2016年08月

2016年08月27日

政治に必要なのは人間学 最も重要なのは己に克つこと



江戸時代の庶民から武士に至るまでが学び、武士のたしなみとまでいわれた「論語」ですが、その要諦が今では忘れられつつあります。経営者や政治家が不正に手を染める現実に、田村塾を主宰する田村重信氏は、“人間学の欠落”を補うべく『日本論語研究会』を立ち上げ、既に12年目を迎えました。論語が説くのは、人から信用されること。そのためには下積みを嫌がらずにコツコツと勉強し、一生懸命努力することだと言う。未来のリーダーを志す若い人たちへの提言を伺いました。

大事なのは地道な努力と一生懸命勉強する気持ち

―政界に入る前の経緯を教えて下さい。

政治の世界に関心をもったのは、立候補して生徒会長になった高校生の時です。ポジションを握ると自分のやりたいことが実現できる、それが政治なんだと実感したことですね。

人前で喋ることは苦手でしたけど、大学に入って弁論大会に出たら、最初は落ちて3回目に優勝して、それ以後ずっと優勝するものだから、弁論部の方から「もう出ないでくれ」と言われました。それから世の中を変えるには、政治であれば与党となり政権をとらなければダメだと実感したわけです。

―宏池会の事務所に入ったのがキャリアのスタートでは?

縁があって、後の総理大臣で当時大蔵大臣をされていた大平正芳さんが会長の『宏池会』に入りました。入った時は22歳でぺーぺーですから、何をしたらいいのか分からない。そこでかってに新聞のスクラップ作りを始めました。そんな雑用がしだいに人の役にたっていくわけですね。

宏池会は政策ブレーンがしっかりとしていて、高度経済成長を作った下村治(戦後を代表する官庁エコノミスト)さんがいたりして、その下働きの土曜研究会に参加して財政経済などの勉強をしました。

どんなことをしても下積みというのはあるんだということを若い人には考えてもらいたいですね。今でもコピー取りは自分でやります。地道な努力や一生懸命勉強するという気持ちを常に意識の中に持っていることが大事だと思います。

“人間学の欠落”を補う「論語」

写真2

リーダーになるには素養が大事だとおっしゃっていますね?

いろいろと下積みを重ねながら自分の知識を広めていくことでロジスティック(後方支援)をきちんとやっていく。人間というのは、知識を吸収するのと同時に人と人との関係を築くことが極めて重要です。リーダーになるには素養がものをいいます。そうした教育が意外とないんですね。

だから政治家のトップになっても「責任は官僚にとらせろ」とかそんなバカなことを言う。そうではなくて、トップになる人は責任は自分でとらないといけない。いろんな人をうまく使いこなすことが大事なんですね。

1990年代のバブルあたりから、経営者でも政治家でも平気で不正をやる人が増えた。それは何なんだろうと考えると、“人間学が欠落している”ことだ、と気がつきました。それをきちんとやるには日本人は、『論語』を学ばなければと思って、10年前に『日本論語研究会』というのを始めました。

―田村塾を創設した狙いはなんでしょうか?

日本政策学校において人間学を中心にした田村塾というのを作ってもらって、今年第二期になるわけです。今年はバージョンアップしまして、本当に政治家になりたい人のためにより具体的に、前文部科学大臣の下村博文先生に顧問になってもらったりしています。

政治家だけでなく、リーダーを目指すという人たちが対象です。すでに60名以上が参加予定でして、参加者が多いということに私の方がびっくりしています。


世の中の最大の敵は自分、自分に打ち克つことが重要

以下はこちらでご覧ください。
http://patriots-jspm.com/age/age_50over/201608203.html


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2016年08月22日

海保の精神は「正義仁愛」――タジタジの中国政府(遠藤誉氏)


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 11日に尖閣沖で中国漁船と衝突したギリシャ貨物船は中国福建の港に寄港させられ取り調べを受けているが、それがまた中国ネットユーザーの批判を浴びている。
 一方、日本の海保の精神は「正義仁愛」。
 これでは日中韓外相会談開催を中国は嫌うだろう。


◆事故の瞬間、中国公船は接続水域にいた

 日本の報道によれば、中国漁船とギリシャ貨物船の衝突事故が起きたのは11日の5時半頃で、一方、「11日の朝方には中国公船は尖閣沖から姿を消していた」とのことだった。

 この「11日の朝方には」という「朝方の時間」によっては、何が起きたのかを分析する際に非常に異なってくる。

 事故が起きる前に中国公船がいなくなったのか、それとも事故が起きてからいなくなったのか。

 そのどちらだったとしても、なぜなのか?

 そして、なぜ中国公船は中国漁船を助けなかったのか、あるいは助けられなかったのか?

 それを紐解く前に、どうしても「中国公船がいなくなった」と報道されているその時間帯を正確に知らなければ謎が解けない。

 そこで思い切って日本の海上保安庁(以下、海保)に直撃取材をした。

 すると意外な回答が、海保から戻ってきた。

 「事故が起きた時、中国公船は尖閣の接続水域にいましたよ」

というのである。

 では、何が起きていたのか?


◆海保の精神は「正義仁愛」

 さらにしつこく食い下がると、以下のようなことを教えてくれた。

1. 8月11日05:32に、海保は国際VHF(Very High Frequency)という周波帯の無線電波を傍受した。これは国際的に決められている周波数の救難信号である。

2. 海保は巡視船および航空機をすぐさま救難信号の方向の現場海域に急行させ、06:05に事故現場に到着した。救難信号の電波を発信していたのはギリシャの貨物船だったので、貨物船から状況を聴取して衝突事故の概況を掌握。

3. 衝突した相手の中国漁船は沈没している模様で、緊急に船員の捜索に当たったところ、漂流していた中国漁船船員6名を発見し、6名の人命を救助することに成功した。

4. 人命救助の時は、ともかく「人の命を助ける」ということに全神経を集中しているので、周りの状況になど目を配るゆとりはなかった。

5. しかし6名の船員を救助した後に、ふと周りを見ると、そこには6隻の中国公船が到着していた。いつ到着したのかは定かではない。海保が事故現場に到着した時には、事故海域には中国公船の姿はなかったように思う。船名や船の正体を正確に見極めるのには相当の時間がかかり、かなり近くまで接近しないとできない。人命救助が最優先だったので、それを正確に確認するゆとりはない。

6. さらなる人命救助のために遭難者の捜索に当たった。救助した中国漁船の船員から聞いたところによれば、乗組員は全員で14名。まだ8名が見つかっていない。必死の捜索を続けたが、8名は見つからず、気が付けば中国公船も行方不明者の捜索に当たっているようだった。

7. 海上保安庁の精神は「正義仁愛」。どの保安官に聞いても、必ず間違いなく「正義仁愛の精神に基づいて行動している」と回答するだろう。

以上がおおむねの回答であった。


 6名の人命を救ったのは、まちがいなく日本側である。それはもしかしたら事故現場に到着した時間差による違いだったかもしれないが、その原因は中国側が発表しない限り突き止められない。中国自身がどのような判断をしたのかは分からないという。

「いずれにせよ、海保にあるのは『正義仁愛』のみ。ともかく目の前に人命の危険があれば、それを救うために全ての力を注ぐ。それだけです」と海保は言葉を結んだ。

 その志の高さには、深い感動を覚える。


◆ギリシャ貨物船を福建に寄港させて取り調べている中国

 その中国、8月13日の新華社福州(中国・福建省)によれば、福建海事局が、中国漁船と衝突を起こした「嫌疑」により、ギリシャ貨物船を中国海事パトロール船の監視下に置き、中国福建省沿海部の港に寄港させ、海事調査を受けるよう命じたとのこと。

 これは中国交通運輸部(日本の省に相当)海事局の指示に基づいたもので、福建省海事局は事故調査班を設置し、ギリシャ船籍貨物船を調査していると発表。

 この報道に対して、中国大陸のネットユーザーたちが、また騒いでいる。

●ほう、いったい誰が6人の船員の命を助けたのか、一文字たりとも書かないのか?

――書く勇気がないんだろ?

●いったい誰が助けたんだい? 

――日本だよ。日本の巡視船さ。俺は書く勇気を持っているぜ。

●中国の巡視船は?海警船は何してたんだい?

――さあね、救難信号が聞こえなかったんじゃないかい?お茶でも飲みに行ってたとか?

――いやいや、仕事を終えて帰宅したんじゃないのかい?

――釣魚島って、中国の古来からの島だろ? 海警船はいつもいるんじゃないのか?

●ふだん、中国の海警船は釣魚島のまわりに常駐しているよ。なのに、なんで、日本が先に(事故現場に)着いたんだい?やっぱり、実際のコントロール権に関しては、日本の方が優勢なんじゃないのかな?

●ギリシャ貨物船を中国漁船と衝突した「嫌疑」で監視下に置いたって言ってるけど、なに? 船の中に日本人がいて偽装工作をやっていたか否かを調べてるっていうわけ?

――中国は「嫌疑」をかけることしか、できないのか。

――自国の民を助けるために駆け付けることはできないくせに、他国の船を「嫌疑」の名の下に拿捕するのだけは早いんだから。

●今度は「反ギリシャ運動」でもする?ギリシャ製品不買運動とか? そういうことに注意をそらさせても無駄だよ。

●日本人は中国に対して、なんて良くしてくれるんだろう。これを「人道精神」って言うんだろうね。国籍とは無関係なんだよ。

●日本の巡視船が助けるなんて!得難いことだよ!これはどういう精神から来ているんだろう?

8月15日付け本コラム「中国衝撃、尖閣漁船衝突」にも書いたように、中国政府はネットの力に押されて8月11日の夜、ついに日本の行動を称賛する声明を発表している。

 そして今度は、その「不名誉」を埋め合わせネットユーザーの批判をかわすために、ギリシャ貨物船を「中国の力」の下で監視下に置き取り調べをしていることを公表したというのに、名誉を挽回したどころか、新たな政府批判を招いてしまった。



◆精神性の高さ

 筆者が驚いたのは、日本の海保を取材したときに初めて知った「正義仁愛」に代表される「海保の精神」という言葉と、中国のネット空間で数多く見られる「人道精神」や「これはどういう精神から来ているんだろう?」といったネットのコメントなど、「精神」という言葉がそこにあるという一致だった。

「力」ではなく「精神」が、もし最後に重要な役割を果たすのだとすれば、それは何とも心強いことだ。

この「精神性」において、このたびの件は日本の快挙であった。しかも、海保側は高い志でやるべきことをやっただけで、次の勤務に専念し尾を引いてない。

しかし中国では、その「精神性の欠如」ゆえに、いまだに尾を引き、ネットユーザーから厳しい指摘を受けていることは興味深い。

8月5日から11日にかけて急増した中国公船と漁船の尖閣沖侵入は、8月6日と9日の原爆犠牲者慰霊平和祈念式典を目指して、日本に「犠牲者ぶるな」というシグナルを発するためだった。オバマ大統領の広島訪問により「日本に対する歴史カード」の効力が弱まることを懸念した威嚇だったと解釈できる。

9月4日から中国の杭州で開かれるG20で中国包囲網を作らせないようにするために慰霊のための行事を利用するなどという、その「精神性の低さ」は至るところで露呈し、中国の心あるネットユーザーにも見透かされている。

◆日中韓外相会談を嫌う中国

日本の外務省の発表によれば、今年、日本で開催することを予定している日中韓サミットに向けて、23日から行なわれることになっている日中韓外相会談に関して調整が行われているが、具体的日程に関しては発表が見送られたとのこと。21日、日中韓の外務省次官級による最終調整のための協議が都内で開催され このとき日本と中国による二国間会談も開かれた模様。日本側は中国公船による領海侵入に強く抗議したようだが、中国のネットユーザーからここまで批判されている状況では、中国としては「大きな顔」をして日本と向き合うことはできないはず。会談では中国側は、「釣魚島は中国の領土」という独自の主張を繰り返したらしいが、本心はそれどころではないにちがいない。

中国のネットユーザーが「精神性」に行きついたということに、中国政府はきっと「タジタジ」といったところだろう。

海保の「正義仁愛」という精神が、ついに外交の場で発揮され始めたと解釈することができる。日本の快挙だ。



遠藤誉 東京福祉大学国際交流センター長、筑波大学名誉教授、理学博士

2016年08月15日

中国衝撃、尖閣漁船衝突(遠藤誉氏)


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 11日に尖閣沖で起きた中国漁船とギリシャ貨物船の衝突により、中国漁民を日本の海保が救助したのを受け、中国の海警は何をしていたのかと中国のネットが炎上。面目丸つぶれの中国政府は日本へ謝意。衝撃が走った。

◆尖閣沖で衝突事故

第11管区海上保安庁によると、11日5時頃、尖閣諸島沖の公海上で、中国漁船「○晋漁05891」(○:門構えに虫。みん)とギリシャ船籍の貨物船「ANANGEL COURAGE」が衝突した。日本の海上保安庁の巡視船は沈没した中国漁船の船員救助に尽力し、船員6人が救助され中国側に引き渡された。

11日の中国メディアは、日本のメディア報道をなぞる形で、ただ単に文字で「中国側は謝意を表したとのこと」と、他人事のように書き、炎上するネットのコメントの削除に躍起になっていた。

しかし中国政府を非難するコメントは増えるばかりで、中国大陸のネットが炎上し始めた。

すると11日の夜になって、中国外交部(外務省)の華春瑩・報道官(外交部新聞司副司長)は「日本側の協力と人道主義の精神に称賛の意を表す」と明確に口頭で表明するところに追い込まれたのである。

それまでは「関係部門が協力的な姿勢で適切に処理することを望む」としか言っていなかった中国が、なぜ「人道主義の精神に称賛の意を表す」という表現を用いるに至ったのか、ネットパワーを検証してみよう。

◆炎上する中国大陸のネット

2016年6月統計で、中国のネットユーザーの数は7.1億人に達したが、多くのユーザーが尖閣沖における中国漁船の沈没と日本による人命救助に関して、中国政府への不満をぶつけた。

11日の昼間までにネットに溢れていたコメントのうちの、いくつかの例をご紹介しよう。以下に書いてある地域名はユーザーの登録地名である。ウェブサイトによっては、書いてない場合もある。

●天津市:感謝すべきことは感謝するというのが礼儀だろう。相手(日本)は我が国の漁民を助けたのだから、感謝するのが道理だ。

●河南省:日本が今回やったことは、非常に人道的だ。感謝すべきだ。

●陝西省:ありがとう! 命を尊重してくれたことを感謝する。

●四川省:いつ、どこであろうとも、人道主義は称賛に値する。

●山東省:筋が通った強さと制度によって作られた民度の高い国民の善良さ。(筆者注:日本国民のことを指していると推測される。)

●上海市:救助する能力があるってことは、結局、制御する力も持っているってことになるんじゃないのかい?

●河南省:中国の救助船は、どこに行ってたの?

●浙江省:わが中国の海警船は何をしていたんだい?

●河南省:ねぇ、お父さんはどこに行ってしまったの? お母さんはどこに行ってしまったの? 肝心かなめの時に、わられが海警船はいったいどこに行ってしまったの?

●江蘇省:中国の公船はどこにいってしまったんだい?強盗(日本のこと。筆者注)に命を救われたなんて、もう絶句だよ!

●中国政府は、どの面ぶら下げて、こんな恥知らずな報道をしてるんだ!

●江蘇省:重要なのはさ、ギリシャは「日本に通知した」ってことだよね。ということは「国際社会は釣魚島(尖閣諸島)の管轄権は日本にある」って、認めているってことじゃない?

――いやいや、早合点しちゃいけないよ。日本の自作自演で、ギリシャの船舶に偽装していたのかもしれないよ。事故は、日本側がわざと起こしたのに決まってるじゃないか。そうじゃなきゃ、中国政府はいくらなんでも面汚しだろ?

●河北省:結局のところさ、(尖閣諸島は中国の)自分の地盤じゃないってことだよ。盛んに「我が国の領土」って言いまくってるけど、自分の家に帰ってないのと同じ(中国は管轄できてないという意味。筆者注)。そのくせ、俺の家を建て壊して地上げする時だけは手が早いんだからな。

●広東省:中国海警局の船がいったい何をしていたのかが問題だ。十隻以上、釣魚島(尖閣諸島)を警備していたんじゃないのか? 中国は普段は筋骨を見せて強がって見せてるけど、それって、上っ面だけじゃなかったのかな?いざという時に、役立たないじゃないか!もしかしたら、日本と戦争することになったら、中国はダメなんじゃないのか?

●新疆ウィグル自治区:今回は中国政府の方が、完全にメンツをつぶされた格好だ。

●上海市:中国って、結局、無力なんじゃないか? 管制ができてないってことだろ?

●湖北省:漁船の位置に関する衛星システムは何をしてるんだ?自国の船が沈んでしまったんだから、本当なら中国が一番最初にその情報をキャッチしていなければならなかったはずだろ?地上の衛星制御センターは漁船の時々刻々の位置情報を捉えていなければならないはずだ。漁船が座標から突如消失したのなら、コントロールセンターが知っているはずだが、動かなかったのか?

●ハンドルネーム「Mrhuang」:海警局の船は、ただ単なる飾り物なのさ!

●ハンドルネーム「大官人」:私は中国人だ。私は中国のやり方に、ものすごく怒っている!毎日のように釣魚島を守れとか、釣魚島は中国のものなどと叫んでいるくせに、何だ、このざまは!これで、釣魚島が中国のものだなんて言えるとでも思っているのか?釣魚島の周辺の治安さえ守れないんだとすれば、口先だけの喧嘩を(日本に)売ってないで、さっさと(日本に)あげちゃえよ!もし本当に中国の領土だと言うんなら、こんな事態にはならないはずだ!

以上、数多くあるコメントの中で、代表的なものを拾ってみた。


◆面目丸つぶれの中国政府

ほとんどのコメントは次から次へと削除されていってはいるが、中国政府としては面目丸つぶれである。

これ以上、ネットの炎上とコメントの削除の鬼ごっこをしていると、反政府運動へと広がりかねない。

「自国の民を守れない中国」

「結局、軍事力が弱い中国」

「軍事力があったとしても、制度と民度の弱い国は何もできない。それが中国だ」

「相手国が自国民を助けてくれても、潔く感謝できない中国。それが民度の低さを表している。」

こういったイメージが、爆発的に広がり始めていた。日頃から中国政府への不満を抱いているネットユーザーは、この機会を利用して、思いっきり「言論で」暴れまくろうとしていた。

そこで中国外交部は遂に観念して、日本への謝意を公けの場で口にしたものと推測される。

中国の強硬策は、必ずいつか「自滅」をもたらす。

中国の浙江省杭州市で9月4日から始まるG20(20カ国・地域)首脳会談で中国が非難されないよう、つぎの一手に中国はいま手をこまねいている。経済問題を中心に据えて、安全保障問題からは目をそらさせるつもりだった。

だから尖閣問題で日本を威嚇し、南シナ海問題に関して中国包囲網が形成されないようにG20に備えていたはずだったが、中国漁船の衝突事故で、すべては水泡に帰したと言っていいだろう。というより逆効果となってしまった。

悪いことはできないものである。

いま中国政府内には衝撃が走っている。

日本はG20で、この漁船衝突事故を大いに活用した外交戦略を練るといいだろう。



遠藤誉 東京福祉大学国際交流センター長、筑波大学名誉教授、理学博士


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