2012年04月24日

ミサイル情報管理の鉄則守れ(森本敏氏)

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 今朝の産経『正論』、拓殖大学大学院教授・森本敏
 「ミサイル情報管理の鉄則守れ」を掲載します。


 今回の長距離弾道ミサイル発射は、北朝鮮にとって政治的に失敗が許されなかったはずである。それにしては、新しい発射基地に新たに組み立てたミサイルを、今までと異なる方向に発射するなどリスクを取り過ぎて、失敗に終わった。次回は失敗が許されないだろうから、北朝鮮技術者は命がけで再度の挑戦を試みるであろう。

 ≪艦の位置で北発射捕捉できず≫

 日本にとっては、北朝鮮のミサイル開発が進むことにより、既に配備済みのミサイル(200基以上のノドン)に核弾頭が搭載される方が脅威である。現在は、北朝鮮が3回目の核実験を準備しているとみられ、要警戒であろう。

 他方、日本のミサイル防衛態勢は今回、万全であった。実戦並みの訓練も積み重ね、練度も一層向上した。こうしたミサイル防衛システムを保有する国は米国を除けば、イスラエル、サウジアラビアなど僅かであり、日本がミサイル防衛の導入を決定したことは適切だった。もっとも、日本のミサイル防衛は少数の目標に対応できるものの、中朝両国の弾道ミサイルが多数、飛来すると対応できるわけでなく、システムを今後、質・量とも改善する必要があろう。

 今回のミサイル発射で情報管理の在り方が議論になっている。

 まず、前提となる事実を明確にしておきたい。日本のイージス艦は、飛んでくるミサイルが日本の領域に入る場合、これを破壊して国民の安全を守るために最適と思われる海域に配備されていたのであり、朝鮮半島の情報収集のために配備されていたわけではない。北のミサイルが発射後1分半で爆発・落下したため、沖縄周辺にいた日本のイージス艦のレーダーでは捕捉できなかったのである。

 韓国のイージス艦は、ミサイル防衛仕様になっていないが、監視レーダーは機能しており、発射直後の北朝鮮ミサイルを捕捉するのに最適の位置にいた。だから、情報を直ちにつかむことができて、韓国側の発表が早かった。ミサイルがそのまま飛翔(ひしょう)していれば、日本のイージス艦でも捕捉し、適切に対応できていたはずである。

 ≪情報の出し方には問題あり≫

 ただし、今回、日本政府に入った米軍の早期警戒衛星情報(SEW)は不完全なもので、それ1本で、ミサイル発射を確定することは適当でなかったので、他の情報源と照合するのに手間取った。その辺の初動対応や防衛省と官邸の連絡通報に関する手段、責任分担については改善の余地がある。

 SEWが伝わったとき、すかさず「発射を感知。確認中」という情報を出しておけば、もう少し混乱を防げたはずである。今回のミサイルは日本の情報機能のはざまに落下したという感が強い。従って、J−アラート情報を出す必要はなかった。だが、8時過ぎにEm−Netで「我が国としては発射を確認していない」という情報を発信したのは不適切だった。

 情報には、(1)正確さ(2)迅速さ(3)十分な情報量−が求められる。しかし、この基準は矛盾もはらんでおり、早く集めた情報は量も少なく、誤りが多く、正確さを期すには時間がかかる。情報は、それに基づいて決断するのに最適な質・量を伴ったものが適時に収集されなければならないが、あらゆる情報を集めるには経費がかさむ。

 ミサイル対応の情報管理を考えて、日本が米国のようにSEWやコブラボール(ミサイル発射警戒監視機)やXバンドレーダーを備え、独自でミサイル発射情報を収集すべきだという意見もあるが、費用対効果の面で最適か検討を要する。とりあえず日韓間で速やかにGSOMIA(軍事情報包括保護協定)を締結し、情報共有システムを確立する必要があろう。

 ≪議員に守秘義務課し秘密会に≫

 今回の事案で気になったのは、政府関係者が米国や日本の情報システムや情報機能のことを割と無神経に口にしていたことである。情報は国防の基盤であり生命である。そのシステムや機能・諸元について明らかにすることは、情報活動の原則に反する。特に、SEWなど米国の情報システムやガメラレーダーなど日本の情報システムの機能・性格・配備について明らかにしないのが、情報管理の鉄則でなければならず、それを軽視すれば国益を損なってしまう。

 米国は大韓航空機事件(1983年)の時、自国民に犠牲者が出たにもかかわらず、情報機能や内容を一切、明らかにしなかった。その種の米国の情報機能が、日本政府関係者から外部に流れることは、決してあってはならない。

 議員が国会で、一般に公開できないような情報管理の問題を議論したいのであれば、米国のように国会議員に対し守秘義務を課す法律を制定してから、国会に非公開の公聴会(米国では情報特別委員会)を設置するのが筋である。

 国家の情報機能を政局の問題にして国会で議論するようなやり方には違和感を覚えるし、政府の方も言えないことは言えないと明確に拒否すべきである。説明責任を果たすことと、機密に触れる情報を公開することは全く次元の異なる問題だと心得ねばならない。(もりもと さとし)

shige_tamura at 10:11│Comments(0)TrackBack(0)clip!安保・防衛政策 

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