2011年09月14日

谷垣禎一自民党総裁の代表質問(その2)

四、総理の資質等について

 次に、野田総理ご本人の宰相としての資質に関して伺います。
 総理は過去2代の民主党政権において財務大臣をはじめとした要職、最重要閣僚の座にありました。いわばその失政に関して連帯責任を負うてしかるべき立場です。その総理から過去の反省について何ら聞こえてこないことは無責任の誹りを免れません。この政権を担うことの責任感も所信表明演説からは感じられませんでしたが、まずはこの2年間の政権の総括・反省、自らの責任について、総理の基本的な考えをお聞かせ下さい。

 また、無反省なのは民主党政権のお家芸の感があり、新政権発足直後から、党役員や閣僚の無責任な放言がやまないところです。その中でも、被災者の心を踏みにじる鉢呂前経済産業大臣の振る舞いは、とりわけ看過できません。本件は、泥にまみれて仕事をするための適材適所ではなく、党内融和ばかりに心を砕いた不完全な組閣の結果であり、総理の任命責任についても厳しく問わざるをえません。復旧・復興の妨げとなる大臣を閣僚に任命したことに対して総理はどのような責任をとられるのか、誠意ある回答を求めます。

 資質に関して、野田総理の政治家としての理念について伺います。総理は「保守」の政治家を標榜されているようですが、その実態は極めて疑わしいものがあります。先ほど述べた綱領なき政党に所属していることはもちろん、総理は「国民の生活が第一、マニフェストの理念は堅持する、中間層を厚くする」との姿勢です。
 しかし、マニフェストに掲げられたバラマキ施策が中間層を厚くするのではありません。中間層とは自助努力による安定的な経済成長に支えられた、安定的な雇用とそれによって得られる所得によってつくられ、維持されていくものです。経済政策の基本はもとより、バラマキを排し、あくまで自助を重んじる保守の理念をまったくもって理解されていないのか、あるいは党内向けにあえて詭弁を弄しているのか、総理の見解を求めます。
 それに加え、日教組のドンたる輿石参議院議員を幹事長に据えて党運営や政策について重責を担わせたこと、子どもは家庭ではなく社会で育てるという理念に基づく子ども手当を創出した小宮山厚生労働大臣など、総理の保守哲学に相反する人事についても、保守政治家としての矜持を失い党内の声に抗しきれなかった結果とも思えますが、総理の認識をお聞かせ下さい。

 一向にやまない民主党の政治資金問題について伺います。鳩山元総理の「子ども手当」問題、小沢元代表の陸山会事件、前原政調会長の外国人や脱税関係企業からの献金問題、同じく蓮舫行政刷新担当大臣の脱税関係企業からの献金問題、そして野田総理ご自身も外国人及び脱税関係企業からの献金問題を抱えています。
 クリーンな政治を掲げる民主党内に蔓延するこの風土病について、誰からも十分な説明はなされてきませんでした。総理は国会においても説明責任を果たすべきでありますが、この場においてもその経緯と責任について、誠実な答弁を求めます。これに関して、小沢元代表の党員資格停止処分の取扱いについても、今後どのような方針で臨まれるのか、併せてお答えください。


五、政策各論について

 その他、内政・外交に関わる政策の各論について伺います。
 現在政府・与党において検討されている第3次補正予算について、その財源が大きく取り沙汰されております。先の民主党代表選において、野田総理とその他4人の候補者の間で、最も大きな見解の相違が見受けられました。
 しかし、財源なくして責任ある政治は行えません。第3次補正予算の復興財源は、財政規律に対する揺るぎない決意を内外に示し、国債市場への信認をも高めるべく、増税により償還を明確に担保された復興債によって全て賄うのか、建設国債を発行することもありうるのか、総理は明確にお答えください。また、日本郵政の株式の売却益を充てることも検討されているようですが、問題点も多々指摘されており、政府・与党の統一された方針としての答弁を願います。

 こうした中、政府の税制調査会の議論は混沌としているようですが、復興基本法、復興の基本方針、さらには野田総理が代表選を通じて主張した方針と齟齬を来すような意見が政府内部から平然と聞こえてくるところに、民主党政権特有のガバナンスの欠如を感じます。野田政権の一員である各府省の政務三役がこのような主張を繰り返すようでは、政権の体をなしません。意見集約への総理の決意をお聞かせください。そのうえで、党内融和を掲げる総理におかれては、是非挙党一致での覚悟を持った具体的な成案を我々にしていただき、また、国民に問いかけていただくことを期待しますが如何でしょうか。

 歳出削減については、捗々しい実績が見られないことは先程申し上げた通りですが、こうした状況を見るにつけ、一世を風靡した「事業仕分け」とは一体何だったのかという思いを強くせざるを得ません。昨年の仕分けに至っては、民主党政権の下で閣議決定に盛り込まれた施策や、政治主導の名の下に各府省政務三役が概算要求に盛り込んだ施策、さらには一昨年の仕分けで一旦廃止とされたはずの施策までが仕分けの対象とされており、マッチポンプショーもいいところでした。

 また、最も仕分けの対象としてふさわしい民主党のマニフェスト自体が対象となってこなかったことは不当と言わざるを得ません。公開の場の議論をあえて避け、身内の検証に委ねてきた結果が先程の客観性を欠いた「マニフェストの中間検証」だった訳です。野田総理はその担当者であった蓮舫大臣を改めて行政刷新担当大臣に任命しましたが、馬脚を表したと言える行政刷新会議にこれ以上何を期待しているのか、蓮舫大臣も目的は財源確保のためではないと予防線を張られているようですが、総理の考えを伺います。

 消費税を含む税制抜本改革については、平成21年度税制改正法附則第104条において、23年度中にその法制上の措置を講ずることとされており、次期通常国会にはいよいよ消費税率引き上げの幅と時期を含む具体的な税制改革の内容を盛り込んだ法案が提出されることになります。まずは法案をスケジュール通りに提出するのかどうか、総理の強い意志を再確認するとともに、これに向けてどのような準備を進めていくおつもりか、お答えいただきたいと存じます。

 6月の「社会保障・税一体改革成案」策定の過程では、民主党内では、経済状況の好転を実施の条件にすべきなどといった意見が強く、消費税率が10%に引き上がる時期も「2010年代半ば」などと曖昧になりましたが、消費税率の引上げ時期については、徒な先送りにつながらないよう、その考え方を整理する必要があると考えます。

 その際、民主党は消費税率引上げについて国民に信を問うこととしているものの、あくまで引き上げ時期は、政治的な解散時期との関係ではなく、経済情勢との関係で決せられるべきであり、民主党の自己都合の結果として経済との関係で不適切な時期に消費税率が上がることになっては本末転倒です。

 具体的には、任期満了まで引上げ時期を先送れば、施行までに法案提出後1年半以上という長い期間を空けることになり、タイミングを逸することとなりかねません。むしろ、施行を前倒しし、その前に信を問うという判断も必要になるかと思いますが、いかがでしょうか。お答えください。

 いずれにしても、消費税を含む税制の抜本的改革については、先程申し述べた東日本大震災からの復旧・復興対策経費に係る税制措置の動向などをも踏まえつつ、総合的に具体的な設計を図る必要があります。まずは民主党内でお家芸の百家争鳴の状態を乗り越え、政府・与党一体の揺るぎないご提案として具体案をお示しいただいたうえで、われわれも協議に応じるのが政党政治の王道ではないでしょうか。


 歴代の民主党政権の泣き所でもある外交・安全保障について伺います。鳩山元総理は、普天間基地移設問題で迷走を重ね、沖縄県からの信頼を大きく損ねたうえに、日米同盟にも大きな傷跡を残しました。野田総理は日米同盟重視を掲げていますが、この沖縄県との基本的な信頼関係が欠如したままで、今後普天間問題をどのように解決に導くのか、具体的な答弁を求めます。

 また、総理は、「東アジア共同体などといった大ビジョンを打ち出す必要はない」と考えておられるようですが、これは鳩山政権の外交政策・理念を否定するものなのでしょうか。外交・安全保障政策については、一川防衛大臣の「素人発言」に端無くもあらわれたように、当該分野についての経験不足の感は否めず、野党としても非常に心配するところでありますので、総理の基本的なお考えをお答えください。

 福島原発事故の収束に向けた対応とエネルギー政策について、総理の所信表明演説を伺う限り、今後の方向性はいまだ曖昧模糊として不透明との感が否めません。先の見通しが立たないままでは、被災者の生活不安と企業の電力不足への懸念を払拭することも覚束ないわけです。
 今後の経済成長にも重大な影響を与えるこれらの問題について、菅前総理は「脱原発」を華々しく掲げました。野田総理はその内閣において重要閣僚の座にあったことに加え、中心となって原発対応にあたった枝野前官房長官を経済産業大臣に任命されましたが、この路線を引き継ぐのか転換するのか明確にお答えください。

 本日は野田政権の基本姿勢等について伺いましたが、予算委員会も開催せず、僅か4日で臨時国会を打ち切るなど、これは国民に対して説明責任をまったく果たさない暴挙であると言わざるをえません。この「与党の審議拒否」に断固抗議します。大震災からの復旧・復興や円高対策等、国会で議論すべきことは山積しています。場外の与野党協議ばかりを求めながらも国会審議を行わないとは本末転倒、国会軽視も甚だしい限りであり、これでは容易に協議に応じるわけにはまいりません。なぜ早々に閉じるのか。本件は与野党の信頼関係を大きく損ねることでもあり、国民に対して納得のいく説明を総理に強く求めます。


六、おわりに
 
 野田総理は、国民から見放された鳩山元総理・菅前総理とは異なり、一見ポピュリズムや思いつきを排除した路線でスタートされましたが、民主党の体質そのものが変わらない限り、早晩行き詰まることは必定です。
 本来は民主党の党内改革こそが必要なのでしょうが、党内融和を強調する総理には、早くからその選択肢を放棄してしまったようです。このままでは国民のために泥臭く働く前に、民主党の泥沼、泥縄体質にからめ捕られ、鳩山政権、菅政権同様に奥底に沈んでいくだけに終わりかねません。

 また、信なくば立たず、政権の正統性が無ければ、結局は国民の支持は得られず、立ちゆかなることは必至です。マニフェストの見直しや、かつてあれほどわれわれを非難した信を受けないままの総理たらい回し、貴方の著書によれば、与党のトップが交代する際には、民意を問うべきであるとまで言われており、政権の正統性はもはや崩壊しているのは明らかです。

 野田政権や民主党政権の本質はどこにあるのかは今後とも明らかにしていく必要がありますが、今般こうした不都合な真実を覆い隠すべく、予算委員会も開かずに済ませようとしたことには、民主党の構造的な隠蔽体質が改善されていないことを示します。

 今や民主党は、自民党を否定することによってのみまとまりを維持し、政権の座に居続けることだけがその存在目的となったことは、先般の不信任案の際の菅前総理と鳩山元総理の合意によって明らかとなりました。その民主党から協力をと呼び掛けられたところで、単に国会運営を円滑にするための多数派工作に堕してしまいかねません。

 この正統性なき政権が居座る理由に、震災復興を挙げています。しかしながら、マニフェストを見直したことで、虚偽で政権を簒奪したまま、被災地も含めた全ての国民との契約違反の状態がこれ以上続くことに対して、どう弁明するのでしょうか。これには正心誠意の真心ならぬ下心を感じざるをえません。

 野田政権の政権運営は、本当に真心からのものなのか、党内をまとめ、国民を欺くための中庸の殻をかぶった妥協の産物、二枚舌に過ぎないものなのか、われわれは国民とともに、厳しく見極めなければなりません。
 野田総理の人物が「本物」であれば、現下の政治的・政策的矛盾を解消し、被災地のみならずわが国が復興するための方法は一つしかないことを、その真心から理解することを期待し、私の質問を終わります。
(以上)

shige_tamura at 13:46│Comments(0)TrackBack(0)clip!自由民主党 

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