2011年06月24日

災害時の危機管理(3、最終回)・拓殖大学大学院教授 森本 敏

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 大震災 復興への視点

 災害時の危機管理 最終回
 
 拓殖大学大学院教授 森本 敏



 東日本大震災は、大規模な地震・津波・原発事故の複合災害であり、この大災害が持つグローバルな意味合いは、二つの側面を持つ。

 一つは、原発事故が原子力安全管理と原子力エネルギー政策についてグローバルな影響を与えたことである。
 さらに、原発事故を起こすと国家と地域社会に如何(いか)なる重大な影響を与えるかをテロリストに教えてしまったという問題もある。

 もう一つは、サプライチェーンの分断がグローバルな生産ライン全体に深刻な影響を与え、製造業のサプライチェーンが想像以上に地域と国を超えて関連していたことが判明したことである。


 一方、この大震災が持つ国内における意味合いは戦後体制が崩壊し、日本人の思考概念にパラダイムシフトをもたらしたことである。

 戦後の憲法下で、個人は自己の権利のみを主張し、社会が成長と発展を続ける限り、金さえ払えば電気も水も食料も、自由に手に入ると思ってきたが、こうした生き方、考え方が崩壊しつつあることを思い知らされたことである。


 来年3月末全ての原発が停止も

 福島原発事故について当面の緊急課題は原子炉を安定的に冷却し、廃炉プロセスを確実に進めていくことである。
 今までのところ、原子炉圧力容器及び格納容器が損傷し、冷却水が漏水して汚染水となって流出している炉では燃料棒が再び露出するのを防ぐための処理に追われるといった、危機管理的対応が続いている。

 他方、浜岡原発は、震災前から最もリスクの高い原発と言われていたところ、政府が危機を未然に防ぐため運転停止を勧告した。
 ところが、これ以降、全国の原発は定期検査を実施したあと再稼働をやめるようになったため、54基のうち、平成23年6月初めの段階で17基の原発しか運転されておらず、このまま13カ月ごとの定期検査後に再稼働できないと、平成24年3月末には全ての原発が停まることになる。


 国家として危機管理対策を明確に

 しかし、こうなると日本の電力エネルギー供給は電力需要を賄うことができなくなり、他のエネルギー(自然エネルギー・化石エネルギー)で補充したり、省エネルギーをしなければならなくなる。

 化石エネルギーを増やすと環境政策に影響を与え、原子力エネルギーを減らして省エネを進めることは、産業・商業施設に重大な影響を与える。

 従って、日本として今までのエネルギー政策(平成22年6月に閣議決定したエネルギー基本計画)の見直しについて、早急に結論を得なければならない。
 また、その前提として原発の安全管理基準を厳しくして、基準を満たさない原発は廃炉にして原子力の安全管理を徹底することが求められるであろう。

 一方、震災については、速やかに復旧のための手順と予算上の手当てを進めるとともに、復興構想に基づいて復興庁を迅速に設置し、復興の基本方針と復興基本計画を策定して、それを予算化していかなければならない。
 復興構想は被災地だけでなく、日本全体の再生を目指したものでなければならず、日本社会の将来像を決めることにもなる。
 その際、産業・社会構造の再生を図るだけでなく、国の機関(政府、自衛隊、警察など)や、地方自治体・諸団体を含めた国家としての危機管理対策を明確にしておくことが求められる。


 首相が強いリーダーシップ発揮を

 国が緊急事態基本法を速やかに整備し、大災害の場合に国家緊急事態を発令できるようにするべきことについては既に指摘した。

 また、国家安全保障会議を震災の場合にも開催出来るように安全保障会議設置法を改正するか、あるいは、国家安全保障会議を新設することが望ましい。とにかく首相が強いリーダーシップを発揮して危機管理活動を統一した指揮系統を駆使して実行しなければ国家と国民は救えない。

 特に、情報・通信機能を充実させておくことは、危機管理の要諦である。
 発災初期に殆(ほとん)どの通信手段が途絶したが、これは改善されるべきである。

 また、国は災害対策基本法に基づく中央防災会議を活用し、あらゆる種類と規模の災害に対応できる基本計画を作り直し、地方自治体もこれにならって、今までの防災計画を見直し、これを訓練しておく着意も必要となる。
 非常時の対応には、通常から厳しい訓練を積み重ねている組織しか通用しない。

 今回の震災では指揮系統を一本にして効率的な活動を行った自衛隊と米軍は日頃の訓練成果を遺憾なく発揮して活躍したが、これらの活動と地方自治体の機能を如何に緊密に連携させるかも今後の課題である。

 また、原発に対するテロ・コマンド攻撃に対応し得る能力を整備しておくことも、必要な留意事項である。原発が民間会社の警備員によって警備されている現状は速やかに改善されるべきであろう。
 (『自由民主』より)

shige_tamura at 10:27│Comments(1)TrackBack(0)clip!安保・防衛政策 

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この記事へのコメント

1. Posted by 攘夷   2011年06月26日 21:11
2011年3月20日、隠蔽された3号機格納容器内爆発
http://ishtarist.blogspot.com/2011/06/20113203.html

今まで、3月20-21日にかけての関東地方のフォールアウトが直前の3号機から放出されたものであるという仮説について、気象やプラントパラメータ、東電・政府の行動など様々な角度から検証してきました。その結果、3号機格納容器内で爆発的事象が発生したことは疑いようがなく、さらにそれが再臨界を伴っていた可能性まで示唆されました

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