2014年04月04日

米ソは冷戦時代に戻るのか?(ワシントン報告、横江公美氏)

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 ヘリテージ財団、アジア研究センター、2014年4月3日


 米ソは冷戦時代に戻るのか?


毎週月曜日の朝一で開催される国際部の全体会議で、ウクライナについての議論が必ず行われている。

 ヘリテージ財団の国際部が注目するウクライナの今後についてのポイントは、要約すると2点である。

 1つは、ロシアのクリミア半島の併合により、米ロの関係は、「冷戦」となるのか、という議論である。これについては、いずれのシンクタンクの公開フォーラムでも議論されているが、押しなべて「以前の冷戦にはならない」と見ている。

 ヘリテージ財団の国際部の責任者のカラファノは、「冷戦」と定義しない理由は4つある、と語る。

 1つは、もはや、イデオロギーの戦いはないことである。ロシアは、経済的には共産主義の国ではなく、ただの汚職の進んだ国である。
 2つ目は、ロシアはソ連時代ほどヨーロッパに影響力を有してはいない。
 3つ目は、軍事競争に代表される冷戦ととらえるのは、時間に逆行した考え方である。
 4つ目は、経済的つながりがすでにできており、経済制裁の効果が以前と異なっている。政治家など個人に向けた経済制裁は1つの手段であるが、ロシア全体の経済制裁は時間がかかるだけではなく、他の国々にも大きな影響を与えることになる。
 
 2つ目の議論のポイントは、ロシアがクリミア以外のウクライナに進攻するかどうかである。これについては、ヘリテージ財団内でも見方は分かれている。

 ヨーロッパ政策を研究するルーク・コフィは、「ロシアは、クリミア以外に進攻を広げない」と語る。もしあったとしても、2,3年はないと見る。その一方、国際政策部の部長であるスティーブ・ブッチは「すぐにでもあり得る」と語る。

 ただし、ロシアが国境での影響力を拡大するために軍隊を利用する可能性は大いにある、ということでは両者の見解は一致した。

 先日、行われたCSISのウクライナについての公開フォーラムの質問では、グルジア、モルドバといったソビエトから独立した国の人々が「もし、それらの国にウクライナと同じことが起きたら、アメリカはどうするか」といった質問がなされていた。

 ヨーロッパ、とりわけ旧ソビエト圏の国には、ウクライナのクリミア半島のようにロシア人が多く住んでおり、これらの国の人々が心配していることはワシントンでもよくわかる。

冷戦以後の東ヨーロッパと関係がとりわけ深いヘリテージ財団では、「今以上に強硬姿勢が必要である」との立場をとっている。
 
アジア部長のウォルター・ローマンと元CIAの韓国部長のブルース・クリンガーは、「日本、台湾といったアジアの国々は、ウクライナと同じような安全保障について関係をアメリカと持っている。こういった国々は、アメリカの対応を注視している」と懸念を示した。

 カラファノは、「ウクライナ事件からアメリカのロシア政策は変わらざるを得ない」とし、「ウクライナの状況は長引くことを前提に、長期的視点でロシア政策をどうするかについて研究しなければならない」と語っていた。

 ヘリテージ内でも、アメリカのロシア政策についての見直しが、いよいよ始まった。



 キャピトルの丘


ロシアによるクリミア半島の編入から、民主主義について考えてしまった。参政権と国籍の議論に教訓があるように思われる。

 今回の事件は、民主主義が利用されるということを知らしめた。ウクライナには、ヨーロッパに近いクリスチャンと、ソビエト時代に移り住んできたロシア人、そしてイスラム教を進攻するタタール人がいる。クリミア半島にはロシア人が多く住む自治区であり、住民投票でウクライナから独立し、ロシアに編入することを決めてしまった。

 地方の住民投票で国が変わるとなれば、少数民族を抱える国とりわけ、ロシア人を多く有する元ソビエト圏の国が恐怖を感じるだけではなく、国際社会は明らかに混乱する。だが、先に紹介したCSISのフォーラムでキースピーカーをつとめたスコウクロフトは、「ウクライナが軍隊を出していないし、ましてやアメリカに軍事援助の要請も来ていない。この状態で、アメリカが軍事介入をするということはできない」と語っていた。

 国際社会の秩序を揺るがす事件であるにも関わらず、「選挙で決まり」、それをその国が容認しているとなると、現在は、経済制裁しか手立てがない状態とも言えよう。

 この「民主主義を利用する」クリミア方式を利用する国がでてくるのではないか、との懸念を持ってしまう。例えば、100年、200年かけて日本を領土にしようとの企む国があるとする。その指導者は、ターゲットとした地域に自国民を多く移民させれば、ゆくゆくは可能性がないわけではない。

 例えば、外国人の地方参政権の議論は、ウクライナ事件を見るとさらに慎重にならざるを得ないと思われる。

 同時に、二重国籍の可能性についても考えてしまった。アメリカで最近増える、ヒスパニック・アメリカン、韓国系アメリカ人、中国系アメリカ人、インド系アメリカ人の政治力は人口増加に伴い強くなっている。

 二重国籍を認め、強力な国づくりを推し進めているのが、イスラエルである。アメリカも二重国籍を認めている。ちなみに韓国も台湾も二重国籍を認めている。

 日本でも日本人の二重国籍の可能性についての議論を始める時かもしれない。

今回はかなり思い切ったことを書きました。ご意見、コメントなどありましたら、ぜひ、よろしくお願いします。


横江 公美
客員上級研究員
アジア研究センター Ph.D(政策) 松下政経塾15期生、プリンストン客員研究員などを経て2011年7月からヘリテージ財団の客員上級研究員。著書に、「第五の権力 アメリカのシンクタンク(文芸春秋)」「判断力はどうすれば身につくのか(PHP)」「キャリアウーマンルールズ(K.Kベストセラーズ)」「日本にオバマは生まれるか(PHP)」などがある。

shige_tamura at 09:39│Comments(0)TrackBack(0)clip!安保・防衛政策 

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