2011年11月01日

自由民主党・無所属の会・溝手顕正幹事長の参院代表質問全文(その2)

 4.経済

 次に経済問題について質問します。まずはTPPについて伺います。野田総理は、何としても11月のAPECで交渉参加を表明できるよう、結論を急いでいるように見えます。初の訪米でオバマ大統領にネジを巻かれたことが、よほどこたえているのでしょう。

 しかしながら、現状では、TPPの交渉参加を判断するには、圧倒的に情報が不足しています。加入した場合のメリット・デメリットも詳細に示されず、どの分野が交渉の対象になるのかすら不明確です。民主党内での意見集約も全くできていません。
このような状態で参加の可否を判断することは、不可能です。

 民主党は、TPPを「平成の開国」と称しています。そうであるならば、幕末の開国と同じように、慎重に議論をすべきです。拙速に結論を出せば、必ずや将来に禍根を残すでしょう。

 当時の幕府も、ペリーの来航によって、まさに今と同じようにアメリカに圧力をかけられたわけです。しかし幕府は、一旦ペリーにお引き取り願った後、広く諸大名の意見を聞くという、当時としては前例のない方法で国家の英知を結集しました。そして、再度ペリーが来航した時、開国を決断しました。しかし、通商の要求は断り、和親条約のみを締結したのです。今の民主党に、このような熟慮や決断ができるでしょうか。

 さらに大切なことは、当時は、「国体を守る」という、皆が共有する絶対目標があったのです。幕末の動乱から明治維新へと続く激動の時期に、日本はいつ列強の植民地になってもおかしくない状況でした。そうならなかったのは、絶対に守らなければならない目標として、「国体を守る」という一点だけは、皆に共有されていたからです。党の綱領さえない民主党で、そのような筋の通った信念を持った態度がとれるものでしょうか。

 総理、残念ながら今の民主党には、TPPのような国家の一大事を扱う信念も、能力もないように思います。このような状況で、拙速にTPP交渉への参加を判断すべきでないと考えますが、いかがでしょうか。

 また、交渉に参加しても離脱すればいい、といった無責任な議論もあるようですので、総理に確認いたします。TPP交渉に参加しても、都合が悪ければ離脱するという選択肢があるのかどうか。総理から明確にお答え下さい。

 次に円高対策について伺います。政府は、先月21日に「円高への総合的対応策」を発表しました。しかしその後、連日のように円は最高値を更新しています。政府は8月にも「円高対応緊急パッケージ」を発表していますが、円高を止める効果は全くありませんでした。

 いずれの対策も、対症療法にとどまっていることを、市場に見透かされているのです。円高に伴う企業の痛みを和らげる、というだけでは、円高自体への対策にはなっていません。円高を脱却する根本的な方法は、デフレを克服するしかないのです。
今週に入りやっと為替介入が実施され、市場は一時小康状態にあるようですが、構造的な対処策はとられてはいません。野田総理、日銀とも連携し、本格的な円高・デフレ対策に取り組むべき時期に来ていると思いますが、そうしたお考えはないでしょうか、お聞かせ下さい。

 また、空洞化対策についても伺います。政府は3次補正に、立地補助金などの空洞化対策を盛り込んでいます。また、被災地で新たに設立する企業に対し、5年間法人税を無税にする対策を講じることにしています。

 しかし、被災地の法人税を免除するならば、新設企業だけでなく、既存の企業も対象にすべきです。そもそも、空洞化するのは既存の企業が逃げていくからです。それを止めずして、新設企業だけを優遇しても意味がありません。

 総理、被災地の法人税免除について、新設企業だけを対象にした理由をお答え下さい。また、既存企業も対象にすべきと考えますが、いかがでしょうか。


 5.地方自治

 次に、地方自治について伺います。私は、広島県の三原市長を務めておりました。その経験から強く感じるのは、民主党の地方自治に対する考え方の甘さです。

 言葉では「地域主権」や「新しい公共」などと言っていますが、単なる言葉遊びで、本当に地方自治体の苦しい実態をわかっているとは思えません。今、地方がどんな状況で、何が求められているのか、地方組織の弱い民主党は、十分に把握できていないのです。

 民主党は、地方分権を論じる際、「地域主権」という言葉を使っていますが、そもそも、その言葉自体、意味があいまいで、混乱の元です。

 一体、「地域主権」とは何でしょうか。「地域」に「主権」を持たせる、という意味になりますが、まず「地域」というのが、どの主体のことを指すのか、はっきりしません。市町村か、都道府県か、あるいは道州制にした場合の道州を指すのでしょうか。

 また、「主権」という言葉も、国と地方、という文脈で使う場合は、国ではなく地方に主権がある、という意味にしか思えません。立法、司法、行政の権限は「地域」にあり、国はその一部を補助的に行うにすぎない、とでも言うのでしょうか。本当にそういう意味なのだとすれば大問題です。

 総理、民主党の言う「地域主権」という言葉について、「地域」とは何か、「主権」とは何か、それぞれ、明確にご説明下さい。また、「地域主権」と「地方分権」とはどう違うのか、ご説明下さい。

 次に、「新しい公共」について伺います。これも民主党用語ですが、意味不明です。これまで国や地方自治体がやっていた仕事を民間にやってもらう、ということでしょうか。そうであれば、「官から民へ」という流れは自民党時代からのものであり、特に新しいものではありません。

 また、むしろ我々は今、「官から民へ」という動きの行き過ぎを反省し、国の責任、行政の責任というものを、もう一度見直すべき時期に来ているのです。何でも民間にやってもらえばいい、というものではありません。

 そもそも、公の事業は、民間では採算が取れなかったり、民間がやるべきでなかったりというものも多くあります。民間企業が運営している刑務所がありますが、私には不自然でなりません。少しはコストが安くなるというメリットはあるかも知れません。しかし、暴動災害、危機管理対応、などさまざまな問題が想定されます。

 また、安全保障上の問題で、行政がやらなければならない仕事もあります。防衛省の警備まで民間企業に任せてしまって本当に良いのでしょうか。他にも、水道や病院など、いざという時の危機管理も含め、行政がやらなければいけない部分と、民間がやっても大丈夫な部分を、再検証する必要があると考えます。

 民主党は、一方では「地域主権」「新しい公共」と、小さな政府を目指しているようなことを言いながら、他方では、バラマキを繰り返し、増税と限りない財政の膨張を進めています。やっていることが支離滅裂なのです。自らの矛盾に気づいていないのでしょうか。「新しい公共」というものを打ち出すからには、もっと突っ込んだ議論が必要かと思います。

 そもそも党としての政治理念がなく、各議員がバラバラに言いたいことを言い、やりたいことをやる、という民主党の根本的な欠点が、このような矛盾を生みだしているのです。

 野田総理、「地域主権」や「新しい公共」という考え方と、民主党政権になってからの予算の膨張は、矛盾していると思われませんか。見解をお聞かせ下さい。もし矛盾していないのであれば、どう整合性が取れているのか、ご説明下さい。

 最後に地方財政について伺います。大震災の以前から、多くの地方自治体は、地方税収の減少に苦しんでいます。それが、大震災により、一層不透明さが増しています。

 国からの地方交付税も、算定の根拠が不透明であることや、毎年のように制度がコロコロ変わることで、一体、この先増えるのか減るのか、予測ができません。地方財源基盤の安定化が図られることが大切であり、そのことなくして、全国の知事や市町村長は、自治体の運営に責任がもてません。

 総理、震災の影響を織り込んだ、今年度の地方税収の見通しをお示し下さい。また今後、地方交付税の今後のあり方についてどのようなお考えなのか、地方財源の確保はしっかりとできるのか、ご認識をお示し下さい。


 6.最後に

 総理が所信で述べられたように、震災からの復興が我が国の最優先課題であり、そのために皆が協力しなければならない、ということには、我々自由民主党も完全に同意いたします。

 我々は、この国難から、一日も早く、被災地が、そして日本が、復興を遂げるよう全力を尽くします。そのために、第3次補正予算についても、その成立に協力するつもりであります。

 しかしながら、震災への対応とは別に、私が本日申しあげたような、民主党の根本的な問題点もまた、放置できるものではありません。3次補正や震災関連法案が成立した暁には、一日も早く、野田政権には退陣いただき、我々の政権を樹立しなければなりません。それが我が国を救う唯一の道であると信じます。そのことを宣言いたしまして、私の質問を終わります。(終わり)

shige_tamura at 10:47│Comments(0)TrackBack(0)clip!自由民主党 

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