2018年09月21日

安倍晋三自民党総裁記者会見(9月20日)

 安倍晋三自民党総裁記者会見@党本部

 「先ほど総裁選が終了し、あと3年、自民党総裁の重責を担うこととなりました。
 大変、身の引き締まる思いであります。
 まず、私の訴えに対して、力強いご支持をいただいた全ての同僚議員、そして党員・党友の皆さまに改めて、お礼を申し上げたい。
 特に、全国の党員・党友の皆さまからは、前回、6年前の総裁選の2.5倍、35万票を上回る得票をいただくことができました。これまで6年間にわたる経済政策、外交、安全保障政策の実績の上に、さらに3年間、この誇りある自民党を率い、引き続き国家・国民のため、強力なリーダーシップを発揮せよ、と力強く背中を押していただいたものと考えています」

 「直ちに仕事に取り掛からなければなりません。北海道胆振(いぶり)東部地震、台風21号、大阪北部地震、そして西日本豪雨。この夏は自然災害が相次ぎ、列島に甚大な被害をもたらしました。それぞれの被災地では多くの皆さんがいまなお、大変な困難に直面しておられます。総裁選の期間中も、政府として予備費の執行など、何よりも災害対応を第一に取り組んできたところでありますが、一日も早い生活再建、生業の復興に向けて、北海道全域で宿泊料金の割引を速やかに実施するなど、取り組みをさらに加速しなければなりません」

 「あわせて、この夏は猛暑による熱中症も相次ぐなど、全国の皆さんが近年の急減な気象の変化、それに伴う自然災害の増加に大きな不安を抱えておられます。この総裁選でも全国で防災・減災、国土強靱(きょうじん)化のための緊急対策を、3年間で集中的に実施することをお約束させていただきました。強靱なふるさとづくりは待ったなしの課題です。直ちに着手いたします。被災地の復興を加速することとあわせ、小中学校へのクーラー設置や、ブロック塀の安全対策など急を要する対策について、来る臨時国会に補正予算を提出する考えであります。速やかに編成作業を開始します」

 「週明けから外交も早速始動いたします。国連総会に出席するために、ニューヨークに向かいます。世界の首脳たちが集うこの機会を生かし、地球儀を俯瞰(ふかん)する視点で積極的な外交を展開する考えであります。トランプ大統領との日米首脳会談も行う予定です。通商協議(FFR)が進む中で、日米の通商関係の未来について、また、世界の新しいルール作りに向けて、日米両国が果たすべき役割についても大いに議論したいと考えています」

 「来月の私の中国訪問に向けた調整も進んでいます。その先には東アジアサミット(EAS)、アジア太平洋経済協力会議(APEC)、アルゼンチンでの20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)。こうした機会を生かし、ロシアのプーチン大統領とも首脳の会談を重ねていきたいと考えています」

 「さらには国際社会との連携のもとに、北朝鮮の核・ミサイル、そして何よりも重要な拉致問題の解決に向けて、次は私自身が金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長と向き合わなければならないと考えています。戦後日本外交の総決算を行っていく。そして、アジア太平洋からインド洋に至る広大な地域に新しい時代の平和と繁栄の礎を築く。わが国として、世界の真ん中で、強いリーダーシップを発揮していく考えです」

 「年が明ければ歴史的な皇位の継承が行われます。その後には、世界の主要な国々のリーダーを日本に招き、わが国が初めて、G20サミットの議長国を務めます。その翌年には東京オリンピック、パラリンピック。まさに、歴史の大きな転換点にあって、日本の明日を切り開いていく、私はその先頭に立つ決意であります。国難とも呼ぶべき少子高齢化に立ち向かい、激動する国際情勢の荒波に立ち向かっていく。
 そして、70年以上一度も実現してこなかった憲法改正にいよいよ挑戦し、平成のその先の時代に向かって新しい国造りに挑んでいきます」

 「そのスタートに当たって、国連総会から戻り次第、(自民)党役員人事、内閣改造を行う考えであります。未来を見据えた国造りという大事業に当たっては、できるだけ幅広い人材に活躍のチャンスを作りたいと考えています」

 「さて、現職首相が、総裁選挙に臨むのは15年ぶりのことでありました。平成15年の小泉純一郎首相の総裁選で、私は小泉陣営の対策本部で全力を尽くしておりましたが、得票は60%にとどまりました。本当に厳しい選挙でした。11年の小渕恵三首相の得票も68%。現職首相だからといって、楽な選挙など決してありません。しかし、今回はこうした過去の例を上回る全体で7割近い得票をいただくことができました。
 これは、私にとって大きな力であります。改めて感謝申し上げたいと思います。皆さんの支持こそが政策の推進力であり、リーダーシップの源流であります。そのことを私はこれまで5回の国政選挙において、痛感してまいりました」

 「集団的自衛権の一部行使を含む平和安全法制、消費税の使い道の見直しによる教育無償化、国論を二分するような改革も、国政選挙で国民の皆さまに信を問い、支持を得ることで実現することができた。これこそ、民主主義の真髄、民主主義のダイナミズムであります」

 「全ての世代が安心できる社会保障改革。戦後日本外交の総決算。そして制定以来初めての憲法改正、いずれも実現は容易なことではない。いばらの道であります。党内の議論も、他の政党との調整も一筋縄ではいかないかもしれない。しかし、今回の総裁選を通して、党内の大きな支持をいただくことができました。これは、これから3年間、私が自民党総裁として強いリーダーシップを発揮できる、党一丸となって大改革を断行する大きな力になるものと考えています。私からは以上であります」
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Q今回の総裁選で、3選を果たした一番の要因は何か。首相の政治姿勢に批判的な見解を示してきた石破茂元幹事長が国会議員票で73票、党員票で181票、全体で3割を超える票を得たことを踏まえ、今後の政権運営をどのように進める方針なのか。森友・加計学園問題をはじめとする一連の不祥事の対応について、党員から理解を得られたか?

A「これまでの6年間の経済政策、外交や安全保障政策について、そうした実績の上に、これから国難とも呼ぶべき少子高齢化に立ち向かっていくということ。そして国際情勢の荒波に立ち向かっていくという中で、戦後外交の総決算を行っていくということなどについて、具体的な政策を示させていただいた。私の訴えに対して、力強いご支持をいただいたというふうに考えております」

 「選挙はですね、すべからくそうでありますが、選挙に勝利を収めた以上、選挙でお約束をしたことを実行に移していく責任があります。自民党というのは、一旦、選挙で決着がつけば、議論が終結に至ればみんなで協力をして、そこで約束したことを実行に移していく。そういうことで長い間、戦後の背骨を背負うことができたんだろうと思っております。自民党は、活発な議論を行いますが、一旦結論が出れば、実現に全力を尽くす、それが自由民主党の伝統であり、矜持(きょうじ)であろうと思ってます」

 「また、今回の総裁選においても、いわゆるモリカケ問題については、テレビ番組や日本記者クラブにおいても大変多くの時間が割かれて、私も説明をさせていただいたところでございます。一度できあがったイメージを払拭することはそう簡単なことではありませんが、私なりに説明に努力をしてまいりました。その上において、選挙の結果、支持を得るということができたと考えております。これからも、求められれば、丁寧に説明を行っていく考えであります。あわせて、首相という立場が周囲に与える影響力などにしっかりと留意をしながら、今後も謙虚に丁寧に、そして慎重に政権運営にあたっていきたいと考えております」

Q内閣改造・党役員人事は具体的にいつ行うのか。適材適所の意味は。麻生太郎副総理兼財務相、菅義偉官房長官、二階俊博自民党幹事長ら政権の骨格を維持する考えか?

A「あの、大変、今、具体的なことを質問されましたが、まさに先ほど、総裁選の結果が出たばかりでありまして、それを受けて、これから考えていこうということでありました。総裁選を行っている最中にですね、人事のことを考えるのはまさに一生懸命頑張っていただいている方々に対して失礼でありますから、まさに私も総裁選、そして首相としての仕事がありますから、そこに集中をしてまいりました。これからですね、よく考えていきたいと思っております。ですから、いつ、党役員人事、そして改造、何月何日にやるということは今申し上げることができませんが、だいたい予測はつくんだろうというふうに思います」

 「その上でですね、今回の総裁選において、私は主に3つのことを訴えてきました。
 それは全世代型の社会保障制度へと大きく3年で改革を断行していくということ。
 そして、戦後日本外交の総決算を行っていくということ。
 そして憲法改正について、どういう考え方で、条文のイメージで改正を行っていくかということについて、訴えてまいりました」

 「全国の党員・党友、国会議員が参加をした今度の総裁選、結論が出た以上は、みんなで一致団結して進んでいく。これが先ほど申し上げましたとおり、自民党の伝統であろうと思っておりますし、同じ方向を向いて、その実現に向けて全力を尽くしていくべきだと、こう皆さん思っております。全ての同僚議員がその点に異論はないと思いますが、その上で人事は常に適材適所で考えてまいります。未来を見据えた国造りという大事業を進めていく上において、しっかりとした土台の上にできるだけ幅広い人材を登用していきたいと思います。しっかりとした土台の上にということで、お酌み取りいただきたいと思います」

Q憲法改正の段取りについて。来年夏の参院選前の発議も視野に入れているのか?

A「憲法改正は自民党結党以来の大きな目標、党是と言ってもよいと思います。そこで今回も総裁選の最大の争点であったと思います。憲法改正推進本部の議論を経て党大会で報告された条文イメージの上に、次の国会に案を提出できるように党を挙げて取り組むべきだと申し上げてきました。
 そして総裁選の結果、力強い支持を得ることができたと考えています。結果が出た以上、この大きな方針に向かってみんなで一致結束をして進んでいかなければならないと思います。総裁選で最大の争点になってきた。これはもう党の皆さんにはご理解いただけると思います」

 「しかし、党として案を国会提出に向けて幅広い合意が得られるように対応を加速してまいりますが、その際には友党の公明党との調整を行いたいと思います。その後のスケジュールは国会次第でありまして、予断を持つことはできないと思いますし、もちろん(衆参両院の)3分の2で発議をしていくことは相当高いハードルですし、できるだけ多くの方々に賛同していただく努力をしていくべきだろうと思います。これは党を中心にそうした努力を行っていただきたい」

Q北朝鮮による日本人拉致問題について。日朝首脳会談の時期は?

A「本年、米朝首脳会談が初めて開催されました。それまで国際社会と連携をしながら、北朝鮮をめぐるさまざまな問題に真正面から立ち向かうよう、国連でも決議を行い制裁を行ってきた。いわば日本は米国とともにリーダーシップを取ってきました。しかし、米朝首脳会談が初めて行われ、いわば北朝鮮が、金正恩朝鮮労働党委員長自身が話し合いの場に出てこられた。そして、19、20日と南北の首脳会談も行われています。ある意味では局面も大きく転換しようとしている中において、拉致問題についてしっかりと解決に向けて進めていかなければいけない」

 「米朝首脳会談の際に、トランプ大統領から直接金委員長に拉致問題について私の考え方、日本の考え方を伝えてくれました。次は金委員長と私自身が向き合って解決しなければならないと決意をしています。それに向かってですね、さまざまな努力をしていく。いかなるチャンスも見逃さないという考え方の上に対応に当たっておりますが、まさに交渉でありますから、今、中身について、どのように行っているのか、どういうことをしているのかということは申し上げられませんが、まさに、拉致問題の解決に資する首脳会談につなげていきたいと考えています」

Q経済政策「アベノミクス」について、足りないところはどこか。デフレ脱却に関し、物価上昇率2%の目標についてどこまでこだわるのか?

A「いまの論点は総裁選においても、相当深掘りできたと思います。私は具体的にお話をさせていただき、反論もさせていただきました。私たちが進めている経済政策が地方に及んでいないという議論が石破茂元幹事長からありましたが、初めて有効求人倍率が全ての47都道府県で1倍を超えました。高度経済成長期にもバブル期にも実現できなかったことです。地方の法人が仕事をして利益を得て税金を払う地方法人関係税収は、ほとんどの地域で4割、5割増えている。さらに地方創生を進めていきたいと思います」

 「女性活躍についても、200万人女性の雇用が増えました。例えば有価証券報告書に何人女性役員がいるということを明記することを求めた結果、2・5倍女性役員が増えた。これは政権交代前に比べると5倍のスピードです。つまり、具体的な政策をどのように進めていくかということが大切だろうと。そして、女性の皆さんのですね、月額の給与も平均1・3万円増えていますし、男女の給与差、収入も、最も差が縮んでいるわけであります。さらに、同一労働同一賃金や働き方改革を進めていくことによって、さらにそのスピードを速めていきたいと考えております」

 「そしてまた、最近のいい数字はですね、労働生産性について昭和35年度以来、最高を更新をしたわけでありまして、いわばサービス産業を含めて労働生産性がやっと上がりはじめてきていると思います。可処分所得などについてもですね、足下では上がってきています。2%の物価安定目標について。安倍政権において、デフレ脱却の道筋はしっかりとつけていかなければならない。この3年間でしっかりつけてまいります。デフレではないという状況は作り出すことができました。物価安定目標というのは、この目標に近づいていくことによって、まず最大の課題である雇用の最大化を図っていくということだが、それは今実現することができている。正社員の有効求人倍率が1倍を超えて過去最高となっております。日本銀行とともにマクロ政策を進めてきた結果です。いずれにせよ、金融政策は日本銀行に任せておりますが、しっかりと今の政策を進めていきたい。もちろんですね、さまざまな論点についても、目配りをきかせていきたいと考えています」

Q人事で石破氏や石破派を処遇するのか?

A「適材適所であります」

(了)

shige_tamura at 09:47│Comments(0)clip!安倍晋三 

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