2010年02月03日
岡田直樹参議院議員代表質問(その2)
(景気対策・公共事業)
総理は施政方針演説の中で来年度予算を「いのちを守る予算」に転換したと宣言しました。そして公共事業予算を十八・三パーセント削減したことを誇らしげに述べました。しかし、公共事業予算にかつてない大ナタを振るったことは、現在の厳しい不況、とりわけ地方不況の中で本当に地域の人々の「働くいのち」すなわち雇用の場を守る選択なのでしょうか。そこに行き過ぎはないでしょうか。
我々が与党であった時代にも、公共事業は抑制してきましたが、一昨年からの「百年に一度」と言われる不況に直面して大型の補正予算も組み、懸命に景気の底割れを防いできました。
厳然たる事実として公共事業に依存する地域があります。私の地元石川県で言えば、能登半島や白山のふもとの過疎地がその典型です。鳩山総理の北海道にもそうした地域は多いでしょう。そうした地域の人々がいま公共事業の大幅削減に先行きの希望を失っています。建設会社の破綻が相次ぎ、その関連産業も含めて雇用の場が失われ、人々の生活が脅かされています。昨年も私の友人が一人、自ら「いのち」を絶ちました。私は「コンクリートから人へ」というスローガンを素直に受け入れることができないでいます。
「コンクリートから人へ」。人のための政治は当然至極であり、私も人間のいのちと暮らしのために政治を志したのです。「人のため」は政治の目的です。「コンクリート」はその手段です。災害から人のいのち、安全を守るコンクリートもあれば、人の暮らしを便利に豊かにするコンクリートもあります。
先ほども申した通り、多くの人々が建設業に関連して生計を立てています。建設業法では二十八種もの業種があります。土木、建築、大工、左官、とび土工、石工、屋根、電気工事、管工事、タイル・れんが・ブロック、鋼構造物、鉄筋、舗装、しゅんせつ、板金、ガラス、塗装、防水、内装仕上、機械器具設置、熱絶縁、電気通信、造園、さく井、建具、水道施設、消防施設、清掃施設、以上です。
総理、お尋ねします。こうした多くの人々のなりわいと誇りを傷つける「コンクリートから人へ」というスローガンを総理は今後も使い続けるのでしょうか。
いわゆる「土建国家」からの脱却は必要ですが、現在の厳しい景気・雇用情勢を見れば、建設関連企業の急激な淘汰は決して好ましくないと考えます。前原大臣は建設業者は二十万社でも過大であると発言されたように伺いますが、どの程度の業者数が適正と考えますか。
また、建設業からの事業の転換や従業員の雇用について、どのような支援を講じる考えか、伺います。
私は今後の景気対策において、あえて公共事業を除外する必要はないと考えます。リーマンショック以降、米国や中国も大型の公共事業によって景気の底支えを行ったではありませんか。オバマ大統領の一般教書演説でも、米国は温暖化対策の側面もある高速鉄道網の整備などを目玉に、橋、高速道路といった社会基盤整備も「即座の雇用創出につながる」として景気対策の柱にしております。景気対策における公共事業の役割について、あえて総理の認識を伺います。
また、環境面に配慮すれば、わが国においても整備新幹線の促進は依然として大きな意義のある事業と考えますが、総理の認識を伺います。
(環境問題)
総理が「地球のいのち」と表現した環境問題について伺います。
総理は政権発足直後、我が国の温室効果ガス排出量を二〇二〇年までに一九九〇年比で二五パーセント削減すると高らかに表明しました。しかし、その後は温暖化問題解決に向けて、総理みずから指導力を発揮してきたと言えるでしょうか。民主党マニフェストに記載されていたガソリン税等の暫定税率を廃止し、地球温暖化対策税に一本化する案も、結局は小沢幹事長の圧力に屈して、あいまいな形で先送りしただけではないですか。
また、昨年末、コペンハーゲンにおけるCOP15でも総理の存在感は薄く、各国の議論を主導することもないままに終わりを迎えてしまいました。会議も事実上、結論の先延ばしで、ポスト京都議定書の枠組みはまだ見えてきません。
そもそも、国民的な合意を得る努力もないまま、したたかな各国首脳を相手に華々しく数値目標だけ先走って発信してしまったことは、外交戦略上、軽率だったのではありませんか。あとから「出来ませんでした」では、国民からも世界からも信用を失ってしまいます。
指導力欠如という評価を気にしたのか、総理は十分な議論も待たずに先日、国連気候変動枠組み条約の事務局に二五パーセント削減の目標値を提出しました。これもまた独善的ではありませんか。幅広い国民の声をお聞きください。
総理は昨年の臨時国会の答弁において、目標達成に向けての中身を「早急に明らかにする」と述べています。そこで改めて、今後、温室効果ガス二五パーセント削減に向けてどのような道筋を描いているのか、明確にお示しください。あわせて、その実現のためには、国民、産業界の負担は金額にして年間いくらを想定しているのか、具体的にご説明ください。
地球温暖化防止は国際社会が共通して取り組むべき大きな課題です。しかし、国民的合意のない、また国民の暮らしを脅かすパフォーマンスであっては決してならないことを申し述べておきます。
(憲法問題)
国の「かたち」であり「いのち」とも言うべき憲法問題について伺います。鳩山総理、あなたの憲法に対する姿勢が分かりません。
総理はかつて自衛軍の保持も盛り込んだ「新憲法試案―尊厳ある日本を創る」という著書を出しておられます。また、昨年末にも「ベストな国のあり方のための憲法をつくりたい」と憲法改正の意欲を示すとともに、民主党内や与野党間で改正論議を活性化させるべきだとの考えを表明されました。
しかし、先日の代表質問で総理は「首相という立場においては、特に重い憲法尊重擁護義務というものが課せられていると、そのようにも考えております。したがいまして、今はその私の考え方について申し上げるべきときではない、そのようにも考えております。私の在任中になどと考えるべきものだとも思っておりません」と述べ、憲法改正について自らの姿勢を鮮明にすることから逃れています。
しかし、総理や大臣が憲法改正を論ずることが憲法九十九条の憲法尊重擁護義務に違反しないことは明らかです。「無血の平成維新」と言うならば、今こそ国会や内閣など統治機構を含む新しい日本の国のかたちを大いに論ずるべきではありませんか。
平成十九年には憲法改正国民投票法も成立し、衆参両院に憲法審査会が設置されたものの、民主党の一部にも反対があり、二年半以上経過した今も規程すらなく全く機能していないことは、明らかに違法な状態であり、極めて遺憾であります。
鳩山総理には、民主党代表としても憲法審査会の始動に向けて指示をしていただきたい。その場で党利党略を超えて、大いに議論しようではありませんか。憲法審査会の問題も含めて、憲法改正について、政治家鳩山総理のご所見を伺います。
(むすびに)
むすびに申し上げます。私は昨年九月十六日、鳩山政権発足の日、ある報道関係者から問われて「小鳩内閣」というニックネームをつけました。その後、割合よく使われる表現となりましたが、「小鳩」の「小」は小沢幹事長の「小」であり、小沢幹事長が鳩山総理の頭越しに仕切る内閣になるのではないかと予測したのでありますが、その予測は的中したようです。
このような不正常な政権構造はただちに解消すべきであります。そして、鳩山総理みずからと小沢幹事長は「政治と金」の問題について一刻も早く国民に説明責任を果たすべきであります。
このことを強く訴えて、私の質問を終わります。
総理は施政方針演説の中で来年度予算を「いのちを守る予算」に転換したと宣言しました。そして公共事業予算を十八・三パーセント削減したことを誇らしげに述べました。しかし、公共事業予算にかつてない大ナタを振るったことは、現在の厳しい不況、とりわけ地方不況の中で本当に地域の人々の「働くいのち」すなわち雇用の場を守る選択なのでしょうか。そこに行き過ぎはないでしょうか。
我々が与党であった時代にも、公共事業は抑制してきましたが、一昨年からの「百年に一度」と言われる不況に直面して大型の補正予算も組み、懸命に景気の底割れを防いできました。
厳然たる事実として公共事業に依存する地域があります。私の地元石川県で言えば、能登半島や白山のふもとの過疎地がその典型です。鳩山総理の北海道にもそうした地域は多いでしょう。そうした地域の人々がいま公共事業の大幅削減に先行きの希望を失っています。建設会社の破綻が相次ぎ、その関連産業も含めて雇用の場が失われ、人々の生活が脅かされています。昨年も私の友人が一人、自ら「いのち」を絶ちました。私は「コンクリートから人へ」というスローガンを素直に受け入れることができないでいます。
「コンクリートから人へ」。人のための政治は当然至極であり、私も人間のいのちと暮らしのために政治を志したのです。「人のため」は政治の目的です。「コンクリート」はその手段です。災害から人のいのち、安全を守るコンクリートもあれば、人の暮らしを便利に豊かにするコンクリートもあります。
先ほども申した通り、多くの人々が建設業に関連して生計を立てています。建設業法では二十八種もの業種があります。土木、建築、大工、左官、とび土工、石工、屋根、電気工事、管工事、タイル・れんが・ブロック、鋼構造物、鉄筋、舗装、しゅんせつ、板金、ガラス、塗装、防水、内装仕上、機械器具設置、熱絶縁、電気通信、造園、さく井、建具、水道施設、消防施設、清掃施設、以上です。
総理、お尋ねします。こうした多くの人々のなりわいと誇りを傷つける「コンクリートから人へ」というスローガンを総理は今後も使い続けるのでしょうか。
いわゆる「土建国家」からの脱却は必要ですが、現在の厳しい景気・雇用情勢を見れば、建設関連企業の急激な淘汰は決して好ましくないと考えます。前原大臣は建設業者は二十万社でも過大であると発言されたように伺いますが、どの程度の業者数が適正と考えますか。
また、建設業からの事業の転換や従業員の雇用について、どのような支援を講じる考えか、伺います。
私は今後の景気対策において、あえて公共事業を除外する必要はないと考えます。リーマンショック以降、米国や中国も大型の公共事業によって景気の底支えを行ったではありませんか。オバマ大統領の一般教書演説でも、米国は温暖化対策の側面もある高速鉄道網の整備などを目玉に、橋、高速道路といった社会基盤整備も「即座の雇用創出につながる」として景気対策の柱にしております。景気対策における公共事業の役割について、あえて総理の認識を伺います。
また、環境面に配慮すれば、わが国においても整備新幹線の促進は依然として大きな意義のある事業と考えますが、総理の認識を伺います。
(環境問題)
総理が「地球のいのち」と表現した環境問題について伺います。
総理は政権発足直後、我が国の温室効果ガス排出量を二〇二〇年までに一九九〇年比で二五パーセント削減すると高らかに表明しました。しかし、その後は温暖化問題解決に向けて、総理みずから指導力を発揮してきたと言えるでしょうか。民主党マニフェストに記載されていたガソリン税等の暫定税率を廃止し、地球温暖化対策税に一本化する案も、結局は小沢幹事長の圧力に屈して、あいまいな形で先送りしただけではないですか。
また、昨年末、コペンハーゲンにおけるCOP15でも総理の存在感は薄く、各国の議論を主導することもないままに終わりを迎えてしまいました。会議も事実上、結論の先延ばしで、ポスト京都議定書の枠組みはまだ見えてきません。
そもそも、国民的な合意を得る努力もないまま、したたかな各国首脳を相手に華々しく数値目標だけ先走って発信してしまったことは、外交戦略上、軽率だったのではありませんか。あとから「出来ませんでした」では、国民からも世界からも信用を失ってしまいます。
指導力欠如という評価を気にしたのか、総理は十分な議論も待たずに先日、国連気候変動枠組み条約の事務局に二五パーセント削減の目標値を提出しました。これもまた独善的ではありませんか。幅広い国民の声をお聞きください。
総理は昨年の臨時国会の答弁において、目標達成に向けての中身を「早急に明らかにする」と述べています。そこで改めて、今後、温室効果ガス二五パーセント削減に向けてどのような道筋を描いているのか、明確にお示しください。あわせて、その実現のためには、国民、産業界の負担は金額にして年間いくらを想定しているのか、具体的にご説明ください。
地球温暖化防止は国際社会が共通して取り組むべき大きな課題です。しかし、国民的合意のない、また国民の暮らしを脅かすパフォーマンスであっては決してならないことを申し述べておきます。
(憲法問題)
国の「かたち」であり「いのち」とも言うべき憲法問題について伺います。鳩山総理、あなたの憲法に対する姿勢が分かりません。
総理はかつて自衛軍の保持も盛り込んだ「新憲法試案―尊厳ある日本を創る」という著書を出しておられます。また、昨年末にも「ベストな国のあり方のための憲法をつくりたい」と憲法改正の意欲を示すとともに、民主党内や与野党間で改正論議を活性化させるべきだとの考えを表明されました。
しかし、先日の代表質問で総理は「首相という立場においては、特に重い憲法尊重擁護義務というものが課せられていると、そのようにも考えております。したがいまして、今はその私の考え方について申し上げるべきときではない、そのようにも考えております。私の在任中になどと考えるべきものだとも思っておりません」と述べ、憲法改正について自らの姿勢を鮮明にすることから逃れています。
しかし、総理や大臣が憲法改正を論ずることが憲法九十九条の憲法尊重擁護義務に違反しないことは明らかです。「無血の平成維新」と言うならば、今こそ国会や内閣など統治機構を含む新しい日本の国のかたちを大いに論ずるべきではありませんか。
平成十九年には憲法改正国民投票法も成立し、衆参両院に憲法審査会が設置されたものの、民主党の一部にも反対があり、二年半以上経過した今も規程すらなく全く機能していないことは、明らかに違法な状態であり、極めて遺憾であります。
鳩山総理には、民主党代表としても憲法審査会の始動に向けて指示をしていただきたい。その場で党利党略を超えて、大いに議論しようではありませんか。憲法審査会の問題も含めて、憲法改正について、政治家鳩山総理のご所見を伺います。
(むすびに)
むすびに申し上げます。私は昨年九月十六日、鳩山政権発足の日、ある報道関係者から問われて「小鳩内閣」というニックネームをつけました。その後、割合よく使われる表現となりましたが、「小鳩」の「小」は小沢幹事長の「小」であり、小沢幹事長が鳩山総理の頭越しに仕切る内閣になるのではないかと予測したのでありますが、その予測は的中したようです。
このような不正常な政権構造はただちに解消すべきであります。そして、鳩山総理みずからと小沢幹事長は「政治と金」の問題について一刻も早く国民に説明責任を果たすべきであります。
このことを強く訴えて、私の質問を終わります。