2009年12月24日

政府税制改正大綱決定にあたって

 平成21年12月23日、自由民主党 税制調査会長 野 田   毅


 わが党は、去る12月11日に「平成22年度税制改正に関する基本的考え方」をまとめた。すなわち、昨年末わが党が決定した消費税を含む税制の抜本改革を最優先課題とし、来年度の税制改正は、緊急性の極めて高いものについての改正にとどめるべきであるとした。

 しかし、平成22年度政府税制改正大綱を見ると、税制の整合性や国・地方の税財源のあり方は全く顧慮せず、小手先の改正やつじつま合わせ、民主党が先の総選挙で掲げたマニフェストの実行に向けた財源あさりに終始している。

 特に、揮発油税等の暫定税率分については、財源確保のため、仕組みはいったん廃止するが新たな税制措置に置き換えるとし、事実上の「維持」である。また、住民税の扶養控除等も廃止するとされている。これらは明らかに公約違反のマニフェスト詐欺の内容であり、国民を騙し打ちする様なやり方は到底容認することはできない。

 また、税制改正のプロセスを見ても、自民党税制調査会では、全議員が参加し、開かれた議論と政策決定が行われていたのと大きく異なり、報道によると、政府税制調査会は事実上機能停止し、最終的には小沢幹事長の「天の声」によって差配されたところであり、「透明性」と「政府への政策の一元化」を謳いながらも、実際のところは極めて「密室」的で「党権力への一元化」的な決め方であった。
 なお、当面の重要課題についての見解は以下の通りである。

1.暫定税率維持
 そもそも、「課税の根拠を失った暫定税率は廃止して、税制に対する国民の信頼を回復する」(マニフェスト)の公約違反である。昨年春、暫定税率「廃止」でガソリン値下げ隊まで繰り出して旗を振り、審議を引き延ばして強引に税率を下げさせるなど、国民を混乱させたのは一体どの政党であったのか。ガソリン価格については、徐々に上昇傾向にある。
 一方で、「維持」した上での地方の道路整備や国・地方の税財源のあり方についての全体像が不明確である。また、CO2の25%削減を高らかに謳い上げながら、地球温暖化対策への対応について先送りしたことも大きな問題である。

2.控除の見直し
 控除の見直しについても、マニフェストからは大きく逸脱する内容である。子ども手当の財源あさりの一環として所得控除を廃止することは、新たな不公正を発生させることになり言語道断である。また、約2.3兆円もの巨額の財源を子ども手当に充てるのであれば、幼児教育の無償化、待機児童解消等の子育て支援充実や景気・雇用対策等に充てた方が、政策効果が高いのは明らかである。

3.たばこ税
 たばこ1本につき5円もの値上げは近年類を見ない値上げ幅である。国民の健康の観点からという理由で値上げが決まったが、何故に5円の引上げなのかの説明がない。たばこ税引き上げには、健康に関するあらゆる総合的な検討、葉たばこ農家、たばこ小売店等への影響も勘案した十分な検討が必要だが、今回の決定は、これらを捨象した唐突なものであり、国・地方を通じての貴重な財政物資という基本的性格を損ねる極めて拙速な措置である。

shige_tamura at 15:49│Comments(0)TrackBack(0)clip!自由民主党 

トラックバックURL

この記事にコメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価: 顔   
 
 
 
ランキング一覧

人気blogランキング

人気blogランキングに参加しました。
応援よろしくお願いします。
月別アーカイブ
最新コメント