2012年04月16日

講義録・佐藤一斎の生涯(福井昌義・日本論語研究会幹事)(その4、終わり)

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 佐藤一斎の生涯(福井昌義・日本論語研究会幹事)
 これは4月7日(土)慶應義塾大学に於いての「日本論語研究会」での講義録です。非常に良い内容です。
 以下、掲載します。


(『言志四録』から六つ)

 最後に、『言志四録』の中から私の好きな言葉を6つ紹介します。
 原文の部分は、二度読みます。

 惴聖嶇拭26条
 事を慮るは周詳ならんことを欲し、
 事を処するは易簡ならんことを欲す。

(現代語訳)

 物事を考える場合には、周到かつ綿密でありたい。
 そして実行する段階になったら、素早く行いなさい。
―となります。
 私の経験上、考えながら行動すると、たいがい失敗します。考えるときは、とことん考えて、行動するときは心配事を断ち切って無心になることが大切です。
 ビジネス『論語』活用法の著者である、経営コンサルタントの小宮一慶氏は、「ビジネスで成功する人は、皆例外なくせっかち」と述べられています。つまり、すぐ行動することにより、失敗も成功も良いことも悪いことも、経験する回数が多くなります。経験値が上がれば人間は、一つ上の階段を登ることができます。
 せっかちであれば、事前の準備がしっかりできるので、気持ちに余裕が生まれます。
 ですから私は、大きなメリットがあると思います。

◆惴聖峺縅拭33条
 春風をもって人に接し、
 秋霜をもって自ら粛む。

(現代語訳)

 春風のような暖かさで人に接し、秋の霜のような峻厳さで自分の行ないを正す。
 つまり、「他人には優しく、自分には厳しく」ということを表した言葉です。ところが、世の中はこの言葉とは逆に自分に甘い人が多い気がします。自分の至らぬ点などおかまいなしで、人の欠点ばかりを指摘し、他人の忠告に耳を傾けようとしません。そうすることにより、人がどんどん離れて行きます。
 思い当たる人は、この言葉を肝に銘じてはいかがでしょうか。

『言志後録』68条

 好みて大言をなす者あり。
 その人必ず小量なり。
 好みて壮語をなす者あり。
 その人必ず怯愞なり。
 ただ言語の大ならず壮ならず、中に含蓄ある者、
 多くはこれ識量弘恢の人物なり。

(現代語訳)

 世の中には、よく大きなことをいう者がいるが、そんな人はだいたい度量が狭い。
 また、強がりをいう人がいるが、そんな人は必ず臆病な人である。
 大言でもなく、壮語でもなく、言葉の奥に深い意味を含んでいる人こそ、見識が高く、度量も広い人物である。
 私もそうなれるよう、研鑽を積んで行きます。「弱い犬ほどよく吠える」の格言通りではないでしょうか。

ぁ惴聖峺縅拭198条

 人主の学は、智仁勇の三字に在り。
 よくこれを自得せば、ひとり終身受用して尽きざるのみならず、
 しかも掀天掲地の事業、憲を後昆に垂るべき者も、また断じてこれを出でじ。

(現代語訳)

 リーダーになる者が学ぶべきことは、智・仁・勇の三文字にある。
「智者は惑わず」「仁者は憂えず」「勇者は恐れず」の三つを身につければ、生涯道を誤ることもなく、驚天動地の事業も成し遂げられるし、後世に立派な手本を遺すことができよう。
 この三文字を身につけて断固として実行しよう。
 となります。『論語』にも出てくる有名な言葉です。
「智者」は、分析力・判断力の高い人物。「仁者」は、周りの人を人として認めて接する、思いやりの心を持った人物。「勇者」は、困難な状況でも是非の判断に沿い行動する人物。を指しています。
 ちなみに、1993年(平成5年)7月22日、自民党両院議員総会で宮沢喜一氏が、総理退陣を表明した際の最後の挨拶に、「智者は惑わず」「仁者は憂えず」「勇者は恐れず」を引用しています。

 今、橋下徹さんの大阪維新の会が話題を集めていますが、当時は、細川さんの日本新党、小沢さん・羽田さんの新生党、武村さん・鳩山さんの新党さきがけ、が結成され注目されました。残念なことに、現在残っている政党は一つもありません。その後、誕生した新進党、それから保守新党、政党名に新という文字が入ると長く続きません。今、国民新党が連立維持派と連立離脱派に対応が分かれ危ないところです。
昨日ニュースを見ていたら、亀井静香氏が代表のまま離党すると記者会見してましたね。
 大切なのは、継続すること、続けることです。
 

 一斎の学問は大きく分けると二つのことに尽きるのではないでしょうか。
 一つは自分自身を治めること、もう一つは治者の心得のことであります。
 治者とは政治家や官僚のことで、その立場にいる者は、どんな見方、考え方をしたらいいのか、つまりリーダー論と考えていいでしょう。
 そしてその根底のあるのは徳(人としての道)を明らかにすることです。徳を明らかにするとは国を治めること。国を治めることを明らかにするためには家を治めること。家を治めるとは、要するに自分を治めることであります。さらに、自分を治めるとは自分の心を深く治めることです。つまり、自分の心を治めることが、真理に到達します。
 話が少しそれたので、元に戻します。

ァ惴聖嵌嬾拭13条

 一燈を提げて暗夜を行く。
 暗夜を憂うることなかれ。
 ただ一燈を頼め。

(現代語訳)

 暗い夜道を一つの提灯を提げて行く。どんなに暗くても心配する必要はない。
 ただ一つの信念を信頼して進めばよいのだ。ここでの一燈とは、「私にはこれがある。」と思えるもののことを指します。何か一つでも得意なものがあれば、困難を乗り越えられることを表しています。

Α惴聖耊録』125条

 口舌をもって諭す者は、人従うことを肯ぜず。
 躬行をもって率いる者は、人効うてこれに従う。
 道徳をもって化する者は、
 すなわち人自然に服従して痕跡を見ず。

(現代語訳)

 口先だけで人を諭そうとしても、誰も従ってはくれない。みずから先頭に立って実行すれば、人はみなこれに見習うものである。そしてさらに道徳をもって感化すれば、人は自然に一人残らず心服してついてきてくれる。
 この言葉からやはり、リーダーは率先垂範が大切であることを教えてくれます。
 連合艦隊司令長官として真珠湾攻撃を指揮した、山本五十六元帥の言葉に「やって見せ、言って聞かせ、させてみて、誉めてやらねば、人は動かじ。」とあります。
 また、世界のホンダといわれた本田宗一郎氏は生前、日本人は、失敗ということを恐れすぎるようである。どだい、失敗を恐れて何もしないなんて人間は最低なのである。と述べられています。


(何もしたがらない原因)

 一般的に、何もしたがらない原因は三つあると思います。
 一つ目は、変化を嫌がる心です。新たなことにチャレンジすると苦労は避けて通れません。それを嫌がって、怠けてしまうのです。
 二つ目は、失敗を恐れる心です。「失敗したらどうしよう。」「失敗したら恥ずかしい」と考え、自分をかばうために行動しないのです。
 三つ目は、手順がわからないという不安です。意欲はあるものの、どうやってよいのか、手順と方法がわからない。だから行動につなげられません。
 これら三つのうちのどれか一つ、または複数を言い訳にして、「また今度にしよう」と先延ばしにしてしまうのです。

 山本五十六元帥、本田宗一郎の言葉から、一番よくないことは、何もしないことだと私自身強く感じます。

 先程私が読んだ『言志録』26条にあったように、「何かやろうと思ったら、すぐ行動する。」これに尽きるのではないでしょうか。
 今回『言志四録』を読んで感じたことは、一斎の教えは、決して過激なものではありません。


(上り坂・下り坂・ま坂)

 人間の生き方の基本を短い言葉でわかりやすく表現しています。
 彼が亡くなり153年も経っています。
 当時とは比べものにならないほど、科学技術が進歩・発展していることは間違いない事実です。しかし我々が日常生活で悩むことと言ったら、仕事や人間関係がほとんどではないでしょうか。
 そのことは、生活する環境が違っても当時とあまり変わっていないと思います。私自身ブレない生き方ができるように、今後も一斎の言葉を意識し日々精進して行きます。

 ある人が坂には、三つあると言いました。
 上り坂・下り坂・そしてま坂です。

 私が29歳で慶応義塾大学の教壇に立つことができたのは、ま坂に入ります。私にとって最高に運の良いま坂になりました。
 最後になりますが、本日それぞれの御用を割いてお越し下さった皆様に、心より感謝申し上げます。
 次の阿部祐太さんに、バトンタッチし、終わりとします。
 ご清聴、ありがとうございました。
天人




カラオケDAMにぼくの歌「天に向かって!」が入りました。
「日本を美しく!」も入ってますので、2曲になりました。よろしく!

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