2011年09月15日

中曽根弘文・自民党参院議員会長の代表質問(全文、その2)

 エネルギー政策

 次に、エネルギー政策について伺います。福島原発の事故を契機に、我が国のエネルギー政策は全面的な見直しを迫られています。これまで政府は、エネルギー基本計画を白紙に戻して検討することを表明しています。

(1)基本的展望

 そこで、伺いますが、総理は、今後のエネルギー政策の基本的な展望について、どのようにお考えでしょうか、ご説明下さい。
 特に、原子力発電について、総理は原発再稼働の推進を表明し、中長期的には、原発への依存度を「可能な限り引き下げていく」としていますが、これは原発の存続を前提としていると考えて良いか、お答え下さい。
 また、総理は、「来年の夏を目途に、新しい戦略と計画を打ち出す」と述べましたが、来年の夏では遅すぎます。企業が来年度の事業計画を決める前に、せめて年内には、結論を出すべきであります。
 エネルギー基本計画の見直しは、来年の夏ではなく、時期を早めるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

(2)原子力技術の維持

 原発に関しては、国内の原発だけでなく、世界的な視野も必要です。我が国が原発に対してどのような政策を取ろうとも、中国をはじめとする新興国では、今後も原発が増え続ける、ということも、厳然たる現実であります。
 そのことを考えると、我が国が原子力関係の知見・技術を維持し、原子力の安全性向上に貢献していくことが、世界に貢献する道でもあると考えますが、総理の見解はいかがでしょうか。
 また、総理は、原発の輸出を推進すべきとお考えか否か、お答え下さい。

(3)再生可能エネルギー

 再生可能エネルギーについては、その比率を上げていくという方向性は、ほぼ国民的な合意が形成されています。また、前国会で成立した再生可能エネルギー買取法案についても、我々の案の丸のみで成立しています。
 今後、普及すべきエネルギーの種類や、コストの見積もり、普及のペースに関して検討していかなくてはなりません。
 菅前総理は、2020年代前半にその比率を20%にするという目標を掲げ、太陽光パネルを1000万戸に設置すると表明しました。野田総理も、その公約を維持するのでしょうか、お考えを伺います。


 経済政策

 次に、経済政策について伺います。歴史的な水準の円高、高い法人税、貿易自由化問題、労働規制、厳しいCO2の削減目標、電力不足と、我が国の産業界は「六重苦」に苛まれていると言われています。
 このままでは、総理も所信表明演説で示されたように、企業の海外流出が加速し、産業空洞化が進み、日本経済が弱体化してしまいます。
 このような状況の中で、我が国経済発展の芽をどこに求めるのか。どういう新成長戦略をどのようなスケジュールで実施するのか、お考えをお聞きします。

(1)円高対策

 そこで、まず、特に緊急の対応を要する円高対策について、総理の見解を伺います。
 この円高は欧米の経済情勢からくる構造的なものであり、介入のような対症療法では一時的な効果しかありません。安住財務大臣は、先週のG7に出席しましたが、円高対策について各国に「理解を得られた」と述べただけで、具体的な協力・合意は得られませんでした。
 このように、円高対策には手詰まり感が強くなっています。総理は所信表明で、立地補助金の拡充や円高メリットの活用といった対策を示されていますが、これは、円高自体を是正する方策ではありません。円高そのものの是正についての対策はどういう施策をとるのか、具体的にお答え下さい。

(2)経済連携の強化

 続いて、TPPへの参加をはじめとする経済連携の強化について伺います。菅政権ではTPPへの参加を「平成の開国」と称して突如打ち出した後、大震災の発生によってうやむやにしてしまいました。
 野田総理は、経済連携の強化について、特に農業との関係も含め、どのような基本方針をお持ちなのか、伺います。
 また、TPPへの交渉参加について、「しっかりと議論し、できるだけ早期に結論を出す」としていますが、具体的にいつまでに結論を出すおつもりか、お聞かせ下さい。

(3)法人税引き下げ

 続いて、税の問題について伺います。民主党政権は、一度法人税5%引き下げを決めておきながら、震災後に実施を見送り、復興財源として法人税の増税を含めて検討するなど、企業からすれば、法人税が上がるのか下がるのか、見通しが立たず、長期的経営戦略も策定できずに困っています。
 政府としての、法人税についての考えを伺います。

(4)消費税増税

 続いて、消費税について伺います。民主党政権は、税と社会保障の一体改革案で、「2010年代半ばまでに、段階的に消費税率を10%まで引き上げる」としています。また、本年度中に法案を成立させることも明記しており、残された時間はあまりありません。
 野田総理は、消費税増税を実施する強い決意をお持ちだと思いますが、民主党内の意思統一はできるのでしょうか、また法案の成立に向けて、今後、どのように進めていくおつもりか、お聞かせ下さい。


 財政問題

 ここで、財政の問題に関連して8月の三党合意について確認を致します。自民、公明、民主の三党による合意では、バラマキ4Kと言われる、子ども手当、高校授業料無償化、農業の戸別所得補償のそれぞれの見直しと、高速道路無料化の廃止などが合意されていますが、特に子ども手当については、我々は来年度から児童手当を復活させるとともに、その内容を拡充することで合意された、と認識しています。このことについて、改めて野田総理に確認致します。


 外交・安全保障

 次に、外交・安全保障について伺います。中国をはじめとする新興国の台頭、欧米諸国の財政問題の深刻化、中東諸国の不安定化など、我が国を取り巻く国際情勢は大きく変化しつつあります。
 特に来年は、米国・フランス・ロシア・韓国の大統領選挙、中国の政権交代、台湾の総統選挙が相次ぐ年であり、「2012年問題」と言われています。選挙の年は、各国が対外的に強硬姿勢を取る傾向があり、国際情勢の不安定化が危惧されています。
 今年はそのような意味で、非常に重要な年であり、私が今年1月の菅総理への代表質問でもこのことを指摘しましたが、野田総理はどうお考えでしょうか。
 最近では、菅政権の弱腰の外交姿勢の結果、中国の漁業監視船が尖閣周辺の領海に侵入する、ロシアの爆撃機が北海道から沖縄まで日本列島を一周するといった、露骨な挑発を受けています。日本はどうせ手出しができないと、足元を見られているのです。
 鳩山政権・菅政権は、諸外国に対し、言うべきことを言わず、守るべきことを守らず、行うべきことを行わず、外交上の失敗や方針転換を繰り返してきました。そのために、我が国は国際的な信頼を失い、孤立を深めています。
 世界の政治体制が大きく変革し、新しい世界秩序を構築しようとしている中で、我が国外交は、世界に対する影響力を大きく損ない、世界から取り残されようとしています。我が国の発展と繁栄のためには、世界の安定と平和の構築に寄与し、新しい秩序作りの一翼を担って行くべきであります。
 一刻も早く、外交・安全保障上の体制を立て直し、我が国の主権と国益を守り抜いていくことが、極めて重要であります。
 総理は来週国連総会に出席されますが、我が国の外交方針など国際社会にどのようなメッセージを発信するおつもりでしょうか、お答え下さい。

(2)沖縄・普天間問題

 現在の我が国の外交の基軸となっているのは、言うまでもなく、日米関係です。その重要性は、今後も変わることはありません。
 しかし、鳩山政権は、自民党政権時代には地域の理解を得ながら進んでいた普天間問題を不必要にこじらせ、沖縄県からの信頼を大きく損ない、日米同盟関係を最悪の状態に陥れてしまいました。このままでは、普天間基地が現状のまま固定化するという、最悪の事態になってしまう恐れがあります。

 野田総理は、普天間問題に関する鳩山政権の失敗をどう考えるか、そして今後、普天間基地の移設問題をどう解決していくおつもりか、「沖縄県民の理解を得るよう努力する」の繰り返しではなく、具体的にお答え下さい。
 ここで、普天間問題に関連し、防衛政策の全体像について伺いたいと思います。核を保有し、開発を進める隣国がある現状の中で、有事の際に我が国の国民の生命と財産をどのように守るつもりであるのか。緻密なシミュレーションを重ね、本来果たすべき役割を自衛隊が果たせるような対策をとっているのか。私は、「自衛隊は暴力装置」と発言するような幹部が党の中枢にいる民主党が政権を担って以来、我が国の防衛力が低下しているのではないかと危惧を抱いております。
 野田内閣はどのような防衛政策を進めるつもりなのか、見解を伺いたいと思います。また、集団的自衛権に関しての見解も併せて伺いたいと思います。

(3)前原発言

 民主党の前原政調会長は、米国での講演で、武器輸出三原則の見直しや、自衛隊の武器使用基準の緩和について、踏み込んだ発言をされました。これについて、一川防衛大臣は全く聞いていないと発言するなど、足並みが乱れています。
 前原政調会長は、総理が任命した民主党の政策責任者ですから、その発言は極めて重く、民主党の政策であると受けとめられます。
したがって、発言は内閣の方針と一致すると考えてよろしいですね。総理の考えを伺います。


 政策決定システム

 次に、総理の考える政策決定のシステムについて伺います。

(1)国家戦略会議

 野田総理は、自民党政権時代の「経済財政諮問会議」をモデルに、「国家戦略会議」を創設することをお考えのようです。実現すれば、これまでの民主党政権で、様々な本部や会議が乱立して、意思決定ができない状況に比べれば、政策決定が円滑になる可能性も高く、その発想自体は評価できます。
 しかし、この国家戦略会議は、どのような形になるのか、不明確な部分が多く、唐突に出てきた感が否めません。
政府の意思決定の根幹に関わる重要な組織ですから、これまでの民主党政権で乱立した組織のように、法的根拠なく、権限も不明確な形で設置することは許されません。法的根拠に基づいた明確な権限がなければ、国家戦略の司令塔たり得ないことは、民主党政権の失敗作である「国家戦略室」の例が如実に示しています。
 そこで伺います。総理は、国家戦略会議を、法律に基づいて設置するおつもりか否か、お答え下さい。
 また、設置のスケジュールと、その権限、すなわち、経済財政以外に、安全保障なども含めた、国の総合戦略を決定する会議にするおつもりなのか、見解を伺います。

(2)与野党の関係

 与野党の関係について伺います。
 これまで民主党は、参議院で自民党が反対するから、法律や予算が通らないのだと言って来ました。これは全く的外れな指摘であり、我々自民党が政権を担っていた時にも参議院は野党が過半数を占めていましたが、多くの法律を成立させてきました。民主党の未熟な国会運営の責任を我々自民党に転嫁されることは誠に不本意であります。
 菅前総理も「熟議の国会」と言っていましたが、相次ぐ閣僚の不祥事や総理自身の思いつき発言などで「熟議の国会」とは程遠い国会となってしまいました。
 野田総理も「議会制民主主義の要諦は対話と理解を丁寧に重ねた合意形成にある」と述べておられますが、今回の4日間の会期の決定については、一方的に押し切る暴挙に出て、この言葉とは全く相反し、与野党の信頼関係を大きく損ねました。これでは国民のために議論を尽くす国会運営は到底望めません。総理はどの様な形で与野党の議論を深めていこうと考えているのか、具体的なお考えを伺いたいと思います。


 最後に

 日本には課題を解決する技術力があります。長い年月の中で培われた文化力があります。そして、世界から尊敬される心の力があります。日本には大きな人材力があるのです。いま日本に欠けているのは、そうした力を糾合するリーダーの力であり、世界の人々を引きつける、未来に夢を描ける構想力です。
 我々は四方を海に囲まれた閉じ込められた国土に暮らしているのではなく、四方が海に開かれた、世界とつながった国土に暮らしています。我々は世界の大きな流れに目を向け、将来を担う子や孫の世代に、誇れる日本を引き継いで行かなくてはなりません。
 今は苦しいトンネルの中かも知れませんが、明るい出口を目指して、我々国会は力の限りを尽くして行かなくてはなりません。この厳しい時代を乗り越えた先には明るい未来があると信じて、我々参議院自民党は、政局ではなく政策で、小局ではなく大局で、国家と国民のために、今後も全力で取り組んでまいります。ここに国民の皆様に我々の決意を改めて表明し、総理への質問を終ります。
 (以上)


shige_tamura at 11:37│Comments(0)TrackBack(0)clip!自由民主党 

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