2014年06月25日

日本の美点で崩す「反日」の虚構 比較文化史家、東京大学名誉教授・平川祐弘

下村 博文

「人を幸せにする仕事、それが政治だ!」
との考えで、大臣になった人のお話。

『9歳で突然父を亡くし新聞配達少年から文科大臣に』(下村博文著、海竜社)を読んだ。
 今の政治家で大変な困難から大臣になったひともいたんだ。
 これは、元気になる本。
 政治家になるために何をしたらいいのか?...
 いろんなことがわかるためになる本です。
 人に支えられることとは?

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 産経新聞(6月25日)「正論」より

≪W杯観戦後のマナー称賛≫

 サムライブルーがワールドカップ第一戦でコートジボワールに逆転負けしたときはがっかりした。「藍色武士首戦失利」と中国語新聞にも出た。日本人サポーターがそれでも青い袋にごみを拾って帰った由だ。さては特派員が気落ちした読者の慰めに「美談」を送信したのか。そう思ったら各国メディアが日本人のマナーの良さに感心したのは事実らしい。数百名の日本人サポーターのこの「ファインプレー」を人民中国の記者も好意的に報じたと聞くと、両国関係が微妙な時だけに嬉しい。

 国内で暮らしているとわからないが、外国人が気づく日本人の美点がある。駅で列を作る。そこへ電車がきちんと来る。到着が3分遅れても車掌が謝る。外国人はそんな几帳面(きちょうめん)な日本に感心する。呆(あき)れもする。私も謝るのはほどほどにせよ、という一人である。

 近年の外国人観光客の増加は単に円安のせいでなく、日本のお国柄がいいからだ。飼い主が散歩中にペットの糞(ふん)を処理する。人のマナーがいいと犬のマナーまでよくなる。

 中国留学生に日本の第一印象をたずねたら「清潔」と答えた。「大陸と台湾と何が違ったか」と家内にきいたら「台北では地下鉄のトイレも清潔で、そこが大陸と違う」と答えた。そこで「同じ漢民族でありながらなぜ台湾は清潔なのか」と台湾の友人にきいたら「日本人の清潔好きが台湾に伝わったからだ」という。

 西洋人は植民地支配はキリスト教化の事業と心得、立派な総督府と立派な教会を建て先住民を改宗し霊魂を救おうとつとめた。それに対し日本人は立派な総督府と病院を建て、衛生思想の普及につとめ、台湾の人の命を救った。

 台湾人が後藤新平総督府民政局長を徳とするのはそのためだ。宗教心が薄いせいか、死後の霊魂の救済より生前の肉体の救済の方が私は大切な気がする。それだけに後藤に敬意をおぼえる。

 ≪宣伝にのらない中国人も≫

 だが批判する人もいる。矢内原忠雄は、現地調査に基づく『帝国主義下の台湾』(1929年)で日本の台湾統治を政治、資本、及び教育の面では文明開化の植民地化と評価したが、「ひとり宗教に関しては我が国民の活動は甚だしく不振」と言い、台湾に来た日本人宗教家は、「神道仏教及びキリスト教は殆んど凡て在住内地人に関係し」土地の人に対しミッション活動をしなかった、と苦言を呈した。

 矢内原は、西洋の植民政策を研究し模範と考えたから、日本が宗教事業をしなかったことを遺憾としたのだろう。しかし、支配者による宗教や思想の押し付けは私は真っ平だ。同化政策を強制しなかった時期の日本こそ賢明だったというべきだろう。

 文明は強制せずとも伝わるところに妙味がある。日本にオランダの医学が入ったのもそのせいだ。種痘が効いたことが、蘭方医の信用を高めたのだ。医学や衛生に敵味方はない。命あっての物種だ。

 台湾でも戦前の中国大陸でも日本の医師は信用された。魯迅が上海で死ぬ前、往診を乞(こ)うたのは日本人医師、須藤五百三(いおぞう)だ。もっとも日中関係が悪化すると「魯迅は須藤に殺されたに違いない」と言い張る者が出た。須藤は若いとき軍医で北京や台湾で勤務したから悪者のはずだ、というのが論拠である。

 だが日本人がみな「日本鬼子」だとは無学な人でも思うまい。習近平政権は反日の掛け声で民心をまとめようとするが、そのプロパガンダにのらない中国人もいる。富裕層には観光名義で来日し医師に診断を乞う人もいる。


 ≪国家の品位を欠いたやり口≫

 中国で日本を悪く描けば描くほど現実の日本はきれいで平和で、そのギャップに党の宣伝の異常を感じる人が逆にふえる。となると対日感情は複雑だ。中国人留学生の4分の1は日本で就職する。もしそんな悪い国なら、日本に居残るはずはない。

 だとすると中国人の本音は何か。たとえ関係が悪化しても、日本にいるかぎり中華街が放火され吊(つる)し上げられる心配はないから、日本に残ろう、とでも計算しているのだろうか。

 近ごろ近隣諸国は国家の品位をいよいよ重んじない。自国の独裁者のせいで死んだ人の数は不問にし、日本軍による虐殺数のみを言いつのる。「性的奴隷」狩りの証人、吉田清治氏がたとえ虚言症とわかっていようとも、反日宣伝の為とあればいくらでも利用する。

 そのやり口が汚いから、反撥(はんぱつ)する日本人がふえてきた。生活面で清潔好きの日本人は精神面でもきれい好きで、曲がったことは嫌いなのだ。それが神道的な風土で育った人の倫理観なのだ。

 だがそんな観察をする私を「右翼」と呼び、異を唱える「良心的」な新聞人も日本にはいるだろう。それもまた結構だ。せいぜいその新聞社屋の正面に慰安婦像と吉田清治像とを据えて、それらを社員に拝ませ、日本の右傾化を防いでもらいたい。
                           (ひらかわ すけひろ)

shige_tamura at 11:47│Comments(0)TrackBack(0)clip!安保・防衛政策 

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