2009年11月
2009年11月30日
民主政権は小心者の集まり
論語の研究者でもある立命館大教授・加地伸行氏が、産経新聞(11月29日)の【古典個展】の「民主政権は小心者の集まり」で、「鳩山首相は、他者のせいにして、何の新政策も示しえないのでは、国民はたまったものではない」と批判しています。
以下、掲載します。
政府の行政刷新会議による事業仕分けの様子がテレビに何度か放映された。会議はインターネットに公開されており、会場での傍聴も自由とのこと。となると、いかにも民主主義的に話しあい、公明正大であるかのように見える。
しかし、その質疑応答の様子をテレビニュースを通じて見ていると、約40年前の全国の大学紛争を思い出すのであった。当時、私は名古屋大学助教授として勤務していた。
元はと言えば、共産党系の学生集団と反共産党(新左翼)系の学生集団との紛争であり両者は敵対していたが、共通の敵は大学当局(実質は教授会)であった。そこで学生らは大衆団交なるものを設営し、三者が複雑な〈子どもの喧嘩(けんか)〉をし続けて終わる。
その結果、大学は荒涼とした非学問的な〈専門学校〉と化し、騒いだ学生集団は雲散霧消し、今や大学生は〈小児化〉した。紛争は何も産まず、かつての大学にあった古き良きものまで失ってしまって今日に至っている。
口を尖(とが)らせての弾劾、相手の人格罵倒(ばとう)、数の圧力−大衆団交によって狂暴化した学生はハンターとして教授会に襲いかかっていた。その学生とは、まさに団塊の世代、すなわち現在60歳前後の人たちだった。
事業仕分け人たちは、団塊の世代のすこしあと。おそらくは団塊世代の気分。当局の各省庁は教授会か。議論は、善(よ)きことは問わず、悪しきことばかりの審問。まさにこれは大学紛争時における、学生集団と教授会との大衆団交の再現ではないのか。このような〈暴力〉による獲得からは、建設的なものは何も生まれない。生まれるのは荒涼とした風景だけであり、騒いだ連中は消えてゆく。無責任のまま。
このような〈暴力〉が横行するのは、どこかにそれを促す独裁権力があるからである。民主的な発言からではない。
その独裁権力とは、小沢一郎幹事長に他ならない。今の民主党ならびに民主党政府は、だれが見ても小沢一郎独裁である。
独裁者の本質は、小心者であることだ。小心だから他者からの批判は認めない。どころか、その他者を恐れて憎んで排除する。そこで小心者リーダーの下には必然的に臆病(おくびょう)な小心者が集まる。その典型が鳩山由紀夫首相である。
首相の発言には、まるで自分というものがない。自分で決めることがない、いや、決める能力がない。すべて他人まかせである。整理することさえできない。これほど無能な首相はないのではないか。その極致は、自民党原因論である。国会での所信表明演説のあと、谷垣禎一自民党総裁の質問への答弁で、今日の政治の困難はすべて、従来の自民党政治が原因だとした。
悲劇的かつ喜劇的答弁であった。旧政権の欠点に対して新政権の自分たちは新しい政策で是正してゆくのだ、それはこうだと具体的に言い切って示してこそ新政権の宰相たりうるのだ。それを他者のせいにして、何の新政策も示しえないのでは、国民はたまったものではない。小心者は無責任な小人である。『論語』衛(えいの)霊公(れいこう)篇に曰(いわ)く、「君子は諸(これ)(責任)を己(おのれ)に求め、小人は諸を人(ひと)に求む」と。(かじ のぶゆき)
以下、掲載します。
政府の行政刷新会議による事業仕分けの様子がテレビに何度か放映された。会議はインターネットに公開されており、会場での傍聴も自由とのこと。となると、いかにも民主主義的に話しあい、公明正大であるかのように見える。
しかし、その質疑応答の様子をテレビニュースを通じて見ていると、約40年前の全国の大学紛争を思い出すのであった。当時、私は名古屋大学助教授として勤務していた。
元はと言えば、共産党系の学生集団と反共産党(新左翼)系の学生集団との紛争であり両者は敵対していたが、共通の敵は大学当局(実質は教授会)であった。そこで学生らは大衆団交なるものを設営し、三者が複雑な〈子どもの喧嘩(けんか)〉をし続けて終わる。
その結果、大学は荒涼とした非学問的な〈専門学校〉と化し、騒いだ学生集団は雲散霧消し、今や大学生は〈小児化〉した。紛争は何も産まず、かつての大学にあった古き良きものまで失ってしまって今日に至っている。
口を尖(とが)らせての弾劾、相手の人格罵倒(ばとう)、数の圧力−大衆団交によって狂暴化した学生はハンターとして教授会に襲いかかっていた。その学生とは、まさに団塊の世代、すなわち現在60歳前後の人たちだった。
事業仕分け人たちは、団塊の世代のすこしあと。おそらくは団塊世代の気分。当局の各省庁は教授会か。議論は、善(よ)きことは問わず、悪しきことばかりの審問。まさにこれは大学紛争時における、学生集団と教授会との大衆団交の再現ではないのか。このような〈暴力〉による獲得からは、建設的なものは何も生まれない。生まれるのは荒涼とした風景だけであり、騒いだ連中は消えてゆく。無責任のまま。
このような〈暴力〉が横行するのは、どこかにそれを促す独裁権力があるからである。民主的な発言からではない。
その独裁権力とは、小沢一郎幹事長に他ならない。今の民主党ならびに民主党政府は、だれが見ても小沢一郎独裁である。
独裁者の本質は、小心者であることだ。小心だから他者からの批判は認めない。どころか、その他者を恐れて憎んで排除する。そこで小心者リーダーの下には必然的に臆病(おくびょう)な小心者が集まる。その典型が鳩山由紀夫首相である。
首相の発言には、まるで自分というものがない。自分で決めることがない、いや、決める能力がない。すべて他人まかせである。整理することさえできない。これほど無能な首相はないのではないか。その極致は、自民党原因論である。国会での所信表明演説のあと、谷垣禎一自民党総裁の質問への答弁で、今日の政治の困難はすべて、従来の自民党政治が原因だとした。
悲劇的かつ喜劇的答弁であった。旧政権の欠点に対して新政権の自分たちは新しい政策で是正してゆくのだ、それはこうだと具体的に言い切って示してこそ新政権の宰相たりうるのだ。それを他者のせいにして、何の新政策も示しえないのでは、国民はたまったものではない。小心者は無責任な小人である。『論語』衛(えいの)霊公(れいこう)篇に曰(いわ)く、「君子は諸(これ)(責任)を己(おのれ)に求め、小人は諸を人(ひと)に求む」と。(かじ のぶゆき)
鳩山首相偽装献金 「検察に任せる」は通用しない
鳩山首相の政治とカネの問題がどうにもならなくなっている。
最近は、いろいろな問題があって、どうなっているの?といった感じである。
そこを読売新聞社説が解説している。
以下、掲載する。
首相偽装献金 「検察に任せる」は通用しない(11月28日付・読売社説)
鳩山首相の資金管理団体をめぐる偽装献金問題が、大きな広がりを見せている。
「すべて検察の捜査に任せている」という首相の言い訳は、もう通用しない。首相は、早急に国会の場か記者会見で、知り得る限り、問題の全体像を公表すべきだ。
鳩山首相が2004〜08年に、母親から計9億円の政治資金の提供を受けていた疑惑が、元公設秘書の説明などで明らかになった。その一部は、資金管理団体の偽装献金の原資となったという。
東京地検は12月中にも、元秘書を政治資金規正法違反で在宅起訴する方向とされる。
首相は従来、偽装献金の原資は自らの個人資金だと説明してきた。母親の資金については、「ないと信じている」と語り、元秘書の説明と大きく食い違っている。
仮に母親の資金が資金管理団体への寄付なら、個人献金の上限の年150万円をはるかに超え、政治資金規正法の量的制限違反となる。首相への贈与だった場合は、贈与税の脱税に問われる。
元秘書は、貸付金だと説明しているという。だが、9億円もの借金に、借用証もなく、元金や利息の返済もないとすれば、実質的に贈与と変わらない。原資が企業献金でなく、身内の資金であっても問題の重大さは同じだ。
さらに深刻なのは、首相が「私が知らないところで何が行われているのか」などと、人ごとのような発言をしていることだ。
鳩山首相は、6月末の“故人献金”の記者会見前に、元秘書から事情を聞き、弁護士に追加調査をさせている。それでも、母親からの巨額の借金の存在を知らないというのは、あまりに不自然だ。
虚偽記載の総額も、首相は当初、2177万円と説明していた。だが、5万円以下の匿名献金も大半が虚偽と判明し、総額は最低でも2億数千万円に上るとされる。
首相は昨年、7000万円超の株式売却益を申告しておらず、ずさんな資金管理が次々と明らかになっている。首相が口にした「恵まれた環境に育ったから」というのは、弁明にならない。
首相は02年3月の民主党代表時代、加藤紘一・自民党元幹事長の元事務所代表の脱税事件について、こう語っている。
「金庫番だった人の不祥事は、(政治家も)共同正犯だ。即、議員辞職すべきだ」
首相は、この言葉を思い起こし、政治とカネの問題について、自らきちんと説明する責任がある。
最近は、いろいろな問題があって、どうなっているの?といった感じである。
そこを読売新聞社説が解説している。
以下、掲載する。
首相偽装献金 「検察に任せる」は通用しない(11月28日付・読売社説)
鳩山首相の資金管理団体をめぐる偽装献金問題が、大きな広がりを見せている。
「すべて検察の捜査に任せている」という首相の言い訳は、もう通用しない。首相は、早急に国会の場か記者会見で、知り得る限り、問題の全体像を公表すべきだ。
鳩山首相が2004〜08年に、母親から計9億円の政治資金の提供を受けていた疑惑が、元公設秘書の説明などで明らかになった。その一部は、資金管理団体の偽装献金の原資となったという。
東京地検は12月中にも、元秘書を政治資金規正法違反で在宅起訴する方向とされる。
首相は従来、偽装献金の原資は自らの個人資金だと説明してきた。母親の資金については、「ないと信じている」と語り、元秘書の説明と大きく食い違っている。
仮に母親の資金が資金管理団体への寄付なら、個人献金の上限の年150万円をはるかに超え、政治資金規正法の量的制限違反となる。首相への贈与だった場合は、贈与税の脱税に問われる。
元秘書は、貸付金だと説明しているという。だが、9億円もの借金に、借用証もなく、元金や利息の返済もないとすれば、実質的に贈与と変わらない。原資が企業献金でなく、身内の資金であっても問題の重大さは同じだ。
さらに深刻なのは、首相が「私が知らないところで何が行われているのか」などと、人ごとのような発言をしていることだ。
鳩山首相は、6月末の“故人献金”の記者会見前に、元秘書から事情を聞き、弁護士に追加調査をさせている。それでも、母親からの巨額の借金の存在を知らないというのは、あまりに不自然だ。
虚偽記載の総額も、首相は当初、2177万円と説明していた。だが、5万円以下の匿名献金も大半が虚偽と判明し、総額は最低でも2億数千万円に上るとされる。
首相は昨年、7000万円超の株式売却益を申告しておらず、ずさんな資金管理が次々と明らかになっている。首相が口にした「恵まれた環境に育ったから」というのは、弁明にならない。
首相は02年3月の民主党代表時代、加藤紘一・自民党元幹事長の元事務所代表の脱税事件について、こう語っている。
「金庫番だった人の不祥事は、(政治家も)共同正犯だ。即、議員辞職すべきだ」
首相は、この言葉を思い起こし、政治とカネの問題について、自らきちんと説明する責任がある。
ジェームス・アワー氏の講演「日米関係は不平等だったのか」その3・終わり
11月24日、自民党国防部会(自民党本部)での「日米関係は不平等だったのか」(講師)バンダービルト大学教授 ジェームス・アワー氏の講演録です。
次に対等な日米関係ということについて申し上げたいと思います。
オバマ大統領が最近、日本にいらっしゃっていたわけですけれども、日米関係についてもスピーチをされていました。
私自身は先の選挙のときにマケイン上院議員に票を投じたのですが、日米関係は対等な関係であるとおっしゃった米国の大統領のご意見に異を唱えることはするべきではないと思います。
日米同盟というのは、日本にとっても米国にとっても非常に利益のある関係だというふうに思っております。ですから、その限りにおいては対等だと言えると思います。
しかし、軍事的負担ということに関する限り、また人のリスクということに関する限り、米国の負っているリスクのほうがずっと大きいということは申し上げられると思います。
先程申し上げました拡大抑止力に関して言うと、ほとんどすべてを米国が負っているということになります。
空母の「ジョージ・ワシントン」も横須賀に寄港しておりますけれども、日本が攻撃兵器を持たないという理由は日米ともによくわかっているわけですが、通常兵器、核兵器双方の面において、軍事的な負担、人のリスクということに関しては、ほとんどすべて米国のほうが日本よりもより多くのリスク、負担を持っていると思います。
コンビニなんかは24時間営業なわけですが、「トゥエンティフォー・セブン」、24時間、1週間に7日という言い方を英語ではしておりますけれども、私、この近くのホテルに泊まっておりますが、その近くのマクドナルドも最近はトゥエンティフォー・セブン、終日営業になったんですね。
米国の海兵隊ですとか、陸海空の人々は、日米同盟のためにトゥエンティフォー・セブン体制でリスクを負っているということだと思います。そして日本は、集団的自衛権を行使できないという政策を持っているために、このリクスは日本よりも米国にとってのほうが大きいものになっております。
そして、新政権は思いやり予算を削減される可能性があるということを伺いましたが、集団的自衛権ということに関してのリスクを共有せずに、一方的に思いやり予算の削減ということをお考えになるのは、日本にとって賢明なことではないのではないかと思っております。
来年は日米同盟の50周年を迎えるわけなんですが、日米同盟が過去、今まで50年間続いてきた、これから50年間続かないという理由は何もないと思います。ただ、もしこの日米同盟が危険にさらされる時があるとすれば、実際の危機が起こったとき、勃発したときに、集団的自衛権を行使することならずということのために、日本の政府がもしも行動を取ることができなかったらというふうに思います。
自民党の皆さんですので非常に率直にものを申し上げたいと思いますけれども、安倍政権のときに、柳井(俊二)さんをはじめとする特別委員会が、集団的自衛権についての報告を実施することができなかったというのを、私は実はがっかりいたしました。福田首相はあまりそちらのほうはご興味なかったようでございますが、麻生政権のときにもこれが実施されなかったということは残念でした。
今は、民主党政権、鳩山政権はどういうふうにお考えなのかなというふうに本当に考えております。鳩山さんは首相になられる前は、個人的には集団的自衛権の行使というのもありだということをおっしゃったと思うのですけれども、首相におなりになってからは、特に日本政府の方針を変更する計画はないというふうにおっしゃっていると思います。
ただ、1週間ちょっと前でしょうか、私が日本に来たときに、たしか平野官房長官が、集団的自衛権については、内閣法制局のことをおっしゃっているのかなと思いましたけれども、ある諮問機関ではなくて、政府自体が実施を決定していくべきだとおっしゃいました。 (おわり)
次に対等な日米関係ということについて申し上げたいと思います。
オバマ大統領が最近、日本にいらっしゃっていたわけですけれども、日米関係についてもスピーチをされていました。
私自身は先の選挙のときにマケイン上院議員に票を投じたのですが、日米関係は対等な関係であるとおっしゃった米国の大統領のご意見に異を唱えることはするべきではないと思います。
日米同盟というのは、日本にとっても米国にとっても非常に利益のある関係だというふうに思っております。ですから、その限りにおいては対等だと言えると思います。
しかし、軍事的負担ということに関する限り、また人のリスクということに関する限り、米国の負っているリスクのほうがずっと大きいということは申し上げられると思います。
先程申し上げました拡大抑止力に関して言うと、ほとんどすべてを米国が負っているということになります。
空母の「ジョージ・ワシントン」も横須賀に寄港しておりますけれども、日本が攻撃兵器を持たないという理由は日米ともによくわかっているわけですが、通常兵器、核兵器双方の面において、軍事的な負担、人のリスクということに関しては、ほとんどすべて米国のほうが日本よりもより多くのリスク、負担を持っていると思います。
コンビニなんかは24時間営業なわけですが、「トゥエンティフォー・セブン」、24時間、1週間に7日という言い方を英語ではしておりますけれども、私、この近くのホテルに泊まっておりますが、その近くのマクドナルドも最近はトゥエンティフォー・セブン、終日営業になったんですね。
米国の海兵隊ですとか、陸海空の人々は、日米同盟のためにトゥエンティフォー・セブン体制でリスクを負っているということだと思います。そして日本は、集団的自衛権を行使できないという政策を持っているために、このリクスは日本よりも米国にとってのほうが大きいものになっております。
そして、新政権は思いやり予算を削減される可能性があるということを伺いましたが、集団的自衛権ということに関してのリスクを共有せずに、一方的に思いやり予算の削減ということをお考えになるのは、日本にとって賢明なことではないのではないかと思っております。
来年は日米同盟の50周年を迎えるわけなんですが、日米同盟が過去、今まで50年間続いてきた、これから50年間続かないという理由は何もないと思います。ただ、もしこの日米同盟が危険にさらされる時があるとすれば、実際の危機が起こったとき、勃発したときに、集団的自衛権を行使することならずということのために、日本の政府がもしも行動を取ることができなかったらというふうに思います。
自民党の皆さんですので非常に率直にものを申し上げたいと思いますけれども、安倍政権のときに、柳井(俊二)さんをはじめとする特別委員会が、集団的自衛権についての報告を実施することができなかったというのを、私は実はがっかりいたしました。福田首相はあまりそちらのほうはご興味なかったようでございますが、麻生政権のときにもこれが実施されなかったということは残念でした。
今は、民主党政権、鳩山政権はどういうふうにお考えなのかなというふうに本当に考えております。鳩山さんは首相になられる前は、個人的には集団的自衛権の行使というのもありだということをおっしゃったと思うのですけれども、首相におなりになってからは、特に日本政府の方針を変更する計画はないというふうにおっしゃっていると思います。
ただ、1週間ちょっと前でしょうか、私が日本に来たときに、たしか平野官房長官が、集団的自衛権については、内閣法制局のことをおっしゃっているのかなと思いましたけれども、ある諮問機関ではなくて、政府自体が実施を決定していくべきだとおっしゃいました。 (おわり)
2009年11月27日
日本論語研究会の予定
*会場は、全て慶應大学・三田キャンパスです
(港区三田2−15−45)(JR田町、地下鉄三田下車)
第55回
1、日 時 12月5日(土)16時30分〜18時
2、場 所 慶應義塾大学 西校舎2F527教室(*注意、いつもの教室と校舎が違います)
3、講 師 邱淑恵(キュースーエ)・中国健康コンサルタント)
(テーマ、顔回について)
高橋大輔(日本論語研究会幹事)
(テーマ、論語研究会こそが現代の松下村塾)
第56回
1、日 時 1月9日(土)16時30分〜18時
2、場 所 慶應義塾大学 第1校舎1階 102番教室
3、講 師 田村重信(日本論語研究会代表幹事)
(テーマ、6年目を迎えた日本論語研究会―参加者からの意見)
第57回
1、日 時 2月20日(土)16時30分〜18時
2、場 所 慶應義塾大学 (教室未定)
3、講 師 桜林美佐(ジャーナリスト)
(テーマ、朗読『拉孟(らもう)に散った花』『豊田佐吉』)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
〇参加費 300円(家族は2人以上で500円、学生は無料です)
〇問い合せ先 田村重信(代表幹事)
Eメールstamura@hq.jimin.or.jp へ連絡下さい。電話―3581−6211(職場)
日本論語研究会事務局〒105−0002 港区三田2−15−45 慶大・南館20510
(参考)日本論語研究会の日程と研究会の内容は、
日本論語研究会のホームページhttp://www.rongoken.jp/index.htmlに掲載しています。
(港区三田2−15−45)(JR田町、地下鉄三田下車)
第55回
1、日 時 12月5日(土)16時30分〜18時
2、場 所 慶應義塾大学 西校舎2F527教室(*注意、いつもの教室と校舎が違います)
3、講 師 邱淑恵(キュースーエ)・中国健康コンサルタント)
(テーマ、顔回について)
高橋大輔(日本論語研究会幹事)
(テーマ、論語研究会こそが現代の松下村塾)
第56回
1、日 時 1月9日(土)16時30分〜18時
2、場 所 慶應義塾大学 第1校舎1階 102番教室
3、講 師 田村重信(日本論語研究会代表幹事)
(テーマ、6年目を迎えた日本論語研究会―参加者からの意見)
第57回
1、日 時 2月20日(土)16時30分〜18時
2、場 所 慶應義塾大学 (教室未定)
3、講 師 桜林美佐(ジャーナリスト)
(テーマ、朗読『拉孟(らもう)に散った花』『豊田佐吉』)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
〇参加費 300円(家族は2人以上で500円、学生は無料です)
〇問い合せ先 田村重信(代表幹事)
Eメールstamura@hq.jimin.or.jp へ連絡下さい。電話―3581−6211(職場)
日本論語研究会事務局〒105−0002 港区三田2−15−45 慶大・南館20510
(参考)日本論語研究会の日程と研究会の内容は、
日本論語研究会のホームページhttp://www.rongoken.jp/index.htmlに掲載しています。
野依良治 理化学研究所 理事長 講演録
本講演録は自民党文部科学部会、宇宙・海洋開発特別委員会 合同会議(平成21年11月25日)で行われた野依博士の講演をもとに、自民党政務調査会で作成したものである。」
以下が、事業仕分け問題で話題になった講演である。
科学技術は我が国の生命線
野依良治です。自民党の政務調査会にお招きいただいて、大変光栄です。
「科学技術は我が国の生命線」という題で、お話をさせていただきます。
衰退傾向にある我が国
OECD諸国の一人当たりの国内総生産(名目GDP)の順位
● 主要国の相対順位は大きな変化を示していないにも関わらず、我が国は2000年の3位から、2007年には19位に急落
我が国の1人当たりのGDPは、2000年には3位でしたが、2007年にはOECD加盟国中、19位に急落しています。さらに、公的債務もGDPの約2倍に達しています。
この衰退傾向を脱して、再生に転じるためには、卓越した科学技術こそ、わが国が生きる唯一の道ではないかと思います。世界水準では駄目であり、世界水準をしのぐ科学技術力なくして、わが国の存在はないと思います。これが国民目線であるべきですが、現在は、その危機意識が全くない、あまりにも希薄であると思います。
技術革新の世紀
1.電力利用、2.自動車、3.航空機、4.水の供給、5.エレクトロニクス、
6.ラジオとテレビ、7.農業の機械化、8.コンピュータ、9.電話技術、
10.空調と冷蔵、11.高速道路、12.宇宙衛星、13.インターネット、
14.画像技術、15.家庭用具、16.医療、17.石油・石油化学技術、
18.レーザーとファイバー光学、19.原子力技術、20.高機能材料
2003年にアメリカの工学アカデミーが選んだ、20世紀の20の大革新技術が示してあります。これらが、現在の文明を支えています。先生方は、これをどのようにご覧になるかということです。
これらは、いずれも基礎科学における発見、あるいは発明を源(みなもと)としています。また、技術者たちの夢に導かれて、長期にわたる壮大な統合的な研究によって、できあがったものばかりです。なお、今年のノーベル物理学賞は、インターネット社会を支える光ファイバーの発明と、デジタルカメラあるいは医療用の内視鏡技術につながったCCDの発明に与えられるということです。
しかし、われわれ科学者が良い研究をし、そして強い特許を取れば、それでイノベーションが生まれるということでは、決してありません。成果を社会的・経済的価値に結びつけるためには、国際社会を見通す国全体の強力なマネージメントが必要です。
要は、人類生存の限られた境界条件の中で、こういった技術体系にいかなる飛躍をもたらせるのか、あるいは基礎科学から、いかに骨太の新しい産業技術を作っていくのかということです。競争の激しい今世紀には、小手先の政策では、国は絶対に存続しないと私は考えています。
国際情勢の分析.1
オバマ・アメリカ大統領は、4月に全米科学アカデミーで、「科学が、我々の繁栄、安全、健康、環境、生活にとって、かつてこれ程、必要だったことはない」と演説し、低迷する現状を打破する「鍵」として、科学技術を重要視しています。
大統領就任に際し、「科学技術により経済を変革する」と宣言し、グリーンエネルギーの導入によって、経済のニューディールを実現しようとしています。財政的には、科学技術予算を10年間で倍増、そして、研究開発税控除を恒久化すると発表しています。
● グリーン(自然)エネルギーの導入による経済のニューディール(新規まき直し政策)を実現(15兆円/10年)
● NIH、NSF、DOE等の予算を10年間で倍増、研究開発税控除を恒久化。大学生奨学金・税控除(20兆円/10年)
国際情勢の分析.2
各国通貨ベースの主要国等の科学技術関係予算の推移
● 中国と韓国の著しい台頭
● 世界的な金融危機・経済不況を端に、米国やEU等は科学技術及びイノベーションに回復策を見出すべく、その傾向を一層加速
● 平成22年度は科学技術予算の大幅な減額が見込まれ、大変厳しい状況。科学技術は国力の源泉であり、政府投資の拡充が不可欠
その他の国も、アメリカ同様に、科学技術に活路を見出すために、積極的に国費を投入しています。まず、そこで、中国あるいは韓国の台頭ぶりをご覧いただきたいと思います。
一方で、わが国の科学技術への公財政支出は、欧米諸国に比べて、まことに貧困であり、情けない限りです。第3期の「科学技術基本計画」は、「5年間で25兆円の投資を目指す」となっていますが、4年目の今年度まで、投資額は、わずか17兆円余りに過ぎません。これで平成22年度に、科学技術予算が大幅に減額となれば、諸外国との格差は広がる一方で、これでは、全く戦えない状況です。
国際情勢の分析.3
米国における科学技術分野の博士号取得者の国籍
● 中国は、「世界の工場」から「世界の頭脳」へ
中国の科学技術への投資の伸びは目覚ましいものがあるのを、先程、示しましたが、さらにご注目いただききたいことは、現在、毎年、4,300人の中国人が、アメリカで博士号を取っていることです。
韓国人、インド人も1千数百名ですが、一方で、日本人はわずか220人です。これからの経済成長は、「国際競争」あるいは「国際協調」が不可欠ですが、10年後に、中国をはじめとするアジア諸国が築く巨大な国際人脈、これを想像していただきたい。これからの科学技術外交力、一体だれが担うのかということを、私は大変、懸念しています。
民主党政権では「事業仕分け」を実施していますが、国の事業について、必要性を公開で議論することは、大変、結構だと思います。
しかし、一般的な仕分け対象事業はコストですが、科学技術振興、あるいは、そのための人材育成は、将来に対する投資です。「コスト」ではなく「投資」である。コストと投資をいっしょくたに仕分けするというのは、あまりにも、私は見識を欠くものだろうと思います。
国家基幹技術
「宇宙開発」、「高速増殖炉」、「海洋地球観測探査システム」
「次世代スーパーコンピュータ」、「X線自由電子レーザー」
※「次世代スーパーコンピュータ」、「X線自由電子レーザー」は理研
上は、「国の持続的発展の基盤であって、長期的な国家戦略をもって取り組むべき重要な技術」というふうに定義された、「国家基幹技術」です。これらの事業は、オリンピック競技のように、まさに熾烈な国際競争のもとにあります。この重要性から、万難を排して、国の誇り、ナショナルプライドをかけて、絶対に勝たなければいけない技術です。
次世代スーパーコンピュータは、事業仕分けで「凍結」という評価を受けています。「見直し」という声も出ていますが、依然、予断を許さない状況です。
次世代スーパーコンピュータは、科学技術の「基盤」、あるいは「頭脳」にあたる部分です。だからこそ、アメリカも中国も、威信をかけて、熾烈な競争をしているわけです。道路あるいは宿泊施設などは、しばらく凍結しても、多少、不便はありますが、無駄になるものではないのではないかと思います。
しかし、次世代のスーパーコンピュータは、いったん凍結したら、瞬く間に、各国に追い抜かれ、その影響は、計り知れません。コンピュータ産業だけの問題ではありません。「中国あるいはアメリカから買えばいい」という不見識な人がいます。全く不見識です。次世代スーパーコンピュータは、科学技術、さらには文明社会の「頭脳部分」にあたるものですから、諸外国から買ってくれば、その国に隷属するということを意味します。
国際競争は果てしなく続く競争ですから、勝ち続けなければいけないというふうになっています。科学技術の成果が実を結び、さらにイノベーションを生み出すまで、時間は非常にたくさんかかります。ですから、拙速に成果を求めるのではなくて、将来への投資として、継続性を持って、科学技術振興を考えて頂きたいと思います。
不用意に、事業を廃止・凍結を主張する方々には、「果たして将来、歴史という法廷に立つ覚悟が出来ているのか」と私は問いたいと思っています。
21世紀の我が国のあるべき姿(国是、national vision)
最後に、科学技術は、天然資源なきわが国が、今世紀の国際競争を生き抜く唯一の術(すべ)であるばかりでなく、人類生存の諸問題を解決する国際協調の柱でもあります。そのため、政権によって大きく政策を変えるべきではなく、超党派で議論いただき、持続的に取り組んでいただきたいと思います。
さらに、必要財源の確保については、私は個人的に、「科学技術・教育目的税」の導入が不可欠ではないかと思います。
私は、未来を担う日本の子供たちが、いつでも、どこでも、「日本とは、人類生存に貢献する国だ」と誇りを持って生きて欲しいと思います。私は、「科学技術に基礎を置いて、限りある地球の枠組みのなかで、豊かな人類社会の存続に向けて貢献する国」、これをぜひ、国是として定めていただきたいと思っています。どうもありがとうございます。
以下が、事業仕分け問題で話題になった講演である。
科学技術は我が国の生命線
野依良治です。自民党の政務調査会にお招きいただいて、大変光栄です。
「科学技術は我が国の生命線」という題で、お話をさせていただきます。
衰退傾向にある我が国
OECD諸国の一人当たりの国内総生産(名目GDP)の順位
● 主要国の相対順位は大きな変化を示していないにも関わらず、我が国は2000年の3位から、2007年には19位に急落
我が国の1人当たりのGDPは、2000年には3位でしたが、2007年にはOECD加盟国中、19位に急落しています。さらに、公的債務もGDPの約2倍に達しています。
この衰退傾向を脱して、再生に転じるためには、卓越した科学技術こそ、わが国が生きる唯一の道ではないかと思います。世界水準では駄目であり、世界水準をしのぐ科学技術力なくして、わが国の存在はないと思います。これが国民目線であるべきですが、現在は、その危機意識が全くない、あまりにも希薄であると思います。
技術革新の世紀
1.電力利用、2.自動車、3.航空機、4.水の供給、5.エレクトロニクス、
6.ラジオとテレビ、7.農業の機械化、8.コンピュータ、9.電話技術、
10.空調と冷蔵、11.高速道路、12.宇宙衛星、13.インターネット、
14.画像技術、15.家庭用具、16.医療、17.石油・石油化学技術、
18.レーザーとファイバー光学、19.原子力技術、20.高機能材料
2003年にアメリカの工学アカデミーが選んだ、20世紀の20の大革新技術が示してあります。これらが、現在の文明を支えています。先生方は、これをどのようにご覧になるかということです。
これらは、いずれも基礎科学における発見、あるいは発明を源(みなもと)としています。また、技術者たちの夢に導かれて、長期にわたる壮大な統合的な研究によって、できあがったものばかりです。なお、今年のノーベル物理学賞は、インターネット社会を支える光ファイバーの発明と、デジタルカメラあるいは医療用の内視鏡技術につながったCCDの発明に与えられるということです。
しかし、われわれ科学者が良い研究をし、そして強い特許を取れば、それでイノベーションが生まれるということでは、決してありません。成果を社会的・経済的価値に結びつけるためには、国際社会を見通す国全体の強力なマネージメントが必要です。
要は、人類生存の限られた境界条件の中で、こういった技術体系にいかなる飛躍をもたらせるのか、あるいは基礎科学から、いかに骨太の新しい産業技術を作っていくのかということです。競争の激しい今世紀には、小手先の政策では、国は絶対に存続しないと私は考えています。
国際情勢の分析.1
オバマ・アメリカ大統領は、4月に全米科学アカデミーで、「科学が、我々の繁栄、安全、健康、環境、生活にとって、かつてこれ程、必要だったことはない」と演説し、低迷する現状を打破する「鍵」として、科学技術を重要視しています。
大統領就任に際し、「科学技術により経済を変革する」と宣言し、グリーンエネルギーの導入によって、経済のニューディールを実現しようとしています。財政的には、科学技術予算を10年間で倍増、そして、研究開発税控除を恒久化すると発表しています。
● グリーン(自然)エネルギーの導入による経済のニューディール(新規まき直し政策)を実現(15兆円/10年)
● NIH、NSF、DOE等の予算を10年間で倍増、研究開発税控除を恒久化。大学生奨学金・税控除(20兆円/10年)
国際情勢の分析.2
各国通貨ベースの主要国等の科学技術関係予算の推移
● 中国と韓国の著しい台頭
● 世界的な金融危機・経済不況を端に、米国やEU等は科学技術及びイノベーションに回復策を見出すべく、その傾向を一層加速
● 平成22年度は科学技術予算の大幅な減額が見込まれ、大変厳しい状況。科学技術は国力の源泉であり、政府投資の拡充が不可欠
その他の国も、アメリカ同様に、科学技術に活路を見出すために、積極的に国費を投入しています。まず、そこで、中国あるいは韓国の台頭ぶりをご覧いただきたいと思います。
一方で、わが国の科学技術への公財政支出は、欧米諸国に比べて、まことに貧困であり、情けない限りです。第3期の「科学技術基本計画」は、「5年間で25兆円の投資を目指す」となっていますが、4年目の今年度まで、投資額は、わずか17兆円余りに過ぎません。これで平成22年度に、科学技術予算が大幅に減額となれば、諸外国との格差は広がる一方で、これでは、全く戦えない状況です。
国際情勢の分析.3
米国における科学技術分野の博士号取得者の国籍
● 中国は、「世界の工場」から「世界の頭脳」へ
中国の科学技術への投資の伸びは目覚ましいものがあるのを、先程、示しましたが、さらにご注目いただききたいことは、現在、毎年、4,300人の中国人が、アメリカで博士号を取っていることです。
韓国人、インド人も1千数百名ですが、一方で、日本人はわずか220人です。これからの経済成長は、「国際競争」あるいは「国際協調」が不可欠ですが、10年後に、中国をはじめとするアジア諸国が築く巨大な国際人脈、これを想像していただきたい。これからの科学技術外交力、一体だれが担うのかということを、私は大変、懸念しています。
民主党政権では「事業仕分け」を実施していますが、国の事業について、必要性を公開で議論することは、大変、結構だと思います。
しかし、一般的な仕分け対象事業はコストですが、科学技術振興、あるいは、そのための人材育成は、将来に対する投資です。「コスト」ではなく「投資」である。コストと投資をいっしょくたに仕分けするというのは、あまりにも、私は見識を欠くものだろうと思います。
国家基幹技術
「宇宙開発」、「高速増殖炉」、「海洋地球観測探査システム」
「次世代スーパーコンピュータ」、「X線自由電子レーザー」
※「次世代スーパーコンピュータ」、「X線自由電子レーザー」は理研
上は、「国の持続的発展の基盤であって、長期的な国家戦略をもって取り組むべき重要な技術」というふうに定義された、「国家基幹技術」です。これらの事業は、オリンピック競技のように、まさに熾烈な国際競争のもとにあります。この重要性から、万難を排して、国の誇り、ナショナルプライドをかけて、絶対に勝たなければいけない技術です。
次世代スーパーコンピュータは、事業仕分けで「凍結」という評価を受けています。「見直し」という声も出ていますが、依然、予断を許さない状況です。
次世代スーパーコンピュータは、科学技術の「基盤」、あるいは「頭脳」にあたる部分です。だからこそ、アメリカも中国も、威信をかけて、熾烈な競争をしているわけです。道路あるいは宿泊施設などは、しばらく凍結しても、多少、不便はありますが、無駄になるものではないのではないかと思います。
しかし、次世代のスーパーコンピュータは、いったん凍結したら、瞬く間に、各国に追い抜かれ、その影響は、計り知れません。コンピュータ産業だけの問題ではありません。「中国あるいはアメリカから買えばいい」という不見識な人がいます。全く不見識です。次世代スーパーコンピュータは、科学技術、さらには文明社会の「頭脳部分」にあたるものですから、諸外国から買ってくれば、その国に隷属するということを意味します。
国際競争は果てしなく続く競争ですから、勝ち続けなければいけないというふうになっています。科学技術の成果が実を結び、さらにイノベーションを生み出すまで、時間は非常にたくさんかかります。ですから、拙速に成果を求めるのではなくて、将来への投資として、継続性を持って、科学技術振興を考えて頂きたいと思います。
不用意に、事業を廃止・凍結を主張する方々には、「果たして将来、歴史という法廷に立つ覚悟が出来ているのか」と私は問いたいと思っています。
21世紀の我が国のあるべき姿(国是、national vision)
最後に、科学技術は、天然資源なきわが国が、今世紀の国際競争を生き抜く唯一の術(すべ)であるばかりでなく、人類生存の諸問題を解決する国際協調の柱でもあります。そのため、政権によって大きく政策を変えるべきではなく、超党派で議論いただき、持続的に取り組んでいただきたいと思います。
さらに、必要財源の確保については、私は個人的に、「科学技術・教育目的税」の導入が不可欠ではないかと思います。
私は、未来を担う日本の子供たちが、いつでも、どこでも、「日本とは、人類生存に貢献する国だ」と誇りを持って生きて欲しいと思います。私は、「科学技術に基礎を置いて、限りある地球の枠組みのなかで、豊かな人類社会の存続に向けて貢献する国」、これをぜひ、国是として定めていただきたいと思っています。どうもありがとうございます。
鳩山首相の偽装献金問題で実母が事情聴取されると辞職か?
テレビニュースで、鳩山首相の実母が事情聴取されるのではとの報道があった。
実母が事情聴取されるようでは、一気に鳩山首相は辞職するのではという雰囲気になる。
それにしても、鳩山偽装献金問題は連日大きく報道されるようになった。
鳩山首相は国会で党首討論や集中審議でこの問題を追及されるのを拒み続けている。
今朝の日経新聞社説(11/27) は、「首相はなお口をつぐむのか」だ。以下、掲載する。
もはや「個人の資金だった」という説明だけでは済まない。
鳩山由紀夫首相の偽装献金問題は虚偽記載の総額が4億円を超え、さらに首相の実母から巨額の資金提供があった疑いが浮上した。会計処理のずさんさに驚くとともに、首相の資金問題への疑惑は深まっている。
首相が6月末の記者会見で公表した資金管理団体への架空の個人献金は2005〜08年の合計で2177万円。名前の記載義務がない小口献金でも、04〜08年の収支報告書に記載された1億7717万円の大半が鳩山家の資産管理会社「六幸商会」の資金だとみられている。
首相は資金の引き出し時に署名した事実を認めつつ、虚偽報告については「完全に秘書を信頼していた」と一切の関与を否定している。原資もすべて個人資金だと強調し、親族の財産の流用などは「ないと信じている」と繰り返してきた。
ところが関係者の証言などによると、首相の母親は首相側の依頼に応じ04年ごろから5年間で約9億円を資金提供し、一部が偽装献金の原資に充てられていたという。
政治家本人の資金管理団体への寄付は年間1千万円、個人の寄付は150万円の量的制限がある。このため資金はいずれも「貸付金」だったとされる。そうだとすれば「貸付の名義や返済期限、金利はどうなっていたのか」「本当に元秘書の一存だったのか」という疑問が生じる。
政治資金規正法は政治家が絡む資金の流れを透明化するとともに、資産家が選挙や政治活動で極端に有利にならないようルールを定めている。ずさんな会計処理は、こうした立法趣旨を真っ向から否定する行為である。
首相は献金問題の全容解明について「捜査を待ちたい」とし、国会での説明も「国対(国会対策委員会)に任せている」と人ごとのような発言に終始している。自民党は「実質的な贈与税や相続税逃れの疑いが濃厚だ」と批判しており、このままでは疑惑は深まるばかりだ。
首相が自ら説明責任を果たさないのであれば、国会での集中審議や参考人招致などを視野に入れるべきではないか。「政治とカネ」を巡る問題への与党の姿勢も問われている。
実母が事情聴取されるようでは、一気に鳩山首相は辞職するのではという雰囲気になる。
それにしても、鳩山偽装献金問題は連日大きく報道されるようになった。
鳩山首相は国会で党首討論や集中審議でこの問題を追及されるのを拒み続けている。
今朝の日経新聞社説(11/27) は、「首相はなお口をつぐむのか」だ。以下、掲載する。
もはや「個人の資金だった」という説明だけでは済まない。
鳩山由紀夫首相の偽装献金問題は虚偽記載の総額が4億円を超え、さらに首相の実母から巨額の資金提供があった疑いが浮上した。会計処理のずさんさに驚くとともに、首相の資金問題への疑惑は深まっている。
首相が6月末の記者会見で公表した資金管理団体への架空の個人献金は2005〜08年の合計で2177万円。名前の記載義務がない小口献金でも、04〜08年の収支報告書に記載された1億7717万円の大半が鳩山家の資産管理会社「六幸商会」の資金だとみられている。
首相は資金の引き出し時に署名した事実を認めつつ、虚偽報告については「完全に秘書を信頼していた」と一切の関与を否定している。原資もすべて個人資金だと強調し、親族の財産の流用などは「ないと信じている」と繰り返してきた。
ところが関係者の証言などによると、首相の母親は首相側の依頼に応じ04年ごろから5年間で約9億円を資金提供し、一部が偽装献金の原資に充てられていたという。
政治家本人の資金管理団体への寄付は年間1千万円、個人の寄付は150万円の量的制限がある。このため資金はいずれも「貸付金」だったとされる。そうだとすれば「貸付の名義や返済期限、金利はどうなっていたのか」「本当に元秘書の一存だったのか」という疑問が生じる。
政治資金規正法は政治家が絡む資金の流れを透明化するとともに、資産家が選挙や政治活動で極端に有利にならないようルールを定めている。ずさんな会計処理は、こうした立法趣旨を真っ向から否定する行為である。
首相は献金問題の全容解明について「捜査を待ちたい」とし、国会での説明も「国対(国会対策委員会)に任せている」と人ごとのような発言に終始している。自民党は「実質的な贈与税や相続税逃れの疑いが濃厚だ」と批判しており、このままでは疑惑は深まるばかりだ。
首相が自ら説明責任を果たさないのであれば、国会での集中審議や参考人招致などを視野に入れるべきではないか。「政治とカネ」を巡る問題への与党の姿勢も問われている。
日米同盟は危険水域から脱していない(森本敏拓殖大学大学院教授)
鳩山政権の政治体質には気になることが多い。
第1に、同政権は日米同盟依存を排して米国と対等な関係を確立しようとしているが、これは、日米同盟に依存しすぎた自民党政治が誤りであったという考え方に立っている。しかし、日米両国が国益と価値観を共有しているからこそ日米協調を進めてきたのであり、日本は米国に無節制に従属したことはなく、この考え方はおかしい。
第2は、官僚依存を排した政治主導を進めようとしているが、これは、自民党政治が官僚に依存し過ぎて政界・官界の癒着構造を作ったという見方に立っている。しかし、官僚から十分に情報を受けずに、官僚を活用せず政治ができるはずもない。現実には鳩山政権は官僚依存体質が強く、官僚の答弁を禁止しても閣僚の答弁を書いているのは全て官僚である。
第3は、マニフェストに拘泥し過ぎである。マニフェストはあくまで選挙公約であり、作ったときと状況や事態は変化している。マニフェストを実行することが政治の優先課題であるというのはおかしい。国民もそんなことは望んでいない。
第4は、鳩山政権は来年の参院選までの暫定政権のように見えるが、参院選を有利に展開するためか、与党内が分裂や意見対立をもたらすような重要な国家政策をほとんど進める考えがないことである。マニフェストに防衛も安全保障も憲法についても方針を示していないのは、どうかしている。
11月13日に行われた2回目の日米首脳会談は実質的内容がなかった。協議のための枠組みを2つ作って問題を先送りしただけである。他方、東京でのオバマ米大統領の演説は素晴らしかった。反対に、鳩山総理がオバマ大統領を東京にほったらかしにして、先にシンガポールに行っておこなったアジア政策に関する演説は全く内容のない空虚なものだった。
しかも、現地で記者団に普天間基地問題について日米間で合意した現行計画にはこだわらない、日米合意が前提なら作業部会を作る必要はないと、日米首脳会談での約束を反故にするような発言をした。この発言は日米間の信頼感を損なうことおびただしく、信じられないような背信行為である。
この総理の発言が真意であるとすれば、普天間基地問題の行方は限りなく不透明になった。普天間基地問題を決断せず、予算編成にも組み込まれずに1月の名護市長選挙まで待つという事態は、最悪の状態となる。
もともと、鳩山政権になってから、普天間基地問題の先延ばし、日米地位協定やHNS(接受国支援)減額、インド洋からの海自撤収、核先制不使用や核密約調査、東アジア共同体提案など、米国にとって不快極まりないことばかりして、日米関係を深化させるようなことを一切しない鳩山政権を、米国は忍耐強く見守ってきた。
しかし、2回の首脳会談で十分である。米国の恩情も年末までであろう。総理官邸の危機感のなさには驚くばかりである。東アジア情勢が厳しく不安定な時に、日本の繁栄と安定の基盤である日米同盟の信頼性をぐらつかせてどうなるのか。
この政権は、反米だけでなく、反日でさえある。
(自由民主、12月1日号より)
第1に、同政権は日米同盟依存を排して米国と対等な関係を確立しようとしているが、これは、日米同盟に依存しすぎた自民党政治が誤りであったという考え方に立っている。しかし、日米両国が国益と価値観を共有しているからこそ日米協調を進めてきたのであり、日本は米国に無節制に従属したことはなく、この考え方はおかしい。
第2は、官僚依存を排した政治主導を進めようとしているが、これは、自民党政治が官僚に依存し過ぎて政界・官界の癒着構造を作ったという見方に立っている。しかし、官僚から十分に情報を受けずに、官僚を活用せず政治ができるはずもない。現実には鳩山政権は官僚依存体質が強く、官僚の答弁を禁止しても閣僚の答弁を書いているのは全て官僚である。
第3は、マニフェストに拘泥し過ぎである。マニフェストはあくまで選挙公約であり、作ったときと状況や事態は変化している。マニフェストを実行することが政治の優先課題であるというのはおかしい。国民もそんなことは望んでいない。
第4は、鳩山政権は来年の参院選までの暫定政権のように見えるが、参院選を有利に展開するためか、与党内が分裂や意見対立をもたらすような重要な国家政策をほとんど進める考えがないことである。マニフェストに防衛も安全保障も憲法についても方針を示していないのは、どうかしている。
11月13日に行われた2回目の日米首脳会談は実質的内容がなかった。協議のための枠組みを2つ作って問題を先送りしただけである。他方、東京でのオバマ米大統領の演説は素晴らしかった。反対に、鳩山総理がオバマ大統領を東京にほったらかしにして、先にシンガポールに行っておこなったアジア政策に関する演説は全く内容のない空虚なものだった。
しかも、現地で記者団に普天間基地問題について日米間で合意した現行計画にはこだわらない、日米合意が前提なら作業部会を作る必要はないと、日米首脳会談での約束を反故にするような発言をした。この発言は日米間の信頼感を損なうことおびただしく、信じられないような背信行為である。
この総理の発言が真意であるとすれば、普天間基地問題の行方は限りなく不透明になった。普天間基地問題を決断せず、予算編成にも組み込まれずに1月の名護市長選挙まで待つという事態は、最悪の状態となる。
もともと、鳩山政権になってから、普天間基地問題の先延ばし、日米地位協定やHNS(接受国支援)減額、インド洋からの海自撤収、核先制不使用や核密約調査、東アジア共同体提案など、米国にとって不快極まりないことばかりして、日米関係を深化させるようなことを一切しない鳩山政権を、米国は忍耐強く見守ってきた。
しかし、2回の首脳会談で十分である。米国の恩情も年末までであろう。総理官邸の危機感のなさには驚くばかりである。東アジア情勢が厳しく不安定な時に、日本の繁栄と安定の基盤である日米同盟の信頼性をぐらつかせてどうなるのか。
この政権は、反米だけでなく、反日でさえある。
(自由民主、12月1日号より)
今度は菅副総理も後援会費を不正処理
今朝の産経新聞に「菅副総理の資金管理団体 後援会費を不正処理 「寄付金偽装」指摘も」(11月27日)が出ていました。
あきれます。以下、掲載します。
菅直人副総理・国家戦略担当相の資金管理団体で全国後援会の「草志会」が、支持者から集めた年2万円の「後援会費」を「寄付」として処理し、税額控除に必要な書類を総務省に交付させていたことが26日、産経新聞の調べで分かった。政治資金規正法は後援会費の税控除を認めておらず、多額の税金が不正に還付された恐れがある。後援会と称しながら、政治資金収支報告書では会員数が毎年ゼロ。識者からは「事実上の寄付金偽装」との批判も出ており、同法違反(虚偽記載)の疑いがある。(調査報道班)
産経新聞が総務省に開示請求した資料や、収支報告書によると、草志会は平成16〜20年の5年間に、個人から計約6千万円にのぼる寄付を集めたと総務省に報告し、このうち延べ1246人分の4224万9120円について「寄付金控除証明書」の交付を受けた。
だが、献金したとされる複数の支持者は、産経新聞の取材に対し「草志会の会費として納入した。証明書が来たので控除も受けた」と証言。菅氏側が本来は控除を受けられない会費について、不当に控除証明書を取得していたことが判明した。過去5年間で1回の振込額が年会費1口分と同額の2万円だった税控除対象者は、全体の約87%にあたる延べ1088人にのぼり、納付された資金が寄付ではなく会費だったとすれば、約490万円の税金が不正に還付された可能性がある。
「10年以上前から控除を受けている」と証言した会員もおり、不正な処理は長期間行われていた可能性もある。規正法では後援会費を、「規約」などに基づき政治団体の構成員が負担する金銭上の債務と規定。税控除の対象となる寄付には当たらないとしている。
草志会の入会案内によると、同会は「後援会を兼ねた政治団体」であり、同会の経費には会費などの収入を充てるとする「規約」を設けており、年会費は1口2万円。菅氏のホームページなどを通じて常時会員を募集しているが、同会が提出した過去5年分の収支報告書には、いずれも会員数の欄は「0」か空欄となっており、会費収入もなかった。だが、草志会への振込書には名目が「年会費」と記載されている。
■菅事務所の話
「草志会では『寄付』としていただいている。発行する領収書にも『政治資金規正法に基づく寄付』というただし書きを付けて渡している」
【用語解説】会費と寄付
政治資金規正法第4条は、会費を政治団体の規約その他に基づく金銭上の債務の履行として当該政治団体の構成員が負担するものと規定し、寄付を党費、会費その他債務の履行としてされるもの以外と定義。政治資金収支報告書に会費を寄付として記入した場合、虚偽記載に当たる可能性があり、同法第25条で5年以下の禁固または100万円以下の罰金の罰則が設けられている。
あきれます。以下、掲載します。
菅直人副総理・国家戦略担当相の資金管理団体で全国後援会の「草志会」が、支持者から集めた年2万円の「後援会費」を「寄付」として処理し、税額控除に必要な書類を総務省に交付させていたことが26日、産経新聞の調べで分かった。政治資金規正法は後援会費の税控除を認めておらず、多額の税金が不正に還付された恐れがある。後援会と称しながら、政治資金収支報告書では会員数が毎年ゼロ。識者からは「事実上の寄付金偽装」との批判も出ており、同法違反(虚偽記載)の疑いがある。(調査報道班)
産経新聞が総務省に開示請求した資料や、収支報告書によると、草志会は平成16〜20年の5年間に、個人から計約6千万円にのぼる寄付を集めたと総務省に報告し、このうち延べ1246人分の4224万9120円について「寄付金控除証明書」の交付を受けた。
だが、献金したとされる複数の支持者は、産経新聞の取材に対し「草志会の会費として納入した。証明書が来たので控除も受けた」と証言。菅氏側が本来は控除を受けられない会費について、不当に控除証明書を取得していたことが判明した。過去5年間で1回の振込額が年会費1口分と同額の2万円だった税控除対象者は、全体の約87%にあたる延べ1088人にのぼり、納付された資金が寄付ではなく会費だったとすれば、約490万円の税金が不正に還付された可能性がある。
「10年以上前から控除を受けている」と証言した会員もおり、不正な処理は長期間行われていた可能性もある。規正法では後援会費を、「規約」などに基づき政治団体の構成員が負担する金銭上の債務と規定。税控除の対象となる寄付には当たらないとしている。
草志会の入会案内によると、同会は「後援会を兼ねた政治団体」であり、同会の経費には会費などの収入を充てるとする「規約」を設けており、年会費は1口2万円。菅氏のホームページなどを通じて常時会員を募集しているが、同会が提出した過去5年分の収支報告書には、いずれも会員数の欄は「0」か空欄となっており、会費収入もなかった。だが、草志会への振込書には名目が「年会費」と記載されている。
■菅事務所の話
「草志会では『寄付』としていただいている。発行する領収書にも『政治資金規正法に基づく寄付』というただし書きを付けて渡している」
【用語解説】会費と寄付
政治資金規正法第4条は、会費を政治団体の規約その他に基づく金銭上の債務の履行として当該政治団体の構成員が負担するものと規定し、寄付を党費、会費その他債務の履行としてされるもの以外と定義。政治資金収支報告書に会費を寄付として記入した場合、虚偽記載に当たる可能性があり、同法第25条で5年以下の禁固または100万円以下の罰金の罰則が設けられている。