2010年02月23日

皇太子さま50歳会見より

(2010.2.23 05:01、産経ニュースより)

 皇太子さま50歳会見から、これはという部分を引用しました。

【問1】50歳といえば、論語で「天命を知る」とされる年齢です。
 今の率直なお気持ち、公私両面での抱負をお聞かせください。
 昨年、天皇陛下が、中国国家副主席とご引見された際、天皇が行う国際親善、公務のあり方が議論となりました。
 皇室のご活動については、憲法で定める「国事行為」以外に明確には規定されておりません。
 「象徴天皇」のあり方を含めたご公務に対する考え方や、殿下が度々、語られてきた「時代に即した新しい公務」の現状と今後の取り組みについてお聞かせください。


《皇太子さま》自分としては、もう50になったのかという感じがする一方で、まだまだ研鑽(けんさん)を積まないといけないという、これからだという思いがいたしております。

 ご質問の冒頭にあった「天命を知る」という孔子の言葉は、自分がこの世に生まれた使命を知るという意味ですが、単に知るだけではなく、この世のためにいかす、つまり、人のために尽くすという意味を含んでいるように思います。

 孔子の言葉といいますと、確か天皇陛下が50歳になられた時の会見で、「夫子(ふうし)の道は忠恕(ちゅうじょ)のみ」との孔子の言葉で質問に答えていらっしゃいます。

 「忠恕」とは、自分自身の誠実さとそこから来る他人への思いやりのことであり、この精神は一人一人はもとより、日本国にとっても「忠恕」の生き方が非常に大切なのではないかとおっしゃっておられます。「忠恕」と「天命を知る」という教えに基づいて、他人への思いやりの心を持ちながら、世の中のため、あるいは人のために私としてできることをやっていきたいと改めて思っております。

 また、教えと言えば、大学を卒業の会見の折にお話ししていることですが、歴代天皇のご事蹟を学ぶ中で、第95代の花園天皇が、当時の皇太子、後の光厳天皇にあてて書き残した書に、まず徳を積むことの重要性を説き、そのためには学問をしなければいけないと説いておられることに感銘を受けたことを思い出します。

 そして、花園天皇の言われる「学問」とは、単に博学になるということだけではなくて、人間として学ぶべき道義や礼義をも含めての意味で使われた言葉です。私も、50歳になって改めて学ぶことの大切さを認識しています。

 50年というと、すなわち半世紀ですので、その年月には重みがあります。日本はこの50年の間に、著しい経済発展と社会の大きな変革を経て大きく変わりました。 現在、冬季オリンピック大会がカナダのバンクーバーで行われておりますけれども、私の最初のオリンピックの記憶は昭和39年の東京オリンピックにさかのぼります。

 そして、その後の万国博覧会などを通じて、小さいころより戦後の日本の発展、世界の中の日本を体験してきました。同時に、両陛下から、私が生まれる以前の時代のことなどについても折々にお話を伺うことができたことはとても有り難いことでした。そして、私自身も公私両面で、大きな変化を経験してきました。

 公の面では、両陛下のお導きにより皇太子に至る道を歩んでまいりました。私の面では、両陛下の温かい愛情の下で育ち、外国留学を含めて様々な経験をさせていただき、雅子との結婚、愛子の誕生により心温まる安らぎのある家庭を持つに至っております。

 「天命を知る」年齢に達するに当たって、両陛下を始めこれまでお世話になりました多くの方々へのご恩を忘れず、更なる自己研鑽に努める気持ちを新たにしております。それとともに、ご高齢になられた両陛下をお助けしていくことの大切さにも思いを強く致しております。

 「象徴天皇」の在り方を含めた公務に対する考え方についてのご質問ですが、私は、これらの点については、陛下が繰り返しお述べになってこられたところ、すなわち、過去の天皇が歩んでこられた道と、そしてまた、天皇は日本国、そして国民統合の象徴であるとの日本国憲法の規定に思いを致して、国民と苦楽を共にしながら、国民の幸せを願い、象徴とはどうあるべきか、その望ましいあり方を求め続けるということが大切なのだと思います。

 「時代に即した新しい公務」については、この50年の間に日本社会が大きく変化しましたが、この変化は将来も続くものであり、変化に応じて公務に対する社会の要請も変わってくることになると思います。そして、社会の新しい要請にこたえていくことは大切なことであると考えております。

 かつて、私は今後の関心ある分野として水の問題や環境問題、子どもと高齢者に関する事柄などを述べたことがありますが、これらの分野に限らず、新たな公務に対する社会の要請は出てくると思いますので、これらの公務に真摯に取り組んでまいりたいと思っております。


【問5】昨年は、天皇皇后両陛下のご結婚50年、陛下のご即位20年の祝賀行事が行われ、政権交代や裁判員制度スタートなど歴史に残る出来事もありました。この1年を振り返り、殿下にとって印象に残った出来事やご感想をお聞かせください。

《皇太子さま》この1年の印象に残る出来事と言えば、まず両陛下のご結婚50年・陛下のご即位20年にかかわる様々な行事でした。私どももそれらの多くの行事に参加させていただくことにより、改めて両陛下の歩んでこられた道に思いをはせるとともに、多くのことを学ぶことができました。そのほかにも、ご指摘の政権交代や裁判員制度のスタートも印象に残る出来事でありましたが、アメリカのオバマ大統領の就任も歴史的な出来事だったと思います。

 また、ハイチでの地震で多くの人命が失われるという実に悲しい出来事がありました。日本国内でも、昨年7月の九州・中国地方を襲った集中豪雨などの自然災害がありました。現在なお、こうした災害により多くの人々が亡くなったり、生活の場を失ったりする現実があることには心が痛みます。先月、阪神・淡路大震災15周年追悼式典に出席しましたが、今なお癒えない悲しみを乗り越えながら、その経験を、安心して暮らせる街や社会の実現につなげようと懸命に努力している人々の姿に深い感銘を受けました。

 そのようなときに何よりも大切なのは、寛容の精神を持ち、他の人々を思いやり、互いに助け合う気持ちだと思います。阪神・淡路大震災の際にも、国の内外を越えて、多くの人々から支援の手が差し伸べられました。ハイチの地震でも同じだと伺っています。そうした思いやりの気持ちを持ち続けながら、一日一日を大切に過ごし、必要なときには実際に行動に移していくことが大事だと思います。

 また、この1年は、内外の経済面での難しさと、それに伴う国民の厳しい状況への思いが強かった年でもありました。皆様が共に手を携えてこの困難な状況を乗り越えていかれることを心から願っております。

 こうした状況を考えると、この会見の冒頭で述べた言葉に戻ることになりますが、「忠恕」のうちの「恕」、すなわち他人への思いやりの心を持つことが、これからの世の中でますます大切になってくると思えてなりません。

shige_tamura at 09:48│Comments(1)TrackBack(0)clip!日本論語研究会 

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この記事へのコメント

1. Posted by 高橋大輔   2010年02月23日 14:38
皇太子さまが「忠恕」に関して考えを述べられた事の重さを感じます。
今の世が忠恕の心に満ち溢れていればそもそも御言葉にされる必要もない訳で、有り難がるだけでなく私たち一人一人がこの言葉が発せられた背景を理解し、意味を考え、行動を以って示す良い契機になればと思います。

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