2010年12月
2010年12月22日
英国と比較して陸自人員削減は間違い
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冷戦が終わって平和が訪れると思ったが、現実はそうはいかない。
確かに欧州では、ソ連の崩壊で東西陣営の衝突の危険性が除去され、欧州から米軍は大幅に撤退した。しかし、東アジア地域では未だ不安定要因があるとの理由で10万人の米軍の前方展開は維持された。
日本の周辺の安全保障環境は、今回の防衛計画の大綱でも、
・北朝鮮の核・ミサイル問題等は、地域の喫緊かつ重大な不安定要因。
・中国の軍事力近代化や透明性の不足等が、地域・国際社会の懸念事項。
・ロシアの軍事活動は引き続き活発化の傾向。
――などの記述が並ぶ。
中国、ロシアをはじめ各国とも軍事費を増額している。
尖閣諸島沖の中国船衝突事件、北朝鮮の韓国・延坪島を砲撃などにより、日本人は防衛意識を高めている。
今回の防衛大綱は、動的防衛力への転換など、言葉は躍るが、それを裏付ける予算はこころもとない。
にもかかわらず、読売新聞(12月9日)社説は、「陸自定員削減は不十分」とのことで、以下のように述べている。
米国、中国、ロシア、韓国、北朝鮮など周辺国が近年、そろって国防費を大幅に伸ばす中で、日本だけが防衛費を減らし続けてきたことは、深刻な問題だった。
限られた予算の中で、真に実効性ある防衛体制を整えるには、増強する分野と削減する分野のメリハリが欠かせない。
新大綱の焦点となった陸自の編成定数は、現行の15万5000人から1000人の削減にとどまった。極めて不十分である。
自衛隊全体のバランスを考えれば、今回実現した陸自の戦車・火砲の大幅な削減に加え、陸自定員を一層削減し、海上、航空両自衛隊の定員や艦船・航空機の増強などに回すべきだった。
そうしてこそ、「動的防衛力」という新概念がより明確になったはずだ。11年度以降の予算編成での是正を求めたい。
12月20日の読売新聞は、北岡伸一東大教授が『地球を読む」「防衛大綱」で、
「陸上自衛隊の定員については、1000人削減して15万4000人(14万7000人+予備自衛官7000人)となった。これは物足りない。
イギリスは新政権の見直しで約10万人の陸軍を約5年で9000人ほど減らそうとしている。しかもイギリスの陸軍は、アフガニスタンだけで9000人を派遣(その是非の議論はあろうが)するなど、世界中で活躍しているのに比べ、日本の陸上自衛隊は、国連平和維持活動(PKO)に400人ほど派遣しているだけである。それも、ハイチの災害に対して約350人を派遣しているので、これがなくなれば50人ほどで、主要国で最少である。・・・」と述べている。
まず指摘したいのは、英国と日本の安全保障環境が大きく異なる点が欠落している。
次に、英国の軍事削減について説明する。
英国は、面積が日本の約3分の2、人口は約半分の6160万人。GDPは世界第6位で日本の約43%。
英国は、5月の総選挙の結果、政権交代で戦後初の連立政権(保守、自民党)で、歳出削減による財政再建が大目標となった。
政府は、10月18日に「国家安全保障戦略」(NSS)を発表。これは国防以外の外交・情報・経済も含むもので、英国を取り巻く戦略的背景を分析し、国家の目的の規定に焦点を当てたもので、
英国の戦略目標は、①安全かつ強靭な英国の確立、②安定した世界の形成――となっている。
翌10月19日に「戦略防衛・安全保障見直し」(SDSR)(これは日本の防衛計画の大綱に当たるもの)、20日に「歳出見直し2010」を発表。キャメロン政権が新設した国家安全保障会議(NSC)がNSSとSDSRを策定した。
「歳出見直し2010」は、2014~15年度までの4年間で総額810億(10兆円)ポンドの歳出削減を目指し、医療や海外援助の分野を除く各省の歳出額は平均実質19%削減と大幅だ。そのうちで国防費は、非前線分野での最低43ポンドの節減を含め、2014~15年度までに実質8%の歳出削減となっている。
以上のようにキャメロン政権は、国防費の削減が各省と比較していかに少ないかが分かる。しかし日本は、今の状況で各省並びとなっている。これはおかしい。
次に「戦略防衛・安全保障見直し」(SDSR)の主な削減について、
今後5年間で
・海軍は5000人(現状・3万4650人)、
・空軍は5000人(3万9890人)、
・陸軍は7000人(10万290人)、
・国防相文官は2万5000人(8万5000人)の人員削減となっている。
ということは、海軍・空軍よりも陸軍の削減率が一番少ないということになる。
したがって、英国の陸軍の削減人数だけを持ち出して、陸自の削減は少ないというのは問題だ。
次に、装備の削減が凄い。
海軍は、空母1隻(2隻)を即時退役、ヘリコプター揚陸艦1隻退役、フリゲート艦4隻退役などで、英国では空母の退役が問題となっている。
空軍は、ト-ネード多用途攻撃機を削減、ハリアー攻撃機を退役、JSFとタイフーン戦闘機を中心とした体制に移行。
陸軍は展開可能な旅団を1つ削減し5つの多機能旅団へ再編成、チャレンジャー2戦車を40%削減、重火砲を35%削減等。
なお、英軍のアフガン作戦費用は国防費とは別枠の財務予備費から支出。今後4年間で151億ポンドの支出を計画。
英国で注目すべきは仏との防衛・安全保障関係の強化だ。
11月2日、両国首脳はロンドンで会談し、二国間の防衛・安全保障協力及び核研究施設の共有に関する2つの条約に署名。
統合派遣戦力の創設、統合空母打撃部隊の保有、次世代原潜や無人航空システムの共同研究・共同開発等などの協力を強化し、国家財政が厳しい中で、お互いが協力することで防衛力を維持・強化することができるということだ。
これが英国の国防費の削減概要である。
厳しい安全保障環境を考え、日本の安全を確保するためには、防衛予算を増額することである。そうでないと、周辺国から日本の防衛努力はこの程度と評価される。
陸自の人員削減は、最近の増大した仕事量から考えればすべきではない。
でないと昨日もツイッターブログで書いたが、
防衛計画の大綱の「動的防衛力」に転換。しかし、予算が増えず、動くための交通費・輸送費の計上がない。したがって、実際は「静的防衛力」。
――となる。
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確かに欧州では、ソ連の崩壊で東西陣営の衝突の危険性が除去され、欧州から米軍は大幅に撤退した。しかし、東アジア地域では未だ不安定要因があるとの理由で10万人の米軍の前方展開は維持された。
日本の周辺の安全保障環境は、今回の防衛計画の大綱でも、
・北朝鮮の核・ミサイル問題等は、地域の喫緊かつ重大な不安定要因。
・中国の軍事力近代化や透明性の不足等が、地域・国際社会の懸念事項。
・ロシアの軍事活動は引き続き活発化の傾向。
――などの記述が並ぶ。
中国、ロシアをはじめ各国とも軍事費を増額している。
尖閣諸島沖の中国船衝突事件、北朝鮮の韓国・延坪島を砲撃などにより、日本人は防衛意識を高めている。
今回の防衛大綱は、動的防衛力への転換など、言葉は躍るが、それを裏付ける予算はこころもとない。
にもかかわらず、読売新聞(12月9日)社説は、「陸自定員削減は不十分」とのことで、以下のように述べている。
米国、中国、ロシア、韓国、北朝鮮など周辺国が近年、そろって国防費を大幅に伸ばす中で、日本だけが防衛費を減らし続けてきたことは、深刻な問題だった。
限られた予算の中で、真に実効性ある防衛体制を整えるには、増強する分野と削減する分野のメリハリが欠かせない。
新大綱の焦点となった陸自の編成定数は、現行の15万5000人から1000人の削減にとどまった。極めて不十分である。
自衛隊全体のバランスを考えれば、今回実現した陸自の戦車・火砲の大幅な削減に加え、陸自定員を一層削減し、海上、航空両自衛隊の定員や艦船・航空機の増強などに回すべきだった。
そうしてこそ、「動的防衛力」という新概念がより明確になったはずだ。11年度以降の予算編成での是正を求めたい。
12月20日の読売新聞は、北岡伸一東大教授が『地球を読む」「防衛大綱」で、
「陸上自衛隊の定員については、1000人削減して15万4000人(14万7000人+予備自衛官7000人)となった。これは物足りない。
イギリスは新政権の見直しで約10万人の陸軍を約5年で9000人ほど減らそうとしている。しかもイギリスの陸軍は、アフガニスタンだけで9000人を派遣(その是非の議論はあろうが)するなど、世界中で活躍しているのに比べ、日本の陸上自衛隊は、国連平和維持活動(PKO)に400人ほど派遣しているだけである。それも、ハイチの災害に対して約350人を派遣しているので、これがなくなれば50人ほどで、主要国で最少である。・・・」と述べている。
まず指摘したいのは、英国と日本の安全保障環境が大きく異なる点が欠落している。
次に、英国の軍事削減について説明する。
英国は、面積が日本の約3分の2、人口は約半分の6160万人。GDPは世界第6位で日本の約43%。
英国は、5月の総選挙の結果、政権交代で戦後初の連立政権(保守、自民党)で、歳出削減による財政再建が大目標となった。
政府は、10月18日に「国家安全保障戦略」(NSS)を発表。これは国防以外の外交・情報・経済も含むもので、英国を取り巻く戦略的背景を分析し、国家の目的の規定に焦点を当てたもので、
英国の戦略目標は、①安全かつ強靭な英国の確立、②安定した世界の形成――となっている。
翌10月19日に「戦略防衛・安全保障見直し」(SDSR)(これは日本の防衛計画の大綱に当たるもの)、20日に「歳出見直し2010」を発表。キャメロン政権が新設した国家安全保障会議(NSC)がNSSとSDSRを策定した。
「歳出見直し2010」は、2014~15年度までの4年間で総額810億(10兆円)ポンドの歳出削減を目指し、医療や海外援助の分野を除く各省の歳出額は平均実質19%削減と大幅だ。そのうちで国防費は、非前線分野での最低43ポンドの節減を含め、2014~15年度までに実質8%の歳出削減となっている。
以上のようにキャメロン政権は、国防費の削減が各省と比較していかに少ないかが分かる。しかし日本は、今の状況で各省並びとなっている。これはおかしい。
次に「戦略防衛・安全保障見直し」(SDSR)の主な削減について、
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・海軍は5000人(現状・3万4650人)、
・空軍は5000人(3万9890人)、
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ということは、海軍・空軍よりも陸軍の削減率が一番少ないということになる。
したがって、英国の陸軍の削減人数だけを持ち出して、陸自の削減は少ないというのは問題だ。
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空軍は、ト-ネード多用途攻撃機を削減、ハリアー攻撃機を退役、JSFとタイフーン戦闘機を中心とした体制に移行。
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なお、英軍のアフガン作戦費用は国防費とは別枠の財務予備費から支出。今後4年間で151億ポンドの支出を計画。
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1月の日本論語研究会で講演します。
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日本論語研究会も、来年で7年目を迎えることになりました。
これは、参加者と講師になっていただける方がいるから成り立っているのです。
始まりがあれば、必ず終わりがあるものです。
何時までやれるか、頑張ります。
お陰さまで、日本論語研究会のHPも好評です。 今までも講義録や日程などもあり、ご覧ください。
あなたの人生にとって必ず役立つと思います。
「日本論語研究会」の予定
*会場は、全て慶應大学・三田キャンパスです
(港区三田2-15-45)(JR田町、地下鉄三田下車)
第67回
1、日 時 1月8日(土)16時30分~18時
2、場 所 慶應義塾大学 第1校舎1階 102番教室
3、講 師 大川芳子(生命保険外交員、ボランティア活動家)
(テーマ、私の人生と社会貢献活動)
田村重信(日本論語研究会代表幹事)
(テーマ、7年目を迎えた日本論語研究会―日本を考える)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
第68回
1、日 時 2月5日(土)16時30分~18時
2、場 所 慶應義塾大学 第1校舎1階 109番教室
3、講 師 岬 龍一郎(評論家、人間経営塾主宰)
(テーマ、日本人の忘れもの)
第69回
1、日 時 3月12(土)16時30分~18時
2、場 所 慶應義塾大学 第1校舎1階 102番教室
3、講 師 (未定)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
〇参加費 無料です。
〇問い合せ先 田村重信(代表幹事)
Eメールstamura@hq.jimin.or.jp へ連絡下さい。電話―3581-6211(職場)
日本論語研究会事務局〒105-0002 港区三田2-15-45
慶大・南館20510 小林節研究室 気付
(参考)日本論語研究会の日程と研究会の内容は、日本論語研究会のホームページhttp://www.rongoken.jp/index.htmlに掲載しています。
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田村重信(日本論語研究会代表幹事)
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2010年12月21日
自由民主党国防訪韓団報告
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今日、自民党国防部会があった。
テーマは、自由民主党国防訪韓団報告と防衛計画の大綱及び中期防について
12月17日ブログに「防衛計画の大綱及び中期防衛力整備計画について」を書いた。今日、正式に政府から説明を受けたが評価は変わらない。
なお、今日は僕のツイッターで
防衛計画の大綱の「動的防衛力」に転換。しかし、予算が増えず、動くための交通費の計上がない。したがって、実際は「静的防衛力」。
――とつぶやいた。
以下は、自由民主党国防訪韓団報告書(平成22年12月21日)である。
1 目 的
本年3月に発生した北朝鮮による韓国哨戒船天安撃沈事案に続き、11月に北朝鮮が延坪島を砲撃したことにより、朝鮮半島を始め東アジア情勢が極めて不安定な状態となっている。この地域の平和と安定の為には、日米韓の緊密な連携が必要不可欠となる。
そこで、我が党は、韓国与党のハンナラ党国会議員、政府高官、軍高官との意見交換を行い、朝鮮半島の軍事情勢を正確に把握することで、我が党の安全保障政策に資すること、また韓国国会議員、政府高官等との関係を強化することを目的とする、訪韓団を派遣した。
2 団編成
団長 岩屋 毅 国防部会長(シャドウ・キャビネット防衛大臣)
中谷 元 衆議院議員
今津 寛 衆議院議員
随行 松本好史 党本部政務調査会職員
3 日 程
平成22年12月13日(月)~12月15日(水)
12月13日 田麗玉(チョン・ヨオク)国土海洋委員会委員(日韓議員連盟安保・外交委員会幹事長代理)
12月14日 金在信(キム・ジェシン)外交通商部次官補
章光一(チャン・グァンイル)国防部国防政策室長
金章洙(キム・ジャンス)国防委員会委員
鄭柄国(チョン・ビョングック)放送通信常任委員長(日韓議員連盟安保・外交委員長)
12月15日 白善助ア(ペク・ソニョプ)将軍
戦争記念館視察
4 視察地
大韓民国ソウル特別市
5 意見交換
1)田麗玉(チョン・ヨオク)国土海洋委員会委員(日韓議員連盟安保・外交委員会幹事長代理)
延坪島砲撃の予兆はあったのか、日米韓による合同訓練の可能性、中国・北朝鮮の軍事同盟の強固さについて、金正恩氏への権力継承等について、意見交換を行った。
・前回の韓国哨戒船天安撃沈事案では、北朝鮮による攻撃であるか否か、韓国民の中でも意見の分かれるところがあったが、今回の延坪島砲撃は韓国民一体となり怒りに震えているとの見解を示した。
・延坪島砲撃の予兆については、青瓦台内部ではあったかもしれないが、定かではない。政府への韓国民の批判が高まっているが、対北朝鮮強硬派の新国防長官に交代し状況はよくなるのではないかとの見解を示した。
・日米韓の合同訓練の可能性については、その必要性は認めつつも、過去の不幸な歴史から韓国民の中には抵抗感があること、さらに菅総理の朝鮮半島有事に際しての自衛隊の韓国への派遣については、国内で不信感が根強いとの見解を示した。また、中国と北朝鮮の軍事同盟の強固さについては、もはや以前のような強固な関係ではなくなっているとの見解を示した。
・金正恩氏への権力継承問題については、その若さ、能力の問題等から極めて危険であるとの見解を示した。2年後継承するとの事だが、3~4年の内に北朝鮮内部で大きな危機を迎えるのではないかとの見解を示した。
・北朝鮮では、情報流入により、韓国の方が幸福であるとの認識が広まりつつある。北朝鮮内では、現状のような苦しい状況が続くようであれば、戦争となっても構わないと考える人民が多いであろうとの見解を示した。
○我が方からは、軍事力をはじめ中国の力が増大しており、北朝鮮が中国の後ろ盾により、朝鮮半島情勢が不安定になることは好ましくないとの見解を示し、日韓さらには米国が連携して中国に対応すべきであるとの見解を伝えた。
2)金在信(キム・ジェシン)外交通商部次官補
我が国における外務審議官にあたる金在信外交通商部次官補と、延坪島砲撃に関して国連安保理、ICC(国際刑事裁判所)等に訴えないのか、在韓米軍が反撃する可能性、島嶼防衛の増強について、北朝鮮の核開発について、NLL(北方限界線)に関する韓国・北朝鮮さらには周辺各国の認識、金正恩氏への権力継承について、朝鮮半島統一のシナリオ等について意見交換を行った。
・韓国は北朝鮮に対して、人道的な支援は必要であるとの基本政策をとってきたが、今年に入って2度にわたる暴挙を行った点を深刻に受け止めており、国連やICCにおいて曖昧な声明を出すことで終わらすべきではないとの見解を示した。
・今回の延坪島砲撃を受けて、島嶼防衛において武器の増強等を始め、強化する旨説明を受けた。
・韓国は北朝鮮の核開発に対して、核開発で応じるつもりはなく、北朝鮮の核開発阻止に全力を注ぐ政策を取るとの説明を受けた。
・NLLに関しては、韓国・北朝鮮ともに70年代後半までは平和的に運用してきた。北朝鮮の不合理な要求を受け入れていてはきりがないとの見解を示した。また、中国はNLLに関して正式なコメントは出していないが、中国が介入すべき問題ではないとの見解を示した。
・金正恩氏については、その能力等を含め予測が付かず、分析に時間が必要であるとの見解を示した。
・北朝鮮崩壊による統一のシナリオについては、北朝鮮を経済発展させ南北格差を縮めた上で統一する方法が考えられるとの見解を示した。
・最後に、これまで韓国と日本が成熟した関係を築いてきたのは、自民党の貢献が大きく、外交関係は与野党関係なく良好な交流を続けるべきとの見解を示した。
○我が方からは、韓国政府の対応があまりにも慎重であるとの印象を受けること、国連等に働きかけるべきであるとの考え、さらには中国にも今回の事案に関しては、北朝鮮の擁護に回ることのないよう日米韓連携して対応していくべきである旨伝えた。
また、韓国政府が北朝鮮の核開発に対して核開発で応じないとの姿勢に対し、我が国も全く同じ考えである旨伝えた。
3)章光一(チャン・グァンイル)国防部国防政策室長
我が国における防衛政策局長にあたる章光一国防部国防政策室長と日韓の軍事協力について、延坪島砲撃に対する反撃の成果等について意見交換を行った。
・日韓の軍事協力については、韓米軍事演習における自衛隊のオブザーバー参加、同様に日米軍事演習における韓国軍のオブザーバー参加が実現したことにふれ、今後も軍事協力を強化していくべきであり、その際、秘密保護協定やACSAの締結について検討することも必要ではないかとの見解を示した。
・延坪島砲撃に関して、島の面積等からしてK9自走榴弾砲の配備は少なかったが、半分が機能しなかったとの報道は誤報であるとの説明を受けた。自走榴弾砲6門の内、1門は事前の演習により弾詰まりにより使用できなかったこと、残り5門の内2門は北朝鮮からの砲撃により電気通信機器等が損傷を受けた事により、使用できなかったのが事実である旨説明を受けた。
・韓国軍による対応射撃は一応の成果があったとの見解を示した。また、北朝鮮の司令部に反撃したものではなく、発射地点を狙ったものであるとの説明を受けた。
○我が方からは、合同演習での双方のオブザーバー参加は好ましいことであると同意した上で、韓国の軍事的な危機は日本にとっての危機でもあるとの見解を示し、日韓の軍事協力をさらに進めていくべきであるとの見解を伝えた。
4)金章洙(キム・ジャンス)国防委員会委員
陸軍大将、国防長官を歴任した金章洙議員と、今後の北朝鮮の動向、金正恩氏への権力継承、中国の北朝鮮に対する対応への認識等について意見交換を行った。
・北朝鮮による砲撃に対して韓国軍が反撃することは、経済的にマイナスであると考える国民も多いが、そのような認識は持っておらず、明らかに経済よりも上位に来る問題であるとの見解を示した。北朝鮮の砲撃が今後も続く可能性はあり、その場合しかるべき反撃をすれば、東アジアにおける軍事情勢が不安定になることは十分認識しているが、それよりも韓国民の自尊心の方が重要であるとの見解を示した。
・金正恩氏への権力継承については、過去金正日氏の権力移行時に、1970年代には板門店事件、1980年代には大韓航空機爆破事件が発生した等、予想もできないことを数々引き起こしてきた。北朝鮮は今回の金正恩氏への権力移行時も様々な挑発をしてくると考えているとの見解を示した。
・朝鮮半島有事に際して、自衛隊を韓国に派遣することが検討されているが、まずは他の分野で軍事的な協力を進めるべきであるとの見解を示した。また、韓国領土に自衛隊が入るには協定が必要になってくるが、まだその段階ではないとの見解を示した。しかし、朝鮮半島有事が発生した場合、日米韓で緊密に連携し対応すべきであるとの見解を示した。
・中国は、北朝鮮に関する外交的な制裁に関しては反対をする。統一によって朝鮮半島に強大な国家ができることは中国にとって不利益であり、現状維持を望んでいるであろうとの見解を示した。
○我が方からは、北朝鮮による延坪島砲撃は暴挙であり、韓国政府を強く支持し、我が国としてできることをしっかり検討していく旨伝えた。我が国では、尖閣諸島沖事案や北方領土問題等で、領土、島嶼防衛に関心が高くなっている。東アジアの安定を守るためには、日米韓が一体となって協力していく必要があり、韓国とは竹島等デリケートな問題も抱えているが、大きな目標の為に共に協力していきたい旨伝えた。
5)鄭柄国(チョン・ビョングック)放送通信常任委員長(日韓議員連盟安保・外交委員長)
延坪島砲撃を受けての韓国の対応政策等について、議会で常任委員長の職にある鄭柄国議員と意見交換を行った。
・議員自身が海兵隊出身であり、現在韓国の国会議員に8名の出身者がいる。海兵隊は極めて過酷な訓練に耐え抜いている屈強な軍隊組織であるが、もはや精神論だけで対応できる局面ではないと考えており、西海を中心に、島嶼防衛に関する海兵隊の重点的整備等を国防委員長を中心に進めているとの説明を受けた。
・今回の砲撃で被災者が発生したが、南北対立にあるとはいえ、まさか軍事的衝突は起きないであろうと安堵していた韓国民の意識を大きく変えた事は、唯一得られた利点であるとの見解を示した。
・日韓の連携は極めて重要であるとの考えを示したうえで、今般大きな関心事となっている朝鮮王朝儀軌等に関して韓国民は大きな期待を寄せているとの見解を示した。
○我が方からは、将来的には日本にも機動性のある海兵隊部隊をつくることを検討する必要性があるとの見解を伝えた。また、我が国も尖閣諸島沖事案等を始め島嶼防衛に関して重点的に取り組む必要性があるとの見解を示した。朝鮮王朝儀軌等の引き渡しについては、臨時国会の終盤に政府から突如提示された条約であり、我が党として十分な議論をする時間が全くなかったことを伝えた上で、次期通常国会では十分な審議を行った上でしかるべき対応をしたい旨伝えた。
6)白善助ア(ペク・ソニョプ)将軍
白善助ア予備役陸軍大将と、朝鮮半島情勢等について意見交換を行った。
・金大中、盧武鉉政権により、北朝鮮に対する太陽政策が取られたが、北朝鮮への支援が核開発や兵器の製造に援用され、結果的には今回のような事態に及んでいることから、太陽政策は間違いであったとの見解を示した。
・11月にワシントンで日米韓の外相会談が行われたが、今後も3カ国の緊密な関係は必ず維持していかなければならず、また、東アジアの共産化を防ぐためにも、日米韓の果たすべき役割は大きいとの見解を示した。
・国連軍から韓国軍への指揮権移行が盧武鉉政権で合意されたが、向こう3年間延期されることが決まった。これは、韓国の安全保障を考えた場合、評価できるとの見解を示した。
○我が方からは、日米韓の軍事的な協力関係は極めて重要であるとの見解を示した。また、防衛大学校等への韓国軍の留学生受け入れを始めとした日韓防衛協力に尽力されてきた白善助ア氏に感謝の意を伝えるとともに、今後も日韓防衛交流を様々なレベルで拡充していくべきだとの考えを伝えた。
7)戦争記念館視察
当初予定していた延坪島視察が、当日の強風及び高波によりフェリーが欠航となったことから、殉職した海兵隊員の名が刻まれる戦争記念館の慰霊碑に献花を行った。
また、韓国哨戒船天安撃沈事案での北朝鮮製によると考えられるハングル文字が刻まれた魚雷等を視察した。
6 考 察
今回の延坪島砲撃は、韓国領土によるものであり韓国軍人2名、民間人2名の死者を出しており、今までの軍事的挑発とは意を異にするものである。
訪韓団は、亡くなった方々に対して哀悼の意を伝え、北朝鮮の暴挙を厳しく非難するとともに、韓国政府の立場を全面的に支持する旨を伝えた。
意見交換した与党ハンナラ党議員、政府高官、軍高官ともに、韓国哨戒船天安撃沈事案に続き、北朝鮮が延坪島を砲撃したことを軍事的に深刻に受け止めており、また、今後も北朝鮮による突発的な攻撃の可能性を認識しており、島嶼防衛等に重点を置くとともに、在韓国米軍との連携をさらに強めていかなければならないとの認識を持っていた。
また、金正恩氏への権力継承に関しては、総じて国会議員、政府ともに確たる情報を持ち得ておらず、評価は難しいとのことであり、現状は分析を進めているとの事であった。
北朝鮮に最も影響力を持つ中国に関しては、中国にとっての国益を考えた場合、朝鮮半島が統一されることは望ましくなく、現状維持を望んでいるのであろうとの見解が多数示され、我が国としても6カ国協議等を始めとした北朝鮮問題に関する中国との折衝に関しては、日米韓が連携を強めた上で対応していく必要があると考える。
また、韓国の軍事的な危機は、当然日本にも及ぶものであり、今後は韓国とより強固な協力体制の構築、さらには米国を加えた3カ国による連携、軍事的協力の強化が必要であると考える。
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今日、自民党国防部会があった。
テーマは、自由民主党国防訪韓団報告と防衛計画の大綱及び中期防について
12月17日ブログに「防衛計画の大綱及び中期防衛力整備計画について」を書いた。今日、正式に政府から説明を受けたが評価は変わらない。
なお、今日は僕のツイッターで
防衛計画の大綱の「動的防衛力」に転換。しかし、予算が増えず、動くための交通費の計上がない。したがって、実際は「静的防衛力」。
――とつぶやいた。
以下は、自由民主党国防訪韓団報告書(平成22年12月21日)である。
1 目 的
本年3月に発生した北朝鮮による韓国哨戒船天安撃沈事案に続き、11月に北朝鮮が延坪島を砲撃したことにより、朝鮮半島を始め東アジア情勢が極めて不安定な状態となっている。この地域の平和と安定の為には、日米韓の緊密な連携が必要不可欠となる。
そこで、我が党は、韓国与党のハンナラ党国会議員、政府高官、軍高官との意見交換を行い、朝鮮半島の軍事情勢を正確に把握することで、我が党の安全保障政策に資すること、また韓国国会議員、政府高官等との関係を強化することを目的とする、訪韓団を派遣した。
2 団編成
団長 岩屋 毅 国防部会長(シャドウ・キャビネット防衛大臣)
中谷 元 衆議院議員
今津 寛 衆議院議員
随行 松本好史 党本部政務調査会職員
3 日 程
平成22年12月13日(月)~12月15日(水)
12月13日 田麗玉(チョン・ヨオク)国土海洋委員会委員(日韓議員連盟安保・外交委員会幹事長代理)
12月14日 金在信(キム・ジェシン)外交通商部次官補
章光一(チャン・グァンイル)国防部国防政策室長
金章洙(キム・ジャンス)国防委員会委員
鄭柄国(チョン・ビョングック)放送通信常任委員長(日韓議員連盟安保・外交委員長)
12月15日 白善助ア(ペク・ソニョプ)将軍
戦争記念館視察
4 視察地
大韓民国ソウル特別市
5 意見交換
1)田麗玉(チョン・ヨオク)国土海洋委員会委員(日韓議員連盟安保・外交委員会幹事長代理)
延坪島砲撃の予兆はあったのか、日米韓による合同訓練の可能性、中国・北朝鮮の軍事同盟の強固さについて、金正恩氏への権力継承等について、意見交換を行った。
・前回の韓国哨戒船天安撃沈事案では、北朝鮮による攻撃であるか否か、韓国民の中でも意見の分かれるところがあったが、今回の延坪島砲撃は韓国民一体となり怒りに震えているとの見解を示した。
・延坪島砲撃の予兆については、青瓦台内部ではあったかもしれないが、定かではない。政府への韓国民の批判が高まっているが、対北朝鮮強硬派の新国防長官に交代し状況はよくなるのではないかとの見解を示した。
・日米韓の合同訓練の可能性については、その必要性は認めつつも、過去の不幸な歴史から韓国民の中には抵抗感があること、さらに菅総理の朝鮮半島有事に際しての自衛隊の韓国への派遣については、国内で不信感が根強いとの見解を示した。また、中国と北朝鮮の軍事同盟の強固さについては、もはや以前のような強固な関係ではなくなっているとの見解を示した。
・金正恩氏への権力継承問題については、その若さ、能力の問題等から極めて危険であるとの見解を示した。2年後継承するとの事だが、3~4年の内に北朝鮮内部で大きな危機を迎えるのではないかとの見解を示した。
・北朝鮮では、情報流入により、韓国の方が幸福であるとの認識が広まりつつある。北朝鮮内では、現状のような苦しい状況が続くようであれば、戦争となっても構わないと考える人民が多いであろうとの見解を示した。
○我が方からは、軍事力をはじめ中国の力が増大しており、北朝鮮が中国の後ろ盾により、朝鮮半島情勢が不安定になることは好ましくないとの見解を示し、日韓さらには米国が連携して中国に対応すべきであるとの見解を伝えた。
2)金在信(キム・ジェシン)外交通商部次官補
我が国における外務審議官にあたる金在信外交通商部次官補と、延坪島砲撃に関して国連安保理、ICC(国際刑事裁判所)等に訴えないのか、在韓米軍が反撃する可能性、島嶼防衛の増強について、北朝鮮の核開発について、NLL(北方限界線)に関する韓国・北朝鮮さらには周辺各国の認識、金正恩氏への権力継承について、朝鮮半島統一のシナリオ等について意見交換を行った。
・韓国は北朝鮮に対して、人道的な支援は必要であるとの基本政策をとってきたが、今年に入って2度にわたる暴挙を行った点を深刻に受け止めており、国連やICCにおいて曖昧な声明を出すことで終わらすべきではないとの見解を示した。
・今回の延坪島砲撃を受けて、島嶼防衛において武器の増強等を始め、強化する旨説明を受けた。
・韓国は北朝鮮の核開発に対して、核開発で応じるつもりはなく、北朝鮮の核開発阻止に全力を注ぐ政策を取るとの説明を受けた。
・NLLに関しては、韓国・北朝鮮ともに70年代後半までは平和的に運用してきた。北朝鮮の不合理な要求を受け入れていてはきりがないとの見解を示した。また、中国はNLLに関して正式なコメントは出していないが、中国が介入すべき問題ではないとの見解を示した。
・金正恩氏については、その能力等を含め予測が付かず、分析に時間が必要であるとの見解を示した。
・北朝鮮崩壊による統一のシナリオについては、北朝鮮を経済発展させ南北格差を縮めた上で統一する方法が考えられるとの見解を示した。
・最後に、これまで韓国と日本が成熟した関係を築いてきたのは、自民党の貢献が大きく、外交関係は与野党関係なく良好な交流を続けるべきとの見解を示した。
○我が方からは、韓国政府の対応があまりにも慎重であるとの印象を受けること、国連等に働きかけるべきであるとの考え、さらには中国にも今回の事案に関しては、北朝鮮の擁護に回ることのないよう日米韓連携して対応していくべきである旨伝えた。
また、韓国政府が北朝鮮の核開発に対して核開発で応じないとの姿勢に対し、我が国も全く同じ考えである旨伝えた。
3)章光一(チャン・グァンイル)国防部国防政策室長
我が国における防衛政策局長にあたる章光一国防部国防政策室長と日韓の軍事協力について、延坪島砲撃に対する反撃の成果等について意見交換を行った。
・日韓の軍事協力については、韓米軍事演習における自衛隊のオブザーバー参加、同様に日米軍事演習における韓国軍のオブザーバー参加が実現したことにふれ、今後も軍事協力を強化していくべきであり、その際、秘密保護協定やACSAの締結について検討することも必要ではないかとの見解を示した。
・延坪島砲撃に関して、島の面積等からしてK9自走榴弾砲の配備は少なかったが、半分が機能しなかったとの報道は誤報であるとの説明を受けた。自走榴弾砲6門の内、1門は事前の演習により弾詰まりにより使用できなかったこと、残り5門の内2門は北朝鮮からの砲撃により電気通信機器等が損傷を受けた事により、使用できなかったのが事実である旨説明を受けた。
・韓国軍による対応射撃は一応の成果があったとの見解を示した。また、北朝鮮の司令部に反撃したものではなく、発射地点を狙ったものであるとの説明を受けた。
○我が方からは、合同演習での双方のオブザーバー参加は好ましいことであると同意した上で、韓国の軍事的な危機は日本にとっての危機でもあるとの見解を示し、日韓の軍事協力をさらに進めていくべきであるとの見解を伝えた。
4)金章洙(キム・ジャンス)国防委員会委員
陸軍大将、国防長官を歴任した金章洙議員と、今後の北朝鮮の動向、金正恩氏への権力継承、中国の北朝鮮に対する対応への認識等について意見交換を行った。
・北朝鮮による砲撃に対して韓国軍が反撃することは、経済的にマイナスであると考える国民も多いが、そのような認識は持っておらず、明らかに経済よりも上位に来る問題であるとの見解を示した。北朝鮮の砲撃が今後も続く可能性はあり、その場合しかるべき反撃をすれば、東アジアにおける軍事情勢が不安定になることは十分認識しているが、それよりも韓国民の自尊心の方が重要であるとの見解を示した。
・金正恩氏への権力継承については、過去金正日氏の権力移行時に、1970年代には板門店事件、1980年代には大韓航空機爆破事件が発生した等、予想もできないことを数々引き起こしてきた。北朝鮮は今回の金正恩氏への権力移行時も様々な挑発をしてくると考えているとの見解を示した。
・朝鮮半島有事に際して、自衛隊を韓国に派遣することが検討されているが、まずは他の分野で軍事的な協力を進めるべきであるとの見解を示した。また、韓国領土に自衛隊が入るには協定が必要になってくるが、まだその段階ではないとの見解を示した。しかし、朝鮮半島有事が発生した場合、日米韓で緊密に連携し対応すべきであるとの見解を示した。
・中国は、北朝鮮に関する外交的な制裁に関しては反対をする。統一によって朝鮮半島に強大な国家ができることは中国にとって不利益であり、現状維持を望んでいるであろうとの見解を示した。
○我が方からは、北朝鮮による延坪島砲撃は暴挙であり、韓国政府を強く支持し、我が国としてできることをしっかり検討していく旨伝えた。我が国では、尖閣諸島沖事案や北方領土問題等で、領土、島嶼防衛に関心が高くなっている。東アジアの安定を守るためには、日米韓が一体となって協力していく必要があり、韓国とは竹島等デリケートな問題も抱えているが、大きな目標の為に共に協力していきたい旨伝えた。
5)鄭柄国(チョン・ビョングック)放送通信常任委員長(日韓議員連盟安保・外交委員長)
延坪島砲撃を受けての韓国の対応政策等について、議会で常任委員長の職にある鄭柄国議員と意見交換を行った。
・議員自身が海兵隊出身であり、現在韓国の国会議員に8名の出身者がいる。海兵隊は極めて過酷な訓練に耐え抜いている屈強な軍隊組織であるが、もはや精神論だけで対応できる局面ではないと考えており、西海を中心に、島嶼防衛に関する海兵隊の重点的整備等を国防委員長を中心に進めているとの説明を受けた。
・今回の砲撃で被災者が発生したが、南北対立にあるとはいえ、まさか軍事的衝突は起きないであろうと安堵していた韓国民の意識を大きく変えた事は、唯一得られた利点であるとの見解を示した。
・日韓の連携は極めて重要であるとの考えを示したうえで、今般大きな関心事となっている朝鮮王朝儀軌等に関して韓国民は大きな期待を寄せているとの見解を示した。
○我が方からは、将来的には日本にも機動性のある海兵隊部隊をつくることを検討する必要性があるとの見解を伝えた。また、我が国も尖閣諸島沖事案等を始め島嶼防衛に関して重点的に取り組む必要性があるとの見解を示した。朝鮮王朝儀軌等の引き渡しについては、臨時国会の終盤に政府から突如提示された条約であり、我が党として十分な議論をする時間が全くなかったことを伝えた上で、次期通常国会では十分な審議を行った上でしかるべき対応をしたい旨伝えた。
6)白善助ア(ペク・ソニョプ)将軍
白善助ア予備役陸軍大将と、朝鮮半島情勢等について意見交換を行った。
・金大中、盧武鉉政権により、北朝鮮に対する太陽政策が取られたが、北朝鮮への支援が核開発や兵器の製造に援用され、結果的には今回のような事態に及んでいることから、太陽政策は間違いであったとの見解を示した。
・11月にワシントンで日米韓の外相会談が行われたが、今後も3カ国の緊密な関係は必ず維持していかなければならず、また、東アジアの共産化を防ぐためにも、日米韓の果たすべき役割は大きいとの見解を示した。
・国連軍から韓国軍への指揮権移行が盧武鉉政権で合意されたが、向こう3年間延期されることが決まった。これは、韓国の安全保障を考えた場合、評価できるとの見解を示した。
○我が方からは、日米韓の軍事的な協力関係は極めて重要であるとの見解を示した。また、防衛大学校等への韓国軍の留学生受け入れを始めとした日韓防衛協力に尽力されてきた白善助ア氏に感謝の意を伝えるとともに、今後も日韓防衛交流を様々なレベルで拡充していくべきだとの考えを伝えた。
7)戦争記念館視察
当初予定していた延坪島視察が、当日の強風及び高波によりフェリーが欠航となったことから、殉職した海兵隊員の名が刻まれる戦争記念館の慰霊碑に献花を行った。
また、韓国哨戒船天安撃沈事案での北朝鮮製によると考えられるハングル文字が刻まれた魚雷等を視察した。
6 考 察
今回の延坪島砲撃は、韓国領土によるものであり韓国軍人2名、民間人2名の死者を出しており、今までの軍事的挑発とは意を異にするものである。
訪韓団は、亡くなった方々に対して哀悼の意を伝え、北朝鮮の暴挙を厳しく非難するとともに、韓国政府の立場を全面的に支持する旨を伝えた。
意見交換した与党ハンナラ党議員、政府高官、軍高官ともに、韓国哨戒船天安撃沈事案に続き、北朝鮮が延坪島を砲撃したことを軍事的に深刻に受け止めており、また、今後も北朝鮮による突発的な攻撃の可能性を認識しており、島嶼防衛等に重点を置くとともに、在韓国米軍との連携をさらに強めていかなければならないとの認識を持っていた。
また、金正恩氏への権力継承に関しては、総じて国会議員、政府ともに確たる情報を持ち得ておらず、評価は難しいとのことであり、現状は分析を進めているとの事であった。
北朝鮮に最も影響力を持つ中国に関しては、中国にとっての国益を考えた場合、朝鮮半島が統一されることは望ましくなく、現状維持を望んでいるのであろうとの見解が多数示され、我が国としても6カ国協議等を始めとした北朝鮮問題に関する中国との折衝に関しては、日米韓が連携を強めた上で対応していく必要があると考える。
また、韓国の軍事的な危機は、当然日本にも及ぶものであり、今後は韓国とより強固な協力体制の構築、さらには米国を加えた3カ国による連携、軍事的協力の強化が必要であると考える。
2010年12月20日
政局のカギを握る「小沢問題」の行方(花岡信昭氏)
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年末になって、民主党はごたごたで、税制も予算も官僚任せで、政局ごっこをしている。
これは、菅政権が支持率が20%代となって、小沢氏に強い姿勢を見せれば支持率が回復するとの信念からだろうが。
今日、菅総理が小沢氏に会うというが・・・・。結果はどうなるか。
今後の民主党政局の見通しを、ご存じ政治評論家で拓殖大学大学院教授の花岡信昭氏がメルマガ<<政局のカギを握る「小沢問題」の行方>>を送ってきた。
これを読めば、民主党政局の先行きがわかるので掲載しました。
【日経BPネット連載・時評コラム拙稿「我々の国家はどこに向かっているのか」16日更新分】再掲
*「小沢問題」はどこまで発展するか
今年も押し迫ってきたが、民主党内は「小沢問題」で大揺れだ。野党が攻めまくっていて揺さぶられているのならまだ分かるが、民主党内で「一兵卒」を自認している小沢一郎元代表の国会招致をめぐっての「内輪の争い」だ。
臨時国会が閉幕した後、岡田克也幹事長が小沢氏の国会招致にいやに熱心になったのは、もう一つ理由が分からない。12月12日投開票の茨城県議選に向けてのパフォーマンスかとも見られたのだが、県議選が終わった後も一段とトーンを上げた。
それにしても、茨城県議選は民主党にとって散々な結果に終わった。もともと保守王国ではあったのだが、23人の公認候補を立てて、選挙前と同数の6人しか当選しなかったのだから、メディアは「惨敗」と書きたてた。
これに先立つ千葉県松戸市議選の惨敗に続いて、「民主党」の看板だけでは選挙には勝てないということがいよいよはっきりしてきた。一時の熱狂的な支持は完全に消えたと見ていい。
民主党執行部は菅政権の支持率が20%台の危険水域で推移している理由の一つとして、「小沢問題」を位置付けている。その気持ちは分からないでもない。世論調査では「小沢氏は国会で説明すべきだ」「離党せよ」「議員辞職せよ」といった回答が高率に達している。
岡田幹事長が意欲的に動いているのは、国会の政治倫理審査会への出席を求めてのことだ。小沢氏は「野党が要求しているわけでもないのに」と断固拒否の構えである。
岡田氏が会おうとしても、小沢氏はなかなか応じない。そういう状況が続けば続くほど、民主党はおかしくなったという世間的な見方が強まる。幹事長の要請を「一兵卒」が聞こうしないというのでは、いったい、この党はどうなってしまったのかということになる。
*政治倫理審査会出席ですべて解決するわけではない
岡田幹事長が動いて、小沢氏がすんなり認め、政治倫理審査会への出席が実現したということになれば、それはそれで大きなガス抜き効果になる。
だが、言っておかなくてはならないのは、政治倫理審査会への小沢氏の出席が実現したとしても、小沢氏が強制起訴されようとしている「事実関係」をあっさりと認めることはないということだ。
非公開の場で行われるが、その発言は終了後、審査会メンバーによって明らかにされるのが常だ。攻める側がなんらの材料も持たずに攻めあぐねたあげく、小沢氏にいいようにあしらわれた、といった状況が伝われば、民主党にとっては逆効果になりかねない。
小沢氏は、強制起訴されようとしているのだから、公判に影響を及ぼしかねない問題に関する発言は控える、という態度に出るだろう。かつて、証人喚問に出た実力政治家が「訴追の恐れ」を理由に回答拒否を連発したケースもある。
国会の場で、国会の権威にかけて、小沢氏をめぐる「疑惑」を明らかにし、「国会としての自浄能力」が示されていくのであれば、それはそれで大きな進展なのだろうが、そういう展開になる見通しは、まったくないと断言してもいい。
要は、国会招致も実現させられない民主党の虚弱体質が問われているのである。役員会で一任を受けた岡田幹事長が意気込めば意気込むほど、小沢氏からあっさりといなされるという光景が続けば、これは民主党にとっていいことではない。
*小沢氏への「離党勧告」は危険な賭け
小沢氏に対する「離党勧告」という手もあるが、これもまた危うい側面をはらむ。追い込みすぎて、小沢氏が離党し新党結成という事態を招いたら、民主党分裂だ。
「ついていくのは何人もいない」などという見方はいかにも皮相的で、小沢氏がこの段階で民主党を離れたら、まったく違う政治構造が生まれることになるのだ。
中には、「小沢抜きの民主党」が自民党と大連立を組むという「名案」もあるらしい。大連立となると、相当のダイナミックな政治的腕力が必要で、これを主導できる実力者は民主党にも自民党にも不在といっていい。
小沢氏が仮に新党結成に走る場合は年内ということになる。来年1月1日現在の勢力によって、政党交付金が算定されるからだ。年末は新党結成にはもってこいのシーズンではある。
まあ、そうなる可能性はほとんどないとする見方が大勢である。あり得るとすれば、小沢氏の「単独離党」だ。
離党しておいて、無所属の立場で党内の支持グループを差配する。ときが熟せば、復党して本格的に動く。政治資金がらみのスキャンダルの徹底追及は必要なことなのだが、世間というのは忘れるのも早い。
小沢氏が離党して民主党のさまざまな拘束から離れ、より自由な立場で「遠隔操作」するような構図になれば、いまの民主党執行部にとっては、そのほうがはるかに怖いのではないか。
*国会招致に応じなくてはならない政治的構図をつくれ
小沢氏はさまざまな選択肢を胸に、毎晩のように系列議員との会合を重ね、パーティーなどにも積極的に出ている。来年の元旦には、また私邸で新年会を催すことになっている。今年は菅氏も含め166人が集結したが、さて、どういうことになるか。
改めて指摘しておかなくてはならないのだが、国会招致を実現させるには、小沢氏に国会での説明責任があると迫るだけでは、まったく力にはならない。それは道理や倫理といったものに沿った主張なのだろうが、政治の世界では通用しない。
小沢氏にとって、国会招致に応じることで党の窮地を救うことができるといった「党人としての大義」がなければ、とてもではないが、「さらしもの」にされるだけの国会招致に応じるわけにはいかない。
民主党という政党の若さ、未熟さがそこから浮かんでくる。党を束ねる幹事長がいくら頭を下げて「お願い」しようとしても、あしらわれるだけだ。小沢氏に対し国会招致に応じなくてはならないと思わせる政治的構図をつくり上げなければならない。
自民党はかつて、これをやったのである。自民党全盛の時代に首相経験者も含めた実力者が証人喚問や政治倫理審査会への出席に応じている。出なくてはならないほど追い込まれたという事情もあったにせよ、出席することによって党の立場を救うという名分ができあがったためである。
岡田幹事長の「奮闘」を、自民党など野党側は、そういっては何だが、冷ややかに見つめている。本来は、野党側が小沢氏の国会招致を激しく迫り続けなくてはならない局面だったはずだ。
そうなっていないところにも、なにやらボタンをかけ違えた民主党の現状が透けて見えるようでもある。
*実現可能性が増してきた「大連立」構想
前回9日更新の当コラムで、大連立の必要性を取り上げた。内輪の話になって恐縮だが、このコラムの原稿は更新日の前日出稿である。したがって、7日深夜に書いたのが前回コラムだ。
8日、読売グループ本社の渡邉恒雄会長が自民党本部に谷垣禎一総裁を訪ねた。夜の非公式な会合ならともかく、昼間に党本部を訪問するというのはきわめて異例である。当然、大連立の話が出たことは想像に難くない。前回コラムはこの8日の訪問を知らない段階で書いたのだが、今の政治状況は大連立ないし政界再編を求めているという情勢認識は十分に理解できる。
岡田幹事長が奔走する一方で、小沢氏はいったい何を考えているか。この政治家を長い間、ウオッチしてきて言えることは、常にその目線が一歩も二歩も先を行っているということだ。
これが、「剛腕」「壊し屋」などという風評につながるのだが、ときに周辺も理解が及ばない行動をいきなり取ることがある。やや間があって、なるほどそういうことか、と浸透していくことになる。
福田康夫政権当時の大連立構想では、ほとんどのメディアが反対の論陣を張った。筆者はその当時から「大連立でなければ、この日本は救えない」という思いが強かった。いま、大連立に対するアレルギー反応はだいぶ薄まってきたのではないか。その趣旨がようやく一般の理解を得つつある。
消費税、安全保障、集団的自衛権、領土主権……さらにTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)という厄介なテーマも浮上した。貿易自由化の旗を掲げながらいかに国益を守っていくかという二律背反的な課題であり、まさに政治が総力をあげなくてはならない複雑な側面をはらむ。
小沢氏の国会招致とか菅政権の命運といった内向きの課題をはるかに超え、「日本沈没」にかかわる重大な局面なのではないか。
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年末になって、民主党はごたごたで、税制も予算も官僚任せで、政局ごっこをしている。
これは、菅政権が支持率が20%代となって、小沢氏に強い姿勢を見せれば支持率が回復するとの信念からだろうが。
今日、菅総理が小沢氏に会うというが・・・・。結果はどうなるか。
今後の民主党政局の見通しを、ご存じ政治評論家で拓殖大学大学院教授の花岡信昭氏がメルマガ<<政局のカギを握る「小沢問題」の行方>>を送ってきた。
これを読めば、民主党政局の先行きがわかるので掲載しました。
【日経BPネット連載・時評コラム拙稿「我々の国家はどこに向かっているのか」16日更新分】再掲
*「小沢問題」はどこまで発展するか
今年も押し迫ってきたが、民主党内は「小沢問題」で大揺れだ。野党が攻めまくっていて揺さぶられているのならまだ分かるが、民主党内で「一兵卒」を自認している小沢一郎元代表の国会招致をめぐっての「内輪の争い」だ。
臨時国会が閉幕した後、岡田克也幹事長が小沢氏の国会招致にいやに熱心になったのは、もう一つ理由が分からない。12月12日投開票の茨城県議選に向けてのパフォーマンスかとも見られたのだが、県議選が終わった後も一段とトーンを上げた。
それにしても、茨城県議選は民主党にとって散々な結果に終わった。もともと保守王国ではあったのだが、23人の公認候補を立てて、選挙前と同数の6人しか当選しなかったのだから、メディアは「惨敗」と書きたてた。
これに先立つ千葉県松戸市議選の惨敗に続いて、「民主党」の看板だけでは選挙には勝てないということがいよいよはっきりしてきた。一時の熱狂的な支持は完全に消えたと見ていい。
民主党執行部は菅政権の支持率が20%台の危険水域で推移している理由の一つとして、「小沢問題」を位置付けている。その気持ちは分からないでもない。世論調査では「小沢氏は国会で説明すべきだ」「離党せよ」「議員辞職せよ」といった回答が高率に達している。
岡田幹事長が意欲的に動いているのは、国会の政治倫理審査会への出席を求めてのことだ。小沢氏は「野党が要求しているわけでもないのに」と断固拒否の構えである。
岡田氏が会おうとしても、小沢氏はなかなか応じない。そういう状況が続けば続くほど、民主党はおかしくなったという世間的な見方が強まる。幹事長の要請を「一兵卒」が聞こうしないというのでは、いったい、この党はどうなってしまったのかということになる。
*政治倫理審査会出席ですべて解決するわけではない
岡田幹事長が動いて、小沢氏がすんなり認め、政治倫理審査会への出席が実現したということになれば、それはそれで大きなガス抜き効果になる。
だが、言っておかなくてはならないのは、政治倫理審査会への小沢氏の出席が実現したとしても、小沢氏が強制起訴されようとしている「事実関係」をあっさりと認めることはないということだ。
非公開の場で行われるが、その発言は終了後、審査会メンバーによって明らかにされるのが常だ。攻める側がなんらの材料も持たずに攻めあぐねたあげく、小沢氏にいいようにあしらわれた、といった状況が伝われば、民主党にとっては逆効果になりかねない。
小沢氏は、強制起訴されようとしているのだから、公判に影響を及ぼしかねない問題に関する発言は控える、という態度に出るだろう。かつて、証人喚問に出た実力政治家が「訴追の恐れ」を理由に回答拒否を連発したケースもある。
国会の場で、国会の権威にかけて、小沢氏をめぐる「疑惑」を明らかにし、「国会としての自浄能力」が示されていくのであれば、それはそれで大きな進展なのだろうが、そういう展開になる見通しは、まったくないと断言してもいい。
要は、国会招致も実現させられない民主党の虚弱体質が問われているのである。役員会で一任を受けた岡田幹事長が意気込めば意気込むほど、小沢氏からあっさりといなされるという光景が続けば、これは民主党にとっていいことではない。
*小沢氏への「離党勧告」は危険な賭け
小沢氏に対する「離党勧告」という手もあるが、これもまた危うい側面をはらむ。追い込みすぎて、小沢氏が離党し新党結成という事態を招いたら、民主党分裂だ。
「ついていくのは何人もいない」などという見方はいかにも皮相的で、小沢氏がこの段階で民主党を離れたら、まったく違う政治構造が生まれることになるのだ。
中には、「小沢抜きの民主党」が自民党と大連立を組むという「名案」もあるらしい。大連立となると、相当のダイナミックな政治的腕力が必要で、これを主導できる実力者は民主党にも自民党にも不在といっていい。
小沢氏が仮に新党結成に走る場合は年内ということになる。来年1月1日現在の勢力によって、政党交付金が算定されるからだ。年末は新党結成にはもってこいのシーズンではある。
まあ、そうなる可能性はほとんどないとする見方が大勢である。あり得るとすれば、小沢氏の「単独離党」だ。
離党しておいて、無所属の立場で党内の支持グループを差配する。ときが熟せば、復党して本格的に動く。政治資金がらみのスキャンダルの徹底追及は必要なことなのだが、世間というのは忘れるのも早い。
小沢氏が離党して民主党のさまざまな拘束から離れ、より自由な立場で「遠隔操作」するような構図になれば、いまの民主党執行部にとっては、そのほうがはるかに怖いのではないか。
*国会招致に応じなくてはならない政治的構図をつくれ
小沢氏はさまざまな選択肢を胸に、毎晩のように系列議員との会合を重ね、パーティーなどにも積極的に出ている。来年の元旦には、また私邸で新年会を催すことになっている。今年は菅氏も含め166人が集結したが、さて、どういうことになるか。
改めて指摘しておかなくてはならないのだが、国会招致を実現させるには、小沢氏に国会での説明責任があると迫るだけでは、まったく力にはならない。それは道理や倫理といったものに沿った主張なのだろうが、政治の世界では通用しない。
小沢氏にとって、国会招致に応じることで党の窮地を救うことができるといった「党人としての大義」がなければ、とてもではないが、「さらしもの」にされるだけの国会招致に応じるわけにはいかない。
民主党という政党の若さ、未熟さがそこから浮かんでくる。党を束ねる幹事長がいくら頭を下げて「お願い」しようとしても、あしらわれるだけだ。小沢氏に対し国会招致に応じなくてはならないと思わせる政治的構図をつくり上げなければならない。
自民党はかつて、これをやったのである。自民党全盛の時代に首相経験者も含めた実力者が証人喚問や政治倫理審査会への出席に応じている。出なくてはならないほど追い込まれたという事情もあったにせよ、出席することによって党の立場を救うという名分ができあがったためである。
岡田幹事長の「奮闘」を、自民党など野党側は、そういっては何だが、冷ややかに見つめている。本来は、野党側が小沢氏の国会招致を激しく迫り続けなくてはならない局面だったはずだ。
そうなっていないところにも、なにやらボタンをかけ違えた民主党の現状が透けて見えるようでもある。
*実現可能性が増してきた「大連立」構想
前回9日更新の当コラムで、大連立の必要性を取り上げた。内輪の話になって恐縮だが、このコラムの原稿は更新日の前日出稿である。したがって、7日深夜に書いたのが前回コラムだ。
8日、読売グループ本社の渡邉恒雄会長が自民党本部に谷垣禎一総裁を訪ねた。夜の非公式な会合ならともかく、昼間に党本部を訪問するというのはきわめて異例である。当然、大連立の話が出たことは想像に難くない。前回コラムはこの8日の訪問を知らない段階で書いたのだが、今の政治状況は大連立ないし政界再編を求めているという情勢認識は十分に理解できる。
岡田幹事長が奔走する一方で、小沢氏はいったい何を考えているか。この政治家を長い間、ウオッチしてきて言えることは、常にその目線が一歩も二歩も先を行っているということだ。
これが、「剛腕」「壊し屋」などという風評につながるのだが、ときに周辺も理解が及ばない行動をいきなり取ることがある。やや間があって、なるほどそういうことか、と浸透していくことになる。
福田康夫政権当時の大連立構想では、ほとんどのメディアが反対の論陣を張った。筆者はその当時から「大連立でなければ、この日本は救えない」という思いが強かった。いま、大連立に対するアレルギー反応はだいぶ薄まってきたのではないか。その趣旨がようやく一般の理解を得つつある。
消費税、安全保障、集団的自衛権、領土主権……さらにTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)という厄介なテーマも浮上した。貿易自由化の旗を掲げながらいかに国益を守っていくかという二律背反的な課題であり、まさに政治が総力をあげなくてはならない複雑な側面をはらむ。
小沢氏の国会招致とか菅政権の命運といった内向きの課題をはるかに超え、「日本沈没」にかかわる重大な局面なのではないか。
2010年12月17日
来年度予算と税制に関する自民党の基本方針 (その1)
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安心・安全の日本復活 “民主党不況” からの脱却
― 来年度予算と税制に関するわが党の基本方針 ―
平成22年12月17日
自 由 民 主 党
Ⅰ.予算と税制に関するわが党の基本的考え方
自由民主党が目指す国家像は、綱領に示す通り、努力するものが報われるとの原則の下で、長寿少子抄化時代にあっても温かく生き甲斐のある活力あふれる日本である。
そのためにも、「自助」「共助」「公助」を適正に組み合わせ、温かい社会を築き直さなければならない。一部の人が形成する政府の独断で、一部の人を優遇する子ども手当等に見られる民主党のバラマキ政策は採るべきではなく、全ての人に公正な政策や条件づくりなどに努めることがわが党の目指すべき政府の姿である。わが国が直面する内外の諸課題を克服するためには、政策の戦略的かつ機動的な展開が必要であり、国の予算及び税制を包括する財政が、これを実現する不可欠な手段である。
中国の故事に「入るを量りて、以て出ずるを為す」とある通り、政策実行にはまず必要な財源を確保しなければならない。しかるに、票目当てのために恒久財源のない恒久政策をマニフェストで約束した民主党は今、ブーメランのようにその財源あさりに苦しみ、徒に国政を混乱させ、将来に借金を残す結果となっている。その政策に期待した国民を大きく失望させてもいる。
近年の財政状況の危機的な悪化により、社会保障をはじめ、安全保障、国際競争力強化、人材育成、地域格差の是正等、あらゆる面で財政の対応力が著しく減退し、根本的な解決へ向けた果断な政策を実行できない状況に陥り、小手先の政策に終始している。
わが党は、過去の反省に立ち、この局面を乗り越えるため、社会保障の充実と財政健全化、そのために不可欠な消費税を含む税制抜本改革を逃げずに国政選挙で国民に約束し、国会論戦等を通じ訴えてきた。先の国会で「財政健全化責任法(案)」を提出し、国会の意思として来年度を財政健全化“元年”と位置付けたいと考えている。
急速に進む少子高齢化の中、もはや借金頼みは限界にきており、「財政健全化責任法」の成立を担保として一時的に借金を増やしたとしても、目先にとらわれることなく、時間軸の中で財政再建を成し遂げるには、財政の対応力を回復させる必要がある。消費税を含む税制抜本改革を速やかに実施することは、安心で豊かな福祉社会及び公正で活力ある社会の実現へ向けて、避けて通れぬ道である。
一方で、当面の経済を囜復させ、日本経済を再び成長経路に乗せることが、この危機を打開する大切な一歩である。そのためにも、来年度予算は、経済成長に即効性と持続性を持たせる内容とすべきであり、景気囜復の効果が乏しいものや経済成長を阻害したりするものは予算に計上してはならない。
わが党は、以上のような基本的な考え方を踏まえ、以下に来年度予算及び税制に対するわが党の基本方針を国民にお示ししたいと考える。 なお、民主党政権の予算案が具体的に示された時点で、内容を精査し、「わが党ならこうする」という歳出の内容を改めてお示しし、国民の御理解を得たいと考えている。
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安心・安全の日本復活 “民主党不況” からの脱却
― 来年度予算と税制に関するわが党の基本方針 ―
平成22年12月17日
自 由 民 主 党
Ⅰ.予算と税制に関するわが党の基本的考え方
自由民主党が目指す国家像は、綱領に示す通り、努力するものが報われるとの原則の下で、長寿少子抄化時代にあっても温かく生き甲斐のある活力あふれる日本である。
そのためにも、「自助」「共助」「公助」を適正に組み合わせ、温かい社会を築き直さなければならない。一部の人が形成する政府の独断で、一部の人を優遇する子ども手当等に見られる民主党のバラマキ政策は採るべきではなく、全ての人に公正な政策や条件づくりなどに努めることがわが党の目指すべき政府の姿である。わが国が直面する内外の諸課題を克服するためには、政策の戦略的かつ機動的な展開が必要であり、国の予算及び税制を包括する財政が、これを実現する不可欠な手段である。
中国の故事に「入るを量りて、以て出ずるを為す」とある通り、政策実行にはまず必要な財源を確保しなければならない。しかるに、票目当てのために恒久財源のない恒久政策をマニフェストで約束した民主党は今、ブーメランのようにその財源あさりに苦しみ、徒に国政を混乱させ、将来に借金を残す結果となっている。その政策に期待した国民を大きく失望させてもいる。
近年の財政状況の危機的な悪化により、社会保障をはじめ、安全保障、国際競争力強化、人材育成、地域格差の是正等、あらゆる面で財政の対応力が著しく減退し、根本的な解決へ向けた果断な政策を実行できない状況に陥り、小手先の政策に終始している。
わが党は、過去の反省に立ち、この局面を乗り越えるため、社会保障の充実と財政健全化、そのために不可欠な消費税を含む税制抜本改革を逃げずに国政選挙で国民に約束し、国会論戦等を通じ訴えてきた。先の国会で「財政健全化責任法(案)」を提出し、国会の意思として来年度を財政健全化“元年”と位置付けたいと考えている。
急速に進む少子高齢化の中、もはや借金頼みは限界にきており、「財政健全化責任法」の成立を担保として一時的に借金を増やしたとしても、目先にとらわれることなく、時間軸の中で財政再建を成し遂げるには、財政の対応力を回復させる必要がある。消費税を含む税制抜本改革を速やかに実施することは、安心で豊かな福祉社会及び公正で活力ある社会の実現へ向けて、避けて通れぬ道である。
一方で、当面の経済を囜復させ、日本経済を再び成長経路に乗せることが、この危機を打開する大切な一歩である。そのためにも、来年度予算は、経済成長に即効性と持続性を持たせる内容とすべきであり、景気囜復の効果が乏しいものや経済成長を阻害したりするものは予算に計上してはならない。
わが党は、以上のような基本的な考え方を踏まえ、以下に来年度予算及び税制に対するわが党の基本方針を国民にお示ししたいと考える。 なお、民主党政権の予算案が具体的に示された時点で、内容を精査し、「わが党ならこうする」という歳出の内容を改めてお示しし、国民の御理解を得たいと考えている。
来年度予算と税制に関する自民党の基本方針(その2)
Ⅱ.来年度予算 自民党と民主党の基本的な違い
平成23年度予算で目指すべき課題(自民党の考え方)
① 「経済成長」の第一歩
(日本経済を引っ張る研究開発等を明確にし、予算と税制で集中的に支援する)
② 「雇用創出」の第一歩
(経済成長の実現によって、日本経済全体を底上げし、新たな雇用の場を創出)
③ 「地域経済再生」の第一歩
(緊急的な即効性ある有効需要創出としての公共投資で経済を下支え)
④ 「安心できる社会保障再構築」の第一歩
(国民が将来の心配なく、未来へ進むために)
⑤ 「財政健全化」の第一歩
(「財政健全化責任法」により健全化“元年”)
(1)≪わが党の考え方≫
わが党としては、「経済と財政に関する自民党の考え方」(平成22年2月16日)、先に提出した「財政健全化責任法」の考え方に基づき、『公債金収入が歳出の半分を超えない』『本予算は恒久財源、景気対策等の補正予算は一時的財源』『新たに予算を伴う施策を実施する際に、原則として経費を上回る財源を安定的に確保』『5年間で借金の金利返済以外の支出に充てる国債発行額(基礎的財政収支)対GDP比を平成22年度から半減、今後10年以内に黒字化』との考え方を徹底し、財源なきバラマキ施策を撤回し、真に必要な予算を計上すべきと考える。
経済成長のため、金融政策、税・財政政策、成長戦略など、あらゆる政策を総動員し、将来の経済構造を見据えた民需刺激策によりGDPギャップ解消を進める。
そのため、予算編成にあたっては、政治主導で分野別総枠を設定するとともに、公務員人件費の削減、不断の無駄撲滅等により『重点枠』を設け、3つの重点分野(安心強化、雇用防衛、成長投資)に絞って意欲的な取り組みを行い、政治的メリハリを効かせる。
(2)≪民主党政権による予算編成の問題点≫
1 民主党マニフェストの虚構とそれに基づく予算編成の危うさ
民主党は「ムダを省けば財源の16.8兆円が捻出可能」と四年間の各年度ごとの支出を約束し、大々的に行った第一弾・第二弾の“事業仕分け”は、当初見込みには遥かに及ばない6,900億円の削減にとどまり、見通しの甘さ、政権担当能力の欠如を露呈する結果となった。さらに、第三弾の事業仕分けでは、大臣間で今囜の事業仕分けそのものに対する位置付けがバラバラで、最終的に削減した数字を明確に示すことすら不可能となっている。
このように民主党は、「予算の組み替えで財源捻出」という主張がデタラメであったことが明らかになったにもかかわらず、平成23年度予算に関わる民主党「提言」の基本方針で、未だにマニフェストに拘泥している。
平成23年度予算で目指すべき課題(自民党の考え方)
① 「経済成長」の第一歩
(日本経済を引っ張る研究開発等を明確にし、予算と税制で集中的に支援する)
② 「雇用創出」の第一歩
(経済成長の実現によって、日本経済全体を底上げし、新たな雇用の場を創出)
③ 「地域経済再生」の第一歩
(緊急的な即効性ある有効需要創出としての公共投資で経済を下支え)
④ 「安心できる社会保障再構築」の第一歩
(国民が将来の心配なく、未来へ進むために)
⑤ 「財政健全化」の第一歩
(「財政健全化責任法」により健全化“元年”)
(1)≪わが党の考え方≫
わが党としては、「経済と財政に関する自民党の考え方」(平成22年2月16日)、先に提出した「財政健全化責任法」の考え方に基づき、『公債金収入が歳出の半分を超えない』『本予算は恒久財源、景気対策等の補正予算は一時的財源』『新たに予算を伴う施策を実施する際に、原則として経費を上回る財源を安定的に確保』『5年間で借金の金利返済以外の支出に充てる国債発行額(基礎的財政収支)対GDP比を平成22年度から半減、今後10年以内に黒字化』との考え方を徹底し、財源なきバラマキ施策を撤回し、真に必要な予算を計上すべきと考える。
経済成長のため、金融政策、税・財政政策、成長戦略など、あらゆる政策を総動員し、将来の経済構造を見据えた民需刺激策によりGDPギャップ解消を進める。
そのため、予算編成にあたっては、政治主導で分野別総枠を設定するとともに、公務員人件費の削減、不断の無駄撲滅等により『重点枠』を設け、3つの重点分野(安心強化、雇用防衛、成長投資)に絞って意欲的な取り組みを行い、政治的メリハリを効かせる。
(2)≪民主党政権による予算編成の問題点≫
1 民主党マニフェストの虚構とそれに基づく予算編成の危うさ
民主党は「ムダを省けば財源の16.8兆円が捻出可能」と四年間の各年度ごとの支出を約束し、大々的に行った第一弾・第二弾の“事業仕分け”は、当初見込みには遥かに及ばない6,900億円の削減にとどまり、見通しの甘さ、政権担当能力の欠如を露呈する結果となった。さらに、第三弾の事業仕分けでは、大臣間で今囜の事業仕分けそのものに対する位置付けがバラバラで、最終的に削減した数字を明確に示すことすら不可能となっている。
このように民主党は、「予算の組み替えで財源捻出」という主張がデタラメであったことが明らかになったにもかかわらず、平成23年度予算に関わる民主党「提言」の基本方針で、未だにマニフェストに拘泥している。
来年度予算と税制に関する自民党の基本方針(その3)
2 バラマキ4K施策(子ども手当、高速道路無料化、農家の戸別所得補償、高校授業料無償化)の撤回
冒頭の基本的考え方で述べたように、財源なきバラマキ政策は財政悪化による国債発行により、将来の納税者である子供達の汗の結晶の使用選択権を奪うだけでなく、国民の努力しようという気持ちを失わせる。現在、そして将来に対して責任を持つ立場からは、将来に責任ある政策でなく、現在の有権者への現金給付であるこれらバラマキ4K政策は一刻も早く撤回しなければならないと考える。
特に、「財政的児童虐待」との指摘もあるように、子ども手当の財源については、「控除から手当へ」の考え方の下、配偶者控除や扶養控除を充てるとしているが、まさに、自助よりも公助を優先する社会主義的な発想と言わざるを徔ない。さらに、負担増を避けたいというポピュリズム的発想の中で、その不十分な財源すら確保できないことが予算編成の迷走の一因となっている。「努力するものが報われる」との基本的考え方からすれば、控除は残し、給付は真に必要な人に限定すべきである。
3 基礎年金の国庫負担について
基礎年金の国庫負担について、財源が捻出できないことを理由に一時36.5%への引下げという案も検討された。民主党は最低保障年金なるものに年金を一元化するという政策を掲げているが、未だに具体的な制度設計を示しておらず、その一方でこのような迷走は、国民の年金制度への不安・不信を増幅させかねない。国会が議決した税法の附則に従って、消費税の引き上げを含む税制抜本改革を速やかに実施し、安定財源を確保すること以外、根本的な解決はないが、「財政健全化責任法」の成立を担保として一時的に借金を増やしたとしても国庫負担割合は堅持すべきとわが党は考える。バラマキをやめれば財源は出てくるのである。
さらに、国庫負担50%を維持するのに必要な約2.5兆円等の一般財源に充てるため、国土交通省所管の独立行政法人「鉄道建設・運輸施設整備支援機構」の剰余金の1兆円超を活用する案も検討しているようだが、この剰余金は恒久財源でなく、2分の1への引き上げ財源には不適当である。この剰余金は、その性格や淵源に鑑み、
(1)鉄道機能の活性化(整備新幹線の整備[延伸]や並行在来線の支援、JR三島会社及びJR貨物の経営支援)や
(2)政府が承継した日本国有鉄道清算事業回の債務を償還するためのものとして国債整理基金特別会計への納付に、その使途を限定する議員立法をわが党は国会に提出している。
4 “国を守る観点”の重要性
領土を守り、そこに住む人の生命と財産を守り、国民の意思により国のあり方を決める主権を守ることは、政治の最大の役割である。この目的のため、安全保障をどの国も政治の根本に据えている。
最近の東シナ海における中国海軍の活動の活発化、北朝鮮軍の韓国砲撃など、わが国周辺の安全保障環境は、不安定さが俄然増している。国防は、まず自らの手で自らの国を守る姿勢を明確にすることが重要である。そのためには、わが国の防衛予算の縮減傾向に歯止めをかけ、多様化する任務に対応する人員を確保しなければならない。しかし民主党政権は、新たに策定する「防衛計画の大綱」において、陸上自衛隊の定員を1000名削減し、装備の削減も検討が為されており、中期防では、防衛予算の縮減も予想される。加えて、武器輸出三原則の見直しは社民党との関係を優先するあまり、実現のメドすら立っていない。
これでは、わが国の防衛力の強化につながる予算や生産・技術・教育等の基盤の維持すらも困難となり、自衛官の士気も衰える。防衛予算の削減に歯止めをかけることはわが党の基本的考えである。
冒頭の基本的考え方で述べたように、財源なきバラマキ政策は財政悪化による国債発行により、将来の納税者である子供達の汗の結晶の使用選択権を奪うだけでなく、国民の努力しようという気持ちを失わせる。現在、そして将来に対して責任を持つ立場からは、将来に責任ある政策でなく、現在の有権者への現金給付であるこれらバラマキ4K政策は一刻も早く撤回しなければならないと考える。
特に、「財政的児童虐待」との指摘もあるように、子ども手当の財源については、「控除から手当へ」の考え方の下、配偶者控除や扶養控除を充てるとしているが、まさに、自助よりも公助を優先する社会主義的な発想と言わざるを徔ない。さらに、負担増を避けたいというポピュリズム的発想の中で、その不十分な財源すら確保できないことが予算編成の迷走の一因となっている。「努力するものが報われる」との基本的考え方からすれば、控除は残し、給付は真に必要な人に限定すべきである。
3 基礎年金の国庫負担について
基礎年金の国庫負担について、財源が捻出できないことを理由に一時36.5%への引下げという案も検討された。民主党は最低保障年金なるものに年金を一元化するという政策を掲げているが、未だに具体的な制度設計を示しておらず、その一方でこのような迷走は、国民の年金制度への不安・不信を増幅させかねない。国会が議決した税法の附則に従って、消費税の引き上げを含む税制抜本改革を速やかに実施し、安定財源を確保すること以外、根本的な解決はないが、「財政健全化責任法」の成立を担保として一時的に借金を増やしたとしても国庫負担割合は堅持すべきとわが党は考える。バラマキをやめれば財源は出てくるのである。
さらに、国庫負担50%を維持するのに必要な約2.5兆円等の一般財源に充てるため、国土交通省所管の独立行政法人「鉄道建設・運輸施設整備支援機構」の剰余金の1兆円超を活用する案も検討しているようだが、この剰余金は恒久財源でなく、2分の1への引き上げ財源には不適当である。この剰余金は、その性格や淵源に鑑み、
(1)鉄道機能の活性化(整備新幹線の整備[延伸]や並行在来線の支援、JR三島会社及びJR貨物の経営支援)や
(2)政府が承継した日本国有鉄道清算事業回の債務を償還するためのものとして国債整理基金特別会計への納付に、その使途を限定する議員立法をわが党は国会に提出している。
4 “国を守る観点”の重要性
領土を守り、そこに住む人の生命と財産を守り、国民の意思により国のあり方を決める主権を守ることは、政治の最大の役割である。この目的のため、安全保障をどの国も政治の根本に据えている。
最近の東シナ海における中国海軍の活動の活発化、北朝鮮軍の韓国砲撃など、わが国周辺の安全保障環境は、不安定さが俄然増している。国防は、まず自らの手で自らの国を守る姿勢を明確にすることが重要である。そのためには、わが国の防衛予算の縮減傾向に歯止めをかけ、多様化する任務に対応する人員を確保しなければならない。しかし民主党政権は、新たに策定する「防衛計画の大綱」において、陸上自衛隊の定員を1000名削減し、装備の削減も検討が為されており、中期防では、防衛予算の縮減も予想される。加えて、武器輸出三原則の見直しは社民党との関係を優先するあまり、実現のメドすら立っていない。
これでは、わが国の防衛力の強化につながる予算や生産・技術・教育等の基盤の維持すらも困難となり、自衛官の士気も衰える。防衛予算の削減に歯止めをかけることはわが党の基本的考えである。
来年度予算と税制に関する自民党の基本方針(その4)
5 雇用空洞化(アンチビジネス)政策の転換
景気回復・雇用情勢の改善には、経済の健全で持続的成長が必要である。そのための環境を整えるのが政府の役割である。
国内議論のないまま示された地球温暖化ガスの1990年比25%削減という突出した数値目標、製造業への派遣禁止、最低賃金の拙速な引き上げなど、民主党政権による企業の活動意欲を失わせる雇用空洞化(アンチビジネス)政策については、早急に撤回することはわが党の方針であり、これこそ一番の景気回復・雇用情勢の改善策である。
6 地域への配慮
雇用空洞化推進政策によって、地域経済は深刻な打撃を受けている。地方では大企業の撤退や中小企業の倒産が相次ぎ、雇用環境の悪化に歯止めがかかっていない。地域経済と雇用を守るため、地方公共回体が経済活性化や雇用創出に活用できる交付金を速やかに実施すべきとわが党は考える。加えて、厳しさを増す地方財政の現状を踏まえつつ、必要な地方交付税を確保するとともに、麻生内閣が導入した別枠加算を継続しなければならない。
民主党政権が来年度からの導入を目指している「一括交付金」は、その配分方法等に関する制度設計が不透明で、拙速な導入には反対である。また、バラマキ4K施策の財源を捻出するため、一括交付金化に伴い補助金総額を大幅に削減することは、マニフェスト政策の負担を地方に押し付けることに他ならず、わが党は反対である。
国民の安全と安心を守る社会資本を整備する手段である公共事業関係費について、平成22年度は前年度比マイナス18%となるなど、民主党政権下で言語道断な無計画な削減が「コンクリートから人へ」の考えによって行われた。わが党は、「コンクリートも人も」大切にし、将来の経済成長の芽となる内需拡大基盤づくりや地方における雇用の維持・創出なども念頭に、学校・住宅・公共施設等の耐震化や八ツ場ダム等の治水、道路事業などを積極的に進める。
戸別所得補償制度の導入に伴い、土地改良事業費のほか、地域の自主性を活かすことができる「強い農業づくり交付金」や「産地づくり交付金」が廃止・縮小されたが、米価の予想された下落等、戸別所得補償制度が農家の存立には役に立たないことが明らかになった。わが党は、これらの廃止・縮減された予算の速やかな復元に努めるとともに、農業農村が果たしている多面的機能を評価した「日本型直接支払い」の地域政策と、人や経営に着目した「担い手総合支援」の産業政策に全力で取り組む。
Ⅲ.政府税制改正大綱の問題点について
わが党は、去る12月10日に「税制改正についての基本的考え方」をまとめた。そこにおいて、一昨年末わが党が決定した消費税を含む税制抜本改革を最優先課題とし、来年度の税制改正は、緊急性の極めて高いものについての改正にとどめるべきであるとした。
しかし、平成23年度政府税制改正大綱に見られるように、民主党政権による税制改正作業は、理念なきバラマキ政策のための財源あさりに終始している。また、現下の厳しい経済の状況を改善させる意気込みを感じることは全くできない。法人税率の引き下げのための「研究開発税制の大幅縮減」「減価償却の大幅圧縮」「相続税の大幅増税」の他、「石油石炭税の増税」など極めて増税色の強い中身となっており、日本経済の活性化、国民生活の向上に資する税制改正とは程遠いものであると指摘せざるを得ない。まさに、わが党が主張する税制抜本改革を避けているためにそうなっている。
景気回復・雇用情勢の改善には、経済の健全で持続的成長が必要である。そのための環境を整えるのが政府の役割である。
国内議論のないまま示された地球温暖化ガスの1990年比25%削減という突出した数値目標、製造業への派遣禁止、最低賃金の拙速な引き上げなど、民主党政権による企業の活動意欲を失わせる雇用空洞化(アンチビジネス)政策については、早急に撤回することはわが党の方針であり、これこそ一番の景気回復・雇用情勢の改善策である。
6 地域への配慮
雇用空洞化推進政策によって、地域経済は深刻な打撃を受けている。地方では大企業の撤退や中小企業の倒産が相次ぎ、雇用環境の悪化に歯止めがかかっていない。地域経済と雇用を守るため、地方公共回体が経済活性化や雇用創出に活用できる交付金を速やかに実施すべきとわが党は考える。加えて、厳しさを増す地方財政の現状を踏まえつつ、必要な地方交付税を確保するとともに、麻生内閣が導入した別枠加算を継続しなければならない。
民主党政権が来年度からの導入を目指している「一括交付金」は、その配分方法等に関する制度設計が不透明で、拙速な導入には反対である。また、バラマキ4K施策の財源を捻出するため、一括交付金化に伴い補助金総額を大幅に削減することは、マニフェスト政策の負担を地方に押し付けることに他ならず、わが党は反対である。
国民の安全と安心を守る社会資本を整備する手段である公共事業関係費について、平成22年度は前年度比マイナス18%となるなど、民主党政権下で言語道断な無計画な削減が「コンクリートから人へ」の考えによって行われた。わが党は、「コンクリートも人も」大切にし、将来の経済成長の芽となる内需拡大基盤づくりや地方における雇用の維持・創出なども念頭に、学校・住宅・公共施設等の耐震化や八ツ場ダム等の治水、道路事業などを積極的に進める。
戸別所得補償制度の導入に伴い、土地改良事業費のほか、地域の自主性を活かすことができる「強い農業づくり交付金」や「産地づくり交付金」が廃止・縮小されたが、米価の予想された下落等、戸別所得補償制度が農家の存立には役に立たないことが明らかになった。わが党は、これらの廃止・縮減された予算の速やかな復元に努めるとともに、農業農村が果たしている多面的機能を評価した「日本型直接支払い」の地域政策と、人や経営に着目した「担い手総合支援」の産業政策に全力で取り組む。
Ⅲ.政府税制改正大綱の問題点について
わが党は、去る12月10日に「税制改正についての基本的考え方」をまとめた。そこにおいて、一昨年末わが党が決定した消費税を含む税制抜本改革を最優先課題とし、来年度の税制改正は、緊急性の極めて高いものについての改正にとどめるべきであるとした。
しかし、平成23年度政府税制改正大綱に見られるように、民主党政権による税制改正作業は、理念なきバラマキ政策のための財源あさりに終始している。また、現下の厳しい経済の状況を改善させる意気込みを感じることは全くできない。法人税率の引き下げのための「研究開発税制の大幅縮減」「減価償却の大幅圧縮」「相続税の大幅増税」の他、「石油石炭税の増税」など極めて増税色の強い中身となっており、日本経済の活性化、国民生活の向上に資する税制改正とは程遠いものであると指摘せざるを得ない。まさに、わが党が主張する税制抜本改革を避けているためにそうなっている。