2015年06月

2015年06月30日

「報道機関への圧力」、民主党にブーメラン

平和安全法制、『ウイル7月号』に続き、映像(チャンネル桜)でも分かりやすく見れますよ。
是非とも、ご覧ください。
マスコミがいかにおかしいか、ご理解いただけるかと思います。

ウイル 26日、『月刊ウイル7月号』が発売されました。
僕の「安保法制Q&A35」26頁が載っています。
これを読めば、当分は完全です。
今、話題になっています。

『月刊ウイル7月号』を拝読しました。よく耳にする質問に対して、平易な言葉で簡潔に分かり易くご説明されておられると思いました。
といった意見が寄せられています。


 今、民主党およびマスコミは自民党本部での勉強会発言を批判しているが、かつての民主党はどうだったのか?

 今朝の、産経新聞で記者が伝えています。
 以下、掲載します。 


「書いた記者を外せ」と本紙に“圧力”…4年半前の民主党の「おごりっぷり」

(産経新聞 6月30日)7時55分配信



 自民党の若手議員が開催した勉強会「文化芸術懇話会」における発言が、「報道機関への圧力」だとして批判されている。

 新聞各紙は「自民の傲慢は度し難い」(朝日)、「言論統制の危険な風潮」(毎日)などと怒りの拳を振り上げ、本紙も連日、この問題を詳しく報じているが、そのたびに4年半前の悲しい体験を思い出す。

 当時、私は政治部の「与党キャップ」という立場で永田町にいた。

 民主党が政権の座に就き、1年ちょっとたった時期だ。

 ある日、民主党の某議員から議員会館の自室に来るよう言われた。

 こうした場合は大抵、記事への抗議だ。重い足取りで部屋に向かったことを覚えている。

 以下、密室での話なのでA議員と記す。

 案の定、A議員には、その日の政治面の記事が「事実と異なる」と訴えられた。
 詳しく話を聞くと、確かに取材が甘かったことは否めない。
 私は素直に謝罪した。

「訂正文の掲載かな」と覚悟していたところ、A議員は意外なことを言い出した。


 「書いた記者を外せ」

 断っておくが、「外してほしい」ではなく「外せ」という命令口調だ。

 最初は「冗談」だと思った。

 しかし、A議員の表情が「本気」だったので、すぐさま「それは話の筋が違う」と反論した。

 すると、A議員は別の記者の名前を挙げて「○○はいまだに××(記者クラブ名)にいるじゃないか。あいつも外せ」と言い放った。

 最近もテレビの討論番組でさわやかなお顔をお見かけするが、あのときのA議員とは別人のようで、自分が体験したことが自分でも信じられないときがある。

 もちろん、「外せ」と指摘された記者は「外される」ことなく、たくさんの記事を書いた。

 しかし、民主党はその後も、前原誠司政調会長(当時)のことを「言うだけ番長」と書いたら、記者会見から本紙記者を排除した。

 別の記者は、菅直人首相(同)の記者会見で挙手しても挙手しても無視され、ついに質問の機会を与えられなかった。


 これはわが社だけが標的になったわけではないが、松本龍復興担当相(同)が被災地でテレビカメラが回っているにもかかわらず、「今の最後の言葉はオフレコです。いいですか? 皆さん。書いたらもうその社は終わりだから」と報道陣を恫喝(どうかつ)したこともあった。

 新聞社の社員として、広告料収入がなくなるのも嫌だが、記者として取材できないことの方が、もっとつらい。

 ただ、民主党という政党を担当したことで、「圧力に屈しない」という新聞記者に最も大事なことを学ばせてもらったと、今ではむしろ感謝している。

 民主党には最近、記事以外の私的な発信についても、記者を「名誉毀損(きそん)だ」と刑事告訴した議員がいる。

 新聞記者としてだけでなく、一人の人間としても「圧力に屈するな」と鍛えてくれているのだろうか。


 岡田克也代表は記者会見で、自民党の若手議員の発言をつかまえて、「おごりでしょうね。自分たちに権力があると、メディアを自由に左右できるという、そういうおごりの結果の発言だと思う」と語った。

 私は、4年半前の民主党の「おごりっぷり」は、今の政権の比ではなかったと思っているのだが…。
 (政治部次長 船津寛)


shige_tamura at 09:41|PermalinkComments(0)TrackBack(0)clip!民主党 

2015年06月29日

民主党・福山議員への反論(高村正彦・副総裁)砂川判決の評価・今日の記者懇談で。

平和安全法制、『ウイル7月号』に続き、映像(チャンネル桜)でも分かりやすく見れますよ。
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マスコミがいかにおかしいか、ご理解いただけるかと思います。

ウイル 26日、『月刊ウイル7月号』が発売されました。
僕の「安保法制Q&A35」26頁が載っています。
これを読めば、当分は完全です。
今、話題になっています。

『月刊ウイル7月号』を拝読しました。よく耳にする質問に対して、平易な言葉で簡潔に分かり易くご説明されておられると思いました。
といった意見が寄せられています。



 昨日のNHKの『日曜討論』における民主党・福山さんの発言、「砂川判決の評価というのは非常に重要だが、当初、高村副総裁も根拠だというたぐいで仰っていたのですが、最近は副総裁も、北側先生も、砂川判決は集団的自衛権を含むとも含まれるとも言えない、否定はしていないと非常に消極的な議論になっています。
 総理は、集団的自衛権の根拠になりうるものだということを明言されました。政府と与党の間で砂川判決の評価が行ったり来たりしている。このこと自身が、今回、非常に無理な解釈をしている証左だと思います」。

 こういうことを昨日の日曜討論で、福山さん、仰っていたんです。


 ここにおられる皆さん、すべてご承知のように、私は当初から、そして今日まで、そしてこれからも未来永劫、砂川判決の国の存立を全うするための必要な自衛の措置はとりうるというこの法理が、集団的自衛権の一部容認の根拠であるということは全く変わっていない、これからも変わらないと。

 もし、私を論破する人が現れれば別だけれども、全く困るような論をあらゆる憲法学者からも聞いたこともないということであります。

 そしてこの法理を前提とするのであれば、国の存立を全うするための必要な自衛の措置は何かということは、これは国会、内閣が考えるべきこと。

 国会、内閣を構成する政治家が考えるべきことであります。

 これをつぶさに検討した結果、その一部に国際法上、集団的自衛権と言わざるを得ないものがあったから、これは一部容認、限定容認論になったわけであります。


 どこも消極的なんかなっていませんし、極めて簡単な誤解しようのないこと、最初から今日まで一貫して言い続けているにも関わらず、私のいないところで、私の発言を不正確に引用して、そして曲解して、そして相手の論拠が間違っているというような、はっきり言えばデマですね、デマを飛ばすようなことは、政治家にとってあるまじきことだと、こういうふうに思いますので。

 厳しく、そのことを申し上げておきたい、こういうふうに思います。

2015年06月25日

対北朝鮮措置に関する要請(全文)自由民主党北朝鮮による拉致問題対策本部対北朝鮮措置シミュレーション・チーム

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ウイル 26日、『月刊ウイル7月号』が発売されました。
僕の「安保法制Q&A35」26頁が載っています。
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今、話題になっています。

『月刊ウイル7月号』を拝読しました。よく耳にする質問に対して、平易な言葉で簡潔に分かり易くご説明されておられると思いました。
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   対北朝鮮措置に関する要請


 北朝鮮は、昨年五月二十六日、ストックホルムにおいて、拉致被害者をはじめ、全ての日本人の調査を我が国に約束した。同年七月四日、北朝鮮が特別調査委員会を設置したことに伴い、わが国は、北朝鮮に対する人的往来規制など、一部の制裁を解除した。

 当初、北朝鮮は、特別調査委員会の調査結果の第一回報告を、遅くとも昨年初秋までに行うとしていた。しかし、わが国に対して報告の先送りを一方的に通告するとともに、その後に至っても報告を行なうことなく、不誠実な対応を取り続けている。

 わが党は、拉致問題に進展がない限り、更なる制裁緩和や支援は一切行わず、制裁強化を含めた断固たる対応をとることを政府に求めてきた。こうした姿勢は、昨年十二月の衆議院議員総選挙に際して、わが党の公約でも明確に打ち出している。

 北朝鮮が調査期間の目途とする「一年」を目前に控えた今、拉致被害者等の帰国につながる具体的進展がない場合は、昨年解除した制裁の復活に加え、新たな制裁を科すなど、北朝鮮に断固とした措置を講ずることを検討すべきであり、この際、政府に対して、以下の対北朝鮮措置の実行を強く要請する。


一、平成二十六年七月四日に解除を行った対北朝鮮措置をすべて再開させること。

二、北朝鮮を渡航先とした再入国禁止の対象を、朝鮮総連の中央常任委員会委員及び中央委員会委員、並びに核やミサイルの技術者に拡大すること。

三、北朝鮮に対する送金は、人道目的での十万円以下の送金を除き、全面禁止すること。併せて、迂回送金や資産隠し等の規制逃れを防止するため、国際機関及び各国当局との連携により規制対象者を特定するための情報収集を強化すること。

四、北朝鮮に寄港した全ての船舶に対する検査を徹底すること。

五、第三国を経由した北朝鮮との迂回輸出入を防止すべく厳格な法執行を行い、万全の対策を講じること。

六、朝鮮総連に対し厳格な法執行を行うとともに、総連本部建物の継続使用に係る資金の流れを把握し、整理回収機構による債権回収に万全の対策を講じること。

七、朝鮮学校へ補助金を支出している地方公共団体に対し、公益性の有無を厳しく指摘し、全面停止を強く指導・助言すること。併せて、住民への説明を十分に行うよう指導・助言すること。

八、政府認定に係る拉致被害者以外で、特定失踪者等拉致の疑いが排除できない事案についても、引き続きその真相究明に取り組むこと。

九、国連人権理事会や国連総会における北朝鮮人権状況決議の採択に引き続きイニシアティブを取り、安全保障理事会による国際刑事裁判所への付託並びに北朝鮮の人権問題を根拠とした制裁決議の採択を目指すこと。併せて、北朝鮮における人権に関する国連調査委員会(COI)の勧告に基づいて韓国ソウル市に設置されたフォローアップ拠点との連携、活動を強化し、国際社会における北朝鮮の人権問題の早期改善への圧力が更に高まるよう努めること。

十、米国が北朝鮮をテロ支援国家として再指定し、拉致を含む北朝鮮の人権侵害を根拠に大統領令に基づく金融制裁などを発動するように働きかけるとともに、拉致の疑いが濃厚である米国人のデビッド・スネドン氏を含む拉致問題解決に向けた連携を強化すること。

十一、北朝鮮向けの情報発信手段として短波放送の充実を図ること。

十二、朝鮮半島有事等に備え、米国とより一層緊密な連携を図り、拉致被害者を含む邦人の安全確保と保護に全力を尽くすこと。

十三、全ての対北朝鮮措置について厳格な法執行を徹底するとともに、各国当局との規制対象等に係る情報共有及び連携を図り、制裁措置の有効性を確保すること。


平成二十七年六月二十五日

   自由民主党 北朝鮮による拉致問題対策本部 対北朝鮮措置シミュレーション・チーム


shige_tamura at 16:45|PermalinkComments(0)TrackBack(0)clip!

2015年06月24日

国会延長について(高村正彦副総裁)

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といった意見が寄せられています。


 会期を大幅に延長した訳でありますが、これは、危機はいつ起こるかわからない。

 できることであればその危機を未然に防止しよう、できるだけ早く成立させたいという安倍総理の不退転の決意と、一方で国民の前で、国会で十分議論しようという国会重視、国民重視の姿勢、そういったことからこの大幅な会期延長はなされたものであります。

 維新の党や共産党が反対したのは残念でありましたが、それでも、国会に出席してなぜ反対かということが、国民にはっきりしました。

 次世代の党は賛成してくれましたが、野党第一党の民主党が国会に出てこなかった。

 反対なら反対で、どういうことで反対なのかということを、国民の前にしっかり示すべきであったと思います。こういうことは、国民はよく見ておりますし、また長く覚えているということも忘れないでいただきたいと思います。


 いま、維新の党が自らの案をまとめようとしているということを聞いておりますが、その努力に敬意を表したいと思います。

 できるだけ早くまとめて、そして、まとめたものをできるだけ早く国会に出していただいて、政府案とともに国民の前で議論する。

 その上でそれぞれの案をどう処理するか考えるということが、一番、議会制民主主義の理にかなっているのではないかと考えております。

2015年06月22日

高村正彦副総裁、過去の発言に応える。

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今、話題になっています。

『月刊ウイル7月号』を拝読しました。よく耳にする質問に対して、平易な言葉で簡潔に分かり易くご説明されておられると思いました。
といった意見が寄せられています。


 今私が言っていることと、私の過去の発言が違っているではないかということがありましたが、一つは1999年の外務大臣時代の発言ですが、閣僚として答弁する以上、時の政府見解に基づいて答弁するのは当たり前なので、今その政府見解を見直そうとしている時ですから、違っているのは当たり前ということです。

 もう一つは、衆議院の憲法調査会での田久保参考人との質疑で、集団的自衛権を行使できるようにする場合は憲法改正が筋であるということを言っている部分ですが、当時、限定容認論は、私の頭の中は別として、世の中にはそういう論議は全然無かったわけですから、しかも田久保参考人は、まさに国連憲章で認められている集団的自衛権をまるまる行使できるということを言っておられて、そういう議論を主導している方のひとりであったわけです。

 それ以前に、自民党に講演に来られた時に、「これは内閣法制局という役人が作った見解であるから、内閣総理大臣がやめたと言えばすぐにでも変えられる」ということを述べておられていた。

 私は、「内閣法制局が言ったにしても、それを総理大臣、外務大臣、防衛庁長官がずっと言ってきたのだから、それほど簡単ではありませんよ。集団的自衛権をまるまる行使することは、やはり憲法改正が筋ですよ」ということを申し上げました。

 その見解は今でも全く変わっておりません。

 集団的自衛権をまるまる行使する場合は、憲法改正が筋であるということは、今でも変わっていない。


 自由民主党の中には、もともと、今の憲法のもとでも集団的自衛権をまるまる行使できるという立場の人と、その場合には憲法改正が筋だという人が両方いて、議論があったところでありますが、その議論は野党時代の自民党の憲法調査会における議論、あるいは、安保法制推進本部における議論、石破茂本部長の時と江渡聡徳本部長の時と、勉強会含めあわせて33回やっているわけですが、その中で、まるまる行使できるという人と、憲法改正が筋だという人の意見が弁証法的発展を遂げて、限定容認論に収れんしたわけです。

 すなわち、外形的には他国防衛のように見えても、自国防衛の範囲内に入るものもあるんだ、合致するものがあるんだ。もっと詳細に言うと、新三要件に該当するような場合には集団的自衛権であっても限定的に容認できるということに、自民党内の憲法調査会、安保法制推進本部の33回の議論を通じて収れんしたわけです。


 今自民党内でそれに異を唱える人がいるとすれば、それらの議論に一度も参加しなかった人が、その間の事情も知らないで異を唱えているだけであります。

2015年06月19日

今晩、言論テレビに出演します。

番組は本日、6月19日(金)22時から
以下のサイトで上記時間は誰でも無料で見られます

http://www.genron.tv/ch/hanada/
(上記時間以外は、会員限定となります)

 朝日新聞に教えます! 安保法制


6月19日金曜夜10時、第57回のゲストは、自民党政務調査会調査役の田村重信さんです。
 国会審議中の安保法制。朝日新聞を筆頭に、あらゆる媒体が、この安保法案で「地球の裏側まで」出て行くことになる、「専守防衛」が変質する、と大反対の論陣を張っています。
 朝日新聞はこう書いています。
〈集団的自衛権を行使するかしないかは、二つに一つだ。首相や懇談会が強調する「必要最小限なら認められる」という量的概念は意味をなさない。
 日本が行使したとたん、相手にとって日本は敵国となる〉(2014年5月16日)
〈憲法解釈を180度変え、集団的自衛権の行使容認に踏み込んだ。日本の安保政策の大転換であり、平和国家の原則と法的安定性は揺らいでいる〉(2015年4月22日)
〈有事になる前の段階で、日本の平和と安全に重要な影響を及ぼすと政府が判断したときに、米軍を後方支援することができるのが、重要影響事態法の整備だ。これまで事実上、日本周辺に限られてきた米軍支援の範囲を地球規模に広げる考えだ。だが地理的な制限がなくなり、国連決議も必要としないことから、米軍支援が際限なく拡大する可能性がある〉(2015年4月22日)
 これら反対派の意見に反論。
 そもそもなぜこの安保法制がいま必要なのか。
 この安保法制で、朝日の言うように、米軍支援が際限なく拡大するのか。
 日本は平和国家の原則が揺らいでいるのか。
 朝日新聞をはじめとする反対派が理解できるように、かみ砕いてご説明頂きます。


2015年06月17日

日本メディアは騙されやすい?――南沙諸島埋め立て、近く完了に関して(遠藤誉氏)

平和安全法制、『ウイル7月号』に続き、映像(チャンネル桜)でも分かりやすく見れますよ。
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ウイル 26日、『月刊ウイル7月号』が発売されました。
僕の「安保法制Q&A35」26頁が載っています。
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今、話題になっています。

『月刊ウイル7月号』を拝読しました。よく耳にする質問に対して、平易な言葉で簡潔に分かり易くご説明されておられると思いました。
といった意見が寄せられています。



 16日、中国外交部の「南沙諸島埋め立て近く完了」発言に関して、日本メディアは一斉に中国が譲歩した趣旨の報道をした。中国政府高官は「日本メディアは騙されやすい」と高笑いした。アメリカは前から知っていたとのこと。

◆日本メディアは騙されやすい?

 6月16日、中国外交部(外務省)の陸慷(ルーカン)報道局長は、中国が南シナ海の南沙諸島で進めている埋め立て工事について記者会見会場の記者からの質問に対して「既定の作業計画に基づき、(埋め立て作業自身の)一部は近く完了する。ただし、次の段階として、軍事や防衛のほか、海上救難や災害対策、航行安全などに使用する施設を建設する」と回答した。

 このことに関して日本のメディアは一斉に中国が譲歩した可能性があるという「主観的憶測(期待感?)」をつけて「客観的事実」を報道した。新聞社名は省略するが、たとえば

●23、24両日にワ シントンで開かれる米中戦略・経済対話を前に、対立激化を回避したい中国は、埋め立て工事終結の方針を示すことで妥協を探った可能性もある。

●ワシントンで第7回米中戦略・経済対話も開催される。中国は国際的な非難の高まりや米国との会議を控え、作業を中断した可能性が高い。

●米中戦略・経済対話の開催を控え、埋め立ての終結方針を示すことで、批判をかわす狙いがあるとみられる。

などである。

 それに比べてロイターなど海外の情報は(全文を載せるので新聞社名を書く)、

●北京 16日 ロイター-中国外務省は16日、南シナ海の南沙(英語名スプラトリー)諸島で進めている埋め立て工事について、一部が近く完了するとの声明を発表した。フィリピンや米国などは埋め立て工事に反対している。同省は、南沙諸島で進めている建設工事について、軍事目的のほか、海難救助、災害対策、環境保護、航行安全の目的があると改めて表明。
 埋め立て工事の完了後に「重要な機能を果たす」施設を建設する方針を示した。

と、「客観的事実」を書いただけで「希望的観測」や「憶測」などは、いっさい加えていない。

 まさに、こうあるべきで、中国のこれまでの動き方を追いかけていた筆者としては、どうも日本メディアの「憶測」に違和感を覚えた。そこで思い切って中国政府高官に、中国の真意を聞いてみた。

 すると彼は高笑いをして「あなたも、この違いに気づいていましたか? 日本メディアは、どうしてこうも騙されやすいんでしょう」と言う。

 彼は続けた。

「アメリカがなぜ、最近になって突然、南沙諸島埋め立て問題に関して必死になって中国を攻め始めたと思いますか? もちろん大統領選挙があるからで、オバマとしては何か残しておかないと国内的にも国際社会に対してもメンツが立たない。それは誰でもが知っている理由でしょうが、それ以上に我々が知っておかなければならないのは、アメリカは『もうすぐ南沙諸島の埋め立て作業が終わる』ということを、早くから知っていたからなんですよ」

「えっ? スパイがいて、教えているんですか?」と問いを重ねる筆者に、この政府高官は、またもや高笑いをした。

「そりゃ、この時代ですから、どんな方法だってあるでしょう。あんなに頻繁に偵察もしていれば衛星だってある。最近は精度が高いから、専門知識さえあれば、もうすぐ埋め立て作業は完了するなってことくらい分析できるでしょう。もちろんスパイなんて、今さら始まったことではないし……」とまた高笑い。

「要するにですね、アメリカは、もうすぐ作業が終わると知ったので、『いま声高(こわだか)に非難声明を出せば、あたかも、中国がアメリカの非難に負けた』と世間が思ってくれるかもしれないと期待して、最近になって突然、騒ぎ始めたんですよ。デキレース、デキレース……」

なるほど――。

 これなら論理的整合性がある。

 アメリカは、まもなく埋め立て作業が終わることを知ったので、批判を突然始め、自国のプレゼンス、あるいは大統領としてのメンツを保とうとしたわけだ。「ほら、私が言ったお蔭で、中国は近く完了と言ったでしょ?」と、オバマ大統領は得意げになるという寸法だったのか――。

「日本はアメリカとタイアップして報道してるんじゃないんですか? アメリカが最も報道してほしい『憶測』を付けて報道している。日米の報道こそが、デキレースだと、私は思ってますけどねぇ」

 彼は急にに重い口調になって付け加えた。

 それにしても、「近く完了」宣言を、アメリカの次期大統領候補に関して民主党と共和党がそれぞれ発表した瞬間に合わせて、中国外交部が発表するとは――。

 これは米中のデキレースだったのか?

◆次は計画通りに必要施設を建設

 埋め立て工事が完了したので、次はその土地の上に必要な施設を建築するという。

「ただ単に埋め立てだけして、その上に何も建てないとしたら、いったい何のために埋め立てをしたのか。バカみたいじゃないですか? 建てるに決まってるでしょう。中国は半歩たりとも譲歩はしませんよ。計画通りに動いているだけです」

 高笑いの政府高官は、これもまた、ピシャリとした口調で話を結んだ。


遠藤誉
東京福祉大学国際交流センター長、筑波大学名誉教授、理学博士



2015年06月15日

周永康判決、なぜこのタイミング?――背景にアメリカ(遠藤誉氏)

平和安全法制、『ウイル7月号』に続き、映像(チャンネル桜)でも分かりやすく見れますよ。
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マスコミがいかにおかしいか、ご理解いただけるかと思います。

ウイル 26日、『月刊ウイル7月号』が発売されました。
僕の「安保法制Q&A35」26頁が載っています。
これを読めば、当分は完全です。
今、話題になっています。

『月刊ウイル7月号』を拝読しました。よく耳にする質問に対して、平易な言葉で簡潔に分かり易くご説明されておられると思いました。
といった意見が寄せられています。


 6月11日、胡錦濤時代のチャイナ・ナインの一人だった周永康の無期懲役判決が公開された。薄熙来の場合と違い、なぜ裁判は非公開だったのか。そしてなぜこのタイミングなのか。後者の背景にはアメリカへの応酬があった。

◆なぜこのタイミングなのか?

 アジアインフラ投資銀行AIIBなどで、G7の中のイギリスやフランスなど西側諸国の大半を惹きつけてアメリカの顔を潰した中国の習近平政権は、ウクライナ問題でアメリカに孤立へと追い込まれたロシアを引き寄せ、中ロ蜜月を演じている。

 国際社会におけるプレゼンスを低めつつあるアメリカは、南シナ海問題で中国を責め上げ、何とか存在感を見せつけようとしている。

 民主党のオバマ大統領は2009年に大統領に当選するなり、何もしていないのにノーベル平和賞をもらってしまった。だから新たな戦争をするわけにはいかない。しかし共和党はそのオバマの姿勢を弱腰外交として批判し、2014年の中間選挙では上院下院とも共和党が圧勝した。このままでは民主党が潰れていく。2016年に行われるアメリカ大統領選挙で民主党に勝利させなければならないオバマ大統領は、南シナ以下やウクライナ問題で「大きな」発言をして、せめて民主党大統領としての存在感を強めたい。

 そのため、6月7日から9日までドイツ南部のエルマウで開かれたG7(先進7カ国)首脳会議では、中国を念頭に置きながらも名指しはせずに、「威嚇、強制または武力行使、大規模な埋め立てを含む現状変更を試みるいかなる一方的行動に強く反対する」ということで意見の一致を見た。ただし「大規模な埋め立てを含む」という表現を入れたのだから、これを見て「南シナ海での岩礁埋め立てを進めている中国」のことだと分からない者は1人もいないだろう。

 中国の国営テレビCCTVは、ニュース番組の終わりの方でG7首脳会談に軽く触れたが、主たる討議内容は気候変動で、G7首脳会談を開催することに反対するNPO団体などに焦点を当てて報道しただけだった。

 その「仕返し」をしてやらなければならない。

 同じくG7首脳会談でウクライナ危機に関してやり玉となったロシアへの接近を「目に見える形」で表したのが、チャイナ・セブンの一人で党内序列ナンバー3の張徳江氏によるプ陳大統領との会談である(チャイナ・セブンとは中共中央政治局常務委員7名のことで、胡錦濤時代は9名だったので、筆者はそれをチャイナ・ナインと名付けた)。

 6月11日のCCTVニュースでは、習近平の次のニュースに、この張徳江氏とプーチン大統領との会談を持ってきた。CCTVでは必ずチャイナ・セブン(胡錦濤時代はチャイナ・ナイン)の党内序列の順番に沿ってニュースを流すことになっている。それなのに、周永康の無期懲役判決を公開するこの日、張徳江氏に関するニュースを、党内序列ナンバー2の李克強首相の前に持ってきたのである。前代未聞のことだ。

 それくらい中国は、中露蜜月を大きく報道して、G7の中国非難決議への報復をしたかったのである。

 アメリカがそういうことをするのなら、こちらはその分だけ中露の距離を縮めてやるというメッセージだ。

 その一方で、6月3日付け本コラムJPモルガンと中国高官の癒着――アメリカが情報を小出しにするわけは?で書いたように、AIIBで劣勢に立たされているアメリカは、何とか習近平政権の顔を潰してやりたいと思ったのだろうか、腐敗問題で陣頭指揮をしている中共中央紀律検査委員会書記の王岐山(チャイナ・セブンの党内序列ナンバー6)がJPモルガンと不正な関係にあることを示唆する報道を流した。アメリカは三権が分立し、報道も政府の自由になるわけではないが、それでも証券取引委員会が暴露したというのは大きい。

 それに対して習近平総書記としては、「いや、中国は聖域であるチャイナ・ナインまで無期懲役に追いやるほど、腐敗に関して厳格に対処し、法によって国を治めている」ということをアピールしようとして、ウォールストリート・ジャーナルの記事に対抗しようとしたのである。

 いずれもシグナルはアメリカに向けて発せられている。

 攻めも守りも、相手はアメリカだ。

 ただ、周永康の罪状には国家機密漏えい罪があるので、それも含みを持っているが、ここでは議論が広がるので、その問題は別の機会にすることとしたい。


◆なぜ周永康の裁判を非公開に?

 薄熙来の場合は裁判過程を公開し、中国はいかに法を重んじ透明であるかをアピールしようとした。

 ところが相手は、あのエンターテイナーの薄熙来。

 頑として譲らず、首(こうべ)を垂れることもなく、堂々と、豪胆な笑いさえ浮かべながらカメラの前で胸を張った。

 自らを第二の毛沢東と位置付けて人民の人気をかっさらった薄熙来は、こうしてカメラの前に立つことによってさらに英雄視され人気が上がったという側面は否めない。

 毛沢東回帰をもくろんでいた習近平としては、やや誤算であったとも言えよう。

 周永康の場合は、そのような国民的人気を気にする必要はないものの、薄熙来の前例があるため、控えたということが、一つには言える。

 しかしもっと大きな理由は、チャイナ・ナインともあろう人物を犯罪人として裁いたのでは、党の権威に傷がつくのを懸念したことである。

 習近平政権発足以来、腐敗撲滅運動に邁進するのは良いが、こんなにまで次から次への腐敗幹部が出てくるのでは、もう現在のチャイナ・セブンでさえ信用できず、共産党の党規約に載っている人の名前(たとえば江沢民)も怪しいとなれば、人民は共産党の何を信じればいいのかという気持にさえなる。それが人民の気持ちの、偽らざる現状だ。

 だから、これまで腐敗問題などでは逮捕しないとして聖域に置いてきたチャイナ・ナインの裁判中の苦しむ顔を、公衆の面前にさらして生き恥をかかせるのは、まるで党が生き恥をかいているようで、よろしくないという判断があったからだ。

 この日のCCTVは、周永康の判決を伝えると同時に、「いかなる人も法の前では平等だ」という言葉を声高に叫んでいた。

 勢いを増す中国のように見えるが、内在している矛盾は大きい。


遠藤誉
東京福祉大学国際交流センター長、筑波大学名誉教授、理学博士

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