2014年01月17日

2014 自由経済指標を発表(横江公美氏のワシントン報告)

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 ヘリテージ財団、アジア研究センター、2014年1月16日

 2014 自由経済指標を発表


 1月14日、ヘリテージ財団は2014年度の自由経済指標を発表した。これは、1995年から続き、ウォールストリートジャーナルと協賛し、すべての国を対象に自由経済の指標でランク付けするヘリテージ財団が最も力を入れる研究プログラムである。

 ヘリテージ側でこのランキングを担当しているのは、自由経済部の部長テリー・ミラーと国際部の元総責任者のキム・ホルムス、そして、研究員のカンザス州出身のブライアン・ラリーと韓国系アメリカ人のアンソニー・キムである。
 
 簡潔に順位とポイントを紹介しよう。

順位

1香港
2シンガポール
3オーストラリア
4スイス
5ニュージーランド
6カナダ
7チリ
8モーリシャス
9アイルランド
10デンマーク

重要な指標〈抜粋〉 

1Freedom from corruption
2Monetary Freedom
3Labor Freedom
4Government Spending
5Trade Freedom
6Investment Freedom

ポイント

・1位は20年間変わらず香港である。
・日本は24位から25位に順位を落としたが、“ほぼ自由経済”圏に入っている。
・アメリカは唯一、過去7年間順位を落としており、ついに今年は10位から12位に転落した
・世界的にみると経済自由度は向上しており、今回は最高記録である。今までの平均は「ほぼ不自由」というカテゴリーであったが、今回は、「まあまあ自由」であった。
・昨年と比べて最大の向上率は見せたのがミャンマーで172位から162位にランクをあげた。

 ヘリテージ財団では、1月14日午前11時から自由経済指標発表の公開イベントを行ったのでその内容も簡単に紹介しよう。

 昨年4月に所長についたジム・デミントは、「この指標は影響力が強いので、国も会社もヘリテージ財団に経済状態の説明にやってくる。」と笑顔で語り、「このプログラムはヘリテージの最も重要なプログラムである」と紹介した。ただ、アメリカが10位から12位に転落したことについては、アメリカが向かっている大きな政府の方向に警鐘を鳴らした。

 その後、5分程度のキーノート・スピーカーのロン・ポール上院議員は「アメリカ政府の拡大は自由経済を脅かし、経済成長の妨げになっている」と現在のアメリカ政治の方向性を批判した。

 その後、キム・ホルムズを司会に、国内政治の責任者Derrick Morgan、ウォール・ストリートジャーナルのSteve Moore、そしてヘリテージ財団のテリー・ミラーとブライアン・ラリーが参加しパネルディスカッションが行われた。

 ここでの議論で興味深い質問が中国のプレスからあった。

「香港が1位であることは、中国のランクに効果をもたらしますか?」

 パネリストは口を揃えて、「香港と中国の経済は別物である。香港は香港で努力をした結果である」としていた。ちなみに中国は136位から137位に順位を落とし、「ほぼ不自由」の範疇である。



 キャピトルの丘

 上記のイベントのデミント所長のあいさつで、外国の名前が1つだけ登場した。それはなんと日本であった。

 デミントは、「自由経済指標の作成には Edwards Deming が日本で実践した“総合的品質管理:total quality management”がとでも重要である。経済政策だけではなくその成果も重要なのだ」と語った。

 アジア研究部は、デミント所長のアジア訪問に向け日本についてのブリーフィングを始めたところであったので、先週の日本大使館との会合が功を奏したんだと、一人で微笑んでしまった。

 Edwards Demingについてあまりよく知らなかったので、さっそくググってみた。彼は戦後の日本で、専門の統計を使ったマネジメントを教え、日本企業成長のカギを作った人物であった。アメリカに戻ってから、日本で成功した手法をアメリカ企業と政府向けにコンサルタントを行った。彼はアメリカでも企業や政府では有名であったが、彼の功績は、テレビがドキュメンタリーを作って紹介したことで全米に知られるようになったと言う。

 デミント所長は、上院議員以前はサウスキャロライナで調査コンサルティング会社を運営していたので、経営を専門とする統計学者を知っていたとしても、このためにもう一度、確認したことは確実である。日本への好感度の表れだ、と私的には思えてしまったのである。

 デミント所長は日本人が想像する典型的な政治家スタイルの語りではない。舞台の上でも、穏やかに向かいに座っている人に話すように話す。中身も、エドワード・デミングを例に挙げたようにかなり広範囲の知識を結集する。そして、一番、言いたいことは、辛辣であればあるほど「ユーモア」で包んで発信する。

 この時は、10位圏内から12位に落ちたアメリカについて「アメリカは、もはや自由の国ではないのです。国務省の長官が外国に『アメリカは“ほぼ自由”の国です』と言うことを想像してみてください」と、にこやかに上品に非難した。



横江 公美、
客員上級研究員、アジア研究センターph.D(政策) 松下政経塾15期生、プリンストン客員研究員などを経て2011年7月からヘリテージ財団の客員上級研究員。著書に、「第五の権力 アメリカのシンクタンク(文芸春秋)」「判断力はどうすれば身につくのか(PHP)」「キャリアウーマンルールズ(K.Kベストセラーズ)」「日本にオバマは生まれるか(PHP)」などがある。

shige_tamura at 12:03│Comments(0)TrackBack(0)clip!安保・防衛政策 

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