安保・防衛政策

2017年04月19日

対北朝鮮「敵基地反撃能力」を日本が保有しなければならない理由

対北朝鮮「敵基地反撃能力」を日本が保有しなければならない理由
『田村重信』

北朝鮮の金正恩委員長は、核兵器とミサイル開発を進めて抑止力を向上、通常兵器を削減し、その余力で経済建設を行うという「併進路線」を推進している。
 昨年の2度の核実験および23発の弾道ミサイル発射に加え、3月6日には石川県能登半島沖のわが国の排他的経済水域内に3発を着弾させ、「在日米軍攻撃担当部隊が参加」と発表するなど、北朝鮮の挑発行為はわが国が到底看過できないレベルに達している。

以下はiRONNAをご覧ください。http://ironna.jp/article/6323


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2017年03月29日

自民党の「弾道ミサイル防衛の迅速かつ抜本的な強化に関する提言」(全文)

 小野寺五典元防衛大臣・弾道ミサイル防衛に関する検討チーム座長の「弾道ミサイル防衛の迅速かつ抜本的な強化に関する提言」が、自民党安全保障調査会・国防部会合同会議で了承されました。

平成29年3月29日
自由民主党安全保障調査会
弾道ミサイル防衛に関する検討チーム

 北朝鮮による度重なる核実験及びミサイル発射は深刻な脅威であり、昨年の2度の核実験及び 23発の弾道ミサイル発射に加え、今月6日には石川県能登半島沖のわが国の排他的経済水域内に3発を着弾させ、「在日米軍攻撃担当部隊が参加」と発表する等、北朝鮮の挑発行為はわが国が到底看過できないレベルに達している。
 さらに、移動式発射台及び潜水艦からの発射、固体燃料を用いた弾道ミサイルの発射、高軌道に打ち上げ高速で落下するロフテッド軌道による発射等、北朝鮮はわが国及び同盟国にとって探知や迎撃が通常より困難となる技術を獲得しつつあると考えられ、北朝鮮の脅威が新たな段階の脅威に突入したとみなければならない。
 もはや、わが国の弾道ミサイル防衛の強化に一刻の猶予もなく、今般、党安全保障調査会の下に「弾道ミサイル防衛に関する検討チーム」を急遽発足させ、これまでとは異なる北朝鮮の新たな段階の脅威に対して有効に対処すべく、あらゆる実効性の高い方策を直ちに検討し、政府に対し予算措置を含め、その実現を求めることとした。
 ついては、以下三点に関し、政府において実現に向けた検討を迅速に開始し、さらなる抑止力の向上により、北朝鮮にこれ以上の暴挙を断念させるとともに、国民保護体制の充実を含めたより一層の対処力の強化により、万が一の際に国民の生命、わが国の領土・領海・領空を守り抜く万全の備えを構築することを求めるものである。

         記

1.弾道ミサイル防衛能力強化のための新規アセットの導入
 イージスアショア(陸上配備型イージスシステム)やTHAAD(終末段階高高度地域防衛)の導入の可否について成案を得るべく政府は直ちに検討を開始し、常時即応体制の確立や、ロフテッド軌道の弾道ミサイル及び同時多発発射による飽和攻撃等からわが国全域を防衛するに足る十分な数量を検討し、早急に予算措置を行うこと。また、将来のわが国独自の早期警戒衛星の保有のため、関連する技術開発をはじめとする必要な措置を加速すること。
 あわせて、現大綱・中期防に基づく能力向上型迎撃ミサイルの配備(PAC−3MSE:平成32年度配備予定、SM−3ブロック僑繊平成33年度配備予定)、イージス艦の増勢(平成32年度完了予定)の着実な進捗、事業の充実・更なる前倒しを検討すること。

2.わが国独自の敵基地反撃能力の保有
 政府は、わが国に対して誘導弾等による攻撃が行われた場合、そのような攻撃を防ぐのにやむをえない必要最小限度の措置として、他に手段がない場合に発射基地を叩くことについては、従来から憲法が認める自衛の範囲に含まれ可能と言明しているが、敵基地の位置情報の把握、それを守るレーダーサイトの無力化、精密誘導ミサイル等による攻撃といった必要な装備体系については、「現在は保有せず、計画もない」との立場をとっている。
 北朝鮮の脅威が新たな段階に突入した今、日米同盟全体の装備体系を駆使した総合力で対処する方針は維持するとともに、日米同盟の抑止力・対処力の一層の向上を図るため、巡航ミサイルをはじめ、わが国としての「敵基地反撃能力」を保有すべく、政府において直ちに検討を開始すること。

3.排他的経済水域に飛来する弾道ミサイルへの対処
 昨年8月以降、北朝鮮は3度にわたりわが国の排他的経済水域内に弾道ミサイルを着弾させており、航行中の船舶への被害は生じなかったものの、操業漁船が多い海域でもあり、わが国船舶等の安全確保は喫緊の課題である。
 このため、弾道ミサイル等の脅威からわが国の排他的経済水域を航行しているわが国船舶等の安全を確保するため、政府は、当該船舶に対して、航行警報等を迅速に発出できるよう、直ちに検討すること。また、これらの船舶の位置情報の把握に関する技術的課題や当該船舶を守るための迎撃を可能とする法的課題について検討すること。
                                       以上


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2017年03月07日

全人代、党大会控え人心安定優先――習政権の苦渋にじむ(遠藤誉氏)

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 3月5日、全人代(全国人民代表大会)が開幕した。注目点は国防費と経済規模と民心。第19回党大会を控えた今年、安定を優先。随所に人民の不満への警戒が滲み出ており、トランプ政権を意識した場面もあったが、ほぼ窮地の裏返しだ。

◆初めて1兆元を超えた国防費

 全人代は中国時間の午前9時から北京の人民大会堂で開幕し、李克強国務院総理が政府活動報告を行なった。報告の中で「国防費」に関しては一言も触れなかった。言及したのは「国防」に関する中国政府の考え方のみで、それも報告が終わる数分前。「国家の主権と安全のために強軍目標は維持する」ことと「軍隊に対する党の指導は絶対である」と言ったくらいだ。

 国防費に関して最大の関心を示していた日本や西側諸国は肩透かしを食らっただろうが、予算案は5日午後以降から始まる会議で審議され、財政部案が決議された後に正式に公開される。

 おおむねの国防費に関しては、3月4日に内外記者向けに開催された「新聞発布会」で、全人代の傅瑩(ふえい)報道官がCNNの記者の質問に回答する形で発表している。

 それによれば、「2017年の国防予算案の伸び率は(前年比で)7%前後になり、GDPの1.3%を占める」とのこと。史上初めて1兆元(約16兆5千億円)の大台を超える。とは言え、「アメリカが先月、ミュンヘンにおける国防会議でNATO(北大西洋条約機構)加盟国に要求したGDP比2%の国防費に比べれば、中国の国防費のGDPに対する割合は非常に低い」と彼女は「にこやかに」切り返した。

 またCNN記者の「中国のGDP成長率が減少している中で、軍事費だけは成長を続けるのはなぜか」「アメリカのトランプ大統領が最近、軍事予算を大幅に増やすと言ったことと関係するか?」という質問に対して、傅瑩女史はおおむね以下のような主旨のことを答えている。

「世界で頻発している紛争あるいは戦争行為に関して、中国が主導しているものが一つでもあるだろうか?中国は対話を重んじており、ASEAN諸国とも対話で問題を解決している。アメリカは中国が軍事的にアメリカに追いつき追い越すのではないかと警戒しているようだが、中国の軍事力など、とてもアメリカには比べようもない。しかし中国は今後も、国家主権と安全を守るために、軍隊の発展を継続していくだろう」

◆「とても、アメリカには及ばない」と中国政府関係者

 たしかにトランプ大統領は2月27日、政権初の予算案で国防費を9%増額する方針を明らかにした。それによれば、2017年度のアメリカの国防費は約5500億ドル(約60兆円)になるだろうとのこと。

 中国政府関係者にこのたびの中国の国防費に関して聞いたところ、以下のような回答が戻ってきた。

1. アメリカの国防費は中国の3倍以上あるのに、なぜ中国の国防費だけを問題にするのか。GDP成長率が、アメリカや日本、あるいはヨーロッパ諸国に比べて非常に大きいことは全く無視している。
 軍事費は絶対額ではなく、GDP比で考えるべきだ。GDP比から言っても、アメリカは3.5%前後で、日本だって1%近い。GDP比で見なければおかしい。

2. それに、中国の軍事力なんて、とてもアメリカには遠く及ばない。日本にだって、陸軍はまだしも、海軍となると技術的には日本の方が遥かに上だ。アメリカの航空母艦に至っては10隻以上。中国はたった「遼寧」1隻しか持ってない。その中国に、何を脅威など感じてるんだい?アメリカに追いつきたいとは思っていたとしても、追い越すなんて、夢のまた夢だよ。

3. 1人当たりのGDPで計算すると、日本の国防費は、中国の4倍だってことに気づいているだろうか?中国の人口は約14億。日本は約1億。一人当たりのGDPが同じだとすれば、中国の国防費の絶対額が日本の14倍を超えたときに、初めて脅威を覚えればいい。今はその時じゃない。


 しかし、いま警戒していなければその時はいずれやってくるし、中国の膨張主義と領土問題に関する強引な主張を心配しない日本人はいないだろう。

 それに中国としては台湾問題と北朝鮮問題に関して軍事強国になっておかなければならない、せっぱ詰まった事情があるはずだ。前者は今年1月12日のコラム「中国、次は第二列島線!――遼寧の台湾一周もその一環」に書いたように、第二列島線までを照準に定めているだろうし、また2015年2月22日のコラム「いざとなれば、中朝戦争も――創設したロケット軍に立ちはだかるTHAAD」に書いたように、「いざとなったら、北朝鮮を武力弾圧するために」備えておかなければならないだろう。(なお、1人当たりGDPに関する計算は確認していないし、そういう論理でもないだろうと思われるので、これに関する分析は、ここではしない。)

◆GDP成長目標「6.5%前後」を想定――「穏中求進」

 李克強国務院総理は5日の政府活動報告の中で、中国の今年のGDP成長目標を「6.5%前後」にするとした。昨年の全人代では、「2016年の成長目標を6.5%〜7.0%とし、2016年から始まる第13次5カ年計画では年平均6.5%以上」と定めている。そのことから考えると、早くも「6.5%」という「年平均」の値に合わせたことになる(昨年は6.7%)。

 成長率を大きめに設定すると投資が盛んになってバブルが起きる可能性があり、不動産価格の高騰などを招く。低く見積もれば経済が減速したとして国際的な影響をもたらし、中国の国内に対しても不安定要素をもたらす。

 今年は秋に第19回党大会が待ち構えているため、不安定化しない程度に高揚感を保つ必要がある。

 それを中国語では「穏中求進」(穏やかな中にも前進をする)という言葉で表して、今年の政権スローガンの一つにしている。政府活動報告にも出てきたが、5日の午後、習近平国家主席が上海代表団と会談し、そこで何度も使っている。

◆人民の不満を警戒

 何よりも目立ったのは、李克強首相が報告の中で人民に不満があることを認めたことだ。そのため都市部における新規就業者数目標を1100万人としたり、農村部の1300万人以上を都市部に定住させたり、医療保険への財政補助を増やしたり、空気の汚染に代表される環境対策を強化するために「藍天保衛戦」(青空を保つ戦略)という言葉を繰り返した。

 さらに携帯電話料金やデータ通信に関しては、国内長距離の上乗せ料金を年内に廃止すると宣言し、慣例の間合いの決まった拍手ではなく、珍しく自発的拍手が起きた。さらに貧困脱却や格差の是正、医療、高齢化問題、食品安全、民工とその留守家族問題、若者が創業する際の法的保障など、民生向上のための対策を数多く打ち出している。

 民法総則に対する改正案を閉幕(3月15日)までに討議する。これは1986年に制定されたもので、30年間におよぶ社会の劇的な変化に適応していない。

◆「三去一降一補」――供給側構造改革に着手するスローガン

 中国では今、「三去一降一補」というスローガンが流行っている。3月5日の政府活動報告の中にも出てきた。これは「供給側(サプライ・サイド)の構造改革」を指し、「三去」は「生産過剰を解消(除去)する」「在庫過多を解消(除去)する」「テコ入れ(レバレッジ)を除去する(やめる)」で、「一降」は「コストを引き下げること」、「一補」は「弱点を補う(補足支援する)こと」である。

「三去」によって解雇される者が増えたり、倒産企業が増えたりするという「痛み」を伴うので、どんなに「一降一補」をしても追いつかず、そのさじ加減が難しい。やらなければ中国の経済は減速するだけだし、やれば人民の不満が増大する。

 経済が減速したのでは「中国共産党が統治しているからこそ、中国経済は成長し続けるのだ」という、中国共産党による統治の正当性を人民に示すことができない。すると人民の不満が噴出する可能性がある。となると一党支配体制は崩壊の危機に直面する。だから、「三去一降一補」を一定程度推進するしかない。

 しかし推進すれば必ず解雇された労働者からの不満が爆発し、これもまた一党支配体制を崩壊させるきっかけを導きかねない。

◆「長征」精神に学ぼう!――苦労に耐えるのだ!

 ならば、どうすればいいのか?

 苦労に耐えるのだ!

 1970年代末から一人っ子政策が始まっているので、辛抱ができない、わがままな若者が増えている。彼らには毛沢東が行なった「長征」の過酷な経験を知らせ、その過酷な経験にもめげずに耐え抜いた当時の中国共産党軍(紅軍)の精神を学ばせる。「偉大な革命のために――!」

 だからいま、習近平国家主席は毛沢東回帰をし、長征映画やテレビドラマを強制的に放映し、教育機関でも「長征精神」を叩きこんでいる。

 いかに毛沢東が偉大であったか、いかに勇敢に抗日戦争を戦ったか。だから、国民党軍から逃げるために徒歩で北西にある延安にたどり着いた長征を、中国では「北上抗日」と呼んでいる。(それがいかに偽りであるかは拙著『毛沢東 日本軍と共謀した男』に、詳細に書いてある。中共軍が逃げた先の延安には、日本軍はいない)。

 習近平国家主席への個人崇拝と抗日神話は、このために必要なのである。

 習近平への「一強」を、権力闘争などと、現実離れしたことを言っている研究者やメディアは、中国の真実を見る目を日本人から奪っていると言っていいだろう。

 また、李克強が報告で何回「習近平を核心と言ったか」を数え上げて「一強」の証拠などと報道しているメディアは、日本人の中国観を誤導しているとしか言いようがない。 

 2016年19月28日のコラム<六中全会、集団指導体制堅持を再確認――「核心」は特別の言葉ではない>にも書いたように、胡錦濤元国家主席(総書記、中央軍事委員会主席)も、「核心」と定義づけられていた。しかし江沢民が大きく宣伝するのを許さなかっただけだ。胡錦濤政権時代の「チャイナ・ナイン」は胡錦濤は3人、江沢民派6人で激しい権力闘争があり、多数決議決で負けるので政治は「中南海を出ない」状況にあった。しかし習近平政権の「チャイナ・セブン」においては、ほとんど全員が習近平を支援していた。多数決議決は習近平の思うままだ。なぜ権力闘争をしなければならないのか。論理的整合性がない。

◆トランプ政権に代わってグローバル経済を牽引

 3月5日の政府活動報告で、李克強国務院総理は「反グローバル化、保護主義」に反対すると語気を強めて強調し、暗にトランプ政権の経済貿易政策を批難した。中国こそが世界経済成長の原動力の一つで、世界経済成長に対する貢献度は30%に達するとした。これは中国共産党機関紙「人民日報」の機関紙「人民網」も早くから報道していた。その意味でトランプ政権のTPP撤退などを受け、中国はより強く「一帯一路」やRCEP(東アジア地域包括的経済連携)を主導することにより、中国こそはグローバル経済を牽引することをアピールした格好になる。

 とは言え、すべてが習近平政権が追い込まれた窮地の裏返しであることが見えた全人代開幕だった。


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2017年01月16日

ナイジェリアを「金で買った」中国――「一つの中国」原則のため(遠藤誉氏)

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中国は11日、ナイジェリアに対する400億ドルの新規投資と引き換えに、台湾との関係を格下げし北京が主張する「一つの中国」原則を遵守することを約束させた。今後もこの外交戦を強化する。トランプ発言に対抗するためだ。

◆台湾のナイジェリア代表処の改称と移転

中国の王毅外相は1月11日、訪問先のナイジェリアでオンエアマ同国外相と会談し、「台湾は中国の領土の一部であり、中国を代表する合法的政府は、唯一、中華人民共和国のみである」という「一つの中国」原則を堅持することを約束させた。会談後の共同声明に署名したと、中国政府および中国共産党のメディアが一斉に伝えた。その中には中国政府の通信社「新華網」や中国共産党機関紙「人民日報」の姉妹版「環球網」あるいは中央テレビ局CCTVがあり、特にCCTVは「メディアの焦点」という特別番組でこの問題を特集した。

ナイジェリアは「中華民国」と国交を結んでいるわけではないが、しかし首都アブジャに台湾との交流窓口として「中華民国商務代表団」を置いていた。中華人民共和国(北京政府)とも国交を結んでいながら、台湾との窓口組織名に「中華民国」という名称を使っている国は少ない。CCTVの報道によれば「アフリカでは唯一の国だ」とのこと。

このたび両国は台湾との交流窓口を首都アブジャからラゴスに移し、かつ窓口の名称から「中華民国」という言葉を削除することに合意した。

王毅外相は両国関係を新たな段階に引き上げるために、「一つの中国」原則を基礎に置きながら「ナイジェリアの鉄道、高速道路、水力発電および軍事安全」など、巨大なポテンシャルを持つ領域における協力を約束した。

◆その陰には400億ドル(約4.5兆円)の新たなチャイナ・マネー

1月14日、中国大陸のウェブサイトの一つである「観察者網」は「大陸はナイジェリアに400億ドルを新たに投資 台湾驚愕」というタイトルの報道をした。

それによれば中国政府はナイジェリアに、新たに400億ドル(約4.5兆円)の投資をすることを決定したとのこと。中国はすでにナイジェリアに450億ドル(5兆円強)を投資している。

王毅外相は共同記者会見で「中国はすでにナイジェリアに220億ドルの投資を実施し終わっており、残りの230億ドルに関しては現在当該プロジェクトを実施中だ。このたびさらに、新たに400億ドルの投資を追加したということだ」と述べた。

合計850億ドルの「チャイナ・マネー」をナイジェリアに注ぐことになる。

これだけのチャイナ・マネーを注いで、「国を買う」戦術に出たと言っていい。

◆対台湾の大陸“外交戦”新モデル

観察網は大陸(中国政府、あるいは北京政府)のこのやり方を「対台湾の大陸“外交戦”新モデル」と名付けている。同時に、「中華民国」と国交はないものの、台湾との間で「代表処」などの形で非公式交流機関を設けている国を、一つ一つ落していく「新しい手」に出るだろうと分析している。

1月14日付の「環球網」はまた、王毅外相が行くところ、必ず「一つの中国」原則を認めさせるための「鉄拳」が動いていく。台湾はそれ相当のツケを払わなければならないと、警告している。

1月10日付の本コラム「米中断交さえ!? 台湾総統の米国経由外交」で、筆者は以下のように書いた。

――北京政府は、「蔡英文は必ず制裁を受けることになる。現に昨年(12月20日)、台湾と国交を結んでいたサントメ・プリンシペ国は台湾と国交を断絶し中華人民共和国と国交を結んだ(12月26日)。台湾を国家と認める国は、この地球上でわずか21カ国しかないが、それも一気に無くなっていくだろう」と環球時報に言わせていた。

同日、テレ朝の「ワイドスクランブル」という番組で、「今後中国はどう出ると思うか」といった趣旨の質問に対して、筆者はおおむね「中国は今後、台湾と国交を結んでいる国を、チャイナ・マネーを使って、つぎつぎと落していくことだろう」と回答した。

その翌日に、王毅外相がナイジェリアにおける台湾との交流窓口の名称から「中華民国」という名称を削除させて、チャイナ・マネーにモノを言わせて「一つの中国」原則を誓わせたのは、なんとも象徴的である。

◆トランプ政権と日本

現在、中華民国と国交のある国は21カ国。国交はないが(あるいは断絶したが)非公式機関を置いて経済文化交流を行っている国は60ヵ国ある。日本などがその一つで、大使館は置かない代わりに、たとえば「台北駐日経済文化代表処」といった組織が設置されている。

日本はそれ以外にも台湾との間の交流窓口として「交流協会」というものを設立していた。これは1972年9月に中華人民共和国との間で日中国交正常化に関する共同声明に調印したとき、同時に中華民国との国交を断絶したことによって同年12月に設立された日台間の交流を存続させる財団法人である。

その「交流協会」を今年1月1日から「日本台湾交流協会」と改称したのは、少なくともナイジェリアとは逆の方向で、評価していい。

これまで中国の顔色を窺っていた日本の外務省としては非常に画期的なことで、おそらくトランプ陣営の中における対中政策の傾向を感知してのことだと推測される。つまり、トランプ政権の対中政策が「一つの中国」原則にも疑義を挟む可能性を秘めている何よりの証拠だろう。

1月13日、トランプ次期大統領はアメリカのウォール・ストリート・ジャーナルの取材に対し「もし北京が為替や貿易問題で譲歩しなければ、アメリカは“一つの中国”を見直さなければならなくなる」と語った。BBS中文網などが「トランプ:“一つの中国”原則を守るには北京の譲歩が必要」と伝えた。

昨年12月11日に米フォックス・ニュースのインタビューに対して述べた「通商を含めて色々なことについて中国と取り引きして合意しない限り、なぜ“一つの中国”政策に縛られなきゃならないのか分からない」という同氏の回答と比べると、やや強硬感が和らいだ感はある。しかし、トランプ次期米大統領はホワイトハウス内に貿易政策を担当する「国家通商会議」を新設し、トップに対中強硬派で知られるピーター・ナバロ氏を起用すると決定しているので、「一つの中国」原則に対する懐疑論は収まらないだろう。

そもそも北京政府が主張する「一つの中国」原則的概念を世界に広めてしまったのはニクソン元大統領とキッシンジャー元国務長官で、ニクソン氏が2度目の大統領選に勝とうとした個人的欲望から前のめりになった結果だ。日本の頭越しにキッシンジャー氏が訪中したことに驚いた日本が、あわててアメリカに追随した。日米が「一つの中国」を認めて(あるいは認識すると認めて)しまったことで、他の国が日米にならたったため、あたかも1972年以降(あるいは米中国交正常化が調印された1979年以降)の国際秩序を形成してしまった「不動の原則」のように見えるかもしれない。

そしてその結果、中国を強大化させてしまい、今では中国の覇権に苦しめられているというのだから、日米ともに反省しなければならないだろう。日米が強大化させてしまった中国が、それゆえに日米に脅威を与え、戦争の危険性さえ招くとすれば、本末転倒。

日本人は「中国共産党が如何にして強大化したのか」という歴史の真相を学ぼうとしないために、今もなお同じことを繰り返しているのである。思考停止が自国民に不幸をもたらすことにメスを入れたのがトランプ発言だ。いろいろ問題もあり、不確定要素も多い人物ではあるが、この発言にはアメリカ国民の感覚も込められているのではないかと、筆者には思われる。アメリカの中国研究者やシンクタンクとの接触により感じ取った実感だ。

安倍首相が地球儀を俯瞰して、東南アジアなどの関係国と経済交流などを強化するのは悪いことではない。ただ常に発展途上国に対しては日本国民の税金が膨大に使われており、おまけにほとんどの国が中国と日本に「いい顔」をして漁夫の利を得ている。安全保障に関しては当てにならない。

それよりは、「日中戦争中に毛沢東率いる中共軍が日本軍と共謀していた真相」を直視し、中国共産党がいかにして強大化したかを正視する勇気を日本が持つことの方が有効ではないだろうか。お金は一銭もかからない。真の思考力を持つ勇気を持てばいいだけのことである。

それにより中国共産党が統治の正当性を失うのである。「一つの中国」の是非を解くカギは、すべてこの事実の中にあるのだ。

この真相を直視する方が、かえって、戦争を回避できると筆者は信じている。


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2017年01月10日

防衛・憲法・外交関連の本

 来週、19日に防衛省で講演をしますが、その際の講演レジメを休暇中に作成しました。
 その中で、僕が出版した防衛・憲法・外交関連の本を整理しました。

 有事法制(武力攻撃事態対処法案など)が国会で議論されたときは、『急げ!有事法制』を作りました。これは、書店などにいくと「有事法制は危険だ、戦争になる」といった反対本しかなく、そこで、国民に正しい知識を理解してもらうために急きょ出版しました。
お蔭さまで、この本は、国会議員が参考にするなど、増刷し、結構売れました。

 その後、防衛知識普及会を作ってテロ特措法や海賊対策の必要性についても、少しでも国民に正しい知識が広まるよう努力しました。

 最近では、一昨年の7月の集団的自衛権を含む閣議決定がなされ、急きょ『安倍政権と安保法制』を出版、これは、憲法と自衛隊の関係をわかりやすく解説し、4刷になりました。

 その後、平和安全法制が国会で成立した後に、『平和安全法制の真実』を出版し、昨年は、『防衛装備庁と装備政策の解説』(共著、内外出版、2016年3月)、『日本の防衛政策 第2版』(編著、2016年9月)を出版しました。

『日本の防衛政策 第2版』は、世界中の日本大使館に送付され、日本の最新の防衛政策の虎の巻になっています。
 現在2刷ですが、今年になって、「まもなく3刷になる予定」と今年になって出版社から嬉しいお話をいただきました。 

 もし、皆様が正しい防衛知識を学びたいのであれば、僕の『安倍政権と安保法制』(内外出版、2014年7月)、『平和安全法制の真実』(内外出版、2015年10月)、『日本の防衛政策 第2版』(編著、2016年9月)をご覧ください。

 自民党の憲法改正が知りたければ、『これで納得!日本国憲法講義』(内外出版2013年8月)、『改正 日本国憲法』(講談社+a新書、2013年11月)をお読みください。

 以下が、今まで出版した僕の防衛・憲法・外交関連の本です。

 26冊になりました。

 今後も、正しい防衛知識の普及のために出版していきます。


「憲法と安全保障」(南窓社、1993年)
「日本国憲法見直し論」(KKベストセラーズ、1994年)
「日米安保と極東有事」(南窓社、1997年)
「日華断行と日中国交正常化」(共著、南窓社、2000年)
「急げ!有事法制」(朝雲新聞社、2002年)
「教科書 日本の安全保障」(共著、芙蓉書房出版、2004年)
「政治と危機管理」(共著、内外出版、2006年)
「防衛法制の解説」(共編著、内外出版、2006年)
「新憲法はこうなるー美しいこの国のかたち」(講談社、2006年)
「防衛省誕生―その意義と歴史」(編著、内外出版、2007年)
「テロ特措法 海上自衛隊の給油活動」(防衛知識普及会編、内外出版、2007年)
「新テロ対策特措法 石破防衛大臣に聞く」(防衛知識普及会編、内外出版、2007年)
「岐路に立つ日本の安全―安全保障・危機管理政策の実際と展望」
                           (共著、北星堂、2008年)
「教科書・日本の防衛政策」(佐藤正久参議院議員と共編著、芙蓉書房出版、2008年)
「日本の防衛法制」共編著、内外出版、2008年)
「防衛省改革」(防衛知識普及会編、内外出版、2008年)
「海賊対策 海上警備行動と海賊対処法案」(防衛知識普及会編、内外出版、2009年)
「漂流する日米同盟」(森本敏監修、海竜社、2010年)
「日本の防衛法制 第2版」(編著、内外出版、2012年)
「日本の防衛政策」(編著、内外出版、2012年)
「これで納得!日本国憲法講義 」(内外出版2013年8月)
「改正 日本国憲法」 (講談社+a新書、2013年11月)
「安倍政権と安保法制」(内外出版、2014年7月)4刷
「平和安全法制の真実」(内外出版、2015年10月)
「防衛装備庁と装備政策の解説」(共著、内外出版、2016年3月)
「日本の防衛政策 第2版」(編著、2016年9月)2刷 

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2016年12月13日

トランプ氏「一つの中国」疑問視に中国猛反発(遠藤誉氏)

防衛
この度『日本の防衛政策 第2版』(田村重信編著、内外出版)を出版しました。
増刷となりました。

 今月2日に台湾の蔡英文総統と電話会談したトランプ次期大統領は11日、「一つの中国に縛られない」旨の発言をした。これに対し中国は激しく反発。国際的に通念化している「一つの中国」論に疑義の余地はあるのか?

◆次期トランプ政権は「台湾カード」を使うのか?

 12月11日、トランプ次期大統領は、米フォックス・ニュースのインタビューで「台湾は中国(中華人民共和国)の一部分である」という「一つの中国」論に関して、以下のように発言したとBBCが伝えた。

 「私は“一つの中国”という政策がることは知っている。しかし貿易など、その他多くの取引に関して合意に達しない限り、なぜわれわれは“一つの中国”政策に縛られなければならないのか?」

 「“一つの中国”を順守するかどうかは、南シナ海問題や貿易政策などの対立する分野で、中国側が我々と取引をするかどうかにかかっている」

などだ。

 アメリカのメディアによれば、トランプ次期大統領の周りには「アメリカは中国との通商交渉で強硬姿勢を貫け」とする経済学者のピーター・ナバロ氏や徹底したタカ派のジョン・ボルトン(元国連大使)などがいて、覇権を強める中国に対して「台湾カード」を使えとアドバイスしているらしい。したがって来年1月にトランプ氏が正式に大統領に就任したあとは、「台湾カード」=「一つの中国」を外交交渉のカードとして利用する考えのようだ。

◆中国は一斉に猛反発

 中国では外交部のスポークスマンが12日の記者会見で「“一つの中国”原則は米中関係の政治的基礎だ」と深い懸念を示しただけでなく、中国政府系列の新聞やネット、あるいは中央テレビ局CCTVも12日の昼のニュースの中で特集を組むなど、猛烈な抗議を表明した。

 たとえば、外交部スポークスマンはつぎのように述べた。

●台湾問題は中国の主権と領土保全に関し、中国の核心的利益に関わる問題だ。

●“一つの中国”原則を堅持することは、中米関係発展の政治的基礎である。

●もしこの基礎が乱され破壊されるようなことがあれば、中米関係の健全な発展と両国の重要な領域における協力は、話し合うこともできなくなる。

●アメリカの次期指導者は台湾問題がいかに敏感な問題であるかを認識すべき。

 中国共産党系新聞の環球時報は、中国の厳粛なる領土主権の問題を「商売の取引に使うな」と批判。ネットユーザーのコメントには「商売人はやはり商売人」「言うことをコロコロ変えるから、次は何を言うかは分からない」といったものが目立つ。尖閣問題の時のような反日に燃え上がる激情的なものとはニュアンスが異なる。

 CCTVは、トランプ次期大統領の言動は、1979年以来築き上げてきた米中関係を破壊するものであるとした上で、彼の周りには反中右翼が多いので、その影響を受けており、実際に大統領に就任したあとも同様の政策を採るか否かは不明だとしている。もし続行するなら、戦争といった深刻な事態にもなりかねないと、評論家が警告した。

◆“一つの中国”原則はいかにして創られたのか?

 では、“一つの中国”原則は、いかにして創られたのか、少しだけ詳細に見てみよう。

 日中戦争が終わった後、蒋介石(国民党)がトップリーダーであった「中華民国」を倒そうと、毛沢東(中国共産党)が革命(反乱)を起こし、国共内戦が始まった。内戦に勝った毛沢東は、1949年10月1日に中華人民共和国誕生を宣言。蒋介石は同年、台湾に「遷都」し、台北を「中華民国」の臨時首都として、広大な大陸を含めた国土を「一つの中国」とみなす「大中国政策」を実施した。「中国を代表する国家は中華民国のみである」ことを絶対的な政治基盤としていた。

 一方、中国大陸の北京政府は、「中華民国を倒して中華人民共和国が誕生したのだから、元中華民国であった領土は、すべて中華人民共和国のもの」として「一つの中国」を主張。

 「中華民国」は第二次世界大戦で連合国側としてアメリカとともに日本と戦っているので、国連には「中国」を代表する国として加盟し、安保理常任理事国でもあった。

 ところが、泥沼化したベトナム戦争からの撤退を選挙公約にして当選した共和党のニクソン大統領(1969年~1974年)は、北ベトナムを応援し中ソ対立を抱えていた北京政府に接近し、大統領としての地位を固めようとしたのである。そのため北京政府が主張する「一つの中国」を選択し、中華人民共和国が唯一の「中国」を代表する国家として国連加盟するに至る。

 このとき、同盟国であった中華民国にも知らせず米中が接近したことを知った蒋介石はアメリカに裏切られたと激怒して、国連から脱退してしまう。日本にも知らせなかったのは、共和党の大統領としての地位を確保するため、民主党に知られ、出し抜かれたくなかったからだと追われている。

 蒋介石には、北朝鮮と韓国のように、相対立する「元ひとつの国」として、両方が国家として国連に残るという選択もあった。

 しかし日本の頭越しに米中接近が行われたことを知った日本は、あわててアメリカの後を追い、アメリカに同調して北京政府が主張する「一つの中国」を選択したので、日米に裏切られてしまったことを知った蒋介石は、屈辱に耐えることに忍びなく、国連を去ったのである。

 それ以降の日米は自国の選択がまちがっていなかったことを証明するためにも、ひたすら中国の発展に力を注ぎ、中国のこんにちの繁栄をもたらしている。

 中国の現在の覇権は、ある意味、日米が招いたものであり、言うならば自業自得だ。

 そのきっかけを創ったニクソン元大統領などは、民主党に米中接近の功績を持って行かれたくなく、ニクソン政権の長期継続を図るために、民主党全国委員会本部への不法侵入や盗聴事件(ウォーターゲート事件)により弾劾され、現役大統領として初めて辞任している。

 つまりニクソン氏は、権勢欲のために北京と接近したことになる。

 その結果、中国を経済大国にのし上げ、軍事大国にまでしてしまったのだ。中国は日米との間で勝ち取った「一つの中国」原則を、すべての国に要求したので、今ではこれが国際的な通念となっているのだ。

 そのまちがいに気づいたのがトランプ次期大統領であるとするなら、彼のこの度の発言は、「ようやく現実に気が付いたのか」という側面を持つと、筆者の目には映る。

◆“一つの中国”に疑義性の余地はあるのか?

 中米の間には「3つの共同コミュニケ」が交わされている。1972年2月の「米中共同コミュニケ」(上海コミュニケ)と1978年12月の「中華人民共和国とアメリカ合衆国の外交関係樹立に関する共同コミュニケ」および1982年8月17日の「中米共同コミュニケ」(八・一七コミュニケ)だ。

 その間の1979年1月1日、中米両国は正式に国交を正常化している。そしてこの瞬間、「中華民国」とは国交を断絶した。

 この日まで待ったのは、米国内の反対論もあったが、何よりも蒋介石が1975年4月に他界したからだろう。いくらなんでも、国交断絶を宣言するのは、国連において落ち度のなかった蒋介石に残酷すぎるという「人道」としての憐憫の情が働いたのではないだろうか。

 そして中国がいま主張する「3つの共同コミュニケ」には、明確に「一つの中国」を原則とすることが書いてある。

 その中の「中米共同コミュニケ」(八・一七コミュニケ)では、米国側は「台湾への武器売却を長期的政策として実施するつもりはないこと、台湾に対する武器売却は質的にも量的にも米中外交関係樹立以降の数年に供与されたもののレベルを越えないこと、及び台湾に対する武器売却を次第に減らしていき一定期間のうちに最終的解決に導くつもりであること」を表明している。

 しかしアメリカは中華民国との国交断絶とともに同時に「台湾関係法」(1979年)を制定して、事実上の米台軍事同盟を国内法で決めている。それまで存在していた米華相互防衛条約に代わるものだ(この「華」は「中華民国」の意味)。武器売却を可能にしている国内規定でもある。

 ところで、トランプ次期大統領は、何度も「台湾への武器売却を強化する」と言っている。

 一方、中国では2005年に反国家分裂法を制定し、台湾が独立を唱えれば、いざという場合には「武力鎮圧を辞さない」という姿勢である。

 「一つの中国」論への疑義は、今となっては「台湾独立」という可能性しか示唆しておらず、それは不可能ではないが、しかし中国(北京)が黙っていない。必ず「反国家分裂法」が火を噴く。そのために中国は昨年、建国後初めて抗日戦争勝利記念日に軍事パレードを挙行し、「反国家分裂法」が実行された際の威力を、台湾にそしてアメリカに見せつけた。

 そんな中国に誰がした、と言いたいが、アメリカが過去における自国の選択を反省してみるのは悪いことではない。

 日本も経済繁栄のために、その結果、何を招いているかを考えてみる必要はあるだろう。

 不戦の誓いは絶対的な前提条件だが、敗戦国ゆえに「毛沢東が日本軍と共謀したことによって強大化した中共軍」「その結果、誕生した中華人民共和国」という、中国にとって不都合な事実に対して、「ものが言えない国家」を、いつまで続けるのかに関しては、一考する必要があるのではないだろうか。


shige_tamura at 13:15|PermalinkComments(0)TrackBack(0)clip!

2016年11月11日

「南スーダン国際平和協力業務実施計画の変更」について

防衛
この度『日本の防衛政策 第2版』(田村重信編著、内外出版)を出版しました。
増刷となりました。

 「南スーダン国際平和協力業務実施計画の変更」について

 本件は、南スーダン国際平和協力業務を実施している施設部隊に、平和安全法制で新たに規定した、国際平和協力法第3条第5号ラの業務、いわゆる「駆け付け警護」及び宿営地の共同防護の任務を付与するものです。

 南スーダンの情勢について

 南スーダンでは、本年7月7日、首都ジュバでキール大統領派とマシャール第一副大統領派との間で衝突が発生しました。同月26日、ジュバから退避したマシャール前第一副大統領に代わり、タバン・デン前工業大臣が第一副大統領に就任しました。
 国連は8月12日、UNMISSマンデートを延長し、活動期限を本年12月15日までとするとともに、地域保護部隊を創設する等を決定しました。
 10月1日から11月1日かけて現地を訪問された柴山総理大臣補佐官も、現在、ジュバは比較的落ち着いている状況であり、自衛隊が安全を確保した上で、意義ある活動を行える状況とのことです。
 他方、地方においては武力衝突や一般市民の殺害行為が度々発生していることから、情勢は厳しく、楽観はできないと考えています。


 11月20日から派遣が開始される、南スーダン派遣施設隊第11要員の準備訓練について

 本年8月25日から10月26日にかけて、青森駐屯地、岩手山演習場等において、第11次要員の準備訓練を実施しました。
 実動を伴う訓練の中では、9月14日から、「駆け付け警護」や「宿営地の共同防護」に係る訓練についても実施しました。
 この訓練については、10月21日に統合幕僚長、23日に防衛大臣が視察を行い、その後陸上幕僚長から防衛大臣に対し、訓練の総括が報告されました。
 その結果、防衛省として、第11次要員の練度については、新たな任務に十分対応可能なレベルに到達しているとのことです。


 新任務付与に関する考え方と今後の方向性等について

 今般、付与する方向の任務は「駆け付け警護」と宿営地の共同防護です。
 

 「駆け付け警護」

 「駆け付け警護」は、自衛隊の施設部隊の近傍でNGO等の活動関係者が襲われ、他に対応できる国連部隊が存在しない等の極めて限定的な場面で、要請を受け、応急的かつ一時的な措置として行うものです。
 南スーダンには現在も少数ながら邦人が滞在しており、厳しい治安情勢を踏まえると、邦人に不測の事態が生じる可能性は皆無ではありません。このような状況である以上、「駆け付け警護」という任務と必要な権限を付与し、事前に十分な訓練を行う等の体制を整えることで、邦人の安全に資するのみならず、実施に際しての自衛隊のリスクの低減に資する面もあると考えられます。
 なお、PKO法上、「駆け付け警護」を実施するためには、受入れ国政府の同意が国連の活動及び自衛隊の業務が行われる期間を通じて安定的に維持されると認められることが必要です。
 この点、関連する要素を総合的に考慮すれば、受入れ同意は安定的に維持されていると認められ、実施計画に規定されている我が国の活動期限である来年3月31日まで、切れ目なく、「駆け付け警護」を実施することが可能と考えます。
 なお、現在のUNMISSマンデートの期限は本年12月15日までですが、マンデートが延長される場合その他必要な場合には、速やかに国家安全保障会議でその評価を再確認する方針です。


 宿営地の共同防護

 南スーダンにおいては、一つの宿営地を、我が国を含む複数の国の部隊が活動拠点として使用しています。 このような状況において、他国の要員がたおれてしまえば、自衛隊員が襲撃される恐れがあり、他国の要員と自衛隊員は、いわば運命共同体であることから、共同して襲撃に対処した方が、安全を高めることができます。
 宿営地の共同防護は、情勢が厳しいからこそ実施する、自己の安全を高めるための任務です。
 これにより、自衛隊は、より円滑かつ安全な活動が実現可能となり、自衛隊に対するリスクの低減に資すると考えられます。
 なお、PKO法上、宿営地の共同防護は「自己保存のための自然権的権利」であり、実施計画の変更は不要です。

 また、ゴラン高原国際平和協力活動のように、5原則は維持されている状況にあっても、安全を確保しつつ有意義な活動が困難となった場合、我が国独自の判断で撤収するという政府の方針についても、実施計画に明記する方向です。


 本件は、稲田防衛大臣及び柴山首相補佐官も出席されて8日朝開催された国防・内閣第一・外交合同部会にて御審議の上、了承。その後、10日の政調審議会、本日の総務会でも了承、与党政策責任者会議でも了承されました。

 政府は、15日の閣議決定を経て、11月20日から派遣が開始される施設部隊の第11次要員から新任務が付与されます予定です。       



shige_tamura at 15:42|PermalinkComments(0)TrackBack(0)clip!

2016年10月28日

六中全会、集団指導体制堅持を再確認――「核心」は特別の言葉ではない(遠藤誉氏)

防衛
この度『日本の防衛政策 第2版』(田村重信編著、内外出版)を出版しました。

27日、六中全会閉幕時、習近平は集団指導体制堅持を複数回強調した。コミュニケに「習近平総書記を核心とする」という言葉があることを以て一強体制とする報道は間違っている。胡錦濤も江沢民も核心と呼ばれた。

◆集団指導体制堅持を強調

10月27日、中国共産党第18回党大会第六次中央委員会全体会議(六中全会)が北京で閉幕した。閉幕に際し、習近平は中共中央委員会総書記としてスピーチをおこなった。スピーチにおいて、習近平は何度も集団指導体制を堅持することを強調した。

その多くは「民主集中制」という言葉を用いて表現したが、「集団指導体制(集体領導制)」という言葉も用いている。これまでのコラム「六中全会、党風紀是正強化――集団指導体制撤廃の可能性は?」でも書いてきたように、「民主集中制=集団指導体制」のことである。

10月27日、CCTVでは、習近平の講話を含めて解説的に六中全会の総括が報道されたが、その中で、「民主集中制」が4回、「集団指導体制」が1回出てきたので、「集団指導体制」に関して、5回も言ったことになる。

「核心」という言葉に関しては2回使われている。

このCCTVにおける報道を文字化して報道したものを探すのは、やや困難だったが、たとえばこの報道をご覧になると、(中国語を使わない)日本人でも目で見てとれる。

後半(最後の部分)には「人民日報」の解説が加わっているので、そこは無視していただきたい。

前半は習近平が六中全会でナマで言った言葉を報道したCCTVの記録(文字化したもの)である。

そこには「民主集中制」という言葉が4回出てきており、「集体領導制(集団指導体制)」という言葉が1回、出てきている。

コミュニケで、わざわざ「民主集中制」や「集団指導体制」を堅持すると言ったとは書いてないのは、それは中華人民共和国憲法で定められていることなので、当然と思ったからだろう。憲法を改正して「民主集中制」(集団指導体制)を撤廃するなどということになったら、中国共産党の一党支配は逆に崩壊する。

だというのに、日本のメディアは一斉に「コミュニケに“核心”という言葉があった」、だから「習近平の一極集中が行われる」「一強体制か」などと書き立てている。まるで「集団指導体制が撤廃された」かのような書きっぷりだ。



◆江沢民も胡錦濤も「核心」と呼ばれた

中でも、27日夜9時からのNHKのニュースでは「核心というのは特別な言葉で、毛沢東とトウ小平にしか使ってない」という趣旨のことを報道していた(録音していないので、このような趣旨の報道、という意味である)。それは全くの誤解だ。

まず江沢民に関して言うならば、「中国共産党新聞」が「江沢民を核心とした中央集団指導体制の経緯」というタイトルで、江沢民を「核心」と呼んだ経緯が詳細に書かれている。

文革後、毛沢東の遺言により華国鋒が総書記になり、すぐ辞めさせてトウ小平が全体を指揮し、胡耀邦を総書記にして改革開放を進めたが、民主的過ぎるということで失脚し、天安門事件を招いた。いびつな形で総書記になった趙紫陽もすぐさま失脚さえられ、天安門事件のあとにトウ小平は江沢民を総書記に指名したわけだ。

このときに一極集中を図って、何とか中国共産党による一党支配体制の崩壊から免れようとしたトウ小平は、江沢民に「総書記、国家主席、軍事委員会主席」の三つのトップの座を全て与えた。そして改めて「江沢民を核心とした集団指導体制」を強調したのだ。

「江沢民を核心とする」という表現に関しては、列挙しきれないほどのページがあるので、省略する。

つぎに「胡錦濤を核心とする集団指導体制」に関しては、たとえば、中国共産党新聞(→人民網)が「トウ小平が胡錦濤をずば抜けた核心的指導者としたのはなぜか」という趣旨のタイトルで、胡錦濤を「核心的指導者」と位置付けている。

この記事が発表されたのが、2015年4月18日であることは、注目に値する。つまり、習近平体制になった後にも、「胡錦濤を核心とする指導体制」を強調したかったということである。

胡錦濤時代の「胡錦濤を核心とする」という表現に関して、すべて列挙するわけにはいかないが、たとえば、2003年6月の「国際先駆導報」には「第四代指導者の核心 中国国家主席胡錦濤」というのがあり、2010年4月の「新華網」は、「胡錦濤総書記を核心とした党中央は…」といった表現が入っているタイトルの記事を公開している。

また、2011年6月には「胡錦濤同志を核心とした集団指導体制」]というタイトルの記事がある。

これも探せばキリがないが、江沢民よりもやや少ないのは、胡錦濤政権時代、メディアは、前の指導者の江沢民によって完全に牛耳られていたからである。

したがって、文革や天安門事件などの特殊な過渡期以外は、「中共中央総書記」は、常に全党員(現在は8700万人強)の頂上に立っているので、常に「核心」なのである。そういうピラミッド形式ででき上がっているヒエラルキーこそが、中国共産党の根幹だからだ。

このような中国の政治の実態を知らずに、なんとしても「習近平が集団指導体制を撤廃して一強に躍り出た!」と言いたい「権力闘争論者」に支配された日本のメディアが、「核心」という言葉を見つけて、鬼の首でも取ったように「ほらね、やっぱり(集団指導体制を撤廃して)一極集中を狙いたいんだ」と煽っているだけである。

◆日本の国益を損ね、国民をミスリードする日本メディアの罪

このような誤導をする日本のメディアは、日本の国益を損ねるだけでなく、日本国民に災いをもたらす。

なぜなら、「中国における腐敗の根がいかに深く、いかに広範で、手が付けられないほどになっているか」そのため、「中国の覇権にも、中国経済の成長にも限界が来る」という現実を見逃させるからである。

腐敗による国家財産の流出は、習近平政権誕生前では、全国家予算の半分に達する時期もあったほどだ。全世界に「チャイナ・マネーのばらまき外交」をすることによって、国際社会における中国の地位を高めようとしている中国としては、財源がなくなっていくのは大きな痛手だ。これは、日本の外交政策に影響してくる。

また、腐敗は調査すればするほど「底なしの範囲の広さ」が明瞭になってくるばかりで、腐敗を撲滅することは、このままでは困難だというが実態である。

中央紀律検査委員会書記の王岐山(チャイナ・セブン、党内序列ナンバー6)などは「100年かけても腐敗は撲滅できない」と吐露していると、香港のリベラルな雑誌『動向』は書いている。

「大虎」はまだ捕えやすいが、末端の「ハエ」となると無尽蔵にいて、また互いに利害が絡んでいるため、摘発を邪魔する傾向を持つということだ。

だから「厳しく党の統治を強化する」というのが、六中全会のテーマだったのである。

日本人にとって、最も重要なのは、「中国の腐敗が続けば、中国の経済は破綻し、それは日本経済に直接響いてくる」ということだ。

権力闘争説は、日本人の目を、この現実から背けさせるという意味で、日本国民の利益を損ねる、実に罪作りな視点なのである。

少なからぬ日本メディアに、猛省を求めたい。




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