2008年02月25日
他人のために何かすると

第35回の日本論語研究会は、先週の23日(土)16時30分〜18時、慶應義塾大学で行われました。
講 師は、川斉正(なりまさ)氏で、財団法人・水府明徳会会長、東京海上日動火災保険株式会社・総務部長です。氏は、徳川御三家の水戸家の15代目です。
講演テーマは、「水戸・徳川家のこと」でした。めったに聞けない話で、約50名ほどの参加者は満足していました。
以下は、自民党「日本夢づくり道場」
講演 脳の「決断力」を鍛える方法
―「偶有性」こそが脳を活性化させる―(その2)です。 茂木健一郎(脳科学者)
他人のために何かすると、
脳に「ドーパミン」が出る
ですから事実としては、人間の脳の中には利他性、つまり他人のために何かをするという働きがある。他人のために何かやると、脳の中にドーパミンという物質が出て喜びを感じる。自分のために何かをやってももちろん、このドーパミンは出ます。
しかし、他人のために何かをやることでドーパミンが出る。これは人間だけが持っている、本当に不思議な性質なのです。その中で人と人とが利害が対立するときもあります。理想というのはお互いに相手に対して思いやりがあって、相手のために働いて、それが自分の幸せになる。
マザー・テレサは、ああいうふうに一生貧しい人のために尽くしたわけですけれども、あれは脳科学的に言うと、マザー・テレサの脳の中でドーパミンが出ていたことは間違いありません。ものすごい快感を感じていたと思います。
お母さんが子供のためにいろいろやると、すごく嬉しい。ああいうのと同じです。他人の為に滅私奉公する必要はありませんし、自分を捨てる必要もない。孔子様が言われたように、自分の欲望は持ち続けていいのです。桝添さんは「大臣は大変だ」と言われましたが、大臣になりたいとか、幹事長をやってみたいとか、そういう欲望は持っていい。
それはそれでいいのですけれども、その自分の欲望を達成するために頑張るということが、他人のためになるという一致する線を見出すこと。それが最もクリエイティブなことで、孔子はそれがきっとできたということではないでしょうか。
そのためには、一生学び続けることが大事です。学ぶことしかないと思います。私自身も実は今、学生時代なんて目じゃないくらい猛勉強しています。人間の脳は、冒頭に申し上げたよう、一生学び続けることができます。
これは本居宣長が言っていることですけど、文人たちが宣長のもとに集まって『源氏物語』の講義を受けるわけです。彼らは松阪の裕福な商人だから金はいっぱいあるし、さんざん道楽もしているわけです。その文人たちが宣長に「先生、今までいろんな快楽を追及してきましたが、学問の快楽ほど楽しいことはないですね」と言ったそうです。
学問というのは、学校のテキストで成績がいいとか、そういうくだらない話ではありません。実践的な学問というか、まさに孔子が論語の中で書いているようなことがどういう意味であるかということを考える。例えば孔子の「厩の家事」の故事がありますね。自分が大切にしていた馬が厩で火事になって死んでしまった。
しかし、戻ってきた孔子は、馬のことは聞かずに、家の者に「ケガはないか?」と聞いたという。例えば、ああいうエピソードに表れている人格というのは何なんだろうかと、非常に深いものがあると思います。