2013年11月08日

パブリックスピーチで物語を使う!(ワシントン報告、横江公美氏)

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 ヘリテージ財団、アジア研究センター、2013年11月7日

 パブリックスピーチで物語を使う!


先日、私が所属する国際部では、大規模な社内研修があった。

 この社内研修は、「The Art of Narrative workshop for foreign Policy Team」というタイトルで、パブリック・スピーチのさいに、効果的な「物語」を語るための研修であった。

 ヘリテージ財団の研究員が、大きな講演を行う場合、個人的にこの研修は行われている。今回は、この研修は全員知っておくべく内容であると国際部のジム・カラファノ副所長が判断し、国際部に所属する国際関係、アジア、自由貿易、条約のすべての研究員を対象に研修は行われた。

 午前9時30分から始まり、終了したのは午後3時、ほぼ丸1日の研修だった。
 アジア部長のウォルター・ローマンも国際関係部長のスティーブ・ブッチもこの日は受講生となり総勢40人が参加した。

 日本でも、最近、「物語の使い方」は話題になっている。
 非常に興味深い内容だったので、今回のニュースレターではこの研修について紹介したい。

 講師は2人。Stephen Clouseは、ブッシュ父元大統領やギングリッチ元下院議長にスピーチ指導を行った経験のベテランだ。Loretta CooperはABCニュースで記者として14年働いたベテランジャーナリストだ。午前中は、二人から「物語」を使う際のコツを学ぶ。そして午後は、グループに分かれて、実際に物語を作るというワークショップだった。

「物語」を使う際に、まず考えなければならないのは、誰が「主役」で誰が「リーダーまたはメンター」なのかということだった。

 講師のCooperによると、「主役」は常に聴衆であり、「リーダー」は語り手である私たちだ。この場合の「主役」は、講演で用いる「物語」の主役ではなく、その会場を舞台にした「主役」である。
 この点では、政治家もヘリテージ財団の研究者も立場は同じである。

 政治家は有権者に語りかけ、心を動かし行動につなげ、社会を良くすることが仕事である。

 政治家は、リーダーであり社会をよくする本当の主体は「国民」である。研究者にとっては、社会を良くする研究をし、それを発表することで、聴衆を納得させその方向に進む動機の種をまく。

 そして、物語は、私たちが話すことの「なぜ」の部分にあたる。
 なぜ、その研究が必要なのか、なぜ、その改革が必要なのかを、物語を使って感情に訴えるのである。
 どんな話でも「感情」への響きがなければ効果的なスピーチとはならない。

この時、物語をうまく使った例は、ノルマンディの戦いで戦った軍人のための式典でのレーガン大統領の演説であった。
レーガン大統領は、亡き父の代わりにそこに座る軍人の娘と父の話をした。彼女の父親はもう一度ノルマンディの地を訪れたがっていたが、その願いは癌のため叶わなかった。代わって、彼女は、いつか、父と自由のために戦死した人々のためにノルマンディを訪れる約束を父としたと言う。

 会場は涙に包まれる。
 退役軍人たちにとってレーガン大統領が語る「物語」は他人ごとではない。

 共通体験であり、共通の感情である。

 レーガン大統領は、リーダーとして、その場に参加する退役軍人とその家族、そしてテレビで見るアメリカ人全員に、ノルマンディで生死をかけて戦った英雄たちがアメリカの誇りであることを訴えていた。

 次に、自分が、効果的な物語を語る際の手順である。

 最初に、言いたい物語の内容を全般を書き出す。

 次に、そのコンテンツを3つ上げる。

 そして次には、上記の内容を、ヒーローは誰か?
 トリガーとなる事件は何か?
 ターニングポイントは何か?物語を完結させる解決策は何か?と整理し、物語を洗練させていく。

 手順だけ聞くと簡単だが、実際、2時間のワークショップで上級研究員もアシスタントもみんな一緒にかなりいろいろな意見がでて、思ったより大変だった。

 最後に、「物語」を使う際の注意点である。
 物語をつかった演説やインタビューの回答のビデオを見せられ、その印象を述べた。その際に、受講者がもっとも気にしていたのは「わざとらしい」かどうかであった。感動的にするために「わざとらしい」と思われたら、物語の効果は半減どころかマイナスに作用するにで、この点については注意が必要である。


  キャピタル・ヒル

ヘリテージ財団で働き始めたのは2年4ヶ月前にさかのぼる。その間、もっとも感銘をうけているのが、研究員に対する研修である。上記の研修もそうだが、今までに、さまざまな研修を受けた。入ったばかりの時には、テレビ出演用の個人トレーニングを3時間受けた。
 そして、今日も、興味深いメールがヘリテージの設立者の一人であるターロック副所長から届いた。
 なんと、受取人は全員で「Weight Control」についての1時間30分の講義で、プログラムを主催する医師が最新の研究結果を用いながら説明してくれると言う。これに参加すると、お勧めメニューがついた本もプレゼントされる。メールの最後には「食べる人が好きな人はこのプログラムが好きなはず」と書いてあり、最大体重更新中の私は当然のごとく登録した。
 ヘリテージで働き始めたときのオリエンテーションで一番感銘を受けたことは、「ヘリテージを将来、辞めるとしても、ここで働いたら、その前よりも成長して巣立って欲しい。そのための教育は惜しまない」との方針であった。
 ヘリテージ財団の中に入ってみて、シンクタンクには、所属する関係者(研究員だけではなくここで働くすべての人)を成長させるという機能を持っていることに気がついた。


 横江 公美
 客員上級研究員

 アジア研究センター Ph.D(政策) 松下政経塾15期生、プリンストン客員研究員などを経て2011年7月からヘリテージ財団の客員上級研究員。著書に、「第五の権力 アメリカのシンクタンク(文芸春秋)」「判断力はどうすれば身につくのか(PHP)」「キャリアウーマンルールズ(K.Kベストセラーズ)」「日本にオバマは生まれるか(PHP)」などがある。

shige_tamura at 09:27│Comments(0)TrackBack(0)clip!安保・防衛政策 

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