2015年03月10日

中国建国史上最悪の環境汚染――環境保護大臣、厳罰を表明(遠藤誉氏)

安倍政権と安保法制ブログランキングに参加しています。
↓↓↓貴方の応援クリックが明日の活力になります↓↓↓

こちらをクリック
僕の本『安倍政権と安保法制』(田村重信著、内外出版)が発売されました。早くも3刷定できました。是非、お読みください。分かりやすいですよ!紀伊国屋書店、池袋ジュンク堂には重点的に配本されます。出版社から送料無料で購入できます。日本政策学校のHPより
 日本政策学校で2月より自民党政務調査会 調査役 田村重信氏を塾長にお迎えし、日本政策学ef="http://www.naigai-group.co.jp/_2014/07/post-34.html">内外出版HPよりアマゾンでもどうぞ!

 日本政策学校の「田村塾」が開講されました。 塾生が40人を突破しました!ありがとうございます。


 全人代開幕中の3月7日、中国の環境保護大臣は記者会見を行い、「中国建国以来、最悪の環境汚染だ」と叫び、新環境保護法による厳罰化を宣言した。環境汚染と党幹部腐敗との相関、および新環境保護法を解説する。


◆環境汚染の元凶は賄賂(わいろ)という腐敗

 なぜ中国の環境汚染がここまでひどくなったかというと、その元凶は党幹部の腐敗にある。

 たとえばある工場の設置申請の場合をとってみよう。

 企業側は、工場設置に当たり「営業許可証」なるものをもらわなければならない。これまでは営業許可を下ろす際には、必ず既定の「環境基準」を満たしていなければならなかった。

 ところが環境基準を満たして工場を設置するには膨大なコストがかかる。設置した後の環境保護のためにかかるコストも尋常ではない。

 そこで、賄賂がものを言う。

 営業許可証を下ろすためには、その設置場所の行政レベルの地方政府の認可が必要だが、許認可権に関しては非常に多くの行政部門が関係してくる。

 中央行政省庁の名前で言うならば、たとえば商務部(部は日本の省に相当)、環境保護部、衛生・計画生育委員会(のうちの元衛生部に相当する部門)、国土資源部、財政部、科学技術部、工業・情報化部、水利部などがあり、場合によっては食品薬品監督管理総局や林業部などが関わってくることもある。

 地方では、その部門の下位の「局」とか「庁」、さらにその支部などがあり、それぞれの部局に中国共産党書記がいる。この書記が許認可権を持っていたので、そこに「賄賂」を送り、環境基準を満たしていることにしてもらって、目をつぶってもらっていたのである。

 しかも許認可には何段階もあるので、その段階を踏むごとに賄賂を渡さなければならないから、環境保護のためのコストとほぼ変わらないと思うが、環境保護のためには、設備に対する初期投資だけでなく、それを維持するための費用が掛かるので利潤が少なくなるため、やはり賄賂を渡してしまった方が早い。その後も何かと便宜を図ってくれる。

 ここに巨大な腐敗の温床があり、それが改革開放後30数年間も続いてきたので、中国は歴史上最悪の、「もうこのままでは誰も生きていけない」程度まで環境が悪化してしまった。

 そこで、中国政府は、この許認可制度を撤廃して、環境保護部に処罰権を与え、反則した企業やその責任者には厳しい処罰を与えることにしたのである。


◆新環境保護法――環境保護部に与えられた4つの処罰権

 これまで環境保護部には処罰権がなく、唯一持っていた処罰権は罰金を科すことで、それも上限があり、100万元(1900万円)だった。

 ところが今般発表された新環境保護法では、環境保護部に以下のような処罰権を与えることになった。

1. 罰金の上限を取り払った。

2. 新環境保護法に違反した企業の責任者を拘留する権限を持つ。

3. 同じく違反した企業and/or責任者の財産を差し押さえる権限を持つ。

4. 同じく違反した企業の生産・製造を制限あるいは禁止する権限を持つ。

 このように、違反した企業を環境保護部が直接処罰することができるようになる。

 許認可ではなく、企業の自浄と自己管理能力に任せて、違反したら法で罰するという構造改革をし、その厳格な運用を今後は強化するようにするというわけだ。

 さて、そこに新たな腐敗の温床は出て来ないのだろうか……?

 2月23日付の本コラム「第二の中央が習近平を窮地に――公安閥が残した終わりなき災禍」でも書いたように、何と言っても司法や公安、検察が関係党幹部と癒着しマフィア化していたような地方政府において、法の執行がどこまで実行できるのか、少々疑問だ。

 一党支配体制という根本的構造改革を行わない限り、腐敗を撲滅できるような真の構造改革はできないのではないかと懸念する。

 それでも新常態(ニューノーマル)化により、「経済成長の量から質への転換」を図り、GDP成長率を7%にまで落としてでも、環境保護に対するコストをかけさせる決意だけは本気のようだ。

 そうしなければ、一党支配体制も崩壊してしまうのだから。その「待ったなし」の緊迫感が、この記者会見からは見えてくる。
(ヤフーより)


遠藤誉
東京福祉大学国際交流センター長、筑波大学名誉教授、理学博士

トラックバックURL

この記事にコメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価: 顔   
 
 
 
ランキング一覧

人気blogランキング

人気blogランキングに参加しました。
応援よろしくお願いします。
月別アーカイブ
最新コメント