2013年09月06日

アメリカはシリアを攻撃するか?(ワシントン報告、横江公美氏)


【田村重信】日本国憲法を改正できない日本に未来はあるのか[桜H25/8/28]
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 ヘリテージ財団・アジア研究センター(2013年9月5日)

アメリカはシリアを攻撃するか?


 休会があけた9月3日から、上院ではシリアを攻撃べきかどうかの公聴会が開かれている。

 先週までは、大量破壊兵器を使ったことを理由にオバマ大統領は大統領権限で武力行使に踏み込むかと思われていたが、盟友イギリスが議会で拒否されると、オバマ大統領はアメリカも議会に図ると方向転換した。

 大統領制であるアメリカではオバマ大統領は武力行使を議会に図る必要はない。

 にもかかわらず、なぜ、オバマ大統領は議会に図ったのか、日本から見ると不思議であるようだ。

 アメリカが武力行使に踏み込めない理由は9月4日ヘリテージ財団が発表した「シリアについて議会がオバマ大統領に追求して明らかにすべき5つのポイント」を読むとよくわかる。

1.オバマ大統領が主張する、地上軍を投入しない限定的な作戦の目的が奇妙である。
 オバマ大統領が主張する、限定的な作戦でシリアを攻撃したい。
 しかしオバマ政権が描く解決策の目的が曖昧で広すぎる。
 そのため、短期ではなくシリアへの介入が長期に及ぶ懸念を抱かせている。
 オバマ大統領は、シリアへの軍事作戦はシリアの化学兵器能力を低下させると言うが、当初の発言からすでに時間が経過しているおり、すでに大量破壊兵器は移動している可能性が高い。
 その状況で限定的な作戦で効果があるかどうかが不明である。


2.反政府勢力がイスラム過激派と関係が深い。

 シリアへの攻撃は、アサド政権に反対する勢力、つまり、アメリカを攻撃する可能性があるイスラム過激派の便益になる可能性がある。


3.オバマ大統領が主張する「レッド・ライン」に一貫性がない。

 オバマ政権は、昨年、数回にわたってアサド政権が化学兵器を使った確証があると語っている。
 それが事実だとしたら、なぜ、昨年、行動をおこさなかったのか。 


4.オバマ政権は8月21日に化学兵器の使用があったと語るが、オバマ大統領はそのことがいかにアメリカの安全保障を脅かしているかについての明確な説明をしていない。

 8月21日の化学兵器の使用が、アメリカとアメリカの同盟国の安全保障にどれだけ危険かの説明が要する。
 昨年の化学兵器使用は見逃したり、一貫性のないアメリカの姿は、イランなどの国に大量破壊兵器をもたせないようにするための正しいサインを送ることにならない。


5.アメリカはこれについて同盟国からの幅広い支持を得られていない。

 ニューヨークタイムスによると、軍事作戦に協力することを申し出ている国は、フランス、サウジアラビア、トルコそしてアラブ首長国連邦の4カ国だが、軍事作戦を約束している国はフランスだけだ。

 議会はアラブの他国の協力を広がない理由をオバマ大統領に追求すべきである。

 新聞は連日、シリアの投票について票読みを展開するが、連邦議会のシリア議論は思った以上に長引く可能性がある。



 キャピトルの丘

 現在、アメリカの世論調査を見ると、シリアへの軍事作戦を指示する人は少ない。

 最近、ピューリサーチがが行った世論調査の結果は、反対48%に対して、賛成は29%に過ぎなかった。

 アメリカの世論に加えて、とりわけ盟友イギリスの議会が軍事作戦を否決したことはオバマ大統領に衝撃を与えたといっても良いだろう。

 さらにアメリカにはイラク戦争とその後のトラウマがある。

 イラクから大量破壊兵器は見つからなかったことに加えて、現在も、イラクとアフガニスタンの出口戦略は見えていない。

 人権、民主主義において世界の警察という責任をおっていたアメリカが、大統領権限であるにもかかわらず、オバマ大統領が議会に諮ったことを見ると、不安になる日本人は多いようだ。

 アメリカは日本周辺で有事が起きたときに、アメリカは日本を助けるのかと思ってしまうからだ。

 ヘリテージの5つの理由を読むと、オバマ大統領が攻撃を一人の責任で決めずに議会に諮った理由が見えてくる。

 現在、民主党が多数派を握る上院では可決と見られるが、共和党が支配する下院では、両党のリーダーがオバマ大統領を支持すると宣言しているが、否決されるのではないかと見られている。

 来年、選挙がある下院は、オバマの政党である民主党の議員ですら世論におもねる可能性も高い。

 世界が注目する中、否決されたらオバマ大統領は攻撃しないのか。

 または、否決されても結果として武力作戦を遂行するのか?

 アメリカの威信を信じるタカ派で知られるジョン・マケイン上院議員は、オバマ大統領が議会に責任を押し付けた時点で「大惨事になる可能性がある」と懸念を表明している。

 冷戦時代にも国防に力を入れる議員として活躍したマケイン議員、ヘーゲル国防長官、ケリー国務長官はシリア攻撃に賛成する演説を行っている。

 政党にかかわらず冷戦時代の安全保障専門議員以外は、シリア攻撃にどちらかというと消極的だ。

 シリア議論は、まるで冷戦を知る人々と911以後の世界に生きる人々の間で世界におけるアメリカのリーダーシップの定義をめぐる戦いが行われているようだ。



 横江 公美・客員上級研究員・アジア研究センター Ph.D(政策) 松下政経塾15期生、プリンストン客員研究員などを経て2011年7月からヘリテージ財団の客員上級研究員。著書に、「第五の権力 アメリカのシンクタンク(文芸春秋)」「判断力はどうすれば身につくのか(PHP)」「キャリアウーマンルールズ(K.Kベストセラーズ)」「日本にオバマは生まれるか(PHP)」などがある。

shige_tamura at 09:19│Comments(0)TrackBack(0)clip!安保・防衛政策 

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