2011年08月
2011年08月17日
講演録「政治家と官僚との関係の変化」田村重信（その９、終わり）
「天に向かって！」（歌・田村重信）が、カラオケ「ウガとジョイサウンド」で歌えます。よろしく！ブログランキングに参加しています。
↓↓↓貴方の応援クリックが明日の活力になります↓↓↓
こちらをクリック
（以下の講演録は、平成七年六月に慶應義塾大学大学院にて、変化の著しい政治と官僚の関係について講演したものに加筆したものです。）
〇官僚に求められるもの
戦後五十年を迎えた今日、ポスト冷戦によって外交・防衛問題がクローズアップされてきている。そこで、今度は外交・防衛の問題について論じてみることとする。
冷戦時代は、外交は米国の言うとおり、防衛は自衛隊が「合憲」か「違憲」かという議論が中心で、本当の意味での外交・防衛についての議論がなされてこなかった。しかし、冷戦崩壊によって、東西対立という明白な対立軸がなくなり、同時に日米経済対立に象徴されるように、日米関係も新たな段階に入った現在、外交・防衛について真剣に議論する必要が出てきたわけである。つまり、今までは米国追従、国連重視、外交は外務省の専権事項という暗黙の了解があった。また、それで国の舵取りに大きな間違いは生じなかったのである。
だが、ポスト冷戦によって形成されつつある世界新秩序は、日本に次のような事項の見直しを否応なく迫っている。すなわち、日米安保の再定義、アジアとの関係、戦後五十年問題・戦後処理、ＥＡＥＣのマハティール構想へのコミットをＡＰＥＣとの違いでどう対応するか、などがある。
また、台湾の李登輝総統の訪米をめぐる米中、中台関係の確執と緊張の中で、日本は台湾、中国に対する立場の確定を迫られている。
防衛問題では、北朝鮮問題に象徴されるように、米国との対応の違いが少しずつ明らかになってきている。その要因として、北朝鮮のミサイルは米国には届かないが、日本はその射程距離内にあるという、極めて現実的な問題が横たわっている。ソ連のＩＣＢＭは米国にも届いたのであるから、北朝鮮への対応は日本と米国で違いが生じるのはけだし当然だと言えよう。
また、国連へのコミットについても、日本はあくまで国連重視だが、米国は湾岸戦争以前、国連は米国の国益に合致しないとして距離を置いていたが、それが一転、湾岸戦争では国連を利用するという行動に出た。しかし、九五年五月の玉沢防衛庁長官訪米と同時に、自民党から伊藤宗一郎、池田行彦、中山利生元防衛庁長官ら防衛関係議員団が訪米し、私も同行したが、政府・議会・シンクタンクなど米国国防関係者と議論した際、米側から国連との関連についての言及が一言もなかった。こうした例からもわかるように、防衛戦略については必ずしも国連重視ではないといった点なども重要だ。
したがって、こうした外交・防衛に関するすべての問題において、国民的論議が必要となっているのである。先述したゴラン高原のＰＫＯ派遣の問題でも、なかなか官僚の思うようにならなかったのは、このような現状があるからだ。従来、外交情報を外務省が割合に独占していてもあまり批判がなかった。しかし、最近は外務省が外交政策そのものを決めてしまうのは行き過ぎであると批判されるようになってきている。官僚は政治に対して政策を押し付けてはならない、という自明のことが議論の俎上にやっとのぼってきたのである。
先の参議院選挙でも、水俣病問題に対する国の責任を認めた村山首相の発言について、石坂匡環境事務次官が「総理の個人的気持ち」と述べたことに関連し、新党さきがけの菅直人政策調整会議座長は、「環境庁の役人が総理の発言を歪めるのは罷免に値する」と強く批判している。
村山首相が行政のトップとして発言したことについては、新聞記事になるような官僚からの批判は差し控えるべきであると思う。もし、それが間違っていれば、総理に直接会って意見を述べればいいわけだ。これこそ、官僚の思い上がりと指摘されても仕方がないことである。
また、外務省についてカレル・ヴァン・ウォルフレン氏（オランダの特派員で『人間を幸福にしない日本のシステム』の著作がある）は、「外務省はごく最近まで日本の首相が目立たないことを成功としてきた」というようなことも言っている。
確かに一年に三人も首相が変わったために、諸外国からは日本の首相は誰だということにもなるが、世界は首脳外交の時代となり、首脳同志の個人的な信頼関係が重要になってきている。そこを外務省は考えていく必要があり、著名な外国人特派員からの指摘が本当であったとしたら問題である。
行政府は日本最大のシンクタンクであると同時に、政策に必要なあらゆる情報や資料をすべて独占している。それを政治の場での政策立案議論に供する形で提供することが、今日、強くに求められている。その意味でも情報公開についての議論がなされ、それが法案化されようとしているわけだ。
行政改革の必要性と併せて重要なのは、行政が独占する情報をどう国民に開示するかということである。国会で審議する場合でも、行政情報が議員サイドにない場合には議論にならない。両者で必要な情報が共有されて初めて国民のための議論が行われるという認識に、官僚も早く立つべきであろう。情報公開なくして真の民主主義はあり得ないと考える。
だからこそ、ウォルフレン氏が指摘しているように、民主主義国家では、権力を行使する側にはいわゆる「説明する責任」（アカウンタビリティ）がある。日本の官僚に欠けているのは、そういう「説明する責任」の履行である。というのが氏の見方であるが、実際にそのとおりだと思う。それは、与党三党の場でも、例えば外務省一つ例にとっても、資料の提示の仕方が非常に不親切なことが挙げられる。
だから、こうした点は大いに改善していく必要がある。にもかかわらず、外務省の中には、今までどおりのスタンスで外交は自分たちでやるんだから、政治家や国会にはある程度の資料を出しておけばいい、という考え方がある。一方、同じ外務省の中にもポスト冷戦で時代も変わったのだから、例えば、国連の安保理入りの問題なども基本的には国民の同意を得なければいけない、そのためにはできるだけわかりやすい資料を国民に提示して、国民によく理解してもらい、支持してもらって、それからきちんと外交を進めるべきだという声も最近、大きくなってきているのも事実だ。
こうした外務省の変化は大いに歓迎すべきであり、これからの時代はどうしても情報をオープンにするようにすべきだろう。そうでないと、今回のゴラン高原のＰＫＯ派遣とか八月十五日の戦後五十年の集い問題のようにスムーズに行かない。これからは、国民世論に支えられた外交を目指して、国内世論に対するＰＲを大いに考えていく必要がある。
〇新しい政治と官僚の関係
細川連立政権の誕生で政権交代が可能となり、また、新しい選挙制度が実施されることによって、政党はほかの政党とは明らかに違う政策を提示しなければならなくなった。それには、政党自らで政策立案能力を高めていく必要がある。与党であれば確かに官僚の力を借りればいいわけだが、野党になるとそうはいかない。このことは、私自身も自由民主党が下野した時代の政調会長室長として実感している。
後藤田正晴氏は、その著書『政と官』の中で、「役人の頭の中には、政党には情報もなければ分析能力もない。したがって政策立案能力もない。だから、自分たちが政策をつくるんだという意識がある。現実問題としてその点は間違いないところである。だからといって、役人が思い上がった意識になるなら、政党の政務調査会を充実させればよい。その気になれば簡単にできる」と述べている。
今後の政治のテーマは、いずれも行政側の官僚に「いい知恵を出してください」というようなことで事足りるものではない。政治家が国民の真の代表として率先して考えなければならないテーマばかりである。
今後の政治と官僚の関係について、加藤政調会長が日経新聞（九五年六月十九日）のインタビューに対して、「自民党の場合、中央官庁の役人と二人三脚で考え政策を立案してきた。どんな小さな規制緩和も役所の『ご説明』に納得してしまうところがある。中央官庁のやることは七割は正しい。しかし、あとはエゴもあり自己満足もある。政治家は距離を置いて役所に対応しなければならない時代になった」と答えている。
こうした自民党と官僚が距離を置く必要性は、自民党が野党を経験し、連立政権に参加することで明らかになったことである。
自民党は長期政権によって、自民党は政策に精通することになり、官僚の上に立つこともできた。しかし、その政策の中味といえば、官僚が組み立てたものの上に乗ったばかりではなかったのか、官僚そのものの政策だったのではないか、という疑念が生じてきたわけである。
戦後五十年を経た日本の政策のあり方は、官僚の限界を越え、国民サイドに立った政策を政治家、政党自らで作り上げるものでなければならない。このように見てみると、従来の官僚との関係を改めるために村山連立政権の果たした役割は大きいといえる。
フランスのドゴールは、「政治を主導するのは官僚ではなく政治家だ。そして、それを最終的に決めるのは国民自身」であると述べているが、この言葉は現在の日本においてこそ蘇るべきものであろう。
2011年08月16日
講演録「政治家と官僚との関係の変化」田村重信（その８）
「天に向かって！」（歌・田村重信）が、カラオケ「ウガとジョイサウンド」で歌えます。よろしく！ブログランキングに参加しています。
↓↓↓貴方の応援クリックが明日の活力になります↓↓↓
こちらをクリック
（以下の講演録は、平成七年六月に慶應義塾大学大学院にて、変化の著しい政治と官僚の関係について講演したものに加筆したものです。）
〇政治にもとめられるもの
次に「政治」の役割を見直す視点を、「制度」を通じて考えてみたい。
本題に入る前に、「族議員」という存在について少し触れておこう。そのプラスの意味は政策をよく勉強している議員ということだが、一般的には国政全体よりも業界の利益を優先させるというマイナスの意味でとらえられていることが多い。
私自身は、族議員を否定してしまうことを好ましいこととは思わない。なぜなら国民の利益を行政に反映させる役割が議員であり、官僚に対抗する専門知識のある議員を否定することは、国民不在の官僚主導の政策が推進されることになりかねないからだ。しかし、族議員として批判されるようなマイナス面については改善していく必要がある。
では、なぜ族議員が存在するのか。それは選挙制度とも深く関連している。
旧来の中選挙区制では、自由民主党は複数の当選者を出すために、地域的な棲み分け（東部はＡ議員、西部はＢ議員、南部はＣ議員、北部はＤ議員など）と同時に、Ａ議員は建設、Ｂ議員は都市部だから商工、Ｃ議員は山間部で農林に強いというように政策分野の棲み分けもなされていた。だから、議員は自らの強い地域を重点地盤とするのと同じように、特定の政策分野、業界だけに顔を向けていればよかった。つまり、五人区であれば二十パーセントの支持があれば楽々当選ということで、特定のガッチリした業界の支持が得られるようにしさえすれば良かったわけだ。極端な言い方をすれば、選挙区の有権者の半分以上に徹底的に嫌われても当選できたのである。
ところが、小選挙区制になると、そういう特定業界を中心として二十パーセントの支持だけでは当選できない。したがって、特定分野の政策だけではなく、政策全般に通じる必要が出てきたわけだ。だからこそ、新しい選挙制度は族議員の解消にもつながるのではないかと期待されるのである。
しかし、選挙区の地域が小さくなると、それだけ有権者に対する日常のサービス合戦が激化するという側面も考慮する必要がある。それは、よく例に出されるように、かつて衆院の一人区の奄美選挙区において、保岡興治氏と徳田虎雄氏が激しく争い、膨大な資金がかかったといわれている経験からである。
次に、最近マスコミや政治家の中で「政治改革＝選挙制度改革」の反省が聞かれるようになった。細川内閣では、選挙制度改革を実施し、小選挙区制さえ導入すれば政策論争中心の政党政治が生まれるということだったが、それは必要条件ではあっても、十分条件ではなかったのだ。
事実、九五年七月の参議院選挙でも具体的な政策論争があまりなかったと指摘されているが、選挙区選挙では、一人区はもとより複数区においても自民党は候補者を一人に絞ったことで「政党」対「政党」の争いであったにもかかわらず、政策論争は活発に行われなかった。これは、選挙運動方法として従来の立会演説会が廃止されたことなどで、各候補者の政策を有権者が直接聞くことができなくなり、身内を集めての個人演説会が中心となったからである。
さらに、有権者に訴える方法としても個人ビラでは情報量が少ないし、街頭での連呼・演説もじっくりと政策を聞くというものにはなっていない。さらに言うなら、マスコミ報道も選挙結果やその後の政局を予想することに終始し、政策を重視した情報を有権者に提供するという本来の役割を忘れていた。
また、首相公選制が叫ばれているが、これも選挙制度改正と同じように制度論として議論すべき問題である。
ところで、わが国の議院内閣制は、英国の政治制度にならったもので、明治憲法の下で国会制度と内閣制度が採用され、民主主義と議会主義の習熟とともに、衆議院で多数を占めた政党の党首が総理大臣になるという慣行が確立された。それが、戦後の新憲法でも受け継がれてきたわけである。
議院内閣制は、政党政治を前提として、総選挙で国民が候補者と同時にその所属する政党を選び、過半数を制した党があれば、その党首が首相となる。したがって、自民党政権時代は自民党が過半数以上であったため、首相には自動的に自民党の議員が就任したわけだ。
それが、連立時代となって、細川・羽田・村山連立政権とも比較第一党の党首が首相となるという憲政の常道からすれば、選挙の結果としての民意を政権が反映していないのではないかという疑問が生じてくる。それは、議院内閣制の原則からみても問題ということになる。
そこで、有権者の政権選択の意思を直接反映させるという点、すなわち、有権者が首相を直接投票によって選ぶという首相公選制がいいという議論が出てきたわけだ。また、この議論には、首相公選制によって国民の政治離れに歯止めをかけようというねらいもある。
確かに、首相公選制にすれば、こうしたメリットもある半面、人気投票のようになることによる弊害も考えなければならない。
首相公選制の導入の難しさは、その本質が事実上の大統領制であるため、わが国では、天皇制との関連が問題となるだろう。さらに、首相公選制を採用する場合は、憲法改正が必要となることも忘れてはならない。
首相公選制の前に、議院内閣制の枠内で今の政治家が本当の政治家として国民に信頼されるためにはどうあらねばいけないのか、ということをやはり議員自らがもっと真剣に考えるべきものであろう。
今、求められているのは、政治家こそが国民を代表して、これからの日本をどうしたらいいのか、我々の国民生活をどういう方向に持っていけばいいのかという政策ビジョンを考え、議論して国民の前に具体的に提示することである。そのためには、やはり政策というのが非常に大事なわけで、それは官僚ではなくて、政治家がつくっていかなければならない。
ところが、その点について月刊『文芸春秋』（九五年七月号）の「何を守り何を直すか――今こそ問う――国家の意思を決めるのは誰か」という石原慎太郎氏の論文にある指摘が、残念ではあるが、正鵠を射ているように思える。
論文にこんなくだりがある。
「いつか自民党の首脳の一人が新生党が出来立ての頃、愚痴まじりに言っていたことがある。次の選挙に備えて小沢一郎が自民党の選挙に精通した党スタッフをほとんど引き抜いていったとか。『でも連れていったのは選挙関係者ばかりなんで、これじゃ政策の方が手薄じゃないかと、ある同僚が彼にいったら、政策なんぞのために人を雇って金をかける馬鹿がいるか。政策なんて脅したら電話一本でどこの役所でもただで持ってくるさ、といったそうな』そういった自民党幹部がどんなつもりだったか知らぬが、ある意味で語るに落ちた話でしかない。そんな魂胆で雨後の竹の子みたいに出来上がった政党に、政党としての対立軸のありようもない。そんな政界に歴史観にのっとった、国民が固唾を飲むような激しい議論もあり得ぬし、国民へのなんらかの啓蒙など有る筈もない」
ということを石原氏は述べている。
実際に、小沢一郎氏も政策は役人を使えばいいという考えがあったためか、新生党ができたときも、政策に関係するスタッフはごく少人数だった。確かに、細川ー羽田と続く連立政権の中にあって、与党の立場である限り、役所を使うことで政策スタッフは必要なかった。ところが、村山連立政権が成立して野党になってみると、新進党の悩みは、官僚を思うように使えなくなったことだ。新進党が自ら国民にアピールするような政策がなかなか打ち出せない状況にあるのはそのためだ。それが、最近の新進党支持率が伸びない原因ともなっている。
そうした中で、自由民主党職員リストラ計画というのが新聞で報じられた。三十歳以上の職員を対象に希望退職者を募るなどして、今後、五年間で現在の二百二十人自由民主党の職員を百四十人に減らす計画という内容だ。選挙制度とともに政治資金規制法が変わり、党の運営が財政的には非常に厳しくなっってきたため、党内でもリストラをすべきだとの方針は理解できる。
しかし、ここでもう一度、政党とは何かという原点を考えてみるべきではないか。政党であるからには、選挙に勝利することがまず第一であることに私も異論はない。しかし、何のために勝利するのかが、現在問われているさらに重要な課題である。それは政党の推進する政策によって、国民のための政治を行うためであるはずだ。そのためには、もはや従来のように、政策は官僚がいるから大丈夫という発想ではいけない。政策とは、政党自らで立案していくべきものであり、そのことを国民が今、本当に求めているのではないかと思う。
最近こうした現実を踏まえて、北海道大学の山口二郎教授は九五年五月十九日の朝日新聞に「官僚変えるには政治の変化必要」という見出しで「大蔵省“バッシング”とは裏腹に、政治の流動化の中で大蔵省の力はむしろ強まっている」と指摘している。つまり、「政治家の側に政策立案能力がほとんどなく、どうしても官僚依存になる。族議員といわれ、特定の政策に強いとされる自民党の議員も、長年にわたる官僚の教育の成果だ。官僚を変えるには、政治が変わる必要がある」ということを主張しているわけだ。
現在の政党の政策立案能力でさえ、官僚に対抗できるほどの人材と機能がない状況では、結局のところ政策の官僚依存体質から脱皮できない。
国の政策を変え、官僚の考え方を変えるには、今こそ政党の政策立案能力を強化することが重要である。民間のシンクタンクも政党と関係をもつことで、政治・行政への影響力が行使できるということを考えてもらいたい。
だから、国民が官僚に対抗しようということは、まさに国民にかわって政党が、そして政治家が官僚に対抗するということなのだ。それには、政党の果たすべき役割が非常に重要なのは明らかである。
今後10年、最優先で防災・減災対策（自民党国家戦略本部第４分科会（国土保全・交通担当）の金子一義座長に聞く）
「天に向かって！」（歌・田村重信）が、カラオケ「ウガとジョイサウンド」で歌えます。よろしく！
ブログランキングに参加しています。
↓↓↓貴方の応援クリックが明日の活力になります↓↓↓
こちらをクリック
今後10年、最優先で防災・減災対策（金子一義党国家戦略本部第４分科会座長に聞く）
わが国は今、東日本大震災の復旧・復興に加え、首都直下型地震などの大災害に備えることが最優先課題となっている。民主党が掲げた「コンクリートから人へ」のスローガンを「理念として破綻している」と批判し、今後10年間に最優先で防災・減災対策に取り組む方針を打ち出した党国家戦略本部第４分科会（国土保全・交通担当）の金子一義座長に聞いた。
コンクリートが命守る
産業基盤の整備に全力
――７月末、新潟・福島両県を豪雨が襲いました。
金子一義・党国家戦略本部第４分科会座長） 両県は平成16年にも豪雨災害に見舞われましたが、その後河川改修を着実に進めたため、前回以上の記録的大雨になったにもかかわらず、被害は減りました。東日本大震災に続き、今回の豪雨災害で「コンクリートから人へ」のような情緒的な局面ではないことを学んだと思います。
この数年、公共事業に対する議論は、経済効率、費用便益比（Ｂ／Ｃ）が中心でした。しかし、この議論は行き過ぎでした。元国土交通大臣として反省しております。
経済効率だけではない、必要な公共事業はあります。東日本大震災で、岩手県・釜石港の防波堤は、破壊されたものの、浸水を６分間遅らせ、その分逃げる時間が確保されました。コンクリートが命を守ったのです。
――首都直下型地震などへの備えは。
金子） 平安時代に東日本で発生した大震災では、首都直下型地震、東海・東南海地震が連動しました。東日本大震災の復旧・復興に加え、30年以内に70％の確率で起こるとされる首都直下型地震や、東海地震、東南海・南海地震の対策に最優先で取り組まなければなりません。
その際必要なのは、浜岡原発の稼働停止のような「つまみ食いの対策」ではありません。わが国の安全、足元を固める対策です。わが党は、今後10年間で取り組むべき減災対策の目標を定め、優先順位を決め、効果的な対策を講じていきます。なかでも、首都直下型地震に対しては、総裁の下に「首都圏防災対策本部」を設置し、具体的対策を議論する方針です。首都機能のうち、行政のバックアップ機能を大阪に分散する考えもあります。
それから、ハードとソフトの両面からの対策が重要です。ハード面では、例えば、道路が寸断された場合、「陸の孤島」となるような地域では、道路などのアクセス面を強化する。海岸沿いの平地に工場があるような地域は、高台に工場を移転するのを支援する。つまり、地域の実情に応じた対策が必要です。
ソフト面では今回の豪雨災害で、多くの自治体が防災無線を導入していたため、迅速な避難につながりました。避難訓練とあわせ、こうした対策の強化も大切です。
――わが党の公共事業に対する考えは。
金子） わが党は、地域と国際競争力強化を柱にした国土をつくってまいります。公共事業は、利権や談合のように言われてきましたが、今わが党で、そんなことを考えている人は誰もいません。
地域は、地域で暮らす人々の「絆」を結び、わが国固有の伝統や文化を育み、守っています。今回の震災でも地域の「絆」が生きていました。わが国全体が東北を助けようという「絆」を再認識しました。これは、地域の良質な保守を代表するわが党が最も大事にすべき点です。地域に必要不可欠な社会基盤整備は、経済効率だけにとらわれることなく、重点的に取り組みます。
一方、わが党にも反省しなければならないことがあります。平成２年の日米構造協議で、10年間で４３０兆円の公共投資を約束してから、何に投資するかではなく、数字ありきの公共事業を積み上げました。それによって、わが国の国際競争力は強化されたかといえば、残念ながら、空港や港湾の拠点はアジア各国に移りました。企業の海外移転が懸念されるだけに、わが国の国際競争力を強化する観点での空港・港湾の整備が求められています。
――具体的には。
金子） 空港で言えば、羽田空港を明確に位置づけ、５本目の滑走路を建設します。
重要な港湾については、管理を地方から国に移管します。北米・欧州などからの大型貨物船は、日本の港湾では水深が浅いため、一度、韓国の釜山港で荷物を降ろし、小分けしてから輸送するケースがあります。そうした港湾を整備しようとすると地方の所管では、なかなか進まない。やはり、国が責任を持って直接管理、整備していく必要があります。海洋国家・日本の国際競争力を強化するためには、地方分権と逆方向に進むことが必要です。
いろいろと打ち上げはするが、後始末をしないありさまです。
企業の海外流出を防ぎ、海外からわが国に来ていただく。アジアの成長を取り込むため法人税制と併せ産業基盤の整備に全力を挙げていきます。
（『自由民主』より）
ブログランキングに参加しています。
↓↓↓貴方の応援クリックが明日の活力になります↓↓↓
こちらをクリック
今後10年、最優先で防災・減災対策（金子一義党国家戦略本部第４分科会座長に聞く）
わが国は今、東日本大震災の復旧・復興に加え、首都直下型地震などの大災害に備えることが最優先課題となっている。民主党が掲げた「コンクリートから人へ」のスローガンを「理念として破綻している」と批判し、今後10年間に最優先で防災・減災対策に取り組む方針を打ち出した党国家戦略本部第４分科会（国土保全・交通担当）の金子一義座長に聞いた。
コンクリートが命守る
産業基盤の整備に全力
――７月末、新潟・福島両県を豪雨が襲いました。
金子一義・党国家戦略本部第４分科会座長） 両県は平成16年にも豪雨災害に見舞われましたが、その後河川改修を着実に進めたため、前回以上の記録的大雨になったにもかかわらず、被害は減りました。東日本大震災に続き、今回の豪雨災害で「コンクリートから人へ」のような情緒的な局面ではないことを学んだと思います。
この数年、公共事業に対する議論は、経済効率、費用便益比（Ｂ／Ｃ）が中心でした。しかし、この議論は行き過ぎでした。元国土交通大臣として反省しております。
経済効率だけではない、必要な公共事業はあります。東日本大震災で、岩手県・釜石港の防波堤は、破壊されたものの、浸水を６分間遅らせ、その分逃げる時間が確保されました。コンクリートが命を守ったのです。
――首都直下型地震などへの備えは。
金子） 平安時代に東日本で発生した大震災では、首都直下型地震、東海・東南海地震が連動しました。東日本大震災の復旧・復興に加え、30年以内に70％の確率で起こるとされる首都直下型地震や、東海地震、東南海・南海地震の対策に最優先で取り組まなければなりません。
その際必要なのは、浜岡原発の稼働停止のような「つまみ食いの対策」ではありません。わが国の安全、足元を固める対策です。わが党は、今後10年間で取り組むべき減災対策の目標を定め、優先順位を決め、効果的な対策を講じていきます。なかでも、首都直下型地震に対しては、総裁の下に「首都圏防災対策本部」を設置し、具体的対策を議論する方針です。首都機能のうち、行政のバックアップ機能を大阪に分散する考えもあります。
それから、ハードとソフトの両面からの対策が重要です。ハード面では、例えば、道路が寸断された場合、「陸の孤島」となるような地域では、道路などのアクセス面を強化する。海岸沿いの平地に工場があるような地域は、高台に工場を移転するのを支援する。つまり、地域の実情に応じた対策が必要です。
ソフト面では今回の豪雨災害で、多くの自治体が防災無線を導入していたため、迅速な避難につながりました。避難訓練とあわせ、こうした対策の強化も大切です。
――わが党の公共事業に対する考えは。
金子） わが党は、地域と国際競争力強化を柱にした国土をつくってまいります。公共事業は、利権や談合のように言われてきましたが、今わが党で、そんなことを考えている人は誰もいません。
地域は、地域で暮らす人々の「絆」を結び、わが国固有の伝統や文化を育み、守っています。今回の震災でも地域の「絆」が生きていました。わが国全体が東北を助けようという「絆」を再認識しました。これは、地域の良質な保守を代表するわが党が最も大事にすべき点です。地域に必要不可欠な社会基盤整備は、経済効率だけにとらわれることなく、重点的に取り組みます。
一方、わが党にも反省しなければならないことがあります。平成２年の日米構造協議で、10年間で４３０兆円の公共投資を約束してから、何に投資するかではなく、数字ありきの公共事業を積み上げました。それによって、わが国の国際競争力は強化されたかといえば、残念ながら、空港や港湾の拠点はアジア各国に移りました。企業の海外移転が懸念されるだけに、わが国の国際競争力を強化する観点での空港・港湾の整備が求められています。
――具体的には。
金子） 空港で言えば、羽田空港を明確に位置づけ、５本目の滑走路を建設します。
重要な港湾については、管理を地方から国に移管します。北米・欧州などからの大型貨物船は、日本の港湾では水深が浅いため、一度、韓国の釜山港で荷物を降ろし、小分けしてから輸送するケースがあります。そうした港湾を整備しようとすると地方の所管では、なかなか進まない。やはり、国が責任を持って直接管理、整備していく必要があります。海洋国家・日本の国際競争力を強化するためには、地方分権と逆方向に進むことが必要です。
いろいろと打ち上げはするが、後始末をしないありさまです。
企業の海外流出を防ぎ、海外からわが国に来ていただく。アジアの成長を取り込むため法人税制と併せ産業基盤の整備に全力を挙げていきます。
（『自由民主』より）
2011年08月15日
講演録「政治家と官僚との関係の変化」田村重信（その７）
「天に向かって！」（歌・田村重信）が、カラオケ「ウガとジョイサウンド」で歌えます。よろしく！ブログランキングに参加しています。
↓↓↓貴方の応援クリックが明日の活力になります↓↓↓
こちらをクリック
（以下の講演録は、平成七年六月に慶應義塾大学大学院にて、変化の著しい政治と官僚の関係について講演したものに加筆したものです。）
（３）新しい政治と官僚の関係はどうあるべきか
〇戦後五十年の意味するもの
戦後五十年の節目に当たる九五年一月十七日、阪神・淡路大震災が起きた。これを契機として、防災や危機管理の必要性が非常に強く認識されるようになったのは事実だ。また、東京、大阪での知事選挙の結果を通じて、地方自治のあり方に関する議論もさかんに行われるようになってきた。
例えば、神戸市はポートピアなど株式会社的運営の成功によって、都市開発では非常に成果を上げているとの評価が高い街であった。しかし、今回の地震によって、その評価は一転した。「砂上の桜閣」だったのではないか。住民の安全を犠牲にして防火水槽の設置さえも全然やっていなかったのか、自衛隊との防災訓練もやっていなかったのか、といった批判がでてきたわけである。
また、地下鉄サリン事件、オウム真理教問題、全日空ハイジャック事件などの相次ぐ発生によって、日本の安全神話が崩壊したのも九五年であった。さらに、戦後教育における記憶力重視、偏差値教育など教育のあり方全体を見直す気運も高まり、宗教問題に関する議論も活発になってきている。
戦後五十年、新憲法と日米安保体制のもと、東西冷戦という構造の中での日本は、国の安全保障も外交もすべて米国の言うとおりにしていれば政策的な過ちをおそれる心配はなかった。国内的には経済的豊かさを追求し続け、国民も他人のことはあまり気にせず、極端に言えば、自分の利益のみを追求していてもそれでよかったわけである。だから、会社でも個々人の出世欲が前面に立ち、出世のためには競争相手を謀略で蹴落とすようなことまでがまかり通ったのだった。
例えば、映画化された『集団左遷』では、法人という存在の「人格」が問われている。ある不動産会社がバブルの崩壊で経営が厳しくなったため、お決まりのリストラを敢行する。その一環として、最終的には閉鎖する目的で人員整理のための別会社をつくったわけである。しかし、そこに「左遷」された人々は、もう後がないからまさに「背水の陣」を敷いて、必死でガンガン頑張って仕事をした。しかし、契約がまとまりそうになると、本社が裏で工作して契約させないように仕向けるわけだ。
物語自体はフィクションだが、指名解雇や退職勧告が世間の批判を浴びたため、こうした遠回しの首切りをやり始めた会社が少なからずあるのは事実である。不況のときにこそ企業（法人）の人格が露呈するといわれるが、社員に対する企業のあり方は本当にこれでいいのか、とあらためて考えさせられた。
我々は、同僚や隣人の栄光とか出世を本当のところなかなか素直に喜べないところがあるようだ。『タテマエとホンネ』という著書のある早稲田大教授の仁戸田六三郎氏は、ある講演会で次のような話をされたことがある。近所の家が家事になって見に行く。そして、「火事になって大変ですね」と同情する。しかし、本心は「おれの家が火事でなくてよかった」と思うから火事を見に行くんだ、というものだった。大学時代に聞いた話なのだが、今でもよく憶えている。
また、家では奥様たちが教育ママとなって「うちのパパのようにならないためにもいい学校に入るのよ」とばかりに、子供が小学校、いや幼稚園のころから入学試験に受かるためだけの勉強を一生懸命させるわけだ。その結果、父親は尊敬されなくなり、さらに、子供の自主性や主体性が、押し付け・詰め込み教育によってなくなってしまう。「東大生は、東大へ入ってからはみんな疲れたような感じで元気がない」というような話すらある。大学という「ゴール」に行き着いたとたんに、人生の目的がなくなってしまうのである。
加えて、近ごろは公共性というものをあまり重視しない傾向にある。卑近な例を挙げれば、日本では公共の公園を大切にしない。自分の家は一戸建ての庭つき住宅を望み、自分の庭先まではきれいにするが、一歩外に出ればタバコは路上にポイ捨てするし、山など自然の場所でもゴミを平気で捨てて帰る。本当にこうした状況のままでいいのかーー嘆かわしいばかりである。
敗戦によって日本にもたらされた民主主義は、日本人に「個人」の大切さ、人間一人ひとりの権利の尊重を教えてくれた。一方、その反作用によって、国家や地域社会、学校や家庭など、個人の存在基盤であるはずの大小の共同体の価値を軽視する傾向が強まった。
これに拍車をかけたのが、戦後一貫してとられてきた経済成長最優先策、つまり大蔵主導の国家運営だった。その結果、国民は豊かになればなるほど物質文明の中での享楽に疑問を感じなくなり、また、自分の幸せのみを追い求めるように変形した個人主義が、当り前のように横行するようになった。
もちろん、個人主義がすべて悪いわけではないが、その横行の背後に追いやられた「国家」をはじめとする公共性について見直すことは、戦後五十年という節目にあって、私には非常に重要なことであるように思える。
だからこそ、そうした問題について戦後五十年を契機に日本としての国家のありよう、それから我々の生き方もこれでいいのかということをこの際きちんと見直していかなければならない、非常に重要なときに差しかかっている。
海部俊樹元総理とさかなクン対談
「天に向かって！」（歌・田村重信）が、カラオケ「ウガとジョイサウンド」で歌えます。よろしく！
ブログランキングに参加しています。
↓↓↓貴方の応援クリックが明日の活力になります↓↓↓
こちらをクリック
語る 対談（上）
海部俊樹元総理 さかなクン 魚は健康で長生きのために大切
政治家としてのスタート時から内閣総理大臣に至るまでのご自身の歩みを３回にわたって海部俊樹元総理に振り返っていただいた。その海部元総理とハコフグの帽子でおなじみの、東京海洋大学客員准教授でお魚らいふ・コーディネーターのさかなクンとの異色の対談が実現した。「できるだけ魚を食べるように心がけている」と語る海部元総理にさかなクンが幅広い「お魚」の知識で答え、話は弾んだ。
ステーキも好きだけど魚を食べるようにしている（海部）
さかなクン） 海部先生！今日、朝早くから船に乗って定置網漁に行ってきました。網を引いたら、アオリイカやマアジがいっぱい。マルソウダ（ソウダガツオ）も入っていて、海からすごい感動をいただきました。
海部俊樹元総理） アオリイカもアジも、すし屋で食べることができるね。
さかなクン） 特にアオリイカは夏、最高においしいです。おすしはよく召し上がるのですか？
海部） 昨日、家内と一緒にすし屋に行ってアジを食べたよ。マサバやアナゴの白焼きも好きだな。
さかなクン） マアナゴもマアジも夏が旬ですね。サバは夏はゴマサバ、秋はマサバがおいしいです。
海部） そうそう。それにしても、日本人は、いろんなお刺し身をよく食べるね。
さかなクン） はい！ 特に背の青いお魚（イワシ・アジ・サバ類）には、ドコサヘキサエン酸（ＤＨＡ）やエイコサペンタエン酸（ＥＰＡ）などが含まれていて体にとてもいいです。
海部） 人間の長生きのために大切だと言われている。
さかなクン） はい、とても大事です。血液がサラサラになり、脳にとてもいいと言われています。お魚をいただくと、健康になれますね。
海部） みんな、なるべく魚を食べたほうがいいね。
さかなクン） はい。私も普段からたくさんいただいています。おかげさまで元気いっぱいです。
海部） そうそう。だから僕も、魚をなるべく食べるようにしている。でも、ステーキもとても好きだけどね。
さかなクン） ところで先生、トレードマークの水玉のネクタイがよくお似合いですね。
海部） これしかないんだよ（笑）。君も水玉の帽子だね。
さかなクン） あ、この水玉のついているお魚の帽子は、ハコフグをモチーフにしました！！
海部） 僕はね、総理になってカナダへ行ったとき、ロブスターの帽子をかぶって街を歩いた。そうやって、日本とカナダのフレンドシップを深めるために汗を流したよ。その帽子なかなかいいね。
さかなクン） ありがとうギョざいます。先日、海部先生は桐花大綬章を受章されて、テレビに出ておられました。
海部） 勲章をもらったとき、さかなクンからランの鉢植えが届いた。今でも僕の部屋にある。ランの花は長持ちするね。
さかなクン） 気分もランランですね（笑）。
海部） さかなクンから以前、聞いた話で驚いたことがある。魚は24時間目をつむらないという話。目を開いたまま眠ると言ってたね。
さかなクン） 水中での暮らしなので目が乾かないんです。目を潤す必要がないのでまぶたがないのです。サメやマンボウなど、まぶたのような膜を持つお魚もいるんですが、ほとんどのお魚にはありません。だから、眠ってるときでも目をカッと見開いてる感じなんです。また、いつ敵に襲われるかわからないので、眠るときも少〜し目をキョロキョロさせながら、周りを注意深く見ながら休むんですね。
70年前に絶滅したクニマスを富士五湖の西湖で発見（さかなクン）
海部） 昨年、さかなクンが絶滅したはずのクニマスを富士五湖の一つ西湖で見つけた話。テレビでも取り上げられていたけど、聞かせてくれないかな。
さかなクン） はい。昨年の春、京都大学総合博物館の中坊徹次教授から、秋田県の田沢湖だけに生息していた絶滅種・クニマスを絵で描く貴重な機会をいただきました。
海部） 田沢湖だけにしかいなかった？
さかなクン） はい。日本一深い湖の田沢湖で暮らしていたサケの仲間で、約70年前に滅んでしまったので、絵で甦（よみがえ）らせるために描きました。しかし、描いてるときに、どうしても生き生きとした姿に描けませんでした。そのとき、中坊先生からクニマスへの理解を深めるために、似た魚であるヒメマス（ベニザケの陸封型）をどこかから入手するようにと伝えられました。
でも、それが、昨年の３月だったので、ヒメマスが手に入りにくい時期でした。そんな中、西湖漁協組合長の三浦保明さんが、「西湖では、この季節でも網に時々ヒメマスが入るから、捕れたら送りましょう」とおっしゃってくださったんです。それから数日後、届いたのですが、箱を開けてみたらヒメマスとは思えない全身が黒っぽい輝きをもったお魚が入っていたんです。それで、一体これは何だろうと思い、新鮮なうちに描いてから、中坊先生にお持ちしたところ、大変驚かれていらっしゃいました。
海部） へえー。
さかなクン） その後、再び三浦さんから京都大学に�犢�いマス�瓩鯀�っていただいたのですが、中坊先生と一緒に箱を開けてみたら、黒いマスとともになんと！ 黄色い卵が入っていたのです。普通、日本のサケ類の産卵期は秋なので、３月に卵を持っていることは考えられません。しかし、クニマスは周年産卵することが記録されています。「クニマスかもしれない」との思いが強くなりました。そして、中坊先生と西湖に向かいました。特別に三浦さんにお願いして、網を仕掛けていただいたところ、黒いマスが１匹捕れました！！ 「先生、捕れましたねぇ！」となったわけです。
海部 色は真っ黒なの。
さかなクン） はい。真っ黒に近いですね。田沢湖にいたときは、ごちそうとして高級に扱われ、米俵１俵と交換されたぐらい高価だったそうです。クニマスは、かなりおいしいお魚だったようですが、三浦さんによると、おいしくなくて、捕れても放されるとのことでした。きっと産卵後で、全部の栄養を使い切ってしまったときに食べたからかもしれません。
海部） 脱け殻だからおいしくないというわけか。
さかなクン） はい。産卵の終わったサケと同じですね。
海部） すべてをかけてサケは卵を産む。
海のパワーが山や大地に、偉大な 自然の循環 （海部・さかなクン）
さかなクン） サケは海の生活を終え、川に戻ってくるとき、約２カ月前から何にも食べないそうです。それで、一生懸命に川を遡（さかのぼ）って、全ての力を振り絞り、産卵します。イクラが赤いのは、サケの身の赤色がイクラに移っちゃうからなのだそうです。そのころ、身の色は肌色というか白に近くなって、味も栄養も落ちちゃいます。だからとれても放っちゃれ、という意味で�爐曚辰舛磴讚瓩噺討个譴泙后�
海部） 生涯かけて成果をあげた脱け殻だからなあ。
さかなクン） サケは産卵してしまうとすべてのパワーを使うので死んでしまう。でも、海で蓄えた栄養をしっかり持っていて、山や大地に海のパワーを届けてくれるという役割を果たしてくれているそうです。このことを知ったときは、「うわーッ、目から鱗（うろこ）！」でした。
海部） 偉大な自然の大きな循環の中の一つだね。
さかなクン） はい。自然は偉大だー！ と、つくづく感じます。
（『自由民主』より）
ブログランキングに参加しています。
↓↓↓貴方の応援クリックが明日の活力になります↓↓↓
こちらをクリック
語る 対談（上）
海部俊樹元総理 さかなクン 魚は健康で長生きのために大切
政治家としてのスタート時から内閣総理大臣に至るまでのご自身の歩みを３回にわたって海部俊樹元総理に振り返っていただいた。その海部元総理とハコフグの帽子でおなじみの、東京海洋大学客員准教授でお魚らいふ・コーディネーターのさかなクンとの異色の対談が実現した。「できるだけ魚を食べるように心がけている」と語る海部元総理にさかなクンが幅広い「お魚」の知識で答え、話は弾んだ。
ステーキも好きだけど魚を食べるようにしている（海部）
さかなクン） 海部先生！今日、朝早くから船に乗って定置網漁に行ってきました。網を引いたら、アオリイカやマアジがいっぱい。マルソウダ（ソウダガツオ）も入っていて、海からすごい感動をいただきました。
海部俊樹元総理） アオリイカもアジも、すし屋で食べることができるね。
さかなクン） 特にアオリイカは夏、最高においしいです。おすしはよく召し上がるのですか？
海部） 昨日、家内と一緒にすし屋に行ってアジを食べたよ。マサバやアナゴの白焼きも好きだな。
さかなクン） マアナゴもマアジも夏が旬ですね。サバは夏はゴマサバ、秋はマサバがおいしいです。
海部） そうそう。それにしても、日本人は、いろんなお刺し身をよく食べるね。
さかなクン） はい！ 特に背の青いお魚（イワシ・アジ・サバ類）には、ドコサヘキサエン酸（ＤＨＡ）やエイコサペンタエン酸（ＥＰＡ）などが含まれていて体にとてもいいです。
海部） 人間の長生きのために大切だと言われている。
さかなクン） はい、とても大事です。血液がサラサラになり、脳にとてもいいと言われています。お魚をいただくと、健康になれますね。
海部） みんな、なるべく魚を食べたほうがいいね。
さかなクン） はい。私も普段からたくさんいただいています。おかげさまで元気いっぱいです。
海部） そうそう。だから僕も、魚をなるべく食べるようにしている。でも、ステーキもとても好きだけどね。
さかなクン） ところで先生、トレードマークの水玉のネクタイがよくお似合いですね。
海部） これしかないんだよ（笑）。君も水玉の帽子だね。
さかなクン） あ、この水玉のついているお魚の帽子は、ハコフグをモチーフにしました！！
海部） 僕はね、総理になってカナダへ行ったとき、ロブスターの帽子をかぶって街を歩いた。そうやって、日本とカナダのフレンドシップを深めるために汗を流したよ。その帽子なかなかいいね。
さかなクン） ありがとうギョざいます。先日、海部先生は桐花大綬章を受章されて、テレビに出ておられました。
海部） 勲章をもらったとき、さかなクンからランの鉢植えが届いた。今でも僕の部屋にある。ランの花は長持ちするね。
さかなクン） 気分もランランですね（笑）。
海部） さかなクンから以前、聞いた話で驚いたことがある。魚は24時間目をつむらないという話。目を開いたまま眠ると言ってたね。
さかなクン） 水中での暮らしなので目が乾かないんです。目を潤す必要がないのでまぶたがないのです。サメやマンボウなど、まぶたのような膜を持つお魚もいるんですが、ほとんどのお魚にはありません。だから、眠ってるときでも目をカッと見開いてる感じなんです。また、いつ敵に襲われるかわからないので、眠るときも少〜し目をキョロキョロさせながら、周りを注意深く見ながら休むんですね。
70年前に絶滅したクニマスを富士五湖の西湖で発見（さかなクン）
海部） 昨年、さかなクンが絶滅したはずのクニマスを富士五湖の一つ西湖で見つけた話。テレビでも取り上げられていたけど、聞かせてくれないかな。
さかなクン） はい。昨年の春、京都大学総合博物館の中坊徹次教授から、秋田県の田沢湖だけに生息していた絶滅種・クニマスを絵で描く貴重な機会をいただきました。
海部） 田沢湖だけにしかいなかった？
さかなクン） はい。日本一深い湖の田沢湖で暮らしていたサケの仲間で、約70年前に滅んでしまったので、絵で甦（よみがえ）らせるために描きました。しかし、描いてるときに、どうしても生き生きとした姿に描けませんでした。そのとき、中坊先生からクニマスへの理解を深めるために、似た魚であるヒメマス（ベニザケの陸封型）をどこかから入手するようにと伝えられました。
でも、それが、昨年の３月だったので、ヒメマスが手に入りにくい時期でした。そんな中、西湖漁協組合長の三浦保明さんが、「西湖では、この季節でも網に時々ヒメマスが入るから、捕れたら送りましょう」とおっしゃってくださったんです。それから数日後、届いたのですが、箱を開けてみたらヒメマスとは思えない全身が黒っぽい輝きをもったお魚が入っていたんです。それで、一体これは何だろうと思い、新鮮なうちに描いてから、中坊先生にお持ちしたところ、大変驚かれていらっしゃいました。
海部） へえー。
さかなクン） その後、再び三浦さんから京都大学に�犢�いマス�瓩鯀�っていただいたのですが、中坊先生と一緒に箱を開けてみたら、黒いマスとともになんと！ 黄色い卵が入っていたのです。普通、日本のサケ類の産卵期は秋なので、３月に卵を持っていることは考えられません。しかし、クニマスは周年産卵することが記録されています。「クニマスかもしれない」との思いが強くなりました。そして、中坊先生と西湖に向かいました。特別に三浦さんにお願いして、網を仕掛けていただいたところ、黒いマスが１匹捕れました！！ 「先生、捕れましたねぇ！」となったわけです。
海部 色は真っ黒なの。
さかなクン） はい。真っ黒に近いですね。田沢湖にいたときは、ごちそうとして高級に扱われ、米俵１俵と交換されたぐらい高価だったそうです。クニマスは、かなりおいしいお魚だったようですが、三浦さんによると、おいしくなくて、捕れても放されるとのことでした。きっと産卵後で、全部の栄養を使い切ってしまったときに食べたからかもしれません。
海部） 脱け殻だからおいしくないというわけか。
さかなクン） はい。産卵の終わったサケと同じですね。
海部） すべてをかけてサケは卵を産む。
海のパワーが山や大地に、偉大な 自然の循環 （海部・さかなクン）
さかなクン） サケは海の生活を終え、川に戻ってくるとき、約２カ月前から何にも食べないそうです。それで、一生懸命に川を遡（さかのぼ）って、全ての力を振り絞り、産卵します。イクラが赤いのは、サケの身の赤色がイクラに移っちゃうからなのだそうです。そのころ、身の色は肌色というか白に近くなって、味も栄養も落ちちゃいます。だからとれても放っちゃれ、という意味で�爐曚辰舛磴讚瓩噺討个譴泙后�
海部） 生涯かけて成果をあげた脱け殻だからなあ。
さかなクン） サケは産卵してしまうとすべてのパワーを使うので死んでしまう。でも、海で蓄えた栄養をしっかり持っていて、山や大地に海のパワーを届けてくれるという役割を果たしてくれているそうです。このことを知ったときは、「うわーッ、目から鱗（うろこ）！」でした。
海部） 偉大な自然の大きな循環の中の一つだね。
さかなクン） はい。自然は偉大だー！ と、つくづく感じます。
（『自由民主』より）
2011年08月12日
講演録「政治家と官僚との関係の変化」田村重信（その６）
「天に向かって！」（歌・田村重信）が、カラオケ「ウガとジョイサウンド」で歌えます。よろしく！ブログランキングに参加しています。
↓↓↓貴方の応援クリックが明日の活力になります↓↓↓
こちらをクリック
（以下の講演録は、平成七年六月に慶應義塾大学大学院にて、変化の著しい政治と官僚の関係について講演したものに加筆したものです。）
〇新しいテーマに対応できなくなった官僚
最近の政治問題として、地下鉄サリン事件、オウム真理教など日本の安全に関する問題が大きくクローズアップされてきている。日本が世界から高く評価されてきた点は、経済的に豊かな国であると同時に、「治安がいい、安全だ」ということだった。それがどうも最近はそうではないという評価に変わってきている。
「日本の『安全度』格下げ」という記事が九五年五月二十日の朝日新聞に載っていた。これはロンドンの危機管理コンサルタント会社、コントロール・リスク社の「国別危険度」（その国での外国企業のビジネスが、どのくらい危険を伴うかのランク付け。海外の主な保険会社や銀行は、保険のかけ率や投資計画を検討する際、この格付けを判断材料の一つにしている）調査によるもの。無差別テロといえる地下鉄サリン事件のあおりで、日本の安全に対する国際的な格付け評価がダウンした、としている。日本は四月まで北欧諸国とともに四段階評価のトップ・グループにランクされていたが、五月から一ランク落とされ、ベトナムやタイなど約九十カ国・地域並みの「危険な国」になってしまったのだ。
地下鉄サリン事件やオウム真理教による非道な事件が我々に突きつけた問題は、国民の生命や財産の安全を国がどう守るか、つまり、国民一人ひとりが安心して暮らせるシステムを政治がどのようにつくりこんでいくか、ということである。
見方を変えれば、今まで経済成長を至上の目的として突き進んできた日本の国家運営のあり方が、大きな転換点を迎えている、と言えるのではないだろうか。つまり、大蔵省主導による経済成長最優先の考え方が取りこぼしてきた問題ーー国の安全保障という問題、国民一人ひとりの豊かさと安全、さらには次代の日本を担う青少年の教育問題などーーが、議論すべき重要な課題として浮上してきたわけである。
加うるに、政治・経済の国際化がかつてないスピードで進展している現在、どのような問題も、もはや一国だけでは解決できないという構造的な困難さの度合いをますます高めている。従来のように輸出主導型でいいのか、黒字を日本だけため込んでいいのか、国民生活の豊かさとは何か、「国民一人ひとり」という視点から見た経済のあり方はいかにあるべきかなどの新しいテーマが、今までのように単なる掛け声だけではなく、真剣に議論すべき事柄として、重要な問題になってきているのである。
だから、今後の新しいテーマというのは、いわゆる「大蔵省主計局」というか、経済的側面重視の発想からでは解決できないものばかりである。したがって、政治も従来のように経済的豊かさを追及していればいいということではなくて、その政策決定において、大蔵省への依存を中心とした旧来の経済至上主義的体質から脱却すべき必要性が生じているということだ。
繰り返すようだが、政策決定が予算配分を通じて行われるというやり方が限界にきているということである。
〇ゴラン高原ＰＫＯ派遣はなぜ遅れたか
国際貢献のあり方をめぐっても、従来の官僚主導型政策決定が徐々にではあるが崩れてきている。その一例としてゴラン高原ＰＫＯ派遣がなぜ遅れているかを取り上げてみたい。
これには、村山連立政権の防衛調整会議において決定されたアフリカのルワンダ難民救援に自衛隊派遣が決定されたことから説明しなければならない。
私自身、九四年村山連立政権が発足した直後から与党三党の防衛調整会議を担当することとなった。その最初の仕事が平成七年度防衛関係予算の概算要求基準を政治主導で決定することだった。八月にはルワンダ難民救援のために自衛隊派遣の是非を判断すべく与党三党で調査団（団長・岩垂寿喜男議員・社会党）を派遣することとなった。私もこれに同行し、報告書の作成にタッチした。当時、マスコミはルワンダの大変な惨状を連日報道し、機関銃携帯問題が大きくクローズアップされたが、報告書は自衛隊派遣を決定するものとなり、そして自衛隊は派遣された。
さて、ゴラン高原ＰＫＯ派遣が遅れている理由の一つは、ルワンダ難民救援と同じように与党調査団が派遣されたが、調査団自身が自衛隊派遣を決定しなかったからだった。派遣するか否かを帰国後、三党で議論するということにしたわけである。
ゴラン高原のＰＫＯ（ＵＮＤＯＦ）は、自衛隊が派遣されたカンボジア、ルワンダに比べれば、ＰＫＯの基本、あるいは原型というべきもので、その安全度からいえばかなり安全ということになる。
にもかかわらず、なぜゴラン高原にＰＫＯ派遣の決定が遅れたのか。その理由として、
例えば、社会党が当時、目前に迫っていた参議院議員選挙を有利に進めるため、各党との政策の違いを強調したいという事情があったことも挙げられるだろう。また、自由民主党は、当然ながら、ＰＫＯ派遣は積極的に推進すべしという立場である。このとき、自民・社会の二党と少し違ったスタンスをとったのが新党さきがけだった。同党はゴラン高原のＰＫＯに関して、外務省主導、官僚主導は許さないという考えを非常に強く主張したのである。これが今回、最も重要な理由となったと私には思える。
ゴラン高原ＰＫＯ派遣を決定するかどうかの政策調整会議が開かれたのは九五年五月十二日だった。そこで、当初、政府側が目指していたといわれる十一月の派遣を見送る方針が決定されたのである。この時の責任座長は菅直人議員（新党さきがけ）で、「一呼吸置いて協議する。これまでの議論の経緯からみて十一月派遣は無理だ」との座長見解を提案し、了承されたのだった。
この辺の経緯については、日経新聞が一番本当のところを報道しているので、それを紹介する。
五月十三日の日経新聞は、「ゴランＰＫＯ派遣先送り」という大きなタイトルを揚げ、「与党内の官僚不信」というサブタイトルを付して次のように述べている。すなわち、「ゴラン高原の国連平和維持活動(ＰＫＯ)に対する自衛隊の先送りですんなり合意した背景には、官僚に対する強い不信感があった。特に、ＰＫＯ派遣業務の中心にいる外務省には『与党の結論が出る前に派遣の時期や人員を決めていた』点への批判が集中」したと紹介している。
実際、その会議に参加していた私にも、官僚と政策調整会議のメンバーである議員とのやりとりには、かなり厳しいものがあったと感じられた。いずれにしても、ゴラン高原への自衛隊派遣見送りについては「官僚不信」「外務省の先走り批判」議員の側から大きい問題として提起されたように思える。その結果、外務省の思惑に反してＰＫＯ派遣は実現しなかったのだった。
ただ、ここで考えなければならないのは、外務省の思うようにならなかったとか、官僚主導に待ったがかかったといった点は、そのこと自体それほど重要な問題ではないということだ。私にはむしろ、ゴラン高原のＰＫＯ派遣先送りによって、最も安全だとされるＰＫＯすら与党三党は出せないのかという国民からの批判が気がかりだった。と同時に、私自身の立場からすれば、同様の不満が自由民主党内から相当出てくるのではないかということが心配であった。
そこで、政策調整会議終了直後、私は加藤政調会長に自らの懸念をぶつけてみた。すると、加藤政調会長は、「いや、やはり外務省はちょっとやり過ぎなんだ。ちょっとおかしい問題点がある。だから、これでいいんだ」というようなことをさらっと言われた。このような返答に私は少々驚いたが、しかし、その後この件は、政治的には心配するほどの大きな問題には発展しなかった。
以上紹介したケースでも明らかなように、従来の自由民主党単独政権時代では考えられなかったような政策決定が、村山連立政権内では行われるようになったということだ。
今回の決定の背景には、官僚の先走り――官僚が政治サイドにきちんと事前に話をしないで決めて、それを後で政治に了解を求めるという従来の手法――に対して、政治家がはっきり「ＮＯ」と言う潮流が生まれつつあるという時代の変化がうかがえる。
憲法改正案 来年４月28日までに
「天に向かって！」（歌・田村重信）が、カラオケ「ウガとジョイサウンド」で歌えます。よろしく！
ブログランキングに参加しています。
↓↓↓貴方の応援クリックが明日の活力になります↓↓↓
こちらをクリック
憲法改正案 来年４月28日までに
谷垣総裁「成果を世に問う」
新憲法草案を土台に作成
党憲法改正推進本部（本部長・保利耕輔衆院議員）は８月４日に開いた会合で、サンフランシスコ講和条約発効から６０年にあたる平成２４年４月２８日までにわが党の憲法改正案を取りまとめることを確認した。
この日の会議には、谷垣禎一総裁はじめ大島理森副総裁、石原伸晃幹事長ら多くの役員が出席した。
谷垣総裁はあいさつの中で、「講和条約が発効し、日本が独立を回復したことを受け、わが党は結党時に憲法を改正することを党是に掲げた。（講和条約が）還暦となる来年は極めて大事だ。来年の４月２８日にはきちっと成果を世に問うていく」との決意を表明した。
すでにわが党は、平成１７年１１月２２日、立党５０年記念党大会で、新憲法草案を発表している。そのため、改正作業は最近の国際情勢の緊迫化や東日本大震災の発生などを踏まえ、同草案を土台にして作成していく。
憲法前文の全面改定など
憲法改正推進本部 検討項目を確認
講和条約発効６０年までに
講和条約発効60周年までに、憲法改正案を取りまとめることを決めた憲法改正推進本部は、この日の会議で、今後の主要な検討事項を確認した。
具体的には（１）前文は全面的に書き改める（２）天皇を元首と規定することの是非（３）国旗と国歌を、国家の基本構成の一部として憲法上明記することの是非（４）集団的自衛権は自衛権の中に包含されるので特別に憲法に規定しない（５）憲法改正要件の緩和など。
これに先立って、保利本部長は「現行憲法はポツダム宣言から発せられている」と述べ、憲法の根底にはわが国の弱体化を意図したポツダム宣言があることを指摘、憲法改正の必要性を強調した。
出席した議員からは「憲法に緊急事態条項のない国はないので、入れてほしい。そうでないと国家のかたちが成り立たない」「集団的自衛権を認めることは解釈の問題だ。憲法改正の前に認めるべきだ」などの意見が出された。また、憲法改正の発議要件などを記している「憲法96条の改正から取り組むべきだ」との主張もあった。
（『自由民主』より）
ブログランキングに参加しています。
↓↓↓貴方の応援クリックが明日の活力になります↓↓↓
こちらをクリック
憲法改正案 来年４月28日までに
谷垣総裁「成果を世に問う」
新憲法草案を土台に作成
党憲法改正推進本部（本部長・保利耕輔衆院議員）は８月４日に開いた会合で、サンフランシスコ講和条約発効から６０年にあたる平成２４年４月２８日までにわが党の憲法改正案を取りまとめることを確認した。
この日の会議には、谷垣禎一総裁はじめ大島理森副総裁、石原伸晃幹事長ら多くの役員が出席した。
谷垣総裁はあいさつの中で、「講和条約が発効し、日本が独立を回復したことを受け、わが党は結党時に憲法を改正することを党是に掲げた。（講和条約が）還暦となる来年は極めて大事だ。来年の４月２８日にはきちっと成果を世に問うていく」との決意を表明した。
すでにわが党は、平成１７年１１月２２日、立党５０年記念党大会で、新憲法草案を発表している。そのため、改正作業は最近の国際情勢の緊迫化や東日本大震災の発生などを踏まえ、同草案を土台にして作成していく。
憲法前文の全面改定など
憲法改正推進本部 検討項目を確認
講和条約発効６０年までに
講和条約発効60周年までに、憲法改正案を取りまとめることを決めた憲法改正推進本部は、この日の会議で、今後の主要な検討事項を確認した。
具体的には（１）前文は全面的に書き改める（２）天皇を元首と規定することの是非（３）国旗と国歌を、国家の基本構成の一部として憲法上明記することの是非（４）集団的自衛権は自衛権の中に包含されるので特別に憲法に規定しない（５）憲法改正要件の緩和など。
これに先立って、保利本部長は「現行憲法はポツダム宣言から発せられている」と述べ、憲法の根底にはわが国の弱体化を意図したポツダム宣言があることを指摘、憲法改正の必要性を強調した。
出席した議員からは「憲法に緊急事態条項のない国はないので、入れてほしい。そうでないと国家のかたちが成り立たない」「集団的自衛権を認めることは解釈の問題だ。憲法改正の前に認めるべきだ」などの意見が出された。また、憲法改正の発議要件などを記している「憲法96条の改正から取り組むべきだ」との主張もあった。
（『自由民主』より）
2011年08月11日
講演録「政治家と官僚との関係の変化」田村重信（その５）
「天に向かって！」（歌・田村重信）が、カラオケ「ウガとジョイサウンド」で歌えます。よろしく！ブログランキングに参加しています。
↓↓↓貴方の応援クリックが明日の活力になります↓↓↓
こちらをクリック
（以下の講演録は、平成七年六月に慶應義塾大学大学院にて、変化の著しい政治と官僚の関係について講演したものに加筆したものです。）
（２）従来の発想が通じなくなった政治と官僚
〇戦後五十年は官僚の下請け政治
自民党政権時代は、政策のプロが大臣になって役人を押さえることができたが、細川連立政権では、大臣が役人まかせということで官僚の突出となったと述べた。それは、誰が大臣になるかによって、「政」と「官」の関係が決定されるということである。
しかし、戦後五十年をふり返ると、経済中心の自民党主導型政策決定は、表面的には「政」が「官」をリードしていたように見られているが、ここにきて「戦後五十年は官僚の下請けを政治がやってきたにすぎない」といった強い反省が有力な政治家の中から出てきている。
この「戦後五十年は官僚の下請け政治」という言葉は、加藤政調会長が日経ビジネス（九五年五月十五日号のインタビューの中で述べている。インタビューのタイトルは「裸の王様だった大蔵省主計局至上主義が問題を生む」というもの。そこでポイントとなるところを引用してみよう。
「自民党三十八年の政治は役所から反対されると引き下がる政権でした。それを悪しき官僚政治と言う人もいました。しかし、官僚組織は我々にとって永遠の運命共同体のように見えましたし、官僚は我々以上に日本の将来を考えているのだからいいかげんに反論して代議士風を吹かせてはいけないと思っていたわけです」と加藤政調会長は答えている。
また、「自民党が野党になって、官僚との距離感が出てきたということですか」という問いに対して、「官僚組織は自民党のシンクタンクであり、企画室でしたが、われわれの独占物ではないことを知りました。これは非常にいいことではないかと思います。我々も（官僚を）批判すると同時に力を蓄えないといけません。戦後五十年の日本の政治というのは、欧米キャッチアップと明確な東西冷戦構造という枠組みの中で、はっきり言ってしまえば、政治がビジョンなんかを考えなくてもいい時代でした。効率性だけを求めてきた行政であり、ある意味では（官僚の）下請けとも言える政治だったのです」と述べている。
戦後五十年、経済中心に考えてきた国家目標は官僚組織が最も得意とする分野であり、政治は経済がうまくいくための政局の安定を目指して、自民党政権を長期に安定させていくことこそが、今日までの国策に合致していたことでもあったわけである。
戦後政治とは、政治の安定を図ることで官僚組織の推し進める行政を支えることでよかったわけでもある。
国会運営にかかわる長期ビジョンは、元来、政治が打ち出すべきものであり、その年度ごとの政策の具体化を策定するのが官僚の役割であったはずだ。しかし、北海道知事だった横路孝弘氏もその頃出版した著書『第三の極』の中で、一九七○年前後を境に、政治と官僚との役割の逆転現象が起こったと指摘している。つまり、「この頃から、長期ビジョンは官僚が打ち立て、短期すなわち目先の調整を政治家が行うという奇妙な社会的分業ができあがってしまった。『奇妙な』と言ったのは、元来、政治が長期の方向を示して、それに従い官僚が当面の問題を処理するというのが本来の姿であるはずなのに、政治の現実はそれが逆転しているからである。これでは、歴史の転換期を身据えたダイナミックな政治を政治家や政党に望むことはできない」と述べている。
だからこそ、政治家が戦後五十年を契機に今後の日本のあり方についてのビジョンを考え、それを大胆に提示する必要があるわけだ。
〇大蔵省主計局支配の終焉
戦後、日本の政策をリードしたのは大蔵省主計局だったという見方もある。
大蔵省・斎藤事務次官がマスコミによってクローズアップされて以来、盛んにそう報道されるようになった。確かに歴代の大蔵省事務次官は、主計局長経験者が就任するケースが圧倒的に多く、大蔵省における主計局のウェートもそれだけ大きいということになる。そこで、大蔵省主計局支配という事実が本当にあったのかどうか、という視点から論じてみることにする。
戦後、経済重視の政策が日本の経済成長を促したといわれているが、国家予算（税の徴収と再分配）という観点から見た場合、このメカニズムは逆になる。つまり、経済重視の政策が経済成長によって可能となったのである。経済成長は税収の増大をもたらし、政策の重点も予算配分によって決められるという構造だからである。こうした状況では、予算配分に大きな影響力を持った大蔵省主計局の力が絶大なものであった。
ところが、現在こうした構造が崩れてきた。というのは、低成長時代に突入して法人税を中心に税収が減り、そのため配分すべき原質とともに主計局の力もその分低下したからである。
経済成長が高度成長から低成長となると予算も抑制される。その結果、ゼロシーリング（昭和五十八年度からマイナスシーリング）という考え方をベースに予算が抑制されると、大蔵省主計局は、公共事業などの投資的経費に関して、例えば前年伸び率ゼロ％、事務的な経常的経費はマイナス一○％という枠だけを決めることになる。その後の具体的な予算配分は、例えば農林関係予算ならば、農林水産省の官房・予算課が中心となって決めるわけである。
したがって、低成長時代のゼロシーリングが実施された頃からは、大蔵省の主計局（主計官や主査）が農業政策について、予算の配分を担保に大蔵省自らが策定した政策の編入を暗黙裡に強要するようなことは次第になくなってきた。つまり、主計局は農林水産省に対して、「何パーセントダウンの枠の中で農業政策を調整して予算配分を決めてほしい」ということを「お願い」する立場になったわけである。
こうした状況になると、予算編成の根源における力関係に変化が生じることになる。高度成長時代は税収の自然増によって大蔵省主計局もそれだけ潤沢な予算の原資があるために、各省庁に「こういう政策を考えたらどうだ」ということも言えたわけだ。しかし、低成長時代になり、ゼロおよびマイナスシーリンングになれば、従来のような予算配分権に基づく政策への介入ができなくなるのである。
一方、低成長時代になると、予算配分よりも予算額をどう確保するかという税収問題が非常に大きな政策テーマとなる。大平内閣の時の一般消費税問題以来、竹下内閣の消費税導入、細川内閣の国民福祉税問題、村山内閣の消費税率のアップ問題など、政策の最重点課題が税制へと移ったわけだ。
黙っていても自然増収が期待できた時代ーー予算を増額し、国民が喜ぶ減税をしていればいいというような時代ーーは終わってしまった。現在は、国の必要経費である予算を確保するためにいかに増税するか、また行政のスリム化（行政にかかわるコスト削減）のための行革をどういう形で行うかという時代である。さらには、国債が発行されているので、その利払いをどうするか、その償還時の原資をどのように捻出するかといった問題が大きくクローズアップされている。
大蔵省が抱える問題は税制だけではない。政策的には円高によって日本の産業界は大きな影響を受けることになり、生産拠点を海外に移転させるなどの問題も生じている。産業の空洞化、雇用問題などにどう対応するかという政策の基本の中で、国際金融問題の重要性も増しているし、円高是正のために各国とどう協調介入するかといった問題も日本経済の運営にかかわる大きな課題となっている。
また、最近ではバブル経済の崩壊によってもたらされた、金融機関のかかえる不動産などの膨大な不良債権の問題、株価の低迷などが、景気の本格的な回復を遅らせる根源的な要素として大きくクローズアップされているのは周知のとおりである。
これらの問題は、大蔵省では主税局、国際金融局、証券局、銀行局などのいずれも主計局以外の部局などが中心となる。
外交交渉でも、従来のように交渉結果の後に処理を主計局が一手に引き受ける、ということはなくなりつつある。例えば、佐藤内閣時代の繊維交渉の結果、繊維関係の企業の救済対策をどうするかという処理問題が発生したが、主計局は特別予算を組んで、この問題の解決を主導したわけだ。同様に、農業分野では、竹下内閣の時代に牛肉・オレンジ交渉が妥結したが、その結果、打撃を受ける農業者をどう救済するかという問題が起こった時も、また、日ソ、日米の漁業交渉で、二百カイリ水域から日本漁船が締め出されるという問題、あるいはサケ・マス、捕鯨などが国際条約によってその捕獲量を著しく制限され、漁業補償をどうするかといった問題が発生した時も、政府が補償金を支払い、低利融資といった「お金」で処理してきた。これらは主計局が中心となって解決してきたわけである。
それが最近では、信用組合の救済問題や住宅金融専門会社が抱える不良債権の処理問題などは、主計局が従来のように予算を配分するといった「お金」以外の問題も考えなければ解決できなくなってきたのである。このため、今後は主計局中心の大蔵省という考え方から、多様化したニーズに対応するために他の部局が前面に出て取り組まないと、日本の財政・経済は活性化しないのではないかと懸念するものである。
