2013年03月29日

ワシントン情報・横江公美氏(ドローンでテロリストを殺害せよ!)

日本本












『日本の防衛政策』(田村重信編著、内外出版)『日本の防衛法制』(田村重信他編著、内外出版)を出版。この二冊とも増刷となりました。
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 ヘリテージ アジア研究センター(2013年3月28日)


 ドローンでテロリストを殺害せよ!


 ドローンと呼ばれる無人機が指名テロリストを攻撃する。攻撃ボタンを握る軍人は無人機からの映像を見てボタンを押す。

 映画のような話だが、現在のアメリカでは実話である。

 オバマ大統領は、ドローンによって殺害リストを作成し、攻撃を行っている。アフガニスタンやパキスタンでアルカイダの首謀者を狙って攻撃が展開されたことは広く知られている。

 ドローンの技術が進んだこともあり、オバマ政権になってからドローン計画は格段に増えている。ブッシュ政権時代は50回だったのに比べて、オバマ政権ではすでに約7千回もドローンが使われている。

 アメリカ軍人が死傷することなく攻撃できるドローンを使った攻撃は、今後ますます増えていくことは確実である。

 それだけに、ドローンはさまざまな議論を呼んでいる。

 1つは、ドローン攻撃に関する透明性の問題である。

 ドローン攻撃は国家安全保障にかかわるため、政権は秘密裏にドローンを使ってきた。ある程度の透明性は必要ではないかと、一般の市民が訴え、先日、DC地方裁判所の結果が出た。国家安全保障に関する情報は公開しなくても良いとされるFOIAの規定の中に入るので、秘密は問題ないとしたが、政権はその使用に際して多少の透明性は高める努力はすべき、と言う判決を下した。

 2つめは、アメリカ国内でのドローンの使用である。現在、オバマ政権は国外のテロリストや犯罪者への攻撃に加えて、国内に潜むテロリストや犯罪者にもドローン攻撃はできるとの見解を持っている。これに対し、誤爆が多く罪のない人を巻き込む可能性が高いドローン攻撃をアメリカ国内で使うべきではないという意見がある。

 3つ目はプライバシーである。先日、上院の司法委員会でドローンとプライバシーについての公聴会が行われた。委員長の民主党のパトリック・リーヒーは「彗星のごとく現れたテクノロジーは廉価だが、アメリカ人のプライバシーと自由を恐ろしく侵害する可能性もある」と懸念を表している。

 先日、ドローンの広範囲での使用を認めるCIA長官の信任を遅らせるため、共和党のランド・ポール上院議員が17時間と言う演説を行った。ポール議員はドローンの国内使用に懸念を示した。

 フィルバスターと言われる長時間の演説は、リスクも負うが、今回は、ドローンの問題を広く知らしめたとしてポール上院議員は株をあげた。

 ドローンは、民間用としては広く利用されている。農薬散布に加えて、最近ではジャーナリズムの大学がドローンを使った新しい取材を研究対象としているほど様々な分野に浸透する。




 キャピトルの丘

 このところ、アメリカでは、連日、ドローンの記事が登場する。それで、今週はドローンをとりあげた。

 書いている途中で、アシスタントのラリーがドローンに関する最新記事を見つけた。

 中国が、南シナ海と東シナ海の領土問題の緊張から、軍事ドローンの配備で軍事強化を狙っているという。オンラインのニュースのワシントン・フリー・ビーコンは、インテリ関係者の話として、伝えている。

 また、日本についても、ドローン配備を始めているとし、それは、攻撃能力のないドローンであると付け加えている。

 ドローンは日本でも利用されるようになるだろう。アメリカで行われている議論は日本でドローンの利用が一般化する過程で役に立つ。ドローンに関する議論に注視していきたい。


 横江 公美
 客員上級研究員

 アジア研究センター Ph.D(政策) 松下政経塾15期生、プリンストン客員研究員などを経て2011年7月からヘリテージ財団の客員上級研究員。著書に、「第五の権力 アメリカのシンクタンク(文芸春秋)」「判断力はどうすれば身につくのか(PHP)」「キャリアウーマンルールズ(K.Kベストセラーズ)」「日本にオバマは生まれるか(PHP)」などがある。

shige_tamura at 09:27│Comments(0)TrackBack(0)clip!安保・防衛政策 

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