2014年11月

2014年11月22日

安倍内閣総理大臣記者会見(平成26年11月21日)

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【安倍総理冒頭発言】

 本日、衆議院を解散いたしました。
 この解散は、「アベノミクス解散」であります。

 アベノミクスを前に進めるのか、それとも止めてしまうのか。それを問う選挙であります。
 連日、野党は、アベノミクスは失敗した、批判ばかりを繰り返しています。私は、今回の選挙戦を通じて、私たちの経済政策が間違っているのか、正しいのか、本当に他に選択肢はあるのか、国民の皆様に伺いたいと思います。

 2年前を思い出していただきたいと思います。リーマン・ショックから4年もたち、世界経済は立ち直ろうとしていたにもかかわらず、日本だけはデフレに苦しみ、3四半期連続のマイナス成長となっていました。

 行き過ぎた円高は、多くの企業を海外へと追いやり、空洞化が進みました。私の地元山口県でも、若者たちを500人以上雇用していた大きな工場が行き過ぎた円高のために工場を閉めざるを得なくなりました。どんなに頑張っても、どんなに汗を流しても、どんなに良いアイデアを出しても、行き過ぎた円高のために競争に勝てない。そして、多くの雇用が失われていたのです。失業者が増え、下請企業は仕事がなくなり、連鎖倒産という言葉が日本中を覆っていました。当時、私は、野党の党首でありましたが、どこへ行っても、「安倍さん、この景気を何とかしてくれよ。」と言われたことを今でも忘れません。

 その日本全体を覆っていた強い危機感が、私たちの政権交代へとつながりました。強い経済を取り戻せ。これこそが総選挙で示された国民の皆様の声であると信じ、三本の矢の政策を打ち続け、経済最優先で政権運営に当たってまいりました。

 その結果、雇用は100万人以上増え、高校生の就職内定率は10%アップしました。9月末の時点で既に半分以上の学生が内定をもらっている。15年ぶりの出来事です。今年の春は、過去15年間で最高の賃上げが実現しました。企業がしっかりと収益を上げれば、雇用を増やし、賃金を上げることができる。その好循環を回していく。これがアベノミクスなのです。

 アベノミクスの成功を確かなものとするために、私は、消費税10%への引上げを18カ月延期する決断をいたしました。

 消費税引上げを延期する以上、社会保障を充実させるスケジュールも見直しが必要です。しかし、子育て世代の皆さんを応援する、その決意は揺らぎません。子ども・子育て支援新制度は来年4月から予定どおり実施します。2年間で20万人、5年間で40万人分の保育の受け皿を整備し、待機児童を無くしてまいります。更に「小1の壁」を突き破り、学童保育についても待機児童ゼロを実現していく。そのスケジュールは全く変わりません。女性の輝く社会を実現する。この安倍内閣が掲げた旗はこれからも高く掲げてまいります。

 この臨時国会では、女性の活躍推進法案は残念ながら野党の協力が得られず、廃案となってしまいました。しかし、私は必ずや実現させます。来年の通常国会では、確実に法律を成立させる。その決意であります。

 消費税の引上げ延期は野党がみんな同意している。だから、選挙の争点ではないといった声があります。しかし、それは違います。野党の人たちは、ではいつから10%へ引き上げるのでしょうか。その時期を明確にしているという話を、私は聞いたことがありません。そこは極めて大切な点であります。財政を立て直し、世界に誇るべき社会保障制度を次世代へと引き渡していく責任が私たちにはあります。私たち自民党・公明党、連立与党はその責任をしっかりと果たしてまいります。

 そのために、平成29年4月から確実に消費税を引き上げることといたします。今回のような景気判断による延期を可能とする景気判断条項は削除いたします。本当にあと3年で景気が良くなるのか。それをやり抜くのが私たちの使命であり、私たちの経済政策であります。

 今週、経団連の会長が、経済界は来年も賃金を上げて、経済の好循環に貢献していきたいと宣言してくれました。さらには、再来年、その翌年と賃金を上げていく。アベノミクスを続けることができれば、必ずや実現できると確信しています。

 良い話は大企業ばかりで、アベノミクスの風なんて中小企業には届いていない、という方がたくさんいらっしゃることも、私は承知しています。円安によってガソリンや原材料が上がって困っている。これについては、今度の経済対策でしっかり対応してまいります。

 しかし、アベノミクスが始まって、行き過ぎた円高が是正されました。そうした中で、空洞化の時代が終わり、仕事がいよいよ国内へと戻ってまいりました。日産自動車は、アメリカの工場に移そうとしていたエンジン生産を、福島県のいわき市で行うことを決めました。600人近い雇用が守られたのです。キヤノンは、この2年間の変化を見て、国内生産比率を半分の5割まで戻すことを決めました。アジアに出て行ってしまったプリンターなどの生産を、茨城や滋賀で行うそうです。海外へ逃げていった投資が国内で動き始めたのです。

 大企業が国内で投資をすれば、部品や材料をつくる中小企業の仕事が生まれます。足元では、企業の倒産件数は、民主党政権時代から2割も減りました。倒産が少ないのは24年ぶりのことです。もし、あの行き過ぎた円高に逆戻りしてしまうようなことがあれば、また空洞化、根こそぎ仕事がなくなってしまいます。仕事がある、これが皆さん、一番大切なのです。

 この臨時国会では、地方創生のための基本法案が成立し、大きな一歩を踏み出すことができました。中山間地や離島を始め、地方にお住まいの皆さんが、伝統あるふるさとを守り、美しい日本を支えています。まだまだ厳しい地方経済へと、景気回復の暖かい風を送り届けてこそ、アベノミクスは完成する。私はそう考えています。地方の皆さんの生活を豊かにしていく、これも必ずやり抜いてまいります。

 都市と地方の格差が拡大し、大企業ばかり恩恵をこうむっている、そうした声があることも私は十分承知しています。それでは、日本の企業がしっかりと収益を上げるよりも前に、皆さんの懐から温まるような、手品のような経済政策が果たしてあるのでしょうか。また、ばらまきを復活させるのでしょうか。その給付を行うにも、その原資は税金です。企業が収益を増やさず、そして、給料も上がらなければ、どうやって税収を確保していくのでしょうか。それこそが2年前までの風景ではありませんか。

 私たちは違います。私たちは景気を回復させて、企業が収益を上げる状況をつくり、そして、それが皆さんの懐へと回っていく、この経済の好循環を力強く回し続けることで、全国津々浦々に至るまで景気回復を実感できる、この道しかないのです。

 景気回復、この道しかありません。そのことをこの選挙戦を通じて、皆さんにしっかりと訴え続けていきたいと考えています。そして、国民の皆様の信頼と協力を得て、賛否両論、抵抗も大きい、その成長戦略をしっかりと前に進め、国民生活を豊かにしていく。その決意であります。
 私からは以上であります。


【質疑応答】(安倍総理の回答)

(安倍総理)
 まず、アベノミクス隠しではないか。それは間違っています。今、申し上げましたように、この解散は「アベノミクス解散」だとこのように申し上げておりますし、我々はこの政策が正しいのか間違っているのか、ほかに選択肢があるか、堂々と、正に国民の皆様に問うているわけであります。
 そして何といっても、先ほど申し上げましたように、この選挙、消費税引上げを18カ月延期をしました。それを自民党は政権公約に書いていなかったではないかという批判がありました。だからこそ、私たちは選挙を行うのです。民主主義の原点は税制であります。税制に重大な変更を行った以上、選挙をしなければならないと考えています。そして、この選挙戦を通じて私たちの経済政策についてしっかりと訴え、そして、この選挙の大義についても国民の皆様の御理解をいただいていきたい。選挙によって皆さんの声を伺い、力を得て、初めて私たちの困難な難しい改革を遂行することができると思っています。
 そして、当選ライン、選挙の勝ち負けは政権選択、衆議院は政権選択です。どちらの党が過半数をとるのか、これは自民党、公明党、与党で共通の政策を訴えていきます。当然、どちらの勢力を選ぶのか、それが分岐点になると思います。小泉総理も、あの郵政解散、自民党、公明党で過半数をとったら私はこの政策を続けていく、取れなければ退陣する、そうおっしゃいました。私は野党時代、自民党の衆議院は議席119名しかありませんでした。それを倍増以上して政権をとる、それが私の約束だ、90名どころか100名以上、私は増やさなければ、私の責任は果たせない、こう申し上げています。
 ただ、もちろん選挙戦、私は自民党のリーダーです。300議席近い議席を私たちは持っている。私は当然、全員の当選を目指してまいります。

(安倍総理)
 まず初めに、私たちは昨年の参議院選挙、そしてまた、一昨年の総選挙においても、選挙において情報保全、しっかりとその仕組みを法整備をしていく。また、集団的自衛権の行使についても、原発、エネルギーについても、国民の皆様にお約束をしてまいりました。しっかりとそれを打ち出して選挙戦を戦ってきました。それが私たち自由民主党の選挙に対する、そして政治に対する基本的な姿勢であります。当然この選挙においても、我々はそうした全てにおいて国民の皆様に訴えていきたいと、このように思っております。
 そして、平成29年4月から10%に引き上げていく。今回、三党合意の中における、いわば成立した法律によって景気判断条項がありました。その景気判断条項を私たちもその上において、今回、景気判断を行い、18カ月延期しました。来年、私たちが国会に出す法律において、この景気判断条項を削除します。当然、今回のような景気判断による再延期は行わない。これは明確であります。

(安倍総理)
 今般の経済対策においては、地域の消費の喚起など、景気の脆弱な部分でしっかりと的を絞って、スピード感を持って対応する必要があると考えています。そのため、こうした観点から交付金を創設をして、自治体の創意工夫を生かして後押ししていきたい。個人の消費を後押ししていきたいと思います。特に地方にしっかりと光を当てていきたいと思います。
 そこで今、御質問があった所得税でありますが、所得税の減税については、もともと所得税の負担のない方々に対しては、当然これは効きません。我々は、むしろ低所得の方々に的を絞っていくということが大切だろうと、このように考えています。

(安倍総理)
 まず、これは従来から申し上げているとおり、原発の再稼働については、規制委員会が安全と判断したものについては、地域の皆様の、地元の皆様の御理解を得て再稼働していきます。これはもう、従来から御説明をしているとおりであります。その考え方の下に実行していこうと思っております。

 そして、安全保障に関する法整備につきましては、今年7月1日の閣議決定にのっとって、切れ目のないシームレスな国民の命を守り、国民の生活を守るための法整備、これを行っていきたいと思います。これは広範な法改正になりますが、全体をまとめて実施していく必要があると。その方が国民の皆様にとっても分かりやすいのだろうと思います。現在その法整備を進めているところでありますが、来年の通常国会に提出したいと考えています。

(安倍総理)
 消費税率を引き上げないということになりますと、給付と負担のバランスから、社会保障というのは、給付するためには負担も必要であります。その関係から言っても、全て行うのは、それは難しいと思います。しかし、大切な社会保障の充実であります。これからずっと私たちは上げないと言っているのではなくて、18カ月分だと。18カ月分をどれぐらい確保できるか。できる限り充実に向けて努力をしていきたいと思います。しかし、その中において、子育てをしている方々を支援をしていく。これはしっかりとやっていく考えであります。先ほど申し上げましたように、2年間で20万人、5年間で40万人分の保育の受け皿はちゃんとつくっていく。このことは、はっきりとお約束をしたいと思います。

shige_tamura at 09:05|PermalinkComments(0)TrackBack(0)clip!安倍晋三 

2014年11月20日

みんなの党が解党

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「みんなの党」が、とうとう解党した。


「みんなの党」は、2009年8月8日、渡辺喜美氏、江田憲司氏、浅尾慶一郎氏ら5人で結党を表明。
 それから、2014年11月19日、両院議員総会で解党を決定した。

 5年間続いた政党がなくなるのは惜しい気がする。

 なぜ、解党になったか?

 それは、3人のリーダーの出自の違いである。

 江田氏は、特定秘密保護法で造反し、離党し「結いの党」を結成。
 その後、維新に合流。

 その後、渡辺代表が8億円の借り入れ問題で代表を辞任、浅尾氏が新代表となった。

 その後、「野党再編」の浅尾氏と「新与党」路線の渡辺氏の対立が表面化が激化。
 これはもともと、浅尾氏は旧民主党、渡辺氏は旧自民党だったことから来ている。

 それに、両者の性格もあり、「俺が、俺が」といった意識から感情的な対立が激化し、分かれる結果となった。

 政党も、うまくいっている時はいいが、うまくいかなかった時に真価が問われるものだ。
 これまでも、いくつもの政党ができてはつぶれ、できてはつぶれを繰り返した。

 政党を長く続けることが、人生や会社と同じように大事なことだ。

 政党をつぶす当人はいいが、もっと他に影響をうける人のことを考えるべきだ。

 「俺のイタリアン」等が流行っているからといっても、政党のトップの都合だけで「みんな」から「俺」はいただけない。

 この結果、迷惑するのが、「みんなの党」から衆院選に立候補を決めている人たちと
「みんなの党」の地方議員だ。
 看板からビラから全て作り直しとなり、それには時間もお金もかかる。

 政治は、政策も大事だが、人間は感情の動物であり、人間性がより大事だ。

 これを、「みんなの党」の解党が教えてくれた。


(参考)

みんなの党が解党へ 渡辺前代表「みんなの党抹殺事件です」
(フジテレビ系(FNN) 11月19日(水)20時53分配信)

 党の路線対立が表面化していたみんなの党は、19日午後、両院議員総会を開き、党所属議員の過半数の賛成で、解党する方針を決めた。
 みんなの党は、路線をめぐる対立が激化しており、両院議員総会では、「選挙で『みんなの党』と書いてくれた人を裏切るな」など、怒号が飛び交った。
みんなの党の渡辺前代表は「地方議員の声を聞けと言ったのは誰だ!」、「両院総会の前に、地方議員の声を聞けと言ったのは誰だ!」、「この前の両院総会は何だったんだ!」などと、声を上げた。
 結局、党所属議員の過半数の13人が賛成し、解党する方針が決まった。
渡辺氏は「独裁的な手続きで、民主的な議論を封殺したと。みんなの党抹殺事件ですよ。瑕疵(かし)がある決定であると」と述べた。
 みんなの党の浅尾代表は「手法の違いによる解党ということだと思います。(代表だった半年を振り返ると?)そうですね...。なかなか、一言では答えられないところもありますけれども。期待ということに、残念ながら応えることが、結果としてできなかったということは、大変申し訳ない」と述べた。
 解党の決定を受け、みんなの党は、5年余りの歴史に終止符を打ち、今後は、民主党との連携を目指す浅尾氏、安倍政権との連携を目指す渡辺氏のほか、新党結成を模索する議員などが、それぞれ活動することになる。


 みんなが解党決定=「第三極」の一角消滅
(時事通信 11月19日(水)16時8分配信)

 みんなの党は19日、両院議員総会を衆院議員会館で開き、解党することを賛成多数で決めた。党内の路線対立で結束維持が困難となったことから、所属議員20人(衆院8人、参院12人)のうち13人が賛成した。これにより、自民、民主二大政党に対抗する第三極の一角が消滅。所属議員は、民主党や維新の党への合流や新党結成を模索する見通しで、野党陣営の候補者調整が進みそうだ。
 総会では、浅尾慶一郎代表が検討していた民主党との合流に反対する松沢成文参院議員が、解党を求める決議書を提出。党存続を主張する渡辺喜美前代表が「安倍政権はみんなの政策を採用してきた。なぜ解党するのか」と詰め寄ったが、松沢氏は「党内は与党路線、野党路線、第三極に割れている。これでは選挙を戦えない。それぞれの道を行くべきだ」と反論した。
 採決は、地方議員も含めた出席者の怒号が飛び交う中、議事進行役を除く国会議員19人で行われ、反対したのは渡辺氏ら6人にとどまった。決定を受け、みんなは28日に正式に解党。衆院選公示日の12月2日に解散を総務相に届け出る。
 総会後、浅尾氏は記者団に「大変残念だ。路線対立によって党のまとまりが付かなかったことが解党につながった」と説明。一方、渡辺氏は、浅尾氏が解党に向けた手続きを進めたことに対し「極めて独裁的な手法だ」と厳しく批判した。 

shige_tamura at 09:06|PermalinkComments(1)TrackBack(0)clip!ニュース 

2014年11月19日

究極のポピュリズムは誰か?(高村正彦副総裁)

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 昨日の安倍総理の消費税増税1年6カ月先送り、そして衆議院解散の決意表明でありますが、まず第一に、安倍総理のデフレ脱却、デフレとの戦いにかける並々ならぬ決意を感じました。

 それと同時に次の法案においては景気弾力条項を入れないと明言されたということは、財政再建についてもしっかり配慮し、不退転の決意を示したということだと思います。

 三つ目に言えることは、そういう景気弾力条項を入れないということをはっきり言えたのは、アベノミクスに対する並々ならぬ自信、消費税分を含む物価上昇を賃金が次の1年半先までには必ず追い抜いていくという自信を示したものだと言えると思います。

 さらに言えば、今自公で圧倒的多数をもっているにもかかわらず大きな政策変更ということで国民に信を問うという考えは、民主主義政治というのは国民の為の政治ということと同時に、国民による政治が大切なんだ、民主主義というのはそういうものだというしっかりとした見識を持った政治家であるということを示したことだと思います。

 翻って民主党が政権を取った時、のちに総理大臣なる野田佳彦さんは「シロアリ退治が先だ。消費税を上げない」と言っていたにもかかわらず、信を問うことなく消費税を上げる決断をした。

 そしてその消費税法案を通すときにも我々は国民の為の政治として良いことだということで協力したわけですが、国民による政治という意味からは民主党は公約違反であったので、何度も何度も前に解散しろと言い、それはダメだということであれば近いうちに解散という約束を取って法案を通したにもかかわらず、法案が通ったら言を左右にして、その近いうちがどんどん延びたということがありました。

 それに対して国民が鉄槌を下したというのが前回の選挙であったと思います。


 今回の消費税先送り、解散ということが報道されたときにその野田前総理が何と言ったかというと、「究極のポピュリズムだ」ということを言いました。

 先送りをしてはいけないという信念を持っていたのだと思います。

 それにもかかわらず実際に選挙が行われるようになったら、先送り容認ということを言っている。

 これこそ究極のポピュリズムだと思います。

 これから総理の決意を受けて、自民党としては一致団結して戦っていきたいと思います。

shige_tamura at 14:01|PermalinkComments(0)TrackBack(0)clip!自由民主党 | 民主党

安倍内閣総理大臣記者会見「この道しかない」(11月18日)

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 本年4月より8%の消費税を国民の皆様に御負担いただいております。
 5%から8%へ3%の引き上げを決断したあの時から、10%へのさらなる引き上げを来年予定どおり10月に行うべきかどうか、私はずっと考えてまいりました。
 消費税の引き上げは、我が国の世界に誇るべき社会保障制度を次世代に引き渡し、そして、子育て支援を充実させていくために必要です。
 だからこそ、民主党政権時代、私たちは野党ではありましたが、税制改革法案に賛成いたしました。

 しかし、消費税を引き上げることによって景気が腰折れてしまえば、国民生活に大きな負担をかけることになります。そして、その結果、税率を上げても税収が増えないということになっては元も子もありません。経済は生き物です。

 昨日、7月、8月、9月のGDP速報が発表されました。残念ながら成長軌道には戻っていません。消費税を引き上げるべきかどうか、40名を超える有識者の皆さんから御意見を伺いました。そして、私の経済政策のブレーンの皆さんから御意見を伺い、何度も議論を重ねてまいりました。そうしたことを総合的に勘案し、デフレから脱却し、経済を成長させる、アベノミクスの成功を確かなものとするため、本日、私は、消費税10%への引き上げを法定どおり来年10月には行わず、18カ月延期すべきであるとの結論に至りました。

 しかし、ここで皆様に申し上げておきたいことは、3本の矢の経済政策は確実に成果を上げつつあります。
 経済政策において最も重要な指標、それはいかなる国においても雇用であり、賃金であります。政権発足以来、雇用は100万人以上増えました。今や有効求人倍率は22年ぶりの高水準です。この春、平均2%以上給料がアップしました。過去15年間で最高です。企業の収益が増え、雇用が拡大し、賃金が上昇し、そして消費が拡大していく、そして景気が回復していくという経済の好循環がまさに生まれようとしています。

 ですから、私は何よりも個人消費の動向を注視してまいりました。昨日発表された7月から9月のGDP速報によれば、個人消費は4月から6月に続き、1年前と比べ2%以上減少しました。現時点では、3%分の消費税率引き上げが個人消費を押し下げる大きな重石となっています。本年4月の消費税率3%引き上げに続き、来年10月から2%引き上げることは、個人消費を再び押し下げ、デフレ脱却も危うくなると判断いたしました。

 9月から政労使会議を再開しました。昨年この会議を初めて開催し、政府が成長戦略を力強く実施する中にあって、経済界も賃上げへと踏み込んでくれました。ものづくりを復活させ、中小企業を元気にし、女性が働きやすい環境をつくる、成長戦略をさらに力強く実施することで、来年の春、再来年の春、そして、そのまた翌年の春、所得が着実に上がっていく状況をつくり上げてまいります。国民全体の所得をしっかりと押し上げ、地方経済にも景気回復の効果を十分に波及させていく、そうすれば消費税率引き上げに向けた環境を整えることができると考えます。

 そのためにも、個人消費のてこ入れと、地方経済を底上げする力強い経済対策を実施します。次期通常国会に必要となる補正予算を提出してまいります。

 財政再建についてお話しいたします。社会保障・税一体改革法では、経済状況を見て消費税引き上げの是非を判断するとされています。今回はこの景気判断条項に基づいて、延期の判断をいたしました。

 しかし、財政再建の旗を降ろすことは決してありません。国際社会において、我が国への信頼を確保しなければなりません。そして、社会保障を次世代に引き渡していく責任を果たしてまいります。安倍内閣のこうした立場は一切揺らぐことはありません。

 来年10月の引き上げを18カ月延期し、そして18カ月後、さらに延期するのではないかといった声があります。再び延期することはない。ここで皆さんにはっきりとそう断言いたします。平成29年4月の引き上げについては、景気判断条項を付すことなく確実に実施いたします。3年間、3本の矢をさらに前に進めることにより、必ずやその経済状況をつくり出すことができる。私はそう決意しています。

 2020年度の財政健全化目標についてもしっかりと堅持してまいります。来年の夏までにその達成に向けた具体的な計画を策定いたします。

 経済再生と財政再建、この2つを同時に実現していく。そのための結論が本日の決断であります。

 ただいま申し上げた内容を実現するために、来年度予算の編成に当たるとともに、関連法案の準備を進め、来年の通常国会に提出いたします。

 このように、国民生活にとって、そして、国民経済にとって重い重い決断をする以上、速やかに国民に信を問うべきである。そう決心いたしました。今週21日に衆議院を解散いたします。消費税の引き上げを18カ月延期すべきであるということ、そして平成29年4月には確実に10%へ消費税を引き上げるということについて、そして、私たちが進めてきた経済政策、成長戦略をさらに前に進めていくべきかどうかについて、国民の皆様の判断を仰ぎたいと思います。

 なぜ今週の解散か説明いたします。

 国民の皆様の判断を仰いだ上で、来年度予算に遅滞をもたらさないぎりぎりのタイミングであると考えたからであります。

 現在、衆議院において、私たち連立与党、自民党、公明党は、多くの議席をいただいております。本当にありがたいことであります。選挙をしても議席を減らすだけだ、何を考えているのだという声があることも承知をしています。戦いとなれば厳しい選挙となることはもとより覚悟の上であります。

 しかし、税制は国民生活に密接にかかわっています。代表なくして課税なし。アメリカ独立戦争の大義です。国民生活に大きな影響を与える税制において、重大な決断をした以上、

 また、私たちが進めている経済政策は賛否両論あります。そして、抵抗もある。その成長戦略を国民の皆様とともに進めていくためには、どうしても国民の皆様の声を聞かなければならないと判断いたしました。

 信なくば立たず、国民の信頼と協力なくして政治は成り立ちません。

 今、アベノミクスに対して失敗した、うまくいっていないという批判があります。しかし、ではどうすればよいのか。具体的なアイデアは残念ながら私は一度も聞いたことがありません。

 批判のための批判を繰り返し、立ちどまっている余裕は今の日本にはないのです。私たちが進めている経済政策が間違っているのか、正しいのか。本当にほかに選択肢があるのかどうか。この選挙戦の論戦を通じて明らかにしてまいります。そして、国民の皆様の声を伺いたいと思います。

 思い返せば、政権が発足した当初、大胆な金融緩和政策に対しては反対論ばかりでありました。法人税減税を含む成長戦略にも様々な御批判をいただきました。しかし、強い経済を取り戻せ、それこそが2年前の総選挙、私たちに与えられた使命であり国民の声である。そう信じ、政策を前へ前へと進めてまいりました。岩盤規制にも挑戦してまいりました。

 あれから2年、雇用は改善し賃金は上がり始めています。ようやく動き始めた経済の好循環、この流れを止めてはなりません。15年間苦しんできたデフレから脱却する、そのチャンスを皆さんようやくつかんだのです。このチャンスを手放すわけにはいかない。あの暗い混迷した時代に再び戻るわけにいきません。

 デフレから脱却し、経済を成長させ、国民生活を豊かにするためには、たとえ困難な道であろうとも、この道しかありません。景気回復、この道しかないのです。国民の皆様の御理解をいただき、私はしっかりとこの道を前に進んでいく決意であります。

 私から申し上げたいことは以上であります。


【質疑応答】=安倍総理の答え

(安倍総理)
 財政再建の旗を降ろすことは決してありません。そして、平成29年4月に確実に消費税を10%へと引き上げてまいります。そして、2020年度の財政健全化目標も堅持してまいります。そのことによって、国際的な信認の問題は発生しないと確信しています。
 経済の再生なくして財政健全化はできません。デフレ脱却なくして財政健全化は夢に終わってしまいます。だからこそ、断固としてデフレ脱却に向けて進んでいくべきなのです。私は、十分に国際的な理解を得られると考えています。
 前回の総選挙において、自公合わせてたくさんの議席をいただいたこと、本当に感謝いたしております。しかし、税制こそ議会制民主主義といってもいいと思います。その税制において大きな変更を行う以上、国民に信を問うべきであると考えました。

 そして、その上で自民党、公明党連立与党によって過半数を維持できなければ、私たちの三本の矢の経済政策、アベノミクスを進めていくことはできません。過半数を得られなければアベノミクスが否定されたということになるわけでありますから、私は退陣いたします。


(安倍総理)
 まず、申し上げておきたいことは、ではなぜ2年前民主党が大敗したのか。それは、マニフェストに書いていない消費税引き上げを国民の信を問うことなく行ったからであります。

 平成24年1月、我が党の総裁であった谷垣総裁の代表質問を覚えておられるでしょうか。税こそ民主主義である。まさに議会制民主主義は、税とともに歩んできたのです。その税において、公約に書いていないことを行うべきではない。我々は解散総選挙を要求しました。私たちは、先の総選挙において、3党合意に従って3%、そして2%、5%から10%へ引き上げるということをお約束してまいりました。18カ月間の延期、さらには29年4月には景気条項を外して確実に上げる、これは重大な変更です。そうした変更については、国民の信を問う、当然のことであり、民主主義の私は王道と言ってもいいと思います。

 そして、まさに3年後消費税を2%引き上げていくというお約束を新たにいたしました。その状況をつくっていくためには、三本の矢を、成長戦略をしっかりと推し進めて、景気をしっかりと回復させ、賃金を上昇させていかなければいけません。
 こうした政策を進めていくためにも、国民の皆様の理解が必要です。国民の皆様の御協力なくしてこうした成長戦略のような困難な政策は前に進みません。だからこそ、私は税制において、そして、この成長戦略を進めていく上において解散総選挙をする必要がある。国民の皆様の声を聞き、国民の皆様とともに進んでいきたい。そのことによって確実に3年後に私たちは、消費税引き上げの状況をつくり出すことができると考えたわけであります。

(安倍総理)
 軽減税率導入に向けて、自民党、公明党、両党間でしっかりと検討していきたいと思います。両党には税の専門家がおります。この間において、両党間でしっかりと検討していくことになります。

(安倍総理)
 一昨年の12月に安倍政権が発足をいたしました。発足後、直ちにマイナス成長からプラス成長に転じました。これはまさに私たちが進めている経済政策の成果であると思います。
 そして、今年消費税率を引き上げました。しかし、先ほど申し上げましたように、残念ながら消費税率の引き上げが個人消費を押し下げていくことになってしまった。ですから、私たちはしっかりと三本の矢の政策を進め、来年、再来年、そしてそのまた翌年、賃金が確実に上がっていく。名目所得が上がり、そして実質賃金も上がっていく状況をつくっていくことによって、そういう経済をつくっていきたい、また、経済をつくっていくことができると思っています。
 有効求人倍率は22年ぶりの高水準ですし、そして、本年4月には15年で最高の賃上げ率になっています。また、例えば倒産件数においても24年ぶりの低水準になっています。また、高卒、大卒内定率も上がっています。特に高卒の皆さんにおいては顕著に上がっているのです。間違いなく私たちが進めている政策は成功しています。
 ただ、消費税率引き上げによって押し下げられた個人消費、そこにおいてまだ2年連続で上げていくにはデフレ脱却が危うくなると判断したところでありますが、3年間あれば、そしてこの選挙においてしっかりと信任を得て三本の矢の政策をちゃんと前に進めていけば、必ず約束を果たすことができると確信しています。

(安倍総理)
 自民党は消費税もそうでありますが、常に選挙において逃げることなくしっかりと国民の皆様にお示しをしています。ですから当然、エネルギー政策、原発政策あるいは安全保障政策等についても党の公約にきっちりと書き込んで、この選挙戦堂々と闘っていきたい。有意義な論戦を行っていきたいと考えております。

shige_tamura at 10:36|PermalinkComments(0)TrackBack(0)clip!安倍晋三 

中国人にも愛された高倉健――改革開放に利用した日本映画と日本アニメ(遠藤誉氏)

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 1978年、中国では改革開放が始まったが、怖気づく人民を励ますためにトウ小平が利用したのは高倉健であり、鉄腕アトムだった。10年にわたる文化大革命という殺伐とした中で生きていた人民の心を、高倉健は魅了した。

◆改革開放――日本に学べ

 1978年、日中平和友好条約締結のために来日したトウ小平は新幹線に乗ってショックを受けた。「まるで背中を鞭打たれているようだ」と叫び、中国に帰国するや否や「改革開放」を宣言した。「自由に金儲けをしてもいい」と言ったのである。

 しかし1949年10月1日の建国以来、中国は計画経済を実施してきたし、特に文化大革命(文革)期には金儲けに走る者を「走資派」と糾弾して投獄してきた。だから人民はひたすら恐怖におびえ、いくら「金儲けをしてもいい」などと言われても「騙されないぞ」「そうやって、また投獄する気だろう」と疑う者が多かった。

 そのため初期のころ、改革開放は進まなかった。

 そこでトウ小平は日本の映画やテレビドラマあるいはアニメを利用し始めたのである。

 テレビを持っている家庭など非常に少なかったので、最初に導入したのは映画館で見られる映画やアニメだ。

 映画の中で典型的なのは高倉健の『君よ 憤怒の河を渉れ』。同名の小説(西村寿行、1974年)を映画化したサスペンス・アクションものだ。

 中国語では『追捕』というタイトルで公開され、中国人民を魅了した。

 文革期間、思想教育的な革命映画以外は上演されず、一般の映画に餓えていた中国にあって、映画館は連日満員の大盛況。前夜から並んで入場券を求めるほどの人気ぶりだった。特に高倉健が演じる主役は中国の多くの若い女性をしびれさせ、男性は高倉健のようになりたいと、ファッションやしぐさ、そしてあの渋い表情を真似たものだ。

 北京大学の教授であった筆者の友人は、周りの人に「高倉健に似ている」と言われて嬉しくなり、いつも高倉健が映画の中で着ていた服装を真似たり、しぐさを真似るようになった。しゃべり方や顔の表情も渋くして、おしゃべり好きだった彼が「寡黙」を装うという熱の入れよう。

 中国語では高倉健は「ガオ・ツァン・ジェン」と読む。

 そこで筆者がこの教授のことを本名で呼ばず「ガオ・ツァン・ジェン」と呼ぶと彼はひどく喜び、高倉健の服装と似たような皮ジャンパーまで購入し、「ガオ・ツァン・ジェン!」と呼ばれるたびにポーズを取ったりなどしたものだ。

 映画館に長蛇の列を作らせた、もう一つの日本映画には『サンダカン八番娼館 望郷』(中国名は「望郷」)というのがある。「娼館」という言葉からも分かるように、いわゆる「娼婦」をテーマとした映画で、とてもとても、文革が終わったばかりのあの中国で放映されるような内容ではない。文革の時期は意中の女性を見つめただけで「非革命的」として批判されたほどなのだから。

 その閉ざされた禁欲的世界で生きてきた中国人民にとって、これらの映画は天変地異のようなインパクトを与えた。

 高倉健とて、サンダカンほどではないが、やはり中野良子とのそれなりの男女が抱き合う場面がある。見てはならないものを「見せてくれる」日本の映画に、若い男女も中年の男女も、心中穏やかならぬ魅力に惹かれて何度も通い詰めた。日本映画を放映する映画館はいつも満員御礼で、前夜から並ばないと入れないような賑わいを見せていた。

 手塚治虫の『鉄腕アトム』は子供たちだけでなく、中国の老若男女すべてを魅了したと言っていいだろう。

 文革で友人を裏切り周りを誰も信じることができなくなっていた中国人民にとって、小さくて愛くるしいアトムが愛と友情のために死力を尽くす姿に、子供だけでなく大人までが魅了され涙した。「科学の子」「正義の子」であるアトムは、たちまち中国人民が心から愛するマスコットになっていく。

 それからというもの、日本のアニメは雪崩を打ったように大陸に上陸していき、やがて中国の全土を席巻するようになる。

 トウ小平の戦略は、みごとに成功。

「ほらね、改革開放をすると、こんなに楽しいことがあるんだよ」

 トウ小平は日本の文化を用いて中国人民が改革開放の一歩を踏む勇気を与えたのだ。

 科学技術や企業経営に関しては松下幸之助を手本とした。

 78年10月に訪日したトウ小平は、10月28日に松下電器産業を視察して、経営の神様と言われた松下幸之助に会っている。

 トウ小平は松下幸之助に「教えを乞う姿勢で参りました」と頭を下げ、松下幸之助は「全力で支援します」と快く協力を快諾している。

 こうして科学技術と経営を日本から学び、中国は飛躍的な経済発展を遂げるに至ったのである。

 改革開放は、「日本に学べ」から始まり、中国はそれによって、こんにちの繁栄を手にしている。(この詳細は『チャイナ・ギャップ 噛み合わない日中の歯車』に書いた。)


◆政治や軍事より強いソフトパワー

 このたび高倉健の訃報を知った中国の国営テレビCCTVは、すぐに全国ニュースの「新聞聯播」で報道しただけでなく、外交部の洪磊(ホンレイ、こうらい)報道官が「彼は日中友好に尽くした」と高倉健の功績を讃えた。

 いつも「絶対許すまじ!」という表情で日本を非難する、あの報道官が、である。

 1994年から始まった愛国主義教育と95年から強化された反日的要素により、若者の心にはトップダウンで反日的情緒が培われているものの、実は改革開放の窓から飛び込んできた日本アニメや日本映画に魅了され、自ら選ぶというボトムアップの力で、日本のサブカルチャーに酔いしれて育ってきたのである。

 少なくとも2000年ごろまでは、日本アニメを見ずに育った若者はいないと言っても過言ではないほど、日本のサブカルチャーは若者の心にしみわたり、日本への憧れを抱かせた。

 このままでは若者の精神文化が日本流に「自由闊達」に形成されてしまうことにハッとした中国政府は、2006年から日本アニメの放映を厳しく制限し、中国の国産アニメ基地を設置して「中華の文化」を奨励してきたが、「自由奔放な思想」の中からでないと、若者を虜にする作品は生まれない。

 洪磊報道官に象徴されるように、ソフトパワーは政治や軍事力よりも強く、そして「銭」よりも強い力を持っている。

 中国は、改革開放を始めたころの、日本の中国への熱意と貢献を思い出してほしい。あのときの日本の全面的な協力が無かったら、果たして改革開放は成功しただろうか? 1989年の天安門事件後の西側諸国による経済制裁を最初に解除して中国を応援したのも日本だ。それらがなかったら、こんにちの世界第二の経済大国・中国はなかったはずである。(ソフトパワーに関する詳細は『中国動漫新人類 日本のアニメと漫画が中国を動かす』に書いた。)


遠藤誉
東京福祉大学国際交流センター長、筑波大学名誉教授、理学博士
(ヤフーより)


shige_tamura at 07:36|PermalinkComments(0)TrackBack(0)clip!ニュース | 遠藤誉

2014年11月18日

今日、安倍総理が消費増税先送り会見、政界トピックス。

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 内閣府が17日発表した7〜9月の実質経済成長率が予想外の1.6%となり、国内総生産(GDP)速報値が2四半期連続のマイナス成長となり、株価は全面安となった。

 これは、消費税後の反動減が響いたもので、今後、政府は2〜3兆円の個人消費の押し上げに重点を置いた経済対策を行う予定だ。

 こうした結果を受けて、今日、安倍総理は、来年10月に予定されている消費税10%への再引き上げを1年半先送りし、その際に解散表明する見込みだ。



 政界トピックス


 みんなの党内で解党論浮上
(産経新聞 11月17日(月)22時0分配信)

 民主党との合流構想が浮上しているみんなの党で、松田公太、松沢成文両参院議員ら8人が17日、国会内で会合を開き、浅尾慶一郎代表に解党を検討するよう要請する方針を確認した。野党勢力の結集に軸足を置く浅尾氏への不満が背景にある。
 出席者によると、18日にも代表者が浅尾氏に民主党との合流を思いとどまるか、解党するか迫るという。
 出席者の1人は「分党などと言って、政党交付金の奪い合いとみられるのは政治不信を増幅させるだけだ。発展的に解党したほうがいい」と話している。


<みんなの党>解党求める議員数は半数超える
(毎日新聞 11月17日(月)21時42分配信)

 みんなの党で解党を求める動きが強まっている。松田公太参院議員は17日、自身のブログで「みんなの党は解党しかない」と表明。解党を求める議員数は半数を超えており、同党は存続の危機に立たされた。
 松田氏はブログで、「内輪もめが続いた結果、(党の)支持率がゼロに近づき、国民の信任を完全に失った」と指摘。「民主党との合流話が飛び出したが、行きたくない人もいる。分党は(衆院選を前に)時間的に無理で、解党しか道はない」などと記した。
 解党を求めている参院議員らは17日、会合を開いた。党内(衆院8人、参院12人)の過半数の署名を集めたとして、執行部に回答を求める方針を確認した。
 解党危機は、浅尾慶一郎代表と渡辺喜美前代表の路線対立がきっかけ。浅尾氏が民主党との合流や新党結成を検討したのに対し、安倍晋三首相に近い渡辺氏は浅尾氏の辞任を要求。両氏と距離を置く議員が解党を求めている。【村尾哲】



 石原慎太郎氏、引退せず次期衆院選出馬へ
(産経新聞 11月17日(月)19時9分配信)

 次世代の党の石原慎太郎最高顧問(82)が次期衆院選へ出馬する意向を固めたことが17日、分かった。同党の藤井孝男選対委員長が産経新聞の取材に明らかにした。
 藤井氏は「どういう形で出るか、どこから出るかは別として、出馬することは間違いない」と断言。藤井氏によると、石原氏は「冬の選挙だけど俺は頑張ってやる。先頭に立って応援していく」と述べたという。
 石原氏は高齢を理由に政界引退を示唆していたが、若手らが続投を求めていた。東京都知事を4期目の任期途中で辞職し、平成24年12月の衆院選で比例代表東京ブロックから出馬して当選した。
 石原氏は14日、出馬にあたり党所属議員に「体力的にきつい」と語っていた。このため、立候補は選挙区でなく引き続き比例代表からとなる見通しだ。



 民主・有田芳夫氏が東京11区からの鞍替え出馬を断る

 民主党は、参議院議員の有田芳夫氏に東京11区からの鞍替え出馬を打診。
 有田氏は「相手は下村博文文科相だし、比例で当選する保証もない、冒険するつもりはありません」と断った。(東スポより)

2014年11月17日

沖縄知事選挙結果と新聞社説の違い

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 昨日(16日)の沖縄知事選挙は、米軍基地移設に県内移設反対を掲げた翁長雄志前那覇市長(64)が、3選を目指した推進派の仲井真弘多知事(75)=自民、次世代推薦=ら3人を破り、初当選した。

 これにより、日米両政府が進める米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古沿岸部に移設できるかが焦点になる。

 具体的には、仲井真氏が昨年末、辺野古沿岸部の埋め立てを承認して以降、政府は現行移設計画を堅持する方針だが、翁長氏の勝利で、作業の進捗(しんちょく)に影響が及ぶか否かだ。

 今後、新知事の翁長氏が、政府との話し合いで、どう変わるか?変わらないか?である。


◇沖縄知事選当選者略歴
 翁長 雄志氏(おなが・たけし)法政大法卒。85年那覇市議選に初当選。沖縄県議を経て00年から14年まで那覇市長(4期)。64歳。那覇市出身。

◇沖縄県知事選開票結果
当360,820 翁長 雄志 無新 
 261,076 仲井真弘多 無現
  69,447 下地 幹郎 無新
   7,821 喜納 昌吉 無新   =確定得票=



 新聞報道は、憲法、集団的自衛権など安保政策、基地問題等に関する時に報道が異なる。

 例えば、憲法改正について、「読売、産経」VS「朝日、毎日」となる。

 「憲法改正=読売、産経」VS「憲法改正反対=朝日、毎日」

 今回も
 「辺野古移設推進=読売、産経」VS「辺野古移設反対=朝日、毎日」となる。


 各紙の社説を見てみよう。

 読売は、「辺野古移設を停滞させるな」のタイトルで、

「翁長氏も現実路線に立ち、政府との接点を探ってはどうか。政府・与党は、翁長氏の出方を見つつ、辺野古移設の作業を着実に進めることが肝要である」と主張する。


 産経は「政府は粛々と移設前進を」のタイトルで、

「埋立て承認は、明らかな虚偽などの国の申請に瑕疵(かし)がなければ取り消すことができない。新知事が承認をほごにするようなことは、法的秩序を混乱させるものであり、認められない」と主張する。

 一方、

 朝日は、「辺野古移設は白紙に戻せ」のタイトルで、

「政府は米国との協議を急ぎ、代替策をさぐるべきだ」と主張。


 毎日も、「辺野古移設に審判 白紙に戻して再交渉を」のタイトルで、

「日米安保体制を安定的に運用していくという大きな目的のためにも、日本政府は沖縄との摩擦を放置せず、米政府に再交渉を求めて問題解決を図るべきだ」と主張する。


 なお今回、日経は、「いまこそ政府と沖縄は話し合うときだ」とのタイトルで、

「普天間は市街地に囲まれた基地である。ひとたび事故が起きれば甚大な被害が生じる。政府と沖縄県がいがみ合っている場合ではない。その原点を確認するところから話し合いを始めるべきだ」と主張している。

2014年11月14日

米中首脳会談「ほめ殺し戦」?――予告された「サプライズ」(遠藤誉氏)

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 中国のメディアでは早くから「APECでは米中首脳会談でサプライズがあるだろう」と報道してきた。そのサプライズとは何だったのか。「ほめ殺し戦」とも見える米中の蜜月とけん制を読み解きながら分析する。


◆2013年6月の米中首脳会談の逆バージョン

 2013年6月、訪米した習近平国家主席はオバマ大統領とカリフォルニアの保養所、アネンバーグ亭で(通訳以外の)二人だけの散歩をし、親しさをアピールした。これは盗聴器が無い状況で、二人の密談的な会話を通して、いかに二人が緊密であるかを示したものだ。

 会談は「散歩」も含めて8時間にわたった。

 今回のオバマ大統領の訪中は、APEC終了後、11日夕方に、中国指導者の住居と執務室がある中南海で「二人だけの散歩」を再現した、カリフォルニアの逆バージョンだった。

 この中南海は、米ソ対立があった冷戦時代の1972年に、米中首脳が初めて接触した場所でもある。

 キッシンジャーの忍者外交によって、当時のニクソン大統領と毛沢東(中共中央委員会および中央軍事委員会)主席および周恩来国務院総理(首相)との会談が実現し、この中南海で両国首脳が会った。それは世界の歴史を塗り替え、日本も慌てて田中角栄元首相が訪中して日中国交正常化を果した年でもある。

 毛沢東の再来かと言われている習近平主席は、あの衝撃を再現し、国際社会の地殻変動を起こそうという計算を、きちんと織り込んだのだろう。

 世界第二の経済大国にのし上がった中国は、今回は「新型大国関係」として、アメリカと対等の強さと米中の緊密さをアピールした。

 習近平主席は、中国では「第二の毛沢東」か、あるいはそれ以上の存在として人民の間に人気があるが、それをこの歓迎ぶりで国内外に印象付けたかったにちがいない。

 日中首脳会談で安倍首相を一人待たせておいてから姿を現したのとまったく違い、オバマ大統領に対しては、逆に習近平主席の方が一人中南海の湖のほとりにたたずんでオバマ大統領を乗せた車が近づくのを出迎えた。テレビカメラはその場面を大写しにした。

 会談時間は11日と12日の二日間を合わせて10時間。

 中央テレビ局CCTVは、終始こぼれんばかりの笑顔を崩さない習近平主席の姿と、ハグせんばかりのオバマ大統領の喜びようを何度も何度も、二日間にわたり、一部始終報道した。しかも「国賓として公式訪問」という言葉を強調した。

 予告されていた「サプライズ」は、この演出だったのだろう。


◆新型大国関係を認めさせながらもけん制――「ほめ殺し戦」?

 会談の内容はすでに多くの日本メディアが報道しているので、ここではくり返さない。

 筆者が注目するのは、アメリカにおける中間選挙で大敗したオバマ大統領を、今この時期にこそ最大限に歓待して、「新型大国関係」をアメリカ側に受け容れさせようとしているという点だ。

 今は習近平の方がオバマより「有利な(?)」立場に立っている。

 そのときに最大限の歓待をして、すでに中国がアメリカの上に立っているようなイメージをいやが上にも持たせるようにするという狙いが透けて見える。

 中国の報道で強調されたのは、「互いの政治体制は違うが、その違いを互いに認め合い、相互に協力し合う互恵関係を築いていく」という趣旨の習近平主席の言葉だ。

 これはアメリカへの「中国の内政に口出しはするな」というけん制でもあり、互いの経済協力でもある。

 まさに「戦略的互恵関係」をアメリカと結び、尖閣諸島の領有権に対しても「アメリカがどちらの側にも立たたない」という立場を明確にしていることに焦点を当てながら、日本を牽制する形で、実はアメリカをも牽制している。

 ロシアと中国の蜜月関係が、もし軍事同盟にまで発展した時には、アメリカは何としても中国を自分の側につけておかなければならない。それがアメリカのロシアへの経済制裁など、ロシアとの関係(米露関係)によって困難になれば、日米関係を、より一層頼ることにもなるだろう。

 しかしアメリカとしては自国の利益と、中露がこれ以上距離を近づけないようにするためにも、中国をアメリカ側に引き寄せることを非常に重要視していくだろうことが会談から見て取れた。

 互いに「ほめ殺し戦」をやっているような米中関係だが、その間にいる日本は米中両国の道具に使われないよう、慎重な戦略を練っていく必要に迫られているという印象を持った。

 アメリカの中間選挙で共和党が勝利を収めたアメリカと今後の米中関係。その微妙な変化にも注意を払っていきたい。



遠藤誉
東京福祉大学国際交流センター長、筑波大学名誉教授、理学博士
(ヤフーより)


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