安倍晋三

2018年09月26日

安倍晋三首相 国連総会一般討論演説

安倍晋三首相 国連総会一般討論演説 (於 ニューヨーク) 9月25日 

 議長、ご列席の皆さま、向こう3年、日本のかじ取りを続けることとなった私は、連続6度目となります本討論に、思いを新たに臨みます。

 今からの3年、私は、自由貿易体制の強化に向け、努力を惜しみません。

 北東アジアから戦後構造を取り除くために、労をいといません。

■自由貿易の旗手として立つ

 思いますに、日本国民は、自国の指導者に対し、自由貿易の旗手として立つことを切望しておりました。なぜなら日本自身、戦後、自由で開放された経済体制の申し子として、貿易の利益に浴し、めざましく成長した国だったからです。

 自由貿易体制は、アジア諸国を順次離陸させ、各国に中産階級を育てました。背後には、1980年代以降、日本からこれら諸国に向かった大規模な直接投資がありました。

 みな、国際経済システムが、ルールに基づき、自由でオープンなものだったおかげです。

 このシステムに最も恩恵を受けた国・日本が、その保全と強化のため立たずして、他の誰が立つのを待てというのでしょう。日本の責任は、重大です。

 それは、日本の歴史に根差した使命でもあります。

 日本には、近代日本の産業化を支えた石炭のほか、めぼしい資源はありませんでした。しかし戦後の日本は、貿易の恵みに身をゆだねたところ、資源が乏しくても、奇跡といわれた成長を実現できたのです。

 貿易と成長の間の、今や常識と化した法則を、最初に身をもって証明した国が日本です。日本は、貿易の恵みを、世界に及ぼす使命を負っています。

 私は、時に国内の激しい議論を乗り越えて、自由貿易の旗を振りました。

 TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)11が成り、日本が国会でいち早くこれを承認できたことは、私にとって無上の喜びです。また世界史に特筆される規模と範囲の、日EU(欧州連合)・EPA(経済連携協定)も成立させました。

 とはいえ、満足してなどいられません。私は自らにドライブをかけ、さらに遠方を目指します。

 WTO(世界貿易機関)へのコミットメントはもちろん、東アジアに巨大な自由貿易圏を生むRCEP(東アジア地域包括的経済連携)の交渉に、私は全力を注ぎます。

 そして何よりも、米国との新貿易協議、いわゆるFFRを重んじます。

 日米両国は、長年、世界の中で自由貿易体制を引っ張ってきました。その成熟の帰結として、日本が米国に対し行ってきた直接投資は、英国に次いで多い、85万6000人の雇用を全米各州に生み出しました。

 いまや日本から米国に輸出される自動車が174万台なのに対し、米国国内で生産される日本車は、377万台です。

 それこそウィンウィン。そんな関係を、私は日米の間で続けていきたいと思っています。

 米国とだけではありません。日本は自由貿易の旗のもと、どの国、どの地域とも、互いが、互いの力になる関係を築いてまいりました。これからも、そうしていきましょう。

 アジア・太平洋からインド洋に至る広い地域に、今世紀にふさわしい自由で公正な経済のルールを広げるには、システムを作り、またそこから多大の恩恵を受けてきた国が、すなわち日本のような国こそが、これを主導しなくてはならない。私の、信念であります。

■北東アジアの戦後構造を取り除く

 私は先刻、北東アジアから積年の戦後構造を取り除くため、労をいとわないと申しました。

 私はいま、(ロシアの)ウラジーミル・プーチン大統領とともに、70年以上動かなかったこう着を動かそうとしています。

 大統領と私は今月の初め、ウラジオストクで会いました。通算22度目となる会談でした。近々、また会います。

 両国の間に横たわる領土問題を解決し、日露の間に、平和条約を結ばなくてはなりません。日露の平和条約が成ってこそ、北東アジアの平和と繁栄は、より確かな礎を得るのです。

 皆さま、昨年この場所から、拉致、核・ミサイルの解決を北朝鮮に強く促し、国連安全保障理事会決議の完全な履行を訴えた私は、北朝鮮の変化に最大の関心を抱いています。

 いまや北朝鮮は、歴史的好機を、つかめるか、否かの岐路にある。手つかずの天然資源と、大きく生産性を伸ばし得る労働力が、北朝鮮にはあります。

 拉致、核・ミサイル問題の解決の先に、不幸な過去を清算し、国交正常化を目指す日本の方針は変わりません。私たちは北朝鮮がもつ潜在性を解き放つため、助力を惜しまないでしょう。

 ただし幾度でも言わなくてはなりません。すべての拉致被害者の帰国を実現する。私は、そう決意しています。

 拉致問題を解決するため、私も、北朝鮮との相互不信の殻を破り、新たなスタートを切って、金正恩(朝鮮労働党)委員長と直接向き合う用意があります。いま決まっていることは、まだ何もありませんが、実施する以上、拉致問題の解決に資する会談にしなければならないと決意しています。

 日中関係についても一言させてください。本年始まった首脳間の往来は、来月、私が訪中し、その後には習近平国家主席を日本にお招きし、といった形で継続し、両国関係に、そしてこの地域に、決定的な安定の軸を加えていくでしょう。

■自由で開かれたインド太平洋戦略を進める

 北東アジアから対立構造を除いたとき、北極海から日本海、太平洋、インド洋へと抜ける海の回廊は、一層重みを増していきます。

 真上に位置し、広いEEZ(排他的経済水域)をもつ日本は、この海域と、またその上の空域が、安全で、平和であることを望みます。

 太平洋とインド洋、「2つの海の交わり」に、ASEAN(東南アジア諸国連合)諸国があります。かつて両洋を越え遠くアフリカに物産を伝えたのは、今で言う太平洋島しょ国の先達でした。

 私が「自由で開かれたインド太平洋戦略」を言いますのは、まさしくこれらの国々、また米国や豪州、インドなど、思いを共有するすべての国、人々とともに、開かれた、海の恵みを守りたいからです。

 洋々たる空間を支配するのは、制度に裏打ちされた法とルールの支配でなくてはなりません。そう、固く信じるがゆえにであります。

 先日、マレーシア、フィリピン、スリランカから日本に来た留学生たちが、学位を得て誇らしげに帰国していきました。学位とは、日本でしか取れない修士号です。

 海上保安政策の修士号。目指して学ぶのは、日本の海上保安庁が送り出す学生に加え、アジア各国海上保安当局の幹部諸君で、先日卒業したのはその第3期生でした。

 海洋秩序とは、力ではなく法とルールの支配である。そんな不変の真理を学び、人生の指針とするクラスが、毎年日本から海に巣立ちます。実に頼もしい。自由でオープンなインド・太平洋の守り手の育成こそは、日本の崇高な使命なのです。

■ガザから先生を招く

 さて皆さま、本演説の準備に当たり、私はささやかな、新しいプログラムを作りました。

 来年初め、ガザ地区から約10人、小中学校の先生を日本に招きます。これを第1陣として、毎年続けます。

 日本という異なる文化、歴史に身を置く教師たちは、ガザと中東を広い視野に置き、自分たちのことを見つめ直すでしょう。それは独特の、慰藉(いしゃ)の力を彼らに及ぼすのではないでしょうか。

 平和とはもちろん、当事者双方の努力が必要なのです。それでも願わくば、私たちのこのプログラムが、ガザの教師と子供たちに、希望のよすがを与えてくれたら。

 20年たつと、訪日経験をもつ先生は200人になる。彼らに教えを受けた生徒の数は数千人に達するでしょう。その日を待望いたします。

■日本と日本人は、未来を見据える

 本日、一端を述べて参りました日本外交の目的とは、世界と地域の未来を、確実なものとすることです。

 さらにそのうえで、私が願いますのは、日本の未来を生きる若人たちが、たくましくも、チャレンジに立ち向かってくれることです。それをやりやすい環境を生み出すことが、私たち世代の務めです。

 あたかも日本にはいま、新しい風が吹こうとしています。

 来年4月末から5月初めにかけ、天皇陛下が退位され、皇太子殿下が即位されます。今上陛下のご退位に伴う御代(おだい)替わりは、実に200年ぶり。10月には、お祝いくださる賓客を世界からお迎えします。

 来年6月、日本はG20(20カ国・地域)サミットを開きます。世界経済のあり方や環境問題など、国際社会が直面する課題についての議論を、私は議長として引っ張るつもりです。

 続けて8月、われわれはTICAD(アフリカ開発会議)を開きます。1993年以来日本が孜々(しし)として続け、アフリカ各国指導者から不動の信頼を得た会議の、第7回です。例えば私自身幾度も重要性を説いてきた「ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ」を、論じ合いましょう。

 お忘れなきよう。来年日本はラグビー・ワールドカップを開き、2020年には、東京がオリンピックとパラリンピックを開きます。私たちの目は、未来を見続けます。

 日本と日本の人々が未来に視線を据えるとき、日本は活力を増します。未来を見つめる日本人は、SDGs(持続可能な開発目標)の力強い担い手になります。そんな次世代の日本の若人は、「国連精神」の旗手として立派に働いてくれるだろう。私の確信です。

 最後に申し上げます。安保理改革が停滞する中、今世紀の世界における国連の意義は、今や厳しく問われています。

 けれどもだからこそ、日本は国連への貢献をやめません。グテレス事務総長とともに、日本は安保理改革、国連改革に邁進(まいしん)することをお約束し、私の討論を終わりにします。

 ありがとうございました。(了)

shige_tamura at 14:39|PermalinkComments(0)clip!

2018年09月21日

自民党総裁選挙、安倍首相が圧勝!

 自民党総裁選挙が終わり、安倍首相が圧勝しました。

 マスコミ報道は、いろいろです。

 安倍首相が553票、石破元幹事長が254票。
 安倍首相が石破氏を2倍以上の差をつけたのですから、圧倒的な差というべきです。
普通の選挙では、そう言います。

(6年前の総裁選挙の決戦投票結果は、安倍氏が108票、石破氏は98票で、
石破氏は、善戦しました。

安倍氏の党員投票は、6年前から2.5倍になった。
その結果、
安倍氏、29%→55%
石破氏、55%→45%
 ーとなりました。)

 ところが、今回、マスコミが、「石破氏が200票以上取ったから、善戦した」と報道してますが、誰が200票と決めたのか?
 石破氏を200票超えるか否か?
 あまりにも、石破氏に対して失礼です。
 どう考えても、最初から、200票は、軽く超えます。
 200票は、党員票で、過半数にいかない票です。これに、議員票が加わるのです。
 マスコミが、最初から、自民党総裁選挙結果を「石破氏、善戦」と報道したかったからでしょう。

 ホントに、最近のマスコミは、事実を踏まえた報道がなされないですね。

 これが、今の日本のマスコミ報道です。
 頭がおかしくなります。

 我々は、マスコミ報道に惑わされずに、事実を踏まえて、正しく判断することが必要です。

 僕は、最初から、議員票は安倍首相、党員票は、安倍首相が過半数取れるか否かで、それが焦点と思っていました。

 6年前は、石破氏が党員票で上回っていました。
 それを逆転するのは並大抵のことではないのです。
 安倍首相は、この6年間で、それを挽回したのです。

 選挙は、よく告示したら選挙は決まっているといわれています。
 選挙は、選挙中だけが選挙でないのです。選挙に入る前が、大事なのです。

 今回の自民党総裁選挙、安倍首相が自民党の国会議員の8割以上、党員の55%を獲得したのですから、安倍首相の圧勝ということになります。

 安倍首相は、これを踏まえて、人事を行い、憲法改正に向けて頑張ってもらいたいと思います。


shige_tamura at 12:25|PermalinkComments(0)clip!

安倍晋三自民党総裁記者会見(9月20日)

 安倍晋三自民党総裁記者会見@党本部

 「先ほど総裁選が終了し、あと3年、自民党総裁の重責を担うこととなりました。
 大変、身の引き締まる思いであります。
 まず、私の訴えに対して、力強いご支持をいただいた全ての同僚議員、そして党員・党友の皆さまに改めて、お礼を申し上げたい。
 特に、全国の党員・党友の皆さまからは、前回、6年前の総裁選の2.5倍、35万票を上回る得票をいただくことができました。これまで6年間にわたる経済政策、外交、安全保障政策の実績の上に、さらに3年間、この誇りある自民党を率い、引き続き国家・国民のため、強力なリーダーシップを発揮せよ、と力強く背中を押していただいたものと考えています」

 「直ちに仕事に取り掛からなければなりません。北海道胆振(いぶり)東部地震、台風21号、大阪北部地震、そして西日本豪雨。この夏は自然災害が相次ぎ、列島に甚大な被害をもたらしました。それぞれの被災地では多くの皆さんがいまなお、大変な困難に直面しておられます。総裁選の期間中も、政府として予備費の執行など、何よりも災害対応を第一に取り組んできたところでありますが、一日も早い生活再建、生業の復興に向けて、北海道全域で宿泊料金の割引を速やかに実施するなど、取り組みをさらに加速しなければなりません」

 「あわせて、この夏は猛暑による熱中症も相次ぐなど、全国の皆さんが近年の急減な気象の変化、それに伴う自然災害の増加に大きな不安を抱えておられます。この総裁選でも全国で防災・減災、国土強靱(きょうじん)化のための緊急対策を、3年間で集中的に実施することをお約束させていただきました。強靱なふるさとづくりは待ったなしの課題です。直ちに着手いたします。被災地の復興を加速することとあわせ、小中学校へのクーラー設置や、ブロック塀の安全対策など急を要する対策について、来る臨時国会に補正予算を提出する考えであります。速やかに編成作業を開始します」

 「週明けから外交も早速始動いたします。国連総会に出席するために、ニューヨークに向かいます。世界の首脳たちが集うこの機会を生かし、地球儀を俯瞰(ふかん)する視点で積極的な外交を展開する考えであります。トランプ大統領との日米首脳会談も行う予定です。通商協議(FFR)が進む中で、日米の通商関係の未来について、また、世界の新しいルール作りに向けて、日米両国が果たすべき役割についても大いに議論したいと考えています」

 「来月の私の中国訪問に向けた調整も進んでいます。その先には東アジアサミット(EAS)、アジア太平洋経済協力会議(APEC)、アルゼンチンでの20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)。こうした機会を生かし、ロシアのプーチン大統領とも首脳の会談を重ねていきたいと考えています」

 「さらには国際社会との連携のもとに、北朝鮮の核・ミサイル、そして何よりも重要な拉致問題の解決に向けて、次は私自身が金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長と向き合わなければならないと考えています。戦後日本外交の総決算を行っていく。そして、アジア太平洋からインド洋に至る広大な地域に新しい時代の平和と繁栄の礎を築く。わが国として、世界の真ん中で、強いリーダーシップを発揮していく考えです」

 「年が明ければ歴史的な皇位の継承が行われます。その後には、世界の主要な国々のリーダーを日本に招き、わが国が初めて、G20サミットの議長国を務めます。その翌年には東京オリンピック、パラリンピック。まさに、歴史の大きな転換点にあって、日本の明日を切り開いていく、私はその先頭に立つ決意であります。国難とも呼ぶべき少子高齢化に立ち向かい、激動する国際情勢の荒波に立ち向かっていく。
 そして、70年以上一度も実現してこなかった憲法改正にいよいよ挑戦し、平成のその先の時代に向かって新しい国造りに挑んでいきます」

 「そのスタートに当たって、国連総会から戻り次第、(自民)党役員人事、内閣改造を行う考えであります。未来を見据えた国造りという大事業に当たっては、できるだけ幅広い人材に活躍のチャンスを作りたいと考えています」

 「さて、現職首相が、総裁選挙に臨むのは15年ぶりのことでありました。平成15年の小泉純一郎首相の総裁選で、私は小泉陣営の対策本部で全力を尽くしておりましたが、得票は60%にとどまりました。本当に厳しい選挙でした。11年の小渕恵三首相の得票も68%。現職首相だからといって、楽な選挙など決してありません。しかし、今回はこうした過去の例を上回る全体で7割近い得票をいただくことができました。
 これは、私にとって大きな力であります。改めて感謝申し上げたいと思います。皆さんの支持こそが政策の推進力であり、リーダーシップの源流であります。そのことを私はこれまで5回の国政選挙において、痛感してまいりました」

 「集団的自衛権の一部行使を含む平和安全法制、消費税の使い道の見直しによる教育無償化、国論を二分するような改革も、国政選挙で国民の皆さまに信を問い、支持を得ることで実現することができた。これこそ、民主主義の真髄、民主主義のダイナミズムであります」

 「全ての世代が安心できる社会保障改革。戦後日本外交の総決算。そして制定以来初めての憲法改正、いずれも実現は容易なことではない。いばらの道であります。党内の議論も、他の政党との調整も一筋縄ではいかないかもしれない。しかし、今回の総裁選を通して、党内の大きな支持をいただくことができました。これは、これから3年間、私が自民党総裁として強いリーダーシップを発揮できる、党一丸となって大改革を断行する大きな力になるものと考えています。私からは以上であります」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

Q今回の総裁選で、3選を果たした一番の要因は何か。首相の政治姿勢に批判的な見解を示してきた石破茂元幹事長が国会議員票で73票、党員票で181票、全体で3割を超える票を得たことを踏まえ、今後の政権運営をどのように進める方針なのか。森友・加計学園問題をはじめとする一連の不祥事の対応について、党員から理解を得られたか?

A「これまでの6年間の経済政策、外交や安全保障政策について、そうした実績の上に、これから国難とも呼ぶべき少子高齢化に立ち向かっていくということ。そして国際情勢の荒波に立ち向かっていくという中で、戦後外交の総決算を行っていくということなどについて、具体的な政策を示させていただいた。私の訴えに対して、力強いご支持をいただいたというふうに考えております」

 「選挙はですね、すべからくそうでありますが、選挙に勝利を収めた以上、選挙でお約束をしたことを実行に移していく責任があります。自民党というのは、一旦、選挙で決着がつけば、議論が終結に至ればみんなで協力をして、そこで約束したことを実行に移していく。そういうことで長い間、戦後の背骨を背負うことができたんだろうと思っております。自民党は、活発な議論を行いますが、一旦結論が出れば、実現に全力を尽くす、それが自由民主党の伝統であり、矜持(きょうじ)であろうと思ってます」

 「また、今回の総裁選においても、いわゆるモリカケ問題については、テレビ番組や日本記者クラブにおいても大変多くの時間が割かれて、私も説明をさせていただいたところでございます。一度できあがったイメージを払拭することはそう簡単なことではありませんが、私なりに説明に努力をしてまいりました。その上において、選挙の結果、支持を得るということができたと考えております。これからも、求められれば、丁寧に説明を行っていく考えであります。あわせて、首相という立場が周囲に与える影響力などにしっかりと留意をしながら、今後も謙虚に丁寧に、そして慎重に政権運営にあたっていきたいと考えております」

Q内閣改造・党役員人事は具体的にいつ行うのか。適材適所の意味は。麻生太郎副総理兼財務相、菅義偉官房長官、二階俊博自民党幹事長ら政権の骨格を維持する考えか?

A「あの、大変、今、具体的なことを質問されましたが、まさに先ほど、総裁選の結果が出たばかりでありまして、それを受けて、これから考えていこうということでありました。総裁選を行っている最中にですね、人事のことを考えるのはまさに一生懸命頑張っていただいている方々に対して失礼でありますから、まさに私も総裁選、そして首相としての仕事がありますから、そこに集中をしてまいりました。これからですね、よく考えていきたいと思っております。ですから、いつ、党役員人事、そして改造、何月何日にやるということは今申し上げることができませんが、だいたい予測はつくんだろうというふうに思います」

 「その上でですね、今回の総裁選において、私は主に3つのことを訴えてきました。
 それは全世代型の社会保障制度へと大きく3年で改革を断行していくということ。
 そして、戦後日本外交の総決算を行っていくということ。
 そして憲法改正について、どういう考え方で、条文のイメージで改正を行っていくかということについて、訴えてまいりました」

 「全国の党員・党友、国会議員が参加をした今度の総裁選、結論が出た以上は、みんなで一致団結して進んでいく。これが先ほど申し上げましたとおり、自民党の伝統であろうと思っておりますし、同じ方向を向いて、その実現に向けて全力を尽くしていくべきだと、こう皆さん思っております。全ての同僚議員がその点に異論はないと思いますが、その上で人事は常に適材適所で考えてまいります。未来を見据えた国造りという大事業を進めていく上において、しっかりとした土台の上にできるだけ幅広い人材を登用していきたいと思います。しっかりとした土台の上にということで、お酌み取りいただきたいと思います」

Q憲法改正の段取りについて。来年夏の参院選前の発議も視野に入れているのか?

A「憲法改正は自民党結党以来の大きな目標、党是と言ってもよいと思います。そこで今回も総裁選の最大の争点であったと思います。憲法改正推進本部の議論を経て党大会で報告された条文イメージの上に、次の国会に案を提出できるように党を挙げて取り組むべきだと申し上げてきました。
 そして総裁選の結果、力強い支持を得ることができたと考えています。結果が出た以上、この大きな方針に向かってみんなで一致結束をして進んでいかなければならないと思います。総裁選で最大の争点になってきた。これはもう党の皆さんにはご理解いただけると思います」

 「しかし、党として案を国会提出に向けて幅広い合意が得られるように対応を加速してまいりますが、その際には友党の公明党との調整を行いたいと思います。その後のスケジュールは国会次第でありまして、予断を持つことはできないと思いますし、もちろん(衆参両院の)3分の2で発議をしていくことは相当高いハードルですし、できるだけ多くの方々に賛同していただく努力をしていくべきだろうと思います。これは党を中心にそうした努力を行っていただきたい」

Q北朝鮮による日本人拉致問題について。日朝首脳会談の時期は?

A「本年、米朝首脳会談が初めて開催されました。それまで国際社会と連携をしながら、北朝鮮をめぐるさまざまな問題に真正面から立ち向かうよう、国連でも決議を行い制裁を行ってきた。いわば日本は米国とともにリーダーシップを取ってきました。しかし、米朝首脳会談が初めて行われ、いわば北朝鮮が、金正恩朝鮮労働党委員長自身が話し合いの場に出てこられた。そして、19、20日と南北の首脳会談も行われています。ある意味では局面も大きく転換しようとしている中において、拉致問題についてしっかりと解決に向けて進めていかなければいけない」

 「米朝首脳会談の際に、トランプ大統領から直接金委員長に拉致問題について私の考え方、日本の考え方を伝えてくれました。次は金委員長と私自身が向き合って解決しなければならないと決意をしています。それに向かってですね、さまざまな努力をしていく。いかなるチャンスも見逃さないという考え方の上に対応に当たっておりますが、まさに交渉でありますから、今、中身について、どのように行っているのか、どういうことをしているのかということは申し上げられませんが、まさに、拉致問題の解決に資する首脳会談につなげていきたいと考えています」

Q経済政策「アベノミクス」について、足りないところはどこか。デフレ脱却に関し、物価上昇率2%の目標についてどこまでこだわるのか?

A「いまの論点は総裁選においても、相当深掘りできたと思います。私は具体的にお話をさせていただき、反論もさせていただきました。私たちが進めている経済政策が地方に及んでいないという議論が石破茂元幹事長からありましたが、初めて有効求人倍率が全ての47都道府県で1倍を超えました。高度経済成長期にもバブル期にも実現できなかったことです。地方の法人が仕事をして利益を得て税金を払う地方法人関係税収は、ほとんどの地域で4割、5割増えている。さらに地方創生を進めていきたいと思います」

 「女性活躍についても、200万人女性の雇用が増えました。例えば有価証券報告書に何人女性役員がいるということを明記することを求めた結果、2・5倍女性役員が増えた。これは政権交代前に比べると5倍のスピードです。つまり、具体的な政策をどのように進めていくかということが大切だろうと。そして、女性の皆さんのですね、月額の給与も平均1・3万円増えていますし、男女の給与差、収入も、最も差が縮んでいるわけであります。さらに、同一労働同一賃金や働き方改革を進めていくことによって、さらにそのスピードを速めていきたいと考えております」

 「そしてまた、最近のいい数字はですね、労働生産性について昭和35年度以来、最高を更新をしたわけでありまして、いわばサービス産業を含めて労働生産性がやっと上がりはじめてきていると思います。可処分所得などについてもですね、足下では上がってきています。2%の物価安定目標について。安倍政権において、デフレ脱却の道筋はしっかりとつけていかなければならない。この3年間でしっかりつけてまいります。デフレではないという状況は作り出すことができました。物価安定目標というのは、この目標に近づいていくことによって、まず最大の課題である雇用の最大化を図っていくということだが、それは今実現することができている。正社員の有効求人倍率が1倍を超えて過去最高となっております。日本銀行とともにマクロ政策を進めてきた結果です。いずれにせよ、金融政策は日本銀行に任せておりますが、しっかりと今の政策を進めていきたい。もちろんですね、さまざまな論点についても、目配りをきかせていきたいと考えています」

Q人事で石破氏や石破派を処遇するのか?

A「適材適所であります」

(了)

shige_tamura at 09:47|PermalinkComments(0)clip!

2018年08月27日

安倍総理・総裁の出馬表明

 昨日(8月26日)、鹿児島県垂水市で、安倍晋三総理が自民党総裁選挙への出馬を正式に表明した。
 これで、自民党総裁選挙が行われる。
 投票権のある自民党員は大喜びだ。
 これで、石破茂氏と一騎打ちの戦いとなる。

 マスコミは、自民党総裁選挙の有権者(自民党員)と関係のない国民対象の世論調査結果(今朝の読売新聞の全国世論調査)を発表するなどして、盛り上げを図ってくれる。
 これからは、マスコミが自民党モード一色となる。
 これは、自民党にとっても良いこと。
 「自民党とは、どんな政党か?」
 「総裁・総理を目指す人物は、どんな政策無事ビジョンを提示してくるのか?」

 自民党総裁選挙が、日本の将来を考える上で、良い材料を与えてくれる。
 我々も、これから展開される政策論争を聴きながら、日本の将来を考える良い材料としたい。
 自民党総裁選挙での論争をキッカケとして、自分と日本の将来について、じっくりと考えといいだろう。

 
 安倍総理(自民党総裁)は、8月26日、鹿児島県垂水市で総裁選出馬表明を行った。
 そこでの記者の質問での応答を記すことにする。

質問)総裁選の告示まで2週間を切ったが、出馬についての考えをお聞かせください?

答)「『日本を取り戻す』。この志のもと、党一丸となってこの5年8カ月、内政、外交に全力を尽くして参りました。5回の国政選挙において、国民の皆様から安定的な政治基盤をいただき、誰にも働く場所がある、まっとうな経済を取り戻し、外交においては日本の大きな存在感を取り戻すことができました。

 今こそ少子高齢化、激動する国際情勢に立ち向かい、次の時代の新たな国づくりを進めていく準備は整った。この思いで昨年、総選挙に打って出ました。そして国民の皆様から大きな支持をいただいたのは、わずか11カ月前のことであります。この国民の皆様の負託に応えていくことは、私の責任であります。

 来年、皇位の継承、そして日本で初めてG20(20カ国・地域)サミット(首脳会議)を開催します。そしてそのさらに先には、東京五輪・パラリンピックが開催されます。まさに日本は大きな歴史の転換点を迎える。今こそ日本の明日を切り開くときです。平成のその先の時代に向けて、新たな国づくりを進めていく。その先頭に立つ決意であります。

 6年前、大変厳しい総裁選を戦いました。厳しい総裁選となることは初めから分かっていましたが、国民のため、日本国のため、それでもなお挑戦しなければならない。その決意は今でも変わりはありません。そして、そのときの志にはいささかの揺らぎもありません。そして、この志を支える気力、体力、十二分であるとの確信に至った以上、責任を果たしていかねばならないと考えています。
 子供たちの世代、孫たちの世代に、美しい伝統あるふるさとを、そして誇りある日本を引き渡していくために、あと3年、自由民主党総裁として、内閣総理大臣として、日本のかじ取りを担う決意であります。その決意のもと、来月の総裁選に出馬いたします」

質問)総裁選の争点はどうお考えでしょうか?

答)「これから先の、まさに歴史の大きな転換点を迎える中にあって、日本の国づくりをどのように進めていくか。どのような国づくりをしていくかということが争点であろうと思います。そういう骨太の議論をしていきたいと思っています」

質問)石破茂元幹事長が政策テーマごとの討論会を求めていますが、応じるお考えはありますか?

答)「どのような総裁選にしていくか。これはまさにそれぞれの候補者が自分の考え方を持っておられるんだろうと思います。その中で、自由民主党において、選挙管理委員会がありますから、その中で、今までの総裁選挙と同じようにルールを決めて、しっかりとその中で論戦を戦わせるべきなんだろうと思います」




shige_tamura at 13:04|PermalinkComments(0)clip!

2017年10月05日

総選挙に臨む、自民党の主張・政策

 安倍総裁は、今日の読売新聞のインタビューで、

「アベノミクスを加速させ、経済の好循環を力強く回していきたい。もっと賃金が上がっていく状況を作りたい」
「北朝鮮の脅威と少子化にどう立ち向かうかが最大の争点になる。日本の未来を決める選挙だ」
「自民、公明両党の議席が過半数(233議席以上)に届かない場合、退陣する考え」
―と述べた。

 安倍首相はアベノミクスについて「約5年間で雇用は185万人増加した。企業は過去最高レベルの収益を上げている」と成果を強調する一方、アベノミクスを加速させる上で少子高齢化が「最大の壁」になっていると指摘した。
「少子高齢化を乗り越えていく」ため、2019年10月の消費税率10%への引き上げに伴う増収分の使途を変更し、高齢者中心の社会保障制度を「全世代型」に転換する方針を示した。

 希望の党がこれまで「消費増税凍結」を掲げてきたことには、「そもそも反対なのか、どういう状況なら(税率を)上げるのか。責任を持った言い方をすべきで無責任極まりない」と批判した。
民進党の事実上の解党や、希望、立憲民主党の結党を念頭に「政策がわからないまま離合集散が続くことは大変残念だ」として、「自民党は愚直に誠実に私たちの政策を訴える」と強調した。

 希望の小池代表(東京都知事)の衆院選出馬が取り沙汰されていることには、「出処進退は自身で決めることだ」と語った。その一方で、「小池知事は(前五輪開催国ブラジルの)リオ市長から五輪・パラリンピックを成功させる責任をしっかりと受け取った。東京は日本の顔で、都政の重責を担っている」とも述べ、都知事の職に専念することが望ましいとの考えをにじませた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 自民党の基本的な考え方は、「自民党 政権公約 2017」の安倍総裁の挨拶に集約されています。以下掲載します。


北朝鮮の脅威、そして少子高齢化。
この2つの国難を前に、今、政治には、明日を守り抜く重大な決断と実行力が問われています。
国民の信任なくして、前へ進んで行くことはできない。
私は、衆議院を解散し、政権の行方をかけて、皆様の信を問う決心をしました。

今、わが国を取り巻く安全保障環境は、戦後、最も厳しいと言っても過言ではありません。
北朝鮮による、弾道ミサイルの相次ぐ発射や核実験の強行など、度重なる挑発に対して、国際社会の連帯を強固なものとするため、私は、世界でリーダーシップを発揮していく決意です。
拉致、核、ミサイル問題の解決に向けて、北朝鮮の政策を変えさせるため、国際社会とともに、北朝鮮への圧力を最大限まで高めてまいります。
危機管理にも全力を尽くし、皆様の生命と財産を守り抜いてまいります。

少子高齢化が急速に進む中で、日本が成長を続ける道は何か。
アベノミクスは、2つの大改革で挑みます。
ロボット、IoT、人工知能など最先端のイノベーションで生産性を劇的に押し上げる「生産性革命」。
そして、人生100 年時代を見据え、あらゆる人にチャンスをつくる「人づくり革命」です。
いくつになっても学び直しとチャレンジの機会が保障される社会へ。
子供たちの誰もが、どんなに経済的に恵まれない家庭に育っても、意欲さえあれば進学できる社会へ。
幼児教育の無償化も一気に進め、全世代をあまねく支える社会保障制度へ、大きく舵を切ります。
2019 年10 月から10%へ引き上げる予定の消費税の安定財源を活用し、
従来からお約束していた年金、介護の充実に加え、
子育て世代の暮らしを守り、そして子供たちの未来を切り拓くため、投資を大胆に進めます。

この国を、守り抜く。
全身全霊を傾け、国民の皆様とともに、私は必ずやり遂げます。

                           自由民主党総裁 安倍晋三

ブログランキングに参加しています。
↓↓↓貴方の応援クリックが明日の活力になります↓↓↓

こちらをクリック
 


shige_tamura at 10:29|PermalinkComments(0)clip!

2017年09月26日

「国難突破解散」安倍内閣総理大臣記者会見(平成29年9月25日)

〇経済政策

 5年前、国民の皆様のお力を得て、政権を奪還しました。
 当時、私たちが公約に掲げた大胆な金融政策には大変な批判がありました。
 しかし、総選挙で勝利したからこそ実行に移すことができた。

 アベノミクス「三本の矢」を放つことで日本経済の停滞を打破し、マイナスからプラス成長へと大きく転換することができました。
 今、日本経済は11年ぶりとなる6四半期連続のプラス成長、内需主導の力強い経済成長が実現しています。雇用は200万人近く増加し、この春大学を卒業した皆さんの就職率は過去最高です。

 この2年間で正規雇用は79万人増え、正社員の有効求人倍率は調査開始以来、初めて1倍を超えました。正社員になりたい人がいれば、必ず1つ以上の正社員の仕事がある。この5年近く、アベノミクス改革の矢を放ち続けようやくここまで来ることができました。

 今こそ、最大の壁にチャレンジするときです。急速に少子高齢化が進むこの国がこれからも本当に成長していけるのか、この漠然とした不安にしっかりと答えを出してまいります。

 それは生産性革命、人づくり革命であります。この2つの大改革はアベノミクス最大の勝負です。国民の皆様の支持をいただき、新しい経済政策パッケージを年内に取りまとめ考えであります。

〇生産性革命

 4年連続の賃金アップの流れをさらに力強く持続的なものとする。
 そのためには生産性を高めていくことが必要です。ロボット、IOT、人工知能、生産性を劇的に押し上げる最先端のイノベーションが今、世界を一変させようとしています。生産生革命をわが国がリードすることこそ、次なる成長戦略の最大の柱であります。2020(平成32)年度までの3年間を生産性革命集中投資期間と位置づけ、中小小規模事業も含め企業による設備や人材への投資を力強く促します。

 大胆な税制予算、規制改革、生産生革命の実現に向かってあらゆる施策を総動員してまいります。生産性を押し上げ、今年より来年、来年より再来年、皆さんの所得を大きく増やしていく。デフレ脱却へのスピードを最大限まで加速してまいります。

〇人づくり革命(高等教育無償化)

 もう1つの最大の柱は人づくり革命です。子供たちには無限の可能性が眠っています。どんなに貧しい家庭に育っても、意欲さえあれば専修学校、大学に進学できる社会へと改革する。所得が低い家庭の子供たち、真に必要な子供たちに限って高等教育の無償化を必ず実現する決意です。授業料の減免措置の拡充と合わせ、必要な生活費を全てまかなえるよう、今月から始まった給付型奨学金の支給額を大幅に増やします。

 いくつになっても誰にでも学び直しと新しいチャレンジの機会を確保する。人生100年時代を見据え、その鍵であるリカレント教育を抜本的に拡充します。 こうしたニーズに応えられるよう、大学改革も強力に進めていかなければなりません。幼児教育の無償化も一気に進めます。
 2020年度までに3歳から5歳まで、すべての子供たちの幼稚園や保育園の費用を無償化します。0歳から2歳児も所得に低い世帯では全面的に無償化します。

 待機児童解消を目指す安倍内閣の決意は揺らぎません。
 本年6月に策定した子育て安心プランを前倒しし、2020年度までに32万人分の受け皿整備を進めます。2020年代初頭までに50万人分の介護の受け皿を整備する。

 最大の課題は介護人材の確保です。これまで自公政権で月額4万7000円の改善を実現してきましたが、他の産業との賃金格差を無くしていくため、さらなる処遇改善を進めます。

 子育て、介護、現役世代が直面するこの2つの大きな不安の解消に、大胆に政策資源を投入することでわが国の社会保障制度を全世代型へと大きく転換します。

 急速に少子高齢化が進む中、国民の皆さんの支持を得て、今実行しなければならない、そう決意しました。

〇消費税の使途

 2兆円規模の新たな政策を実施することでこの大改革を成し遂げてまいります。

 しかし、そのつけを未来の世代に回すようなことがあってはならない。人づくり革命を力強く進めていくためには、その安定財源として再来年10月に予定される消費税率10%への引き上げによる財源を活用しなければならないと私は判断いたしました。
 2%の引き上げにより、5兆円強の税収となります。現在の予定ではこの税収の5分の1だけを社会保障の充実に使い、残りの5分の4の4兆円余りは借金の返済に使うこととなっています。この考え方は、消費税を5%から10%へと引き上げる際の前提であり、国民の皆様にお約束していたことであります。

 この消費税の使い道を私は思いきって変えたい。
 子育て世代への投資と社会保障の安定化にバランス良く充当し、あわせて財政再建も確実に実現する、そうした道を追求してまいります。

 増税分を借金の返済ばかりでなく、少子化対策などの歳出により多く回すことで、3年前の8%に引き上げたときのような景気への悪影響も軽減できます。他方で、2020年度のプライマリーバランス黒字化目標の達成は困難となります。

 しかし、安倍政権は財政再建の旗を降ろすことはありません。プライマリーバランスの黒字化を目指すという目標自体はしっかりと堅持します。引き続き、歳出、歳入両面からの改革を続け、今後達成に向けた具体的な計画を策定いたします。少子高齢化という最大の課題を克服するため、わが国の経済、社会システムの大改革に挑戦する。私はそう決断いたしました。そして子育て世代への投資を拡充するため、これまでお約束していた消費税の使い道を見直すことを本日決断いたしました。


〇28日の衆院解散

 国民の皆さまとのお約束を変更し、国民生活に関わる重い決断を行う以上、速やかに国民の真意を問わねばならない、そう決心いたしました。


 28日に衆議院を解散いたします。

〇北朝鮮

 国民の皆さまは、北朝鮮の度重なる挑発に対して大きな不安を持っておられること思います。

 政府として、いついかなるときであろうとも危機管理に全力を尽くし、国民の生命と財産を守り抜く。もとより当然のことであります。他方、民主主義の原点である選挙が、北朝鮮の脅かしによって左右されるようなことがあってはなりません。むしろ私はこういう時期にこそ選挙を行うことによって、北朝鮮問題への対応について国民の皆さんに問いたいと思います。わが国を飛び越える弾道ミサイルの相次ぐ発射、核実験の強行、北朝鮮による挑発はどんどんエスカレートし、その脅威はまさに現実のものとなっています。

 こうした中で私は、国際社会の連帯をより強固なものとするため、米国、韓国はもちろんのこと、中国、ロシア、インド、欧州、中東、アジアの首脳たちと対話や協議を重ねてきました。そして先般、国連安全保障理事会が原油や石油製品の輸出制限を含む、厳格な制裁措置を全会一致で決定しました。

 まずこれを完全に履行する。さらに北朝鮮がその政策を変更しないのであれば、国際社会とともに一層圧力を強化してまいります。

 北朝鮮には勤勉な労働力があり資源も豊富です。北朝鮮が正しい道を歩めば、経済を飛躍的に延ばすこともできる。

 しかし、拉致、核・ミサイル問題の解決なくして、北朝鮮に明るい未来などあり得ません。北朝鮮にその政策を変えさせなければならない。そのための圧力であります。圧力の強化は北朝鮮を暴発させる危険があり、方針転換して対話をすべきではないかという意見もあります。世界中の誰も紛争など望んではいません。
 しかし、ただ対話のための対話には意味はありません。この20年間、わが国をはじめ、国際社会は6カ国協議など対話による平和的解決の努力を重ねてきました。その中で北朝鮮は2度にわたり、核・ミサイルの放棄を約束しましたが、結果としてそれらはことごとく裏切られ、核・ミサイル計画が継続されていた。

 対話の努力は時間稼ぎに利用されました。
 北朝鮮に全ての核、弾道ミサイル計画を完全な検証可能なかつ不可逆的な方法で放棄させなければならない。そのことを北朝鮮が受け入れない限り、今後ともあらゆる手段による圧力を最大限まで高めていく他に道はない、私はそう確信しています。

 そして、拉致問題の解決に向けて、国際社会でリーダーシップを発揮し、全力を尽くし参ります。

 北朝鮮が意図的に緊張をあおっている今だからこそ私たちはぶれてはならない。北朝鮮の脅かしに屈するようなことがあってはなりません。私はこの選挙で国民の皆さんから信任を得て、力強い外交を進めていく。北朝鮮に対して国際社会とともに毅然(きぜん)とした対応を取る考えであります。

〇森友、加計

 先の国会では森友学園への国有地売却の件、加計(かけ)学園による獣医学部の新設などが議論となり、国民の皆様から大きな不信を招きました。私自身、閉会中審査に出席するなど丁寧に説明する努力を重ねてまいりました。今後ともその考えに変わりはありません。

 この選挙戦でも野党の皆さんの批判はここに集中するかもしれない。こうした中での選挙は厳しい。本当に厳しい選挙となる。そのことは、もとより覚悟しています。

 しかし、国民の信任なくして、国論を二分するような大改革を前に進めていくことはできない。わが国の国益を守るため、毅然とした外交を推し進めることはできません。国民の皆様の信任を得て、この国を守り抜く決意であります。


〇「国難突破解散」

 少子高齢化、緊迫する北朝鮮情勢、まさに国難とも呼ぶべき事態に強いリーダーシップを発揮する。自らが先頭に立って国難に立ち向かっていく。
 これがトップである私の責任であり、総理大臣としての私の使命であります。苦しい選挙戦になろうとも、国民の皆様とともにこの国難を乗り越えるためにどうしても今、国民の声を聴かなければならない。そう判断致しました。

 この解散は「国難突破解散」であります。

 急速に進む少子高齢化を克服し、わが国の未来を開く。
 北朝鮮の脅威に対して国民の命と平和な暮らしを守り抜く。
 この国難とも呼ぶべき問題を私は全身全霊を傾け、国民の皆様とともに突破していく決意であります。私からは以上であります。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

Q:冒頭発言で解散理由について説明がありましたが、そういったことをある程度予想した上で、今回の解散にあたって、大義がないのではないか、北朝鮮情勢が緊迫する中、選挙を行うタイミングではないのではないか、野党からの国会召集要求に事実上応じず、森友・加計(かけ)問題の追及からの回避ではないか、といった指摘がある。そうした指摘に対し、どのように答えるか

A:「わが国が直面する最大の課題は、少子高齢化であります。これを克服していくためには、社会保障制度を全世代型のものへと大きく転換をしなければなりません。時間の猶予はない。待ったなしであります。大きな改革には当然大きな財源が必要となります。財源の目当てがないままでは、改革の中身それ自体が小さくなっていく恐れがあります。そのため本日、子育て世代への投資を拡充するため、これまでお約束をしていた消費税の使い道を思い切って大きく変えるという決断をいたしました」

「消費税の使い道は5%から10%に引き上げる際の前提であり、これは国民の皆様にお約束をしていたことでもあります。『代表なくして課税なし』(米国の独立戦争のスローガン)。税こそ民主主義であり、国民生活に大きく影響を与える税制においてこれまで約束した使い道を見直す。この大きな決断をする以上、国民の皆様にその信を問わなければならない。その判断を仰がなければならない。こう決心をしました」

「これは3年前の総選挙のときにも、消費税の引き上げ時期を先延ばしする以上、国民の信を問わなければならない。私たちが約束してきたことを変える以上、信を問わなければならない、とお答えいたしました」

「また、私たちが野党だった2012年、当時の与党の民主党に対して『民主党政権がマニフェストにない消費税の引き上げを行う以上、法案を出す前に総選挙を行って国民の信を問うべきだ』と私たちは主張してきました。私たちの主張は一貫しています。税に関わる大きな変更を行う以上、国民生活に大きく関わる変更を行う以上、国民に信を問わなければならないということであります」

「次に、臨時国会の召集時期でありますが、8月には予算編成に向けた概算要求作業がありました。9月には北朝鮮情勢が緊迫する中、ロシアやインドを訪問するなど外交日程をこなしてきました。先般は国連総会にも出席し、日米首脳会談あるいは日米韓の首脳会談等を行ったところでありまして、こうした内外の諸課題に対応するために、総合的に判断して今週の28日の召集を決定したものであります。憲法上問題はないと考えています」

「その上で申し上げれば、閉会中においても必要に応じて衆参あわせて15回閉会中審査を行いましたし、私自身も衆参の予算委員会に閉会中審査に出席するなど、丁寧な説明を積み重ねてきたところであります。今後もその考え方には変わりはありません」

「選挙はまさに民主主義における最大の論戦の場であります。こうした中での総選挙は、私自身への信任を問うことにもなるわけでありまして、私自身の信任も含めて与党の議員全ての、そして全国会議員の信を問うわけであります。それは追及回避どころか、こうした批判も受け止めながら、そこで国民の皆様に対してご説明もしながら、選挙を行う。むしろ大変厳しい選挙となることが予想されます」

「それを覚悟の上で、しかし先程申し上げましたように、税こそ、まさに民主主義であり、税にかかわる重大な変更については、国民の信を問わなければならないということは、従来から一貫して申し上げてきた私の、また私たちの考え方に沿って、今回解散するわけであります」

「また、北朝鮮について申し上げれば、日本と北朝鮮、大きな違いは国民の代表を、リーダーを選挙によって選ぶことであります。民主主義のまさにこれが原点です。その選挙戦が独裁体制である北朝鮮の脅かしによって影響を受けることがあってはならないと判断いたしました」

「もとより、危機管理に万全を尽くし、国民の生命と財産を守り抜いていくことは当然のことであろうと思っております」


Q:消費税の使い道の変更の件だが、プライマリーバランス(基礎的財政収支)の黒字化目標の達成が困難だという考えを示した一方で、財政再建の旗は降ろさないと述べた。なぜ借金返済分ではなくて、他の費目を削って無償化の財源にしないのか
 また、格差の固定化を防ぐ目的からは、高等教育だけでなく、幼児教育に関しても、3歳から5歳の部分に関しても所得制限を設けた方がよいのではないか
 教育の質の確保の観点から無償化の対象となる大学や専門学校に関しては、学校の選別、線引きをすることは考えないのか

A:「少子高齢化という最大の壁に挑戦するわけであります。その少子高齢化という最大の課題を克服するためにはですね、わが国の社会経済システムを大きく転換させなければならないわけでありまして、大胆な改革が必要であります」

「ですから、財源については10%引き上げ時のですね、消費税増収分を充当することとしました。増収分を借金の返済と、いわばこれは社会保障の安定化でもありますが、子育て世帯への投資とにバランスよく充当し、合わせて財政再建も確実に実現する考えであります」

「確かに、予算の無駄を省くことは当然でありますが、これだけ大きな予算、他の予算を削るだけで出てくるかどうか。あるいは他の予算から削ってきたものでそれを充当しようとすると、残念ながら、その規模は非常に小さくなってしまう可能性もあるわけであります」

「私たちは、無駄遣いをなくせば2兆円出てくると無責任なことを言うわけにはいかないわけでありまして、もちろん無駄遣いは、これはしてはならない。その中で例えば私たちは、社会保障の伸びを抑えるということによって、伸びを5000億円以下、1兆円伸びるものを、5000億円以下に何回か抑えているわけでありまして、これは小泉(純一郎)政権当時の2200億よりも多くの伸びを抑えているわけであります」

「すでにそういう努力はしておりますし、それはこれからも続けていくわけであります。その上において、これだけ大きな改革を行うわけでありますから、その予算については安定財源をあらかじめしっかりと、お示ししなければならない」

「繰り返しになりますが、まだ目途もないのに、他の予算を削って2兆円を出しますという、そういう無責任なことは言うべきではないと考えております」

「そしてまた、幼児教育の無償化は、若い子育て世帯を応援し、社会保障を全世代型へ抜本的に変えるために一気に進めていく必要があると考えています。広く国民が利用している3歳から5歳児の幼稚園、保育所については全面無償化します。また、0〜2歳児についても、待機児童の解消を進めていくとともに、所得の低い世帯について、保育所無償化を行うことを考えています」

「高等教育については、格差の固定化を防ぐため、どんなに貧しい家庭に育っても意欲さえあれば専修学校や高等教育、大学にも進学できる。そういう社会に変革をしなければならないと考えています」

「つまり、より多くの人たちが、その才能を生かせる社会にしなければ少子高齢化社会を乗り切っていくことができないわけでもあります」

「真に必要な子供に限って、高等教育の無償化を必ず実現していく考えであります。そして、無償化対象とする大学の線引きについてでありますけども、高等教育の無償化について真に必要な子供への支援をですね、線引きすることは考えていませんが、同時に大学改革も強力に進める必要があります。その実効性も上げなければならないと考えています。いずれにせよ、詳細な制度設計については今後、政府与党においてしっかりと詰めていきたいと考えています」


Q:先週、トランプ米大統領が北朝鮮のリーダーを「ロケットマン」と呼び、米国は北朝鮮を完全に破壊するしか選択はないかもしれないと述べた。このコメントは日本をより安全にするのか。それとも日本人の安全性は低くなるのか

A:「トランプ大統領の個々の発言についてのコメントは控えたいと思いますが、日本は全ての選択肢がテーブルの上にあるとの米国の立場を一貫して支持しています。国連総会の機会に、トランプ大統領と日米韓首脳会談、そして日米首脳会談を行い、日米は100%共にあることを確認しました。今後とも北朝鮮に対して、北朝鮮がその政策を変えるまで、日米でしっかりと協力をしながら、国際社会とも連携しながら、圧力をかけ続けていきたいと思います」


Q:今日、東京都の小池百合子知事が、国政政党「希望の党」を立ち上げると表明した。小池知事は都議選で「都民ファーストの会」で圧勝して、自民党が惨敗した経緯もある。希望の党が国政、自民党、総理の戦いにどういう影響を与えるのか。自公協力についてはどういう影響を与えるのか

A:「希望というのはいい響きだと思います。小池知事は、第1次安倍政権では安全保障担当の補佐官を務めてくれました。また、(女性)初の防衛大臣も第1次安倍政権で務めていただきました。つまり、安全保障、基本的な理念は同じだろうと、このように思います。政治手法において少し違うのかもしれませんが、いわばこの選挙においてはさまざまな政党がしっかりと、その政策を前面に打ち出しながら、建設的な議論を行うことによって、国民の期待に応えていきたい、このように思います」

「いずれにせよ、東京都知事である小池知事とはですね、東京オリンピック、パラリンピックを一緒に成功させなければならないという共通の目標を持っています。その上で、選挙戦はフェアに戦いたいなと、こう思っています」


Q:今回の衆院選の勝敗ラインをどのように考えているか。2兆円の経済政策という話があったが、財源については消費増税の使途変更で全てまかなうつもりなのか。それでも足りない場合はさらなる企業、国民の負担増も考えているのか

A:「まず、勝敗ラインでありますが、衆議院選挙は政権選択の選挙であります。いわば自公政権を選んでいただけるのか、あるいは野党政権を選ぶのかを決める選挙でありますから、当然過半数をとれば政権をとり、過半数をとれなければ下野する、私は辞任することになります。ですから目標は常に過半数、与党で過半数であります。これは、2014年の選挙の時にも申し上げましたし、また小泉(純一郎)総理の時の郵政解散でも与党で過半数ということを勝敗ラインとして掲げたわけであります」

「しかし、この選挙戦は相当厳しい選挙戦になるわけでありまして、それは覚悟の上でありますが、全力を尽くして与党で過半数を上回らなければならないと考えています」

「今回から定数が10議席削減されました。ですから、自公連立政権で233が勝敗ラインといっても良いと思います。233議席以上を取りたい、こう考えています。同時に私は自由民主党の総裁でもありますから、全候補の当選を期して一丸となって全力を尽くしていきたいと考えています」

「それと財源の問題でありますが、先程、おおむね2兆円必要であるというお話をさせていただいたところであります。その中で消費税について、この安定化財源との関係においては、おおむね半々ということになるのだろうと思いますが、それ以外に例えば、党において、子ども保険という議論もありました。保険でどれくらい対応するのかどうかという議論もあると思います。保険ということになれば企業の負担も出てくるということかもしれませんが、そうしたことも含めて、党内において具体的には議論していくことになると思いますが、大層はですね消費税から充当していきたいと、こう考えております」


shige_tamura at 09:27|PermalinkComments(0)clip!

2017年09月21日

安倍内閣総理大臣/国連演説全文(9月20日)

1、
 議長、ご列席の皆さま、本日私はまず、「持続可能な開発目標(SDGs)」の実施にかける、われわれの情熱をお話ししようと思っていました。国内の啓発を図る工夫にも、ご紹介したいものがありました。
 いわゆる「We―Fi」、女性起業家を資金で支える計画が私個人や日本政府にとって、なぜ重要か。
「ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ」(UHC)のことを、私は「日本ブランドにする」と言っています。本年12月、われわれは東京でUHCを主題に大きな会議を開きます。
 語るべきことの、リストは長い。
 法の支配に対するわれわれの貢献。パリ協定に忠実たろうとするわれわれの決意。世界のインフラ需要に対し、質の高い投資をもって臨むわれわれの政策。
 また、日本がどこまでも守りたいものとは、フリーで、リベラルで、オープンな国際秩序、多国間の枠組みであります。
 まさに、それらを守る旗手・国連に寄せる世界の期待はいよいよ高い。ならばこそ、安全保障理事会を、時代の要請に応じ、いち早く、変革すべきなのです。変革のため日本は友人たちと努めます。安保理常任理事国として、世界平和に積極的役割を果たすのが、日本の変わらぬ決意だと、私は主張するつもりでありました。
 けれども私は、私の討論をただ一点、北朝鮮に関して集中せざるを得ません。

2、
 9月3日、北朝鮮は核実験を強行した。それが水爆の爆発だったかはともかく、規模は前例をはるかに上回った。
 前後し、8月29日、次いで、北朝鮮を制裁するため安保理が通した「決議2375」のインクも乾かぬうち、9月15日に北朝鮮はミサイルを発射した。いずれも日本上空を通過させ、航続距離を見せつけるものだった。
 脅威はかつてなく重大です。眼前に差し迫ったものです。
 われわれが営々続けてきた軍縮の努力を北朝鮮は一笑に付そうとしている。不拡散体制は、その史上最も確信的な破壊者によって深刻な打撃を受けようとしている。
 議長、同僚の皆さま、このたびの危機は、独裁者の誰彼が大量破壊兵器を手に入れようとするたび、われわれがくぐってきたものと、質において、次元の異なるものです。
 北朝鮮の核兵器は、水爆になったか、なろうとしている。その運搬手段は早晩、大陸間弾道ミサイル(ICBM)になるだろう。
 冷戦が終わって二十有余年、われわれは、この間、どこの独裁者にここまで放恣にさせたでしょう。北朝鮮にだけは、われわれは結果として許してしまった。
 それはわれわれの、目の前の現実です。
 かつ、これをもたらしたのは、「対話」の不足では、断じてありません。

3、
 対話が北朝鮮に、核を断念させた、対話は危機から世界を救ったと、われわれの多くが安堵したことがあります。一度ならず、二度までも。
 最初は1990年代の前半です。
 当時、北朝鮮がなしたどう喝は、国際原子力機関(IAEA)など、査察体制からの脱退を、ちらつかせるものにすぎませんでした。
 しかし、その意図の、那辺を察したわれわれには、緊張が走った。
 いくつか曲折を経て、94年10月、米朝に、いわゆる「枠組合意」が成立します。
 核計画を。北朝鮮に断念させる。その代わりわれわれは、北朝鮮にインセンティブを与えることにした。
 日米韓は、そのため、翌年の3月、朝鮮半島エネルギー開発機構(KEDO)をこしらえる。これを実施主体として、北朝鮮に、軽水炉を2基、つくって渡し、また、エネルギー需要のつなぎとして、年間50万鼎痢⊇徒を与える約束をしたのです。
 これは順次、実行されました。ところが、時を経るうち、北朝鮮は、ウラン濃縮を、着々と続けていたことが分かります。
 核を捨てる意思など、もともと北朝鮮にはなかった。それが誰の目にも明らかになりました。発足7年後の2002年以降、KEDOは活動を停止します。
 北朝鮮はその間、米国、韓国、日本から支援を詐取したと言っていいでしょう。
 インセンティブを与え、北朝鮮の行動を変えるというKEDOの枠組みに価値を認めた国は徐々に、KEDOへ加わりました。
 欧州連合(EU)、ニュージーランド、オーストラリア、カナダ、インドネシア、チリ、アルゼンチン、ポーランド、チェコそしてウズベキスタン。
 北朝鮮は、それらメンバー全ての、善意を裏切ったのです。
 創設国の一員として、日本はKEDOに無利息資金の貸与を約束し、その約40%を実施しました。約束額は10億法実行したのは約4億砲任后

4、
 KEDOが活動を止め、北朝鮮が核関連施設の凍結をやめると言い、IAEA査察官を追放するに及んだ、2002年、2度目の危機が生じた。
 懸案はまたしても、北朝鮮がウラン濃縮を続けていたこと。そしてわれわれは、再び、対話による事態打開の道を選びます。
 KEDO創設メンバーだった日米韓3国に、北朝鮮と中国、ロシアを加えた、6者会合が始まります。2003年8月でした。
 その後、2年、曲折の後、2005年の夏から秋にかけ、6者は一度合意に達し、声明を出すに至ります。
 北朝鮮は、全ての核兵器、既存の核計画を放棄することと、核拡散防止条約(NPT)と、IAEAの保障措置に復帰することを約束した。
 そのさらに2年後、2007年の2月、共同声明の実施に向け、6者がそれぞれ何をすべきかに関し、合意がまとまります。
 北朝鮮に入ったIAEAの査察団は、寧辺にあった、核関連施設の閉鎖を確認、その見返りとして、北朝鮮は、重油を受け取るに至るのです。
 一連の過程は、今度こそ、粘り強く対話を続けたことが、北朝鮮に、行動を改めさせた、そう思わせました。
 実際は、どうだったか。
 6者会合のかたわら、北朝鮮は2005年2月、「われわれは、既に核保有国だ」と、一方的に宣言した。
 さらに2006年の10月、第1回の核実験を、公然、実施した。
 2度目の核実験は、2009年、結局北朝鮮は、この年、「再び絶対に参加しない」と述べた上、6者会合からの脱退を表明します。
 しかもこのころには、弾道ミサイルの発射を、繰り返し行うようになっていた。

5、
 議長、同僚の皆さま、国際社会は北朝鮮に対し、1994年からの十有余年、最初は「枠組合意」、次には「6者会合」によりながら、辛抱強く、対話の努力を続けたのであります。
 しかし、われわれが思い知ったのは、対話が続いた間、北朝鮮は核、ミサイルの開発を諦めるつもりなど、まるで持ち合わせていなかったということであります。
 対話とは、北朝鮮にとって、われわれを欺き、時間を稼ぐため、むしろ最良の手段だった。
 何よりそれを、次の事実が証明します。
 すなわち1994年、北朝鮮に核兵器はなく、弾道ミサイルの技術も成熟にほど遠かった。それが今、水爆とICBMを手に入れようとしているのです。
 対話による問題解決の試みは、一再ならず、無に帰した。
 何の成算あって、われわれは三度、同じ過ちを繰り返そうというのでしょう。
 北朝鮮に、全ての核・弾道ミサイル計画を、完全な、検証可能な、かつ、不可逆的な方法で放棄させなくてはなりません。
 そのため必要なのは、対話ではない。圧力なのです。

6、
 議長、同僚の皆さま、横田めぐみという、13歳の少女が、北朝鮮に拉致されて、本年11月15日、ついに40年を迎えます。
 めぐみさんはじめ、多くの日本人が、いまだに北朝鮮に拉致されたままです。
 彼らが、一日も早く祖国の土を踏み、父や母、家族と抱き合うことができる日が来るよう、全力を尽くしてまいります。
 北朝鮮の核・ミサイルの脅威に対し、日本は日米同盟によって、また、日米韓3国の結束によって立ち向かいます。
 「全ての選択肢はテーブルの上にある」とする米国の立場を一貫して支持します。
 その上で私は、北朝鮮に対し厳しい制裁を科す安保理決議2375号が、9月11日、安保理の全会一致で採択されたのを、多とするものです。
 それは、北朝鮮に対する圧力をいっそう強めることによって、北朝鮮に対し、路線の根本変更を迫るわれわれの意思を、明確にしたものでした。
 しかし、あえて訴えます。
 北朝鮮は既に、ミサイルを発射して、決議を無視してみせました。
 決議はあくまで、始まりにすぎません。
 核・ミサイルの開発に必要な、モノ、カネ、ヒト、技術が、北朝鮮に向かうのを阻む。

 北朝鮮に累次の決議を完全に履行させる。
 全ての加盟国による一連の安保理決議の、厳格かつ全面的な履行を確保する。
 必要なのは行動です。北朝鮮による挑発を止めることができるかどうかは、国際社会の連帯にかかっている。
 残された時間は多くありません。

7、
 議長、ご列席の皆さま、北朝鮮はアジア・太平洋の成長圏に隣接し、立地条件に恵まれています。勤勉な労働力があり、地下には資源がある。
 それらを活用するなら、北朝鮮には経済を飛躍的に伸ばし、民生を改善する道があり得る。
 そこにこそ、北朝鮮の明るい未来はあるのです。
 拉致、核、ミサイル問題の解決なしに、人類全体の脅威となることで、開ける未来など、あろうはずがありません。
 北朝鮮の政策を、変えさせる。そのために私たちは、結束を固めなければなりません。

 ありがとうございました。

shige_tamura at 14:35|PermalinkComments(0)clip!

2017年09月12日

第51回自衛隊高級幹部会同 安倍内閣総理大臣訓示(平成29年9月11日)

本日、我が国の防衛の中枢を担う幹部諸君と一堂に会するに当たり、自衛隊の最高指揮官たる内閣総理大臣として、一言申し上げたいと思います。
 九州北部豪雨の現場で、濁流に漬かりながら、人命救助や行方不明者の捜索に当たる諸君。豪雨が続く被災地では、避難される方々に寄り添い、心の支えとなりました。
 灼熱(しゃくねつ)のアデン湾、南スーダンで世界の平和と安全のため、黙々と汗を流す諸君。自衛隊の諸君の、高い使命感に裏打ちされた懸命な姿が、私だけでなく、多くの国民の瞼(まぶた)に浮かびます。

 北朝鮮による、我が国上空を飛び越えるミサイル発射や核実験という暴挙。
 自衛隊は、発射直後から落下まで、ミサイルの動きを、切れ目なく完全に探知・追尾していました。速やかな放射能調査により、国民の安全を確認しました。北朝鮮がミサイル発射の検討を表明した時には、即座にPAC−3部隊とイージス艦を展開させました。県民の安心につながった。迅速な対応に感謝する。島根、広島、愛媛、高知の知事からの言葉です。
 国民の負託に全力で応え、与えられた任務を全力で全うする隊員諸君。国民から信頼を勝ち得ている自衛隊員は、私の誇りであります。

 同時に、我々は、信頼に応える責任の重みを、噛(か)み締めなければならない。南スーダンの日報問題をめぐっては、国民の皆様から大きな不信を招く結果となりました。最高指揮官として、国民の皆様に、おわびを申し上げたいと思います。

 真に国民のための自衛隊たれ。自衛隊創設以来のこのすばらしい理念を、今一度、しっかりと胸に刻み、国民の負託に応えていく。最高指揮官たる私自身が、先頭に立って、皆さんと共に全力を傾けたいと思います。

 かつて、東西冷戦構造の下では、脱脅威論、すなわち、目の前の脅威に直接対抗しない、という考え方が、我が国の防衛政策の中核でありました。しかし、厳しさを増す我が国の安全保障環境を前に、我々は、目の前の現実に、真正面から向き合わねばなりません。
 安全保障政策を立て直す。この信念から、10年前、国の防衛という国家の最も基本的な権能を担う組織の、在るべき姿として、防衛省を設置しました。二次政権発足後、国益を長期的視点から見定め、我が国の安全を確保していくため、我が国初となる国家安全保障戦略を策定し、その司令塔として国家安全保障会議を設置しました。積極的平和主義の下、防衛装備移転三原則を策定し、さらに、限定的な集団的自衛権の行使を含む平和安全法制を制定、及び、新たな防衛協力ガイドラインを日米で合意しました。
 我が国を取り巻く安全保障環境の現実を直視するとき、これらの政策は、全く間違っていなかった。私はそう確信します。

 北朝鮮による、我が国上空を飛び越えるミサイル発射や核実験という暴挙。相次ぐ国籍不明機による領空接近。真正面から向き合い、こうした枠組みの下で、万全の対応をとらなければなりません。
 安全保障政策の根幹となるのは、自らが行う努力であります。自らの手で、自らを守る気概なき国を、誰も守ってくれるはずがありません。同時に、地域の平和と安定なくして、我が国の平和もあり得ません。

 我が国自身の防衛力を強化し、自らが果たし得る役割の拡大を図っていく。小野寺大臣には、防衛大綱の見直しと、次期中期防衛力整備計画の検討を指示しました。これまでの考え方を、所与のものとすることはできません。将来の在るべき防衛力の姿に思いを致し、これからの時代にも妥当性があるのかどうか、不断の検討を行っていくことが必要です。自衛隊が向き合う現実を、一番よく知るのは、今日、この場にいる諸君であります。
 現場からの忌憚(きたん)のない意見を積極的に提示してもらいたい。諸君の貢献に期待しています。

 国民の安全を守り、地域の安定を維持するためには、日米同盟の強化が不可欠です。助け合うことのできる同盟は、その絆を強くする。平和安全法制と新ガイドラインの下、日米の絆は、かつてない強固なものとなっています。北朝鮮が挑発行為を繰り返す中、その脅威を抑止しなければならない。
 今年、日本海で米空母2隻と史上初となる日米共同訓練を行いました。戦略爆撃機との共同訓練も重ねています。我々は、米国と共に防衛態勢と能力の向上を図るべく、具体的な行動をとっていかなければなりません。

 普遍的価値と戦略的利益を共有する国々との協力の強化も極めて重要です。今年、史上初めて、日本、米国、英国、フランスの4か国による共同訓練を行いました。インドと米国との3か国の共同訓練「マラバール」も、今後、恒常的に実施していきます。
 連携強化のインフラであるACSA(物品役務相互提供協定)についても、今年、豪州、英国との協定を締結し、フランスと締結交渉を開始しました。今後とも、戦略的な国際防衛協力を積極的に推進してもらいたいと思います。

 昨年、この場で、適者生存という言葉を紹介しました。生存競争において、勝ち残ることができるのは、最も力がある者ではありません。その環境に最も適応した者。すなわち、環境の変化に柔軟かつ迅速に対応できた者であります。

 その一例として、自衛隊が新たな時代に適応できるかどうかの試金石は、女性活躍であると申し上げました。残念ながら、昨年、この場に女性の将官の姿はありませんでした。
今年は、近藤奈津枝さんが列席している。大変、うれしく思います。
 男性中心の働き方文化の改革。改革は、これで終わりではありません。
 新たな時代に適応する。自衛隊は、ここ数年、大きな組織改革、制度改革を積み重ねてきました。これらの真価を発揮させるには、より一層、一体的かつ機動的な組織文化へと、変革を遂げていく必要がある。

 国民目線を忘れず、全体を俯瞰(ふかん)しながら、柔軟に事に当たる。諸君の行動の一つ一つが、変革につながります。新たな組織と制度に、しっかりと魂を入れていってほしいと思います。

 そして、最高指揮官たる内閣総理大臣と、防衛省、自衛隊が、一体となって、事に当たることができるよう、常に心を砕いてほしい。そう思っています。

「只今がその時、その時が只今なり」

 江戸時代の武士、山本常朝(じょうちょう)の「葉隠(はがくれ)」に記された言葉です。常日頃から、備えを万全とするために、不断に自己を磨く。

 国際情勢は、一層複雑化し、私たちが望むと望まざるとに関わらず、激変を続けています。昨日までの平和は、明日からの平和を保障するものではありません。

 こうした状況の変化を、しっかりと見定めながら、あらゆる事態に備え、国民の命と平和な暮らしを守る。この崇高な任務に対し、いかなる困難にもひるまず、強い使命感を持って、たゆまぬ努力を続けていただきたい。

 国民の生命・財産、領土・領海・領空を断固として守り抜く。最高指揮官である私を含め、一人一人が、国民の負託に応えるため、全力を尽くしていかねばなりません。諸君と共に改めてそのことを誓いたいと思います。

 私と日本国民は、常に、諸君を始め全国25万人の自衛隊と共にあります。その自信と誇りを胸に、日本と世界の平和と安定のため、ますます精励されることを切に望み、私の訓示といたします。


平成29年9月11日
自衛隊最高指揮官
内閣総理大臣   安倍 晋三


shige_tamura at 13:28|PermalinkComments(0)clip!
ランキング一覧

人気blogランキング

人気blogランキングに参加しました。
応援よろしくお願いします。
月別アーカイブ
最新コメント