2009年01月05日

日本でいちばん大切にしたい会社(坂本光司著、あさ出版)(その1)

日本この本は、年末に参議院の五車堂書店のおやじさんから進められたもので、感動しました。
 涙がでました。その辺は、次回にまわします。
 今回は、僕の今年のキーワード「継続することの大切さ」をこの本から学びました。

 以下、坂本光司法政大学大学院政策創造研究科教授の考え方「会社は誰のために?」の、これはという個所を掲載しました。


 「多くの人を満足させる」こと。それが会社の使命

 私はこれまで、北は北海道から南は沖縄県まで、会社を六〇〇〇社ほど訪問してきました。経営がうまくいっていない会社の経営者に話をうかがうと「問題は内ではなく外にある」という方がほとんどです。
 こうした経営者が必ず言う台詞は、「景気が悪い」とか「政策が悪い」とか、あるいは「規模が小さい」「ロケーションが悪い」「業種が悪い」、そして「いい人材に恵まれない」などです。
 しかし、そんなことは関係ありません。
 たとえば第2部で詳しく紹介する「日本理化学工業」というチョークをつくっている会社は、社員が五〇人ほどの小さな会社ですが、市場の三〇パーセントを誇っています。さらに社員の七割が障害をもった方々で、しかし五〇年間、ほぼ毎年採用を続けているのです。障害者雇用を避ける企業が多いなか、小さな規模にもかかわらず優良経営を続けています。
 また、同じく第2部で紹介する「中村ブレイス」という義肢、装具をつくっている会社は、ロケーションは決してよくありません。日本で一番不便な場所にある会社といえるのではないでしょうか。
 しかし、それでも、お客様は全世界から殺到しています。また、「そこで働きたい」という若者たちも、日本中、世界中から殺到しているくらいです。
 ですから、規模や立地条件などの限界を口実に、「わが社はダメだ」とか、「小さいから優秀な社員が来ない」というのは経営者の誤解・錯覚です。
 重要なことは、その会社が、私たちの心を打つようなことをやっているかいないか、なのです。心に響く会社なのか、社員がやりがいをもって楽しく仕事に取り組める会社なのかということです。
 社員を機械としてではなく、一人の人間として評価して、自己実現を助ける――そういう思いや仕組みがある会社には、自然に人は集まります。


 経営がうまくいかない理由は内側にある

 私は、企業経営に関しての問題の九九・九パーセントは内、つまり会社の内部にあると考えています。
 環境や規模や業種ではありません。五人に対する使命と責任を果たそうという意識が欠落している会社が、うまくいかないのです。
 企業経営は人・物・金だとか、人材・技術・情報だといいますが、こうした見方がそもそもの誤りです。
 私の経営学では「一に人財、二に人財、三に人財」で、あとは人間を幸せにするための道具にすぎないと考えています。「人・物・金」といいますが、物というのは設備や商品という名の道具です。お金だって、人間が経営活動するための道具にすぎません。
 つまり、不況を克服できる唯一の経営資源は「人財」しかありませんし、好況を持続させることのできる唯一の経営資源も「人財」なのです。
 本来は、「好況だから人財がほしい。不況だからなおさら人財がほしい」というのが正しいあり方です。ところが実際は、好況になると人を採用し、不況になると人を採用しない会社が圧倒的多数派です。
 これは、おかしなことなのです。
 景気は与えられるものではなく、創るものです。お客様が喉から手が出るほどほしい商品を創り、提案すればいいのです。
 それを創り、売る会社の規模が大きかろうが小さかろうが、あるいはその商品がハイテクだろうがローテクだろうが、お客様には関係ありません。お客様が感動するような商品を創り続け、提案すればいいのです。この活動はどんな業種にも、どんな企業にも当てはまります。
 私のまわりには、二〇年も三〇年も連続で増収増益を続けている会社がたくさんありますが、それらの会社を見てつくづく思うのは、やはり景気は与えられるものではなく、自分の力で創るものなのだ、ということです。


 日本で大切にしたい会社を増やそう

 私が本書で紹介する「日本でいちばん大切にしたい会社」は、まさに、自分たちにしかできない仕事をしているオンリーワンの会社ばかりです。また、そのすべてが、物ではなく心を大切にしている会社です。
 心にしみる、心に響く会社です。
 心に響く会社について、いろいろな経営者の方々にお話しする機会があります。そんなとき、「多くの会社が業績向上だとか、顧客満足度だとか、株主満足度だとか言っている時代のなかで、社員のことをいちばんに考えて一心不乱に経営してきた私は間違っているんじゃないかと正直、不安でしたが、坂本先生のお話を聞いて、私の判断は正しかったんだと安心しました」
と言う経営者の方も、少数派ですが増えているのです。
 一割くらいの会社がそういう会社です。それが二割、三割と、どんどん増加していけば、この国はみんなが幸せになるに違いありません。


 続けていくことの大切さ

 繰り返しますが、企業経営の第一義は、社員とその家族の幸福を追求し、実現することです。社員と、その社員が最も大切にしている家族を路頭に迷わせてはいけないのです。
 だからこそ、継続させなければならないのです。
 会社の第一の使命は、業績を上げることでも成長させることでもありません。「まず業績ありき」ではなく、継続させるために、業績や成長が必要なのです。
 ですから、働いている社員に対する使命と責任を果たし、いかに会社として継続していけるか、というところから出発して設備投資をしたり、事業展開をしたり、決断したりしなければならないのです。
 「五人に対する使命と責任」を果たしているかいないかで、会社の成績は決まります。
 私が本書の第2部であげた「日本でいちばん大切にしたい会社」は、すべてその使命と責任を果たそうと、それはそれは懸命に経営を行っている会社なのです。

shige_tamura at 15:15│Comments(3)TrackBack(0)clip!本の紹介 

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この記事へのコメント

1. Posted by これは素晴らしい!!!   2009年01月05日 21:35
5 現在の世界経済危機に対する
唯一の解決策かもしれません。
2. Posted by あさ出版 木内   2009年01月20日 19:45
5 はじめまして。
あさ出版 木内と申します。

このたびは、「日本でいちばん大切にしたい会社」を
ブログにて紹介していただき、
本当にありがとうございました!

この本の素晴らしさをもっともっと
多くの人に伝えたいと考えています。

今後とも応援のほど、よろしくお願いいたします。
ありがとうございました。

3. Posted by わくわく   2009年10月23日 16:40
ほんといい本ですよね。何度も読み返してジンとしています。近々、鎌倉で著者のセミナーがありますので、ご参考まで↓
http://www.kamakuraim.jp/pdf/semi20091108.pdf

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