2017年03月29日

自民党の「弾道ミサイル防衛の迅速かつ抜本的な強化に関する提言」(全文)

 小野寺五典元防衛大臣・弾道ミサイル防衛に関する検討チーム座長の「弾道ミサイル防衛の迅速かつ抜本的な強化に関する提言」が、自民党安全保障調査会・国防部会合同会議で了承されました。

平成29年3月29日
自由民主党安全保障調査会
弾道ミサイル防衛に関する検討チーム

 北朝鮮による度重なる核実験及びミサイル発射は深刻な脅威であり、昨年の2度の核実験及び 23発の弾道ミサイル発射に加え、今月6日には石川県能登半島沖のわが国の排他的経済水域内に3発を着弾させ、「在日米軍攻撃担当部隊が参加」と発表する等、北朝鮮の挑発行為はわが国が到底看過できないレベルに達している。
 さらに、移動式発射台及び潜水艦からの発射、固体燃料を用いた弾道ミサイルの発射、高軌道に打ち上げ高速で落下するロフテッド軌道による発射等、北朝鮮はわが国及び同盟国にとって探知や迎撃が通常より困難となる技術を獲得しつつあると考えられ、北朝鮮の脅威が新たな段階の脅威に突入したとみなければならない。
 もはや、わが国の弾道ミサイル防衛の強化に一刻の猶予もなく、今般、党安全保障調査会の下に「弾道ミサイル防衛に関する検討チーム」を急遽発足させ、これまでとは異なる北朝鮮の新たな段階の脅威に対して有効に対処すべく、あらゆる実効性の高い方策を直ちに検討し、政府に対し予算措置を含め、その実現を求めることとした。
 ついては、以下三点に関し、政府において実現に向けた検討を迅速に開始し、さらなる抑止力の向上により、北朝鮮にこれ以上の暴挙を断念させるとともに、国民保護体制の充実を含めたより一層の対処力の強化により、万が一の際に国民の生命、わが国の領土・領海・領空を守り抜く万全の備えを構築することを求めるものである。

         記

1.弾道ミサイル防衛能力強化のための新規アセットの導入
 イージスアショア(陸上配備型イージスシステム)やTHAAD(終末段階高高度地域防衛)の導入の可否について成案を得るべく政府は直ちに検討を開始し、常時即応体制の確立や、ロフテッド軌道の弾道ミサイル及び同時多発発射による飽和攻撃等からわが国全域を防衛するに足る十分な数量を検討し、早急に予算措置を行うこと。また、将来のわが国独自の早期警戒衛星の保有のため、関連する技術開発をはじめとする必要な措置を加速すること。
 あわせて、現大綱・中期防に基づく能力向上型迎撃ミサイルの配備(PAC−3MSE:平成32年度配備予定、SM−3ブロック僑繊平成33年度配備予定)、イージス艦の増勢(平成32年度完了予定)の着実な進捗、事業の充実・更なる前倒しを検討すること。

2.わが国独自の敵基地反撃能力の保有
 政府は、わが国に対して誘導弾等による攻撃が行われた場合、そのような攻撃を防ぐのにやむをえない必要最小限度の措置として、他に手段がない場合に発射基地を叩くことについては、従来から憲法が認める自衛の範囲に含まれ可能と言明しているが、敵基地の位置情報の把握、それを守るレーダーサイトの無力化、精密誘導ミサイル等による攻撃といった必要な装備体系については、「現在は保有せず、計画もない」との立場をとっている。
 北朝鮮の脅威が新たな段階に突入した今、日米同盟全体の装備体系を駆使した総合力で対処する方針は維持するとともに、日米同盟の抑止力・対処力の一層の向上を図るため、巡航ミサイルをはじめ、わが国としての「敵基地反撃能力」を保有すべく、政府において直ちに検討を開始すること。

3.排他的経済水域に飛来する弾道ミサイルへの対処
 昨年8月以降、北朝鮮は3度にわたりわが国の排他的経済水域内に弾道ミサイルを着弾させており、航行中の船舶への被害は生じなかったものの、操業漁船が多い海域でもあり、わが国船舶等の安全確保は喫緊の課題である。
 このため、弾道ミサイル等の脅威からわが国の排他的経済水域を航行しているわが国船舶等の安全を確保するため、政府は、当該船舶に対して、航行警報等を迅速に発出できるよう、直ちに検討すること。また、これらの船舶の位置情報の把握に関する技術的課題や当該船舶を守るための迎撃を可能とする法的課題について検討すること。
                                       以上


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