2011年12月09日

一川防衛大臣問責決議案への賛成討論(宇都隆史)

「天に向かって!」「日本を美しく!」(歌・田村重信)が、セントラルレコードのHPからユーチューブで聴けます。

ブログランキングに参加しています。
↓↓↓貴方の応援クリックが明日の活力になります↓↓↓

こちらをクリック

 自由民主党の宇都隆史です。私は、自由民主党・無所属の会、公明党を代表して、只今議題となりました一川防衛大臣問責決議案に、賛成の立場から討論を行います。

 まず冒頭に、国権の最高機関である本国会において、我が国の独立と繁栄の根幹である「国防行政」を所掌する防衛大臣の資質についての適格性を問わねばならない事態に陥っている現状に対し、元自衛官として絶望的な思いを抱いております。

 私が問責決議案に賛成する理由は以下の三点です。

【素人発言】

 第一の理由として、一川防衛大臣は、軍事的基礎知識や防衛政策について、全く無知・素人同然であるという点です。国防は外交と表裏一体のものです。自衛隊の隊務の全てを統括する防衛大臣の資質は、我が国の国防態勢の資質そのものであり、近隣諸国や同盟国に対してもその言動は非常に重く受け止められます。自らが防衛の素人であることを公言された一川大臣に対し、海外の国防大臣が実のある防衛政策議論を求めてきますでしょうか?あるいは、同盟国の軍事司令官や、部下である自衛隊高級指揮官らと、我が国の防衛課題や東アジアの平和構築に向けた建設的意見交換ができるでしょうか?本来であれば「素人発言」があったその時に、野田総理は一川大臣を更迭すべきでした。

 更に言えば、このような専門性を欠いた議員を防衛大臣に任命したことがそもそもの過ちです。一川大臣も受ける側として固辞すべき閣僚人事でした。我が国の憲政史上、参議院における防衛大臣への問責決議は、過去8回決議されています。しかし、いずれも不祥事の引責や政策に対する批判を受けての問責決議であり、未だかつて政治家個人の能力や資質を問われて問責を決議された防衛大臣は存在しません。我が国の安全を担う防衛大臣には、安全保障に対する専門的識能を有した、より適切な人材を充てるべきです。

【士気の低下と部下掌握】

 第二の理由として、防衛省全体の士気を著しく低下させている点です。核・弾道ミサイルの脅威を深刻化させる北朝鮮、軍事費を増額し続け、我が国の近海等において活動を活発化させる中国、竹島を不法占拠し続け実効支配力を強化する韓国、大統領自ら北方領土視察を行い、軍の艦艇や航空機の活動を活発化させているロシアと、我が国周辺の安全保障環境の不透明さ、不確実さは年々増すばかりであり、国民は今、我が国の防衛に対する不安感を募らせています。

 一般国民ですらそうですから、その任に当たる全国の自衛隊員やその家族は、素人同然の一川大臣に部隊の指揮と自らの命を委ねることに虚脱感を覚え、現場の多大なる士気の低下を招いているのです。これは自衛官に限らず、防衛官僚も同様、やるせない気持ちを抱えながら日々の任務にあたっています。今回の沖縄事件は、それが表面化したに過ぎません。田中前沖縄防衛局長の不適切発言は、オフレコとはいえ到底看過できるものではありません。

 しかし、普天間基地の移設に関して、辺野古以外への見通しも腹案もなく、選挙の票欲しさに悪戯に「国外、最低でも県外」と公約して沖縄県民の心を弄び、普天間飛行場の危険性の除去の芽を自ら摘んだのは民主党政権です。その総括も反省もなく責任回避をし続け、その尻拭いを官僚に押し付けていたのではありませんか。

 さらに問題とすべきは、田中前沖縄防衛局長の「政治家は分からないが、審議官級の間では、来年夏までに米軍普天間飛行場の移設問題で具体的進展がなければ辺野古移設はやめる話になっている。」という文民統制の逸脱者とれる発言をしていたことです。一川大臣は部下を完全に掌握しきれておらず、国家としてのシビリアンコントロールが機能していなかったことを表す事実です。一川大臣の監督責任は免れません。

【優先順位の判断ミス】

 第3に、公的行事よりも私事を優先する一川大臣の判断能力の欠如についてです。国防とは、我が国の領土領海を守るだけに非らず、日本国の在り様を守ることでもあります。我が国の歴史や文化を体現し、国民統合の象徴である御皇室を軽んずる者に、我が国の国防を語る資格はありません。

 また、自衛官は「事においては危険を顧みず、身をもって職務に邁進し、もって国民の負託に応える」ことを宣誓しています。その隊員たちの命を預かる防衛大臣は、いついかなる時も身をもって大臣としての職務に邁進すべきであり、公務より私事を優先するようなことなどあってはなりません。

 宮中晩さん会のような平和的手段を利用して、諸外国の政治指導者や軍事責任者と互いに胸襟を開いて理解を深め、偶発的な防衛事態の発生などを未然に防止するような外交努力の蓄積も、また防衛大臣としての職責なのです。野田総理は、一川大臣の進退に対し「より襟を正して職務をしっかりと果たしてほしい」と擁護されましたが、無い袖は振れないのと同様、ない襟は正せないのです。

 命懸けで任務にあたる部下や隊員の一人一人を我が子のように育み、同時に一朝有事の際は、冷徹なる命令を下さねばならない防衛大臣には、卓越した判断力と決断力が要求されます。一川大臣の、物事に対する優先順位やその判断基準には、到底理解できないものがあります。しかし有事においては、その判断ミスで何万という隊員の命が危険にさらされるのです。一川大臣に、24万人の隊員の命を預けるわけにはいきません。

【まとめ】

 孫子の兵法に「進みて名を求めず、退きて罪を避けず」という教えがあります。この意味は、「国防の任に当たる者は、いついかなる時も個人の名誉や功績を欲せず、汚名や誹謗中傷を恐れず、ただひたすらに国益のみを唯一の基準に行動し、国家の安寧を図らねばならない」ということです。

 今現在、防衛省は我が国の将来の国防に多大なる影響を及ぼす決断を迫られる重大局面に向かっています。次期戦闘機の機種選定や沖縄普天間基地移設に関わる環境影響評価書の提出が差し迫る今、一日でも早く一川大臣に防衛大臣の座を退いていただき、国家国民のため、我が国の国防に対する最大の不安要素を除去し、一刻も早く正常かつ安定した状態に戻さねばなりません。


 以上が、本決議案に賛成する理由であることを申し上げ、私の討論を終わります。

shige_tamura at 15:04│Comments(1)clip!安保・防衛政策 

この記事へのコメント

1. Posted by noga   2011年12月09日 21:24
●鳩山由紀夫首相は、「昨年の衆院選当時は、海兵隊が抑止力として沖縄に存在しなければならないとは思っていなかった。学べば学ぶほど(海兵隊の各部隊が)連携し抑止力を維持していることが分かった」と記者団に述べた。

●菅首相が、統合、陸、海、空、4幕僚長との協議の冒頭で「改めて法律を調べたら自衛隊に対する最高の指揮監督権を有していた」と述べた。

アメリカ側の代表者であったメア氏は、「日本では、識者と呼ばれる教養人、国会議員、更に地方自治体の議員も、安全保障に関して知識がないことはいいことで、説明しないことは賢明な対処法だと考えているように見えます。それは私にとっては本当に驚きの連続です」と語った。



http://www11.ocn.ne.jp/~noga1213/
http://page.cafe.ocn.ne.jp/profile/terasima/diary/200812

この記事にコメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価: 顔   
 
 
 
ランキング一覧

人気blogランキング

人気blogランキングに参加しました。
応援よろしくお願いします。
月別アーカイブ
最新コメント