2014年09月18日

「人民日報」電子版で李香蘭特集――19頁にもわたる内容は?(遠藤誉氏)

安倍政権と安保法制
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 9月15日、中国共産党機関紙「人民日報」の電子版「人民網」が、李香蘭の特集を載せた。同日、中国外交部の洪磊(こうらい)報道官は李香蘭逝去に対して哀悼の意を表した。この事実と内容から中国の心を考察してみよう。

「人民網」が載せた李香蘭特集の内容

「李香蘭去世 曾唱紅《夜來香》 芳華絶代一生坎●(●は土へんに可)」(李香蘭逝去 かつて《夜来香》が大流行 絶世の美と才能と波乱の一生)という見出しの長編記事を特集した。

 オリジナルではなくて、「看看新聞網」という上海広播電視台(上海ラジオテレビ局)傘下のメディアの「総合ページ」特集を、そのまますべて転載したものだ。

 冒頭には「20世紀の30年代および40年代に、上海で人気絶大だった日本国籍の歌手・李香蘭(山口淑子)が今月7日午前10時42分に逝去した。享年94歳。李香蘭は日本人だ。本名は山口淑子。中国遼寧省で生まれた。13歳のときに父親の中国におけるクラスメートで当時親日派の信用銀行総裁だった李際春に会い、その養女となる。そのため李香蘭という美しい名前を得るに至る」という趣旨の紹介文がある。

 そして各ページに中国における「李香蘭時代」の写真が載っており、「満州国」の前に「偽」という文字を付けて「偽満州国」という中国の決まりは守っているものの、「満州国時代」のありのままの事実が、華麗にして妖艶な写真とともに書いてある。

 7頁目には、以下のような文言もある。

――李香蘭。彼女の名前は山口淑子、日本の血が流れている。彼女の名前は李香蘭、中国人の養女だ。彼女は時代と民族の狭間に追い込まれ、やむなく偽満州国の巨星として燦然と輝いた。彼女は明らかに日本人だったが、「漢奸」(中国人の売国奴)として命を落とすところだった。しかし彼女は華麗に転身し、歴史を真正面から直視し、故国を忘れなかった。彼女は永遠に朽ちることのない夜来香だ……。

 なんと言っても中国共産党のウェブサイトである「人民網」が、このような内容を載せたのだから、本当はテレサテンを通して「夜来香」(イェライシャン)という歌を好んでいた中国の庶民は、ネットの中でつぎつぎとこの記事を転載。おまけに、たとえば「新華網河北チャンネル」とか「人民網広西ウィンドウ」など、党と政府系の地方ウェブサイトも中央にならったので、「安心して」広めている。


 そこに必ずあるのは「日中友好に貢献した」や「歴史を直視し」といったキーフレーズだ。つまり、ここまで「満州国時代」の写真と事実がありのままに報道されること許されているのは、この二つのキーフレーズがあるからということになろうか。

 中国のネットユーザーが李香蘭に注目したのは2005年から

 前回の本コラム「中国人にとっての李香蘭」でも書いたが、李香蘭の歌はすべてテレサテンの歌として中国大陸に上陸している。80年代初期、カセットテープの形を取って、「ひそかに!」大流行した。改革開放を始めたとはいえ、このような「退廃的な」歌を聴くことは、やはり「資本主義的」であるとして、「精神を汚染する対象」とされていた。

 86年に一度解禁されたことがあるが、しかしテレサテンが89年の天安門事件の際に、民主を叫ぶ若者たちを応援したことから、テレサテンの歌は、また禁止になった経緯がある。

 そのような中、李香蘭の名前そのものが中国のネット空間を賑わし、「夜来香」は李香蘭の歌だったことを知るにいたった事件が起きた。

 それは2005年、小泉元首相の靖国神社参拝をめぐって中国で激しい反日デモが展開した際、山口淑子氏が小泉元首相の靖国神社参拝を批判し、「それは中国人の心を傷つける」と書いたことが中国で熱狂的に歓迎されたのである。

 このとき筆者は中国にいて日本留学を希望する中国の若者と接しながら、一方では中国のネット空間の変化を追いかけていたが、そこには「山口淑子」が「李香蘭」であり、テレサテン(トウ麗君)が歌っていた「夜来香」は、この李香蘭の歌であったことなどが書かれていた。

 李香蘭は、反日デモを擁護した人物として、戦前に関する非難は帳消しにされている。

 中国外交部の洪磊報道官も、「李香蘭は戦後の日中友好事業に積極的に貢献した人で、彼女の逝去を祈る」と記者会見で述べている。

 それは「李香蘭のような言動をすれば中国は歓迎する」というシグナルを送っているとも解釈できる。

 筆者自身としては何とも複雑な気持ちを抱くが、11月に実現するかもしれない日中首脳会談に対する一つのシグナルであることは確かだろう。



遠藤誉
東京福祉大学国際交流センター長、筑波大学名誉教授、理学博士
(ヤフーより)


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