2010年03月24日

舛添要一議員の参院本会議討論「平成22年度予算は【反対】」です。

 舛添要一議員の今終わったばかりの本日の参院本会議討論「平成22年度予算は【反対】」です。


 自由民主党・改革クラブの舛添要一です。ただいま議題となりました平成22年度予算3案に関しまして、反対の立場から討論いたします。

 振り返りますと、2008年9月のリーマン・ショック以来、世界経済は大変な状況に陥りました。景気後退や株価暴落に見舞われるなか、我が国においては、麻生政権下で、日本は「百年に一度」の経済危機にあるとの厳しい認識により、累次にわたり、大規模かつ有効な経済対策を進めました。昨年夏ごろからは、自公政権での経済対策の効果が出始め、また中国、インドなど新興国向け輸出の増大などにより、GDPがプラス基調に回復するなど、景気の先行きに明るさが戻ってきていました。

 ところが、政権交代により、状況は一変しました。鳩山政権は、第一次補正予算には不要なものがかなり含まれているとして、約3兆円の予算の執行を停止し、景気回復に水を差したのであります。さらに問題は、第一次補正予算で執行停止したものを第二次補正予算や、議題になっている22年度本予算で復活していることであります。数か月あるいは半年以上の予算の空白期間を意図的に作り、結局、もとに戻しただけなのであります。
 まずは、鳩山政権になってから、予算編成に一貫した方針がなく、それにより景気の低迷を招いたことを指摘しておきたいと思います。霞が関や地方自治体を巻き込んで、大きな混乱を招き、国民の信頼を失ったのであります。

 本来、現在のような危機的状況に直面した時に取るべき政策は、成長戦略であります。国内市場だけでは限られており、中国などの成長のダイナミズムを取り込む形で日本企業のグローバルな成長を促進する必要があります。
 そのために、法人税減税と規制緩和の一層の促進で後押しし、企業収益、雇用を拡大することで日本全体の経済のパイを増やす政策が求められます。それにより、税収、歳入を拡大し、他方で歳出を見直すという、歳入・歳出一体の改革が重要です。
その際、社会保障の充実を図るため、足りない部分は消費税を福祉の目的税化することで対応するのであります。こうした手続きを踏んで、初めて国民の理解を得られ、社会保障改革も進むのであります。
 しかし現政権の行っている政策は、単なる所得の再配分に過ぎません。昨年末に「新成長戦略」を打ち出しましたが、これは何ら新しい内容はなく、思いつきの寄せ集めといっても過言ではありません。具体的な工程表のない、絵にかいたモチに過ぎないのであります。

 また、現政権ではムダ削減に向けた姿勢が弱いことも問題です。民主党マニフェストでは、「ムダづかいを根絶し、新しい財源を生み出します」と高らかにうたわれていましたが、実績は上がったと言えるでしょうか。
 ムダとして削られた予算は、本当に微々たるものでありました。事業仕分けで当初は7000億円、最終的には約1兆円、に過ぎないのであります。これでは、マニフェストの政策実行に必要な額の10分の1も賄えないではありませんか。その結果、22年度予算は、戦後の大混乱期である昭和21年度以来はじめて、税収を国債発行額が上回るという大借金予算になったのであります。

 鳩山政権には、中長期的な観点から放漫財政に歯止めをかける措置が依然として存在しないことを非常に心配しています。本来なら、本予算を取りまとめた昨年末の時点で、財政計画を同時に出して、財政規律を国民に示すべきでありました。
 政府は今年6月をメドに、中期財政フレームを策定するといわれますが、どういった目標値を掲げ、どのような手段で、いつまでに実現するのか、まったく方針が示されていません。消費税についても、4年間引き上げないと公言されていますが、それでは4年間も大幅な赤字財政が続くのは避けられないことになります。

 予算の内容についてみていきますと、まず国費1兆7000億円もが投じられる「子ども手当」が大きな問題であります。
 現金を配ることが、どれだけの経済効果につながるのか、大きな疑問です。消費性向を70%もの高率に想定して、1兆円もの景気押し上げ効果を見込んでいますが、過去の定額給付金などの消費性向は20%から30%と言われているに過ぎません。まさに誇大広告です。
 また、本当に子供のために使われるのでしょうか。貯蓄に回るか、親への手当、悪く言えば遊興費として多くが浪費されるのではありませんか。さらに、子ども手当は、親が国内に居住していることを支給の要件としているため、外国籍の子へ支給される一方、親が海外で働いている日本の子どもには支給されない、といった理不尽な問題があります。

 22年度予算では、子ども手当、高校授業料無償化、農業の戸別所得補償などに代表されるように、現金給付といった経済政策が前面に押し出されています。これは政策のあり方として極めて危うい、そしてこの政策が続けば、日本を奈落の底に突き落としてしまいかねません。この機会に強く警告しておきたい、と思います。
 我々自民党政権下では、国民一般、そして弱者や困窮者に対して、自立を促し、解決することを政策哲学とし、決して現政権のように、単にお金を渡して助ける一時しのぎの政策は取ってきませんでした。
 それは、自主・自立の精神を後退させ、怠惰な生活に甘えることを許し、ひいては、日本の国力を大きく衰退させるからであります。私が本予算に反対する最大の理由は、この点にあると申し上げておきます。

 予算委員会では各派の代表が、2月18、19日に、福島県、栃木県を訪ね、元気のいい企業を視察してきました。日本の企業は本当に頑張っているし、また地方にありながら世界市場で活躍していることが改めて確認できました。
 そして、こうした企業のみならず、元気のない企業をも、さらに後押しするためには、やはり世界的にみて水準が高いと言われる法人税率の引き下げ、そしてさらなる規制緩和が必要であるとの認識を持ったのです。

 我々自民党は、現在のデフレを克服するしっかりとした成長政策を具体的に打ち出し、消費税を社会保障目的税化することなどによる歳入・歳出一体改革を推し進めます。政府・日銀にも、その方向でのさらなる努力を求めたいと思います。

 予算委員会では、政治と金、外交安保、雇用を含めた社会保障問題、など様々な角度から、鳩山政権の政策運営のあり方が論じられました。しかしながら、政治献金問題や普天間基地の移設に代表されるように、ほとんど先送り答弁が返ってくるばかりで、非常に残念でありました。特に普天間基地の移設先に関しては、政府の中でも言っていることが二転三転し、政府案の決定が今もってなされないというお粗末さであります。

 最後になりますが、政治と金の問題であります。我々はあらゆる場で、小沢幹事長をはじめ数多くの関係者の参考人招致、証人喚問を求めてきました。しかしながら、何ら前向きな返事がなく、鳩山政権は逃げようとするばかりであります。
 さらに、北海道教職員組合の政治資金規正法違反の問題でも、組合丸抱えの選挙の実態が明らかになっています。多くの国民の批判を招いており、民主党は肝に銘じて反省すべきであります。
 民主党は自ら姿勢を正し、自浄作用を発揮しようとする意思はないのでしょうか。一刻も早く、国民監視の場で政治と金の問題を堂々と説明し、取るべき責任はしっかり取るよう、強く求めます。そして、この日本を救うために、多くの国民が鳩山内閣の一日も早い退陣を求めていることを強調して、私の討論を終わります。

shige_tamura at 16:22│Comments(1)TrackBack(0)clip!自由民主党 

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この記事へのコメント

1. Posted by 原田   2010年03月24日 18:19
田村様、

舛添要一議員の参院本会議討論「平成22年度予算は【反対】」です。
を拝読し、正しく賛同するものです

>我々自民党政権下では、国民一般、そして弱者や困窮者に対して、自立を促し、解決することを政策哲学とし、、、、、
 それは、自主・自立の精神を後退させ、怠惰な生活に甘えることを許し、ひいては、日本の国力を大きく衰退させるからであります。私が本予算に反対する最大の理由は、この点にあると申し上げておきます。>

特に上記の部分、聞こえは厳しく感じると思えますが、どんな生き物でも親が子を育てる事、それは自然界の中では当たり前の事、当然の与えられた責務でもあるのだと思っています。 

民主党の’ばら撒き政策’については、考えてみれば、それを必要としてもいない、ちょっと頑張れば自分達で充分に子育てが出来る人達にも手を差し伸べる事が、夏の選挙での票集めにしか思えない、ひいては国の力を著しく損なっていくと言うことに対しての危機感を感じないと言う民主党議員さんや大方の国民に大変問題があるように感じてなりません。

何でも先進国、特に欧米を参考にするような事も良し悪し、日本には日本人独自の国民性が有り、理想と現実を分けるべきだと思っています。
兎に角大方の日本人には、人の言う事ばかり(おかしな情報を流すマスコミや一部の識者)鵜呑みにするという事ではなく、’自己責任’を少しづつ広めていかないと、’他力本願’が益々強くなり、誤った認識を持つ事に繋がるような気がします。 

自民党議員さん達の、個々人、夫々の自由の発想にも理解を示し、’自己責任的思考’を国民に植え付けていくことが今一番求められているのだと私は思っています。 ’経済の上向き’と同時に求められているのは’精神的な上向き’が今の日本にはとても大切であると言う風に…

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