2011年01月28日

小池百合子総務会長の衆院代表質問(その2、終わり)

(情報保全)

 中国漁船衝突事件は別の課題も浮き彫りにしました。情報の取り扱いです。わが国の正当性を広く内外に知らしめるためにも、事案発生後、早期に衝突のビデオを全面公開すべきであったにもかかわらず、官邸が中国に配慮し、ビデオの公開を拒否し続けたのです。そして海上保安官によるビデオ流出という、文字通り罪つくりの結果を呼びました。

 あらためて、当時の流れを振り返っておきます。事案発生後、船長逮捕に際し、当時の岡田外務大臣は「法に基づき粛々と対応」と述べ、当時の前原国交大臣も「日本国内法に基づき粛々と対応する。それに尽きる」ときっぱりと語っておられます。
 その後も前原氏は外務大臣として、「事件は国内法で粛々と対応している」と述べられましたが、結果はご存知の通りです。つまり、那覇地検に「今後の日中関係を考慮」させ、体当たり船長は、「粛々」どころか、チャーターフライトで英雄のように堂々と帰国したのです。

 日中関係を考慮し、遺棄化学兵器処理のための調査にあたっていたフジタの社員が、漁船船長の拘留延長中、中国当局に拘束されました。社員の皆さんは、解放後「心配をお掛けして申し訳ない」と謝罪されました。謝罪すべきは菅政権そのものではありませんか。謝罪の意志はありますか。

 ビデオの公開に法律論をこねくりまわした結果、日本人社員の拘束、レアアースの事実上の禁輸と、あちこちに飛び火させた菅政権はドン菅そのものです。法律、法律といいながら、わが国の最大の財産である「法治国家」というカードを棄損した罪はあまりに大きい。

 中国漁船の船長が英雄扱いされたように、北朝鮮で英雄扱い、実は日本人拉致実行犯であった辛光洙元死刑囚の釈放嘆願書に現閣僚二名が署名されていますね。一人は菅総理、あなたです。そして参議院議長も務められた江田法務大臣です。江田大臣は記者会見で謝罪されたようだが、菅総理からは明確な謝罪は耳にしておりません。菅総理の明確な謝罪を求めます。

 うっかりミスですか。
 うっかり不平等条約に署名してしまうようなことはありませんか。まだ実態もわからないTPPにも、うっかり署名されるのではないですか。それぞれの設問にお答えください。


 警視庁が作成したとみられる国際テロ関連資料が流出し、その後、警視庁が流出を事実上認めました。政府は事実を認める形で、被害の最少化を図ったようですが、既に二次被害も発生している現状では遅きに失したと言わざるをえません。わが国のインテリジェンスに関する国際的な信用も失墜しました。
 今後、有益な情報を他国から得ることができなくなる恐れもあります。そもそも一国の政府に対する信頼がなければ、情報交換も容易ではありません。情報とはそういうものです。

 先国会で、不信任や問責を出すにあたっては、警視庁資料流出問題に関して、官房長官と国家公安委員長の責任を問うべきとの声もありました。当時は流出の事実が明確ではなかったことで見送った経緯もあります。

 政府は早急に真相を究明した上、再発防止策と共に、国民に丁寧に説明する義務があります。また、個人情報をさらされた方への対応も万全にしなければなりません。人権を声高に唱える現政府ではありませんか。

 これらにけじめを十分につけた上で、国際的な信頼関係の再構築を図るべきです。総理はどのような責任を取り、けじめをつけるおつもりか。官房長官、国家公安委員長の責任をどう明らかにしますか。

 情報保全体制の強化は政府全体で情報保全体制を行わなければなりません。防衛省では、過去の防衛秘密流出事案等を踏まえて、法改正を重ねていますが、他省庁では十分ではありません。懲役1年または3万円以下の罰金が定められている国家公務員法の適用がなされるにすぎません。スパイ防止法もない。ましてや軍法会議もない。これが日本の現状です。今後、どう対応されますか。

 また、前原外相はF35戦闘機の性能に関する情報入手に関し、秘密厳守を米国に対し約束されたようですが、どうやって秘密保持を担保するのですか。菅総理はどうお考えでしょうか。


(サイバー対策)

 ましてやウィキリークスに代表されるように、国家の機密が簡単に暴かれるサイバー事件が起こりました。サイバーテロ、戦争の段階に入りつつあります。アメリカ国防総省の報告でも、中国からのサイバー攻撃は増すばかりとされています。わが国の防衛省は「サイバー空間防衛隊」を2011年度に発足させるそうですが、指揮通信システム隊の下に設置される防衛隊の規模はわずか60人、予算は70億円にすぎません。
 有事の際には、緒戦段階でサイバー戦能力が決定的に重要な役割を担います。通信ネットワーク、金融・エネルギーシステム、航空管制、新幹線一括管制システム等々、幅広いインフラ防衛に対処するには、この規模ではもはや少なすぎます。

 菅総理は、政府の情報保全に関してどのような対策を取るつもりなのか、具体的にお聞かせください。


(アフガン医官派遣)

 民主党は政権交代した後、インド洋での海上補給支援活動を打ち切る代わりに、一昨年、アフガニスタン・パキスタン支援策として、「概ね5年間で最大約50億ドル程度まで」という、莫大な額の支援を約束されました。これではまさに、小切手外交への逆行です。加えて、7月には米軍が撤退予定であり、治安の悪化が懸念されるアフガニスタンで、これだけの予算を消化できる案件を見つけることは、大変困難と承知しています。

 ODAなど支援の総額が削減される中、アフガニスタン支援だけ突出すれば、当然他の国・地域への支援額は削られることとなる。あまりに、一地域に予算が傾斜し過ぎることの不均衡は、外交上大きく国益を損ねる結果となると考えますが、菅総理の見解を伺います。

 また、政府はアフガニスタンに自衛隊の医官を防衛省設置法における教育訓練の名目で派遣することを検討されています。設置法による派遣は、法的には自衛隊医官の技量向上ということとなり、全くの目的偽装です。インド洋での給油について目的地偽装を指摘されてこられたはずです。医官は武器も携行できません。民主党が野党なら、まず反対したであろう事案でしょう。

 自民党なら、仮に派遣の必要があれば、それに見合うよう新たに特措法制定などの措置を取り、隊員の安全や処遇に万全を期します。菅総理は、この派遣の件について、どのように考え、検討しているのか、お答え頂きたい。

 もう一点、昨年から気になる動きがあります。

 いわゆる防衛事務次官通達として、自衛隊行事での民間人による政権批判を封じる言論封殺問題です。加えて、防衛大臣直轄の防諜部隊「自衛隊情報保全隊」が、わが党の佐藤正久参院議員や田母神俊雄元航空幕僚長の講演会に潜入し、現職自衛官の参加状況を監視していると報じられました。本来任務とは乖離した不当調査であり、憲法で保障された思想・信条の自由を侵害する監視活動ではありませんか。

 まるでスターリン時代を想起させるような動き。何より憲法違反ではないか。また事務次官通達を撤回すべき。そもそも保全隊の活動対象を内に向けるよりは、対外工作に向けるのが本来の仕事ではありませんか。総理のご見解を伺います。


(憲法審査会)

 さらに基本的、国家的な課題についてです。憲法です。
「国民投票法」による国会法改正では、衆参両院に「憲法審査会」を設置し、本格施行の本年5月までの3年間の準備期間に、この「憲法審査会」において憲法改正に向けた論点整理を行うべきこととしたはずです。ところが、民主党や社民党の反対により、衆参両院で今もって「憲法審査会」は開催されておりません。早急に、衆参両院で「憲法審査会」を始動させ、憲法論議を行うべきであります。

 そもそも、国家の在り方を論じ、政党として目指す道を描く綱領もなく、How toもののマニフェストだけ、それも今や目も当てられない状況にあるマニフェストにしがみつく政党に政権を任せることが如何に危険か、国民の皆さんはこの一年数か月で多くを学びました。

 民主党代表である菅総理に、日本国憲法への姿勢、憲法審査会設置に向けた取り組み、そして党綱領への取り組みについて伺います。


 ところで菅総理、4月28日がどんな日かご存知ですか。誰かの誕生日、ではありません。1952年4月28日、サンフランシスコ講和条約が発効し、日本が主権を回復、国際社会に復帰した日です。わが国が独立を果たした重要な日です。
 条約が調印された9月8日は「サンフランシスコ平和条約調印記念日」となっていますが、4月28日こそ日本の独立記念日とすべきではありませんか。戦後教育も、ほとんどスルーしてきた課題です。あらためてわが国の主権や独立国家としてあるべき姿を直視するために、この日を記念日とし、日本の真の独立とはと考える日にすべきではないでしょうか。総理はどう考えられますか。


(最大幸福社会)

 総理。
 今、日本国民の多くは自信を取り戻したいと考えています。ヤル気を得たいと切望している。

 総理は「最小不幸社会」という言葉を多用されるが、これではやる気もなくなるという声をよく耳にします。そもそも不幸だの、不条理だのと否定形ばかりでは、やる気は起こりません。最大幸福社会の実現こそが政治の責任ではありませんか。

 経済の先行きが未だ不透明ななか、この春、卒業予定の大学生の就職内定率は、68.8%と過去最低。あらゆる政策的対応を駆使して、景気回復の足取りを確実なものとし、雇用の確保を図ることは政府の最大の責務です。

 ところが平成23年度予算、税制改正案は、多くの民間エコノミストが23年度経済への効果はゼロ、あるいはマイナスと予測しています。一日も早いデフレの脱却と景気の回復を図り、国民生活の安定や発展をもたらす内容には全くなっていないからです。

 特に、地方経済は深刻です。円高による企業の海外移転の促進で、地域の雇用を支える中小企業を取り巻く経営環境は一層の厳しさを増しています。民主党の農家戸別所得補償制度が米価の急落を誘い、米作農家・農村も大変厳しい状況です。おまけに22年度予算に引き続いての公共事業の大幅なカットときた。地方経済はさらに大きな打撃を受けようとしています。

 何のための予算ですか。ましてや閣僚、党幹部から審議入り前から予算修正に応じるかのような発言が相次いでいます。何のための予算審議ですか。
 総理、この政府予算にはそんなに自信がないのですか。


(解散・総選挙)

 最近の世論調査では、いずれも早期の解散・総選挙を求める声が高まってきています。そこで伺います。

 2月には国勢調査の速報値が公表されます。結果次第では、1票の格差問題が再び浮上することになるでしょう。もちろん格差是正は喫緊の課題ですが、かといって総理のもつ解散権を縛るものではないことは明らかです。総理の見解は如何でしょうか。


(国会のありかた)

 最後に、国会のありかたについて。
 先般、民主党の岡田幹事長から「今後の国会運営のあり方に関する提案」がありました。これまで民主党が行ってきた国会での数々の妨害行動を棚に上げ、いざ与党になって都合が悪いから直しませんか、では、まさに「ご都合主義」といわざるをえません。「熟議の国会」を標榜するのであれば、議会制度協議会という協議の場もあります。今回提案のあった3点に限らず、自民党はこれまでも多くの国会改革を提案してきた。

 大臣の海外出張や質問通告などはすでに与野党が合意した問題であり、それらをことごとく無視をしてきたのは野党民主党ではなかったでしょうか。まず反省から始めるのが真摯な態度というものです。

 昨年10月、ブラッセルで開かれたASEMに際し、菅総理は国会の合間を縫って、出席されましたね。谷垣総裁は自らのツイッターにこう書きこまれた。「菅総理がASEM出席をどうするかと検討されているようですが、温家宝首相も出席します。臨時国会では直ちに問い質すべきことが山積みですが、だからと言って足を引っ張るつもりはありません。総理は行くべきです」

 これまで野党の代表が、こんな発言をしましたか。私も1泊4日でブエノスアイレスへのトンボ返り案やロンドンでの会議出席のためパリ行きの深夜便とユーロスターを乗り継ぎながらも、実際の現地滞在時間は2時間程度という体力勝負をこなしてまいりました。

 国際会議は、会議自体はもちろんですが、会議の合間で行う二国間会談などが重要なのは、その身になればおわかりのことでしょう。チャーター機を使用すれば、何人乗って、一人いくらと野党時代に追求してこられた。昨年の仙谷官房長官のダボス行きには豪快に政府専用機を飛ばされましたが、私たちはねちねちと追及したでしょうか。

 今年はダボス会議に総理が出席されるとのこと。どうぞ、ゆっくりいらしてください。そのまま、ずっといらしてもいっこうにかまいません。

 政権与党となった今、民主党はもう少し真摯で「謙虚な国会運営」を行うべきでしょう。ベストセラー書『もしドラ』で再注目された経営の神様、ピーター・ドラッカー氏も経営者に求められる最大の資質は「真摯さ」だと説いていますよ。

 私たち自民党は真摯な「熟議」を拒むものではありません。議論のたたき台と場所があれば、いつでも応じましょう。

 まずは菅総理から反省の弁をお聞きしたい。そこからです。
一日も早く仮免政権から、経験豊富、かつ新しく生まれ変わった自民党に移行させるため、早期の解散・総選挙を求め、私の質問を終えます。

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