2011年07月21日
「日本の危機管理法制について」講演録(田村重信・その3)
「天に向かって!」(歌・田村重信)が、カラオケ「ウガとジョイサウンド」で歌えます。よろしく!
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この講演は、平成十七年五月二十七日(金)、八王子市倫理法人会経営者イブニングセミナーで行ったものです。
阪神淡路大震災における被害拡大の背景
あと、日本は台風や地震などの自然災害が多いですから、「災害対策基本法」、「大規模地震対策特別措置法」が整備されています。
さらに、ハイジャック事件、阪神淡路大震災、地下鉄サリン事件が起きて、その都度、制度が見直されて、行政改革がテーマになった時には、内閣の危機管理機能や首相の権限が強化されました。
それから東海村ウラン加工施設事故が起きて、その後、初めて「原子力災害対策特別措置法」ができました。
だから、日本というのは何か大きな災害や事故が起きて、尊い人命が失われないと、法律がつくられないというのが事実としてあるんですね。
では、どうして日本の危機管理法制の整備が遅れたのかと申しますと、それは、先ほど申し上げましたアメリカの占領政策、つまり、軍事的なものは、「悪い」、「危ない」といったような先入観が国民の中に定着して、とにかく「平和、平和」と叫んでいれば平和になるということになっちゃったんですね。
阪神淡路大震災の時のことを思い出してください。
あれだけ被害が大きかったのに、なぜ自衛隊の活用がうまくいかなかったのか。
それはどういうことかと申しますと、当時、兵庫県の神戸市長は共産党からの支持もあったことから、共産党に気を遣って、神戸市と自衛隊との間で日頃の訓練を行ってこなかったんです。
根底には「自衛隊イコール悪」というのがあったんですね。
自衛隊というのは、日頃の訓練が必要なんです。
だからいざという時、ヘリコプターが飛んでも「どこに着陸したら良いのか」、テントを建てるにしても「どこに建てれば良いのか」がわからないわけです。
実は被害が大きかった原因は、事前に地方自治体と自衛隊が訓練をしていなかったということにあるんですね。
そこに気が付いたのが、東京都知事の石原慎太郎さんですよ。
陸、海、空の自衛隊と共に大規模な防災訓練をやりました。
そうしたら、案の定、一部のメディアが、「戦車が銀座を走った」と批判しました。 違うんですよ。
これは都民の安全を守るためにやったことなんですよ。
その後、アメリカ軍も入れて、三多摩で防災訓練をしました。
今、ようやく全国で自衛隊との防災訓練を行うようになりました。
地方の役所にも危機管理に詳しい人を入れるようになりました。
東京都では危機管理の専門家である帝京大学教授の自衛隊出身の志方俊之さんを参与にしました。
こうして、やっと各地方自治体が当たり前のことをやるようになったわけです。
まずは第九条を改正せよ
それから最近、有事法制(「武力攻撃事態等における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保する法律」、「自衛隊法及び防衛庁の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律」、「安全保障会議設置法の一部を改正する法律」、「武力攻撃事態における外国軍用品等の海上輸送の規制に関する法律」、「武力攻撃事態における捕虜等の取扱いに関する法律」、「国際人道法の重大な違反行為の処罰に関する法律」、「自衛隊法の一部を改正する法律」、「武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律」、「武力攻撃事態等におけるアメリカ合衆国の軍隊の行動に伴い我が国が実施する措置に関する法律」、「武力攻撃事態等における特定公共施設等の利用に関する法律」)ができました。
有事法制の議論の際、「なぜ武力攻撃事態法があって、国民保護法制がないのか」という意見が出ました。
これはどういうことかと申しますと、今から二十八年前、有事法制の研究を任された所が防衛庁だったんですね。
防衛庁は自衛隊の行動に関わることしかやらないんですよ。
国民保護法制を担当するのは、戦前でいうと内務省、戦後でいえば自治省、現在の総務省です。だからそこに頼まなかったわけですから国民保護法制なんかできるはずがないんです。
だから有事法制の議論が活発になって、やっと国民保護法制をつくろうということになり、急ピッチで旧自治省、総務省を中心に進められたわけです。
そして武力攻撃事態法ができた翌年に国民保護法制ができたわけです。
国民保護法制は、簡単に言うと「戦争の時、国民はどう非難するか」というものなんですけど、実はこれは、災害にも応用できるんですね。
そういう意味では国民保護法制は地震ですとか、大きな風水害の対応もできるわけです。
今後の見通しですが、冷戦後の日本は、PKO法、ガイドライン関連法(「周辺事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律案」、「自衛隊法の一部を改正する法律案」、「日本国の自衛隊とアメリカ合衆国軍隊との間における後方支援、物品又は役務の相互提供に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府間の協定を改正する協定案」)、不審船対策ための法律(「特定船舶の入港の禁止に関する特別措置法」)もできました。
九・一一テロ事件を受けてアメリカ軍の後方支援のためのテロ対策特別措置法(「平成十三年九月十一日の米国において発生したテロリストによる攻撃等に対応して行われる国連憲章の目的達成のための諸外国の活動に対してわが国が実施する措置および関連する国連決議等に基づく人道的措置に関する特別措置法」)、イラク人道復興支援法(「イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法」)もつくり、そして、有事法制関連法が成立しました。
又、自民党は政権公約で、「立党五十年を迎える二〇〇五年に憲法草案をまとめて、国民的議論を展開する。個人のプライバシー、環境等新たな課題に対応するとともに、誰もが自ら誇りにし、国際社会から尊敬される品格ある国家を目指し、あるべき国家についての理念を明らかにする。
平和主義と基本的人権などの諸原則を踏まえ、『公共』の概念を国民全体で共有し、健全な常識が社会を律する国家の建設を目指す」と国民に約束しました。
そして、国会の衆参両院に憲法調査会が設置されて、今年四月に報告書が出されました。
憲法改正の最大のテーマは、やはり第九条の問題です。
ですから危機管理法制というのは第九条が改正されないことには、何にも始まらないんですよ。
憲法改正の最大の目的とは
今年は、自民党が立党五十周年を機に、憲法改正草案をつくります。
世論調査を見ますと、例えば、共同通信の全国調査では、二年連続で約八割が憲法改正に賛成しております。
あるいは、NHKの調査でも憲法改正賛成は六十二パーセントなんです。
ところがですね、第九条になると、NHKでは改正賛成と反対が同数になったり、あるいは「第九条はしないほうが良い」という声が大きいという世論調査の結果が出たところもあります。
これはイラク戦争とか、アメリカの軍事的な姿勢、あるいは、何かあるとメディアは、「日本の外交はアメリカ追随だ」と報道しますので、どうしても国民は批判的な見方を示すわけです。
これを「追随」ではなくて「協力」と報道すれば、国民の意識も変わりますよ。
言葉によって全然、意味が違ってくるんですね。
それで、第九条改正反対の護憲派は、盛んにアメリカやブッシュ大統領を批判するんですね。
ところが、そういう人たちは、北朝鮮の拉致事件とか、中国の原子力潜水艦による領海侵犯事件には全然触れないんですよ。
かつての革新勢力というのは、アメリカ反対と非武装中立を唱えて、「ソ連や中国、北朝鮮は良い国だ」と言っていたわけです。
本当に驚きますよね。
さらに、「北朝鮮は善」、「韓国は悪」とのレッテルを張って、朴正煕政権を厳しく非難して、最も凶暴な独裁者である金日成を「賢明な指導者」と礼讃したんですよ。今でもこうした考え方が尾を引いているんですね。
そして、有事法制論議の時も、反対する人たちは「有事法制は戦争法だ」とか、「日本を戦争する国にするんだ」、「憲法第九条こそ世界にPRすればいいんだ」なんてことを言っていたんですね。
ところがどうでしょう。あれだけ反対があった有事法制、国会では、何と、国会議員の約九割が賛成して成立したんですよ。
有事法制と言うのは「自分の国を守るための法律」で「他所の国と戦争する法律」じゃないんですよ。反対したのは共産党と社民党でだけで、彼らは現在も「憲法改正反対」、「第九条改正反対」を主張しています。
そして、「第九条は国の宝」だとか、「平和憲法に世界を合わせるべきだ」と、言っている。
これについて、桐蔭横浜大学教授のペマ・ギャルポさんが、昨年十一月の衆議院憲法調査会で、こんなことを述べております。
「第九条は一方的な戦争放棄であって、単なる宣言に過ぎずそれを尊重するような国際社会は存在しない」、「わが祖国チベットは、仏教の戒律、不殺生、すなわち生命の尊重を国法の基本とし、平和的共存を政策の基本としておりましたが、国は侵略され、僧寺院は破壊され、解放の名において伝統や固有の価値観は否定され、総人口の五分の一が直接的あるいは間接的にその命が奪われた」と。その上で、「戦争の悲惨さも恐ろしさも、身を持って知っている。だから日本は決してわが祖国と同じ運命を辿ってほしくない」と言っています。
私はよく講演なんかで、平和というものを説明する時に、元慶応義塾大学塾長の小泉信三さんの言葉を引用します。
「平和というものはただ平和、平和と口で言うだけでは達成されないので、平和を破るような行為を阻止する手段を講じることが必要なのだ」と。
最初に申し上げたダニエル・イノウエさんは、「太平洋戦争の時は、アメリカにとって最大の敵は日本だった。ところが今は、世界中で最も重要な二国間関係というのは日米同盟だ。しかし、この関係をさらに強化、維持していくためには普段の心構えが必要だ。いつ壊れるかわからない」とおっしゃっていました。
全くその通りだと思いますね。
今回の第九条改正の最大の目的は、自衛隊を憲法に軍隊として明記することです。
これに対して、「日本は軍国主義になるのか」、「侵略国家になるのか」といった批判がありますが、憲法に自衛隊を明記したからといって、日本が軍国主義になることは絶対にありません。
世界の諸国と同じように独立国としての体裁を整えることが重要なんです。
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阪神淡路大震災における被害拡大の背景
あと、日本は台風や地震などの自然災害が多いですから、「災害対策基本法」、「大規模地震対策特別措置法」が整備されています。
さらに、ハイジャック事件、阪神淡路大震災、地下鉄サリン事件が起きて、その都度、制度が見直されて、行政改革がテーマになった時には、内閣の危機管理機能や首相の権限が強化されました。
それから東海村ウラン加工施設事故が起きて、その後、初めて「原子力災害対策特別措置法」ができました。
だから、日本というのは何か大きな災害や事故が起きて、尊い人命が失われないと、法律がつくられないというのが事実としてあるんですね。
では、どうして日本の危機管理法制の整備が遅れたのかと申しますと、それは、先ほど申し上げましたアメリカの占領政策、つまり、軍事的なものは、「悪い」、「危ない」といったような先入観が国民の中に定着して、とにかく「平和、平和」と叫んでいれば平和になるということになっちゃったんですね。
阪神淡路大震災の時のことを思い出してください。
あれだけ被害が大きかったのに、なぜ自衛隊の活用がうまくいかなかったのか。
それはどういうことかと申しますと、当時、兵庫県の神戸市長は共産党からの支持もあったことから、共産党に気を遣って、神戸市と自衛隊との間で日頃の訓練を行ってこなかったんです。
根底には「自衛隊イコール悪」というのがあったんですね。
自衛隊というのは、日頃の訓練が必要なんです。
だからいざという時、ヘリコプターが飛んでも「どこに着陸したら良いのか」、テントを建てるにしても「どこに建てれば良いのか」がわからないわけです。
実は被害が大きかった原因は、事前に地方自治体と自衛隊が訓練をしていなかったということにあるんですね。
そこに気が付いたのが、東京都知事の石原慎太郎さんですよ。
陸、海、空の自衛隊と共に大規模な防災訓練をやりました。
そうしたら、案の定、一部のメディアが、「戦車が銀座を走った」と批判しました。 違うんですよ。
これは都民の安全を守るためにやったことなんですよ。
その後、アメリカ軍も入れて、三多摩で防災訓練をしました。
今、ようやく全国で自衛隊との防災訓練を行うようになりました。
地方の役所にも危機管理に詳しい人を入れるようになりました。
東京都では危機管理の専門家である帝京大学教授の自衛隊出身の志方俊之さんを参与にしました。
こうして、やっと各地方自治体が当たり前のことをやるようになったわけです。
まずは第九条を改正せよ
それから最近、有事法制(「武力攻撃事態等における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保する法律」、「自衛隊法及び防衛庁の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律」、「安全保障会議設置法の一部を改正する法律」、「武力攻撃事態における外国軍用品等の海上輸送の規制に関する法律」、「武力攻撃事態における捕虜等の取扱いに関する法律」、「国際人道法の重大な違反行為の処罰に関する法律」、「自衛隊法の一部を改正する法律」、「武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律」、「武力攻撃事態等におけるアメリカ合衆国の軍隊の行動に伴い我が国が実施する措置に関する法律」、「武力攻撃事態等における特定公共施設等の利用に関する法律」)ができました。
有事法制の議論の際、「なぜ武力攻撃事態法があって、国民保護法制がないのか」という意見が出ました。
これはどういうことかと申しますと、今から二十八年前、有事法制の研究を任された所が防衛庁だったんですね。
防衛庁は自衛隊の行動に関わることしかやらないんですよ。
国民保護法制を担当するのは、戦前でいうと内務省、戦後でいえば自治省、現在の総務省です。だからそこに頼まなかったわけですから国民保護法制なんかできるはずがないんです。
だから有事法制の議論が活発になって、やっと国民保護法制をつくろうということになり、急ピッチで旧自治省、総務省を中心に進められたわけです。
そして武力攻撃事態法ができた翌年に国民保護法制ができたわけです。
国民保護法制は、簡単に言うと「戦争の時、国民はどう非難するか」というものなんですけど、実はこれは、災害にも応用できるんですね。
そういう意味では国民保護法制は地震ですとか、大きな風水害の対応もできるわけです。
今後の見通しですが、冷戦後の日本は、PKO法、ガイドライン関連法(「周辺事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律案」、「自衛隊法の一部を改正する法律案」、「日本国の自衛隊とアメリカ合衆国軍隊との間における後方支援、物品又は役務の相互提供に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府間の協定を改正する協定案」)、不審船対策ための法律(「特定船舶の入港の禁止に関する特別措置法」)もできました。
九・一一テロ事件を受けてアメリカ軍の後方支援のためのテロ対策特別措置法(「平成十三年九月十一日の米国において発生したテロリストによる攻撃等に対応して行われる国連憲章の目的達成のための諸外国の活動に対してわが国が実施する措置および関連する国連決議等に基づく人道的措置に関する特別措置法」)、イラク人道復興支援法(「イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法」)もつくり、そして、有事法制関連法が成立しました。
又、自民党は政権公約で、「立党五十年を迎える二〇〇五年に憲法草案をまとめて、国民的議論を展開する。個人のプライバシー、環境等新たな課題に対応するとともに、誰もが自ら誇りにし、国際社会から尊敬される品格ある国家を目指し、あるべき国家についての理念を明らかにする。
平和主義と基本的人権などの諸原則を踏まえ、『公共』の概念を国民全体で共有し、健全な常識が社会を律する国家の建設を目指す」と国民に約束しました。
そして、国会の衆参両院に憲法調査会が設置されて、今年四月に報告書が出されました。
憲法改正の最大のテーマは、やはり第九条の問題です。
ですから危機管理法制というのは第九条が改正されないことには、何にも始まらないんですよ。
憲法改正の最大の目的とは
今年は、自民党が立党五十周年を機に、憲法改正草案をつくります。
世論調査を見ますと、例えば、共同通信の全国調査では、二年連続で約八割が憲法改正に賛成しております。
あるいは、NHKの調査でも憲法改正賛成は六十二パーセントなんです。
ところがですね、第九条になると、NHKでは改正賛成と反対が同数になったり、あるいは「第九条はしないほうが良い」という声が大きいという世論調査の結果が出たところもあります。
これはイラク戦争とか、アメリカの軍事的な姿勢、あるいは、何かあるとメディアは、「日本の外交はアメリカ追随だ」と報道しますので、どうしても国民は批判的な見方を示すわけです。
これを「追随」ではなくて「協力」と報道すれば、国民の意識も変わりますよ。
言葉によって全然、意味が違ってくるんですね。
それで、第九条改正反対の護憲派は、盛んにアメリカやブッシュ大統領を批判するんですね。
ところが、そういう人たちは、北朝鮮の拉致事件とか、中国の原子力潜水艦による領海侵犯事件には全然触れないんですよ。
かつての革新勢力というのは、アメリカ反対と非武装中立を唱えて、「ソ連や中国、北朝鮮は良い国だ」と言っていたわけです。
本当に驚きますよね。
さらに、「北朝鮮は善」、「韓国は悪」とのレッテルを張って、朴正煕政権を厳しく非難して、最も凶暴な独裁者である金日成を「賢明な指導者」と礼讃したんですよ。今でもこうした考え方が尾を引いているんですね。
そして、有事法制論議の時も、反対する人たちは「有事法制は戦争法だ」とか、「日本を戦争する国にするんだ」、「憲法第九条こそ世界にPRすればいいんだ」なんてことを言っていたんですね。
ところがどうでしょう。あれだけ反対があった有事法制、国会では、何と、国会議員の約九割が賛成して成立したんですよ。
有事法制と言うのは「自分の国を守るための法律」で「他所の国と戦争する法律」じゃないんですよ。反対したのは共産党と社民党でだけで、彼らは現在も「憲法改正反対」、「第九条改正反対」を主張しています。
そして、「第九条は国の宝」だとか、「平和憲法に世界を合わせるべきだ」と、言っている。
これについて、桐蔭横浜大学教授のペマ・ギャルポさんが、昨年十一月の衆議院憲法調査会で、こんなことを述べております。
「第九条は一方的な戦争放棄であって、単なる宣言に過ぎずそれを尊重するような国際社会は存在しない」、「わが祖国チベットは、仏教の戒律、不殺生、すなわち生命の尊重を国法の基本とし、平和的共存を政策の基本としておりましたが、国は侵略され、僧寺院は破壊され、解放の名において伝統や固有の価値観は否定され、総人口の五分の一が直接的あるいは間接的にその命が奪われた」と。その上で、「戦争の悲惨さも恐ろしさも、身を持って知っている。だから日本は決してわが祖国と同じ運命を辿ってほしくない」と言っています。
私はよく講演なんかで、平和というものを説明する時に、元慶応義塾大学塾長の小泉信三さんの言葉を引用します。
「平和というものはただ平和、平和と口で言うだけでは達成されないので、平和を破るような行為を阻止する手段を講じることが必要なのだ」と。
最初に申し上げたダニエル・イノウエさんは、「太平洋戦争の時は、アメリカにとって最大の敵は日本だった。ところが今は、世界中で最も重要な二国間関係というのは日米同盟だ。しかし、この関係をさらに強化、維持していくためには普段の心構えが必要だ。いつ壊れるかわからない」とおっしゃっていました。
全くその通りだと思いますね。
今回の第九条改正の最大の目的は、自衛隊を憲法に軍隊として明記することです。
これに対して、「日本は軍国主義になるのか」、「侵略国家になるのか」といった批判がありますが、憲法に自衛隊を明記したからといって、日本が軍国主義になることは絶対にありません。
世界の諸国と同じように独立国としての体裁を整えることが重要なんです。