2013年05月21日

自民党・治安・テロ対策調査会提言全文(その1)

日本本












『日本の防衛政策』(田村重信編著、内外出版)『日本の防衛法制』(田村重信他編著、内外出版)を出版。この二冊とも増刷となりました。
よろしくお願いします。

ブログランキングに参加しています。
↓↓↓貴方の応援クリックが明日の活力になります↓↓↓

こちらをクリック

 今朝、自民党・治安・テロ対策調査会提言「世界一の安全を取り戻すために 〜 緊急に取り組むべき3つの課題」が治安・テロ対策調査会で了承されました。
 今日中に、政調審議会、総務会を経て、政府に申し入れが行われる予定です。

 今回の提言は、林幹雄調査会長のもと事務局長の葉梨康弘衆院議員が中心に取りまとめたものです。
 以下、全文を2回に分けて掲載します。


序 はじめに〜本提言の位置づけ

〈経緯〉

 「良好な治安」の存在は、社会の健全な発展のために欠かすことのできない重要なインフラである。
 この治安水準の重要な指標である刑法犯認知件数は、平成8年から14年まで、戦後最悪を更新し続け、平成14年には285万件を突破するに至った。
 このためわが党は、政務調査会に設置された治安対策特別委員会において必要な検討を行い、平成15年7月に「治安強化に関する緊急提言」、平成16年6月に「治安強化のための7つの宣言」、平成20年4月に「地域の絆を再生し、世界一安全な国へ〜世界一安全な国をつくる8つの宣言」を、それぞれ発表し、治安対策に真摯に取り組んできた。
 政府においても、責任与党であるわが党の提言を受け、平成15年12月に「犯罪に強い社会の実現のための行動計画」、平成20年12月には「犯罪に強い社会の実現のための行動計画2008」という、それぞれ計画期間を5カ年とする行動計画を策定し、わが党との連携の下、治安対策が推進されてきた。
 この結果、平成15年から20年までの5カ年の計画期間で、刑法犯認知件数が約280万件から180万件と大幅に減少し、さらに、平成20年以降の計画期間においても、刑法犯認知件数が毎年約10万件の減少をみるなど、刑法犯認知件数自体は、統計的には安定的に推移するに至っている。
 これは、わが党の誇るべき成果ということができる。
 しかしながら、その後の民主党政権においては、与党が主導する治安強化のための議論は、ほとんど行われてこなかった。
 そして、例えば平成24年7月に公表された内閣府の「治安に関する特別世論調査」によれば、「最近の治安は悪くなった」と感じる国民が8割以上に上るなど、なお国民の不安感が払拭されているとは言い難い現状にある。
 いうまでもなく、国民が安全で安心して生活できる「良好な治安」を実現することは、政治に課せられた最も大きな使命の一つである。
 加えて、政権与党が、世界一の安全を実現する強い姿勢をアピールすることは、政治への信頼の回復に大きな力となるのは勿論のこと、2020年オリンピック・パラリンピックの東京への招致活動を援護することとなることも期待されよう。
 このため、わが党は、政権復帰2カ月後の本年1月、政務調査会に治安・テロ対策調査会(林幹雄調査会長)を設置し、関係省庁からの報告聴取や有識者からのヒアリング等を通じ、現状の問題点の分析と「世界一の安全」を実現する方策について検討を進めてきた。そして、本日、これまでの議論を集約し、「世界一の安全を取り戻すために」を取りまとめた。

〈問題の所在〉

○民間の安全形成システムや「地域の絆」の問題

 先述の「治安に関する特別世論調査」によれば、「治安が悪くなったと思う原因」として、「地域社会の連帯意識が希薄となったから」を挙げた人が最も多く、約55%に上っている。
 このような問題意識から、平成20年の「地域の絆を再生し、世界一安全な国へ〜世界一安全な国をつくる8つの宣言」においても、「地域の絆」の再生を最重要課題と位置づけ、防犯ボランティア支援などの施策等を強力に推進することとしたところである。
 しかしながら、民主党政権下、残念ながら、防犯ボランティアの方々の総数の伸び悩みがみられたり、保護司の定員割れの問題も深刻化するなど、「地域の絆」の再生は、若干頓挫してしまった感が否めない。
 加えて、少子高齢化の急速な進展と、本格的人口減少社会の到来の中で、防犯ボランティアや保護司の方々等の高齢化も顕著になってきており、このような「民間の安全形成システム」を、将来にわたり、どのようにして維持強化していくかが、現下の重要な課題となっている。
 このためわが党は、わが国が誇るべき文化とも言うべき、「民間の安全形成システム」を、持続可能な形で強化することを、本提言の第一の命題として提示すべきと判断した。

○新たな対応を必要とする犯罪の問題

 現在のところ、刑法犯認知件数の総数こそ減少傾向で推移しているとはいえ、犯罪類型ごとに分析してみると、サイバー犯罪の問題など、犯罪に対処するための法制面の整備が必ずしも十分でなかったり、関係機関や官民連携による対応体制が確立されていないなどの問題も大きい。
 しかしながら、民主党政権は、このような危機管理に関する法制的な検討にはどちらかというと無頓着で、新たな対応を必要とする犯罪への対処が後手に回ってしまった印象はぬぐえない。
 このため、わが党は、複雑化、組織化、国際化する新たな犯罪に対し、必要な法的検討、対処体制の検討を行うべきことを、本提言の第二の命題として提示すべきと判断した。

○治安インフラは国民の信頼に応えているかという問題

 平成24年版警察白書には、「地方警察官については、平成13年度から23年度までの間に合計27,640人の増員を行ってきたところ、刑法犯認知件数が15年以降9年連続して減少するなど、地方警察官の増員は他の諸施策と併せ、犯罪の増勢に歯止めを掛け、治安の回復に効果をもたらしていると考えられる。」との記述がある。
 しかしながら、このような増員が果たされたとはいえ、近年、警察に対してストーカー被害の申告があったにもかかわらず、ストーカーによる殺人事件の発生を防止できなかった事案がみられたり、治安機関の職員の不祥事も後を絶たないなど、わが国の治安インフラが、真に国民に親近感と信頼感を勝ち得たものとなっているのかどうか、しっかりとした点検が必要と思われる。
 このため、わが党は、単に治安関係職員の増員を図れば問題が解決するという視点でなく、スキルアップや運用の効率化とあわせた体制の強化を図ることにより、国民にとって頼りがいのある治安インフラを確立すべきことを、本提言の第三の命題として提示すべきと判断した。

〈本提言の位置づけ〉

 以上の考え方の下、わが党は、責任与党として、政府・与党が一丸となって、緊急、かつ、集中的に取り組むべき3つの課題を提示した。
 本提言を踏まえ、政府においては、新たな行動計画を策定し、わが党と一体となって、国民の安全と安心を確保するための取り組みを進めるべきである。


第一 持続可能な民間の安全形成システムの強化

 防犯ボランティアや保護司の方々などの献身的な活動が、これまでわが国の良好な治安を支えてきた。このように地域に根ざした民間の安全形成システムの存在は、わが国が世界に誇るべき文化ということができる。
 わが党は、これまでもこのような問題意識から、例えば平成20年の「地域の絆を再生し、世界一安全な国へ〜世界一安全な国をつくる8つの宣言」においても、「地域の絆」の再生を最重要課題と位置づけ、第一の宣言として、「防犯ボランティアを支援し、世界一安全な地域社会を作る」ことを掲げ、これに基づく施策を推進してきた。
 その結果、例えば防犯ボランティアの総数は、平成15年の約18万人が平成20年末には約250万人に達するなど、大幅な増加が図られた。
 このような民間の防犯体制の充実は、地方警察官の増員などとあいまって、刑法犯の認知件数の減少等に寄与してきた。
 しかしながら、近年、防犯ボランティアの団体数や総数に伸び悩みの傾向がみられるほか、少年非行の防止に当たる少年警察ボランティアの総数が減少傾向に示すとともに、民間の立場から再犯防止に当たる保護司の方々の定員割れ傾向が常態化するなど、新たな担い手の確保の問題が顕在化している。
 さらに、防犯ボランティア、少年警察ボランティア、保護司のいずれの方々についても、高齢化の進展が顕著になるなど、民間の安全形成システムの劣化が懸念されている。
 その理由としては、民主党政権下、このような民間の安全形成システムの強化について、政治が必ずしも熱心でなかったことも挙げられるが、それだけでなく、地域コミュニティの脆弱化、人口構成の高齢化、人口減少社会の到来などの要因が絡み合っていることは否めない。
 民間の安全形成システムは、一旦機能しなくなってしまえば、その回復は容易ではない。
 だからこそ今、民間の安全形成システムを、持続可能な形で強化するため、総合的な施策を展開することが必要である。

1 自主的防犯活動の支援強化による犯罪を起こさせない社会づくりの推進

(1)自主的防犯活動・少年非行防止活動のネットワークの構築・活用

 防犯ボランティアや少年警察ボランティアの総数の伸び悩みなどの現状にかんがみ、社会の各層の方々の参加を促進することができるよう、幅広いネットワークを構築し、その活用を図るべきである。
○ボランティアの裾野拡大のための広報啓発を充実する。
○負担を感じず、自発的に参加できる活動形態を創出する。
○自治体等と連携した総合的まちづくりにおける防犯活動を推進する。
○リーダー育成等のための研修会やフォーラムを開催し、表彰を実施する。
○ 地域の犯罪情報を的確に収集、分析し、ボランティアに提供する。

(2)住民の安全・安心を確保するための生活空間の整備

 住民の安全・安心を確保するための生活空間の整備のためには、例えば、地域コミュニティが主体的に、街灯や防犯カメラを設置するなどの取り組みが有効であるが、地域によっては、その維持すらも難しくなっているとの指摘もある。このため、地域コミュニティの自主性を尊重しつつ、安全・安心を確保するための生活空間の整備を進める。
○商店街など地域が自主的に設置する街灯・防犯カメラ等について、その維持更新も含め、助成措置を拡充するとともに、効率的整備促進のための調査研究を行う。
○最近相次いだ痛ましい事件事故を踏まえ、地域、学校、警察が連携し、通学路の安全性を定期的に点検するなどその安全確保を図る。

(3)人口減少社会の到来に対応した犯罪に強いまちづくりの検討

 本格的人口減少社会が到来する中、現在750万件と言われる「空き家」の増加が、治安の面でも懸念材料となっている。各地で適切なその管理を促す条例も制定されているが、このような状況が治安を悪化させる要因となることがないよう、的確な実態把握に努めるとともに、犯罪に強いコンパクトなまちづくりのあり方について、中長期的視野から検討を進めるべきである。

2 保護司等への支援強化による再び犯罪を起こさせない環境づくり

(1)保護司を将来にわたって安定的に確保し、活動を充実させるための基盤整備

 先述のように、現在、保護司の定員割れが常態化しており、最近は、平成21年以降本年まで、4年連続してその充足率が減少するなど、危機的状況が深刻化しつつある。
 これに加えて、刑の一部執行猶予制度が発足することとなると、長期の保護観察を行わなければならない対象者の数が増加することが予想され、保護司を将来にわたって安定的に確保し、その活動を充実させていくことが急務と言うことができる。
○保護司希望者の裾野拡大のための広報啓発を充実する。
○保護司の複数担当制(必要に応じ、複数の保護司が1人の対象を担当する)などの活動形態モデルを確立する。これにより、保護司の増員が必要な場合には、保護司の定員増についても検討する。
○保護司の負担軽減を図るため、更生保護サポートセンターの充実、保護司の活動等に伴う負担の軽減(円滑な実費弁償等)、保護司をサポートする保護観察官の体制整備を図る。
○保護司の方々が自主的に結成する組織への支援を強化する
○保護司のスキルアップのため、研修会やフォーラムの開催等を充実するとともに、関係機関との連携を強化する。

(2)協力事業主、更生保護施設への支援強化等による社会復帰支援の充実

 受刑者が刑務所を出所した後の社会復帰は、就労への協力事業者や更生保護施設などの民間の支援によって支えられている。しかしながら、近年、刑法犯検挙者に占める再犯者の割合、さらに、刑務所入所者に占める再入所者の割合はいずれも増加しており、後述の施設内矯正施策の充実とあいまって、刑務所出所後の社会復帰支援の充実が急務となっている。
○適切な帰宅先がない、または自立した生活が困難な刑務所出所者等について、更生保護施設を始めとする多様な住居を確保するなど、個々の問題に応じ、支援を充実する。
○刑務所出所者の雇用や就労に協力する事業主に対する支援を充実する。
○高齢者や障がいを抱える刑務所出所者等について、司法当局と福祉関係の機関が連携し、その社会的受け皿を拡大する。(続く)

shige_tamura at 09:41│Comments(0)clip!自由民主党 

この記事にコメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価: 顔   
 
 
 
ランキング一覧

人気blogランキング

人気blogランキングに参加しました。
応援よろしくお願いします。
月別アーカイブ
最新コメント