2012年02月17日

講演録「日本の政治・安全保障−この国の形を考える」(その3)

歌『日本を美しく!』がカラオケDAMに入りました。
『天に向かって!』がウガとジョイサウンドに入ってますから、全国のカラオケで僕の歌を歌うことが可能になりました。
 「天に向かって!」「日本を美しく!」(歌・田村重信)が、セントラルレコードのHPからユーチューブで聴けます。

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 第15回 「咢堂塾」講義・2012/01/28 憲政記念館第2会議室

 自民党政務調査会調査役・慶應義塾大学大学院法学研究科・講師:田村重信


 ギリシャ危機は政治危機

 政治・民主主義を考えた時に、ギリシャ危機の本質は、僕は、政治危機だと。
今日は資料を持ってきたのですが、結局、なんでこうギリシャがこうなるか、政治の問題ですよ。民主主義の問題ですよ。


 源流をたどると30年前にさかのぼる。1981年、米国帰りの政治家が、自らつくった社会民主主義政党を率いて首相に就いた。アンドレアス・パパンドレウ。政権の目標ははっきりしていた。国が大きな役割を果たし、ギリシャを欧州の他の国並みの福祉国家にする。
「彼は民衆の求めたことを実行したんだ」という。
 国民保険制度をもうけ、小さな村々に診療所を置いた。年金をもらう権利がなかった労働者や農民に、年金を保証した。「父は何より民主主義をもたらしたんだと確信している。しかし、こうも言う。「民主主義が行きすぎてしまったのかもしれない。みなが権利を私利のために使うようになった」
 企業の国有化や、福祉やインフラの仕事が増え、公共部門で働く人が増えた。しかし、やがて縁故採用が横行する。「病院や道路などのコストが法外に高い」との指摘も高まった。誰かが甘い汁を吸っていた。80年代の民主化の時代は、石油ショックなどで産業が力を失っていく時代でもあった。しかし、政治家たちがしたのは競争力を高めるための政策ではなかった。「彼らが大衆を引き付けるために何をしたか。民間で仕事を失いつつある人を公共部門で雇ったんだ」と言う。お金はどんどん出て行ったが、それに見合う増税はしなかった。(H24.1.17 朝日新聞)

―ということなんですね。そういうことが原因なんですね。

 それで結局、ギリシャというのは、国有化政策、バラマキ政策を実施したんですよ。財政赤字の実態を隠してきたということなんですね。公務員をどんどん増やして、給料も上げた、多くの職種で年金制度も恵まれていますし、水準も高い。他のヨーロッパの国はそこを批判している。それとギリシャは脱税。これが横行して、買い物客がレシートを受け取らなければ、割引を持ちかけるのが一般的。レジでレシート発行すると、売上高として帳簿にのりますから、レシートを発行しなければ、ごまかせるということなんですね。


 中国の脱税防止策

 日本もその辺を良く考えていかないといけない。そうしないと、
 あの今回、上海に行った時、うちの娘が、買い物したりする時に、やたらとレシートを要求するんですよ。何でか。レシートに「スピードくじ」が付いている。タクシーに乗るでしょう。そうするとレシートをもらう。うまいこと考えているなと。
 日本もそういうことにしないと、今のように小さな商店はしなくていいということではすまない。だからキチット払った税金は納めるようにしないといけない。


 民主主義は衆愚政治になることも
 
 だからギリシャはそうことなんです。
 政治学ありますよね。古代ギリシャのプラトンが起源だといわれています。プラトンは民主主義を批判したんです。プラトンの先生はソクラテス。ソクラテスは、結局、ギリシャの衆愚政治、そういう人達に追いやられてそれで死んでいく、そういうことなんです。ソクラテスはただ単に生きるのではなくて、良く生きる。良く生きるということを言っている。

 それで、アリストテレスが一つの結論を出したんですね。どういう結論かというと、王制、君主制、貴族制、こういうものを組み合わせるのがいい。
 古代ローマの政治というのは、軍隊、元老院と独裁者の組み合わせ。それを組み合わせるのがいいだろう。君主制は、上手くいく時はいいが、ダメだと独裁になる。民主政治も上手くいくといいが、悪くなると衆愚政治になるんですね。だから、そういう意味ではアメリカは大統領がいて、上院と下院があるというバランス。日本もそうですよ。評価は色々あるが、議院内閣制ということでやっている。
 つい最近も、もの凄い危ないこともあった。民主党が批判を受けて、参議院選挙で負けちゃった、それでブレーキが利いたんですよ。そうしなかったら、マニフェストに書いてあるバラマキ政策を全部やると、そうするとみんな国債発行ということで。えらいことになっていた。ひょっとしたら、ギリシャに近いことになっていた。
国民のバランス感覚が効いたんですよ。

 だからよく考えないといけないけど、民主主義が絶対なんだと思うとまずい。
 例えば、フランス革命もありましたが、その後、血で血を洗う恐怖政治ですね。ヒトラーも完全に民主主義手続きによって選ばれてきた。ユダヤ人に対する圧力も、国民が圧倒的に支持したんですよ。ヒトラー一人でやったんではなくて、皆が支持したんですよ。そこを良く考えてみる必要があるということなんです。

 だから3つのシステムがある。

 だから中国に行くとですね。民主主義、民主主義と言われるから、地方はやろうとしてますが、中央は絶対ダメ、中国は集団指導体制で、システムとして決めている。だからトップの胡錦濤や習金平に強烈なカリスマがなくてもいいようになっている。組織でキチット決めていくようになっている。リーダの決め方が中国は民主主義を選択していない。だから民主主義を採用していないから悪いんじゃないか、ということにはならない。

 民主主義を採用しているなら、「他人のせいにしない、他人のせいにできないのが、民主主義」(相馬雪香)ということをきっちりと押さえておかないと、とても具合の悪いことになるのではないか。というふうに思います。


 信無くば立たず

 『論語』でも、「信無くば立たず」、谷垣総裁もよく行っていますけれども、信頼を失ってしまうと、どうにもならない。
 『論語』のどこから来ているかというと、「子貢問政。子曰、足食、足兵、足信之矣」、とありますけれども、政治にとって何が大事ですかと聞いたら、3つだと。一つは食料の確保、経済を安定させること、もう一つはやっぱり、国を守ることですね。もう一つは国民との信頼関係、そういうことを言っています。

 では子貢さんが、3つ大事かもしれないけれども、一つやめるとしたら、まずどれをやめますかといったら、そしたら国を守ること。では、もう一つ止めるとしたら、食べること、最後に残ったのが、「信頼」だと、ということなんですね。

 それはどういうことかというと、ソクラテスのところでも出てくるのですが、結局、どうして、ソクラテスは、最後に牢屋から逃げようと思ったら逃げられたのに、毒人参の杯をあおって死んだのかということなんですよ。まさにソクラテスは「無知の知」ということをいいます。自分は何も知らないという自覚、あるいはもっとも重要なのは、結局、日本語でいえば、「徳」ですね「徳」なんです。ソクラテスがいうには。
 「徳」というのは、知恵なんです。徳というのは教えることがなかなかできない。だから自分でキチッと身に付けるために学んでいくという必要がある。
 そして、結局、人間、単に生きるのではなく、正しいと思うことは誰に反対されてもやり抜くということなんですね。だから最終的に死んだわけですね。
 そこが『論語』の世界でもそういうことなんですよ。食べ物が無くなったら死んじゃうでしょう。でもそれよりも大事なことがある。信頼関係。もっというとこういうことなんです。


 「人」について

 「人」というのは、こういう字。人間学。僕はこの、尾崎塾の雑誌に石田さんが書いてくれといわれて、それに安全保障の話を書いた。それで石田さんが日本論語研究会の講師として来てくれた。で今度僕がここに来た。支え合う関係がある。なんでもそうなんです。 「俺は偉いよ〜」といったって、だれも評価してくれないと、すると「社会が悪いとか、世間が悪い、それは、間違い、自分が悪い」となる。

 生まれた時が最高で、必ず死ぬんです。上はなんでしょう。天国なんです。そのためにはどうしたらいいか。「徳を積む」ということなんですよ。ソクラテスもそういうことなんです。『論語』の孔子が言っていることもそうなんです。そうしないと上に行けずに、必ず落ちて、閻魔大王がいるんですね。僕もまだ中間ぐらいなんで、もっと徳をつまないとまずいな。そういうことなんですよ。

 だから世界三聖人という、物凄く偉大なソクラテス、孔子、御釈迦様の説くところはみんなそれなんですよ。それを言っているんですよ。だから正しいと思うことは、誰がなんと言おうとやり遂げる。それは悪いことはダメですよ。良いこと、良いこと、を選ぶ。


 「政は正なり」

 だからもう一つ『論語』にね、「政は正なり」正しい。正というのは、どういうことか。   
 政治というのは、こういう政治を心掛けないといけない。孔子の教え。だから同じなんですよ。西洋でも東洋でも究極の政治は何か、良いことをしようとする。
 良いことをしようとする。そして我々は政治に携わる人は何をしなければならないかというと、それは色々ありますよ。僕も『君主論』(マキャベリ)勉強したりしますけれども、究極には、やっぱり、徳を積めるかどうか、ということなんです。またそういうことをやっていくといい理由ですね。
 またそういうことを日本人というのは、何故かやっていたんですよね。だからアインシュタインは、日本、日本人は素晴らしいな。貧しいけど素晴らしいな。それが我々のアイデンティティなんですね。それが無くなってしまったから、もう一度復活させようと、ということで、じゃあ何ができるかということで、『論語』に着目して、日本論語研究会を始めて、8年目になった。というようなことです。
(続く)

shige_tamura at 11:04│Comments(0)TrackBack(0)clip!講演録 

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