2011年07月21日

自民党・国家戦略本部「外交・安全保障」(後、終わりまで)

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 自民党・国家戦略本部・第5分科会(外交・安全保障)の全文(後、終わりまで)を掲載します。


6.我が国近隣のロシア、東南・南アジア、大洋州の国々

 これら諸国は我が国の近隣に位置しており、その安定と発展は、我が国に大きな影響を与えるとともに、我が国の動向もこれら諸国に、大きな影響を与える。国によって程度の差はあるが、いわば、相互依存関係が網目のように存在している地域である。また近年、これら諸国との関係は、中国の台頭により、複雑さを増してきており、維持・強化が必要である。

 基本的な考え方は、これら諸国との友好関係を一段と強力なものとし、経済分野では、機能的協力を進め、FTAAP(アジア太平洋自由貿易圏)を視野に入れた一段と高いレベルにすることが大事である。また、政治・安全保障面においては、シーレーンの確保、テロ・海賊対策等の共通の利益を追求し、ARF(ASEAN地域フォーラム)を高いレベルの協力関係にしていく。また、アジア・太平洋地域の新しい安全保障の枠組構築にむけて努力する。

 ロシアについては、最大の懸案は、領土問題である。
「四島の帰属の問題を解決して平和条約を結ぶ」我が国の方針を堅持する。そのため国際世論を喚起し、四島が歴史的にも国際法上も我が国固有の領土である旨の主張を強く行い、国際社会の理解を得る。また、我が国は、他方で、資源エネルギーや投資促進など経済的相互依存を強化することによりロシアとの間で信頼関係を構築してきた。ロシアは、民主化と市場経済への移行に成功しつつも、引き続き、政治的安定と経済制度の整備への努力が必要である。

 他方でロシアは、資源国であり、BRICSの一員でもあり、将来の発展が期待される。東アジアの安定のためにロシアの役割には大きいものがある。ロシアとは、長期的な視野から、未来志向型の関係を築いていくのが、我が国の国益である。そのためには、相互理解増進のための人的交流促進や経済交流を行っていく。

 豪州は、民主主義、自由、法の統治、市場経済を共有しており、日本にとって自然のパートナーである。豪州とは、米国以外で唯一2プラス2の外交・防衛協議方式があり、核軍縮・不拡散の分野でも共同歩調をとってきている。また、太平洋島しょ国の安定・発展についても、我が国の力強いパートナーである。豪州とはEPAを締結し、政治・経済両面においてさらに強固な関係を築いていく。

 ASEAN諸国は我が国が、長期にわたってその発展を支援してきた国々であり、人的にもビジネス上も密接な絆を持っている。今後引き続き機能的協力関係を深め、相互依存関係の深化に努力していく。他国間の紛争についても適切な解決が図られるよう努力する。特に、これらの国は、シーレーンの確保、テロ・海賊対策、感染症、災害対策等においても、我が国と共通の利害を有している。ASEANの発展を引き続き支援しつつ、我が国のイコール・パートナーとして、連携を深めていく。

 インドは、民主主義的統治のもとで、目覚ましい経済発展を遂げている。インドが今後引き続き安定的発展をとげることは、我が国の国益と密接につながる。今後インドとは、投資交流や人的交流をさらに進めていく。


7.欧州

 欧州は発展した経済を持つ先進民主主義国として、人間社会の多様な課題への先駆的な取り組みを行っており、また、多国間外交においても規範形成能力が高い。欧州と日本は、民主主義、自由、法の尊重など様々な価値観を共有し、経済、貿易、環境等様々な問題の解決にむけて連携してきたが、今後も国際法制度やルール形成に共に寄与する。そのためにも、EPAも含め、相互の交流を一層強めていく必要がある。
 また、わが国は、NATOと情報保護協定を締結することに合意していることを始めとして、NATOとの連携はかねてから行ってきたが、今後もNATOとの連携を強化する。


8.太平洋の反対側に位置する国々、中南米、カナダ

 太平洋の反対側に存在する中南米は歴史的に我が国からの移民を受け入れた国が多く、人的に親近感がある国々である。近年、APECを通じて、また、二国間のEPAを通じて経済の依存関係も進んだ。国際政治の上でも、ブラジル、メキシコのように、発言権を持っている国も多い。

 歴史的なつながりがあるとしても、これら諸国とはまだまだ相互理解を深める必要がある。人的交流を継続するほか、投資、貿易を通じ、交流を一層盛んにする必要がある。

 カナダは、民主主義、自由等の価値観を共有する国であり、安定的に発展している国である。人間の安全保障、環境等の地球規模の問題について、今後連携を深めていく。


9.中東・中央アジア・アフリカ

 これら諸国は、我が国とは地理的に離れているが、特に中東についてはその関係は深い。我が国の石油・天然ガスの中東依存度は高く、今後ともこの地域の安定は、我が国の経済に致命的な影響を持つ。従来から我が国はこれら諸国と人的・経済的交流を行うとともに、非産油国に対しODAによる支援を行ってきたが、今後とも、これら諸国とは協力関係を深め、また、必要な支援を行い、民主的発展を助けていく。

 パレスチナ問題についても、我が国は信頼醸成への支援や、経済的基盤形成についての支援を行ってきた。今後も、これを続けていく。

 中央アジアは、歴史上地政学的に重要な地域であり、今もそれは変わらない。資源国がある一方で、資源に乏しい国については、特に、経済発展に厳しい制約がある。中央アジアの支援を引き続き行うとともに、資源外交および地政学的観点から引き続き関与していく。

 アフリカについては、我が国は1993年以来TICAD(アフリカ開発会議)を開催し、経済発展を支援してきた実績がある。様々な支援の成果があって、アフリカにおいては、近年、高い経済成長率を示しはじめている国がある。今後とも、アフリカ支援を続けていくが、経済成長の状況に応じて、投資・技術移転あるいは人間の安全保障の観点からの支援と、きめ細かく対応していく。


10.日本のソフトパワーによる貢献
 
 我が国の文化は世界に誇る我が国の資産であり、世界の関心が高い。また、伝統的な文化だけではなく、今日的な文化も評価され、関心を呼んでいる。文化交流は従来同様進めていく。またその際、民間セクターの行う文化交流を慫慂し、官民の連携を図りつつ行うなど、文化外交を活発に進めていく。

 我が国は、高齢化・少子化の進展、台風・地震等の自然災害の多さ、公害問題等、他の国々に先んじて、新しい課題に直面し対応を迫られてきた。その課題は遅れて今多くの国々が直面している。我が国の持つこれら問題の解決の過程で得た様々な知見を各国と共有していくことは、世界に対する貢献である。

 例えば、我が国は、世界に先駆けて突入した少子高齢化に対応するため、医療・福祉・年金・介護等の分野で日本モデルを苦心しつつも構築しようとしている。我が国はいわばシルバー経済を確立して、皆保険、皆年金、中負担良福祉の在り方について、世界にモデルケースを提供する。

 自然災害への対応においても、今回の東日本大震災の教訓を生かし、防災・減災のための土木・都市設計・警報避難救援体制を確立し、世界に紹介することが、我が国の大きなソフトパワーとして世界に貢献する。そのためにも、震災復興を通じて21世紀にふさわしい新しい経済社会・都市計画などのあり方を示す。


 現在我が国は原発事故対応の真っただ中にあるが、対応の過程やその際生じた影響等の科学的知見を世界と分かち合うことも重要である。これらを、国際的に解放していく。

 環境問題についても、我が国がいかなる政策と技術をもって1970年代の公害を克服したか、省エネの政策をいかに進めているか等について国際社会に伝え、国際社会の問題対応力を高めていく。また、地球温暖化問題についても、引き続きリーダーシップをとっていく。

 ODAを含む外交ツールを活用し、主要な資源供給国との関係強化に努め、供給源の多様化を図る等の、資源外交に力を入れる。特にアフリカについては、対アフリカODAの倍増、民間投資の倍増支援という国際的な約束を着実に実行に移しつつ、この地域の経済成長、人間の安全保障の確立、環境問題といった課題にリーダーシップを発揮する。


11.外交基盤の強化

 「世界とともに平和である日本」「世界とともに繁栄する日本」を創るためには、我が国の外交力の基盤強化が重要である。我が国在外公館の数、陣容、情報収集のありかた、外交官の教育の在り方等を再検討し、充実を図る。また、世界各国には、在外公館以外にも、JICA(国際協力機構)、JBIC(国際協力銀行)、JETRO(日本貿易振興機構)、国際交流基金等が多数の海外拠点を有しており、これらは全て日本外交を強力に推進するための有益な資源である。また、青年海外協力隊の活動は国益にかなうものであり、さらなる支援の強化を行う。

 在外公館の機能を高めるためには、外務本省、官邸、各省との連携体制を見直し、効率的な形に改善する。

 ODAは我が国の外交の重要な手段である。ODA予算の充実を図るとともに、事業の在り方について、安全保障との関連性をより重視する。また、人間の安全保障の観点も重視する。

 近年ますますインテリジェンスの重要性が増していることから、国家の情報収集・分析能力の強化及び情報保全態勢の強化を図り、的確な情報を活用して国民の安全を守る。さらに、「情報のプロ」を育成するため、人事交流の推進や専門的知見を結集した研修体制の整備など、政府全体で長期的な取組みを強化する。


終わりに

 外交・安全保障政策は我が国の内政と一体不可分の関係にある。国内と国外の使い分けはあり得ない。基本的には、外交・安全保障政策は、我が国のトータルの国力やあり方を映し出すものである。したがって、まず、豊かで発展している国をつくることが基本である。また、国際競争力を持つ日本人を数多く育てることが重要である。それが、我が国の国際社会における存在感ないしリーダーシップの源泉である。強力な外交は強い国力のもとでのみ可能であり、強い国力は強力な外交がないと実現できない。

 我が国の国益をいかに守るかについて、短期的な視点と長期的な視点を併せ持ち、また、グローバルな視点で、考え行動することが重要である。そのためには、外交・安全保障政策についての情報が十分に国民に提供され、議論が十分に行われる必要がある。

 外交・安全保障政策が効果的に実施されるよう、自由民主党は、上記を踏まえ外交を進める。

 自由民主党は、「世界とともに平和である日本」「世界とともに繁栄する日本」を目指す。

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