2009年03月24日
防衛大学校卒業式における浜田防衛大臣訓示

諸君は、ここ小原台の地において、入校以来、勉学、訓練等に励み、本校での教育の伝統である「広い視野、科学的思考力、豊かな人間性」の涵養に努められたことと思います。そして、本日、ここに全教育課程を修了した諸君の規律正しく、凛々しい勇姿に接し、防衛大臣として心強く、頼もしく思います。
さて、今日の安全保障環境は、伝統的な国家間の関係から新たな脅威や多様な事態に至るまで、様々な課題に直面しております。また、北朝鮮の核やミサイルの問題など、我が国周辺の安全保障環境は引き続き厳しいものがあります。
このような中、我が国は、新たな脅威や多様な事態に実効的に対応すべく、多機能で弾力的な実効性のある防衛力を着実に整備しなくてはなりません。
また、日米安全保障体制を基盤とする日米同盟は、我が国のみならず、アジア太平洋地域の平和と安定のために不可欠な基礎をなすものであり、日米同盟の実効性の更なる向上に努めていかなければなりません。
さらに、国際社会の平和と安定に向けた取組に対し、国際社会の責任ある一員として、我が国も人的貢献を行っていく必要があります。
現在、自衛隊は、インド洋における補給支援活動、ゴラン高原、ネパール及びスーダンにおける国際協力業務を実施し、国際社会から高い評価を得ています。また、先日、ソマリア沖・アデン湾における海賊への対応として海上自衛隊の護衛艦を派遣したところです。
本科の卒業生諸君は、本日をもって、自衛官としての記念すべき第一歩を踏み出すわけであります。諸君がこれから歩んでいく道には、多くの課題があり、多くの困難が待ち受けているかもしれません。しかし、その道は、我が国の安全と国民の安心のための崇高なものであり、世界の平和に貢献するものでもあります。
諸君は、本校において教養科目の他に、防衛学や訓練といった幹部自衛官として必要な教育訓練をやり遂げ、本日ここに晴れて卒業の日を迎えたことは、感無量であろうと思います。諸君は、指揮官あるいは幕僚となって任務遂行の重責を担うこととなるわけですが、本校において学んだことを基礎として、今後も不断の精進を重ね、様々な課題に取り組み、いかなる難局をも克服し得る、国民に信頼される精強な自衛隊を作り上げていただきたいと思います。
研究科を卒業される諸君は、本校において習得した知識と能力を活かし、自衛隊の技術分野の近代化と質的な向上や、近年、益々多様化、国際化する自衛隊の任務に活かしていただきたいと思います。
諸外国からの留学生諸君には、言語や習慣等の違いを克服し、立派な成績で本日、卒業の日を迎えられたことに敬意を表し、心からお祝い申し上げます。諸君が、本校で学ばれたことを糧として母国において大成され、また、本校で培った友情と信頼を大切にし、貴国と我が国との友好関係をより一層促進するための架け橋となられることを希望します。
最後に、日頃から防衛省、自衛隊、防衛大学校に対して多大なる御支援・御協力を賜っております来賓各位に対し、深く感謝申し上げ、私の訓示といたします。
平成二十一年三月二十二日 防衛大臣 浜田 靖一