとそれを合わせると2009年総選挙のマニフェストに16兆8000億円かかるということになったのです。2007年(15兆3000億)よりも大きな額になった。
 それに6兆3000億円(年金基礎部分への消費税全額投入)乗っけたらどうなります?
 20兆をはるかに超える。だから口をつぐんでいるんです。マスコミの方も全然言わないでんです。これが民主党の年金問題のいい加減さです。


 民主党、昨年の総選挙から年金の制度設計問題から逃げる

 基礎年金の問題。2007年にどんなこと言っていたか? 
 年金の基礎部分、いろいろと追及されて、みんな払うとおカネがもたないから、「年収600万からどんどんもらえないようにして、1200万になったら基礎年金はもらえないようにしましょう」なんて言っていました。移行期間も明言できなかった。
総選挙から、年金問題を意図的に避けた。
 その中で何が明確かといったら「7万円」という数字だけが明確なんです。2段階にする。あとは選挙が終わってから考える。いつもの民主党お得意の逃げです。

 僕が『なぜか誰も書かなかった 民主党研究』(成甲書房)という本を出しました。 やはり記録として残しておく必要があると思ったからです。
 平成15年(2003年)10月、菅(直人)さんが代表のときです。このとき、マニフェストに各方面から批判を受けて追加しているんです。その中に、「年金制度改革後の負担と給付水準の数値明記」ということが入っているんです。
 年金制度改革は、当時、「消費税を充てる基礎年金と所得比例部分からなる二階建て年金制度を4年以内に確立します」と言っているんです。平成15年に。それから何年経ってます?
 それが民主党の実態なんです。


 民主は、年金問題で国民に不安をあおっただけ

 2009年(昨年)5月31日、フジテレビの「新報道2001」で、年金の問題が議論になりました。そのときに慶応義塾大学の権丈(善一)先生が「いかにマスコミと民主党が年金が今にも崩壊するというデマを流し、国民に不安をあおり、選挙に勝つことしか考えていない無責任政党」ということが浮き彫りになった、というようなことを言っているのです。「民主党の年金戦略が日本政治の諸悪の根源」と。

 民主党は、年金問題の不安を煽りに煽っているのです。チェックミスを煽った。そして、民主党は、ちゃんとした年金制度をつくると言った。でも、出してない。

 産経新聞(2009年7月10日)の記事。これは社会保障の財源をどうするということで、権丈先生と民主党の峰崎(直樹)さんが年金の議論をしている。
 権丈先生が、「民主党の年金改革案はスローガン程度で、抜本改革を言いはじめて5年間も細部を明らかにしていない。(だから)うまい政治戦略だと思う」と。
 民主党は、国民年金、基礎年金は崩壊すると言ってるけど、それはウソっぱちだっていうことを権丈先生は言った。
 細野(真宏)さんの『未納が増えると年金が破綻するって誰が言った〜世界一わかりやすい経済の本〜』(扶桑社新書)というベストセラー本があります。細野さんは、「国民年金は、年金の基礎部分で、サラリーマンは加入していることが忘れられている」と。学生さんと自営業者だけが基礎年金(国民年金部分)を払っているわけじゃなくて、普通のサラリーマンの方もそれを払っているんですよ、ということです。
 だから、国民年金の被保険者約7000万のうちサラリーマンと公務員が4000万人。その専業主婦(約1000万人)ぶんの保険料については給料から天引きされてがっちり入っているんです。
 自分で保険料を納める「第1号」被保険者・自営業者や学生などは約2000万人で、国民年金の3割程度。そんな中で未納が増えていると言うけれども、10人に2人が確信犯的に未納となっている。これを踏まえて、国民年金全体から見れば、その割合は5%程度なんだと。その程度の数字は全体にほとんど影響がない。しかもその上、未納の人には将来年金を支給する必要がないわけですから、そもそも未納の人が増えて年金が破たんするわけはないんです。

 それを、今にも年金制度が崩壊するというようなことを言うのは「おかしい」というわけです。
 だから、民間に比べて国の年金というのはどうしていいかというと、税金がむちゃくちゃ入っているでしょう。1/2税金が入るわけですよ、基礎年金の中に。そんな金融商品、民間にはない。
 年金というのは安定している。
 だから、「年金は将来破綻するから払わない」という若者は、あとで必ず後悔する。年金は破綻しないからです、絶対に。それは払ってない人は一部。その一部だって全体から見ればほんのちょっぴり。ところが、学生さんだけにフォーカス(焦点)を当てると、「学生の中で多いね」ということになれば大変です。だから、どこにフォーカスを当てるかの話。

 民主党の言うとおりに、学生が払わないでいて、「年を取ったら、おれ年金もらえないんだけど」って言う。「え?もらえないっていったって、君払ってないから」。それで終わりということなんです。「だって、民主党が破綻するって言ったから払わなかったけど、破綻してないね」っていう話になるんですよ、必ず。
 だから、民主党は選挙のために不安を煽るに煽ったのです。

 民主党は、新しい年金制度の設計の具体的なアイディアがないのです。

 平成15年(2003年)に、今、民主党が言っている年金制度をやりますと言って、何年、経ってるのか。
 2007年のときに6兆3000億かかりますと言っといて、昨年(2009年)、今年のマニフェストからは、6兆3000億が消えているんです。
 数字を隠した?それは民主党の言ってる制度ができないからなんです。デタラメだからです。
 そこをメディアは追及しない。

 結果は、昨日(29日)の「新年金制度に関する検討会」(議長・菅直人首相)で「新たな年金制度の基本的考え方」をまとめたとなる。
 民主党は、年金制度の設計を国民的議論の原則(国民的な議論の下に制度設計を行う)というところに逃げ込んだわけです。

 毎日新聞は、

 財源については「保険料と税財源を充てる部分の役割を明確に」「安定的財源を確保」などの表現にとどめた。
 民主党は税を財源とする月額7万円の「最低保障年金」を提唱しているが、政府方針として具体額を示せば財源に要する消費税などの増税幅を問われかねないため、給付水準を明記することは避けたとみられる。
―と解説している。

 仙谷官房長官は29日の記者会見で、年金制度に関し民主党がマニフェストで月額7万円の最低保障年金について「あの時点では7万円程度が財源等の関係で望ましいし妥当かなという判断で書いたが、今後それが上がることも、より低い金額が設定されることもあり得る」と、7万円にこだわらず制度設計すると。

 長妻厚生労働大臣は「最低保障年金7万円と消費税は譲れない」というが。できるのか?

 民主党のマニフュストは、本当にどうなっているの?
 民主党は、選挙に勝つために国民に年金問題の不安を煽って、いい加減な年金制度を提示し、それをごまかすために、税制と同じように「超党派協議」に逃げ込もうとしている。

shige_tamura at 05:44│Comments(0)TrackBack(0)clip!民主党 | 菅直人

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