2011年09月30日

安全保障(その1、2)岡崎研究所所長 岡崎 久彦

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国のかたちを考える
安全保障(その1)
岡崎研究所所長 岡崎 久彦
を掲載します。今こそ、安全保障をしっかりと考える時です。


 日本の安全と繁栄に不可欠な日米同盟


 鳩山民主党政権が出現して以来日米関係は漂流している。これをいかに安定、強化させるかに日本の国益がかかっている。

 日米同盟強化の方策は、すでに、西暦2000年のアーミテイジ・ナイ報告に書いてある。2000年の大統領選挙は、マイアミでなかなか決着がつかなかった選挙であり、共和、民主いずれの党が政権を取るか全く分からない中で行われた超党派の提言であって、その後も長く米国務省の指針となっていた。


 日米関係を英米関係のように


 長文の報告であるが、大事な点は二つである。
 まず長期的な目標は日米関係を英米関係と同じようにすることであり、そのための具体策としては日本が集団的自衛権の行使を認めることである。

 日本にとって日米同盟が必要なことは言うまでもない。日本が国際政治の荒波に初めて直面した開国以来1世紀半、島国日本の安全にとって、七つの海を支配してきたアングロ・アメリカン世界との良好な関係を保つことが日本の安全と経済にとって死活的利益であった。

 現に日本が孤立して破滅の道を歩んだ満州事変、日独伊3国同盟、真珠湾から敗戦までの15年間という例外を除いて、その前の70年余り、そして敗戦後現在に至る70年近くは、日本は、アングロ・アメリカン世界との関係が良好かあるいは同盟関係であり、その間、日本は安全と自由と繁栄を享受していた。


 米国とユーラシア大陸の関係


 アングロ・アメリカの世界覇権が続く限り、日米同盟は日本の安全と繁栄にとって不可欠である。ここで従来懸念されているのは、日本にとって日米同盟は不可欠であるが、米国が同じように考えているかどうかということである。

 その答えは、アーミテイジ・ナイ報告が出している通りである。

 米国は大陸国家であるが、その最大の問題はユーラシア大陸との関係をどうするかということである。ユーラシア大陸には、中国、ロシア、インドだけでなく、ドイツ、フランスなど、それぞれ経済的にオータルキック(自給自足可能)であり、政治的にも米国の思うままにならない国々がある。

 米国にとって最も望ましい形は、大西洋をはさんで英国、太平洋をはさんで日本という確固たる同盟国があって、その上でユーラシア大陸をバランス・オブ・パワーで扱うことである。もし日米同盟が有効に機能し、その役割を果たせば、米国にとっても死活的重要性があることになる。


国のかたちを考える
安全保障(2)
岡崎研究所所長 岡崎 久彦


 集団的自衛権が戦後レジーム脱却の完成


 集団的自衛権の行使を認めることは、日本の安全にとって、そして、日米同盟を安定した基盤に置くために必要不可欠であるだけでなく、それは戦後レジームからの脱却の完成を意味する。

 戦後レジームといっても、戦後米占領軍が行った改革のほとんどは、日本自身が必要として、自ら改革したものである。


 占領軍による弱体化政策


 明治憲法は、当時の世界のすべての憲法と同じように、英国の権利宣言の流れをくみ、国民の権利を保障するものであった。それは明治維新以来の自由民権運動が多年の辛苦の上、勝ち取ったものであった。現に、予算の増額には衆議院の承認を要するという規定は、明治憲法のモデルと言われるプロシア憲法にもない進歩的な規定である。その結果野党の意向を尊重せざるを得ず、ドイツでは第1次大戦後まで成立しなかった政党内閣が、憲法制定後間もなく大隈、板垣内閣として成立している。

 ただ、もともと「法律の定めるところにより」とあり、日本が、日英同盟から離れて孤立化し、隣国ロシアからは共産主義の脅威が迫り、中国では国権回復運動によって日本の既得権益が脅かされるに至って、非常時立法による制限が課されるようになった。

 それは、戦争が終われば当然廃止されるものであり、言論、結社の自由の制限などは、米軍の到着前に、日本政府によって解除された。そして、婦人参政権、農地解放、労働組合活動などは、大正デモクラシー以来の流れの継続として、米占領軍の指令が来るまでに実施の方針は決まり、マッカーサーもそれに満足の意を表している。

 日本が望まないのに、占領軍の指令で強行されたものの中で、公職追放と財閥解体は、もともと旧敵国日本の弱体化政策であり、占領中に次々に解除された。



 憲法改正が今後の最大課題


 残るのは、憲法と教育関係法だけであったが、教育3法については、戦後レジームからの脱却に努めた安倍内閣によって改正され、今はその内容の完全な実施だけが課題となっている。

 その答えは、アーミテイジ・ナイ報告が出している通りである。

 ただ、その内容があまりに非常識であるためもあって、実質上の改正は行われざるを得ず、現に行われている。

 憲法について最終解釈権を持つ最高裁判所は、憲法は主権国として持つ固有の自衛権を否定するものでない、と解釈している。「固有の」は憲法以前からある自然権の意味であり、それによって日本の国防も自衛隊も合憲とされている。実行上残っている唯一の障害は、日本は権利を有するがその行使は許されないという、支離滅裂な解釈がそのまま維持されている集団的自衛権の行使の問題だけである。これが戦後レジーム脱却の最後の仕上げである
(『自由民主』より)

shige_tamura at 09:54│Comments(0)TrackBack(0)clip!安保・防衛政策 

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