2011年01月28日

小池百合子総務会長の衆院代表質問(全文)(その1)

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 大好評だった1月26日の小池百合子総務会長の衆院本会議代表質問(全文)を掲載します。
 安全保障、憲法問題など、内容があります。以下、演説全文です。


(ニュー自民党)

 自由民主党の小池百合子です。谷垣総裁に続き、外交、安全保障を中心に菅総理に対し、質問いたします。

 私は現在、自民党の最終、最高意思決定機関である総務会の長を仰せつかっております。ご承知のように、自民党では法案であれ、党則の改正であれ、国会対策であれ、すべての意思決定はこの総務会で行われます。

 時には激論を交し、激しくぶつかり合い、時には離党劇も。長い歴史の間には数々のドラマの舞台、民主主義の土俵になったのが総務会です。国民から選ばれた議員が、議論を通じて結論を出す。回り道のように見えても、この過程こそが政党として重要なのだと、特に、現政権・与党の政策決定までの迷走ぶりを見ているとつくづくそう感じます。

 そこで、民主党の代表である菅総理に伺う。
 たとえば一昨年暮、「暫定税率の廃止」の廃止がどなたかの一声で決まったように、また消費税への取り組みが参院選前に突然、菅総理の口から飛び出したように、TPPもしかりです。政権与党でありながら、意思決定のデュープロセスがまったく不明です。民主党の意思決定はいったいどこで、誰が、どのように行われるのですか。他党とはいえ、政権与党として、そこは明確にしていただかなければ、国民が振り回されます。企業も段取りがつきません。菅総理がお決めになるのか。幹事長か、役員会か、常任幹事会か。もしくはまだ決まっていないか。
 菅総理、お答えください。

 実は、政権交代という出来事は、自民党に改革のチャンスをもたらしてくれました。長年政権を担うことで培ってきた先人たちの知恵や民主主義のあるべき姿を再確認できたからです。

「変えるべきは変え、守るべきは守る」、「常に進歩を目指す保守政党」の精神で、ニュー自民党として取り組んでまいる覚悟です。

 例えば女性政策です。女性の、女性による、女性のための政策をこれまで以上に推進いたします。量的な高度成長期から、生活の質への転換を加速度的に進めなければならない時代に、人口の半数を占める女性の視点を活かし、きめ細かな生活者としての感性を生かした政策を描く。そして実行する。

 大義ある政策を、国民の共感を力に進めてまいります。

 そこで女性の視点、生活実感に基づいた政策、ウーマノミックス政策を募集したところ、21歳の女子大生から79歳のおばあちゃままで、海外からのものも含め、200通を超すご応募をいただきました。自民党女性議員による「児童虐待ゼロ」運動に加え、これらの提言を実現可能なものから順次、法案として提出してまいります。もちろん議員立法、政治主導です。

 民主党の子ども手当のように、ただ有権者におもねるバラマキ政策や、親子別姓推進政策のように無縁社会、家族崩壊をさらに加速させる政策には自民党は反対いたします。今の世代さえよければいい、日本だけがよければいいといった考えを、自民党はとりません。


(世界潮流と日本)

 さて、今、世界は激動の中にあります。世界のリスク分析で定評あるユーラシアグループは昨年、10大リスクとして、米中関係、イラン情勢、欧州財政危機、米国の金融政策、そして5番目に日本をあげました。ほぼそのとおりとなりました。今年、2011年はどうでしょう。トップに挙がったのはGゼロ。つまりG7でも8でも、G20でも、もちろんG2でもありません。
 多極化ならぬ無極化に陥るリスクがあると指摘しました。
 ソ連崩壊時でさえ、G7がG7+1となる程度の変化。今、起きているのは、それを上回る新しい秩序の到来だというのです。ましてや来年2012年は世界の主要国、アメリカ、ロシア、フランス、韓国などで大統領、総統選が行われます。つまり、これらの国々が内向きとなり、世論を気にした政策をとる可能性が高い。中国、北朝鮮での権力承継期における軍部との関係も微妙です。

 先日、菅総理は外交に関する講演で、現在は「歴史の分水嶺」と位置付けられました。では世界史の大転換点で日本をどう位置づけるのか、世界は無極化すると考えるのか、そうではないのか、日本の役回りは何か。菅総理の「平和の海」と鳩山前総理の「友愛の海」との違いは何か。日米中の三角形論について、あなたは副総理当時、賛同していたのか、実は反対だったのか。変節の結果としての日米同盟基軸なのか。お答えください。

 無極化の例は、世界のほとんどの国が締約国として参加し、ほぼ平場で、何日も徹夜状態で会議する気候変動枠組条約締約国会議、いわゆるCOPでみられます。各国の政治・経済状況も複雑に絡みます。特に第一約束期間切れ目前の今年末のCOP17は相当難航が予想されています。昨年末のCOP16では、京都議定書の単純延長という最悪のシナリオが当面回避されただけの状態です。菅総理持論の一人当たりのCO2排出を新基準にとの考えも、残念ながら夢物語でしょう。日本が世界の標的となる恐れさえ匂います。仲間作りが重要な環境外交。どう対応されるのか、お聞かせいただきたい。


(邦人保護)

 次に、海外での有事における、邦人保護について伺います。先般チュニジアでの政権崩壊による混乱では、一時約200人の邦人観光客が足止めされる事態となりました。私自身、エジプト留学中に1973年の第四次中東戦争が勃発し、「日本人には救援機さえこないのだよ」とベテランの留学生仲間から聞かされて、驚きました。ならば自ら飛び込んだ国の人々と苦楽を共にする覚悟をした経験がある。

 ちなみに同じ年の夏、リビアのトリポリからエジプト・カイロに戻る民間航空便の予約を都合で取り消したところ、その便はシナイ半島上空において領空侵犯のかどでイスラエル機に撃墜されました。命拾いは致しましたが、中東、世界における領土、領空を巡る厳しい現実を痛切に感じた瞬間でした。

 経済のグローバル化に伴い、ビジネスや観光で、外国に多数の邦人が滞在しています。政情不安、軍事紛争、大規模災害の発生など、海外で有事が発生した場合は、国家が責任を持って邦人保護にあたらなければなりません。それが国家の役目であります。

 特に、昨年末より緊張が高まっている朝鮮半島における有事に対しては、政府として、起こりうる危機を想定し、適切な対応策を練っておかなければなりません。

 チュニジアの際には、チャーター機の派遣も検討されたようですが、イラン・イラク戦争の際の邦人救出の例をみても、民間機を紛争地帯へ飛ばすことには、大変な困難を伴うものです。今こそ、自衛隊機の派遣について、真剣に検討する時期にきています。現行では法制上の制約があることから、自民党は、在外邦人輸送の為の自衛隊法改正案を国会に提出しましたが、審議されることなく継続扱いとなっております。
菅総理、この法案を審議し、有事における邦人保護の検討をさらに進めるお考えがあるか、お聞かせ頂きたい。


(国家安全保障)

 さて、チュニジアに話は戻ります。今回、政変が起こったチュニジアは古代都市国家カルタゴの流れを組むことはご承知の通りです。小さいながらも、商業主義に徹し、国民も豊な生活を享受。ローマとの戦い、第一、第二ポエニ戦争ではいつも敗退。敗戦国として武装解除、戦争放棄を強いられます。ところが戦後も貿易一筋で奇跡の復興を成し遂げ、戦後賠償もさっさと払い終えますが、その経済力がかえって脅威ととられ、結局、ローマ帝国により殲滅されます。
 
 アルプス越えで有名なカルタゴの武将ハンニバルは、祖国の危機をカルタゴ市民に訴え続けましたが、長年平和に酔いしれた市民はその警告に耳を貸そうとしませんでした。ハンニバルの警告からカルタゴが実際に陥落するまでわずか3年。生き残ったカルタゴ市民5万人は、すべて奴隷となりました。

 塩野七生さんや、森本哲郎さんの著書などで有名なカルタゴの滅亡ですが、最大の理由は、国家の安全保障をないがしろにしたことでしょう。これに尽きます。外国傭兵に頼り、国内世論も「平和主義的」な論調が強く、有事に備えた軍事力の確保が困難だったからです。

 菅総理、「賢者は歴史から学ぶ」といいます。いかがですか。


 そこで、わが国の安全保障について伺います。
 わが国周辺情勢は、北朝鮮による韓国領土への砲撃事件、尖閣諸島沖での中国漁船衝突事案、メドヴェージェフ・ロシア大統領の北方領土訪問などで激変、緊迫しています。中国、ロシアなどの近隣諸国の軍事費増大、軍拡に、多くの国民は、日本は大丈夫か、防衛はどうなっていると不安、危機感を呼んでいます。どんなに長い外交演説を前原外相が読み上げても、現民主党政権の一年数か月にわたる外交、安保への取り組みに対する信頼感はすでに「ない」といっても過言ではありません。

 町の新年会でも、「このままで日本は大丈夫か」という話題ばかりです。

 国防は、まず自らの手で国を守る姿勢を明確にすることに尽きます。そのためには、裏付けとなる国防の手段を確保し、必要な防衛関係予算を増額するなりしなければなりません。多様化する任務に対応する人員を確保も必要です。

 ところが、平成23年度の防衛省予算は4兆6625億円と前年比マイナス201億円(SACO関係経費及び米軍再編関係経費のうち地元負担軽減分を除く)。しかも、増額分を含め“子ども手当”約300億円が計上されての話ですから、それを差し引くと削減額はさらに膨らみます。ところが、自衛隊の定数は陸自のマイナス304人を筆頭に、陸海空すべてで定数削減となっているではありませんか。わが国を取り巻く状況が激変しているにも関わらず、です。

 中期防においては、今後5年間で23兆3900億円の枠内とされているが、前回(17年)の中期防では、5年間で24兆2400億円で、こちらも削減幅が大きくなっています。菅政権は、23年度予算だけでなく、向こう5年間の防衛関係予算についても、これまでに比して縮減方針を打ち立てたことになります。
 これでは、現在の緊迫した東アジア情勢の中、国民はさらなる不安にかられます。また、周辺諸国に誤ったメッセージを与えるではありませんか。民主党政権下で新たな状態を自ら招来させながら、です。

 子ども手当は増額しても、防衛、国防費は削る。カルタゴへの道を歩むおつもりですか。


(防衛大綱・中期防)

 民主党政権は、防衛計画の大綱・中期防衛力整備計画を、自民党政権の防衛政策を見直すということで、一年先延ばしされ、昨年末にようやく策定されました。

 具体的には基盤的防衛力構想からの脱却や南西方面への防衛力重点化などの島嶼防衛の強化、武器輸出三原則の見直しの検討などですが、すべて自民党政権時代にわれわれが議論し、その方向性を出してきたものばかりです。
 今回、その中で基盤的防衛力構想から、動的防衛力構想へ大転換を図り、「抑止力の信頼性を高める」とありますが、言葉だけで関係予算の裏付けはありません。動的防衛力の確保で何をどう守るのか、国民の皆さんに分かるように具体的にお答え頂きます。

 装備の大幅削減は、わが国の防衛力の生産・技術・教育等、基盤の維持すらも困難となります。これでは、抑止力の強化になりません。ましてや国民の安心・安全が確保できません。武器輸出三原則については、菅総理がいったん見直しに言及したにもかかわらず、社民党に配慮して、「検討」という表現にトーンダウンしたものの、一歩前進ではあります。今後、また政権交代しても、同じようにリアルな判断をされるか、不安ですが。

 兵器の国際共同開発は世界の趨勢です。わが国もその対応を真剣に検討しなければなりません。例えば、現在米国と共同開発中の弾道ミサイルSM-3ブロックⅡAは、純粋な防御兵器として、将来的には第三国への輸出も視野に検討されるべきものでしょう。

 武器輸出三原則の見直しは喫緊の問題です。再度、武器輸出三原則の見直しに踏み込むお考えがおありか。総理の見解をお聞かせ頂きたい。


(日米同盟と米軍再編)

 次に、自衛隊とともに、わが国安全保障の要である、日米同盟について伺います。

 この1年間で日米同盟の信頼関係は大きく傷付きました。そうとしか言いようがありません。日本及び東アジアの平和と安定のためには、日米安保に基づく強固な日米同盟が必要であることも、言うまでもありません。日米同盟の弱体化に付け込み、中国漁船による尖閣諸島沖での違法操業の活発化と北方領土へのメドヴェージェフ大統領の訪問などの事案が起こった。そうとしか言いようがありません。

 菅総理は「日米同盟の再出発」を強調されています。これまで自民党は日米同盟を基軸に、「価値観外交」「主張する外交」「自由と繁栄の弧」と戦略に彩を加えてきましたが、再出発では、結局、素のままの日米同盟に戻るだけではないのですか。いや、違う。というなら、どこが違うのか。明確にしていただきたい。

 「日米同盟の再出発」ならば、鳩山政権における外交、安保政策は間違いであったとお認めになるのですか。また、「平成の開国」と強調しておられるが、ではわが国は、それほど開国してこなかったのか。日米同盟の立て直しにどの様に取り組むのか、一つ一つお聞かせ頂きたい。

 日米同盟が大きく傷付いた最大の原因は、いうまでもなく普天間基地移設問題だ。「国外、最低でも県外」という言葉は、今では民主党政権の方針から消え去り、自民党時代に策定した辺野古移設案に戻っただけです。いえ、戻ったのではなく、より困難となりました。

 1月18日付の朝日新聞には辺野古での「V字案で調整」と題した記事を見て、5年前の新聞かと目を疑いました。しかし、もはやVでもIでも同じことです。移設できるか、できないかが問題なのです。当初の目的の普天間空港の移設はさらに遠のき、事実上、普天間の固定化が確実になっただけです。

 昨年の沖縄知事選挙でも辺野古移設容認派の民主党候補すら立てることもできず、ただひたすら沖縄県民の怒りが収まるまで、部外者のように静観しているだけではないですか。結局、民主党政権の一年と数カ月は、ただ沖縄を混乱させただけではないですか。「杭の一本も打てなかった」どころか、。「悔い」が残るだけの一年数か月ではありませんか。

 菅総理は、日米合意に基づく普天間飛行場の辺野古への移設をどのように進めていくおつもりですか。知事の理解、市長の理解、住民の理解を得る道は至難の技です。菅総理の具体的な方策をお聞かせ頂きたい。


(領土保全)

 昨年9月の尖閣諸島沖での中国漁船衝突事件を機に、わが国国民の領土に対する意識は、たしかに高まりました。しかし、尖閣諸島に関して、あたかも領土問題が存在するかのような誤解を国際社会に与えてしまいました。稚拙な対応に終始した政府の外交感覚の欠如を露呈し、目を覆うばかりです。

 本件は、中国漁船の公務執行妨害が客観的証拠から明らかなのに、結局、起訴猶予、不起訴です。石垣の漁民の皆さんは「もう国は守ってくれない。漁ができない」と嘆いていますよ。体を張って日本を守る海保の職員とて悔しく思っていることでしょう。では、今後同じような事件が発生した場合、菅政権は中国船等に対し、どのように対処されるおつもりですか。
 総理、お聞かせください。

 二度とこのような事態を起こさないためにも、もはや尖閣諸島の実効支配の強化は喫緊の課題です。政府は、尖閣諸島の調査や整備を進めるなど、実効支配の強化のための各種施策を進めるべきと考えますが、菅総理の見解を伺います。明確にお答えください。

 領域を守り、日本漁民の安全操業の確保等に努めるため、自民党は、通常国会で、領域警備に関する法整備を提案いたしますが、政府は、領土保全に関する施策をどのように行うつもりなのか、具体的に伺います。

 また領土は島嶼部だけの問題だけではありません。水源を狙うかのような土地買収の動きは全国各地で見受けられます。この問題についても、自民党ではすでに検討を進め、関連二法案を議員立法とし提出済みです。総理、政府はどうされますか。

 都市部においても、同様です。例えば池袋でチャイナタウンが出現しようとしています。あらためて外国人地方参政権の付与については慎重であるべきと考えますが、それでも総理は突き進むお考えか。お答えください。

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この記事へのコメント

1. Posted by みるる   2011年01月28日 11:51
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110128-00000065-jij-pol


http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-19240620110127
菅総理の発言と言い訳が酷すぎて
多くのサイトで炎上しています
元財務大臣なのに「国債には疎い」発言納得できない人が多いです
またアンケートも呆れの声です
http://blog.with2.net/vote/?m=va&id=58485&bm=a
2. Posted by MM   2011年01月29日 11:38
申し訳ないですが、個人的に小池さんは好きになれません。元々、小沢の側近だった方で、最近の行動発言も人気を意識した感じです。

特に徳之島の一部基地移転騒動で、反対理由を”徳之島の自然が・・・。住民の生活が・・・。”と発言し、”じゃあ沖縄はどうでも良いのか?”と言いたくなるほどでしたから。この時ばかりは”馬鹿じゃないの?(理由が)”と思いました。

後、自民党の有名女性議員として”持ち上げられてる”とも感じます。大した知識も無いのに”女性初の防衛大臣”に任命されたり・・。ちょっと調子に乗りすぎる面もあるのでは。
頭も良く回転も良い方だと思いますが・・。

尖閣問題など領土問題は、”そんなに言うのなら自民党時代にできなかったのか?”と突っ込みたくなるのは私だけでしょうか?
民主党ではできませんよ。

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