2012年04月13日

講義録・佐藤一斎の生涯(福井昌義・日本論語研究会幹事)(その3)

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 佐藤一斎の生涯(福井昌義・日本論語研究会幹事)
 これは4月7日(土)慶應義塾大学に於いての「日本論語研究会」での講義録です。非常に良い内容です。
 以下、掲載します。


(佐藤一斎の生涯)

 前置きが少し長くなりましたが、ここから本題、佐藤一斎の生涯についてお話します。
 一斎は、歴史上の有名な人物にものすごい影響を与えています。が、しかし、本人の知名度はお世辞にも高いとは、言えません。
 そこで今回どういう人物なのか調べて見ようと、思い立ったことが発表の動機です。
 皆さん、お手元の略年譜をご覧下さい。

 一斎は、1772年(安永元年)10月20日、美濃岩村藩(現在の岐阜県)の江戸下屋敷で佐藤信由の次男として生まれました。
 一斎が生まれる以前に、長男を幼くして亡くしていたため、佐藤家では、三男小菅信久を長女の婿として養子に迎えます。そこへ一斎が生まれたので困った父は、一斎を信久の養子にして家督を継がせることにします。ところがそこへ信久に長男・信義が生まれたので、一斎は跡目をその子に譲って一家を興すことになります。
 この一件があって、一斎の独立心は早くから培われたようです。幼い頃から読書を好み、武芸にもすぐれていました。特に書は名筆家といわれた父・信由譲りの才能を発揮して、頭角を現していたようです。

 少年時代に書いた書は、現在、東京国立博物館に残されています。

 その努力のかいもあって、13歳頃には成人と同じ扱いを受けていたそうです。
 1792年(寛政4年)21歳のとき、儒学で身を立てることを決意し、大坂の碩学・中井竹山に入門します。この竹山という人物は、寛政の改革をした松平定信が政治の指南を仰いだ儒学の大家であります。竹山は一斎の入門を喜び、厳しく朱子学を指導します。1805年(文化2年)、34歳で林家の塾長になります。
 このときすでに一斎の名は高く、門下生が全国から集まります。
 そして、不朽の名著『言志四録』を書き始めたのは、1813年(文化10年)42歳のときです。林家の塾長として講義する間や、終わった後の時間を使って書いています。
『言志四録』は、4つの段階で構成され、『言志録』、『言志後録』、『言志晩録』、『言志耋録』となります。

 私は、一斎について勉強するまでそのことを知らず、『言志四録』というタイトルで1つの本だと思い込んでいました。
 第1編の『言志録』は、246条からなり、11年かけて完成しています。
 第2編の『言志後録』は、255条からなり、10年かけて完成しています。
 第3編の『言志晩録』は、292条からなり、12年かけて完成しています。
 最終編の『言志耋録』は、340条からなり、2年かけて完成しています。
 トータルしますと、1,133条からなります。
 最終編の『言志耋録』を書き終えたとき、一斎は82歳になっています。

 『言志録』を書き始めたとき42歳だったので、何とすごいことに40年間という歳月を費やして、『言志四録』を完成させています。
 この執筆期間には社会の変化が著しく、取り上げるテーマや内容も多岐にわたり、倫理・道徳から政治・経済、芸術・文化と幅広くなっています。
 短い言葉でわかりやすく表現していることから、政財界から文化人、学生にいたるまで広い階層に歓迎され、大きな感銘を与えました。

 なお、『言志録』の書名の由来については定かではありませんが、『論語』からとられているという説があります。
 孔子が弟子の顔淵と子路に「お前たちの志を聞かせてくれないか。」と問いかけます。二人がそれぞれの志を述べた後、今度は子路が孔子に向かって、「願わくば、先生の志を教えて下さい。」と言います。孔子は、「老人には安心されるように、友達からは信頼され、若者には慕われるようになることだ。」と言われたそうです。
 おそらく、この『論語』の記述から名づけられたのでしょう。

 1854年(安政元年)83歳のとき、日米和親条約締結に際し、日本代表の交渉役・林復斎をサポートし、外交文書作成に尽力します。
 そして、1859年(安政6年)9月24日、88歳で帰らぬ人となります。

 墓は、東京都港区六本木の高明山深広寺にあります。
 偶然ではありますが、同じ年の翌月10月27日、吉田松陰が29歳の若さで亡くなっています。
 余談ですが坂の上の雲で登場する「日本騎兵の父」「最後の武士」などと呼ばれた
秋山好古は、一斎が亡くなった年、1859年(安政6年)1月7日に誕生しました。
(続く)

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