2009年10月29日
自民党政策審議会長・林芳正氏の参院代表質問
一、 はじめに・政権交代の総括
私は自由民主党・改革クラブを代表して、先日の鳩山総理の所信表明演説について質問致します。
冒頭、間もなく11月12日を迎えますが、本年は天皇陛下ご即位20年という誠に喜ばしい年であり、国民こぞってお慶び申し上げたいと存じます。
質問に先立ちまして、ここ数カ月間におけるたび重なる自然災害によって大きな被害を受けられた皆様方に対し、心よりお悔やみとお見舞いを申し上げます。また、政府には、でき得る限りの善後策を迅速にとられるよう要望致します。
先の総選挙によって自由民主党は大幅に議席を失い、野党に転落をいたしました。 自民党は、世の批判に改めて真摯に耳を傾け、改めるべきは大胆に改め、真の国民政党として、日本の平和と発展のために、しっかりと再生を遂げねばならないと決意いたしております。
国民の皆様の厳しいご叱責をいただいたなかで、幸い、多くの有権者のご支援をいただいたことも事実でありますし、また、「日本のために自民党がしっかり再生すべき」との声も非常に多くいただいております。
われわれは、身を引き締めて、いかにして日本を豊かにしていくか、国会において真剣な議論を重ね、国民の皆様の期待にお応えしていかねばならないと思っております。
選挙期間中も、「自民党には不満があり、民主党には不安がある」ということがよく聞かれました。政策の中身の問題なのか、物事をとらえるときの目線・姿勢の問題なのか、自民党に対する不満の中身を良く分析・検討する必要があります。そしてもう一度、立党の原点に立ち帰って、額に汗した努力が必ず報われる、又今努力出来ない状況にある人が、がんばれる状況になれるようサポートしていく、こうした保守の理念の再構築をしっかりやっていくことによって、再び国民の皆様の信頼をとりもどしていかねばなりません。
一方民主党に対する不安が少しづつ現実のものとなってきております。選挙中にも「そんなうまい話しがあるのか」という声が多く聞かれましたが、「一度やらせてみようじゃないか」という大きな声にかき消されてしまいました。全体的にも個々にも随所に無理の多い民主党の政策を、今後十分な国会議論を通じて質していきます。
今日はまず代表質問で民主党の政治姿勢と基本政策のありようについて限られた時間の中ではありますが、時間の許す限り問い質したいと思います。
二、 国家ビジョン
自民党は、谷垣総裁も衆議院の代表質問で述べましたように、自助・共助・公助による絆社会を打ち立てたいと考えております。いきなり公助ありきの社会主義的な政策によって国民の自主性や活力を削いでしまうのではなく、国民のやる気が、元気がわく政策を行うべきです。
全ての家庭にまんべんなく巨額の現金を支給するなどという政策を好況・不況にかかわらず続けるような政策では、その政策自体の持続可能性も疑わしいうえに、自助努力がおざなりにされ、「機会の平等」よりも「結果の平等」を指向するような活気のない国家になってしまうのではないでしょうか。
民主党は、子ども手当をはじめとするさまざまな家計への給付や、企業に課す最低賃金の大幅な引上げや、郵政民営化の方向転換や高速道路の無料化などによる事実上の国有化など、家計・企業・国を通じて、極めて社会主義的な政策を数多く提唱していますが、そうした政策を積み重ねていけば、かつて “英国病”と言われた1970年代までの労働党政権下の英国や80年代のミッテラン社共連合政権のフランスのように、一時的にはバラマキ政策によって国民に喜ばれても、次第に国民の活力が低下していき、国家全体が国際競争から取り残される結果となり、政策転換を余儀なくされたのと同じことになるのであって、そのことは既に歴史が教えているところなのではないでしょうか。
しかも、かつての英国やフランスに比し、今の日本は、はるかに厳しい状況におかれています。急激にすすむ少子高齢化、また急速に発展しつつある中国やインドなどの新興諸国との国際競争にさらされる今、なおさらそのような社会民主主義的な国家運営は日本の将来を危うくするものだと思いますが、総理の国家運営に臨む姿勢について明確にお答えいただきたいと思います。
三、 政策
1) マニフェスト
まず、民主党のマニフェストに関してお尋ねします。
月曜の総理の所信表明演説をお聞きしてがっかりしたのは私だけではないでしょう。そよ風のような心地よいお題目や、心温まるエピソードも結構ですが、この国をどうしていくかという国家ビジョンが、又その実現のための具体的方策が、全く見えてきません。熱い夏に飛ぶように売れたソフトクリームにはタネはないのかもしれませんが、タネを撒かねば来年の実りはありません。あなたが総選挙で掲げたマニフェストにはもう少しは具体性がありました。しかし所信表明演説では、総選挙であれほど高らかに謳った「マニフェスト」について一言も触れていません。新内閣発足後に各閣僚がそろってマニフェスト通りにやると口々に述べたにもかかわらず、そのマニフェストについて総理の所信演説で一切触れていないのはなぜでしょうか。「3党連立合意の下に」と言われましたが、民主党のマニフェストはそこに包摂されているということなのでしょうか。
政権発足後の1か月半をみておりますと、マニフェストの位置づけは必ずしも明確ではなく、八ツ場ダムの中止のようにマニフェストに書いたので、地方の意見はどうであれ中止するという一方で、長寿医療制度の来年度からの廃止や歳入庁の発足はあっさりと撤回するなど、幾つもの軌道修正も行われています。そもそもマニフェストは、できもしないことを急場で熟慮なく造ったものが数多くあるように思われますが、政権としてどう位置づけるのでしょうか。マニフェストを変えるか変えないかは担当大臣の判断なのか、総理の見解をもとめます。
また、民主党のマニフェストには、財政規律についてのビジョン・方針や経済成長戦略がありませんが、そうした国家運営の重要な指針について、いったいどうするつもりなのか、所信表明演説を聴いていても明確に打ち出されませんでしたが、いつ国民に示すおつもりなのでしょうか。
既に各府省は概算要求を提出し終えていますが、今後、成長戦略が策定されるとしても、それは予算の裏づけのないものばかりになるのでしょうか。
2) 補正予算等
続いて、補正予算の見直しなど、予算編成に関してお尋ねします。
先日、今年度補正予算について、2兆9千億円余り執行停止するという決定をされましたが、政府として国会が議決した予算の執行をしないということは、「国権の最高機関」の決定に「執行の府」たる政府が従わないということになりますが、その法的正当性についてどう説明されるのでしょうか。なぜ正々堂々と減額の為の補正予算案をこの国会に提出されないのでしょうか。
また、各大臣を「査定大臣」と呼んで各大臣に見直しをさせるとともに、行政刷新会議で「仕分け人」による見直しをするとのことですが、そうした実態は、財政法上では各大臣からの要求を財務大臣が査定するとされていることとの法的整合性がとれないのではありませんか。仕分け人の法的性格、正当性はどこにあるのでしょうか。
そもそも、査定大臣が必要と判断して要求した国会対策の研修も済んでいないような仕分け人がムダだということはどういうことでしょうか。違った基準で判断するのでしょうか、それとも、政務3役が官僚に取り込まれたということでしょうか。
ムダの判定基準は、いったい何をもってどう決めているのでしょうか。執行済みかどうかというのは、ムダかどうかとは違います。3兆円に達するかどうかといのも、ムダかどうかではありません。BバイCすなわち費用対効果といった検証など、いったいどういう判断をしたのかも含め、査定プロセスの透明化を強調しておられるのですから、明確にお答えいただきたいと思います。
また、補正予算を削減しても、それは単年度の財源でしかあり得ないのに、来年度以降恒久的に実施しようとする子ども手当をはじめとする新規政策の財源に充てるかの如き説明が聞かれますが、全くおかしいのではありませんか。
補正予算の執行を停止して、それを今年度中の2次補正や来年度の当初予算で事実上繰り返すようなことでは、単に、景気対策の“政治空白”をもたらすだけのことであり、景気の二番底をもたらすだけです。査定大臣と名乗っていたにもかかわらず概算要求でそのような繰り返しの要求項目も多数含まれているそうですが、そのような「剥がして、またつける」というようなことはしないと明言できますか。
先日の行政刷新会議の後、民間議員の稲盛・京セラ名誉会長は記者団に、「景気の二番底が言われている。削減をしていくと景気にいい影響は及ぼさない。それを承知の上で国民に一つ辛抱して頂きたい。(まず無駄を省いて、筋肉体質に変えていけば、次の景気回復の時には今まで以上に回復しているはずだ。)」と語りました。
大変率直なコメントだと思いますが、総理もそれを追認するような発言をされたと報じられていますが、総理も景気は悪くなるが、国民には辛抱して頂くという考えだと理解してよろしいですか。失業者は361万人、10か月連続で増加しています。筋肉体質に変えていくという間にもっと増えていくのではありませんか。国民がどんどん疲弊していくことにいたずらに拍車をかけようとしているのではありませんか。
そもそも民主党は、シーリングなどの単年度の財政規律も、プライマリーバランスの黒字化や債務残高のGDP比の引下げなどの中期的な財政健全化目標も、いずれも掲げていませんが、本来、予算編成に合わせてそうした方針を策定しておくべきなのではないでしょうか。昨日の谷垣総裁への総理の答弁で、「23年度以降、菅大臣のもとで、国家戦略室において、中長期財政フレームの策定を検討してまいります」と答弁されていますが、あまりにもおそくはないですか。すくなくとも平成22年度と23年度の予算は、こうした中長期財政フレームなしに編成をされるという事なのか財務大臣の見解をお聞きします。
3)成長戦略
次に、成長戦略についてお尋ねします。
つい先日、自動車メーカーのホンダが今後の設備投資は海外で行うことを決めたと報じられていますが、こうした動きが続けば国内の雇用が減ることは必定です。民主党は、経済成長戦略もないままに政権を発足させましたが、各府省がバラバラに個々の産業政策に取り組むというだけでは、調和のとれた効率的な成長は遂げられません。そうした成長戦略なきままに、概算要求を各府省バラバラに提出させたのですが、補正予算の執行停止にしても、概算要求にしても、確固たる成長戦略の下に策定を進めるのが本来あるべき姿であり、あまりにも闇雲で野放図と言わざるを得ないのではないでしょうか。
そればかりか、民主党政権によって、円高容認と受け取れる発言が繰り返され、最低賃金の大幅な引上げが叫ばれ、製造業派遣の禁止が唱えられ、環境問題のとてつもなく高い目標が掲げられるような状況の下では、日本の将来性に疑問を抱いて雇用や設備投資を海外に移そうという動きが起こっても決して不思議ではないのではないでしょうか。
実際、私のところにも、製造業の方から、「出て行けということですか」というため息まじりの声が届いています。日本経済は、政策による下支えから、民需主導の自律的回復へのまさにバトンゾーン、正念場にあります。今後の設備投資をどうするか、来年の採用をどうするか、といった大事な判断がまさに行われようとしている時に、政治が経済の足をひっぱってよい訳がありません。
内需拡大というだけで経済がうまく回るのでしょうか。家計にばらまくというだけで消費が増えるでしょうか。今のような「雇用不安」のある急激な不況の下では、家計は消費に対して慎重・消極的で、貯蓄性向が高いと考えられます。民主党は太陽光パネル設置を含めたスクールニューディール政策や農地集積支援政策をやめてしまうとのことですが、生産面すなわちサプライサイドの政策についてどうお考えなのでしょうか。また、エコポイントなどもやめてしまうとのことですが、消費にインセンティブを与えるような政策はやめて、ただ単に家計にお金を渡すだけで本当に景気がよくなると考えているのでしょうか。
われわれは今年度の1次補正予算を、未来志向で、中長期の成長戦略を踏まえて策定しました。民主党も、成長戦略を持っていたならば、単純に削減するということにはならなかった項目も多いのではないでしょうか。
こうして見て参りますと、民主党の政策は、目先の耳当たりのよい政策の羅列ばかりで、中長期的な成長戦略もなく、また中長期的な財政規律意識も欠けており、このままでは21世紀版英国病のようなことになってしまうのではないでしょうか。短期の鳩山不況、中期の財政破綻、長期の英国病という国民の不安に総理はどういう具体策で応えていかれますか。
4)外交・安保
次に、外交・安全保障についてお尋ねします。
わが国の独立と平和と繁栄のために、外交・安全保障が重要であることは論を待ちませんが、相手のあるこの世界では信頼関係こそが大切であり、そのためには相手国との約束をきちんと守る姿勢というものが基本であると考えます。
大切な信頼関係を維持するためにも、総理はもちろん閣僚の発言・発信は十分に統一性・整合性をもって外にでていかなければなりません。残念ながらこれまで、普天間移設問題一つとっても、耳を疑うような発言が相次いでいます。鳩山総理は党代表時代は「最低でも県外」とおっしゃいました。その後「時間というファクターで変化する可能性も否定しない」と状況次第では県内移設を認める可能性を示し、岡田外務大臣は「県外はない」「私は嘉手納統合案だと思う」とのべ、これに対し総理は、外相発言は個人的な考えとの見方を示し、「最終的に決めるのは私だ」とのべ、さらに北沢防衛大臣は辺野古移転に「選挙公約をまったくみたしていないと認識するのは間違いだ」、これに対し岡田外務大臣は「論理的に苦しい」、総理は「わたしは必ずしもそうは思っていない」とのべられています。このことがどれだけ沖縄の人の怒りをかっているか、同盟国米国にあやまったメッセージを送り続けているか。そもそも鳩山政権ではこのような国の大事な外交方針について関係閣僚間での調整というものを行われていないのではないか。またいないとすれば各閣僚がバラバラに勝手な事を発言される事はかまわないという事でしょうか。総理のご見解を質します。
さらに岡田大臣には「県外は難しい」「嘉手納が選択肢」というご発言が個人的見解なのか確認致します。また、会見でそのことを断った上でその発言をされたのか確認いたします。
3党合意書には「沖縄県民の負担軽減の観点から、日米地位協定の改定を提起し、米軍再編や在日米軍基地のあり方についても見直しの方向で臨む」と明記されております。福島大臣には県内移設がこの3党連立政策合意に反しないのかご見解をお伺いします。
普天間の移設問題にしろ、日米地位協定の見直しにしろ、総理は再三発言がブレており、トップ・リーダーとしての定見なしに閣僚の意見をその時その時で追認しているだけのように見受けますが、そのようなことでは国家間の信頼は築けません。先日の日中韓首脳会談で、鳩山総理は「今までややもすると米国に依存しすぎていた」などと発言し、米国に無用の刺激を与えてしまったところですが、オバマ大統領の来日を前に、日米同盟のあり方をはじめ、普天間の移設問題や日米地位協定の見直しに対する総理の確固たるお考えをお聞かせください。
また、総理はEUを念頭に「東アジア共同体」構想を示されましたが、東アジア諸国は、EU加盟諸国とは規模も政治体制も全く異なり、同様に考えるのは無理があるのではないでしょうか。また、貿易その他の経済協調には触れていますが、安全保障は取り扱わないのでしょうか。もしそうであれば、それは特段新しい構想とは思えませんがいかがでしょうか。「東アジア共同体」という7文字以外に具体的な構想をお持ちですか。
インド洋の補給支援についても「単純延長はしない」とし「大きな文脈の中で対処していく」としていますが、「大きな文脈の中で」とはどういう意味でしょうか。
鳩山内閣の外交は、海外の報道で“思いつき外交”などと揶揄され始めています。もっと継続性を重視し、国際的信頼関係を大切にする重厚な外交を行っていただきたいものだと考えます。
5)CO2
次に、地球温暖化対策についてお尋ねします。
総理はマニフェストに忽然と掲げた90年比25%削減という数字をいきなり国際公約として提示してしまいました。あまりにも実現可能性の乏しい法外な数字だと専門家や経済界などの間で反論も多いところであり、国際公約としてしまう前に、まず国内での検証や議論を十分に尽くすべきだったのではないでしょうか。
このままでは、国民に膨大な負担を強い、日本経済と国民生活に極めて重い足かせをはめ、かつ、あげくの果てに国際的信用も損ねることになるのではありませんか。きちんとした科学的検証や国民的論議をまず行うべきだったのであって、日本がそんな高い目標を乗り越えられるかどうかについて、「私は確信しております」というだけでは、まったく非科学的で、国民はますます不安になるばかりではないでしょうか。
6)郵政民営化
郵政問題についても一つお聞きしておかねばなりません。
今回、鳩山内閣として、日本郵政株式会社の社長に財務次官OBの斎藤次郎氏を充てることを決めたと発表しましたが、郵政民営化をどうするかについて新政権として国民的議論を尽くし、きちんとした方向を決めてから人選をするべきだったのではないでしょうか。また、指名委員会の手続き等を経ないまま、総務大臣の認可権や財務大臣の議決権をも越えていきなり亀井大臣が事実上の指名をするというのは、法令の規定に基づくものとは言えず、株式会社の経営に対する政府の関与の仕方として越権であると言わざるを得ないのではないでしょうか。
この人事は、明らかに“わたりのあっせん”そのものであり、天下り・わたりの根絶を主張していた民主党が自ら言わば政治主導でわたりをあっせんしたものにほかなりません。民主党は、野党時代に、官僚出身ということで日銀総裁人事に反対しました。退職後5年経った方は官僚出身だからだめ、14年たったらもういいだろうというのであれば、いったい何年経ったら「過去官僚」でなくなるのか総理の見解を求めます。
7)JAL
日本航空の再建はその途上にあり、途中であれこれ言うつもりはありませんし、不測の影響を与えるつもりもありません。しかし、生きている会社のことであり、慎重に対処すべきです。新しい政策が不具合を巻き起こす可能性があります。そうした“政治空白や大臣の不用意な発言”による風評被害で生じた穴を、税で穴埋めするなど、国民の理解をおよそ得られないのではないでしょうか。国交大臣への見解をおうかがいします。
8)国と地方
国と地方の関係についてお尋ねします。
総理は「国が地方に優越する上下関係から、対等の立場で対話していける新たなパートナーシップ関係へ抜本的に転換」すると言われましたが、今回の予算の見直しにおいては、八ツ場ダムの中止をはじめとして、地方の関係者の方々から断腸の思いを吐露する声があがっているものが数多くあります。また、子育て応援手当の廃止のように、それこそ国と地方のパートナーシップで円滑に進めていたものを紙一枚で止めてしまうようなものもあり、鳩山内閣がやっておられることはむしろ「国が地方に優越する上下関係」を構築するようなことになっているのではないでしょうか。よもや、八ツ場ダム、川辺川ダムのように、民主党が立候補者を立てていないところでは例外だということではないと思いますが、地方に対する本当の意味でのパートナーシップを実行していただきたいと考えますがいかがでしょうか。
9)八ツ場ダム
八ツ場ダムについてお聞きします。前原国交大臣は先日この問題について、治水・利水の観点から再検証をされるとおっしゃっておられますが、そもそもマニフェストを作ったときにこうした検証を全くせずに中止を決めたのですか。なぜ川辺川ダム、八ツ場ダムの二つが明示的に中止で、他と区別されたのか根拠をお示し下さい。関係都県の知事がおっしゃっておられるように再検証するなら中止を撤回すべきだと思いますが、大臣の見解を問います。
10)行革
この国会に提出予定の国家公務員給与法についてもお聞きします。民主党はマニフェストにおいて、新規の政策の為の財源の一つとして人件費2割カットで1.1兆円とかかげています。当然のことながら人件費を2割カットするためには給与を2割引き下げるか、定数を2割削減するか又その組み合わせが必要となります。来年の給与がこの給与法にあるように人事院勧告通りになるとすれば、給与は今年とほぼ同水準ということであり、定員を2割カットしなければマニフェストにあげられた1.1兆円の節約は出来ないことになります。先般出された概算要求には当然定員2割カットが前提となって提出されていると考えますが財務大臣に見解を求めます。
四、政権運営・政治姿勢
ほかにも多々お尋ねしたいことがありますが、改めて各委員会等の場でお伺いすることとしつつ、最後に総理の政治姿勢にかかわることをお聞きします。総理は先日、「国民が赤字国債を増やすなというならマニフェストの見直しもあり得る」という趣旨の発言をされましたが、2つの意味でおかしいのではありませんか。
まず、子ども手当等や高速道路の無料化などあらゆるばらまきをして本当に大丈夫なのかという疑問に対して、あなたは「日本の大掃除をいたしましょう」とか「まったく心配しておりません」と言いつのり、ムダ排除で財源は十二分に確保できるとしていたのに、いつの間に財源を赤字国債に頼らざるを得ないかの如き話になったのですか。議論のすり替えも甚だしく、公約違反を誤魔化そうとするものであります。
また、「国民が(赤字国債の増発を)やめろと言うなら(マニフェストの実行を)やめます」などと、もともと非現実的であったマニフェストを履行できないことについて責任転嫁、責任逃れをしようとするものであり、情けないと言わざるを得ません。多くの国民は「こんなうまい話しはあるのかな」と思いながらも、もっともらしい行程表のとおり予算の組み替えや無駄の削減、埋蔵金の活用などで、赤字国債を全くふやさずに子供手当、高速道路無料化、などの政策ができるのならいいよねという事で鳩山マニフェストを選んだのです。こうゆう論理のすりかえは総理大臣としてはもとより、為政者として恥ずべき姿勢ではありませんか。その姿勢こそ私はこの代表質問において問い質さねばならないと思っています。国民の皆さんも、そんな総理の発言を聞いて、ますます「不安」になったのではないでしょうか。民主党に任せようとしたら、自分たち国民に拠りけりだと逆に他人任せなことを言われたのですから。そういう姿勢で政治をされるのであれば、議会制民主主義の意味はなく、個々の政策テーマごとに直接選挙すればよいということにもなります。鳩山総理の為政者としての見識が問われると思いますが、総理のご所見をお伺いいたします。
それから、故人献金問題について、「ご迷惑をおかけした」というひと言で片付けていただいては困ります。「捜査に協力」などということで誤魔化していただくわけにも参りません。これまで民主党は、国会の場で説明しろとさんざん主張して来たではありまんせんか。それを総理大臣の問題となったのに、どうして説明責任を果たそうとしないのですか。所信表明演説で、予算の透明化などと言いつつ、その直後に、ご自分の疑惑については不透明化しようという姿勢で、国民がうなずけるはずがありません。
鳩山総理は以前「秘書の罪は議員の罪」などと言っておられました。その考えは今も変わりありませんか。
特に、この問題は、西松建設事件などでおっしゃっておられましたように、「献金した側の所業であって議員の側としては知らなかった」などと言えるものではなく、これは紛れもなく鳩山議員事務所自身が行った不正行為なのです。ですから、総理自身が、当然に明確な説明をする必要があると考えますがいかがでしょうか。
故大平総理は、老子の、「大国(たいこく)を治むるは小鮮(しょうせん)を煮るが如くす」という言葉をよく引いておられました。政治には実行の前の十分な議論・検証をする繊細さが必要だということです。いたずらに社会民主主義的なばらまきを講じて、“先楽後憂”のようなさかさまの政治で国家・国民を誤った方向に導いてはなりません。今民主党政権が為すべきことは、非現実的なマニフェストの実現に汲々とするのではなく、我が国の将来を見据え、経済再生への戦略を立て、財政健全化への道筋と中長期を見渡した責任ある賢明な方針を明らかにされることだと思います。これこそが政権に課せられた責務ではないでしょうか。鳩山総理が為政者として、総理として、不協和音を奏でる素人指揮者ではなく、真のリーダー・シップを示されますよう望みまして、私の代表質問を終わります。
私は自由民主党・改革クラブを代表して、先日の鳩山総理の所信表明演説について質問致します。
冒頭、間もなく11月12日を迎えますが、本年は天皇陛下ご即位20年という誠に喜ばしい年であり、国民こぞってお慶び申し上げたいと存じます。
質問に先立ちまして、ここ数カ月間におけるたび重なる自然災害によって大きな被害を受けられた皆様方に対し、心よりお悔やみとお見舞いを申し上げます。また、政府には、でき得る限りの善後策を迅速にとられるよう要望致します。
先の総選挙によって自由民主党は大幅に議席を失い、野党に転落をいたしました。 自民党は、世の批判に改めて真摯に耳を傾け、改めるべきは大胆に改め、真の国民政党として、日本の平和と発展のために、しっかりと再生を遂げねばならないと決意いたしております。
国民の皆様の厳しいご叱責をいただいたなかで、幸い、多くの有権者のご支援をいただいたことも事実でありますし、また、「日本のために自民党がしっかり再生すべき」との声も非常に多くいただいております。
われわれは、身を引き締めて、いかにして日本を豊かにしていくか、国会において真剣な議論を重ね、国民の皆様の期待にお応えしていかねばならないと思っております。
選挙期間中も、「自民党には不満があり、民主党には不安がある」ということがよく聞かれました。政策の中身の問題なのか、物事をとらえるときの目線・姿勢の問題なのか、自民党に対する不満の中身を良く分析・検討する必要があります。そしてもう一度、立党の原点に立ち帰って、額に汗した努力が必ず報われる、又今努力出来ない状況にある人が、がんばれる状況になれるようサポートしていく、こうした保守の理念の再構築をしっかりやっていくことによって、再び国民の皆様の信頼をとりもどしていかねばなりません。
一方民主党に対する不安が少しづつ現実のものとなってきております。選挙中にも「そんなうまい話しがあるのか」という声が多く聞かれましたが、「一度やらせてみようじゃないか」という大きな声にかき消されてしまいました。全体的にも個々にも随所に無理の多い民主党の政策を、今後十分な国会議論を通じて質していきます。
今日はまず代表質問で民主党の政治姿勢と基本政策のありようについて限られた時間の中ではありますが、時間の許す限り問い質したいと思います。
二、 国家ビジョン
自民党は、谷垣総裁も衆議院の代表質問で述べましたように、自助・共助・公助による絆社会を打ち立てたいと考えております。いきなり公助ありきの社会主義的な政策によって国民の自主性や活力を削いでしまうのではなく、国民のやる気が、元気がわく政策を行うべきです。
全ての家庭にまんべんなく巨額の現金を支給するなどという政策を好況・不況にかかわらず続けるような政策では、その政策自体の持続可能性も疑わしいうえに、自助努力がおざなりにされ、「機会の平等」よりも「結果の平等」を指向するような活気のない国家になってしまうのではないでしょうか。
民主党は、子ども手当をはじめとするさまざまな家計への給付や、企業に課す最低賃金の大幅な引上げや、郵政民営化の方向転換や高速道路の無料化などによる事実上の国有化など、家計・企業・国を通じて、極めて社会主義的な政策を数多く提唱していますが、そうした政策を積み重ねていけば、かつて “英国病”と言われた1970年代までの労働党政権下の英国や80年代のミッテラン社共連合政権のフランスのように、一時的にはバラマキ政策によって国民に喜ばれても、次第に国民の活力が低下していき、国家全体が国際競争から取り残される結果となり、政策転換を余儀なくされたのと同じことになるのであって、そのことは既に歴史が教えているところなのではないでしょうか。
しかも、かつての英国やフランスに比し、今の日本は、はるかに厳しい状況におかれています。急激にすすむ少子高齢化、また急速に発展しつつある中国やインドなどの新興諸国との国際競争にさらされる今、なおさらそのような社会民主主義的な国家運営は日本の将来を危うくするものだと思いますが、総理の国家運営に臨む姿勢について明確にお答えいただきたいと思います。
三、 政策
1) マニフェスト
まず、民主党のマニフェストに関してお尋ねします。
月曜の総理の所信表明演説をお聞きしてがっかりしたのは私だけではないでしょう。そよ風のような心地よいお題目や、心温まるエピソードも結構ですが、この国をどうしていくかという国家ビジョンが、又その実現のための具体的方策が、全く見えてきません。熱い夏に飛ぶように売れたソフトクリームにはタネはないのかもしれませんが、タネを撒かねば来年の実りはありません。あなたが総選挙で掲げたマニフェストにはもう少しは具体性がありました。しかし所信表明演説では、総選挙であれほど高らかに謳った「マニフェスト」について一言も触れていません。新内閣発足後に各閣僚がそろってマニフェスト通りにやると口々に述べたにもかかわらず、そのマニフェストについて総理の所信演説で一切触れていないのはなぜでしょうか。「3党連立合意の下に」と言われましたが、民主党のマニフェストはそこに包摂されているということなのでしょうか。
政権発足後の1か月半をみておりますと、マニフェストの位置づけは必ずしも明確ではなく、八ツ場ダムの中止のようにマニフェストに書いたので、地方の意見はどうであれ中止するという一方で、長寿医療制度の来年度からの廃止や歳入庁の発足はあっさりと撤回するなど、幾つもの軌道修正も行われています。そもそもマニフェストは、できもしないことを急場で熟慮なく造ったものが数多くあるように思われますが、政権としてどう位置づけるのでしょうか。マニフェストを変えるか変えないかは担当大臣の判断なのか、総理の見解をもとめます。
また、民主党のマニフェストには、財政規律についてのビジョン・方針や経済成長戦略がありませんが、そうした国家運営の重要な指針について、いったいどうするつもりなのか、所信表明演説を聴いていても明確に打ち出されませんでしたが、いつ国民に示すおつもりなのでしょうか。
既に各府省は概算要求を提出し終えていますが、今後、成長戦略が策定されるとしても、それは予算の裏づけのないものばかりになるのでしょうか。
2) 補正予算等
続いて、補正予算の見直しなど、予算編成に関してお尋ねします。
先日、今年度補正予算について、2兆9千億円余り執行停止するという決定をされましたが、政府として国会が議決した予算の執行をしないということは、「国権の最高機関」の決定に「執行の府」たる政府が従わないということになりますが、その法的正当性についてどう説明されるのでしょうか。なぜ正々堂々と減額の為の補正予算案をこの国会に提出されないのでしょうか。
また、各大臣を「査定大臣」と呼んで各大臣に見直しをさせるとともに、行政刷新会議で「仕分け人」による見直しをするとのことですが、そうした実態は、財政法上では各大臣からの要求を財務大臣が査定するとされていることとの法的整合性がとれないのではありませんか。仕分け人の法的性格、正当性はどこにあるのでしょうか。
そもそも、査定大臣が必要と判断して要求した国会対策の研修も済んでいないような仕分け人がムダだということはどういうことでしょうか。違った基準で判断するのでしょうか、それとも、政務3役が官僚に取り込まれたということでしょうか。
ムダの判定基準は、いったい何をもってどう決めているのでしょうか。執行済みかどうかというのは、ムダかどうかとは違います。3兆円に達するかどうかといのも、ムダかどうかではありません。BバイCすなわち費用対効果といった検証など、いったいどういう判断をしたのかも含め、査定プロセスの透明化を強調しておられるのですから、明確にお答えいただきたいと思います。
また、補正予算を削減しても、それは単年度の財源でしかあり得ないのに、来年度以降恒久的に実施しようとする子ども手当をはじめとする新規政策の財源に充てるかの如き説明が聞かれますが、全くおかしいのではありませんか。
補正予算の執行を停止して、それを今年度中の2次補正や来年度の当初予算で事実上繰り返すようなことでは、単に、景気対策の“政治空白”をもたらすだけのことであり、景気の二番底をもたらすだけです。査定大臣と名乗っていたにもかかわらず概算要求でそのような繰り返しの要求項目も多数含まれているそうですが、そのような「剥がして、またつける」というようなことはしないと明言できますか。
先日の行政刷新会議の後、民間議員の稲盛・京セラ名誉会長は記者団に、「景気の二番底が言われている。削減をしていくと景気にいい影響は及ぼさない。それを承知の上で国民に一つ辛抱して頂きたい。(まず無駄を省いて、筋肉体質に変えていけば、次の景気回復の時には今まで以上に回復しているはずだ。)」と語りました。
大変率直なコメントだと思いますが、総理もそれを追認するような発言をされたと報じられていますが、総理も景気は悪くなるが、国民には辛抱して頂くという考えだと理解してよろしいですか。失業者は361万人、10か月連続で増加しています。筋肉体質に変えていくという間にもっと増えていくのではありませんか。国民がどんどん疲弊していくことにいたずらに拍車をかけようとしているのではありませんか。
そもそも民主党は、シーリングなどの単年度の財政規律も、プライマリーバランスの黒字化や債務残高のGDP比の引下げなどの中期的な財政健全化目標も、いずれも掲げていませんが、本来、予算編成に合わせてそうした方針を策定しておくべきなのではないでしょうか。昨日の谷垣総裁への総理の答弁で、「23年度以降、菅大臣のもとで、国家戦略室において、中長期財政フレームの策定を検討してまいります」と答弁されていますが、あまりにもおそくはないですか。すくなくとも平成22年度と23年度の予算は、こうした中長期財政フレームなしに編成をされるという事なのか財務大臣の見解をお聞きします。
3)成長戦略
次に、成長戦略についてお尋ねします。
つい先日、自動車メーカーのホンダが今後の設備投資は海外で行うことを決めたと報じられていますが、こうした動きが続けば国内の雇用が減ることは必定です。民主党は、経済成長戦略もないままに政権を発足させましたが、各府省がバラバラに個々の産業政策に取り組むというだけでは、調和のとれた効率的な成長は遂げられません。そうした成長戦略なきままに、概算要求を各府省バラバラに提出させたのですが、補正予算の執行停止にしても、概算要求にしても、確固たる成長戦略の下に策定を進めるのが本来あるべき姿であり、あまりにも闇雲で野放図と言わざるを得ないのではないでしょうか。
そればかりか、民主党政権によって、円高容認と受け取れる発言が繰り返され、最低賃金の大幅な引上げが叫ばれ、製造業派遣の禁止が唱えられ、環境問題のとてつもなく高い目標が掲げられるような状況の下では、日本の将来性に疑問を抱いて雇用や設備投資を海外に移そうという動きが起こっても決して不思議ではないのではないでしょうか。
実際、私のところにも、製造業の方から、「出て行けということですか」というため息まじりの声が届いています。日本経済は、政策による下支えから、民需主導の自律的回復へのまさにバトンゾーン、正念場にあります。今後の設備投資をどうするか、来年の採用をどうするか、といった大事な判断がまさに行われようとしている時に、政治が経済の足をひっぱってよい訳がありません。
内需拡大というだけで経済がうまく回るのでしょうか。家計にばらまくというだけで消費が増えるでしょうか。今のような「雇用不安」のある急激な不況の下では、家計は消費に対して慎重・消極的で、貯蓄性向が高いと考えられます。民主党は太陽光パネル設置を含めたスクールニューディール政策や農地集積支援政策をやめてしまうとのことですが、生産面すなわちサプライサイドの政策についてどうお考えなのでしょうか。また、エコポイントなどもやめてしまうとのことですが、消費にインセンティブを与えるような政策はやめて、ただ単に家計にお金を渡すだけで本当に景気がよくなると考えているのでしょうか。
われわれは今年度の1次補正予算を、未来志向で、中長期の成長戦略を踏まえて策定しました。民主党も、成長戦略を持っていたならば、単純に削減するということにはならなかった項目も多いのではないでしょうか。
こうして見て参りますと、民主党の政策は、目先の耳当たりのよい政策の羅列ばかりで、中長期的な成長戦略もなく、また中長期的な財政規律意識も欠けており、このままでは21世紀版英国病のようなことになってしまうのではないでしょうか。短期の鳩山不況、中期の財政破綻、長期の英国病という国民の不安に総理はどういう具体策で応えていかれますか。
4)外交・安保
次に、外交・安全保障についてお尋ねします。
わが国の独立と平和と繁栄のために、外交・安全保障が重要であることは論を待ちませんが、相手のあるこの世界では信頼関係こそが大切であり、そのためには相手国との約束をきちんと守る姿勢というものが基本であると考えます。
大切な信頼関係を維持するためにも、総理はもちろん閣僚の発言・発信は十分に統一性・整合性をもって外にでていかなければなりません。残念ながらこれまで、普天間移設問題一つとっても、耳を疑うような発言が相次いでいます。鳩山総理は党代表時代は「最低でも県外」とおっしゃいました。その後「時間というファクターで変化する可能性も否定しない」と状況次第では県内移設を認める可能性を示し、岡田外務大臣は「県外はない」「私は嘉手納統合案だと思う」とのべ、これに対し総理は、外相発言は個人的な考えとの見方を示し、「最終的に決めるのは私だ」とのべ、さらに北沢防衛大臣は辺野古移転に「選挙公約をまったくみたしていないと認識するのは間違いだ」、これに対し岡田外務大臣は「論理的に苦しい」、総理は「わたしは必ずしもそうは思っていない」とのべられています。このことがどれだけ沖縄の人の怒りをかっているか、同盟国米国にあやまったメッセージを送り続けているか。そもそも鳩山政権ではこのような国の大事な外交方針について関係閣僚間での調整というものを行われていないのではないか。またいないとすれば各閣僚がバラバラに勝手な事を発言される事はかまわないという事でしょうか。総理のご見解を質します。
さらに岡田大臣には「県外は難しい」「嘉手納が選択肢」というご発言が個人的見解なのか確認致します。また、会見でそのことを断った上でその発言をされたのか確認いたします。
3党合意書には「沖縄県民の負担軽減の観点から、日米地位協定の改定を提起し、米軍再編や在日米軍基地のあり方についても見直しの方向で臨む」と明記されております。福島大臣には県内移設がこの3党連立政策合意に反しないのかご見解をお伺いします。
普天間の移設問題にしろ、日米地位協定の見直しにしろ、総理は再三発言がブレており、トップ・リーダーとしての定見なしに閣僚の意見をその時その時で追認しているだけのように見受けますが、そのようなことでは国家間の信頼は築けません。先日の日中韓首脳会談で、鳩山総理は「今までややもすると米国に依存しすぎていた」などと発言し、米国に無用の刺激を与えてしまったところですが、オバマ大統領の来日を前に、日米同盟のあり方をはじめ、普天間の移設問題や日米地位協定の見直しに対する総理の確固たるお考えをお聞かせください。
また、総理はEUを念頭に「東アジア共同体」構想を示されましたが、東アジア諸国は、EU加盟諸国とは規模も政治体制も全く異なり、同様に考えるのは無理があるのではないでしょうか。また、貿易その他の経済協調には触れていますが、安全保障は取り扱わないのでしょうか。もしそうであれば、それは特段新しい構想とは思えませんがいかがでしょうか。「東アジア共同体」という7文字以外に具体的な構想をお持ちですか。
インド洋の補給支援についても「単純延長はしない」とし「大きな文脈の中で対処していく」としていますが、「大きな文脈の中で」とはどういう意味でしょうか。
鳩山内閣の外交は、海外の報道で“思いつき外交”などと揶揄され始めています。もっと継続性を重視し、国際的信頼関係を大切にする重厚な外交を行っていただきたいものだと考えます。
5)CO2
次に、地球温暖化対策についてお尋ねします。
総理はマニフェストに忽然と掲げた90年比25%削減という数字をいきなり国際公約として提示してしまいました。あまりにも実現可能性の乏しい法外な数字だと専門家や経済界などの間で反論も多いところであり、国際公約としてしまう前に、まず国内での検証や議論を十分に尽くすべきだったのではないでしょうか。
このままでは、国民に膨大な負担を強い、日本経済と国民生活に極めて重い足かせをはめ、かつ、あげくの果てに国際的信用も損ねることになるのではありませんか。きちんとした科学的検証や国民的論議をまず行うべきだったのであって、日本がそんな高い目標を乗り越えられるかどうかについて、「私は確信しております」というだけでは、まったく非科学的で、国民はますます不安になるばかりではないでしょうか。
6)郵政民営化
郵政問題についても一つお聞きしておかねばなりません。
今回、鳩山内閣として、日本郵政株式会社の社長に財務次官OBの斎藤次郎氏を充てることを決めたと発表しましたが、郵政民営化をどうするかについて新政権として国民的議論を尽くし、きちんとした方向を決めてから人選をするべきだったのではないでしょうか。また、指名委員会の手続き等を経ないまま、総務大臣の認可権や財務大臣の議決権をも越えていきなり亀井大臣が事実上の指名をするというのは、法令の規定に基づくものとは言えず、株式会社の経営に対する政府の関与の仕方として越権であると言わざるを得ないのではないでしょうか。
この人事は、明らかに“わたりのあっせん”そのものであり、天下り・わたりの根絶を主張していた民主党が自ら言わば政治主導でわたりをあっせんしたものにほかなりません。民主党は、野党時代に、官僚出身ということで日銀総裁人事に反対しました。退職後5年経った方は官僚出身だからだめ、14年たったらもういいだろうというのであれば、いったい何年経ったら「過去官僚」でなくなるのか総理の見解を求めます。
7)JAL
日本航空の再建はその途上にあり、途中であれこれ言うつもりはありませんし、不測の影響を与えるつもりもありません。しかし、生きている会社のことであり、慎重に対処すべきです。新しい政策が不具合を巻き起こす可能性があります。そうした“政治空白や大臣の不用意な発言”による風評被害で生じた穴を、税で穴埋めするなど、国民の理解をおよそ得られないのではないでしょうか。国交大臣への見解をおうかがいします。
8)国と地方
国と地方の関係についてお尋ねします。
総理は「国が地方に優越する上下関係から、対等の立場で対話していける新たなパートナーシップ関係へ抜本的に転換」すると言われましたが、今回の予算の見直しにおいては、八ツ場ダムの中止をはじめとして、地方の関係者の方々から断腸の思いを吐露する声があがっているものが数多くあります。また、子育て応援手当の廃止のように、それこそ国と地方のパートナーシップで円滑に進めていたものを紙一枚で止めてしまうようなものもあり、鳩山内閣がやっておられることはむしろ「国が地方に優越する上下関係」を構築するようなことになっているのではないでしょうか。よもや、八ツ場ダム、川辺川ダムのように、民主党が立候補者を立てていないところでは例外だということではないと思いますが、地方に対する本当の意味でのパートナーシップを実行していただきたいと考えますがいかがでしょうか。
9)八ツ場ダム
八ツ場ダムについてお聞きします。前原国交大臣は先日この問題について、治水・利水の観点から再検証をされるとおっしゃっておられますが、そもそもマニフェストを作ったときにこうした検証を全くせずに中止を決めたのですか。なぜ川辺川ダム、八ツ場ダムの二つが明示的に中止で、他と区別されたのか根拠をお示し下さい。関係都県の知事がおっしゃっておられるように再検証するなら中止を撤回すべきだと思いますが、大臣の見解を問います。
10)行革
この国会に提出予定の国家公務員給与法についてもお聞きします。民主党はマニフェストにおいて、新規の政策の為の財源の一つとして人件費2割カットで1.1兆円とかかげています。当然のことながら人件費を2割カットするためには給与を2割引き下げるか、定数を2割削減するか又その組み合わせが必要となります。来年の給与がこの給与法にあるように人事院勧告通りになるとすれば、給与は今年とほぼ同水準ということであり、定員を2割カットしなければマニフェストにあげられた1.1兆円の節約は出来ないことになります。先般出された概算要求には当然定員2割カットが前提となって提出されていると考えますが財務大臣に見解を求めます。
四、政権運営・政治姿勢
ほかにも多々お尋ねしたいことがありますが、改めて各委員会等の場でお伺いすることとしつつ、最後に総理の政治姿勢にかかわることをお聞きします。総理は先日、「国民が赤字国債を増やすなというならマニフェストの見直しもあり得る」という趣旨の発言をされましたが、2つの意味でおかしいのではありませんか。
まず、子ども手当等や高速道路の無料化などあらゆるばらまきをして本当に大丈夫なのかという疑問に対して、あなたは「日本の大掃除をいたしましょう」とか「まったく心配しておりません」と言いつのり、ムダ排除で財源は十二分に確保できるとしていたのに、いつの間に財源を赤字国債に頼らざるを得ないかの如き話になったのですか。議論のすり替えも甚だしく、公約違反を誤魔化そうとするものであります。
また、「国民が(赤字国債の増発を)やめろと言うなら(マニフェストの実行を)やめます」などと、もともと非現実的であったマニフェストを履行できないことについて責任転嫁、責任逃れをしようとするものであり、情けないと言わざるを得ません。多くの国民は「こんなうまい話しはあるのかな」と思いながらも、もっともらしい行程表のとおり予算の組み替えや無駄の削減、埋蔵金の活用などで、赤字国債を全くふやさずに子供手当、高速道路無料化、などの政策ができるのならいいよねという事で鳩山マニフェストを選んだのです。こうゆう論理のすりかえは総理大臣としてはもとより、為政者として恥ずべき姿勢ではありませんか。その姿勢こそ私はこの代表質問において問い質さねばならないと思っています。国民の皆さんも、そんな総理の発言を聞いて、ますます「不安」になったのではないでしょうか。民主党に任せようとしたら、自分たち国民に拠りけりだと逆に他人任せなことを言われたのですから。そういう姿勢で政治をされるのであれば、議会制民主主義の意味はなく、個々の政策テーマごとに直接選挙すればよいということにもなります。鳩山総理の為政者としての見識が問われると思いますが、総理のご所見をお伺いいたします。
それから、故人献金問題について、「ご迷惑をおかけした」というひと言で片付けていただいては困ります。「捜査に協力」などということで誤魔化していただくわけにも参りません。これまで民主党は、国会の場で説明しろとさんざん主張して来たではありまんせんか。それを総理大臣の問題となったのに、どうして説明責任を果たそうとしないのですか。所信表明演説で、予算の透明化などと言いつつ、その直後に、ご自分の疑惑については不透明化しようという姿勢で、国民がうなずけるはずがありません。
鳩山総理は以前「秘書の罪は議員の罪」などと言っておられました。その考えは今も変わりありませんか。
特に、この問題は、西松建設事件などでおっしゃっておられましたように、「献金した側の所業であって議員の側としては知らなかった」などと言えるものではなく、これは紛れもなく鳩山議員事務所自身が行った不正行為なのです。ですから、総理自身が、当然に明確な説明をする必要があると考えますがいかがでしょうか。
故大平総理は、老子の、「大国(たいこく)を治むるは小鮮(しょうせん)を煮るが如くす」という言葉をよく引いておられました。政治には実行の前の十分な議論・検証をする繊細さが必要だということです。いたずらに社会民主主義的なばらまきを講じて、“先楽後憂”のようなさかさまの政治で国家・国民を誤った方向に導いてはなりません。今民主党政権が為すべきことは、非現実的なマニフェストの実現に汲々とするのではなく、我が国の将来を見据え、経済再生への戦略を立て、財政健全化への道筋と中長期を見渡した責任ある賢明な方針を明らかにされることだと思います。これこそが政権に課せられた責務ではないでしょうか。鳩山総理が為政者として、総理として、不協和音を奏でる素人指揮者ではなく、真のリーダー・シップを示されますよう望みまして、私の代表質問を終わります。
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この記事へのコメント
1. Posted by みるる 2009年10月29日 11:42
シベリア抑留日本兵らに給付金 政府、最高150万 (10/28 21:35)
約60万人ともいわれる日本人将兵らが戦後、旧ソ連圏で過酷な強制労働に従事、多くの犠牲者を出したシベリア抑留をめぐり、政府は28日までに、最高1人150万円の特別給付金を支給する法案をできるだけ早期に国会に提出し、成立を図る方針を固めた。
戦後処理の終結を理由に、感謝状や旅行券などによる「慰藉」の事業に限定してきた自民党政権の原則を転換、現金支給により「補償」の性格をもたせる。
韓国人元BC級戦犯や元従軍慰安婦が求めている他の戦後補償にも影響を与えそうだ。
元抑留者の平均年齢は80代後半。元抑留者が国家賠償を求めた訴訟で京都地裁が28日、請求を棄却しながら、立法措置の必要性に言及したことなどから対応を急ぐ。
臨時国会はほかに優先法案があるため、政府は公明党などに賛同を働き掛けるとともに提出のタイミングを探っている。
法案は、抑留者の「多大な苦難」や「強制労働の対価の支払いを受けていないことなどの特別の事情」を踏まえ、抑留期間に応じ5段階に分類。25万〜150万円の支給を定めている。
政府は生存する元抑留者の数を、7万〜10万人と推定。抑留期間3年以下で25万円の受け取り資格がある元抑留者が最も多いとみられる。10年以上の元抑留者は、士官や憲兵など旧ソ連で戦犯とされた人々が多い。
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/politics/196910.html高くつきそうです
約60万人ともいわれる日本人将兵らが戦後、旧ソ連圏で過酷な強制労働に従事、多くの犠牲者を出したシベリア抑留をめぐり、政府は28日までに、最高1人150万円の特別給付金を支給する法案をできるだけ早期に国会に提出し、成立を図る方針を固めた。
戦後処理の終結を理由に、感謝状や旅行券などによる「慰藉」の事業に限定してきた自民党政権の原則を転換、現金支給により「補償」の性格をもたせる。
韓国人元BC級戦犯や元従軍慰安婦が求めている他の戦後補償にも影響を与えそうだ。
元抑留者の平均年齢は80代後半。元抑留者が国家賠償を求めた訴訟で京都地裁が28日、請求を棄却しながら、立法措置の必要性に言及したことなどから対応を急ぐ。
臨時国会はほかに優先法案があるため、政府は公明党などに賛同を働き掛けるとともに提出のタイミングを探っている。
法案は、抑留者の「多大な苦難」や「強制労働の対価の支払いを受けていないことなどの特別の事情」を踏まえ、抑留期間に応じ5段階に分類。25万〜150万円の支給を定めている。
政府は生存する元抑留者の数を、7万〜10万人と推定。抑留期間3年以下で25万円の受け取り資格がある元抑留者が最も多いとみられる。10年以上の元抑留者は、士官や憲兵など旧ソ連で戦犯とされた人々が多い。
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/politics/196910.html高くつきそうです
2. Posted by みるる 2009年10月29日 12:07
いま、民主党内で「殿ご乱心」「鳩山代表は人騒がせが好きな愉快犯」との声が盛んに囁かれている。鳩山代表の発言が民主党の党議とかけ離れてしまっていることに主たる原因がある。鳩山代表の信用は地に墜ちている。このままでは民主党の混乱は避けがたい。
鳩山代表は10月15日のテレビ朝日「サンデープロジェクト」に出演し、安全保障と憲法について意見を述べた。
鳩山氏は自衛隊について「世界的には軍隊だ」と指摘したうえで「憲法で規定して明快にすることにより、国民の自衛に対する意識や隊員の士気も変わる」と述べ、憲法九条を改正すべきだとの考えを明言した。
さらに鳩山氏は憲法が認めていない交戦権について「国軍と規定されたら、軍隊だから、あってしかるべきだ」と指摘。集団的自衛権の行使についても抑制的に対応することを前提に「認めないというのでは国際協力ができない。憲法でしっかりうたった方がいい」と述べた(以上、10月16日付け産経新聞による)。
2000.10月の記事です
http://www.pluto.dti.ne.jp/~mor97512/C0233.HTML
鳩山代表は10月15日のテレビ朝日「サンデープロジェクト」に出演し、安全保障と憲法について意見を述べた。
鳩山氏は自衛隊について「世界的には軍隊だ」と指摘したうえで「憲法で規定して明快にすることにより、国民の自衛に対する意識や隊員の士気も変わる」と述べ、憲法九条を改正すべきだとの考えを明言した。
さらに鳩山氏は憲法が認めていない交戦権について「国軍と規定されたら、軍隊だから、あってしかるべきだ」と指摘。集団的自衛権の行使についても抑制的に対応することを前提に「認めないというのでは国際協力ができない。憲法でしっかりうたった方がいい」と述べた(以上、10月16日付け産経新聞による)。
2000.10月の記事です
http://www.pluto.dti.ne.jp/~mor97512/C0233.HTML
3. Posted by みるる 2009年10月29日 19:07
亀井・斉藤コンビはご存知かもしれませんが
宮沢政権下の11億円赤字コンビです
韓国のコンテナは中から裂けた様な痕があります、またどーんと言う爆発音もあったそうなのでおそらく爆発性のものが積荷にあったと思います。護衛艦のペンキはフタをして倉庫に保管しているので電気火花程度では引火しません
ペンキは最近はアルコール系がシンナーに使われている事もありますがトルエンが加熱残分50〜40です
ペイント火災でいきなりドーンはありえません
過去に発火事故検証立ち会っています
アセトンに火花引火した時も静かに燃えていましたので護衛艦は無実です
宮沢政権下の11億円赤字コンビです
韓国のコンテナは中から裂けた様な痕があります、またどーんと言う爆発音もあったそうなのでおそらく爆発性のものが積荷にあったと思います。護衛艦のペンキはフタをして倉庫に保管しているので電気火花程度では引火しません
ペンキは最近はアルコール系がシンナーに使われている事もありますがトルエンが加熱残分50〜40です
ペイント火災でいきなりドーンはありえません
過去に発火事故検証立ち会っています
アセトンに火花引火した時も静かに燃えていましたので護衛艦は無実です