2013年05月20日

新「防衛計画の大綱」策定に係る提言(骨子案・全文)(自由民主党)

日本本












『日本の防衛政策』(田村重信編著、内外出版)『日本の防衛法制』(田村重信他編著、内外出版)を出版。この二冊とも増刷となりました。
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 5月17日、自民党安全保障・国防部会合同会議で発表された 
 新「防衛計画の大綱」策定に係る提言(骨子案)
(「防衛を取り戻す」)の全文です。
 今後、数回の議論を経て正式な提言になります。


 はじめに

 わが党は先の政権公約において、防衛費を増額して防衛力を「質」「量」ともに充実強化させていくと同時に、現下の安全保障環境に即応できる強固な防衛態勢を構築していくため、現行の「防衛大綱」の抜本的見直しを行うことを国民に約束した。
 昨年暮れの総選挙の結果を受けて誕生した安倍政権は、目下、新たな大綱策定へ向けての検討を開始しているところであり、廃止した「中期防」も含め本年中に結論を得ると承知している。わが党においても、新大綱策定に向けて必要な提言を行うために、これまで精力的に検討と議論を重ねてきたところである。

<大綱見直しの考え方>
 近年、北朝鮮の弾道ミサイル発射や核実験、中国によるわが国周辺海空域における活動の活発化など、わが国周辺情勢は次第に悪化しつつある。
 一方、米国は、財政難に直面しつつもアジア太平洋地域への軍事リバランスを指向し、同盟国等との連携の強化を図ろうとしている。
 一方、わが国においては一昨年の「東日本大震災」に際しての自衛隊の大規模な出動経験を通じて、今後に活かすべき貴重な教訓を得たところである。
 このような状況を踏まえ、我々は日米同盟を一層強固なものにしていくと同時に、わが国の防衛力を今後に想定される内外のあらゆる事態に迅速かつ機動的に対応することができるものにするため、防衛力整備の方針を抜本的に見直し、「質」「量」ともに充実強化していく必要がある。


 わが国を取り巻く安全保障環境

 ●国際情勢
 中国やインドなどの新たに台頭してきた国々は年々国力を増大させ、それに伴って急速に軍事力の増強と装備の近代化を図っている。一方、米国や欧州諸国では財政事情の悪化から国防費の削減を迫られており、結果としてグローバルな軍事バランスに大きな変化が生じつつある。
 経済面を中心とする国家間の相互依存関係が進展した結果、主要国間の本格的武力紛争が生起する可能性は低下しているものの、グレーゾーンの紛争は増加しつつあり、国際テロの脅威も継続している。また、海洋、宇宙、サイバー空間など、新たな領域におけるリスクが年々顕在化しつつある。

 ●わが国周辺の情勢
 北朝鮮の弾道ミサイル・核開発や様々な挑発行為が継続しており、中国の不透明な形での国防予算の増大や急速な装備の近代化、周辺海空域での活動の活発化が顕著である。また、極東方面でのロシアの軍事活動も引き続き活発化しているなど、東アジア地域には重大な不安定要因が継続して存在しており、わが国を取り巻く安全保障環境は以前に比べ、むしろ悪化しつつある。
 こうした状況下、国内における大規模震災を含め、複数の事態が同時に生起するいわゆる複合事態発生の可能性についても十分認識しなければならない。

 ●国内における状況
 国家財政は依然として厳しい状況にあるが、「国防」はわが国の平和と独立の基盤をなすものであり、防衛関係費については所要額を継続的に確保する必要がある。

 ●安全保障政策の基盤となる重要課題
 今後のわが国の安全保障政策策定の基盤となる重要課題には、憲法改正、国家安全保障基本法の制定、「国家安全保障会議」(日本版NSC)の設置、集団的自衛権等をめぐる法的基盤の整備、日米ガイドライン見直しなどがあり、極めて広範多岐にわたっている。防衛力の構築に際しては、現下の周辺安全保障環境への対応だけではなく、さらに中長期的視点に立脚した本質的かつ総合的な施策の検討が必要とされている。


 具体的な提言

 基本的安全保障政策
 ●自主憲法制定と「国防軍」の設置
 わが党は既に策定した憲法改正草案において、第9条の第一項を基本的に維持するとともに、第二項において「前項の規定は自衛権の発動を妨げない」としたところである。その意味するところは、今後とも「国際紛争を解決する手段としての武力による威嚇ならびに武力の行使を行わない」ことを明確にした上で、「国連憲章に認める個別的ならびに集団的自衛権についてはわが国防衛のためにその発動を妨げない」とした点にある。
 また、「草案」では新たに「国防軍」の条項を設け、内閣総理大臣を最高指揮官として定めることとした。その理由は、今や世界有数の規模と実力を有するに至った自衛隊が最高法規の上に明確に規定されていない異常な状態を解消するためであり、「シビリアンコントロール」の原則を最高法規の上に明確に規定するためである。
 国民の幅広い理解と支持を得てできるだけ早期に憲法改正が行われることが望ましく、我々としてもその環境を醸成していくために不断の努力を行っていく決意である。

 ●国家安全保障基本法の制定
 当面、安全保障政策を具体的かつ総合的に推進するため、わが国の安全を確保するに足る必要最小限度の自衛権行使(集団的自衛権を含む)の範囲を明確化し、国家安全保障の基本方針、文民統制のルール、防衛産業の維持育成の指針、武器輸出に係る基本方針等を規定した「国家安全保障基本法」を制定する。

●国家安全保障会議(日本版NSC)の設立
 外交と安全保障に関する官邸の司令塔機能を強化するため、官邸に国家安全保障会議(日本版NSC)を設置する。国家安全保障会議はわが国の安全保障戦略ならびにそのための基本計画を策定すると同時に、より強化された情報集約機能ならびに分析能力を有する組織とする。そのためにNSCの事務局体制を充実させるとともに、総理大臣の軍事面における補佐機能を強化するため、官邸に防衛政策・軍事に関する専門家を配置する。

 ●政府としての情報機能の強化
 NSC設置に伴い、政府全体の情報収集機能を強化するとともに、各省の情報を迅速に官邸に一元化し、総理大臣へ適宜適切に報告を行うことのできる体制を確立する。また、政府内での情報共有の促進ならびに情報保全のために「秘密保護法」を制定する。更に、現在の情報収集衛星体制を「質」「量」ともに拡充し、その能力の一層の向上を図る。

 ●国防の基本方針の見直し
 昭和32年に決定された現在の「国防の基本方針」については、現在の周辺安全保障環境や近年の軍事技術の進展状況なども踏まえ、国家安全保障会議において検討を加え、より現実的かつ適切なものに見直す。

 ●防衛省改革
 不祥事の再発防止と、全体最適に向けた業務態勢の構築のため、防衛省改革を推進する。具体的には、隊員の意識改革を進め、「U(制服)」と「C(内局)」がより一体的に機能するものとしつつ、監察体制の強化を含む公正・効率的な調達業務態勢を構築するとともに、統合運用の強化とそれを踏まえた統合的な防衛力整備等を実現する。その後、これらの実施状況を踏まえ、不断の見直しを行う。


 防衛大綱の基本的考え方
 ●新たな防衛力の構築 
 「強靱な機動的防衛力」
 機動運用性、総合指揮運用能力、輸送力等の機能拡充を図りつつ、防衛力の強靱性・柔軟性・持続性や基地の抗堪性の確保、戦力の維持・回復力の強化などを重視する。高烈度下においても、着実にわが国防衛の任務を全うする能力を確保するとともに、国民保護の貫徹を目指すものであり、こうした防衛力構築のコンセプトを端的に表現するもの。


 国民の生命・財産・領土・領海・領空を断固として守り抜く態勢の強化
 ●隙間のない(シームレスな)事態対応
 あらゆる脅威に対して隙間のない事態対応を行うため、防衛省・自衛隊、警察及び海保等の関係省庁間の連携を強化し、政府全体として、わが国の領土・領海・領空をシームレスな体制で守り抜く。また、関係機関相互の連携によって、緊張感を伴った実戦的な訓練を実施するとともに、不足事項を真摯に検証して改善を加える。
その上で、「領域警備」など、わが国の領域を確実に警備するために必要な法的課題について不断の検討を行い、実効的な措置を講じる。

 ●統合運用の強化
 複雑化する運用業務に適切に対応するため、指揮統制や統合運用を支える基盤的機能である情報通信や後方補給について、装備の充実を含むより実戦的なネットワークシステムを構築するとともに、中央における統幕の機能と権限を強化する。また、統合運用に適した人材の育成を促進するための自衛官の教育システム及びキャリアパスを確立する。
 更に統合運用の観点から、陸上総隊を設置することを含め、各自衛隊の主要部隊等の在り方について総合的に検討し、必要な改編を行う。

 ●警戒監視・情報収集分析機能の強化
 統合運用をより効果的に支えるため、警戒監視・情報収集分析態勢を強化する。事態の兆候を早期に察知し、迅速かつ隙間のない対応を確保するため、広域における総合的かつ常時継続的な警戒監視・情報収集に適した無人機等の新たな装備品を導入するとともに、そのために必要な質の高い情報分析要員を確保・育成するなど情報収集分析機能の拡充強化を図る。また、海外における情報収集に資する「防衛駐在官」の人員・態勢の増強を図る。

 ●島嶼防衛の強化
 南西地域の島嶼部における隙間の無い警戒監視・初動対処能力を強化する。また、航空優勢の確保、事態対処時に増援部隊が当該地域へ展開する際の補給拠点の設置など、作戦遂行のための基盤を強化する。
 加えて島嶼防衛のために自衛隊に「海兵隊的機能」を付与するため、水陸両用車やティルトローター機(オスプレイ等)を装備する水陸両用部隊を新編し、洋上の拠点・司令部となり得る艦艇とともに運用が可能となる体制を整える。
 更に、戦車・火砲を含む高練度部隊を大規模かつ迅速に展開させるため、既存部隊の編成・運用を機動性の観点から抜本的に見直す。

 ●輸送能力の強化
 島嶼防衛や震災対処においては、必要な人員や装備の迅速な展開が活動の成否を決するため、陸海空路による輸送能力を大幅に拡充する。特に、訓練環境等に優れた北海道における部隊の練成を重視し、事態に応じて、それらの部隊を迅速に展開させる方策を確保する。また、膨大な輸送を短時間で確実に実行するため、陸海空の民間輸送力を有効に活用し得る仕組みを構築する。

 ●核・弾道ミサイル攻撃への対応能力の強化
 日本全国の重要施設等の防護に対応が可能となるよう、BMD機能搭載イージス艦や地上配備のBMD部隊・装備の拡充を行い、効率的かつ効果的な部隊配備と運用態勢の構築を図る。また、弾道ミサイル等が実際に発射された場合に備え、政府・自治体・国民との間で迅速かつ確実に情報の共有が可能となるよう、Jアラート等の情報伝達体制を強化する。
 更に、同盟国による「拡大抑止」の信頼性を一層強固にする観点から、従前から法理上は可能とされてきた自衛隊による「策源地攻撃能力」の保持について、周辺国の核兵器・弾道ミサイル等の開発・配備状況も踏まえ、検討を開始し、速やかに結論を得る。

 ●テロ・ゲリコマへの実効的な対処
 ゲリラや特殊部隊による原子力発電所などの重要施設への攻撃に実効的に対応し得るよう、警察・海保等との間で情報共有を含む連携強化を図るとともに実戦的な共同訓練を定期的に行う。これら訓練の成果を踏まえつつ、重要施設の防護に必要な装備の充実を図るとともに、これら施設への防衛に必要な自衛隊の権限、部隊配置を適切に見直す。

●邦人保護・在外邦人輸送能力の強化
 在外邦人に対する自衛隊による陸上輸送を可能とするための法改正を実現するとともに、そのために必要な機材・装備の充実を図る。また、陸上輸送中の邦人の安全を確実に担保しうるよう、任務遂行のための武器使用権限付与についての検討を加速し、検討結果を踏まえ必要な対応をとる。

 ●東日本大震災への対応を踏まえた災害対処能力の強化
 大規模災害に際しては事態発生後72時間が人命救助の限界となるとされていることから、予測される南海トラフ巨大地震や首都直下型地震等に迅速に対応しうるよう、マンパワー(人員)を確保するとともに、ヘリなどの輸送力・機動力を充実強化する。
 自衛隊の駐屯地・基地は、災害発生時に部隊の各種活動(指揮・運用・後方支援)のための重要な拠点になることを踏まえ、駐屯地・基地の津波対策や放射線防護対策ならびに庁舎、隊舎等施設の耐震化と自家発電能力整備を早急に進める。さらに、緊急時に自衛隊が展開する際の拠点の確保など、地方自治体や地域社会との連携強化を図る。

 ●サイバー攻撃に係る国際協力の推進・対処能力の強化、法的基盤の整備
 サイバー攻撃とは、重要な情報通信ネットワークに障害を与えれば甚大な被害や影響を生じさせるものであり、安全保障上の重大な脅威である。こうしたサイバー攻撃への対処能力を強化するため、専門的技能を有する人材の登用を含め、高度な対処能力を備えた人材の育成を強化する。また、サイバー空間における脅威情報の収集体制及び対処能力の強化を図るとともに、サイバー攻撃に対処するための国際法・国内法上の法的基盤を急ぎ整備する。

 ●安全保障分野での宇宙開発利用の推進
 増大する情報通信所要に対応するため通信衛星など指揮通信分野での宇宙利用を促進するとともに、情報収集・警戒監視分野における宇宙空間の利用を推進する。また、SSA(宇宙状況監視)等の宇宙分野における日米協力を積極的に進め、監視能力の強化を図る。

 ●無人機・ロボット等の研究開発の推進
 最新技術に基づく高性能兵器及び大量破壊兵器等が使用される可能性が否定できない近年の安全保障環境や原子力災害を含む大規模災害に対応する有効な手段として、わが国が誇るものづくり技術を生かし、無人機・ロボット、関連するソフトウェア等の研究開発を推進する。
 
 ●装備品の高可動率の確保
 あらゆる事態に即応できるよう、装備品の十分な維持修理費の確保や、新たな調達方式の導入により、装備品の可動率を平素から高める。


 日米安保体制

 ●日米安保体制の強化
 わが国周辺の厳しい安全保障環境を踏まえれば、日米安保体制の抑止力を一層向上させる必要がある。それと同時に、「日米安保体制」をアジア太平洋地域及びグローバルな平和と安全を確保するための「公共財」と位置づけ、幅広い分野での連携・協力を推進する。

 ●日米防衛協力強化のためのガイドラインの見直し
現行ガイドラインについて、今日の安全保障環境に適応したものに改め、日米間の役割・任務・能力の分担を包括的に再検討する。また、「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」等における議論の成果を踏まえ、「集団的自衛権」に関する検討を加速させる。

 ●日米の適切な役割分担の下での策源地攻撃能力の保有
現在、打撃力については米国に依存している状態にあるが、ガイドライン協議を通じ日米間の新たな役割分担の考え方を整理し、とりわけ「ミサイルの脅威」に対する抑止力を強化する観点から、わが国独自の打撃力(策源地攻撃能力)の保持について検討を開始し、速やかに結論を得る。

 ●平素から緊急事態に至るまでの隙間のない協力の更なる強化
 日米間において共同警戒監視、共同訓練、基地の共同使用、指揮統制機能の連携強化を推進する。

 ●在沖縄米軍基地に関する抑止力の維持と地元負担軽減
 抑止力の維持と地元負担の軽減を両立させる観点から、普天間飛行場移設を「日米合意」に基づいて着実に前進させるとともに、既に合意された在日米軍基地の返還計画を含む在日米軍再編を着実に進展させる。


 国際及び日本周辺の環境安定化活動の強化
 ●豪、韓、印、ASEAN諸国等との戦略的安保協力、国際協力活動の推進等
アジア太平洋地域の安定化を図るため、豪、韓、印、ASEAN諸国、との防衛協力を更に推進する。具体的には、「2プラス2」などの首脳間協議の定期開催やACSA(物品役務相互提供協定)、GSOMIA(情報保護協定)の締結、定期的な共同訓練の実施等を推進する。

 ●中国、ロシアとの安全保障関係の推進
 中国とは「戦略的互恵関係」構築の一環として安全保障の面からも建設的な協力関係を構築して信頼醸成を図ることが重要であり、そのための防衛交流を推進する。また、近年の中国の東シナ海における活動の活発化を踏まえ、不測の事態を回避する観点から、日中防衛当局間の「海上連絡メカニズム」の構築を推進する。
 ロシアは、アジア太平洋地域の安全保障に大きな影響力を持ち、かつわが国の隣国でもあることから、日露の防衛交流を深め、信頼・協力関係を増進させることが重要である。先の日露首脳会談で合意された外務・防衛閣僚による「2+2」会合の立ち上げを含め、積極的に各種レベルでの防衛交流を推進する。 

 ●国際平和協力のための一般法の制定
 派遣先での宿営地の共同防衛や緊急時の文民保護といった課題を解決するため、PKO法の改正を速やかに実現する。その上で、自衛隊の海外派遣をより迅速かつ効果的に行うことを可能とするため、一般法としての「国際平和協力法」を制定する。
 
 ●国際平和協力活動の取組の強化
 国際平和協力活動への取組の強化の一環として、PKO司令部の上級ポストへの自衛官の派遣や国際連合のPKO局などの企画立案部門への要員派遣を推進する。また、PKO法の改正に際し、武器使用権限の拡充を検討し、必要な措置をとる。

 ●多様化する国際平和協力任務に対応できる人材育成、能力構築支援
 多様化する国際平和協力任務に対応するため、語学はもとより、地域の再構築支援に必要な各種の能力を備えた人材の育成を推進する。また、アジア太平洋地域の途上国に対し、人道支援・災害救援等の非伝統的安全保障分野における人材育成や技術支援などの能力構築支援(キャパシティー・ビルディング)に積極的に取り組む。また、これまでの派遣実績と経験をもとに派遣要員の教育と訓練を行う機関としての「国際平和協力センター」を拡充し、自衛官その他の要員の育成を促進する。

 ●戦略的対応の強化
 ODAと国際平和協力活動を連携させるなど、わが国の有する各種の政策手段を戦略的に組み合わせて効果的に対応する仕組みを確立する。

 ●国際平和協力活動の展開基盤の強化
 中東・湾岸・北アフリカ地域はわが国のエネルギー供給源としてだけではなく、今後に経済連携の進展が望める重要な地域であり、これら地域における安定と平和の確保はわが国の繁栄と安全保障にとっても必要不可欠である。このため、現在、自衛隊がジブチに有する拠点を当該地域の国際平和協力活動等の拠点として今後とも引き続いて活用することを検討する。

 大幅な防衛力の拡充
 ●自衛隊の人員・装備・予算の大幅な拡充
 厳しさを増す安全保障環境に対応し得る防衛力の量的、質的増強を図るため、自衛隊の人員・装備・予算を大幅に拡充する。
 持続的かつ安定的な自衛隊の活動を可能とするため、海上及び航空自衛隊における予備自衛官の増強を含め、「予備自衛官制度」を拡充する。

 ●中長期的な財源確保 
 防衛は国家存立の基盤であることから、「大綱」に定める防衛力整備を着実に実現するため、諸外国並の必要な防衛関係費を確保する。また、米軍再編経費など本来、政府全体でまかなうべき経費については、防衛関係費の枠外とすることにより、安定的な防衛力整備を実現する。

(参考)主要国の国防費対GDP比
  米:4.5%、英:2.4%、仏:1.9%、独:1.2%(各2011年度)

 ●統合運用ニーズを踏まえた中長期的視点にたった防衛力整備
 統合運用を基本とする防衛力を重視する。そのために各種の統合オペレーションの結果を精密に分析評価し、不断に統合運用体制の改善を図り、より実効的な防衛力整備を実現する。


 防衛力の充実のための基盤の強化
 ●多様な任務に対応できる人材の確保・育成
 現行の自衛隊の年齢構成を踏まえ、階級制度や早期退職募集制度等の各種人事施策を再検討し、精強性を確保するための制度改革を推進する。
 幅広い層から人材を確保していくため、募集広報におけるインターネットや雑誌等の活用を進めるとともに、魅力ある自衛隊のブランドイメージを確立する。
任務の多様化、国際化をうけ、防衛法制の専門家の育成を含む各種の専門的な教育訓練プログラムを策定し実行する。

 ●人的資源の効果的な活用
 制度上早期に退職しなければならない自衛官の再就職については、自治体の危機管理担当分野を含め、公的部門において積極的に活用するなど、国としての支援体制を確立する。また、民間就職支援会社の活用などを含む再就職支援の強化、受入企業に対する税制優遇等の施策を検討し、必要な措置をとる。例えば、第一線を退いた航空機操縦士等の高度な技能・知見を、航空会社等の民間企業において計画的に活用する方策を講じる。

 ●衛生機能の拡充
 各種事態に際して真に機能する衛生、医療態勢の確立に向け、人材確保をはじめ自衛隊における衛生機能を充実させるための施策をとる。

 ●自衛官に対する名誉の付与
 わが国の平和と独立を守り、国の安全を保つことを主任務とする自衛隊における隊務の最高の専門的助言者である幕僚長の職務の重要性に鑑み、特命全権大使、検事総長等の他のいわゆる認証官との関係を整理し、統合及び陸海空各幕僚長の認証官化について検討し、速やかに結論を得る。また、自衛官の叙勲の対象者の拡大を図る。

 ●自衛隊員の処遇改善
 隊舎・宿舎の整備、留守家族支援等を含めた自衛隊員の処遇の一層の改善を図り、各種任務に対する献身的な働きに報いるとともに、退職後の給付の拡充等の検討を推進し、速やかに結論を得る。また、即応態勢を求められる自衛隊員の職務の特性に鑑み、宿舎料については格別の配慮を行う。

●防衛生産・技術基盤の維持・強化
 国内防衛産業基盤はわが国の防衛力の一環を成すものであるが、これまでの間の防衛予算の減少や装備品の調達数量の減少により、その基盤が揺らぎつつある。防衛生産・技術基盤の維持・強化についての戦略を策定するとともに、産学官の連携を図り、防衛装備品技術のスピンオンとオフ、民間転用の積極的な推進、そのための税制優遇等の各種施策を実施する。

 ●国際平和とわが国の安全保障強化に資する輸出管理政策の構築
 装備品の開発・生産コストの高騰に対応すると同時に技術水準の維持向上のため、諸外国との共同開発・生産を積極的に進める。また、武器及び関連技術の輸出に関しては、わが国及び国際社会の平和と安全の確保に資するため、一定の制限の下に個別に輸出の可否を判断する新たな仕組みを構築するなど、改定された武器輸出三原則等に更に検討を加えつつ、近年の安全保障環境と戦略環境に適合する輸出管理政策を構築する。

 ●効率的・効果的かつ、厳正な調達制度の確立
 厳しい国家財政事情を踏まえ、装備品のライフサイクル管理の強化、維持・整備方法の見直し、調達プロセスの更なる透明化、契約制度の適正化など効率的・効果的かつ、厳正な調達制度の確立を図る。

 ●中長期的な視点に立った最先端の防衛装備品の研究開発の推進
 無人機・ロボット技術やサイバー・宇宙関連技術など、将来を見据えた最先端のわが国独自技術の研究開発を戦略的に推進する。
    
 ●地域の安全・安心の確保
 災害出動などを通じて地域の安心安全に貢献している自衛隊の役割に着目し、地域コミュニティにおける自衛隊の役割についての重要性に十分配慮する。地元企業からの調達等を含め、地域社会経済の活性化に資する基地運営に努め、地方自治体や地域社会との連携を一層強化する。また、駐屯地・基地等に関する地元対策機能を拡充する観点から、広報体制を充実させるとともに、専従組織の在り方を再検討し、体制の強化を図る。

 ●広報等の情報発信機能の充実強化等
 安全保障政策に対する国際社会や国民の広範な理解と支持を得る観点から、ソフトパワーの重要性を認識し、各種ツールを活用して積極的に情報発信を行う。また、国民の安全保障、危機管理に対する知識の普及促進のため、安全保障に関する大学講座、社会講座を設置するなどの施策を推進する。


 おわりに

 以上、記してきたようにわが国を取り巻く安全保障環境には依然として厳しいものがある。加えて、国際的なパワーバランスにも重大な変化が生じつつあり、テロ・サイバー攻撃などの新たな脅威も依然として継続している。わが国はかかる環境のもと、国民の生命・財産・領土・領海・領空を断固として守り抜き、さらに国際社会の平和と安定の構築へ向けてわが国にふさわしい役割を果たしていかねばならない。
 政府はこれら安全保障上の諸課題を決して先送りすることなく、防衛力整備の達成目標とそのスケジュールを明確にした上で、単なる検討にとどまることなく、着実に実行に移していかなければならない。
 政府に対し、本提言を参考にして、わが国国防の礎となる新たな「防衛大綱」ならびに「中期防」を策定することを強く要望するものである。

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